2022年4月30日土曜日

馴染みの運転手さんがコロナで人生がすっかり変わってしまったという話

  


 我が家は、たいていのところには、バスかメトロで用が足りるために、家の車も処分してしまい、自分で運転することもなくなり、運転するといえば、たま〜に旅行に出かけた時に旅先で車を借りて運転するくらいで、旅行さえも、ここのところ行っていないために車とはほぼ無縁の生活をしています。

 一時は、娘が大きくなって、運転免許をとったら、また車のことは考えようと思ってはいたものの、免許はとりかけたものの(学科試験だけは取っている)、パンデミックのために、彼女自身の学業の予定なども大幅に変更せざるを得なくなったり、技能教習がキャンセルになったりしているうちに取り損ね、しまいには、自転車などでもやたらと事故が多い彼女には運転は向いていないのではないか・・などとも心配になったり、そもそもやり出したら、なんでもやり通す彼女が、ここまでことが進まないのは、それほどやる気もないのかもしれないと思いながら、結局、彼女は運転免許を取らないまま現在に至っています。

 そんな我が家は買い物でさえも、家の駐車場に降りて行くよりも、ごくごく近所の大型スーパーマーケット(カーフール)に行く方が近いくらいで、しかも、荷物の多い時は、そのままカーフールのキャディーで家に荷物を運んで、後で、キャディーを返しに行く方が楽なので、買い物に車が必要ということもありません。

 しかし、日本に行く時などは、さすがに車が必要で、もうここ10年くらい、以前、私が働いていた会社に出入りしていた運転手のマリオさんという人にお願いしていました。もう彼とも長い付き合いになり、電話をするのは、車をお願いする時と空港行きの車の中で話をする程度ですが、10年ともなれば、お互いの家庭環境や家族、健康状態など、そこそこお互いを知っています。

 彼自身は、ハイヤーの会社を立ち上げ、結構な数の車を動かして、成功して、今では、ほぼ引退して、彼の自国であるポルトガルには、大きなプール付きの大邸宅を所有し、パリとポルトガルの半々の生活をしています。

 彼は非常に温和な性格で人当たりもよく、LOREALのVIPや日本からのVIPなどが顧客ということで、決して時間に遅れることなく、きめ細やかな心使いをしてくれる人で、何より優しく、温かい人なのです。

 一度、日本から帰ってきたら、ストライキのためにバスも電車もタクシーでさえもなく、途方に暮れて彼に電話をしたら、会社の車は全て出払ってしまっているから・・と彼の奥さんの車で空港に迎えにきてくれたこともありました。

 今回、日本に行くにあたって、彼に電話したところ、残念ながら彼は今、ポルトガルにいるということで、以前も何回か彼の代わりに来てくれた運転手さんを手配してくれました。その電話の時点でジョエルという運転手が代わりに行きます・・ということだったので、これで車の手配はOK!と思っていたら、後から念の為にジョエルの電話番号は・・とメッセージが送られてきたので、「いつも、親切にありがとう」と返信したら、「ありがとうと言ってくれて嬉しい・・ありがとう」と返信が・・なんとも、あったかいやりとりでした。

 出発当日、ジョエルが迎えに来てくれて、以前、マリオさんが心臓の手術をしたりしていたことを聞いていたので、車中、彼の健康状態を聞くつもりで、マリオは最近どうしてるの?と聞いたら、「彼はコロナで両親を相次いで亡くして、その上、どういうわけか離婚してしまって、すっかり人生が変わってしまった・・」と言うのです。

 コロナで両親とも!?と驚く私にジョエルは、僕もコロナで両親ともに亡くした・・と。私の周辺には、コロナウィルスのために亡くなった人はいなかったので、初めてそんな話を聞いてびっくり! 考えてみれば、フランスでのコロナウィルスによる死者数はこれまでに14万5000人以上。これまで私の周囲にそんな犠牲者の話を聞かなかったのは不思議なくらいです。

 挙句の果てに何があったのか?離婚なんて・・。彼はもうセミリタイア状態で、子供や孫に囲まれて家族仲良い家庭だったはずなのに・・。家族の誰かが欠けると生活のリズムが崩れたり、バランスが崩れたり、メンタルも厳しいもの・・家族の絆に亀裂が入ることもあったのかもしれません。

 それにしても、このパンデミックの2年間、しばらく連絡を取らなかった人の人生がすっかり変わってしまったと言う話を聞くのは悲しいことです。


パンデミック


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2022年4月29日金曜日

大統領選挙後のスケジュールとフランス国民が望む女性首相の擁立

  



 マクロン大統領の再選から、数日経って、新しい内閣の人事が早々に発表されるのだと思っていたら、マクロン大統領の2期目の正式な就任は5月14日ということで、じっくり地固めをするため、マクロン大統領は新体制の選択と決定に時間をかけることにした模様です。

 昨日、臨時にエリゼ宮に召集された閣僚理事会は、現政府の最後の理事会になるものと思われていましたが、政府のスポークスマン・ガブリエル・アタル氏は、「この理事会が最後ではなく、政府は、国にとって現在のすべての問題に関して必要な決定を下し続けるために活動している」と発表し、周囲を驚かせました。

 とはいえ、今回のエリゼ宮での昼食会を含んだ会合は、多くの特別感を含んだもので、閣僚が勢揃いし、エリゼの中庭が閣僚の到着に合わせて特別に開放され、庭園に隣接するテラスでは豪華なビュッフェも用意され、選挙後初の閣僚会議 ということで、みんな一致団結しており、選挙の勝利は政府の勝利でもあると、この政府の5年間の成果であった感謝と労いを感じさせるものであったようです。

 マクロン大統領は、閣僚に対して、デッキにとどまり、各々の仕事を続けなければならないと述べたそうで、現政府での閣僚会議は、任期ぎりぎりまで続くことになりそうです。

 今回の閣僚会議が最後だと思って参加していた閣僚の面々は「これが最後ではない」と言われた驚きをそれぞれに語っています。


 マクロン大統領は、今後の政府内の人事を立法運動の開始と同時進行させたいと考えており、それらを現政府の閣僚のチームで進めていく模様です。そして、その区切りのタイミングを5月8日というナチス・ドイツに対する戦勝記念日に照準を合わせて実行しようとしているとみられています。

 なかでも、大統領と最も密接に連携していく首相については、最も注目が集まっています。

 次期の首相候補について、マクロン大統領は、現在のところ、「社会問題、環境問題や生産性の問題に長けている誰かであろう」とだけ述べていますが、具体的な名前は挙げられていません。

 しかし、JDD(Le Journal du dimanche)が実施した世論調査によれば、フランス国民の74%が「女性を首相に任命してほしい」と望んでいることが明らかになっており、マクロン大統領がこの国民の声に耳を傾けるのかどうかが注目されています。

 もとより、閣僚人事に関しては、すでに現政権では、大臣だけだと男女8人ずつで同数ですが、首相と担当大臣、閣外相を含む32人全体だと女性が17人、男性が15人で総数では女性の方が多くなっており、意図的に女性を起用しようとしている感があります。

 首相となれば、またハードルが高いとも思われますが、あり得ないことでもないかもしれません。

 もっとも、今回の大統領選挙でマリン・ルペン氏が当選していたら、女性の首相どころか、女性の大統領が誕生していたわけですが、マリン・ルペン氏の場合、男性とか女性とかを超えた次元の人のような感じもしないでもありません。

 どちらにしても、マクロン大統領と強力なタッグを組んでいける人が必須となるため、それが男性であるか、女性であるかは、私個人としては、そこまで重要とも思わないのですが、この国民を背景に、さて、マクロン大統領がどんな決断をするのか? 楽しみです。


新閣僚人事 女性首相


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2022年4月28日木曜日

フランス人に花粉症が増えた

    

フランスの花粉マップ


 今年はやたらとなぜか、周囲で花粉症に悩まされている人の話を耳にするようになりました。以前は、フランスでは、こんなに花粉症の話を聞かなかったのになぁ・・と不思議に思っています。

 我が家は母方の親族はこぞってアレルギー体質で、私もしっかり、その体質を引き継いでいて、母も私も叔母たちも春先は特にクシャンクシャンとくしゃみが止まらず、ティッシュを手放せない状態が続き、酷い時には、もうこの時期は外に出られないとまで言い出す者までいたくらいでした。

 私が最初に海外に出たのは、イギリスで、イギリスには花粉症はないのか?と聞いたところ、当時はそれほどでもなく、その後のアフリカでは花粉以前の問題で、アレルギーも全くあらわれず、フランスに来てからは、もっぱら、花粉というよりは、埃とかハウスダストに悩まされることはあっても、花粉症には、それほど悩まされることはありませんでした。

 一方、かなり前に、いつもは夏に一時帰国していたものの、夏には、娘の学校の入学問題があって、夏には帰れない年があって、それなら、4月のお休みの際にと、4月に一時帰国したことがあって、その時は、私の花粉症の最悪の時期で、くしゃみや鼻水だけでなく、花粉症に起因して、喘息のような症状になり、呼吸も苦しくて、せっかくの一時帰国時に丸一日寝込んでしまうという苦しい思いをしたことがあって以来、もう春に日本に行くのはやめようと思ったくらいでした。

 しかし、今は亡き母が「花粉症などのアレルギーも年齢を重ねていくと、どうやら身体がアレルギーに対して大きく反応しなくなるらしく、自然とおさまっていくわよ・・」と言っていたとおりに、ここのところ、私はあまり花粉症に悩まされることはなくなってきました。

 今年もそんなことはすっかり忘れて、春に日本に一時帰国したというのに、花粉症の症状はまったく起こりませんでした。入国の際の書類や検査、そして、入国後の隔離問題などに直面して花粉症のことなど忘れていたくらいでした。

 ところが、パリに戻って以来、ここのところ、やたらと周囲に「花粉症だ・・」と嘆いている人が増えたことを意外に思っています。 

 今日、買い物に出かけて、レジで並んでいたら、近くにおしゃべり好き?なおじいさんがいて、別の女性に、「なんだ、おまえ、いつまでマスクなんかしてるんだ・・」と店内でマスクをしている人にケチをつけているのを見かけて、耳を傾けていたら、その女性は、「ここのところ、花粉症なのよ・・ほら・・」とマスクをずらして、真っ赤になった鼻を見せていました。

 「うわっ!マスクをしている人にイチャモンつけている人が出てきた!」と思ったと同時に、「はて、また、花粉症の人だ・・」とも思ったのです。

 その後、そのおじいさんは、「花粉症」というあまり聞きなれない話題になったことからか、それ以上、その女性のマスク着用に言及することはなく、自分は今は引退していて、かつてはずっとルノーで働いていて、1年前からガンを患っている・・などという身の上話を始め、マスクに対するイチャモンは、おしゃべり好きのおじいさんのほんの話のとっかかりであったことが判明し、ちょっとホッとしたと同時に、いつまでも喋り続けることに、ちょっとうんざり・・。

 しかし、もしも、これから、マスクをしていて、イチャモンをつけられたら、「花粉症なんで・・」というのは、ちょっとした逃げ道になるかな?とも思ったりしたのでした。

 そして、家に帰ってしばらくすると、近所に住む知人が、「ちょっとポニョ(我が家の猫)が喜ぶものがあるから、明日、行ってもいい?」という電話。電話口で、鼻声なので、「どうしたの? 風邪ひいた? まさかコロナ?」と聞いたら、「くしゃみや咳、鼻水が酷いので、医者に行ったら、花粉症だと言われた・・」「今までは、こんなことなかったのに、まったく、歳をとると、いろいろ、生きにくくなるよ・・」と・・。

 またまた出た出た花粉症・・今年はなんで、こんなに花粉症が多いのか? さっそく、フランスの花粉症の状況について、調べてみると、どうやらフランスの花粉症は、白樺と樫の花粉だそうで、日本でよく聞くスギ花粉ではありません。

 しかし、この花粉症がどうやら、フランスではあまり長い歴史を持つものではないな・・と思ったのは、その記事のトップに「花粉症対策として、マスクは有効か?」とあったことで、いくらマスク文化がなかった国とはいえ、花粉症といえば、マスクは定番のアイテムで、日本人からしたら、今さら・・と思うことを堂々と書いてあるのです。

 しまいには、アレルギーの専門医まで出てきて、「マスクをすることであまり苦しまないで済みます、マスクをすると、くしゃみやのどの痛みが軽減されます。マスクには明らかに鼻と口を守る効果があるのです」などと、書かれているのです。

 明らかに日本だったら、もはや公然の事実である誰でも知っている情報に花粉症初心者感が満載です。

 そして、この時期、日本では定番だった(今でもあるんだと思うけど)花粉症マップなるものまで登場しています。

 これまで、そこまで騒いでいなかった花粉症がこんなに増えているとは・・昨年、一昨年は、幸か不幸かコロナのために、ほとんどの人がマスクをしていたために、花粉症が避けられていたのかもしれませんが、「ここ数年の気候変動で、フランスでも一気に花粉が増えたのかな?」などと思っています。

 どちらにしても、コロナ以外でもマスクが有効なことが広まってくれれば、少しはマスクに対する嫌悪感が減ってくれるのではないか?とちょっと、違った期待をしています。


フランスの花粉症


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2022年4月27日水曜日

大統領選挙フィーバーで見たノーマスクにビズーのフランスの日常の復活

   


 日曜日の大統領選挙の結果は、今後5年間のフランスの将来のかかった重大なもので、十分に注目すべきことでしたが、この盛り上がりぶりを見て、私には少なからず気に掛かることがありました。

 それは、マクロン大統領の当選が決まって、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルスに約3,000人ほどが集まった集会の模様でした。屋外とはいえ、これだけの人が集まり、歓喜の声を上げる中、誰もマスクをしていない・・。

 マクロン大統領当選の晴れやかな場面でのマスクは興ざめであることに違いはありませんが、マスクどころか、フランスでは、かつては日常の挨拶であったビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)もすっかり復活していて、マクロン大統領を迎え待つ人々に夫妻ともどもビズーをしながら挨拶を交わしていたのには、少々、ギョッとさせられたのです。

 フランスからマスクが消えた・・ビズーも復活した・・と。

 パリの街中を歩いていれば、気候がよくなったこともあり、屋外でマスクをしている人は、ほぼ見られなくなりました。

 ここ数週間の大統領選挙活動を見ても、マスク姿の人はほぼ見当たらず、握手をしたり、肩を抱いて写真を撮ったりと、まるでパンデミックの影は消え去ったかのようでした。

 マスク嫌いのフランス人の中で、マスクをしての選挙活動はマイナスイメージであるのかもしれませんが、ついこの間、日本に行ったばかりの私にとっては、これはかなりの温度差を感じるものです。

 日本では、本当にどこへ行っても、屋外でさえも、みんながマスクをしていることに逆にビックリしたくらいで、人のいない道だから、ちょっとぐらいはいいだろう・・と、マスクをずらしていたら、どこからか人が出てきて、マスクをずらしているのをスゴい怖い顔で睨まれたりして、「うわっ!!厳しい!日本人!」と身を縮めたくらいだったので、フランスに戻ってからの、フランスのこの緩い様子にどこかホッとすると同時に、「やっぱり、ちょっと怖いな・・」とも思うのです。

 さすがにパリでも、バスやメトロの中などは皆、一応マスクはしているので、マスクが全く消滅したのではないんだな・・と逆にホッとするのですが、どうにも不安がつきまとうのは、私の日本人っぽいところなのでしょうか?

 こうなってくると、逆にいつまでもマスクをしていることに、そのうち日本とは逆の同調圧力がかかってくるのではないか?と思いつつも、感染者数は若干減少しつつあるとはいえ、しっかり「感染してしまった!」などという人々の話も聞くので、やっぱり、個人的にはマスクはまだまだ外せないのです。

 もはや、フランスでの感染者数については、ウクライナ戦争と大統領選挙の報道でかき消されているのかと思いきや、ゼロコロナを目指して躍起になって、感染者を隔離したり、ロックダウンをしたりしている上海を狂気的な出来事として報道したりしているところを見ると、コロナウィルス感染に全く関心がないというわけでもないのでしょうが、これは、どちらかといえば、感染云々よりもこの上海の威圧的なやり方についてを取り上げている感じではあります。

 4月上旬からいったん、フランスも感染者が上昇して、これはまたヤバいかも・・と日本から見ていたものの現在は、若干減少傾向にはあるものの、日によってかなり差があり、先週1週間の1日の感染者数の平均は5万人前後、集中治療室の患者数は若干ではありますが、増加しています。

 フランスがすでに日常生活を取り戻すことを優先にして、感染対策に目くじらを立てることは放棄したことは明白ですが、この同じウィルスに対する対応の違いには、なかなか戸惑いを感じるところです。

 現在のところ、私個人としては、人の多いところでは屋外でもマスクは外せません。まあ、もともと人の多い場所は好きではないので、ほとんど行かないのですが・・。


ノーマスク ビズー復活


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2022年4月26日火曜日

マクロン大統領再選の世界の反応と投票結果の分析

   



 マクロン大統領が再選されて、正直、ホッとしています。現在のこの世界情勢で極右政権に傾くことは、外国人として生活している在仏邦人としては、穏やかならないものがあります。

 また、ロシアによる侵攻から始まったウクライナ戦争が一向に終息の兆しが見えない中、ヨーロッパが結束を強めなければならない中、その中心になって動き始めていたマクロン大統領の存在は、ヨーロッパ全体としても非常に重要な存在であり、もしもマクロン大統領が失脚すれば、ヨーロッパとしての結束が揺らぐ可能性もあり、ロシアに対しても、つけ込む隙を与えかねないことになりかねない結果に陥る危険を孕んでいたと思います。

 大統領選挙に向けて、服装から発言まで、ソフト路線に切り替えていたマリン・ルペン氏も、その根本に持つ思想については、疑問が多く、ロシアとの金銭的な繋がりなども指摘されていたこともあり、私個人の意見ではありますが、そのソフト路線が仮面のように見えてしまっていました。

 実際に大統領選挙直前にドイツ・スペイン・ポルトガルの首脳が内政干渉とも言える異例の声明を発表し、マクロン指示を表明したことや、ウクライナのゼレンスキー首相が「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と発言したり、周囲の国々からもマクロン大統領を支持する声が上がっていました。

 マクロン大統領が満点であるとも思えませんし、実際にマクロン大統領に投票した人のうちの42%は、マクロン大統領に投票したのは、とりあえず、マリン・ルペン氏を阻止するために投票したという数字も出てきています。

 年齢層や地域によってもかなり大きく意見が分かれているようで、高齢者と若者には、比較的マクロンを支持するものが多いとか、中間の労働者層にはルペン支持がおおいなど、どちらに投票したかという分析がなされていて、自分の住む地域や周囲の人々がどんな意見を持っている人なのか? この大統領選挙は、そんなことを再確認する機会でもあったかもしれません。

 しかし、ともかくも、フランス国内の状況だけでなく、世界との関係性においては、やはりマクロン大統領でよかったと思っています。

 そんな世界の期待どおり、マクロン大統領は「我々は警戒を怠らず、ヨーロッパとして、同盟国として団結し、非欧州の地域大国を含むすべての大国と対話を続け、国連内で、ロシアに対して明確なメッセージを送るべきだと思う」と強調し、「しかし、同時にエスカレートしてはならない」と語りました。

 「我々は停戦と平和のための努力を続けているが、特にロシア側のいかなるエスカレーションの試みにも屈することがあってはならない。」、ウクライナ・ブチャでの大量虐殺の痕跡と見られる映像が世界中に流れて以来、プーチン大統領との連絡が途絶えている中、早ければ今週中にも彼に電話する機会があるだろう」と語っています。



 マクロン大統領再選に際して、EU・欧州連合をはじめとして、ドイツ、イギリス、アイルランド、スペイン、カナダ、ウクライナ、アメリカ、日本、オーストラリア、ニジェール等世界各国の首脳が祝辞を発表していますが、ロシアのプーチン大統領もマクロン大統領再選に際しての祝辞を発表。

 プーチン大統領からは、「公務の成功とご健康を心よりお祈り申し上げます」というメッセージ。この戦渦の禍中の人として、このような他国の大統領選挙当選に祝辞を贈るような、常識的?なことを臆面もなくやるのも驚きですが、今、彼に健康を祈られるほど不気味な空恐ろしさを感じるものもありません。

 どちらにしても、これは、一応、ロシア国内へのポーズをとっているものではないかと思われますが、これをマクロン大統領がどのような顔をして見ているのかは、想像に難くないところですが、これまでさんざんプーチン大統領と会談を重ねてきたマクロン大統領にとっては今さら何の感情も動かないことかもしれません。

 いずれにしても、パンデミックも戦争も終息していない中、マクロン大統領の仕事は、これらを終息させることを中心に始まると思われますが、とりあえずは、自分の政策を進めるための組閣人事にとりかかる模様です。

 再選が決まったばかりで気の早い話ではありますが、2008年の憲法改正以来、フランスの大統領は2期以上連続して就任することはできなくなっていますが、1期スキップした10年後には出馬することは可能などという話も出始めています。

 彼は現在44歳、10年後でも54歳です。彼がそんなに何回も大統領の座に就くことが良いかどうかは別として、とにかく若いんだな・・とあらためて感心しているところです。

 蛇足ですが、日本の首相としては54歳でも若い方だよな・・と思って調べたら、伊藤博文は44歳で首相になっていました。


マクロン大統領再選 フランス大統領選挙


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2022年4月25日月曜日

マクロン大統領 再選 数年ぶりの満面の笑み

 


 ウクライナでの戦争勃発のために、いつもよりも選挙期間が短く感じられたフランスの大統領選挙でした。

 マクロン大統領が前回の大統領選挙に当選して、大統領に就任して以来、本当にこれでもかというほどの災難続きの5年間でした。黄色いベスト運動による激しいデモや暴動は長い間続き、その後もテロ、そして、パンデミック、さらにロシア侵攻によるウクライナ戦争と人の一生にこんなことが何度も起こり得るのか?というような出来事が立て続けに起こりました。

 今年はフランスの大統領選挙という年の初めは、1月にはフランスでは爆発的な感染の増加を記録し、若干、それが下がり始めたと思ったら、今度はロシアとウクライナの戦争の危機。

 マクロン大統領は、この大統領選挙の選挙戦の予定をこのために大幅に変更せざるを得なくなり、立候補は確実とされながらも公示直前まで立候補を表明しないままに選挙戦が開始されました。

 しかし、結果的には、ウクライナ戦争の悲惨な戦況のために、選挙に関する報道は大幅にカットされ、ほぼほぼ直前までは、選挙報道は通常よりもずっと抑えられ、その間、ロシア・ウクライナ双方の間に立ち、電話会談等を続けてきたマクロン大統領の活躍が前面に表れている時期も少なからずありました。

 

大統領選挙投票用紙

 マクロン大統領は立候補の公示を表明する前から、本命と言われてはきましたが、一時は、対立候補の極右マリン・ルペン氏が追い上げを見せ、最後まで結果はわからないと言われてきました。

 フランスの大統領選挙当日は、日本のような出口調査の結果は公表されず、投票時間である8時から19時(都市によっては20時)までで、その間に投票状況が公表されることはありません。

 そして、いきなり結果が発表されるのが、20時で、19時まで、あるいは20時まで投票が続いている段階で、どのように集計しているのかはわかりませんが、20時の段階で、各局が同時にマクロン58.40%、マリン・ルペン41.60%と公表し、マクロン大統領の再選を発表しました。

 ここ2ヶ月間ほどは、ほぼウクライナ戦争に偏った報道でしたが、この日ばかりは選挙一色の報道。

 結果が発表される数時間前から、マクロン大統領の支持者はエッフェル塔近くのシャン・ド・マルス広場に用意されている巨大スクリーンと舞台を見守り、結果発表とともに大歓声が上がりました。

 マクロン大統領がシャン・ド・マルスに登場したのは、21時30分頃、満面の笑みを浮かべて第九のBGMとともに、夫人と手を繋いで周囲を一般市民と見られる子供や若者たちとともに歩き、その後、夫人と2人で登壇しました。

 壇上に上がったマクロン大統領は、本当に数年ぶりに見る晴れやかな笑顔で、「Merci !」(ありがとう)という一言で挨拶を始めました。ここ数年、厳しい表情ばかりだったマクロン大統領の真の笑顔を久しぶりに見た気がしました。

 彼は、「5年間の変遷を経て、幸せな時と困難な時、そして例外的な危機も。2022年4月24日の今日、我々の大多数は、今後5年間の我々の共和国を統率するために、私を信頼することを選択してくれました」

「より独立したフランス、より強いヨーロッパ、そして投資と深い変革を通じて、私に信頼を寄せてくれたすべてのフランス人男性、女性に感謝したいと思います」

「また、今日、多くの人々が私に投票してくれたのは、私が掲げる考えを支持するためではなく、極右を阻止するためであることも知っています。そして、この投票が今後何年にもわたって私に義務を課すものであることを自覚していることを、ここで伝えたいと思います。私は、彼らの義務感、共和国への愛着、そしてここ数週間で表明された相違への敬意を守る者です」と述べました。

 このフランスの大統領選挙の模様を見るにつけ、摩擦は多々、起こるものの、国民が直接参加して、盛り立てていく様子が民主的な感じで、なんだか羨ましい気がするのでした。

 マクロン大統領はこの結果により、これまでの5年間プラスさらに今後、5年間フランスの大統領を継続することになります。フランスの大統領は、2期までと決められていますから、最大の10年間のマクロン政権が続くことになります。

 ウクライナ戦争も続いている現在、これからも険しい道が続きますが、2年後には、パリオリンピックなどの華やかな行事も控えています。これからの5年間がさまざまな面で上向きになってくれますように・・。

 そして、その次の大統領選挙には、彼はもう出馬できないわけですから、彼にはこの5年間の間に後継者を育てるという課題が追加されています。


マクロン大統領再選 フランス大統領選挙結果


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2022年4月24日日曜日

国民健康保険カードCarte Vitalを利用した詐欺と日本のオレオレ詐欺

  


 最近、フランスでは、IT化が進み、これまで、いちいち出向かなけれなならなかった用事が携帯やネットで済むようになってきています。そんな中、ここ数ヶ月の間にSMSを使った通称カートヴィタル(Carte Vitale)国民健康保険カードの詐欺被害が発生しているようです。

 フランス国民及び、フランスに在住する者は、この国民健康保険に加入していますが、この国民健康保険には、緑色のICチップ入りのカードが使用されており、そのカードによって医療は管理されており、ある意味、命綱とも言える大切な存在です。

 医者にかかる時、医者が処方してくれる処方箋による薬をもらいに行く時など、また、今回のパンデミックなどでは、PCR検査を受ける時などもこのカードが活躍しました。

 また、このカードにより、かなり個人個人の健康に関するデータが把握されており、既往症や病歴や年齢などに応じて、必要な予防接種や検査などのオファーが届いたりもしています。

 しかし、このカード、定期的に更新手続きが必要で、時々、その更新手続きをするようにという通知が届きます。更新手続きといっても、薬局などにおかれている専用の機械でチャージするだけで完了するごくごく簡単なものです。もちろん無料です。

 ところが、最近、このカードの更新手続きを装った詐欺が多数発生しており、現在フランスで2番目に多い詐欺なのだそうです。その手口は、契約者の携帯電話に、カードの更新や更新を促すメッセージが届き、リンクをクリックすると、「国民健康保険」のサイトとよく似たサイトが表示されます。そして、新しいカートヴィタルを送るために、住所を聞かれるのです。

 しかし、それを受け取るためには、数ユーロを支払わなければならない。その後、詐欺師は「支払いはお客様のクレジットカードで支払うことができます」と誘いかけます。詐欺師は84セントを支払うようにという話でしたが、数百ユーロが引き落とされるという被害が続出しているようです。

 中には、なかなか巧妙な手口を使う場合もあり、詐欺師は、被害者に銀行員のふりをして電話をかけてきて、「あなたは、こんなところに住んでいて、こんな銀行のカードを持っている、こんな人です」と自分を信用させるための情報をすでに持っていて、さらには、銀行カードの不正利用を逆に彼ら自身から伝えることで、被害者を安心させようとするようです。

 SMSと電話を巧みに利用する新手の詐欺です。フランスにお住まいの方は、くれぐれもご注意を! 健康保険がメッセージでカートヴィタルの更新を依頼することはなく、カードの更新は薬局で完全に無料で行われるもので、決してネット上で行われるものではありません。

 その他、フランスでは、最近、荷物の受け取りに関するSMS上での詐欺を目にしたことがありますが、私の場合、荷物を受け取る予定はなかったために「ん??」と不審に思ったので、調べてみると案の定詐欺であるということがわかりました。

 不審に思ったら、その文面をそのままコビーしてググれば、詐欺被害の情報が出ていますので、調べてみた方がよいかもしれません。

 そういえば、先日、日本に一時帰国していた際に、私は初めて自宅の電話で「オレオレ詐欺」らしき電話を初めて経験しました。日本のオレオレ詐欺は、ずいぶん昔から聞いたことはあったのですが、実際にその電話に出たのは初めてでした。

 電話に出ると、若い男性の声で、「あ〜俺・・」、家の固定電話ですから、勧誘などの電話以外は、だいたい知っている人からしかかかってきません。たまたま弟と連絡をとらなければならない要件があった私は、一瞬、弟だと思い、「あ〜○○!」と弟の名前を言いました。

 しかし、どうも、声が少し若いようで、いや、でも国際電話(弟は海外にいる)だからなのかな?と一瞬思ったものの、どうにもおかしい・・「え〜ほんとにあなたなの?」というと、「そうだよ・・」と、「今、どこにいるの?」「仕事中だよ」「仕事中ってどこよ?」ここまで言って、相手が適当な日本の地名を言えば、絶対に違うことがわかると思ったのです。

 そこまで来て、相手はそれには答えずに「やだな〜疑ってるの?」とばかり、繰り返すだけ・・これが本当に弟ならば、疑ってるの?などとは言いません。結局、相手は要件を伝えないままに諦めたようで、電話は切ってしまいましたが、「オレオレ詐欺ってほんとにオレオレって言うんだな・・」などと思ったものの、若い人がこんなことを昼日中に必死にやっていることが情けなくて、とても嫌な気持ちになりました。

 しかし、これほど有名な詐欺も、もう私が海外に出る前からあった話ということは、もう20年以上も前からあったこと。凝りもせず、こんなことが続いているということは、それなりに騙されている人がいるということです。

 最近は、日本のATMにも、そのような被害に気をつけてくださいなどという張り紙もあり、少しまとまった金額の現金を窓口でおろそうとすると用途などもうるさく聞かれると叔母などが嘆いていました。

 フランスの場合も日本の場合も少しの隙をついて、騙そうと企む人は後を絶たないようです。見慣れないものを見かけたら、まず疑ってかかることが、必要なのかもしれません。


Carte Vital 詐欺 オレオレ詐欺


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2022年4月23日土曜日

フランス司法当局 カルロス・ゴーンに国際逮捕状発行

   


 夜、テレビをつけたら、カルロス・ゴーンがインタビューに答えているところでした。

 ウクライナでの戦争開始以来、ニュースの大半は戦争関連の話題に切り替わり、一時は大統領選挙さえも、一掃されていました。さすがに現在は、大統領選挙が目前に迫ってきて、選挙関連の報道が増えましたが、まさか、このタイミングでカルロス・ゴーンが登場するとは思ってもみませんでした。

 彼が日本から逃亡したのは、2019年の年末のこと。当時は、思いもよらない逃亡劇にフランスでも盛んに報道され、年明け早々にレバノン到着後に彼が世界中のマスコミを集めて行った記者会見なども生放送で報道され、ドキュメンタリー番組まで作られていました。

 当時は、フランス人の知人から、「日本、逃げられてやんの・・」みたいな嘲笑を受けたりしてムッとすることもありましたが、その後、まもなく起こったパンデミックにより、彼についてのニュースもすっかり影を潜めていました。

 この間、一度、彼のフランスの税務当局が彼のフランスでの資産を差し押さえたというニュースが流れたこともありましたが、当の本人はレバノンにいるままで、話題がそれ以上、盛り上がることもなく、すっかり忘れていました。

 それが、ここへきて、このウクライナ戦争と大統領選挙の間に、「フランス司法当局がカルロス・ゴーンに国際逮捕状を発行した」というニュース。

 フランス司法当局の判事は、すでに2度、ベイルートを訪問し、カルロス・ゴーンの尋問を5日間にわたって行っていました。しかし、その内容が報道されることはなく、彼がレバノンにいる限り、如何ともし難い状態なのだと思っていました。

 これまで、フランス司法当局には、レバノン当局にカルロス・ゴーン氏への「告発通知」(フランスでは起訴に相当)を求めるか、あるいは逮捕状を発行するかという選択肢があると言われてきました。 司法関係者によると、最終的に裁判官たちが保持したのは、より「法的安全性」が高いと判断したこの第2の選択肢であったと言われています。

 今回、フランス司法が発行した逮捕状は、企業資産の乱用とマネーロンダリングに関する容疑で、RNBVとオマーンにおけるルノーの販売代理店であるスハイル・バフワン・オートモービルズ(SBA)との間で、1500万ユーロに及ぶ不審な支払いについての容疑を中心とした逮捕状5件とされています。

 カルロス・ゴーンは、すでに日本からの要請でインターポールの逮捕状の対象となっていますが、2018年11月に東京で逮捕された彼は、「不正から逃れたい」と逃亡を正当化し、日本当局の「陰謀」を糾弾していました。

 そして、その時点で彼は、フランスの司法制度を信頼していると繰り返し述べていました。

 昨日のフランスのテレビ局のインタビューで、カルロス・ゴーンは「容疑に関して、全て説明できる用意はできている。いつか、フランスに戻れる日が来ると信じている」と語っています。

 しかし、現実には、このような令状が発行されても、第三国の当局にそれを執行する義務はなく、さらに、レバノンはフランスと同様、自国民の身柄を引き渡さない。具体的には、レバノン当局にはカルロス・ゴーン氏をフランスに引き渡す義務はない、ということです。彼はレバノン国籍とともにフランス国籍(同時にブラジル国籍)も持っているので、フランスとしても自国民の身柄を要求することはできないのだろうか?とも思います。

 68歳の彼は普通の人間ならば、引退する年齢ではありますが、今年、2月の段階では、ベイルートにおける仏紙Le Parisienの独占インタビューで、自分のイメージを「再確立」する決意を述べ、「これまで私が何をしてきたか、私が誰であるかについての意見を操作する試みがあまりにも多かったので、自分のイメージを再確立することが重要だと思う」と語り、まだまだ復活する心積りでいたと思われます。

 彼が本当に、全てを説明できる準備ができていて、フランスの司法を信頼しているのであれば、堂々とフランスに出頭すれば良いはずなのですが、彼の算段としては、おそらく、自分のイメージを再確立して、ある程度の世論を味方につけてからというものであったかもしれませんが、現在の世界の状況は、戦争にかき消されて彼の発言などに注目は集まりません。

 パンデミックのために彼の罪は世間からは、忘れ去られようとしていましたが、その後、ウクライナ戦争という大事件が起こっても、フランス司法当局は、決して忘れていないどころか、着々と次の段階への準備を続けてきていたのです。

 もともと日本で逮捕されたカルロス・ゴーンではありますが、日産とルノーという日本とフランス両国に関わる人物であっただけにフランスとて黙っているわけはありません。

 お役所仕事は何かと滞るフランスも税務署、財務司法となると他とはわけが違います。先日もロシアのオリガルヒの資産凍結をあっという間に行ったばかり・・日本が取り逃したカルロスゴーンを今度はフランスがとことん追求してもらいたいものです。

 

カルロスゴーン国際逮捕状


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2022年4月22日金曜日

ドイツ・ポルトガル・スペイン首脳が異例の声明発表 フランス大統領選挙はもはやフランスだけの問題に留まらない

  


 フランス大統領選挙目前の最終候補2人の直接対決の討論会の翌日、ドイツ・ポルトガル・スペインの首脳が仏ル・モンド紙面で、フランス大統領選挙に際して「民主的な候補」の選択を求める声明を発表しました。

 ドイツのオラフ・ショルツ、スペインとポルトガルのペドロ・サンチェスとアントニオ・コスタの政府首脳は木曜日にル・モンド紙に掲載した記事で、フランス大統領選挙の第2ラウンドで、名前は出してはいないものの、エマニュエル・マクロンへ投票を行うよう暗に呼びかけています。 

 同紙によると、彼らは「フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要である」「ヨーロッパ共通の価値を守ることができる主導者が必要である」と述べています。

(以下 声明内容)

 「ヨーロッパは時代の転換期を迎えています。歴史を塗り替えようと、ウラジーミル・プーチンはウクライナとその国民に残忍な攻撃を開始しました。マリウポリ、ブチャ、クラマトルスクの映像は、ヨーロッパの最も暗い時代を思い起こさせます。しかし、プーチンの侵略はさらに進んでいます。彼は、欧州の平和秩序の最も基本的なルールを破りました。血塗られた過去に何度も行ってきたように、力による国境線の引き直しを行わせないためにヨーロッパ全体の連帯が必要な時です。この戦争は、フランスと私たちの国が守る価値観、すなわち民主主義、主権、自由、法の支配の秩序を揺るがすものです。」

 「我々の国も同様にポピュリストや極右の政治家は、現在は、ロシアから距離を置こうとしているような姿勢を見せてはいても、彼らの基本的な姿勢はプーチンを思想的・政治的モデルとしており、彼の民族主義的主張に共鳴する部分を持っていることを忘れてはなりません」

 極右(マリン・ルペン候補)は過去にクリミア半島の併合を容認しており、現在はロシア侵攻を非難している立場をとってはいるものの、この3首脳は、「今、彼女がロシアから距離を置こうとする姿勢をみせていても、過去の発言を決して忘れてはいけない」と警告しています。

 「これらの要素を考慮すると、フランス大統領選挙の第2ラウンドは、私たちにとって、他の選挙とは異なるものです。フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要です。強力で自立した欧州連合(EU)においてフランスはより強くなると信じる民主的な候補者と、フランス啓蒙主義から直接もたらされた基本的価値である自由と民主主義を攻撃する人々の側に公然と立つ極右の候補者の間の選択です」

 「フランスは欧州プロジェクトの中核を担う国であり、民主主義の旗手となり、常にリーダーシップを発揮してきました。近年のパンデミックにおいて、さらに強化されたヨーロッパ全体の連帯は、現在、ロシアのような権威主義的な国の侵攻を許さないために、国家主権を制限することなく、各国が繁栄し、さらに強力な統一が求められている重大な局面にあります」

 「我々は、フランスを必要としています。我々の共通の民主的な共通の価値を守るフランスは、我々が自らを認める欧州において、自由で世界に開かれ、主権があり、強く、同時に寛大な国です」とし、「フランス国民がこのヨーロッパ共通の価値を守る選択をしてくれることを望んでいます」と締めくくっています。

 EU(欧州連合)加盟国の首脳が他国の内政に干渉するような声明を発表することは、極めて異例なことで、現在、ロシアのウクライナ侵攻により、ヨーロッパ全体が極めて重大な局面に置かれているかということが、フランスの大統領選挙を目前にして、3国の首脳が他国の大統領選挙に口を出すという声明発表に現れています。

 現在、フランスはEUの議長国でもあり、それがもしも、極右の大統領が取って代わるとなれば、ヨーロッパ全体の連帯が揺らいでしまうことに繋がりかねないと彼らは非常に懸念しているのです。

 今回のウクライナ戦争に際しても、プーチン大統領ともゼレンスキー大統領とも頻繁に連絡を取り続けてきたマクロン大統領に対して、ゼレンスキー大統領は、一昨日行われた仏BFMTVのインタビューで、「マクロン氏とルペン氏のどちらの大統領を望みますか?」という質問に対して、これは私が決めることではないと苦笑いしながらも「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と答えています。

 どうやら、海外においては、決して他人事としては、捨ておけず、マクロン大統領を望む声が多い様子のこの大統領選挙。

 フランス国民はどんな選択をするのでしょうか?

 選挙権がないことをこれほど残念に思うのは、初めてです。


ドイツ・ポルトガル・スペイン3国首脳 フランス大統領選挙


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2022年4月21日木曜日

フランス大統領選挙目前のエマニュエル・マクロン VS マリン・ルペンの討論会

   


 フランス大統領選挙・最終投票を目前に控えて、最終候補に残った2名、エマニュエル・マクロンとマリン・ルペンが直接対決する討論会が行われました。

 これは、フランスでは以前から大統領選挙の前には必ず行われている伝統的なもので、5年前にマクロン氏が当選した際の選挙前にも、同じ2人がこの討論会に参加。5年の歳月を経て、奇しくも同じ2人が再び対決することになりました。

 前回の大統領選挙の際には、パンデミックも戦争もなく、現在の世界状況と比べてみれば、格段に平和だった時で、正直、私はそれほど注目していませんでしたが、今回、同じ2人が再び対決するにあたって、5年前の討論会の映像が流されるのを見るにつけ、マクロン大統領は若かったんだなぁ〜と、逆に言えば、歳とったなぁ〜と思うのです。この5年間の彼の苦労がスベスベだった顔に皺を刻み、顔つきも厳しくなった気がします。

 今回の討論会は、前回に比べると、途中、数回、緊迫し、語気を荒げる場面はあったものの、比較的穏やかに進んだような印象を受けました。実際に討論会の中で本人同士がそんなことを呟きあっている場面もありました。

 討論の内容は、現在のインフレに対応する購買力問題について、ウクライナ戦争を中心とする国際外交について、財政問題について、環境問題について、定年の年齢設定・年金問題について、安全保障について、国際競争力について、移民問題について、教育問題について、環境問題についてなど多岐にわたり、とても2時間50分の討論では語りきれない内容で、司会者が途中で話題を遮り、進行していきましたが、全体的には、マリン・ルペン氏は、国民が喜びそうな減税や定年の年齢の前倒しなどの抱負を語ったものの、一体、そのお金はどこから出てくるのか?と素人の私でさえ感じてしまうものでした。

 具体的な数字の提示も曖昧で不明瞭なものが多く、たびたびマクロンが厳しく訂正する場面が見受けられ、逆にそれが、マクロンの現職の大統領としての説得力を際立たせ、これまでの功績をアピールさせるきっかけとなる感じでした。

 この討論会は、生放送で放映され、この中継は、両者が会場に到着する前から、カウントダウンされ、まるで、この放送で大統領が決まるかのように盛り上げるように演出されていましたが、実際に相当の視聴率をとっているものと思われます。

 この討論会の始まる直前の世論調査によると、すでにどちらに投票するかを決めているという人が87%、まだ検討中という人が13%と発表されていましたが、この放送直後の視聴者の支持率は、エマニュエル・マクロン59%、マリン・ルペン39%と発表されました。

 フランスの厳しいところは、この放送直後から、すぐにこの討論会を振り返り、一言一句を検証しなおし、この討論会に臨んだ両者の態度、視線の送り方から、身振り手振りについてまで、厳しく評価し合うジャーナリストが再びこの討論会について、討論しなおすところで、そんなところは、議論好きのフランス人の様子がまざまざと見えるところ。この討論会についての討論会でも、誰もがよく喋ること喋ること・・。

 最初は、今回は、相手を尊重しながら話を進め始めたな・・と思われたエマニュエル・マクロンも、途中から、話が白熱していくに従って、彼が一定の層に嫌われる「偉そうな感じ(傲慢な感じともとれないではない)」が現れ始め、「おまえ・・全然、わかってないな・・」とでも言いたげな感じでかなり強引な説明をし始める場面には、このマクロンを嫌う層には、ますます嫌われるように映ったのではないか?とも思われます。

 フランス大統領選挙は、数日後。外国人である私には選挙権はありませんが、それでも、政権によっては、大きく状況は変わっていくので、この結果を見過ごすことはできません。

 ましてや、ウクライナでの戦争中、フランスだけでなく、ヨーロッパ全体にも、国際的にも影響していくであろう大統領選挙です。

 フランスは大統領選挙も国民投票で行われることもあると思いますが、この国民の政治に対する関心の強さ・・日本にも少しはあったらな・・と思うのです。


マクロン VS ルペン討論会


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2022年4月20日水曜日

海外在住者の日本での国民年金支払いについて私が勘違いしていたこと

   


 そもそも私が海外に出ても、日本の国民年金の支払いを続けてきたのは、「けっこう長い間、日本で会社勤めをしていた分の厚生年金を無駄にしてしまうのはもったいないわよ・・」という母の助言があったからで、しかし、後になって考えてみるとその後の支払いの方がずっと長かったわけで、今となっては、支払い続けた方がよかったのか?それとも、支払い続けていてやっぱりよかったのかは、よくわからないな・・と思ったりもします。

 現在、すでに年金を受給できている人々はまだ、マシとしても、将来、年金をもらえる年齢に達した時には、一体、どれほどの年金がもらえることやら、この高齢化社会に拍車がかかっている日本では、期待ができないのが正直なところでもあります。

 しかし、すでに、あまり考えることなく、自動引き落としにして、支払い続けてきてしまった私としては、これまで支払ってきた期間よりも、この先支払う期間の方が短いわけで、もうこの際、今さら支払いをストップするまでもないと思ってきました。

 なんだか、エンドレスに支払いが続くように感じていた国民年金の支払いも60歳の誕生日の1ヶ月前には終了するという話を昨年、友人から聞いたので、それが終われば、すぐに受給できなくても、とりあえず支払いからは解放されるだけでもいいな・・などと、お気楽に考えていたのです。

 しかも、フランスは日本と社会保障協定を結んでいるので、フランスでの就労期間分と合算して計算してくれるという話も聞いていたので、今回、日本に一時帰国した際に年金事務所に出向いて、色々と説明を受けてきました。

 私が年金事務所に行ったのは、3月末で、まずは、見当たらなくなってしまった日本の年金手帳を再発行してもらい(今年4月からは年金手帳は不要になり、基礎年金番号さえ自分で控えておけばよいことになったらしい)、現在の私の年金の支払い状況やフランスとの合算の話を聞いてみました。

 すると、それ以前にショッキングなことは、海外在住者の年金支払いの場合は、任意加入のために、そのまま放置しておくと支払いは65歳まで続いてしまうとのこと。もちろん、任意加入を停止すれば、その時点で年金の支払いは終わりますが、その分、受給額はそこまでの分で計算されるために、当然、65歳まで支払った場合と比べると年間にして10万円程度少なくなりますとのこと。

 つまり、これまで海外に在住しながら年金を支払い続けてきた場合、60歳になった段階で、支払い停止の手続きをしなければ、自動的にさらに5年間の支払いは続くということです。

 年金事務所の人の説明によると、「年金の支払いは年額約20万円、それを5年間続けて支払ったとすると100万円、その後、10年間受給できれば、元が取れます」「日本女性の平均寿命は87歳ですから、恐らくお支払いになっても元は取れるかと・・」「しかし、任意ですから、すでに最低期間はお支払いになっておられますから、ご希望になられれば、いつでもお支払いを停止することはできます」とのこと。

 はっきり言って、そんなこと言われても、自分の寿命なんてわからないし、もともと、年間10万円増えたところで、どれほどのものなのかもピンとこないために、これについては、まだ先のことでもあり、保留することに・・。

 次にフランスの就労期間分との合算については、「あなたの場合、日本の分だけで受給資格に達していますので、日本で受給することに関してはフランスの分を合算する必要はないので、フランスの方で受給期間が達していない場合はフランスの方でお問合せください」という、どうにも両国内での合算に関しては消極的な回答。

 わかったような、わからないような、私自身もまだ先のことで、あまり具体的に考えていなかったこともあるのですが、それぞれに受給資格に達している場合は別々に受給して下さいということなのでしょうか?

 日本もフランスも年金が受給できる年齢は年々、上がっていくので、一体、いつのことになるのやら・・。

 フランスでは、大統領選挙を目前に控えていて、選挙前の大統領候補者の公約には、定年の年齢の設定が必ず入っていますが、私が定年を迎えるまでに、あと何回、大統領が変わるのかわかりません。フランスとて定年の年齢が早まることは考えづらく、どちらにしても、今から色々と考えても、結局は、どんどん制度は変わっていくし、なるようにしかならない・・という結論に達するのです。

 「あなたの場合、この国民年金の受給額プラス厚生年金の分が加算されますよ」とのことでしたが、いずれにしても、日本の年金だけで生活できるような額になるとは到底、思えないわけで、今さら年金のことをあれこれと考えるよりも、その他の手段を考える方が賢明のような気がしてしまったのでした。


海外在住者の日本の国民年金支払い


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2022年4月19日火曜日

ウクライナに招待されているマクロン大統領 ジェノサイドという言葉

  


 フランス大統領選挙が間近に迫ってきて、一時はウクライナ戦争一色になっていたフランスの報道もさすがに大統領選挙に関わる報道も同時に報道されるようになってきました。

 政治の話題が大好きなフランス人にとって、また国民投票で採択される大統領選挙は、本来ならば、もっと全面的に報道されているはずの話題です。

 自らがロシアに出向き、プーチン大統領との直接会談に及んだにも関わらず、ウクライナ戦争が勃発し、その後もほぼ毎日のように、ロシアとウクライナ双方の大統領との電話会談を続ける中で、選挙の立候補の公示はギリギリまで行わず、書面にて立候補を表明したマクロン大統領は、このウクライナ戦争への外交対応が評価されたこともあり、当初は圧倒的に優勢な状況だと見られてきました。

 ところが4月に入ってからは、対抗馬のマリン・ルペン氏の追い上げを受け、マクロン氏も、いよいよ本格的に最後の追い込みをかけ、現在のところ、依然としてマクロン大統領が優勢だと見られています。

 2月末から3月にかけては、大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la Républiqueにも、連日のように、ロシアやウクライナをはじめとする世界各国の首脳との電話会談の内容が記されてきましたが、4月に入ってからは、国内の閣僚会議の内容がポツポツと記されているのみに留まっています。

 実際に彼が何もしていないわけはないのですが、大統領選挙を目前にして、また、戦況も沈静化せずに、ロシアとウクライナの仲介も進展しないことから、記載を控えているものと思われます。

 先日、ウクライナでの悲惨な映像が公開されたことから、米国バイデン大統領がロシアのウクライナ侵略への残忍性を訴え、「ジェノサイド」という言葉を使ってロシアを非難したことについて、マクロン大統領は、「国の指導者は、言葉に注意を払うべきだ」という発言をしたことが話題になりました。

 このマクロン大統領の発言は、少なからず、電話会談を続けてきたウクライナのゼレンスキー大統領を失望させたようで、同大統領は、マクロン大統領に「実際に目の当たりにすれば、これは戦争ではなく、ジェノサイド以外のなにものでもないことを納得してもらえるだろう」と、機会があれば、ウクライナを訪問してほしいとお願いしたと語っています。

 しかし、現在のマクロン大統領は、大統領選挙を目前にしたタイミング。日程的にも無理なだけでなく、彼自身は、ジェノサイドという言葉は、国の指導者としては、慎重に使わなければない言葉で、この言葉を使って非難することが、戦争終結のためにならないと考えています。

 マクロン大統領は、このロシアが一方的に残忍な戦争を仕掛けたことや、ロシア軍が虐殺行為、戦争犯罪を行っていることは狂気の沙汰であり、信じがたいほど残忍な行為だという事実自体は認めているものの、現時点で欧州の一国の国家元首として、このジェノサイドという言葉を使って非難することは、プーチン大統領を追い詰めて、さらに戦争を悪化させると考えているのです。

 これは、プーチン大統領がウクライナに対して戦争を始める理由にも自分たちが被害者として使っていたワードでもあり、かなりプーチン氏の中でもキーワードになっている言葉でもあるからです。

 現在はどの程度の頻度で話しているのかは、わかりませんが、一時は毎日のように、4時間、5時間とプーチン大統領と会談し続けてきたマクロン大統領にとって、ジェノサイドという言葉は、プーチン氏を過度に刺激させないためのNGワードなのだと思われます。

 実際にあのプーチン氏を怒らせず、言いたいことを伝えようと電話会談を続けてきたマクロン大統領がとる当然の姿勢のようにも感じています。

 どちらにしても、もしも、マクロン大統領が再選されなければ、ウクライナ訪問もあり得ないことであり、もし、訪問したとしても、彼の発言の重さはまったく違うものになります。

 もし、彼が再選されて、ウクライナを訪問して、実際の戦況を目の当たりにしたとしても、ジェノサイドという言葉を使ってロシアを非難することは恐らく、ないであろうし、だからこそ、現段階で、彼がウクライナを訪問することもないのではないか?と私は思っています。


ジェノサイド マクロン大統領ウクライナ訪問


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2022年4月18日月曜日

海外に持ち帰れる、おススメ日本の食料品

  

日本で買ってきたダシ類オンパレード ほとんどが乾燥ものなので重量も嵩まない

 

 日本に一時帰国した際の重大任務の一つは、膨大な日本の食料品をフランスに持ち帰ることにあります。だいたいは、常日頃から、「今度日本に行ったら買ってくるものリスト」を書き留めておいて、最終的に帰国時にパリの家に残っている日本の食料品のストックと照らし合わせながら、日本に到着したその時から、徐々に買いだめが始まります。

 今回の一時帰国は、その帰国自体がフライトが何度もキャンセルになったりして、いつまでもはっきりしなかったこともあり、その他に日本入国のための書類等を作成したりしなければならず、また、本当に行けるかどうかもギリギリまで心許なかったために、日本に持って帰るお土産品などもギリギリまで買いに行けなかったために、バタバタで、いつもの「日本での買い物リスト」は作らないまま出発してしまいました。

 とはいえ、今回は、2年以上も日本へ行けなかったために、いつもなら、多少はあるはずの日本の食料品は、ほぼ枯渇状態で、どうしても必要なものは、少々高いし、品質も落ちるけれどもパリにある日本食料品店やアジア食材店などで購入しなければならなくなっていたほどでした。

 しかし、まあ、そこは長年の海外生活。どうしても買って帰りたいものは、だいたいいつも同じだし、日本に行ったら行ったで、買って帰りたいものは山ほどあるので、何を買って帰りたいのかに困ることはありません。

 とはいえ、持って帰れる荷物の重さは限られていて、一人あたり23キロのスーツケースが2つ分、計46キロです。そのうち10キロはいつも叔母がどこかから取り寄せてくれている美味しい日本のお米、今回は、特に出汁を中心に食材を集めました。

 というのも、昨年から、EUでは、EU製品の保護のために、輸入品に対する新たな規制が設けられ、現在、日本食料品店等が抱えている在庫がなくなり次第、販売ができなくなるという噂が俄かに流れているからです。しかし、まだ実際には売られているので、結局どうなるかはわかりませんが・・。

「EUにおける新たな混合食品規制について」

 実際にEUが定めている新規制の対象となる商品の項目には、「肉、魚、甲殻類、軟体動物などのエキスまたはジュース」というものが含まれていて、実際にこれが本当にダメとなると、日本のダシ類、しまいには、カレールーなどもひっかかるわけで、今のところは、売っていますが、これらが手に入らなくなることもあり得ると思ったからです。

 まあ、もともと日本で買ってくる食料品は、ダシ類にしても、もともとフランスではほとんど売っていないものを買ってくるので、どちらにしても「買ってくるものリスト」には、入っているものです。

 現地の食材を使って日本食を作るとしても、やはりその基本となるのはなんといってもダシに頼ることが多く、逆にダシさえあれば、なんとかなるといっても過言ではありません。

 そして、特に貝類のダシ粉末は、洋風のお料理にも使えて、味わいも深まるので便利に使っています。

 


 また、いつも日本に行くと持って帰る食品を物色する富澤商店で買うものは、ゆずの皮や乾燥あさりなのですが、今回、新たに乾燥梅肉、乾燥明太子なるものも発見、これはふりかけのようにしてもいいし、お料理のアレンジにも使えそうで、ちょっと満足しています。

 


 そして、混ぜるだけで白和えができるひじきや、納豆気分が味わえる納豆昆布なども今回、新たに見つけたものです。

 



 その他、フランスでは売っていないコーンスープや黒七味なども、たいてい日本で買ってくるものに入っています。

 

 また、私にとって、忘れてはならないのは、なければ自分で育てる日本の野菜のタネです。買ってきてみたら、原産国フランス・・なんていうものがあったりして、仰天しています。




 なかには、食料品ではないけど、食料品に準ずる?ものとして、日本の焼き鳥サイズの竹串や色々な場面で使いやすいお気に入りのジップロックなどもあります。


 

 この他、ここにはわざわざ載せるほどでもないような、おせんべいやスナック類などのお菓子、お漬物、明太子、干物、つくだに、味噌、梅干し、さきいか、ふりかけなどなどを詰め込めるだけ荷物に詰めると、だいたい、家で計量していくのですが、家の体重計が定かではないため、羽田で荷物の計量の瞬間は、緊張の瞬間です。

 今回も見事、23キロ×2=46キロ、ほぼほぼジャストで、無事に荷物は全て持ち帰ることができました。

 これまで、羽田で計量の際に少々、オーバーして、「手荷物にいくらか入れ替えてください」とか、「お引越しですか・・大変ですね・・」などと言われたり、ずいぶん恥ずかしい思いをしたこともありましたが、毎回、私が日本から帰ってくる時の荷物の9割以上は食料品です。

 日本からのフライトで荷物が紛失したことはありませんが、これがロストバゲージにでもなった日には、それこそ発狂ものです。

 毎回、荷物の心配をしてくれている日本の叔母たちには、フランスに無事到着すると、「私も荷物も無事にフランスに着きました」と報告するくらいです。

 現在は、日本からの食料品も潤沢にあり、実にご機嫌な毎日を過ごしています。

 そんなに日本食品が好きならば、いっそのこと日本に住んだらいいのに・・と思われるかもしれませんが、「いつでも簡単に手に入る状態だったら、こんな幸せは感じられない」と、私はやや自虐的に喜びを噛み締めているのです。


日本帰国時に買うべき日本食材


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2022年4月17日日曜日

コロナウィルス感染対策 フランス(ヨーロッパ)と日本の違いは大きくなった

  



 日本に一時帰国していて、しばらくフランスのニュースはほとんど見ていなかったので、フランスでのコロナウィルス感染の様子は、なんとなく感染者数がまた、少し増加しているな・・くらいには、見ていたのですが、詳しいニュースを見ることはありませんでした。

 しかし、新型コロナウィルスに対する感染対策のフランス(ヨーロッパ)と日本の感染対策の違いについては、身を持って感じてきました。

 まず、日本入国の厳しい入国の際の何重にもわたる書類チェックと空港での検査、その後の隔離措置などには、それにかけられている人員の多さや手続きの煩雑さに少々辟易していました。

 いざ、日本の街中に出ても、屋外でさえもマスク率はほぼ100%で、2週間強の滞在期間中、マスクをしていない人を見たのは、片手で足りるほどで、パリでも「日本人だからマスクは苦にはならないだろうけど・・」などと言われてしまうだけのことはあり、本当にみんながマスクをしていることに正直、あらためて感心してしまったほどでした。

 日本を出国する際、飛行機に搭乗する際には、PCR検査が求められるのかと思いきや、出ていく人には、関係ないとばかりに、あれほど厳しかった入国のためのチェックをよそに、ワクチン接種証明書が求められただけでした。

 しかし、羽田空港のガランとした様子は、少なからずショッキングでもあり、渡航する人が格段に少ないのだということを思い知らされた気がしました。渡航したとしても、日本に帰国する際に、これだけ面倒な手続きがあったら、そりゃ、渡航は思い留まるよな・・とも思うのです。

 今回は、ロンドン経由のフライトで、経由のために到着したヒースロー空港は、早朝というのに羽田とは別世界のなかなかな人出で、もう別世界、ロンドンに至っては、空港内でさえもマスクをしていない人もけっこう見られました。

 そして、さらに驚いたのは、パリ・シャルル・ド・ゴール空港でフランスに入国した際には、さすがにマスク着用が義務付けられてはいましたが、入国手続きは通常と同様のもののみで、検査どころか、ワクチン接種証明書のチェックさえありませんでした。

 日本からフランスへの入国はたしか、3回のワクチン接種証明書があれば、その後、検査も隔離もなし・・という話は聞いていましたが、まさかのワクチン接種証明書のチェックもなし・・アトランダムにはチェックはしているようではありますが、現実はほぼスルー。

 まあ、飛行機に搭乗する際にワクチン接種証明書のチェックはされているので、その時点でチェックは済んでいるものとみなしているのか?だとすれば、合理的といえば、合理的ではあります。

 感染対策規制は、その国の感染状況に準ずるものであることはわかりますが、パンデミック開始以来、2年以上が経過して、日本とフランス(ヨーロッパ)は、感染対策について、全く違う道を歩み始めていることを感じました。

 現在のフランスの1日の新規感染者数は、13万5千人前後(ここ1週間の平均値)、日本は5万5千人程度で、相変わらずフランスでの感染状況は決して安心できるものではないのですが、コロナウィルスに対する危機感は、格段に薄らいでいます。

 ウクライナ戦争が勃発して以来、すでにコロナウィルスのニュースはすっ飛んでいましたが、現在は、それに大統領選挙のニュースが加わり、とてもコロナウィルス感染に関するニュースが入り込む隙はありません。

 あえて、コロナウィルスに関するニュースを探せば、ある程度は出てきますし、それなりにフランス公衆衛生局(SPF)の科学局長が、「我々は、長い流行を経て、SARS-CoV-2ウイルスの循環が非常に激しい、特別な時期にある」などと、依然として感染に関する警鐘を鳴らしているという報道も見つかるのですが、テレビのニュースなどの一般的なニュースでは報道されていません。

 街中は、私が日本へ発った3月と比べると、気温も上がったこともあり、街中のマスク率も一段と低くなったようです。

 しかし、コロナウィルスが絶滅したわけではないので、現時点では、どちらが正しい対応なのかは、わかりませんが、この感染対策に対する姿勢が全く異なる姿勢で動いていることだけは明白です。

 ただ、全てのフランス人が緩んでいるのかといえば、そういうわけでもなく、先日、帰仏後に会ったフランス人は、自分も当初、感染して苦しい思いをしたこともあるせいか、「まだ、コロナは無くなったわけではない・・」などと言いながら、新しく改良されたマスクを自慢しながら、「4回目のワクチン接種をする機会があれば、自分はやるつもりだ・・」と言っていましたし、それなりに警戒している人もいるようです。

 しかし、一般的には、気候が良くなっていることも手伝って、コロナウィルスに対する警戒は激減していると言わざるを得ない感じで、今後、再び壊滅的な被害が拡大しない限り、フランスでは、この緩んだ空気を引き締めることは難しそうです。

 もっとも、フランスは12月末から1月にかけて、驚異的な感染者数を記録したために、これにより、かなり多くの人が免疫を持ったと考えることもできます。

 それにしても、同じウィルスに対して、これだけ違う対応を取っていると言うこと自体が驚きで、この対応の違いにより、再びフランス(ヨーロッパ)が壊滅的な感染状況に陥ってしまうのか? はたまた、日本での経済停滞が進むばかりになるのか・・いずれにしても、コロナウィルスが消滅する兆しはまだまだ見えない中、どちらの心配も解消することはできません。


コロナウィルス感染対策


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2022年4月16日土曜日

インフレも何も全然関係ないエルメスの絶好調

  


 考えてみたら、以前、パリのエルメスの本店に行ったのは、もう10年以上前のこと。空港内に入っているエルメスのお店などを通りかかったついでにふら〜っと覗くことはあっても、わざわざブランド物のお店に行くことはありません。

 私も日本に住んでいた若かりし頃に、一時はブランド物に憧れた時期もありましたが、名だたるブランドものの本拠地でもあるようなパリに来てからは、逆に、およそ、そのようなものとは無縁な生活になり、だいいち、そんなものを持って歩けばたちまち危険な目に遭うことが目に見えている環境では、ブランドものにも興味が失せて、たまに通りかかってお店に入ってみることがあっても、まるで博物館を見るような気分で眺めていました。

 それが、今回、日本に一時帰国した際に、歳の離れた従姉妹から、「エルメスで欲しいものがあるんだけど、日本では、どこでも手に入らないから、パリの本店ならあるかもしれないから買ってきて!」と言われて、久しぶりにエルメスの本店に出向くハメになったのでした。

  

店内に入るとまず馬具のエルメス

 

 考えてみれば、以前にエルメスに行ったのも、彼女に頼まれたエルメスの手帳を買いに行った時で、その時は、難なく商品は手に入り、手帳としては高額とはいえ、まあそこそこの値段で、まだ小さかった娘を連れて、彼女に頼まれた買い物をした時以来でした。

 思い起こせば、あの頃はまだ、エルメスのお店もほのぼのとした感じが残っており、会計を済ませて、店員さんが商品を持ってきてくれた際に、「大きくなったら、中身を買いにきてね!」と、エルメスの小さな小箱を娘に渡してくれて、「なかなか粋なことするな・・」と思ったのを覚えています。

 箱をもらった娘は、「なんで、あんなに高い手帳、〇〇ちゃん、欲しいんだろう?」などと、まるで解せない感じでいた上に、大きくなってから、成人を迎えた際に、私が「成人式の記念だから、何か後に残るちょっといいものでも・・エルメスの時計なんてどう?」などと持ちかけたことがあったのですが、「エルメスはあんまり好きじゃない」とあっさり却下。

 フランスでもブランドものを欲しがる人も中にはいるものの、一般的には、身の丈にあわないブランドものを持つのはみっともない・・それよりも、個性的なおしゃれを工夫する方がよい・・と考えている人が多く、また、お金は別の使い方(バカンス)をする人の方が多いのが現実です。

 しかし、このパンデミックに続いて、戦争に突入し、あらゆるインフレが進む中、LVMH(ルイ・ヴィトン)やエルメスなどの高級ブランドは、売上を軒並み伸ばしているということもニュースでは聞いて、知っていたのですが、実際に久しぶりにエルメスのお店を覗いてみてびっくり。

 平日の昼間にこんなに人がいるとは・・しかも、そこで売られているものは、普通のお店に置かれているものとは、価格の桁が1つも2つも異なるものばかりです。平日の昼間というのに、店員さんに商品の問い合わせをするだけでも延々と待つハメになり、絶句しました。

  


 あらゆるものが値上げされている世の中、そもそもの価格がもうちょっと常軌を逸した金額のため、もうそれを買いたい人にとっては、少々の値上げなど、もうあまり響かないのかもしれませんが、それにしても、どこから、こういう人々が湧いてくるのかとちょっと不思議な気がしました。

 店内の周囲からは、英語で会話している人も少なくないために、その多くは観光客なのだろうということは想像がつきますが、あまりに私のパリでの日常生活とは無縁な空間でのこの高価なものが飛ぶように売れている現場に呆気にとられてしまいました。




 私が従姉妹から頼まれた「コンスタンスなんとか・・」という商品は、日本のサイトでは、100万円以上の値段がついているもので、軒並み売り切れ、パリではいくらなのかは知りませんが、こんな高額なもの、立替えできないよ・・と言ったら、自分のカードまで渡して、「でも、どうしても欲しいから買ってきて!」という従姉妹。

 「そこまでの高額になるとレートによってもずいぶん違うと思うよ・・」と考える私などはせこいのでしょうか?「レートなんてどうでもいいから・・」という彼女の金銭感覚も理解できませんが、そこまで言うなら、たまには、エルメスを覗いてくるのもいいかな?と彼女のカードを預かって、引き受けたのでした。

 しかし、彼女のご希望の商品は、残念ながら、パリでも完売で、今後の入荷予定もないということで、結局、買うことはできませんでした。

 ブランドものは、たしかに品質もよく、一度買ったら、大事に使えば一生使えるようなもので、長い目で見れば、良いのかもしれませんが、だいたい身の危険がかかっているパリでは、まず、使えないのが現実です。

 ひょんなことで、久しぶりに覗いてみることになったエルメスのお店の盛況ぶりと久しぶりに見る豪華な店内にちょっとしたカルチャーショックを感じてきた1日でした。


エルメス本店


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2022年4月15日金曜日

エネルギー価格の高騰に伴うエネルギークーポンの配布

   


 昨年末の段階で、フランス政府は電力・ガスをはじめとする価格の高騰が続く対策として、100ユーロのインフレ補償手当を支給していました。

 我が家も100ユーロを受け取り、「これなら、いつもの電気代を考えたら、今回の電気代の支払いにはおつりがくるくらいだな・・」と、ニンマリしていたら、なんと、100ユーロでは足りずに追加分を慌てて支払うハメになり、「やっぱり、電気代もずいぶんと値上げしているんだ・・」と、その時点でようやくインフレを実感するという私のボンヤリ具合を自覚したくらいでした。

 私は車を持っていないので、ガソリンの価格が高騰したといっても、あまり実感はなく、食料品などの価格が上がったと言われても、特別に欲しいものでもない限り、もともと安くなっているものしか買わないので、正直、あまりインフレの実感はなかったのです。

 しかし、我が家のアパートは、オール電化で、電気料金の値上げは切実な問題で、今後の電気料金の支払いを考えると、「これは節電を心がけなければ・・」などと思っていたのです。

 しばらくフランスを留守にしていたので、溜まった郵便物やメールをチェックしていたら、その中に、EDF(フランス電力)からのメールを発見し、内容は、「あなたにエネルギークーポンが支給されています。エネルギー小切手は、次回のEDFの請求書または分割払いから差し引かれる予定です。また、お会いしましょう。あなたのEDFアドバイザーです」というもので、ちょっと胡散くさい感じもするので、「最近は、この手の詐欺メールもあるから、下手にいじるのはやめよう・・」と思って、そのまま放置していたのです。

 しかし、「そういえば、私は最近、EDF(フランス電力)のアカウントを作ったんだった!アカウントをチェックすれば、このメールの内容が本当かどうかわかるはず・・」と思い至り、サイトで自分のアカウントをチェックすると、メールで通知された金額が私のEDFのアカウントに入金されていました。

 その時点で、やはり、このメールは本当のものだったということがわかり、あわてて今回のエネルギークーポン配布についての報道を確認しました。

 どうやら、今回のエネルギークーポンは、2021年のエネルギークーポンを受け取った世帯に対しての、例外的な追加ということらしいです。前回のクーポン配布に際しても例外的な措置とされていましたが、今回も例外的な措置が続いているようです。

 このエネルギーチェックは、2023年3月31日まで使用することができます。

 金額は、各世帯の収入により積算されているようで、高額所得者には支給されていません。

 今回のエネルギークーポンも、前回同様、中産階級・低額所得者への財政的な後押しのようで、もしかしたら、大統領選挙を控えているということも関係あるかもしれません。

 しかし、それにしても、このあたりは、フランスの税務署の見事なところで、きっちり請求もするかわりに、国民(住民)各個人の財務状況(納税状況)をきっちり把握していて、データを全て管理しているために、政府からの援助や支給も速やかに合理的に対応してくれます。

 フランスは、日本のように全国民に一律10万円支給などという不合理なこともしません。

 それにしても、メールでうまい話が来ても、すぐには信用できないあたり、安心して生活できる社会ではない面も同時に感じています。

 次回の電気料金の請求が一体、いくらぐらいなのか?まだわかりませんが、 ひょっとして、またすごい値上げで、また、足りないのかもしれませんが、この全ての価格が高騰する中、少しでも援助してくれるのは、ありがたいことです。

 

フランス エネルギークーポン支給



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2022年4月14日木曜日

日本帰国時、帰仏時のダブル時差ボケの苦しみ 超長距離フライトの後遺症

   


 なんだかんだいっても、日本への一時帰国は楽しいことに溢れています。限られた滞在期間にやらなければならないことは山積みで、その中でのキツキツのスケジュール調整にちょっとウンザリすることもあるし、1日くらい家でダラダラとボーッとしたいな・・などと思っても、すかさず「ゆっくりするのはパリに帰ってからにすればいいでしょ・・」などと娘に言われて、「それもそうだ・・」と思い直して、結局、ギッチリと予定が埋まっていきました。

 それでも楽しい日本での滞在期間が苦しくなってしまう一因には、「時差ボケ」という、どうすることもできない現象が大きく影響しています。

 若い頃は、日本到着後も2〜3日もすれば、いつの間にか現地時間に順応していたものの、最近では、日本時間に適応するまでに、1週間はかかるようになりました。

 たいていは、パリを夕方出ると、翌日(日本時間で)夕方に日本に到着する(直行便では)ので、パリで飛行機に乗ってしばらくすると出てくる食事をして、寝てしまうと、ある程度、飛行機の中でもまとまって寝ることができて、あとは残りの時間は映画などを見て過ごせば、日本に着くのは日本時間の夕方です。

 これまでは、多少は疲れていても、少し頑張って寝ずにいて、夕食をとってから寝れば、ある程度は、少しでも日本時間に慣れていくことができる日本帰国時のリズムができていくように努めていました。

 それでも、翌朝には、朝4時くらいには、ぱっちり目を覚ましてしまうのは、いつものことで、日本到着翌日の朝には、無理に寝ようとはせずに、散歩がてら近所のコンビニを覗いてくるというのが、最近の私の日本へ帰国した際のおきまりのコースになっています。

 シンとした早朝の街を、「あれ?この家、こんなにきれいになったんだ・・」などと近所の家の変化などを楽しみながら、コンビニに足を踏み入れると「ピロリラリン〜ピロリラリン〜」という音に、なんとなく、「あ〜変わらないな・・この音・・」などと思いながら、ツイッターなどで流れていて、「いいなぁ〜食べてみたいな〜」などと思ってみていた新製品をちらちらと見て歩きます。

 どういうわけか、いざ現物を目の前にしてみると、さほど魅力的に感じないのも不思議なことです。

 日本に行った時は、決まって午後4時くらいになると、急激な睡魔に襲われるのも決まっています。それでも、そこで寝てしまえば、いつまでも時差ボケが治らないので、必死に睡魔を戦いながら、しばらく過ごしていると夜には復活しています。

 毎日、少しずつ無理をして頑張っていれば、一週間ほどで時差ボケは解消します。

 ところが、今回は超長距離のしかも経由便ということで、前日の朝早くにパリの家を出て、乗り換えの時間等もいれれば約20時間ほどの、どこの国でもない定まらない昼だか夜だかもよくわからない空間での時間の経過に時差ボケはいつもに増して重いものになり、とうとう帰仏するまで時差ボケがなおらないという異常事態に陥りました。

 そもそも長距離フライトの疲労はいつも以上に長い上に、滞在期間として見積もっていた時間が短縮されたり、機内接触による隔離などから、大幅にスケジュールが押せ押せになり、立て込んでしまったことから、いつも以上に忙しく動くことになって、疲労は堆積していく一方で、時差ボケのために、十分な睡眠がとれないままに日を重ねていくことは思っていた以上に体力的にキツい結果になりました。

 スケジュールも半ばを過ぎると、もう夕方は無理をしてでも起きていれば・・などと思っていても、突然、脳が膨張してボーッとしてくるような感じがいつまでも消えず、体力的にも背中全面に疲労が張り付いているような感じがとれなくなってきました。

 これは一日中、同じ状態が続くのではなくて、突然、吸い込まれるように眠くなったり、頭がボーッとしてくるのも時差ボケの特徴です。また、何の前兆もなく、急に空腹を感じたりするのも時差ボケの症状で、まるでスイッチが入ったかのごとく、急に感じるものなので、体内時計・腹時計の誤作動とも言えるような、自分の身体ながら、自分では制御不能な感じになるのも、客観的に見れば、とても興味深い現象です。

 しかし、悲しいかな、身体自体は、もうムリはムリで、ついていけなくなっていることをひしひしと感じています。

 今回は、とうとう日本滞在中に時差ボケがなおることはなく、そのまま、また再び超長距離フライトにて、帰仏。パリに戻ったら戻ったで、今度は「ダブル時差ボケ」にしばらくは苦しめられています。

 しかし、なぜかフランスに戻った時よりも、日本に行った時の方が「時差ボケ」が辛いのはいつものこと、以前はパリに戻った翌日から仕事・・などということもしていましたが、今はとても、そんなことはできません。

 超長距離フライトはそのフライト自体の負担だけでなく、「時差ボケ」に関しても、大きく影響を及ぼすということを思い知らされています。


時差ボケ 超長距離フライト


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2022年4月13日水曜日

日本で見たフランス人モード全開の娘

  


 今回の日本への一時帰国は、何かと忙しく過ごしましたが、その間、娘のフランス人モードが垣間見えるできごとがいくつかあって、あらためて、彼女がフランス人であることをちょっと、面白く、ちょっと頼もしいような気もして、また、明らかに同年代の日本の女の子とも違うことを再確認させられたのです。

 フランス人といっても様々なので、一概に全てのフランス人に通ずるわけではありませんが、概して、フランス人は締まり屋で無駄なお金は使いません。DIYなど、家の中の手入れなども、自分たちの手でできることは自分でするのが、一般的です。

 今回、長いこと日本へ行けなかったために、誰も住んでいなかった実家はあちこちに綻びが見え、エアコンからの水もれ、換気扇が動かなくなっていたり、雨漏り・・などなど大変なことになっており、さっそく、長年、両親が家の電気器具などをお願いしていた電気屋さんにきてもらうことになりました。

 一度、下見に来てくれた時点で、エアコンの水漏れは、おそらく排気口がつまっているのかもしれないということで、後日、その掃除に来てくれることに、そして換気扇は「もうこれは、交換しないとダメだな・・」ということで、交換することになりました。

 後日、工事に来てくれて、エアコンの方は、どうやらこれはエアコンよりも屋根の問題ではないか?ということになり、とりあえず換気扇の交換をしてもらい、料金をその場で支払う様子を娘は傍観していました。

 私は思っていた金額よりも少し高いな・・と感じたものの、まあ工事費も含めてだからこんなものか・・と思っていたのですが、その後、娘はその換気扇の値段をネットで調べて、これは、かなりボラれていると言うのでビックリ! 

 両親の代からの長い付き合いの電気屋さん、ボラれているというよりは、工事費を含めて、この地域に通用しているそれなりのお値段ということなのでしょう。

 しかし、娘は、工事もそれほど複雑なものではなく、あれくらいなら、自分でもできる!と主張。比較的、高齢者の多い一軒家の多い場所柄、電化製品等は、その設置や、その後のメンテナンスなどを考えて、地域の電気屋さんで買うと言う人が多い実家近辺は、その高い電気屋さんに何の疑問も持たずに頼んでいるらしいことは想像に難くないことです。

 むしろ、長年の地域のネットワークを持つ地元の商店を頼りにしている向きがあり、これはこれで大切なことで、もしも私だけだったら、むしろ、こういうお店に頼るしかないかもしれません。

 しかし、この高額な支払いに、何でも自分でやるフランスで育った娘は、納得がいかないらしく、他の家の修繕も知り合いを紹介してあげる・・とまずは自分で下見をしたりしてくれる電気屋さんが屋根にまで登ってくれるところに、自分も一緒に屋根に登って確認する・・という娘に電気屋さんも驚愕していました。

 また、別日、今回の帰国でパソコンやタブレットを買って帰りたいと思っていた私は、娘とともに家電量販店へ。「ネットで買う方が安いんじゃないの?」と渋る娘をよそに、私としては、「高額の買い物・・現品を目の前にして、説明を聞きながら買いたい・・ポイントもつくし・・」などと言いながら、お店へ。

 店員さんの説明を聞きながら、なんとなく、より高いものを買わせようとしている感じが伝わってきて、少々疑心暗鬼になり始めていたところ、娘は日本での販売価格の相場がわからない・・と言い始め、本来ならば、そこで自分のスマホを使って、他の値段のチェックをし始めるところが、まだ日本に着いてまもないことから、日本でネットを使える携帯を持っていなかった私たち。フリーWi-Fiもつながらず、店員さんに頼んで、展示してあるパソコンの中でネットの繋がるもので、「これでアマゾンでの値段を検索してもらえますか?」という大胆なお願いに・・。

 結局、いくつかの候補の中からパソコン1台とタブレットを選んでお支払いの場へ。パソコンをまず買って、そのパソコンでゲットしたポイントを使ってタブレットを買うという計画に、まずパソコンの方のお支払いの段になって、店員さんから「ポイントは現金払いならば10%つきますが、カード払いだと8%になってしまいますが、よろしいでしょうか?」という断りが入ったのです。

 それなりに高額のために、そもそも現金で支払うことなど考えていなかった私は当然、持ち合わせがなく、「え〜〜っ?」と思ったものの、持っていないものは持っていないから仕方がないか・・と思い始めていた私に、娘は、「なんで?お金、おろしてくればいいじゃない!なんなら、今、私がおろしてこようか?」と言い始めたのでした。

 私たちがごちゃごちゃ揉めている様子に、店員さんが、「なにか?」と言うので、「現金が足りないので、今、お金をおろしに行こうかどうしようか? と考え中なのです」と言うと、まさか、そんなことで揉めているとは思いもよらなかった店員さんが、根負けして、「カードで10%で結構です」と・・。

 ・・なんだ・・ポイントってこんなに適当な感じなんだ・・と思いながらも、ちょっと拍子抜けしたとともに、なんだかちょっと得した感じで、実際に、ポイントでタブレットをもらってくるような形に大変、二人で満足して帰ってきたのでした。

 これらの逸話はフランス人・・というだけでなく、彼女自身のキャラクターからくるものでもあるかもしれませんが、とりあえず、「あっさりとは受け入れない」明らかに一般的な日本人にはない部分を彼女が持ち合わせていることに、私も含めて周囲が呆気にとられている様子に、流暢に日本語を話すようになった娘も、その中身はフランス人であることをまざまざと見せつけられているような気分でした。

 そこへ行くと、フランスでは、娘と同じような戦闘モードでいる私も、日本に帰国した際は、あっさり日本モードに移行しそうになるあたり、私は日本人だな・・とつくづく思うのです。


フランス人のキャラクター フランス人気質


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2022年4月12日火曜日

羽田発ロンドンーパリのフライトと静まり返った羽田空港・ファーストクラスラウンジ

 

深夜便で機内食サービスが1回のみのためにファーストラウンジが使えました


 前代未聞の長距離フライトで、日本へ一時帰国をしていましたが、 とうとうフランスへの帰国の日が近づいてきたと思ったら、予約していたフライトがキャンセルになり、1日前倒しの経由便に変更になり、最後の最後までバタバタと日本滞在の日を過ごすハメになりました。

 それでも、前日に繰り上がったとはいえ、夜遅くのフライトだったため、出発当日は、ほぼまるまる使え、きっちりと荷造りをして、羽田空港に向かいました。

 フライトは、ロンドンまではJAL、ロンドンからパリはエアフランスの経由便でした。

 あらかじめ、羽田からロンドン、パリ行きの場合、飛行機搭乗に際してのPCR検査陰性証明書はいらないことは確認してあったものの、何かと心配でもあり、いかなる附則の事態にも対応できるように、少し早めに空港に到着。結局、いつものチェックインと異なるのは、ワクチン3回済証明書の提示くらいなものでした。

 飛行機は、23時35分発のフライトでしたが、20時にはチェックイン。久しぶりの羽田空港で時間を過ごすのもいいな・・と思っていたのです。最後にコンビニで買い物をして、手荷物検査へ進みました。

 いつもなら、手荷物検査では、「香水の小瓶や化粧品など小さな液体などや、パソコン等の電子機器は、手荷物から取り出してください」と言われるところが、今回は別に取り出すようには言われず、その代わりにX線での確認に時間をかけているようでした。

 パスポートも全てオートチェックになっていました。羽田空港も変わりました。

 パスポートチェックも終わって、さて、今度は免税店で買い物!と思いきや、空港内の店舗はすでに17時で全店閉店しているとかで、何も買えず・・「なんで?事前にJALの人は、教えてくれなかったのだろう?」と思いつつ、もはや、再び、外に出ることもできずに買い物は断念せざるを得なくなりました。

 それでも今回は、チェックインの際に、深夜のフライトゆえ、機内食のサービスが到着2時間前の1回だけになるために、ラウンジをお使い下さいと言われており、SAKURAラウンジが閉鎖のために、ファーストクラスのラウンジへ。(私の予約はエコノミークラスなのに・・)

 ファーストクラスのラウンジなど初めての体験でした。これは、今回のフライトで唯一の思わぬ僥倖でした。広々として、贅沢な空間のラウンジで、食事は好きなものが注文できるのは、少なくとも1回分の機内食の代わりとしては、絶対にこちらの方がいいわけで、出発前の時間は、食事をしながら、最後に友人たちと電話で話したりしながらあっという間に過ごしたのでした。


  

   
  ゆず塩ラーメンが美味しかった・・欲張って、デザートにたい焼きまで、食べてしまった


 今回の帰りの便は、行きと違ってほぼ満席、空席を見つけて移動するということもできませんでした。どうやら、今回のフライトは小さな子供を連れている人もちらほらいて、欧州在住の人が多い感じでした。

 なにせ、他の欧州行きのフライトはロンドンかヘルシンキ行きしか飛んでいないようで、ロンドン・ヘルシンキ以外へ行きたい人も、必ずこれらの地を経由しなければならないわけで、いくら渡航する人が減っているとはいえ、ほぼ満席になるのも致し方ないのかもしれません。

 3月に日本に来た時のフライトでは、機内サービスなども、ここは病院??という感じだったのに比べて、CAさんも通常どおりの服装でのサービスに切り替わっており、緊迫感は薄れているような感じでした。

 しかし、フライトが長いことに変わりはなく、羽田ーロンドンのフライトは14時間15分かかりました。通常の羽田ーロンドン便は12時間程度、現在の航路の航空時間は、だいたい3時間程度余計にかかっているそうで、天候や航路の状況により±1時間だということで、便によって、14時間から16時間の間のようです。

 重ねて、問題は、そこから経由する便への乗り継ぎで、私の場合は、ロンドンで3時間待ちのエアフランスのパリ行きの予約にしてもらえましたが、たまたまロンドン行きの便で隣に座っていた女性は、同じパリに行くのに、最初はヘルシンキ経由を提案されたものの、それをロンドン経由に変更してもらったものの、ロンドンーパリ行きの乗り継ぎ便は、ロンドンで6時間待ちの便にしか、予約が入れられなかったとのことでした。

 やはり、直行便を予約していて、結局、直行便が欠航になったために、経由便に振り替えになった人が多く、その振り替えの予約の際には、かなり粘って、乗り継ぎの際の待ち時間が長すぎない便を予約してもらう試みが必要かもしれません。

 14時間のフライトの後に、ヒースロー空港で6時間待ちとは・・ロンドンまでのフライトだけでも十分に疲れているところに、また長時間の空港待機はとても辛いです。今回、私の場合、JALのサイトでのフライト変更の予約はエラー続きで結局電話しなければならないハメになりましたが、この時に機内に乗り合わせた他の女性、2人とも、サイトはエラー続きで結局、電話で予約したと話しており、現在、多くの欠航便の振り替え手続きで混乱しているとはいえ、これには、骨が折れました。

 しかも、事態が事態とはいえ、直行便から経由便に変更なのに、料金は同じでした。

 ロンドンに到着すると、またヒースロー空港内での乗り換えの際には、遠いターミナルへの移動とともに、再び、手荷物チェック(羽田と違って、ヒースローでは、手荷物の香水の小瓶や化粧品など小さな液体などや、パソコン等の電子機器は、手荷物から取り出さなければならない)を受けなければなりません。

 結局、フライト+待ち時間トータルで約20時間後にようやくパリCDGに到着しました。パリ・シャルル・ド・ゴール空港では、一応、ワクチンパス(ワクチン接種3回済み証明書)が求められるということになっていたので、携帯のワクチンパスを準備していたものの、まさかのノーチェックで肩透かしをくらった感じでした。

 このチェックは、アトランダムに行われているようで、全員に対して行われているものではないようです。いつもなら、日本からの到着便は午後3時とか4時なのに比べて、今回、私がパリに到着したのは、午前中(現地時間)。昼過ぎには、自宅に戻ることができました・・がよくよく考えてみれば、日本から帰ってきたのに、日付が変わっていて、もはや時間と日にちの感覚が壊れた感じです。

 今回の一時帰国では、日本滞在中、ずっと時差ボケがなおることがないまま、フランスに戻ることになりましたが、時差ボケがなおらなかったからと言って、フランスに戻った時に時差が元通りになるかというと、そういうわけにはいかずに、これはまたしっかり、時差ボケをし直しているわけで、パリの自宅に戻って、どこか煤けた感じの家を掃除したり、日本から持ち帰ったものを片付けたりして、ちょっとホッとして、あまりの疲労にちょっとだけ横になろうとゴロンと寝転がったが最後、しっかり寝てしまい、目が覚めると午前1時、そこから、お風呂に入ったりして、もう一度、寝直そうとしても眠れず、とはいえ、身体は激疲れ状態。

 しかし、この厄介な時期に、色々なトラブルに見舞われたとはいえ、無事に日本へ行って帰ってこられ、日本で桜も見て、美味しいものもたくさん食べて、友人や親戚数人には会えて、凝縮した楽しい時間を過ごすことができ、とりあえず、当面の食糧も確保してきました。

 日本の友人たちは、気軽に「今度はいつ帰ってくるの?」と言ってくれましたが、こんなフライトは、しばらくは、ごめん被りたいので、少なくともパリー羽田間の直行便が回復するまでは、ちょっと無理かもしれません。


羽田空港 ファーストクラスラウンジ 羽田ーロンドン迂回便 経由便待ち時間


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2022年4月9日土曜日

日本のお金・銀行事情に驚いた!

 

日本の銀行のATMがこんなに混んでいることにビックリした・・

 

 私が一時帰国をしている時に、しなければならない私的な用事の中に、銀行関係の用事があります。日頃は、日本の銀行口座もほとんどは、ネットバンキングで時々、パリの自宅からネットで確認したりしているのですが、今回は、そのうちの一つが暗証ナンバーを間違えたか何かでブロックしてしまい、「お取り扱い銀行の窓口までおいでください」と表示され、つながらなくなってしまったことによるものでした。

 「窓口までおいでください」と気安く言われても、フランスからではそうそう簡単に窓口に行くこともできずに、次回の、一時帰国の際には行かなくちゃ・・と思っていました。

 現在、フランスで口座を持っている銀行も、現在ではほぼ自ら出向くということは、まずなくなり、もともと通帳というものがないフランスでは、ネットバンキングへの移行も早かったように感じています。

 というわけで、それは、私に限ったことではなく、フランスの銀行に行っても、受付には一人か二人、お客さんもほぼ、予約制なので、あまり人が多くいることはありません。

 ところが、久しぶりに日本の銀行へ行くと、けっこうな人。順番待ちの番号をとって、大勢の人々が待機しています。また、ATMにも結構な行列。現金を下ろしたり、振込をしたり、キャッシングまでできるようになっているので、ただお金を引き出すだけでも、久しぶりでちょっと戸惑ってしまいました。

 日本で買い物をしたり、食事に行ったりしていると驚くのが、日本では、カードは使えない・・というお店もけっこうあるし、しかも、結構、私の周囲には、カードを使える場所でも現金を使って生活をしている人が多いということです。

 最近、フランスでは、コロナウィルスの影響もあり、少額からカードを受け付けるお店が圧倒的に増え、あまりハイテク化の波にはのっていない私でさえも、フランスで現金をおろして使うということは、滅多になくなっていて、カードに頼り切った生活になっています。

 だいたいパリは治安もあまり良くないので、高額の現金を持ち歩くということも、あまりしたくはないし、殊に、パンデミック以来は特に衛生面でもお金に直に触れるということにちょっと抵抗が生まれています。

 それが、日本に来て、叔母二人と話していて、彼女たちが、一切クレジットカードの類を持っていないという事実が発覚して、驚愕!日頃の生活ぶりから見て、けっこうお金を使っている人たちです。それが、これまで一切現金でしか、生活していなかったと知ってびっくりしました。

 彼女たちは、70代、私よりも少し上の世代とはいえ、頑なにその生活を貫いているあたり、この期に及んで、彼女たちが現金生活から脱却するとは考えづらく、もしかしたら、こんな人々が想像以上に多いのでは・・それが銀行の人の多さに繋がっているのか?と妙に納得させられた気もしたのです。

 また、彼女たちは、誘い合わせたかのごとく、携帯もガラケーでスマホは使用していません。私とて、スマホを器用に使いこなせているとは言い難いとはいえ、今やどこかに出かけるにしてもスマホなしだとかなり不便を感じるようになりました。

 フランスでのワクチンパスもスマホに読み込みだし(紙に印刷しても良いにはよいけど・・)、だいたい、今回の一時帰国にしても、日本入国に際しては、スマホにMy SOSという感染者追跡アプリをダウンロードしなければならなかったし、スマホを持っていない場合は、強制的にレンタルさせられることになっていて、スマホはほとんど必須アイテム。

 それが、日本で暮らしている分には、まだ、以前の私が海外に出た当時(20年以上前)とさほど違わない生活が、それはそれなりに、続けられるようにできるようになっていることが、実際に、社会がそのような人々に対応するようにできているものなのだ・・と逆に、その違いに感心させられもしたのです。

 一方、今回の一時帰国中に買い物をするたびに、たまたまなのかもしれませんが、やたらと「楽天ポイント、ご利用になっていますか?」と聞かれるようになっていることに、「これは2年前の一時帰国時にはなかった・・楽天の勢力拡大恐るべし・・」と思わされたりもしたのでした。

 しかし、人口の比率を考えれば、圧倒的に高齢者の割合が多い日本の社会の一面を銀行や、やたらと?現金をまだまだ使いたがる人々の様子から、日本のIT化やデジタル化の速度が緩やかである理由を垣間見た気がしたのでした。

 逆に考えれば、私がフランスに住み始めた頃を考えると、その頃は小切手などの日本ではあまり一般的に使用されていない文化が存在していたのですが、現在は、めっきり小切手が使用されている場面も減り、ここ20年ほどで、フランスは大きく変化して、いつの間にか、国民もそれに順応しており、社会自体も変わっていたことを日本の現状から、あらためて、気付かされたような気がしています。


日本の銀行 現金 カード決済


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2022年4月8日金曜日

帰仏間近の切迫スケジュール 食事の回数がどう考えても足りない!

   

ここのお寿司も美味しかった!ガリまで最高でした!


 帰仏の日が迫って、気忙しいだけでなく、実際、忙しく毎日を過ごしています。やらなくてはいけないことは、リストアップしていたのにもかかわらず、そのリストを見ることも忘れていて、とはいえ、大まかには、どうしてもやらなければならないことは、一応、済ませているのに、ギリギリになって思いついたことなども間に割って入り、慌ててその用事を済ませたり、本当にいつもいつも日本への一時帰国の終盤戦は、目まぐるしくなってバタバタで、あいも変わらず、どうしてこう毎回、学習せずに、同じことを繰り返すことになってしまうのか?自分でも嫌気がさしてきます。

 しかし、この帰仏前の忙しさには、多分に私の食い意地が影響しており、フランスへ持って帰る食糧の調達と、どうしても日本にいる間に食べておきたいものが、そのスケジュールを圧迫しているとともに、焦りと欲張った気持ちを増長させています。

 来日して、しばらくは、わりと、余裕で、「あぁ〜そういえば、あれも食べたいなぁ〜〜」くらいに構えていて、食べたいものは、いつ食べるかという具体的なことを考えずに、「うわっ!これも!」「うわっ!あれも!」などと思いながら、逸る気持ちを抑えているつもりでも、比較的、ポンポンと買い込み、それらが家の冷蔵庫に溜まっていくのですが、出かけるたびにそれが積み重なり、そのうえ、食べるつもりでいたのに、急に頂き物をしたり、外食してしまったりしているうちに、「うわっ!これまだ食べてなかった!」などと自分の食い意地に実際の自分がついていけていないみっともない事態に陥るわけです。

 言い訳をするとすれば、今回は、通常の全体の日程から換算すると、超長距離フライトのためにまる1日以上は、短縮されており、そのうえ、帰国直後に機内濃厚接触隔離で数日間、思うように出かけられないという憂き目にあったために、大幅に予定が狂っただけでなく、食事のスケジュール(そんなものは、ほんとはないけど・・)も狂い、日本に来ているというのに外食ができたのは、約1週間後のことでした。

 しかし、それにしては、周囲の助けもあって、その後にかなりの勢いでの追い上げ、日本に来てから食べたものを思い浮かべるに、かなりを網羅しているのに、なぜだかこの焦り・・。

 従姉妹などが買い物につきあってくれては、「そういえば、あそこの洋食はおいしい・・」などと言い出すので、「じゃあ、今度来た時には・・」とはならずに、また、そのキツキツのスケジュールに無理矢理、割り込ませることに・・。

 いつも、日本に来た時には、外食は、行っておきたいお店は決まっていて(必ずしも高級なレストランばかりではなく、その中には餃子の王将なども入っている・・)、多少、それが入れ替わったり、周囲がどこかを予約してくれていて、新しいお店が開拓されていくのですが、それにしても日本の食事は、やっぱり世界一。

 今回、予定が狂ったと言いながらも、すでに、おそば、天ぷら、お寿司、お刺身、うなぎ、中華料理、餃子などなど、結構、食べています。どれもユーロに換算すると信じられないコスパの良さとクォリティーにいちいち、値段をユーロに換算しては、感動しつつ、しばらく、パリに戻って日本食など、とてもバカバカしくて食べられない・・と一人で勝手に考えたりしながら、次の日の食事の予定を「明日の朝、昼、夜は・・あれを食べるから・・とすると、さっき買った肉まんやカレーパンは一体、いつ食べるの?」などと、考え始め、「最悪、出発間際に食べて、機内持ち込み・・フライト長いし・・」などと算段しているのです。

 もしも、近々、ロンドン行きの機内でごそごそとバッグから食べ物を取り出しているおばさんがいたら、それは私です。

 もはやダイエットはパリに帰ってから・・自分の計量はせずに、持って帰る荷物の計量をしなければなりません。

 毎回、今回こそは、少し食器でも持って帰ろうか?と思いつつも、結局、いつも溢れかえる食べ物の一部は泣く泣く諦めて、冷蔵庫に入れて帰るハメになり、食器の持ち帰りなどは問題外。持って帰れないものは、食べて帰るしか、ないではありませんか?

 ここ帰国までの数日が今後、1年くらい?(次回に一時帰国できるまで)の私の食糧事情を大きく左右する正念場なのだから、それはそれは必死なのです。


日本一時帰国時の食事 


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