2024年11月30日土曜日

パリ・ノートルダム大聖堂 一般公開前のお目見え



 2019年の壊滅的な大火災から5年7ヶ月(2,055日)後、パリ・ノートルダム大聖堂は、12月7日の正式な一般公開を前にマクロン大統領の訪問とともに、その修復後の映像が公開されました。

 映像を見る限り、修復されて元どおりになった!というよりは、なんだか全体的に明るい感じで生まれ変わったような印象を受けました。問題になっていたステンドグラスなどは、結局、一体、どうなったのでしょうか?

 マクロン大統領はノートルダム大聖堂の修復に携わった2,000人以上の人々(の一部)の前に、「あなた方の意思、努力、献身によって石炭を芸術に生まれ変わらせました」、「皆さんがこの挑戦に熱意をもって取り組んだことで、多くの人の落胆の解毒剤となりました」とスピーチを行い、この建設に携わった人々に感謝の意を伝えました。

 また、同時に、ノートルダム大聖堂修復のために世界中から寄せられた総額8億4,000万ユーロ(約1,340億円)の寄付にも敬意を表しています。

 さて、12月8日に正式に一般公開が再開されますが、一時、有料化されるなどという話も出ていましたが、結局、無料公開が継続されるようです。

 12月8日から15日までは、特別な祝賀会が催される予定になっていますが、この間はもちろんのこと、それ以後も当面の間は大混雑が予想されるために予約が推奨されています。なにせ、世論調査によれば、フランス人のほぼ半数はこのパリ・ノートルダム大聖堂を(いずれ)訪れる予定にしているということで、これは大変なことです。

 これでは、予約したとしても、かなりの行列は避けられない感じではありますが、それでも、予約しておけば、選択した時間帯に待ち時間を短縮して入場することが保証されるということになっています。

 「ノートルダム大聖堂ウェブサイト」によれば、オンライン予約サイトは12月1日頃から利用可能になるそうで、訪問者は訪問の前日、または当日にログインして時間帯枠を予約し、デジタルチケットの確認は電子メールで送信されます。

 12月8日から15日までの一般公開は、12月8日は午後5時から午後8時まで、12月9日から13日までは、午後3時30分から午後10時まで。12月14日・15日は午後3時30分から午後8時まで、そして12月16日からは、午前7時45分から午後7時までの通常どおりの公開になります。

 また、12月17日・18日には、ジャン・セバスチャン・バッハのマニフィカトなどを披露するコンサートが開催される予定ですが、これらのチケットはすでに完売しているとのことです。

 しかし、今後もいくつかのコンサートが当面は2025年8月まで予定されているとのことでまだまだ、チャンスはありそうです。

 それにしても、行って直に見てみないと、実感が湧きませんが、あまりに衝撃的だった大火災からこの5年余りの間、パンデミックやパリオリンピックなどの様々なできごとを挟みつつ、フランスがよくも5年足らずで再開までこぎつけたことに正直、驚いています。

 ふつうの工事ならば、フランスには工期というものは一応あっても、ないみたいなもの・・やはり、全世界からの寄付とともに集められた期待を背負ったフランスの意地のようなものを感じずにはいられません。


パリ ノートルダム大聖堂再開


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2024年11月29日金曜日

まだまだ続く・・メトロ14号線の工事

  


 パリ・オリンピックまでの数年にわたり、パリ中あちこちは工事に追われていましたが、中でもメトロ14号線は、拡張工事のために度々と閉鎖になっていました。

 おかげさま?で14号線は今では、オルリー空港まで開通しています。

 特に、サン・ドニのスタジアムやオルリー空港まで繋げることについては、オリンピックに間に合わせるため・・という目標があったでしょうが、オリンピックも終わり、ヤレヤレ・・これで数年にわたる工事もやっと終わりか・・と思いきや、14号線の工事はまだまだ続いているようです。

 なんとオリンピックが終わった今でも、夜間工事が続いており、12月19日までは月曜から木曜日の4日間は夜間10時から閉鎖になっているようで、来年1月からは夜間閉鎖は週3日(月曜日から水曜日まで)になるようですが、とにかく、この手の閉鎖は最低でも来年の8月までは、続くようです。

 これまでの拡張工事により、大幅に利用者が増加しているそうで、週4日間夜間は運行していないにもかかわらず、利用者数は減少していないということで、これが、夜間閉鎖等が行われない状況に戻ったときは、明らかに相当数の乗客が期待できるとしています。

 個人的には、私はこの14号線に大変、お世話になっており、特に無人運転・完全自動化ラインのために、ストライキの影響もなく、とても助かります。

 今回の工事期間の延長は、この完全自動化の地下鉄制御システムの追加機能のインストールとテスト運転のためにさらに時間がかかっているのだそうです。

 昔のことばかり、引き合いに出すのは、年寄りくさい気もするのですが、私がパリに来たばかりのころは、14号線はMadeleine(マドレーヌ)駅からBibliotheque(ビブリオテック)駅までの7駅しかなく、当然、乗客も少なく、とても心地よい路線でした。

 現在では、14号線は21駅にわたっているので、3倍になったことになります。

 昨日、久しぶりに夕方のラッシュアワーに14号線に乗ったらば、ものすごく混んでいて、人と人とがギリギリぶつからない程度の満員状態で、さすがに路線が延びただけあって、利用する人が増えたのだということを実感しました。

 しかも、以前よりも車両の編成は長くなり、そのうえ、2分おきくらいに電車が入ってきます。あらためて、路線図を見て見れば、21駅のほとんどがどこかの路線と乗り入れており、そりゃ!混むわけだ!と思ったのでした。

 いずれにしても、当分の間、工事は続くようで、来年、6月までは平均して月に1日、週末に全面運休、8月4日から8日までの5日間は完全閉鎖され、これで一応、完了になるようです。

 この最終工事により、「メトロは事故が発生した場合、トンネル内で立ち往生するのではなく、逆行して駅で乗客を降ろすことが可能になる」と自信満々に発表していますが、そもそもが、「事故が起こって、トンネル内で立ち往生する前提かい!」と突っ込みを入れたくなりますが、とりあえず、トンネル内で閉じ込められる危険はなくなる?のは、助かります。


パリ メトロ14号線工事


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2024年11月28日木曜日

新型コロナウイルス、インフルエンザ、細気管支炎のための「スリーインワン 3 in 1」セルフテスト

  


 細気管支炎の流行が広がり、インフルエンザウィルスの流行が始まり、新型コロナウィルスの波がおこりつつあるフランスで、ワクチン接種キャンペーンとともに、これらの3大感染症とも言われるウィルスに感染しているかどうかを一度にテストできる「スリーインワン 3 in 1」が薬局に登場し始めています。

 この製品を製造しているフランスの研究所は、100%に近い信頼性(98.3%)をアピールしています。この検査キットは、「サンプリングスポンジを鼻孔に置き、15秒間、数回、回転させるだけで、チップを容器に浸して結果を待つだけ」、「15分後には、結果が表示される」、「誰にでも簡単にできて、痛みもない」と説明しています。

 要は新型コロナウィルスの際に発売されたセルフテストと同じ要領のセルフチェックテストキットで、パンデミック以来、この種のテストに慣れたフランス人にとっては、有効な検査キットになり得るかもしれません。

 この検査キットは、メーカー側によれば、すでにフランス国内の何百もの小児救急サービス、成人救急サービス、小児科医、医師によってすでに使用されているものだそうです。

 価格は、キット1つあたり10ユーロ前後であるようですが、残念ながら、これは保険適用にはなっていません。

 このセルフテストの製造元は、その特異度で100%、感度で90%であるとしていますが、少なくとも、陰性なのに陽性(つまり病気ではないのに病気である)と判定が出ることはなく、陽性の場合でも10%の確率で陰性と判定されることがあるということでもあります。

 メーカー側の自信満々のアピールぶりとは裏腹に、HAS(高等保健当局)は、すでに、病院で実施された2つの研究結果により、「感度レベルは説明書に表示されている値よりも大幅に低い」と推定し、これらの結果に対して警戒を表明しています。

 私は、自分で検査を行うことに自信がないうえに、結局、チェックしたところで、治るわけではないし、やっぱりお医者さんに診てもらって、その場でそれなりの投薬なりをしてもらった方が安心・・と思ってしまうのですが、仕事や子育てなどで、医者に行く予定がつきにくい人にとっては、とりあえずの診断がつくようになることは安心かもしれません。


新型コロナウイルス、インフルエンザ、細気管支炎 スリーインワン セルフテスト


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2024年11月27日水曜日

トヨタ・ヴァランシエンヌ工場の成功 TOYOTA ハイブリッド車は売れている!

  


 TOYOTAのフランス工場であるヴァランシエンヌ(フランス北部・ノール県)工場は2001年操業以来、500万台の車を生産を突破したことを祝い、トヨタ・モーター・ヨーロッパ会長は、同社が現在、有期雇用で契約している従業員1,000人のうち、600人を無期雇用に切り替え、雇用を安定させることを発表しました。同工場は、合計5,000人の従業員を雇用しています。

 これは、フランス国内のみならず、欧州圏内の製造業のほとんどが売上高の減少などの業績不振の四半期が続き、多くのメーカーが従業員の解雇に踏み切っている中、自動車産業の流れに逆行する珍しく景気のよい話として大歓迎されています。

 同工場は、トヨタの小型ハイブリッド車「ヤリス」の生産拠点であり、20年以上この車の生産を行ってきました。このモデルはハイブリッドバージョンで最も成功をおさめている車で、現在「ヤリス」はフランスで最も生産されている車となっています。

 同工場の成功は、コンパクトな工場で徹底的にムダな時間、ムダな労力をカットすることから生まれていると言われ、部品は可能な限り現地生産、機械やロボットを要所に利用し、1日3シフト制を導入して効率的な作業を行っています。

 これは、日本の方法(「KAIZEN」(日本語の改善というそのままの単語が使われている)と継続的改善)である、「根本的原因の追究」からなる「厳格な方法」により成り立っていると言われており、産業大臣まで出てきて、これを大絶賛しています。

 大臣はまた、「TOYOTAと下請け企業との関係の質」も大絶賛しています。

 しかし、この背景にあるのは、ハイブリット車の意外な根強い人気であり、長年、電気自動車よりもハイブリッド技術を擁護し続けてきたトヨタ経営陣にとっては、明るい兆しかもしれません。

 これは、フランスは小型車市場の2大スター、プジョー208とルノー クリオを生産してきた小型車に関しては比類ないノウハウを持っていると自負していましたが、これらのフランス車はトゥルキエ(トルコ)やスロバキアに生産拠点を移しています。

 フランスにとっては、フランスのメーカーの車ではあっても、もはやフランス国内に清算拠点を置かなくなっているメーカーが大多数の中、日本の車であっても、メイドインフランスである車が世の中に普及していることをとても歓迎しています。

 ある紙面では、「日本のメーカーであるトヨタはすでに500万台のフランス製の車を公道に走らせている!」などとタイトルをつけています。

 最近では、産業大臣が工場に出向くといえば、人員削減のための労働組合をかばって工場経営者との間に折り合いをつけるようなことが多いなか、このようなお祝いムードにつつまれた工場訪問は、大歓迎なのでしょう。「トヨタは、フランスでも自動車産業が可能なことを示してくれた!」と大絶賛しています。 

 日本人の私としては、トヨタの繁栄は嬉しい反面、そんなに大盤振る舞い?して、雇用を拡大して、大丈夫?フランスでは一度、無期雇用で人を雇ったら、大変だよ・・などと思うのですが、もっとも、フランスは労働者保護のため、業種にもよると思うのですが、有期雇用を継続できるのは、限度があり、何回か目の有期雇用の更新では、無期雇用に切り替えなければならないはずです。

 しかし、日本のトヨタ、世界のトヨタ「KAIZEN・改善、継続的な改善」を追求し、どうか頑張ってほしいと思っています。


トヨタ ヤリス ハイブリッド車 


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2024年11月26日火曜日

航空券チケットを取ろうとしていたら、みるみる値段が上がっていく

  


 私の理想は年に2回くらい(半年おきくらい)日本に行けたらいいな・・と思っているのですが、グズグズしている間に会っという間に時は過ぎてしまい、思い切らないとなかなか計画は進みません。

 以前は子どものバカンス時期に合わせる必要があったために、選択の余地がなかったのですが、いざ、子どものバカンスが関係ないような環境になれば、逆に子どものバカンス時期は、料金も高くなるし、ストライキの確率も高まるので、その時期はなるべく避けるとなると、考えてみれば、1ヶ月おきくらいに学校のバカンスがあるフランスでは、自ずとかなり時期も限られてくることになります。

 昨年は、年末から年初にかけて、もともとの日本行きに加えて、再び、日本にある家のことで急遽、日本に行かなくてはならない用事ができたために、間隔があまり開いていないのに、日本に行くことになり、「この間、来たばっかりなのに、なんだかちょっともったいない・・」という感じがしました。

 これまでは、急な用事などで、慌ててチケットを取って日本に行くことが多かったので、私はあまり事前に何ヶ月も前からチケットをとって・・ということをしてこなかったのですが、今回は、来年からは、フランス発着の航空券に対して連帯税が3倍になる・・という話もあり、チケットを取るなら、早い方がよいのでは??・・と来年の日本行きのチケットを今からとっておこうと思い至ったのです。

 もうここのところ、10年くらい同じフランスの格安チケットのサイトでチケットは購入していたのですが、ここのところ、サイトを開いて、できるだけ安い日にちを検討しているうちに、どんどん値段が上がっていくことに憤慨しています。

 航空券のチケットは出発日によってかなり値段にも差があるので、それを検討して予約するのですが、いくつかの候補を見て検討しているうちに、タイムアウトになり、次にサイトを開きなおすと値段が上がっているのです。

 以前から、なんだか、その傾向はあった気もするのですが、ここまで露骨で酷くはなかったと思うのです。私の場合、体力的に経由便は耐えられないので、直行便の中から選ぶので、フランスから日本に行く場合はエアフランスかJALかANAの3択です。

 いつも使っていた格安?なはずのサイトだと、探せば探すほど値段が上がっていくという悪循環に陥り、どうやら、この時期には、一番、安いのはANAみたい・・ということで、もうANAのサイトで直接、予約をとりました。

 航空券だけの価格を見ていると、エアフランスの方が安かったのですが、荷物分の料金や座席指定の値段を合わせると結局、ANAの方が安いようでした。また、エアフランスは機内のスタッフやサービスなどは好きなのですが、ストライキの可能性も高まるので、やっぱりできれば避けたくなってしまいます(何度か突然のストライキで痛い目にあっている)。

 ANAのサイトの方は、その日のうちに検討していると値段が上がっていってしまう・・ということはなく、それだけでも良心的だな・・と思ってしまいます。

 それにしても航空券・・高くなったけど・・これから、また、さらに上がるわけ??と思うと暗澹たる思いです。


航空券格安チケットサイト


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2024年11月25日月曜日

最近、激増している自動車部品の盗難

  


 フランスでは、ここ数年で自動車部品の盗難が急増しているようです。車の盗難(車体全体)は、珍しくない話で、昨年も車の盗難事件が急増したというニュースが流れ、しかも、最も盗難の被害に遭った車はTOYOTA(RAV4)だったそうで、前年のTOYOTAプリウスに続いて、2年連続の堂々1位をTOYOTAが獲得しているということでした。

 めちゃくちゃ楽観的に考えれば、それだけTOYOTA車が出回っているということの証でもありますが、オートロックシステムの解除がしやすいという理由もあるとも言われていました。

 今年になって、車の盗難が減少したということはないでしょうが、特に顕著に目立って増加しているのが、車のパーツの盗難だそうで、ミラー、ヘッドライト、ナンバープレート、フロントライト、ハンドル、ホイール、タイヤからバンパーまで、全ての部品が狙われるようです。

 このトレンド?は、自動車の中古部品市場の需要が拡大したことであると言われ、これらの盗品は中古部品の闇市場や、海外で販売されるのだそうです。

 監視カメラなどの記録に残されている情報によれば、彼らは闇に紛れて車でやってきて、ターゲットの車から車の一部(たとえ、それがバンパーなどの大きいものであっても・・)彼らは迅速に仕事を成し遂げ、10分もかからないで、(小さい部品の場合は5分以内で)自分たちが乗ってきた車に部品を積み込んで立ち去っていきます。

 彼らはドライアイスで指紋を消すという技をもち、組織化されたギャングの犯行が横行しているようです。

 なかでも、バックミラー、フロントライト、リアライトは、壊れやすいこともあり、需要が高いために、盗難被害に遭うケースが多いそうです。

 そして、中でも泥棒が珍重するアイテムは触媒コンバーターといわれる部分で、これには、プラチナ、パラジウム、ロジウムなどの貴金属が含まれているのだそうです。

 また、この触媒コンバーターの盗難がもっとも多かったのは、またしても、TOYOTAとレクサスのモデルだそうで、TOYOTAの触媒コンバーターには、他メーカーの車よりも、多くの貴金属が含まれており、特にハイブリットモデルはこの部分へのダメージが少ないために、より狙われるのだそうです。

 これらの盗難は、路上駐車だけでなく、駐車場に入れておいても狙われるということなので、もはや手立てなしという他はありません。

 車もろとも盗難の被害に遭うのと、車を壊されて部品が盗られるのと、どちらがショックだろうか?などと、意味のないことを考えたりもしますが、まるっきり姿が消えてしまうのとは、また別の意味で一晩のうちに、滅茶苦茶に破壊された車の残骸が残っているという絶望感もまた、相当なものではないかと思います。

 以前は、路上に厳重な鉄パイプのような鍵をかけた自転車がその鍵をかけた部分だけが残されて、タイヤやサドルなどが盗られているのを見かけることはよくありましたが、今や、それが車に移行しているとは、恐ろしいことです。

 

自動車部品の盗難急増


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2024年11月24日日曜日

クラッシックなノエル・クリスマスデコレーションのお店

  


 ノエルまで、あと1ヶ月ちょっとになり、パリの街中もノエルのデコレーションの飾りつけをするお店が増えてきました。

 一年のうちで、おそらく夏のバカンスの次?あるいは、同じくらいのビッグイベントのノエルには、街のイルミネーションやデコレーションもとても楽しめる時期であると同時に、それぞれの家庭では、ノエルのデコレーションで家の中を飾ります。

 ノエルのデコレーションのためのグッズがあちこちのお店で見られるようになりますが、それこそ、ピンキリで、ふつうは、毎年、新しいものを買うよりも、だいたい使いまわしで、毎年、少しずつ買い足したり、アレンジを加えたりする人が多いように思います。



 郊外の方の家だと、家全体を飾りつけ、電飾で覆ったりする家もありますが、パリだと一軒家というものもあまりないので、必然的に室内を飾るということになると思うのですが、家族で集まるノエルを彩るために、ノエルの飾りつけをする家庭は多いと思います。

 日本では、お正月の方が家族で集まることが多いと思いますが、フランスの場合は、ノエルこそ家族が集まる機会で、そこにシンボル的に飾るクリスマスツリーはある意味、門松みたいな感じでもあるかもしれません。

 雑貨屋さんやデパートなど、この時期、どこへ行ってもクリスマスの飾り物(主にはクリスマスツリーを飾るデコレーションなど)が売られていますが、お店にもよりますが、ちょっと高級っぽいお店だと、どちらかといえば、あまりたくさんの色を使わず、洗練された感じに飾るのかな?と思われるデコレーションが多いような気がします。




 そんな中、とてもクラッシックなノエル・クリスマスのデコレーションの小物のお店があって、それはそれは、もうお店全体がキラキラなノエル満載のお店で、売られているひとつひとつのデコレーションも基調はクリスマスカラーの赤とグリーン・・そしてゴールドで、とにかくお店中がキラキラです。

 それでも、決して下品な感じにはならないのが不思議なのですが、それなりにクラッシックな感じで、ひとつひとつの商品も歴史が感じられるというのも大げさですが、どこかの宮殿の宝箱の中みたいです。



 そんな感じなので、お値段もそんなに安い!お手頃!という感じではありませんが(といっても、そこまでべらぼうな値段というわけでもない)、長く代々、引き継いでいけそうなものでもあります。

 広いお店ではありませんが、商品の数は山盛りで、お店の奥には螺旋階段があって、上の階にも下の階にも行けて、それぞれに商品が置かれています。地上階には、それこそ、パンパンの商品がギッシリと置かれ、別の階には、商品が陳列されているというよりは、美術館のような、美術品が展示されているような感じでもあります。

 クリスマスツリーの飾りにもある種の流行のようなものもある気がするのですが、ここは、あくまでクラッシックな感じ・・このお店の名前の La Maison du Roy(王様の家)が感じられるテイストで、どこかの宮殿の飾りつけのような感じがあります。

 そういう意味では流行はなく、少しずつ買い揃えて、毎年、少しずつ豪華になっていく・・そして、次世代にも引き継いでいけそうなノエルのデコレーションのお店です。

 私などは、もう家ではクリスマスツリーも飾らなくなり、ポインセチアやリースくらいで済ましてしまうのですが、こんなお店を覗いて見るだけでもノエルの気分を楽しめます。

 なんといっても、自分で飾らなくてもよく、片付けなくてもいいというところが、無精者の私には、何よりです。

 このお店のあるパッサージュは、他にもなかなか趣のあるお店がたくさんあります。


クリスマスデコレーションのお店


🌟La Maison du Roy 24 Passage Jouffroy 75009 Paris 


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2024年11月23日土曜日

パリ18区のマクドナルドで銃殺事件

  


 最近の凶悪犯罪の低年齢化には、驚かされることが多いのですが、高齢者の凶悪犯罪も減っているわけではなさそうです。

 今回の事件はパリ18区のポルト・ド・クリニャンクール地区のマクドナルドの店内での銃撃事件です。つい先日もサンラザール駅のマクドナルドで化学物質(液体)を撒かれるというテロのような事件が発生したばかり・・、マクドナルドが悪いわけではないでしょうが、人が集まる場所、それだけマクドナルドがどこにでもあるということなのかもしれません。

 しかし、こう続けてマクドナルドで深刻な事件が続くと、ちょっと腰が引ける感じになります(言うほど、マクドナルドに頻繁に行くわけではありませんが・・)。

 今回の事件では、マクドナルド店内での発砲、しかも、武器は大口径のリボルバーで、そこまで広いとは言えないスペースでの発砲、しかも4発(発砲数は定かではありませんが、少なくとも数発)で、60代の男性が77歳の男性を射殺という比較的高齢者?の事件です。

 この60代の男性は、この大口径リボルバー装備で店内に入店、1.50mの至近距離から相手の頭と胸に向けて発砲しています。昼の時間帯のため、当然、店内には大勢の客がおり、店内は騒然とし、パニック状態に陥ったようです。

 それは当然です。いきなりマクドナルドでホンモノの銃声が響き渡ったら・・しかも、数発・・流れ弾が他の人々にあたらないとも限りません。もしかしたら、強盗?とか?わけがわからなくなりそうです。

 被害者男性も加害者男性もともにフランス国籍、顔見知りであったそうで、動機は二人の間の麻薬密売に関する数千ユーロ規模の金銭トラブルであったと見られています。

 クリニャンクールといえば、蚤の市で有名な場所ですが、この地域、あまり治安がよくないことでも有名で、麻薬やタバコ、薬物、偽造品の違法販売などで度々、話題にあがる場所ではありますが、まさかマクドナルドなどの店内でとは・・恐ろしいことです。

 どちらかといえば、治安の悪い場所でも、マクドナルドなどのファストフードなどの店内は、比較的、安全なのでは?というイメージ(一般人?のスペースには危険な人々は侵食してこない)があったのですが、それは、私の勝手な解釈で、やはり、治安の悪い地域はどこでも安心してはいけないようです。

 私が最後にクリニャンクールに行ったのは、いつだったか忘れましたが、もうずいぶん前のこと・・「多分、もう来ないだろうな・・」と思ったことだけ覚えています。

 クリニャンクールの蚤の市は、それなりに面白いし、興味深くはあるのですが、特に危ない目にあったわけではないのですが、そのあたりの街の感じ、行き来する人などの感じがどうにも、すえた感じで私には、耐えがたいのです。

 加害者は、抵抗もせずにその場ですぐに取りおさえられ、逮捕されたようですが、被害者の男性は即死ではなかったものの、救急隊が到着後、すぐに息を引き取ったようです。

 もはや麻薬事件にはあたりまえのように登場する銃ですが、血気盛んな若者が・・というのとも違い、どちらかといえば、高齢者に分類された二人が麻薬取引の金銭トラブルで、しかも、よりにもよって、マクドナルドのような場所で殺人事件を起こすとは・・何重にも驚くポイントが重なっています。

 蚤の市はそれなりに面白くても、やっぱり、命がけで行く場所ではないな・・と思うのでした。


マクドナルド高齢者銃殺事件


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2024年11月22日金曜日

パリ 11月の雪は1958年以来9回目

  


 数日前から木曜日は雪だと天気予報が出ていました。天気予報は必ずしもあたるわけでもないので、「雪かもしれないのね・・」くらいに思っていました。

 前日は、久しぶりくらいな晴天だったので、「これで、明日、ほんとに雪なのかな?」と思っていましたが、朝、起きて、外を見ると、ほんとに雪が降っていました。

 雨だと、例外なくウンザリするのですが、雪だとなんとなく、どこか心の隅にウキウキしてしまう感じがあるのも不思議なことです。

 それでも、しばらくすれば、止んでしまうのだろうな・・と思ったら、お昼過ぎになっても雪は降りやまず、むしろ、盛大に降り始めたので、これは、最近の一日中、雨が降り続けるバージョンと一緒なのかな?などと思いつつ、出かけました。

 雨でも傘をささないフランス人が最近の雨は一日中、しかも、けっこうな量の雨が降り続けるようになってから、さすがに傘をさす人が以前よりは増えた気がするのですが、雪だとどうなのかな?と思って、周囲を見渡すと、傘をさしているのは、半分もいない感じで、7~8人に一人くらいの感じでした。

 雪は粒が大きな雪でみぞれに近い感じの綿雪というかぼたん雪みたいな感じで、雪が降るというよりは宙に舞うような雪でした。

 私自身も傘を持って行こうかどうか?一瞬、考えて、とりあえず一応、折り畳みの傘を持って出かけましたが、結局、街中を歩き回るわけでもないので、バスやメトロに乗って、あとは、目的地まで歩く程度なので、傘をさすのは、面倒で、コートのフードをかぶって、傘はささずに帰ってきました。

 パリに雪が降ることは、そこまで珍しいことではないのですが、今は、まだ11月で、11月に雪が降ったのは、1958年以来9回目のことだったようです。1958年以来9回目というのは微妙な表現ですが、単純に計算すると約8年に1度くらいということになります。

 日中、少し雪の降り方が弱くなってきて、「これでやむのかな?」と思いきや、またけっこうな量の雪になったりして、その日は結局、一日中、雪でした。雪ともなれば、さすがに気温もしっかり下がり、氷点下の世界(この日はー2℃くらいまで)になりました。

 パリ市内は人の往来もけっこうあるし、車の交通量も多いので、あまり積もるという感じではありませんが、夜中に降り続けたりすれば、溶けかけた雪が凍ったりして、けっこう始末の悪いことになるかもしれません。

 木曜日はSNCF(フランス国鉄)の一部がストライキを予定しており、実際に決行されていたようですが、雪のために、それ以外の便の遅延やキャンセル、また、CDG(シャルルドゴール)空港やオルリー空港などでも、発着便の10%程度がキャンセルになったり、その他の便に関しても、遅延などの影響が出ていた模様です。

 もともと、ストライキがなくてもダイヤの乱れは珍しくないフランスで、この日は、それがストライキのためだったのか?雪のためだったのか?ストライキの観点からすると、あまりインパクトのない感じになった気がします。

 雪に弱いのは公共交通機関だけではなく、高速道路などの道路でもありますが、雪のために交通が麻痺しつつある道路がチラホラ・・。

 メルコスール自由貿易協定への抗議をはじめ、一向に改善されない農業の苦しさを訴えるためにいくつかのポイントで道路をブロックしていた農民たちは、彼らがブロックしている道路以上の麻痺状態が起こり、彼ら自身もこの寒さの中の抗議活動は辛いだろうな・・と思います。

 しかし、色々と不便なことが起ころうと、どこか私の心の中では「雪」というと、ウキウキした特別感がぼんやりと漂っているのです。

 

パリの雪


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2024年11月21日木曜日

EUメルコスール(南米南部共同市場)自由貿易協定にフランス人は反対している

  


 フランスでは、年初の農民たちの怒りのデモから半年以上が経って、再び、この農民のデモ行動が再燃し、EUメルコスール(南米南部共同市場)自由貿易協定についての議論が高まっています。

 一つには、農民たちのデモの要求の大きな一つは、このEUメルコスール(南米南部共同市場)自由貿易協定(ラテンアメリカ・アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア)への強い反対です。

 これは、フランスだけでなく、欧州全体としての協定とされているため、欧州全体の意思統一が求められるのですが、現段階で、このメルコスール自由貿易協定に正面から反対を唱えているのは、フランスだけで、フランスはこの件に関するEUの中での同盟国を捉えるのに苦労しているようです。

 しかし、メルコスール自由貿易協定に関しては、大多数のフランス人が異議を唱えており、フランス人の76%が反対しています。また、これは、政界においても、こんなに意見が一致するのは珍しいと言われるほど右派も左派も政府内でも満場一致で反対しています。

 マクロン大統領もまた、欧州選挙前には、このメルコスール自由貿易協定に関して、「ミラー条項(フランスやヨーロッパの農家に求められているのと同じ環境基準を第三国に課すこと)の実施なしには、決して協定にサインしない」と約束しています。

 このメルコスール自由貿易協定は、農業に関する貿易だけではなく、自動車や高級ブランド品などの他の産業にも関わることであり、この協定が合意に達すれば、メルコスールと欧州の間の関税が90%削減されるというメリットが大きいものではあり、時に、「自動車のための肉」などと風刺されることもあります。

 特にこのメルコスール問題を語る際に例に挙げられるのは、「肉」なのですが、すでに、ウクライナとの間の関税が撤廃されていることもあったりして、国内の畜産農家は大きな痛手を負っています。

 また、農産物に関しても、フランスでは、環境問題や健康問題対策のために厳しく規制されている農薬や飼料などの基準が高いために、とても、その基準は無視されて育てられている農産物(畜産物も)の低価格には、到底、太刀打ちできずにいるのです。

 しかし、この協定を受け入れることは、競争力のある産業にとっては、ありがたい話なわけで、それが「自動車のための肉」などと言われる所以です。

 なにしろ、このメルコスール市場は、2億8,000万人の消費者を抱える巨大市場、この市場がどのように管理されるかは、大きな問題でもあります。

 また、タイミング的にアメリカではトランプ大統領が当選したことから、アメリカとの貿易のハードルが上がる気配に、欧州全体としては、これに代わる市場としての期待がより高まっているようです。

 こんな欧州全体の流れにもかかわらず、フランスが反対を唱え続けている理由としては、前述したように、圧倒的な民意を得ていることもあります。また、必ず敗者が出る自由貿易に疑問を投げかけているということもあります。

 この民意に関してはフランス人の国民性が根底にあるとも思われ、「フランス人はフランスの農業と食料に対する愛着があり、誇りを持っており、そんな農業が危機に瀕している・・フランス人は極めて困難に直面している人々への強い共感を抱く」というところにあるように思います。

 また、環境問題、食料の安全問題を保護してきたフランス国内にエストロゲン入りの鶏肉などの、これまで危険因子から守ろうとしてきたフランスの国策を破壊するような低価格の農産物や産業材料などがなだれ込むことになる危険もあります。

 しかし、同時にフランス人は現実的にも見ていて、この反対あるいは、フランスの農業を守るミラー条項に関する交渉をマクロン大統領が成し遂げることは難しいと考えている人が66%で3人に2人は、あまり結果は期待していません。

 実際に、これに反対するには、フランスは欧州内で少なくともEUの人口の35%にあたる4ヵ国の同意を集める必要があるのですが、見通しは暗いようです。

 こうなると、弱い者にシワ寄せがいくことに歯止めが効かなくなりそうで、人気が低迷しているマクロン大統領に怒りの矛先が向きそうな気がしてきます。

 多くの案件について、欧州の中でリーダー的立場を取ろうとしてきたマクロン大統領ですが、今回のメルコスール問題については、苦戦しているようです。


EUメルコスール(南米南部共同市場)自由貿易協定


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2024年11月20日水曜日

2ヶ月待たされた心臓専門医で・・

  


 かかりつけのお医者さんに行くのは別に緊張はしないけれど、やっぱり心臓専門医にかかるときは、それなりにドキドキします。もうここ数年、年に一度くらいは、かかっているのですが、昨年は、心臓専門医で診てもらってから、「おやおや?」となって、「ちょっと別の検査も受けて下さい・・」と言われて、けっこう大がかりなMRIの検査まで受けるハメになったため、余計に警戒感が増しています。

 そもそも、今回は、体調が悪くて、まずかかりつけのお医者さんに相談したところ、血液検査をしてから、心臓専門医と呼吸器科に行くように処方箋を書いてもらっていて、予約を取ろうとしたら、心臓専門医の方は、2ヶ月後(それでも初診ではないために少し早かった・・)、呼吸器科に至っては、4ヶ月後と異常な待ち時間というより、待ち期間を過ごすことになりました。

 それでも、滅多に行かないために、診察室に入ると、「えっ??こんなに立派な機械があったっけ?」などと驚いたりもしながら、なんだか素晴らしく洗練された感じのする心電図のマシンで心電図をとってくれた後、心臓のエコーを取ってくれました。

 今回は、そもそも体調が悪くて行っているので、なにか言われることを覚悟して、私自身、実はかなり絶望的な気持ちで行きました。たまたま、前日に他の用事で電話をくれた娘にも「明日は心臓専門医に予約が入っているから、もしも、なにか深刻なことになったら、もしかしたら、電話するかもしれないから、電話に出てね・・その場で電話するから、お医者さんと直接、話して・・」とまで伝えてありました。

 結果的には、私の体調不良の原因は心臓には見当たらないということで、なんかホッとすると同時に、じゃあ、他の原因は何なんだろう?とモヤモヤする感じでもありました。原因が見つからなければ、治療も改善もされません。

 診察室から出ると、ちょうど、受付に、若いガッチリした体型の男性が車椅子の老人を連れてきていました。かなりの高齢の男性(どう見ても90は超えている感じ)でどうやら高齢者の施設から連れてこられた様子なのですが、一応、車椅子に座っているものの、多少、痴呆気味なのか?表情もうつろで本人は何も言いません。

 もっぱら、同行した施設の救急隊員(私服)らしき男性が受付の女性と話しています。「また、あの施設から?予約も入っていないし、連絡ももらっていない」とのことで、結局、その高齢男性は、そのまま、帰されていました。こうして、この男性は、たらい回しにされるのか?となんだか、とても気の毒な気持ちになりました。

 まあ、そもそも、私も2ヶ月待ちでようやく診てもらえたので、予約がもうキチキチに入っていることは、明白で、救急病院でもない限り、そんなに飛び込みみたいに診てもらえる場所でもないため、仕方ないといえば、仕方ないのでしょうが・・この男性の様子を見ていて、「やっぱりこちらの高齢者施設には、絶対に入りたくないな・・」と、今度は、またいらぬ別のことが気にかかってしまうのでした。

 自分の健康に関して、常日頃は、「いつ死んでもいい・・」とか、言いながら、結局、あれこれとビビりな自分にちょっと赤面する気分です。


心臓専門医


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2024年11月19日火曜日

なんだかオウムを思い出すような事件がパリ・サンラザール駅のマクドナルドで・・

  


 日曜日の午後、パリ・サンラザール駅にあるマクドナルドで男がオレンジ色の液体を撒いて逃走するという事件が起こりました。

 この液体が撒かれて、数秒のうちに、周囲にいた約30名ほどが喉に刺激を感じたり、気分が悪くなったりして、症状を訴え、そのうち10名ほどは比較的緊急事態に陥り、かけつけた救急隊は、緊急に警備境界を設け、あたりは騒然となりました。

 このオレンジ色の液体は、後の捜査により、ペッパー爆弾の中身と一致するものであったそうで、これが、故意に撒かれたものか、ハプニングにより、こぼれたものかどうかは、明らかにされてはいませんが、明らかにふつうは所持しないものであるうえに、この男は、この液体を撒いて(こぼして?)すぐにその場から逃走し、駅からカーン(カルバドス)行きの列車に乗る直前にこの液体の入ったボトルを捨てているために、故意に撒いたものであったと見られています。

 この液体は、化学薬品のようなもので、憲兵隊はNRBCプロトコル(核、放射能、生物化学兵器対応)の措置をとっています。このNRBCプロトコルなどというものも、これまで知らずにいましたが、これは、陸軍保健局 (SSA)が主導するアクションのひとつのようです。

 まさしく、謎の液体散布、刺激臭、喉の痛み・・などという事態が起こったら、あわや、「毒ガス?」、「サリン?」などと、昔のオウム事件を思い出しますが、無色透明なサリンと違ってオレンジ色という色があってわかりやすいだけ、まだマシなのかとも思いますが、本当に恐ろしいことです。

 この男の様子は、監視カメラが捉えており、ブルーのダウンジャケットを着たこの男がこの液体を撒く様子やその後になに食わぬ顔で、スーツケースを転がしながら、カーン(カルバドス)行きの列車に乗り込む様子、また、列車に乗り込む直前にこの液体の入っていたボトルを投機している様子も記録されており、このボトルもすぐに回収されると同時に、男はカーン駅に到着すると同時に逮捕されたということです。

 この男については、それ以上、詳しい情報がありませんが、この犯行が単独のものであったか? 組織的なものであったかどうかは、確認されていません。

 結果的には、致命的な被害には、至っておらず、この男の目的が何であったか?はわかりませんが、組織的な犯行であったとすれば、これは、本番前の実験段階的なものであったことも考えられるため、油断できない感じもあります。

 いずれにせよ、被害が小さかったとはいえ、テロ行為には違いなく、いわゆる銃やナイフや身体的暴力などの目に見えてわかりやすく暴力的なテロとは違う化学薬品でのテロ行為・・今までパリではあまり聞いたことがありませんでした。

 これから、年末にかけて、人の往来が激しくなる駅などを狙っているところは、そのうえマクドナルドという年齢層の広そうなお店を選んでいるあたり、明らかに無差別テロのようで、たちが悪いような気がします。


サンラザール駅 マクドナルド化学薬品散布事件


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2024年11月18日月曜日

冷凍食品メーカー PICARD(ピカール)顧客情報漏洩問題

  


 フランスの冷凍食品メーカー「Picard(ピカール)」がロイヤリティプログラムの会員である約45,000人分のデータが漏洩したことを発表しています。

 Picard(ピカール)といえば、私も顧客の一人・・「えっ??ウソ??」と焦りましたが、この件が公に発表される前段階で、2024年11月12日付で同社より、関係者宛に案内メールにより、「Picardが実施した技術的手段により、第三者によるあなたのPicardアカウントへの不正アクセスを検出しました」というメッセージが送付されているとのことで、私のところには、このメッセージは届いていないので、まあ、大丈夫かな?大丈夫だと信じたい・・と思っています。

 Picard(ピカール)は、私の食生活には欠かせない・・とまではいかなくても、結構、気に入っているお店なので、当然、会員カードのようなものも持っています。その他、フランスでは、いくつかのスーパーマーケットなどのお店のカードを持っていますが、その中でも、わりと頻繁に割引商品のお知らせなどのメールがよく入るお店でもあります。

 しかし、まあまあ、チェックすべき?割引情報などもあるためにブロックはしていませんが、こんなことがあると、ギョッとしてしまいます。

 同社は、「情報システムへの侵入は検出されていないが、姓、名、生年月日、住所、電話番号などの機密データが海賊版にアクセス可能になってしまったが、銀行データは侵害されていない」と説明しています。

 こんな状況であるからなのでしょうが、自分自身の銀行口座へのアクセスは、年々、厳しく、面倒くさくなっている印象で、正直、ここまでやる?と思うこともありますが、やはり、こんなことを聞くと、やっぱり必要なことなんだな・・と納得させられます。

 「Picard」と聞いて、なんとなく、今回は、反応したのですが、実はここのところ、フランスでは、この手のハッキングが続いているようで、 Free、SFR、Cultura、Darty、Boulanger、さらには労働省などへのハッキングの被害が続いているようです。

 「そもそも、盗られるものも、そんなにないしな・・」と思いつつ、そんなにないからこそ、なけなしの口座を襲われたら、それこそ大変なことです。

 便利になっているんだか? 不便になっているんだか? わからない気がしないでもありません。


PICARD(ピカール)顧客情報漏洩


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2024年11月17日日曜日

フランスの出生率は2023年に急激に減少したが、2024年には、さらに減少する

  


 INSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、これまでも減少し続けていたフランスの出生率は、2023年にさらに大幅に減少し、前年と比較して6.6%減少し、第二次世界大戦以来の70万人(1年に生まれる赤ちゃんの数)を下回り、67万7,800人にまで落ち込み、戦後もっとも新生児の数が少なくない記録的な数字を打ち立てています。

 これは、出生数が最後にピークに達した年である2010年よりも、ほぼ20%減少している数字で、女性1人あたりの子どもの数は1.68人になりました。

 また、この低下は2024年の出生率においても、止まらないようで、最低記録はさらに更新されるようです。

 しかし、フランスは、それでも欧州連合諸国の平均(女性1人あたりの出産数1.46人)よりは高い出生率なのですが、出生率の減少率(ー6.6%)は、欧州平均(ー5.5%)を上回っています。ということは、フランスの出生率は他の欧州諸国に比べて少子化のスピードが上昇しているということになります。

 これまで、フランスについては、3人の子どもを持つ家族が多いことが特徴であったと言われており、事実、娘のクラスメイトたちの家族には、圧倒的に3人きょうだいが多かったのです。これは、少子化対策の一遍として、政府が行っている税制優遇措置のためで、子どもを持つ・・しかも、3人目からは特に税制優遇のステップがグッと上がるというもので、これが功を奏していた結果です。

 しかし、現在では、3人目に至る前の段階の問題で、いくら3人目からが特に税制優遇措置が大きくなっても、だいたい一人あたりの出産が1.68人では、この優遇を受けるまえの段階なわけで、これでは、違う的に対してボールを投げ続けているようなもので、税制的には、別の対応策を考えなければならないのかもしれません。

 もう長く続いている出生率の減少から、そもそもの出産適齢年齢の女性が減少していることも大きな原因のひとつです。

 この急激な減少には、近年のインフレや将来への不安が起因しているだけでなく、この年齢層の女性(男性も)の「願望の変化」ということも指摘されており、物質的に豊かな生活を送ることや、父親や母親になる以外に自己実現が可能になったということも要因のひとつとして、挙げられています。

 ちなみに少子化といえば、モデルケースとしてしばしば挙げられる日本については、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数(合計特殊出生率)は、1.20人ということで、やはり、かなり先を行っているようです。

 しかし、これまで知らなかったのですが、日本のさらに先に行くのは、韓国で0.81人となっているようです。

 近年、フランスでは、少子化対策として、二十歳前後の女性への不妊検査の無料化などの不妊症対策に加えて、卵子自己保存キャンペーンなどまで行っていますが、肝心なところは、若者の将来への不安を軽減するというもっと基本的なことなのではないか?とも思っています。


フランスの出生率激減


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2024年11月16日土曜日

クルッキー、ブルッキーの次はSOOKIE スッキー?

  


 最近、私はブーランジェリーが気になって仕方がありません。あそこのあれが美味しいとかいう情報が入れば、すっ飛んでいく今まで訪れたことがないブーランジェリー、また、他の用事でいつもはいかない地域に行けば、少なくとも、その通りにあるブーランジェリーは、いちいち覗いて見ないではいられない・・そんな感じです。

 そもそも、パリには、幸か不幸かさすがにブーランジェリーは山ほどあって、食料品を扱うお店が多い通り・・いわゆる商店街のような通りだと、少なくとも2~3軒のブーランジェリーはあるもので、こんなに近くに何軒もあって、両方とも成り立つのかと思いきや、それぞれに、やっぱり、オリジナル感を出していて、工夫しているので、そのどちらも、なかなか魅力的なラインナップになっていて、楽しいです。

 もちろん、あれこれ食べてみたいものは、それぞれにたくさんあるのですが、全て試していたら、爆太りして大変なことになるので、これぞ!と思うものしか買いませんが、見て歩くだけでも楽しいです。

 そして、家のごくごく近所ではなくても、定期的に行く場所の近くのブーランジェリーだったりしても、ちょっと見ない間に新しいものが出ていたりするので、ひと昔だったら、考えられなかったことだな・・と思いながら、チェックを欠かせません。

 ここのところのパリのクッキー人気にクッキー専門店やクルッキー(クロワッサンとクッキーの合体バージョン)やブルッキー(ブラウニーとクッキーの合体バージョン)発祥のお店に行ったりしつつ、ブーランジェリーでもクッキーやらクルッキーはかならず、「ここにもあるある・・」などと在籍確認?をしていたら、ついに、このあいだ、SOOKIE(スッキー?と呼ぶか?スーキーと呼ぶかはわからないけど・・)なるもので、pain swiss(パン・スイス)とクッキーの合体バージョンが誕生していました。

 この「pain swiss パン スイス」というもの自体、あんまり日本ではメジャーな存在ではないかもしれませんが、フランスのブーランジェリーなら、たいていあるヴィエノワズリーのひとつで長方形のパイ生地に薄くクリームとチョコチップが層になって挟まっているパンです。

 そもそも、もうすでにこのパン スイス自体、なにかの合体バージョンっぽい感じでけっこう甘いので、これに、さらにクッキーを合体させるのは、なかなかパンチのあるコンビネーションだな・・と思います。

 私は、これだけブーランジェリーを覗いて歩いていても、一応、糖質とか、カロリーなどは、気にして、すごく罪悪感と闘っているのですが、このクルッキーにしても、ブルッキーにしてもスッキーにしても、どう考えてもカロリー爆弾で、こういうものが流行るなんて、フランス人は、身体のこととか、カロリーとか、あんまり気にしないのかな?と、ちょっと不思議な気持ちになります。

 フレンチパラドックス(高カロリーの食品を摂取しているのに、先進国の中では肥満が少ない)という言葉もそのうち死語になって(すでに死語かもしれないけど・・)しまうかもしれません。

 ここ20年間でフランス人の肥満が急増しているという話もブーランジェリーだけ見ていても、うなずけるような気がします。なんていいつつ、ブーランジェリー巡りばっかりしているのですが・・。


SOOKIE スッキー ソッキー


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2024年11月15日金曜日

パリの病院にマスクが戻ってきた! イル・ドフランス 病院内でのマスク再び義務化

  


 AP-HP(パリ公立病院連合)は、SARS-CoV-2(新型コロナウィルス)と細気管支炎の流行拡大のため、イル・ド・フランス地域圏(パリ及びパリ近郊)の病院内でのマスク着用義務を発表しています。

 この措置は、患者のみならず、病院職員はもちろんのこと、救急隊員やボランティア、患者の同伴者、また、患者の見舞客にも適用されるということですが、6歳以下の子どもは除外されています。

 パリでは、ここ1週間ほどで急激に気温が下がり、より感染が拡大しやすいコンディションになっており、実際に感染者の数も上昇しているため、急遽、この措置がとられたと見られています。

 パンデミック前には、フランス人には忌み嫌われる存在であったマスクですが、さすがに、必要であれば、マスクをする・・マスクで感染を予防するというアクションが取られるようになったことをあらためて、「フランス人も変わったな・・」としみじみ思います。

 ただし、これを遵守するかどうかは、個人差もあり、かなり緩い感じでもあり、逆に、私がかかりつけにしているお医者さんでは、パンデミック以来、ずっとマスクは着用義務になったままで、待合室には、マスクが山積みにされています。

 一方、近所の私立病院などは、同じ病院でありながら、マスク着用義務の記載は、ある意味、潔いくらい全くなしで、当然、マスクをしていない人もたくさんいて、なんだか統制が取れていない感じがするし、やっぱりフランスでは、罰金なしの規則は、ないも同然だ・・とあらためて、思うのでした。

 しかし、朗報といえば、朗報は、感染は拡大しているものの、新型コロナウィルスに関して、死亡に至るケースは、かなり減少しているということで、これは、ワクチン接種キャンペーンと、ワクチンへのアクセスがしやすくなっている成果ではないかと思われます。

 そういう私も、先週、インフルエンザのワクチンをしたばかり、今週は、コロナウィルスのワクチン接種をしてきました。私は、どちらもかかりつけのお医者さんにしてもらったのですが、かなりワクチン接種を受ける人は多いとのこと。

 コロナウィルスのワクチン接種に関しては、今回は、これから、インフルエンザと同じように、毎年1回定期的にやっていく必要があるから・・と、なんだか記録用だとは思いますが、ポイントカードみたいなカードをくれて、薬品の名前と接種した日付を記入してくれて、来年、接種する時に、また、持ってきてね・・とのことでした。

 パンデミックの際は、日本と比べても、かなり爆発的な感染拡大をして、もう2人に1人どころか、ほぼ、感染していない人はいないんじゃないかと思うような時期もあったフランスで、幸か不幸か私は、まだ一度もコロナウィルスに感染したことがありません。もっとも、初期、感染しているのに、気が付かなくて、軽症で済んでいた可能性もないではありませんが・・。

 日本では、今でもみんなマスクをしているのでしょうか?


パリ公立病院マスク着用義務化


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2024年11月14日木曜日

SNCF(フランス国鉄)・RATP(パリ交通公団)・航空業界・農家 フランスを襲うストライキの波

  


 今年の秋は、これまでは、比較的、デモやストライキが少ない印象がありました。例年ならば、夏のバカンスが終わって、新年度(9月)の始まりとともにデモやストライキが始まり、やっとバカンスが終わって、ようやく仕事・・ではなく、さっそくストライキ??と思うことも少なくありません。

 なんなら、夏休み前に、9月のストライキを予告してから、バカンスに入るようなところもあるのに、今年はパリ・オリンピックがあったり、また、それを前後して解散・総選挙が行われた挙句にいつまでも首相が決まらずに、政府の体制がはっきりしなかったこともあるのかもしれません。

 ようやく政府の体制が整い、政府はさっそく来年の予算案を少しずつ発表していったので、自ずと、それに反発する動きが後にズレたのかもしれません。

 それにしても、ここ1週間ほどで発表されたストライキの予定は、SNCF(フランス国鉄)、RATP(パリ交通公団)、航空業界(全国路線操縦士組合(SNPL))に加えて、FNSEA(全国農業経営者組合連合会)と青年農業者組合による大規模デモと、広範囲にわたっての混乱が予想されます。

 それぞれに理由は別々で、SNCFに関しては、かなり大雑把な言い方をすれば、国鉄民営化の一端であるフレットSNCF(主に貨物輸送)の解体と分社化→民営化に反対するもので、これ(フレットSNCF)が欧州委員会による不法公的援助訴訟の対象になったことも影響していると見て、欧州委員会にも非難の目が向かっています。

 SNCFは、これらの措置の一時停止を求めて、11月21日、そして、12月11日からの無期限ストライキに突入すると発表しています。

 RATP(パリ交通公団)は、11月11日から13日まで、労働条件やメトロやバスの料金体制変更によるバスへの競争解放を非難することを目的としています。

 また、航空業界に関しては、フランス発着の航空便に対する連帯税を3倍にする政府案に反対して、全国路線操縦士組合(SNPL)・パイロットが11月14日のストライキを呼び掛けています。

 これは、赤字財政を埋めるために政府が提案している増税案で、政府はこれにより10億ユーロの追加収入を見込んでいます。

 そして、最後(ではないかもしれないが・・)に、この波に加わるのは、FNSEA(全国農業経営者組合連合会)と青年農業組合が11月15日または19日からの大規模な動員計画を発表しています。

 今年の初め、国際農業見本市を一つのターゲットにした農民たちによる高速道路封鎖などの抗議活動ですが、この結果、政府からは、改善案やいくつかの約束をとりつけたものの、事態は一向に好転しないうえに、気候変動による水害などの被害も甚大で、国からの保証付き融資の拡大や、EUメルコスール(南米南部共同市場)自由貿易協定は、フランスの農業にとっては、マイナスであると反対の意を訴えています。

 いずれにしても、このストライキの予定を見れば、11月は、11日から15日まで連日、なかでも、農民の抗議行動は、11月15日あるいは19日にスタートするということで、1日2日で終わる話ではありません。これはブラジルで行われるG20サミットを一つの照準にしていると言われています。

 また、SNCFに至っては、12月11日からは無期限ストライキという強硬な態度・・これが長引けば、今度はノエル時期の大移動の時期に重なる危険性もあり、大混乱が予想されます。

 ここ数日、急激に冷え込んできたパリですが、年末にかけては、熱気が高まりそうな気配です。


ストライキ フランス


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2024年11月13日水曜日

クロノポストからの詐欺メール

  


 先日、クロノポストから、「荷物の配達のために確認作業が必用です」という内容のメールが送られてきて、一瞬、「えっ?誰か何か?送ってくれたの?」と一瞬、ニッコリしたものの、いやいや・・誰か何か送ってくれたら、必ず先に、「送ったよ~~!」と連絡くれるはず・・。

 そして、落ち着いて、その画面を見直すと、クロノポストのマークがついていて、クロノポストの配達車の写真が載っていたりするものの、添付されている書類?など、なにかと、画面には、「ここをクリックしてください!(確認されない荷物は配達できません・・)」とか、荷物ナンバーとして、14ケタの数字が並んでいて、その横に「追跡」となっていて、やたらとクリックを促すようになっています。

 これは、もしかしたら、ヤバいやつなのかも・・?と思って、そのメールのリンクをそのままコピーしてググってみたら、なんと・・というか、やっぱり詐欺・・「Arnaque」と出てきました。

 危ういところで、「セーフ!」となったわけですが、これはよくある、パスワード、個人データ、銀行口座情報、オンライン アカウントへのアクセスを狙った上、さらに進めば金銭の支払いを要求される詐欺です。

 これを見分けるには、そのリンクをそのままコピーしてGoogleなどで検索するのが簡単で、かなりの確率でその前にメールを同じ類のメールを受け取った人が発したアラートにひっかるので、すぐに「詐欺(Arnaque)」と出てきます。

 考えてみれば、これからノエル、年末年始にかけて、一番、プレゼントの小包が行き交うこの時期には、このような詐欺が増えるかもしれません。

 そうでなくとも、これまで、特にクロノポストでの荷物がこちらから送ったものにしても、受け取るはずであったものが、どれだけ届かなかったことか! この時期の配送は、そうでなくとも避けるのが賢明です。

 それが今では、実際にはありもしない荷物を装った詐欺メールまでくるようになり、全く、閉口してしまいます。

 もっとも、母が存命中は、しょっちゅう送ってくれた荷物も母が他界してからは、叔母がしばらく送ってくれていたりしたものの、最近は、送る際にも受け取る際にも配送料とは別に税金を取られるようになったため、この税金を語る詐欺まであるそうで、どちらにしても、荷物は紛失・盗難に遭う可能性のうえに、この税金がバカにならない金額で、だったら、日本に行ったときに買ってくるからいい・・ということになり、まったく国際便の荷物の配送からは縁がなくなりました。

 もうあらゆる段階で気を揉むのに疲れました。

 とはいえ、こんなメールが届いてみれば、「えっ?小包?」と一瞬、嬉しくなって、危うく詐欺にひっかかるところだったので、気をつけなければ・・と思います。

 今回はクロノポストを装ったメールでしたが、オンライン詐欺のトピックは定期的に変わりますが、多くの場合、操作は同じままです。つまり、虚偽の情報を受け取り、存在しない状況を修正するためにリンクをクリックするよう求められるという基本的なパターンは変わりません。

 ファストフードの特別割引料金オファーとか、スーパーマーケットで○○の商品があたりました!とか、そんなものもありました・・。

 とにかく、第三者の見知らぬメールにはクリックしない・・、怪しいと思ったら、リンクを検索・・これは、トラブルを避けるために心得ておくべきこどだと思います。


詐欺メール


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2024年11月12日火曜日

ミシュランのフランス国内2つの工場閉鎖計画が呼ぶ波紋

  


 フランスの多国籍タイヤ製造企業「ミシュラン」は、トラックとバン用のタイヤ販売の業績不振のため、フランス国内にある2ヶ所の工場での操業を2026年の初めまでに段階的に停止し、閉鎖することを発表しました。

 閉鎖される2ヶ所の工場は、ショーレ(メーヌ・エ・ロワール)とヴァンヌ(モルビアン)にある主にドイツ向けのタイヤ拠点で、50年以上、この地域に根付いていた工場の従業員1,254人の雇用が失われることを意味しています。

 これに対して、同工場の労働組合は、一斉に決起し、これを残忍かつ一方的な決定であると大反発、この工場の閉鎖が発表されて以来、デモやストライキを継続しています。

 このミシュランの工場閉鎖とそれに伴うデモやストライキの報道に、2020年にブリヂストンがやはりフランス国内の工場を閉鎖した際に起こった騒動を思い出しました。

 タイヤ製造業界は、アジア製品に押され、業績が低下しており、2020年のブリヂストンのべチューン工場閉鎖の時点で、すでにミシュランは、ブリヂストンに世界シェアトップの座を奪われ、業績不振はブリヂストンよりも先行しており、2,000年初頭以来、フランスにおけるミシュランの工場閉鎖は、5件目、6件目になると言われています。

 私は、その時は、ブリヂストンという日本の企業であったために注目し、一企業が工場を閉鎖するのに、フランス政府の大臣クラスの面々までが登場し、これに反発する様子に驚いたのですが、今回も、似たような反発が展開されています。

 被雇用者からすれば、死活問題で、「20億ユーロ以上の利益を上げている会社がなぜ?工場を閉鎖するのか?」とか、バルニエ首相などは、これまでミシュランに対して政府が与えてきた公的資金や5,500万ユーロに相当する研究税額控除はどのように利用してきたのか?」などと攻め立てています。

 それに加えて、社会党まで出てきて、従業員支持の姿勢を表明し、工場閉鎖の一時停止を要求するという騒ぎになっています。

 アジア製品の拡大が叫ばれるなか、その実態は、中国製品といっても、中国製のミシュランのタイヤになっている!これは、不正な資本主義だ!と指摘する人もいます。

 しかし、資本主義社会で利益を求める企業にとって利益率を上げることは、当然のこと。構造的な問題があるとされるこれらの工場に対する対応をとっていくのは必然。

 考えてみれば、これは、タイヤ業界だけでなく、ついこの間、問題になったラクタリス(乳製品業)のフランス国内での牛乳回収量削減計画やサノフィ(製薬会社)のドリプラン部門の子会社売却など、国内生産部門を撤収していく動きは、似たものを感じます。

 ミシュラン側は、今回の2工場閉鎖に関して、「この地域の従業員やその家族に対して、彼らに提供できる支援策を全力で提供していきます」と発表しています。

 フランスは、このような工場閉鎖などに伴う解雇の場合、少なくとも、法律で定められた補償金(勤続年齢に応じたもの)を会社側は従業員に対して払わなくてはならず、会社側とて、そうそう簡単な話ではありません。

 しかし、業界全体の不振が続くなか、早めに手を打っていかなければ、会社もろとも共倒れになる危険もないわけではありません。

 それを逆手にとって、さらにあざといことをして膨れ上がる企業が、結局は生き残っていく社会なのです。

 弱い工場労働者たちが路頭に迷うことで、大企業は利益率をあげ、生き残っていく・・これが格差社会の一面で、それがあちこちで起こり続けていることに、呆然とするのです。


ミシュラン2工場閉鎖


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2024年11月11日月曜日

友だちと旅行に行くのも色々、難しい・・

  


 最近は、日本に一時帰国をする際には、必ず、日本国内をできるだけ旅行したいと思って、予定を組むようにしていますが、これが、なかなか簡単ではありません。

 そもそも、私がまだ日本に住んでいた頃は、私もまだ若く、どちらかというと、海外旅行ばかりに目が向いていて、国内は、実家の山小屋がある場所や箱根やせいぜい伊豆程度で、あまり日本国内を旅行していませんでした。

 あの頃は、むしろ、安いチケットなどを探せば海外旅行の方がなんだか割安感があったし、むしろ、国内旅行の方が割高な気がしていて、国内旅行は、もっと歳をとって、海外旅行がしんどくなったときにしよう・・と思っていました。

 もうすでに、場所にもよりますが、海外旅行はけっこう、しんどい(フランス⇔日本は直行便で15時間フライト程度)のですが、現状、フランスに住んでいる以上、日本の国内旅行をするためには、まず、この15時間フライトのハードルを越えてからになるので、これから先はよりしんどくなる一方なので、日本に行った時には、ここぞとばかりに旅行したいと思っています。

 それでも、若い頃は、私の世代の女性としては、海外・国内ともにけっこう旅行している方だったと思うのですが、あの頃は、だいたい友だちと二人で・・ということが多かったと思います。

 お互いに独身だったし、同じ会社の友だちとか、学生時代の友人とか、身近な友人の間で、まあ、お互いに比較的、自由に気軽に決められていた気がします。

 フランスに来てからは、娘が巣立つまでは、もう娘の学校のバカンスを埋めるためにスケジュールを調整するのが精一杯で、また、日本に行っても両親がいる頃は、常日頃、親のために何もしてあげられないので、日本にいる間くらいは・・介護というほどのことではなくとも、なんとか、生活しやすいように家の中を整えたり、介護の手続きをしたりと、病院に行って、お医者さんに会ったりとか、そんなことに大忙しでした。

 今、私は、もう娘も巣立ち、両親も他界してしまったので、日本に行っても、自分の好きなように旅行をしようと思えばできるようになったのですが、ところが、友人たちの方は、それぞれの生活があり、忙しく仕事をしていたり、親の介護に追われていたり、また、懐事情にも色々あって、なかなか一緒に旅行をするのも難しいのです。

 両親が隣に住んでいるという友人もついこの間、急に母親が入院してしまって、家に残った父親の世話と入院している母親を見舞うのにてんてこまい・・また、もう一人は90過ぎの母親と同居していて、もうとても2日以上は家を空けられない・・と完全にがんじがらめの状態。

 旅行先や旅費にかけられる予算というのもまた人それぞれで、私の方は、せっかく行くのだから、多少の出費は仕方ない・・もうおそらく二度と来ない場所への旅行だったら、少々贅沢してもいいな・・と思っているのですが、これがまた、そのあたりの感覚が合わないも場合もあって、そもそもそんなに友だちが多くない私で、もうなんなら、友人と旅行するのは諦めて、娘を誘って行こうかな?と思ってしまいます。

 娘と旅行する場合、これ、お誕生日プレゼント、あるいは、クリスマスプレゼントの代わりにしといてね・・と旅費は私が払うのですが、友人の場合はそういうわけにも行きません。

 結果的に、ここ最近、私が旅行したのは、友人と・・というのはごくごくわずかで、娘と旅行ということが圧倒的に多いです。

 私自身は母親と二人で旅行ということなど、一回くらいしかしたことがなかったので、ずいぶん親子関係も違うな・・と思います。まあ、それはそれで、それぞれで良いなと思っています。

 なんなら、一人旅というものも、してみたいと思いつつも、今のところは、なかなか踏み切れずにいますが、いつか挑戦したいとも思っています。


旅行


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2024年11月10日日曜日

パリのメトロであわやの救出劇

  


 約2週間ほどまえのこと、パリのメトロ8号線のラ・モット・ピケ・グルネル駅で年配の男性がバッグを背中に背負いなおそうとして、バランスを崩したのか、線路に転落するという事故が起こりました。

 パリ市内のメトロは路線にもよりますが、平日は、だいたい3~4分に1本の割合で電車がやってくるので、もしも、この時間帯に線路に転落したりした場合、そのタイミングにもよるとは思いますが、かなり急いでホームに這い上がらなければ、次の電車が入ってきてしまう可能性が高く、非常に危険です。

 パリのメトロのホームは、路線によっては、線路とホームの間に落下防止のためのガードの壁が取り付けられている路線もありますが、そうでない路線もけっこうあり、この8号線などは、恐らく、どこの駅にもガードはありません。

 にもかかわらず、ホームには、駅員はおらず、このような事故が起こった場合は、考えてみれば、RATP(パリ交通公団)は、どう対処するつもりでいるのだろうか?と思います。

 今回の事故では、男性が線路に転落して、すぐに近くにいた女性らが叫び声をあげて、すぐに人だかりができたとのことで、その中をたまたま居合わせた男性2人が即座に線路に飛び降りて、落ちたまま呆然としていた年配の男性をホームに持ち上げると、ホームにいた周囲の人々が救急隊を呼び、この救世主の男性2人は、ふたたび群衆の中に消えていったと言われています。

 ホームに転落した男性は、頭部外傷と脊髄損傷を負い、その後、パリ市内のジョルジュ・ポンピドゥー病院に搬送され、数日前に再び歩けるまでに回復したと言います。

 この応急処置をした医師は、いつ次の電車が来るともわからない線路に飛び降りて、負傷した年配の男性をリスクを冒してまで救いながら、さりげなく群衆の中に消えていった2人の男性の行為を称賛しており、また、救われた男性も心からお礼を言いたいと、その2人を探しているそうです。

 私は、ここまでの救出劇には遭遇したことはありませんが、本当にフランス人は、このような時、本当に困っている人に対して、とても親切でさりげなく手をかしてくれます。

 バギーで赤ちゃん連れの人などが、階段の前などにいたりすれば、どこからとなく、男性があらわれて、何も言わずに、手を貸してくれ、バギーを持ち上げてくれ、また、振り返りもせずに、あたりまえのように群衆の中に消えていくのです。かっこいいではありませんか?

 しかし、このニュースが流れるまでは、知りませんでしたが、メトロの線路のレールは、750ボルトで通電されているそうで、線路に落ちるということは、落下するというだけでなく、別の面でもとても危険なことなのだそうです。

 RATPは、線路上に人が落下した場合は、それを見つけた人は、全てのプラットフォームにある緊急端末に向かい、黄色いアラーム信号でRATPエージェントに連絡する必要があり、緊急用ハンドルで線路の電力を遮断することができるようになっているそうです。

 パリのメトロは治安は悪い反面、窮地に立たされている人に対しては、とっても優しい人がどこからとなく、表れて、あたりまえのように助けてくれるところは、フランス人の優しさで、いつもすごいな・・と思います。


メトロ8号線 線路転落者救出劇


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2024年11月9日土曜日

ワクチン接種の季節

  


 少し前までは、インフルエンザなどのワクチン接種のお知らせなどが来ても、私は、ほとんど無視したままで、長いこと、ワクチン接種はしていませんでした。

 そんな私がワクチン接種をするようになったのは、パンデミック以来のことで、当初、新型コロナウィルスのワクチンができた!となっても、まだ、開発されたばかりのものだし、その副作用や効用をどこまで信用していいものか?とコロナウィルスのワクチンも、しばらくは、どうしたものか?決めかねていました。

 しかし、長い間、おさまらなかったコロナウィルスの流行とこの病気にかかって悪化する恐怖の方がだんだん勝ってきて、しかも、途中からは、ほぼ、事実上の義務化のような状態になり、ワクチンをしていないと、極端に行動制限をされるようになった時期もあったので、その後は、もう大人しく従って、あっさりとワクチン接種を受けることにしました。

 また、それまでは全く無視していたインフルエンザの予防接種に関しても、インフルエンザに罹ったうえに、コロナウィルスにまで感染したら、さぞかし辛いことになりそうだ・・という恐怖から、ここ数年は、毎年、インフルエンザの予防接種も受けています。

 私の受けた医療の履歴は、私が医者に通ったり、薬を処方してもらった際には、すべて記録が保険のカードに蓄積されているためだと思いますが、私は、軽い心臓疾患もあったりするためか、虚弱な人々のグループに分類されているらしく、この手のお知らせ(ワクチン接種など)や、通知などが、メールなどでもやってきて、今回のワクチン接種に関しては、ご丁寧にバウチャーのようなものが送られてきています。

 私は、今年からは、インフルエンザとコロナウィルスの混合ワクチンのようなものになると完全に勘違いしていて、一応、他の診察の際にかかりつけのお医者さんに、これ?どうしよう?と相談してみたら、(このバウチャーが届いたのは、9月半ば頃でした)10月半ばには、ワクチンが出回りだすから、その頃にやった方がいいんじゃない?と言われていて、つい先日、バウチャーを持って、薬局に行ったのです。

 勝手に混合ワクチンだと思い込んでいた私は、ワクチンを受け取って、翌日にお医者さんの予約を入れました。

 混合ワクチンってどんな感じ?と思って、箱をまじまじと見てみたら、どうやら、それは、インフルエンザのワクチンのようで、薬局に戻って、コロナウィルスのワクチンは入っていないの?と言ったら、それは、来週以降にしか入らない・・というので、そのまま、とりあえず、インフルエンザのワクチン接種だけしてもらいにお医者さんに行きました。

 ちょうど、ふだん常用している薬も切れるタイミングだったので、ワクチン接種と一緒に薬の処方箋ももらってきたのですが、コロナウィルスワクチンは、私がやるから・・でも、インフルエンザワクチンとは一緒にはしない方がいいから、それは来週にしましょうと言われて、来週の予約を入れて、帰ってきました。

 インフルエンザとコロナウィルスの混合ワクチンができたのかと思っていました・・と言ったら、将来的にはできるかもしれないけど、今のところは、まだよ・・コロナウィルスのワクチンに関しては、未だにどんどん変異種が出ているから、新しい変異種に対応したものになっているはず・・とのことで、そんなに簡単な話ではないようです。

 インフルエンザのワクチンにしても、コロナウィルスのワクチンにしても、そのあと、だるくなったり、ちょっと熱っぽかったりすることもあるのですが、しないで、罹って、悪化した場合のことを考えれば、もう虚弱な人というカテゴリーに入れられているなら、それを素直に受け入れることにして、やっぱりやっておこうと気弱になっている自分を感じないでもありませんが、妙に強がっても仕方ないので、素直に従おうと思います。

 最近は、YouTubeなどを見ていても、テレビででも、「インフルエンザとコロナウィルスのワクチン接種をしましょう!」というコマーシャルが入ることもあるので、国は、このワクチンキャンペーンにずいぶんと力を入れているんだな・・と感心?しています。

 考えてみれば、以前に比べて、医者にかかる割合がグッと増えている私・・もうだんだん高齢者なみに医者通いが増えてる・・と自分でも思うのですから、虚弱な人の括りに入れられるのも仕方ないかもしれません。


インフルエンザワクチン接種


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2024年11月8日金曜日

フランス人はトランプ大統領の当選をどう受け止めているか?

  


 アメリカの大統領選挙に際しては、フランスでも大々的に取り扱われ、報道各局もメイン級のジャーナリストが現地入りして、アメリカ大統領選の盛り上がりや成り行きを現地から報道するほどでした。

 両候補ともに接戦で、一時は結果が出るのはいつになるかかわからない・・などと言われつつ、案外、あっさりとトランプ大統領が当選が決まりました。

 このトランプ大統領が選出されたことに対して、フランス人はどのような印象を持っているのか? BFMTVの世論調査によると、質問を受けた「フランス人の79%がアメリカの新大統領に対して悪いイメージを持っている」と答えています。

 不人気度は高いけれども、2016年のトランプ氏の初当選の際に比べると、これでも少しは減少しているらしく、当時は、83%が悪いイメージを抱いていると答えていたそうです。

 今回のアンケートの詳細は、51%が「非常に悪いイメージ」を持っており、28%が「かなり悪いイメージ」を持っていると回答したということで、これを合計して79%という数字になっているようです。したがって、トランプ氏に対して良いイメージを持っているのは質問対象者の21%のみということになります。

 調査対象となったフランス人の62%がトランプ大統領の大統領就任に懸念を抱いていますが、この懸念材料の一番、大きなところは、「気候問題・環境問題」であるとしています。これは、2017年6月に米国がパリ協定から離脱したことに起因していると思われ、アメリカ大統領選挙の結果は気候変動との戦いにとって悪いことだと考えているようで、いずれにせよ、トランプ大統領の当選はアメリカとヨーロッパの関係において、また、ロシア・ウクライナ戦争の解決、中東の紛争の解決にとっても、良いニュースではないと考えている人が多いようです。

 このフランス国民の世論を最も象徴的に表しているのがトランプ大統領当選以来のマクロン大統領の言動であるとも言えます。

 トランプ大統領当選の報が流れてすぐに、マクロン大統領は、祝辞のメッセージをXに投稿して公表し、ほぼ、その直後にドイツのショルツ首相と電話会談し、ヨーロッパの連携について、連帯の意思を確認したとポストしています。

 そして、その翌日、マクロン大統領は、ブダペストでの欧州首脳会議の開会時に、「これは我々欧州人にとって決定的な歴史の瞬間だ!今こそ、我々が行動し、国益と欧州の利益を同時に守り、我々の主権と戦略的自治を信じることを決意する時だ!」と宣言しています。

 また、「世界は草食動物と肉食動物で構成されている。もし我々が草食動物であり続けると決めれば、肉食動物が勝ち、我々は肉食動物の市場であり続けるだろう。」 「私たちは雑食動物になることを選択すべきだと思います。私は攻撃的になるつもりはありません。私たちが自分自身を守る方法を知ってほしいだけです。」と比喩的な表現も使いながら、決意を述べ、欧州他国にも呼び掛けています。

 攻撃的になるつもりはないと言いつつ、かなり挑戦的な戦闘態勢な印象を受けます。そもそも、思い返せば、4年前にバイデン大統領が当選した時には、マクロン大統領は、バイデン氏本人を歓迎するというよりは、トランプ氏に取って代わってくれてありがとう!という歓迎の仕方だな・・と思った記憶がありますが、あれから、戦争や紛争が起こるより難しい世界情勢の中、不安を抱くのもわからないではありません。

 しかし、個人的には、トランプ氏が良いか悪いかというよりも、78歳であのエネルギーとパワーは、超人的だな・・と思うのです。


トランプ大統領


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2024年11月7日木曜日

インプラントが保険適用になる?

  


 フランスの高等保健機関(HAS)は、歯科治療へのアクセスを改善するという目的で、歯科インプラントの償還を認める決定を下しています。

 現在、歯科医療に関しての社会保障は比較的、軽い補綴(ほてつ)物(虫歯や歯周病などで、歯が欠けてしまったり、失ってしまった部分を人工的な材料で補うもの)のみを補償しています。つまり、義歯やブリッジとクラウンです。

 しかし、現在、フランスで行われている歯科治療のインプラントは、年間100万本にも及ぶようになっており、今後もこのインプラント治療を受ける人は増加し続けるであろうし、特に平均余命の延長により、歯(1本以上)を失う人が増えているといいます。

 インプラントの技術がそれだけ一般的に普及してきたこともありますが、HASは、この状況の変化に応じて、必要かつ最適なケアを保障したいとしています。

 HASの報告書では、感染症や緩みに伴う歯の1本、あるいはすべての喪失は、例えば栄養欠乏などの機能的、審美的、そして社会的な健康への影響を伴うハンディキャップを構成するとみなしています。

 また、かつては、本当に特別な治療でほんの一握りの人しかやらなかった治療が一般的な治療のひとつになってきたということも言えます。

 これが実現すれば、本当にありがたい話ではありますが、高等保健機関(HAS) は政府から独立した機関であり、このような勧告を出しますが、結局、決めるのは政府なので、政府が彼らの決定を受け付けるとは限らないのだそうです。

 現在の政府は、「緊縮財政の金メダル政府」と揶揄されるほどの、600億ユーロ削減計画で色々な予算が削られつつあるタイミングで、このインプラントの保険適用は、実現するのは、難しそうではありますが、それでも見て見ぬふりをせず、何度でも提案していってくれれば、いつかは・・という期待も持てないことはありません。

 それでも、できるだけ、お世話になりたくない歯医者さん、ましてや、インプラントなど、保健適用になったとしても、できれば、二度とやりたくはないのです。

 とはいえ、数年に一度は、お世話になるハメになる歯医者さんですが、もうこれが保険適用部分とか、ミューチュエル(国民健康保険を補う保険)も加えて、これだけとか、この方法だといくらで、この材料を使うといくらで・・とか、もうややっこしいことこのうえないのですが、歯医者さんも、そこはお仕事で、一応、歯の状態を見て、必要な治療を判断すると、すぐに、いくつかの方法で見積もりを出してくれます。

 こちら側もその見積もりを見て、治療方法は選択しています。

 しかし、食べることが大好きな私にとって、歯は、何よりも大事なもので、結局は、いつも、かなりの額を支払うことになります。インプラントの時などは、パンデミックの時に重なったこともあり、とにかく時間はかかるわ、お金はかかるわ、痛いわで、頬を抑えながら、ちょうど改装中でもあった歯医者さんの新しくなった金の扉を恨めしく眺めながら、この扉の一枚分くらいは、私がつけてあげたのよ・・などと思ったものです。

 それにしても、こうして、どんどん長寿になっていく・・のも、いいのか?悪いのか?などと思わないでもありません。


インプラント保険適用


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2024年11月6日水曜日

自分が死んだときのことを考えていたら・・

  


 ここのところ、トゥーサンだったり、夫の命日だったりで、珍しくお墓参りをしたりして、なんとなく、自分が死んだときのことをぼんやりと考えています。

 まあ、今のところ、具体的に差し迫った予定?はないものの、いつ何があるかわからないし、いつかは必ず死ぬということだけは、確かなことです。両親も夫も他界しているとなると、次は私の番と思うのです。くれぐれも、娘には、この順番は守ってほしいとだけは切実に思います。

 常日頃から、わりと「死」については考えることも多く、大学やその後もホスピスなどの勉強をしてきたので、家庭内でも「死」についての話題は避けないようにしてきたつもりです。大方のことは、娘に話してあるし、そんなに大きな金額ではないけれど、日本とフランスにバラバラと散らばっている銀行などの口座についても書き残してあります。あとは、具体的に誰に知らせてほしいとか、そんなことも書き残しておいた方がいいかな? などと、ぼんやりと考えていたのです。

 私の場合、今の現状を考えると、圧倒的にフランスにいる時間が長いので、フランスで死ぬ確率が高いので、日本の友人等は、知らせたところで、仕方ないとも思うのですが、それでも数人だけ、親しい友人には知らせてほしいかなと思っています。でもその他の人々には、「そういえば、あの人亡くなったんだってね・・」、「へえ~~」というくらい、ひっそりと、消えていきたいです。

 いつか、娘に「私が死んでも、お葬式はしてくれなくていいよ・・」と言ったら、「お葬式は死んだ人のためだけにするものではないよ!」と怒られたので、「じゃあ、あなたがやりたかったら、やってもいいけど・・あまりお金をかけるのはもったいないからね・・」と言いつつ、同時に、娘もいつか来るであろうそんな日のことを考えることがあるのだろうか?とビックリした覚えがあります。もう、そんな話をしてから、何年も経っていますが・・。

 それは、残された娘のために何かの繋がりとか、心の中を少しでも埋めてくれるものなのか?は、わかりません。まあ、お葬式が好きという人もいないと思いますが、私自身は、お葬式に会社や仕事の義理でやたらと人が集まるお葬式は嫌いです。

 幸か不幸か、今、娘は日本にいるし、日本の私のごくごく親しい友人たちと娘は、娘が小さい頃から日本に行く度に一緒に会っていたので、正直、親戚のおばちゃんに近い存在で、今でも私がいなくても、個々、一緒に食事をしたりすることもムリなくできる間柄であることは、ありがたいことです。

 しかし、考えてみれば、彼女たちは、ほぼほぼ私と同い年。向こうだって、いつなにがあるかわからないし、もしかしたら、私の方が長生きしてしまうかもしれません。それならそれで、もし、彼女たちに次の世代の子どもがいたら・・娘とも付き合いが続くのに・・と、一人一人、顔を思い浮かべて、あらためて考えてみたら、なんと、私のごくごく親しい友人で子供がいる人は、一人もいませんでした。今さらですが、ちょっと衝撃的でした。

 私が子どもの頃、若い頃は、なんとなく、女の人は、ある程度の年齢になれば、自然に結婚して、結婚したら会社を辞めて、子育てして・・とそれがあたりまえのようなことだと思っていて、いつまでも結婚せずに会社にいるオールドミス(今はもちろん死語だと思いますが・・)になんて自分は絶対になるわけない!などと思っていました。

 今から思うと、今とはずいぶん価値観が違いますが、私が子どもの頃はそんな感覚だったのです・・。というと、おばあちゃんの昔話みたいですが・・。

 ところが、どういうわけか、仕事のことは別として、私の周囲には、子どもがいる人が全然いなくて、むしろ、私よりも良いママになりそうな子ばっかりなのに、私に子どもがいることの方が奇跡的な気さえしてしまいます。

 彼女たちは、経済的に困窮しているわけでもなく、結婚していたり、していなかったり、立場は様々ですが、あらためて、考えたこともなくて、付き合いはそれぞれ別々なのですが、誰にも子どもがいないのです。しかし、自分の身近でもこんなんだから、やっぱり、日本の少子化って、大変なことなんだなとつくづく思ったのです。

 彼女たちの家などは、全部、空き家になるんだろうか?と思ったら、まったく凄い話です。


遺言


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2024年11月5日火曜日

TikTokをフランスの7家族が提訴

  


 フランスの7家族が団結して、ソーシャルネットワークサービス TikTokを告訴し、再びTikTokの危険性が注目されています。

 彼らは「ソーシャルネットワークとそのアルゴリズムが子供たちを危険をもたらすコンテンツをさらしている!」、「TikTokが自殺や自傷行為、さらには摂食障害を助長する多数の動画を危険なコンテンツを子どもたちの前にさらし、これらの危険な動画に関して、プロバイダーとして正しく管理できていない」と訴えています。

 この7家族の子どもたちは、全員10代で、このうち2人が15歳で命を絶ち、残りの2人が自殺未遂をおこしています。このうちの一人の親は、すでに娘の自殺の後、「自殺への挑発」「危険にさらされている人を助けなかった」「自殺手段の宣伝」の罪でTikTokに対して刑事告訴状を2023年9月に提出しています。

 この少女は、ソーシャルネットワーク上で体重を理由に嫌がらせを受け、TikTokの世界に逃げ込み、少女はそれに夢中になり、不快感に関連するコンテンツを探し、それが彼女を一層その、悪循環のスパイラルに陥らせたようです。

 アルゴリズムは検索スタイルを捕捉し、彼女の検索傾向に即したものがどんどん提供されるのですが、その中には、うつ病や傷害に関するものさえあり、同年代のティーンエイジャーが決して見るべきではないコンテンツを提供したため、うつ状態はさらに増幅されてしまったようです。

 TikTokというと、ダンス動画やメイクのチュートリアルというイメージがありましたが、なかには、鉛筆削りの刃を分解して傷をつける方法を解説する動画や子どもたちがうつ病などの傷跡に満足していることをアピールする動画まであるそうで、アルゴリズムにより、この負のスパイラルに巻き込まれていくと、この家族は訴えています。

 TikTokは、今や全世界で12億人のユーザーを抱えるプラットフォーム。フランスでは、約2,100万人がユーザーであるといわれていますが、ユーザーの56%が女性、44%が男性、そして、ユーザーの51.3%は13歳から24歳の女性ということで、圧倒的に若い女性の利用が多く、今回、提訴するに至った犠牲者?も全員が10代の女の子の家族です。

 また、統計によると、ユーザーがTikTok に費やす平均時間は、1 日あたり 95 分ということで、これは、ユーザーが Snapchat に費やす平均時間 (21 分) の 4 倍、X(Twitter)に費やす時間 (29 分) の 3 倍、そして最終的に Facebook に費やす 1 日の時間 (49 分) のほぼ 2 倍に相当することからもわかるように、よく言えば、とても魅力的なのだと思いますが、逆に言えば、非常に中毒性が高いとも言えます。

 「TikTokではコミュニティ、特に年少者を守ることは非常に真剣に受け止める責任である」とプレスリリースには書かれています。このソーシャル ネットワークには、「世界中に 40,000 人を超える信頼とセキュリティの専門家」がおり、「ユーザーとそのデータのセキュリティと保護を保証します。その中にはヨーロッパを中心とした 6,000 人以上、フランス語の 637 台のコンテンツ プロセッサーが含まれており、他の同等の専門家よりもはるかに多いです」と主張しています。

 しかし、どれだけ、大勢のスタッフや機械を備えようと、しっかり管理できていないんだから、ダメじゃん!と思うのですが・・。

 また、「Le Journal de l’économique (JDE)」によると、フランス政府は、これらの訴えを重く受け止め、フランス当局はフランス人によるオンライン検索の監視を強化し、政府情報サービス (GIS) を通じて、Google、TikTok、Instagram などのプラットフォームで人工知能の助けを借りて検索を監視するプロジェクトを立ち上げたと報じています。

 SNSは、誰でもどこでも利用できる便利なツールですが、やはり若年層は、なかなかコントロールして利用することが難しいところもあるようで、本当に管理が難しいですが、やはり、これは、このサービスを提供する側が責任をもってしっかりやるべきことだと思います。

 しかし、フランス政府は、あまり、これを期待しすぎてはいないようで、フランス人によるオンライン検索の監視を強化するということは、相手の対応を信用しきってはいないところが感じられます。一時、暴動がSNSで拡散された時には、TikTokに停止通告?などとまで騒がれましたが、一方では、多くの商業活動がこの恩恵も受けているために易々と停止にもできず、かといって、管理が充分でないことに業を煮やし、ついには、政府がこれに取り組み始めるというのも、なんだかやむに已まれない感があります。


TikTok告訴


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2024年11月4日月曜日

フランスの政治と日本の政治 似ているところと似ていないところ

  


 ここのところ、日本の衆議院選挙のために、日本の政治に関わるニュースはできるだけ見るようにして、自らも在外投票に行き、選挙の行方をうかがっていたら、自民党が大敗し、その後も全く日本の政権は落ち着く様子がありません。

 アメリカも大統領選挙を目前に控え、フランスでもこのアメリカの大統領選については、毎日のように報道しているし、この政権の行方もまた目が離せません。

 フランスは、今年の前半の欧州議会選挙の結果を受けて、マクロン大統領が突然、国民議会の解散を発表して、急に選挙という運びになり、結果は、どの党も過半数に達しない不安定な状態に陥り、首相任命まで1ヶ月近くかかるという異例の事態になりました。

 そもそも、フランスの場合、結果論ではありますが、欧州議会選挙は欧州議会選挙で、国民議会は別として国民議会の解散などする必要もなかったのに、マクロン大統領の暴走ともいうべく解散・総選挙の発表は世間を驚かせました。

 フランスは大統領制なので、日本とはシステムが違いますが、選挙の結果はこれまでのような過半数を持つ政党がなくなり、それでも、第一党となった党から首相が任命されるかと思いきや、そうでもなく、なんとなく不安定な感じです。以前にくらべると政府の求心力が下がった気がします。

 現在、フランスは来年度の予算案の端々が漏れ聞こえてきていますが、とにかくパンデミックや戦争やインフレの際に大盤振る舞いで放出したツケの財政赤字を埋めるために、とにかく引き締め引き締めの話しか聞こえてこない感じで、社会保障費の削減や公務員削減とか、不景気な話ばかりです。

 それでも、日本の政党の政治家たちの攻防を聞いていると、とにかく赤字続きの日本の国民の消費を促し、経済を回さなければ・・などと言っているのを聞くと、特にフランスでのパンデミックでロックダウンになった時などの国の補償がかなり手厚かったことを思い出します。

 コロナウィルスに関しては、フランスは日本よりも被害が甚大で、かなり長い期間、長短の差はあるとはいえ、飲食店や映画館など人の集まる施設が営業できなかった期間、政府は各々の店舗などに前年度の売り上げを基に、補償金を支払っていました。

 それでも、倒産した店舗などもありましたが、それによって救われた人は多かったと思います。

 今から考えれば、大変な大盤振る舞いで、そのツケはそれこそ高くついているのが今の引き締め財政に繋がっているのですが、それでも、ロックダウンが解除され、これまで閉じ込められていた国民は、閉じ込められていた期間に使えなかったお金を一気に使い始めた時期がありました。もともとバカンス好きの国民、ロックダウンが解除されて、皆、バカンスに出かけたり、やたらと買い物したり、その間にため込んだお金を国民は一気に使いました。

 それもこれも、一律10万円とかいう補償でもなく、その人の収入に準じた補償が速やかに支払われたので、これは大したものだったな・・と思います。

 今は、さんざん、ああでもないこうでもないと揉めに揉めた結果で1ヶ月の期間を経て首相が任命されましたが、日本でいう与党がいない感じはフランスも同じです。

 フランスの大統領は、2期8年までしか政権を続けることができない決まりになっているので(8年続けた後は、少なくとも1期休み、その後、再び立候補することは可能です)、日本の自民党ほどには、長期政権ということにはなりませんが、それでも、マクロン大統領も2期目に入った頃からは、かなり強引なやり方が目立つような印象を受けるので、あまり政権が長くなりすぎることは、よくないのかな?と思います。

 ただ、フランスの場合は、あまりにも横暴なやり方をすれば、国民もマスコミも決して黙っていることはないので、たちまち、暴動騒ぎになるし、マスコミも糾弾します。

 すぐに暴れて、街を破壊したりし始める国民に最初は驚きましたが、おとなしすぎるのもいかがなものかと思います。

 国民議会選挙後は、前政権体制に比べて、めっきり発信力が弱くなった感のあるフランスの現政府です。

 日本は、いつまでやってるの?裏金問題・・統一教会問題・・と思うところもありますが、悪いことを罰することができない政治のシステムを変えてくれなければ、どうにもならないので、なんとかしてほしいです。

 色々な意味で、世界中、それそれの国の政情が不安定・・でも不安定だからこそ政府にはしっかりしてほしいものです。


フランスの政治と日本の政治


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2024年11月3日日曜日

墓地の値段 リヨン市の墓地価格に社会的価格制度導入

  


 季節柄の話題だとは思いますが、あまり普段は話題にはしないものの、お墓については、多くの人が実は興味のある話題であると思います。

 今、一部では「リヨン市が3月までに墓地の権利料に社会的価格制度を導入する」ということが話題になっており、「はて?墓地使用料とは、いくらくらいなものなのだろうか?」と思いました。

 実際に、我が家も夫が亡くなった時に、家から一番近い墓地ということで、市内の市民墓地に埋葬してもらったのですが、恥ずかしながら、その時は、メンタルがボロボロの状態で、義理の息子たちが全てを手配してくれて、私自身は、ほぼ何もしていませんでした。

 しばらくしてから、墓石は、私が注文して、私が自分で買ったので、墓石の値段は知っているけれど、墓地に関しての契約料には全くタッチしていないので、値段も知りません。

 ただ、墓地も含めて、葬儀にかかった費用等に関しては、夫がけっこうちゃんとした保険に入っていたので、全て保険でカバーできたはずなので、葬儀費用や埋葬費用等の心配はありませんでした。市営墓地なので、そこまで高いとは思いませんが、一応、30年間の契約ということだけは聞いているので、私が死ぬのがそれ以降になる場合は、これを更新手続きしなければならないことだけは、承知していました。

 まあ、まだけっこう期間があるので、期限が近付いてきたら、聞いてみようと思っていました。

 話は脱線しましたが、リヨン市は、「社会的不平等を解消するということ」で、「私たちの考えは、社会正義の概念を葬儀政策に組み込んで、死が新たな社会的不平等を助長しないようにすること」と宣言しており、これまで富裕層に対しても、困窮層に対しても、同じ額を請求していた墓地使用料に収入、資産に準じて3種類の価格設定を行うという発表をしています。

 リヨン市の場合は、現行の市民墓地使用料は、15年間で525ユーロ(約87,000円程度)(墓石などの価格は別)ということで、収入資産にかかわりなく均一価格でした。しかし、今回の改正によって、これに収入・資産によってグラデーションがつけられるようになるのだそうです。

 この社会的不平等解消のためのこの支払料金の調整が「保育園、学校、文化施設などの一定数の自治体の公共政策」に適用されていることを考えれば、これは当然あるべき措置ではないか?と言っています。まさに「ゆりかごから墓場まで」にするということです。

 これは、まだ議案の段階だそうですが、一律価格ではなく、360ユーロ、550ユーロ、750ユーロの3段階になるようです。

 今まで、墓地については、前述したように、墓石以外は、全く関わってこなかったので、あまり墓地使用料について、気にしたことはなかったのですが、たしかに、フランス人の知人で、親が亡くなった時の葬儀にえらくお金がかかって大変だった・・と嘆いていた人がいたので、たしかに、このような配慮をしてくれるのは、ありがたいのだろうなと思います。

 おそらく、パリはもう少し高いのではないかと思いますが、私としては、(自分が死んだ場合)、死んでしまった私に対してお金と手間をかけていただく必要は全くないので、一番簡単でお金のかからない方法にしてね・・と娘に言ってあります。

 私の友人の一人が亡くなった時は、彼女は独身だったということもあるのでしょうが、自分が亡くなったときには、ペーラシェーズで火葬して、お墓のない人のために砂(フランスの場合、砂状になるまで火葬するのが一般的に遺骨ではなく砂という言い方をする)を撒く場所があるので、そこに一緒に撒いてほしいと言い残していたので、彼女の砂はそこに撒かれ、彼女は今、パリの土となっています。

 これを書きながら、思ったのですが、お墓など、面倒なことがなくて、それも悪くないかも・・?と今度、娘に会ったら、提案してみようかとも思います。

 日本の墓地は、どんな具合なのか?これまた、前の世代の人々が買ってくれてあるものなので、全然、値段も何も知りませんが、今後、子どもがいない人などが増えたら、このペーラシェーズの砂山?みたいな場所・・あってもいいのかも?と思います。

 この友人の砂を撒いた日には、行けなかったので、今度、お墓参りがわりにペーラシェーズに行ってみようかと思います。ペーラシェーズはパリの有名な墓地で歴史的な偉人などもたくさん埋葬されている墓地で、お散歩にもなかなか良い場所です。


リヨン市墓地価格 社会的価格制度導入


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2024年11月2日土曜日

お墓参りで毎回、思うこと・・

  


 世間では、最近では、フランスでもトゥーサン(万聖節)というよりは、ハロウィン色が強くなってきていますが、私は、毎年、この時期くらいは・・とお墓参りをする習慣になっています。

 我が家の墓地は、夫が亡くなったときに、まだまだ本人もずっと先のことだと思っていたでしょうが、机の裏側に少しだけ書きかけの遺言のようなものが張り付けてあって、その中に、墓地は、家から一番近い墓地に埋葬してほしいというようなことが書いてあったので、夫の希望どおりに家から一番、近い墓地にしました。

 夫は自分の両親のお墓は、なんだかやたらとお金をかけて、自分の兄の家の近くに建てたので、当然、そこに一緒に埋葬してほしいと思っていると思っていたら、そうではなかったことが、意外でもありました。

 きっと、寂しがり屋だった夫は、できるだけ来てもらいやすい場所を選んだと思うのですが、もうここ最近では、せいぜい、このトゥーサンの時期か、もう一回くらいしか、行かなくなってしまいました。まったく冷たいことです。

 夫が亡くなった直後(埋葬後)は、本当に私自身も身の置き場がない感じで、お休みのたびに毎週のように娘を連れて、お墓に行っていました。トゥーサンなどの特別な時期以外の墓地は、あまり若い人はいなくて、けっこう高齢の人が多いので、私たちは、とても、異色な存在だったと思います。

 今では、正直、当時のことは、ぼんやりとしか思い出せないくらいになりましたが、あまり感情表現が激しい方ではない私が、夫の埋葬の時には、後にも先にも、人生の中であれほど取り乱したということはないというくらいに大声で泣き叫び、恥ずかしながら、「私も埋めて~~!」と泣き叫んだことだけは覚えています。今から思うと娘には申し訳なかったし、埋葬に立ち会ってくれた人々は、きっとドン引きだったと思います。

 まだ10歳だった娘はそんな母親だったからか、妙に冷静で、「きっと墓地の高い壁を越えて、ママの声が外にいる人にまで聞こえたと思うよ・・」などと言われて、ハッとしました。

 週末ごとのお墓参りは、どのくらい続けていたのかも、今ではあんまり覚えていませんが、その後、少しずつ、一人での子育てと仕事の日常に忙殺され、だんだん足が遠のいていきました。

 それでも、この時期は、周囲のお墓も華やかなお花でいっぱいになるので、誰も来ないお墓は、寂しそうで可哀そうだ・・とこの時期だけは、必ず行くようにしています。

 前もって、鉢植えのお花を買っておいて、当日にお墓に行って、夫に心の中で話しかけながら、ひととおりお墓を掃除して、お花を供えてお祈りとお願いをしてきます。

 「久しぶりだね・・元気だった?いやいや、元気じゃなかったから死んじゃったんだよね・・」と毎回、同じことを繰り返していることに苦笑しつつ、私の近況や娘の近況を報告し、「これからも私たちを見守ってね・・いつになるかわからないけど、そのうちに行くからね・・」とお願いして、帰りに「じゃあ、またね!」と言って帰ってきます。

 このお墓の墓石に名前を掘ってもらうときに、一応、二人分の名前が掘れるように、スペースを調整して夫の名前は掘ってもらったので、私がもしもフランスで死んだら、ここに入れてもらうように娘には頼んでいます。

 私は、お墓というものは、自分自身は全くこだわりがないので、(なんなら捨ててくれてもいいくらいだけど、そういうわけにもいかないだろうから・・)、日本にいるときに死んだら、両親が入っている実家のお墓に入れてもらうのでもよいし、一番、簡単な方法にしてね・・と言ってあります。

 本当に偶然ではありますが、夫の命日は、トゥーサンの日のすぐあとで、彼が亡くなったときも、トゥーサンのバカンスが終わった直後だったことを覚えています。

 今は、娘も義理の息子たちも遠いところに住んでいるので、恐らく私の他には、誰も来ないと思われる夫のお墓なので、せめて、私くらいは行ってあげなくちゃ・・と思うのです。

 実際に、もう長いこと誰も来ない、来られないのか、もう苔が生えているようなお墓もあります。歳をとってくると、病気とお墓の話題が多くなるなどと言いますが、とりあえず、私は、フランスでも日本でもお墓の心配はありません。


トゥーサン お墓参り


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2024年11月1日金曜日

パリ中心部に交通制限ゾーン(ZTL)が設置

  


 パリ警察長官は、パリ中心部に交通制限区域(ZTL)を設置し、1区、2区、3区、4区の車両通行を禁止する命令に署名しました。この措置は、11月4日から開始されます。

 これは、車で占拠されている公共空間を解放し、首都中心部の大気汚染と騒音を軽減することが目的で、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏の選挙公約でもありました。

 現在、パリ中心部のこのゾーン内を循環する車両の数は、1日あたり35万台から55万台(ずいぶん幅があるな・・)と言われており、この交通量のかなりの部分はそこで停まることなくこの地域を通過する車両であるといわています。

 この車両通行禁止は、もちろんバス、タクシー、VTC車両は除外されるほか、この地域の住民、従業員、配達員、患者、店舗、企業、レストラン、劇場、映画館などの顧客も除外されます。つまり、この地域を通過するだけの車が排除されるということで、この地域を通過していた車両は、この中心部を避けてぐるっと遠回りをしなければならないことになります。

 また、1区、2区、3区、4区の中でも高台の岸壁、サンルイ島、シテ島はこの交通制限区域から除外されています。

 しかし、そもそもパリ市内を車で移動することは、渋滞や駐車スペースなどを考えても、どう考えても、合理的ではなく、私などはもうとうの昔にあきらめていますが、これで少しでも車が減ってくれることはありがたいことだと思っています。

 このシステムは少なくとも3か月(あるいは6か月)の予備的準備期間を経た後、このZTLから「出る」際には電動車両のチェックが強化される見込みになっています。

 将来的には、在留カードと自己申告制度がオンラインで導入され、同時にカメラによるナンバープレートの読み取りに基づいて違反をチェックする予定だそうですが、この自動カメラ撮影による制裁を可能にする規制と法律の変更が現段階では整っておらず、法律改正を待つ間は、一体、1日50万台以上と言われる車両通行のチェックをどうやって行うのかは、かなり厳しい話ではないかと思っています。

 とはいえ、これに違反した場合は、罰金135ユーロが課せられるということです。

 この類の通行禁止は、パリオリンピック開会式前の状況を彷彿とさせる感じがありますが、あの時は、パリ中がものすごい警戒体制で、警察官や憲兵隊がMAXで出動しており、そもそも、あの厄介な通行制限や行動制限にウンザリして、多くのパリジャンがパリを脱出していて、パリはガラガラになりました。

 今度は、車両通行のみの制限で、日常的、恒久的に続けられるものであり、そのために膨大な数の警察官を配置というわけにもいかないだろうし、しかも多くの例外があり、一体、どの程度、みんなが遵守するのかと思いますが、成り行きを見守りたいと思います。

 しかし、様々な取り組みにどの程度の成果があがるものなのかはわかりませんが、色々と問題点をあぶり出して実行していくのには、エネルギーを感じます。

 

パリ中心部に交通制限ゾーン(ZTL)


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