2022年6月30日木曜日

夏のベランダ菜園 鳩との戦いの日々

  

風鈴を吊るし、割り箸をたてまくって鳩と戦っている

 

 いつの頃から始めたか、私は、毎年、春先になると、我が家の狭いベランダを利用して、日本の野菜を育てています。春先の春菊やこまつな、水菜にはじまり、しそ、三つ葉、小ネギ、山椒などの薬味類などは、我が家の食卓には欠かせないものです。

 ちょっとした薬味があるだけで、何のことはないお料理が格段にレベルアップします。逆にベランダにちょっと出れば、手に入るこの薬味がなくなってしまったら、どれだけ味気ない食事になってしまうかと思うと、もうこれなしには、いられないほどです。

 狭いベランダゆえ、場所に限りがあるため、フランスの普通のスーパーマーケットで容易に手に入るものではなく、手に入れることが難しい日本の野菜で比較的簡単に育てられるものが中心です。そう・・、我が家のベランダはまるで椅子取りゲームのような感じです。

 中でも、5月に入ってから種まきを始める日本のきゅうりには、かなり力を入れています。

 きゅうりはある程度まで育つと、あとはグングン、目に見えて育っていき、黄色い花も可愛らしくて、夏の暑い時期には、よい日除けがわりにもなります。夏の間はどんどん収穫でき、我が家の狭いベランダでも、夏の間には、200本から300本くらい採れるので、ちょっとバカにできない食糧になるので、こちらも真剣です。

 なにより、大ぶりのフランスのきゅうりとは違って、こりっとした日本のきゅうり独特の食感がそれこそベランダで次から次へとできるので、これはやめられません。 このきゅうりで、もろきゅうや、パンとビールで作った糠床につけてお漬物にしたりできるのは、夏の間のみの、このうえない楽しみなのです。

 しかし、その年によって違うのですが、ある程度まで育つとベランダの手すりにひっかけた狭いプランターに鳩が巣を作ろうとするのが、悩みの種でもあります。もともと、鳥類というものが私は大嫌いで、私は鳩が怖いのです。あのクックーという鳴き声もバタバタと重そうに飛んでいく羽音もすべて気持ち悪くて大嫌い、鳥肌ものなのです。

 ましてや図々しく狭いプランターを踏み荒らし、巣を作ろうとする鳩は憎らしくて仕方ないのですが、この鳩と戦いながら、対策として、いつも、細く切ったアルミホイルを支柱巻き付けて、たなびかせたり、CDを吊るしてみたり、割り箸をプランターの隙間にさしたり、風鈴をとりつけたり、カカシがわりにTシャツをぶらさげておいたりして、鳩避けをしています。

 たいていは、ここまですれば、鳩は諦めて、退散していくのですが、今年は、5月から始まった猛暑できゅうりも異様に早く育ち始め、また、鳩も暑さを凌ぐ場所が欲しいのか、鳩の襲来もいつもよりも時期が早く、また、今年は異様にしつこく、ここ数日、毎日、朝起きてベランダに出ると、きゅうりのプランターには鳩がいて、大きな音をたてて追い払い、朝方からせっせと巣作りのために運んできた小枝や草などが積んであるのをウンザリしながら、片付ける毎日が続いています。

 それまで順調に育っていたはずのきゅうりが鳩のために、枯れ始めている苗さえもあり、余計に腹立たしくてたまらないのです。

 毎日やってくるのが同じ鳩なのかどうかわかりませんが、なぜ、我が家を選んで、せっせと運んでいる小枝を毎日のように取り払われても諦めずに毎日やってくるのかわかりませんが、こうなったら、鳩との根気比べで、毎日のようにプランターにたてる割り箸を増やし、鳩と戦っているのです。

 我が家には、猫がいるので、猫の助けも借りたいところなのですが、仮に、猫が鳩退治をしてくれたとしても、それはそれで恐ろしいことなので、猫の手を借りることもできず、ここ数日、午前中は鳩との格闘の日々です。

 なぜだか、午後になると鳩も諦めてくれるので、午後の時間は静かに過ごすことができるのですが、午前中は戦々恐々としながら、ベランダを覗いては、鳩にビクビクする日々です。こんな鳩相手に一人で戦々恐々としているのはバカらしいと思いつつも、どうにも鳩は耐えられないのです。

 これは!という鳩除け対策をご存じの方がいらしたら、ご教授頂ければ幸いです。


パリの鳩被害


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2022年6月29日水曜日

1日の新規感染者数一気に14万人突破の激増

   


 パンデミックが始まって以来、感染爆発に向かう時のパターンは、いつも同じ感じで、ある程度、感染が落ち着いてきて、感染対策に対する規制等が緩和されたりして、しばらくはホッとした時が続くのですが、ある一定の期間が過ぎると、「あれ??もしかして、また、そろそろ・・?マズい??」という兆候が続くと、次の段階では、一気に桁違いの感染者数に驚かされることになります。

 桁違いの感染増加に驚かさせられるのは、一度では終わらず、先週、この数字で驚いたばかりだったのに・・と、また、さらなる急激な増加に驚かされます。もうその次あたりからは、もう段々、数字にも麻痺してきて、諦めのような気持ちになってきます。

 今回もまさに同じ、いつものパターンで、3月には、若干の落ち着きを見せ、4月に入って若干上昇したものの、そこから、爆発的に感染が増加することはなく、少し落ち着いたと思ったら、5月に入って、「あれ?また増え始めてる・・?」と思ったのは、考えてみれば、マスク着用義務化が解除されて2週間後からのことでした。

 それからは、じわじわと増え続け、先週になって、ついに1日の新規感染者数は10万人に迫る勢いまでに達し、ついに10万人!!と驚いていたら、その後、数日間は、1日8万人程度の日が続いていたと思ったら、今度は一気に15万人に迫る勢いの1日147,248人の新規感染者を叩き出しました。1週間で55%の増加です。

 いみじくも、その日、先週から風邪をひいて、いつまでもスッキリしないので、もしかしたら、コロナ感染?ちょうど、その日に友人と会う約束をしていたので、もしも感染していたら、友人にも迷惑をかけてしまう・・と思い、久しぶりに薬局にPCR検査をしに行っていました。

 前回、私が検査をしたのは、日本に行くための陰性証明書のために検査して以来ですから、約3ヶ月ぶりの検査でした。相変わらずフランスは、ワクチンパスポートと健康保険のカードがあれば、検査は無料です。

 幸いにも結果は陰性でしたが、この日に陽性と診断された人が15万人近くもいたことになります。現在、検査にくる人の3人に1人は陽性だと言われている中、私は15万分の1にはならなかったわけです。

 現在フランスで主流に取って代わったと言われているBA5型の症状は7日間以上続くと言われているため、感染力は強く、長くなると言われているため、一人の感染者が他の人に感染させる人数も尾自ずと増えているわけです。

 この感染の急増にあたり、週明けにはブリジット・ブルギニョン保健相は、「公共交通機関や屋内の人の多い場所ではマスク着用を推奨する」と発表し、翌日には、エリザベット・ボルヌ首相も同様の呼びかけをしています。

 しかし、ここはフランス、「マスク着用推奨」などという言葉が通用する国ではありません。それ以上に、これから皆がバカンスに出かけて、人がさらに移動し、戯れる時期に向けて、感染対策としてふさわしい対応とは思えません。

 さすがに1日の新規感染者が15万人ともなれば、他の入院患者数を含む、すべての指標が上昇しています。

 5月末には人口10万人あたり185件まで減少していた全国10万人あたりの発症率は、6月19日から25日までの一週間で53%増加、5月末と比較すると295%増の731件にまで達しています。

 現在フランスでは15,496人がコロナウィルスに感染して入院しています。これは前日より400人ほど、先週より1,000人多い数です。

 こうなってくると、1日感染対策が遅れることで、感染者数は倍々に増加していきます。考えようによっては、昨年の夏に比べるとワクチンパスポートによる制限もなく、マスクもなく、ずっと感染するリスクは高まっているともいえます。

 エリザベット・ボルヌ首相は、特に60歳以上のフランス人や最も弱い立場にある人々に対して、ワクチン接種の状況を確認し、2回目のブースター接種を急ぐように推奨していますが、これもまた、推奨で、今のところ、公共交通機関でのマスク義務化規制を元に戻すつもりはないようです。

 公共交通機関のマスク着用義務くらいは、早々に元に戻せばいいと思いますが、(そもそも、この限られた空間でのマスク着用義務をなぜ撤廃してしまったのかわかりません)、一度、解除してしまったものを再び規制するのは、現在、内閣を再構築し直すと言っている政府には、荷が思いことなのかもしれません。

 しかしながら、そもそも国民の反発を恐れて、感染の再爆発を恐れないのもおかしな話です。

 やっぱり、国が規制のルールをどう定めようと、自分の身は自分で守らなければならないので、マスクはきっちりすることを自分に戒めなければなりません。

 もう次のワクチン接種を迷っている時間はなくなってきた気がしています。


フランス新規感染者数14万人突破


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2022年6月28日火曜日

この夏のフライトはストライキ・人員不足のためにキャンセルが激増する模様

  


 今年の夏は多くの航空会社がストライキや欠航の影響を受けると予想されており、航空会社にとっても乗客にとっても、この夏のフライトは複雑で厄介なものになりそうです。

 欧州運輸労連は公開書簡で「航空業界が直面する混乱は夏の間、悪化の一途をたどるだろう」と述べています。

 ストライキといえば、私にとって一番に思い浮かぶのはエールフランスで、予定どおり飛んでくれれば、サービスや機内食なども決して悪くはなく、何よりも日本との直行便(パリ⇄東京)があるために、これまで、何回かは利用してきましたが、以前、立て続けに2回ほど、ストライキのためにフライトが勝手に突如、変更されたため、これに懲りて以来、エールフランスは避けるようになってしまいました。

 これは、コロナウィルスも戦争もなかった頃の話ですが、今年の夏は、フライトがキャンセルになるのは、ストライキだけでなく、人員不足もフライトキャンセルの原因となっているようです。

 まず、ストライキに関しては、エールフランス航空とトランサヴィア航空(KLMオランダ航空の子会社でエールフランス-KLMグループ)がパイロットのストライキを予定しています。同社の経営陣は、パリ・シャルル・ド・ゴール空港とオルリー空港で「パイロット300人、整備士200人、季節限定の地上職員200人を採用する」と発表し、これにより、エールフランスは「観光客の回復を見込んで、この夏は一度もフライトをキャンセルしない」としていますが、にもかかわらず、パイロット組合は、ストライキを計画しています。

 これに加え、トランサヴィア航空は、すでに「7月と8月のフライトの3%をキャンセル」しています。同社によると、これは、プログラムの堅牢性と時間厳守を確実にするためとしていますが、ヨーロッパの航空会社の堅牢性と時間厳守ほど不確かなことはありません。

 また、ライアンエアー、イージージェットの格安便に関しても、イタリア、フランス、ベルギー、ポルトガル、スペインなど多くの地域への便がストライキを予定しているようです。

 これらのストライキに対しては、経営陣と組合の言い分が食い違っており、経営陣は必死にストライキによるキャンセルの影響はないとしていますが、ストライキは確実に予定されており、このためにパイロットが不足していればキャンセルは必須です。

 また、ルフトハンザドイツ航空は、人員不足、ストライキ、コロナウィルス感染により、これまでに発表されているた900便に加え、さらに2,200便をキャンセルが出る予定と発表しています。

 同社は、夏期スケジュールでは、なんと合計で3,000便以上が欠航しています。同社は、現在、「管制官のストライキ、天候、そして何よりもコロナウィルス感染の増加がより重くのしかかっているうえに、コロナウィルス感染のための病欠が、ここ数日で急激に増加した」と報告しています。

 そう言われてみれば、コロナウィルス感染のリバウンドに関しては、ドイツもまたフランスと肩を並べるほど(1日の新規感染者数は8万人程度)、感染者が急増しています。

 パンデミックの影響で大きな打撃を受けていた航空業界もそれに加えてウクライナ戦争の影響での燃料費の高騰などで経営が難しくなっているところにまた、ストライキやコロナ感染のリバウンドでの欠員のための欠航続出。

 強制的な民主化を徹底的に擁護し、様々な税金や国の介入に対して厳しいことを言い切れなかった航空業界が、生き残りを確保するためにあらゆるところから大規模な資金の水増しを受け入れてきた一方で多くの従業員を解雇してきた結果が今、現れているのです。

 その結果、2年半前から誰もが待ち望んでいた回復が、市場を枯渇させ、輸送コストの高騰も相まって、ますます業界の動きを著しく鈍化させているのです。

 旅行を予定している者にとって、急なキャンセルは致命的で、私も前回の日本行きで再度にわたるフライトのキャンセルでつくづくうんざりしています。楽しいはずの旅行でこのフライトキャンセルのストレスでイライラさせられるくらいなら、当分、行きたくない・・と思ってしまうのは、私だけではないはずです。3月にキャンセルになったチケットの料金はまだ返金されていないのです。

 そのうえ、大幅な航空運賃、燃料サーチャージの値上げでは、二の足を踏むのは当然です。


フライトキャンセル ストライキ


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2022年6月27日月曜日

どうする?2回目のブースター接種(4回目のワクチン接種) 必要な場合と必要ではない場合

  


 一時は落ち着いていたコロナウィルス感染が再びヨーロッパで増加しています。残念ながら、フランスはこのヨーロッパの感染再拡大の先頭を切っているようです。

 2020年の3月以来、何度となく感染の波を繰り返してきたので、もうこれが何回目の波になるのかわからなくなっていたら、感染増加とともに、また世間が騒ぎ始めたので、フランスの今回の波はどうやら第7波なのだそうです。

 特に公共交通機関でのマスク着用義務化が撤廃されて、急速に消え始めたのは、マスクだけではなく、街中、いたるところに設置されていたはずのアルコールジェルやソーシャルディスタンスです。

 マスクが外れ、これまで皆が控えていたビズー(頬と頬を合わせるフランス人の挨拶習慣)も復活しています。

 現在のところ、1日の感染者数は、8万人〜9万人程度で、10万人に到達する日はそう遠い日ではなさそうです。ここ1週間の増加率は41%になっています。幸いなことに、現在のところ、集中治療室に入院中の重症患者数は、869人でさほど増加していません。(とはいえ、こちらも確実に増加はしており、1週間で19%増)

 フランス全体のワクチン接種率はトータルで80%程度で、ワクチンのおかげで感染者が増加しても、感染者の増加ほどには、重症患者が増えていないのだとは思いますが、今後、多くの人のワクチンの効果が消え始めた頃にまた、危機的な状況に陥る可能性があります。

 私は、どうやら心疾患があるためにリスクの高い人の分類に入っているらしく、5月初旬に、すでに2回目のブースター接種のおすすめがメールで送られてきているのですが、正直、どうしようか迷っています。 

 このまま、コロナウィルスのためのワクチン接種をし続けるのは抵抗があるのですが、しかし、こう感染が再び、拡大してくると、リスクが高いとされている身?としては、少々不安でもあります。

 そんなわけで2回目のブースター接種(4回目のワクチン接種)について、調べてみると、これが必要な場合とそうでない場合があることがわかりました。とりあえず、現在は、60歳以上(特に80歳以上)の高齢者、あるいはリスクが高いとされている人々で、ブースター接種から6ヶ月経過している場合は追加のワクチン接種が強く推奨されるということですが、強制ではありません。

 ただし、最初のブースター接種から3ヶ月以上経ってから感染したことがある場合は、2回目のブースター接種は必要なく、最初のブースターから3ヶ月以内に感染した場合は、2回目のブースターが必要で、感染後6ヶ月以上経過してから2回目のブースター接種を受ける必要があります。

 私の場合、ブースター接種を受けたのは、昨年末の12月の半ばのことで、それから今まで数回しか検査はしていませんが、いずれも陰性、おそらく感染はしていないと思います。ワクチンの効果が減少し始めるのは3ヶ月後以降で、6ヶ月後にはした方がよいとなると、そろそろワクチン接種をした方がよいということになります。

 5月の段階までは、感染状況がそれほど悪化していなかったために、少し様子を見てからにしようと思っていたのですが、どうやら、またそろそろ真剣に考えなければいけないと思い始めました。

 現在のフランスの様子を見る限り、これからバカンスシーズンに突入することも考えれば、今後、しばらくの間は感染が減少する理由はなに一つ見当たりません。昨年の夏に比べれば、ワクチン接種は進んだものの、昨年はあったヘルスパス(ワクチンパス)のチェックもマスクもありません。

 このまま感染増加を続けて、気温の下がる頃、また、多くの人のワクチンの有効性が低下する時期が重なって、秋から冬にかけては、さらに酷い状況になることが考えられます。

 HAS(フランス高等保健機構)やフランスワクチン戦略会議でも、今後の感染状況の変化にもよるが、現在は高齢者のみに推奨されている2回目のブースター接種が秋には国民全体に拡大される可能性が高いとしています。

 また、もう一つの可能性として、現在、製造販売承認手続き中の変異種に有効な、新しい混合ワクチンが秋には利用できるようになると言われています。秋まで待って、その新しい変異種にも有効なワクチン接種を受けるか、悩ましいところです。

 私の場合はおそらく、2回目のブースター接種を受けると思いますが、それをいつにするのかを検討中です。せこい話ですが、また次の次のワクチンが必要な場合、少しでもそれが先伸ばしになって回数が減ってくれればなどと思っているわけです。

 先日、友人が、もう2回目のブースター接種を済ませたという話を聞いて、ようやく重たい腰をあげようとしています。

 最も早く2回目のブースター接種(4回目の接種)を開始したイスラエルの保健省のデータによると、4回目の投与で入院のリスクが4分の1になることがわかっています。


2回目のブースター接種 4回目のワクチン接種


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2022年6月26日日曜日

リヨンの保育園で11ヶ月の子供が保育士に殺された事件

 


 

 リヨンにある民間託児所 People & Babyで生後11ヶ月の女の子が死亡するという痛ましい事件が起こりました。水曜日の午前8時頃、託児所からの通報により 消防隊が駆けつけた時には、すでに子供の意識はなく、すぐに病院に搬送され、蘇生を試みるも子供が再び目を覚ますことはありませんでした。

 事件当時、ただ一人その場にいた27歳の託児所職員が身柄を拘束され、彼女は「子供が泣いているので落ち着かせようとしたが、泣き止まず、子供の泣き声に苛立って、泣いている子供に苛性スプレーをかけた。怒りにまかせてやったことで、殺意はなかった」と自供しています。

 同じ託児所に子供を預けている母親の証言によると、「数年前からこの託児所の経営はかなり悪化しており、スタッフが入っても、すぐに燃え尽き症候群のような状態になり、人出不足が蔓延化しており、気がつけば、9人〜10人の子どもたちに対してスタッフは1人で明らかに契約はまったく尊重されなくなっていた・・」とのことで、明らかにこの民間託児所の運営にも問題があったことが露呈しています。

 同じ地域の同グループの託児所に子供を預けている父親も、「この事件には恐怖を感じるものの、驚きはしない・・」、また、「1年間で託児所の定員は増えたが、スタッフは増えなかった・・」と経営状態の悪化を証言しているものの、「それでも私たちには他に選択肢がないために、いつも恐怖を抱えたまま子供たちを預けてきました」と語っています。

 とはいえ、泣いている子供に苛性スプレーをかけるなど、あり得ない話ですが、この託児所職員が子供を死に至らしめるような凶行を行うほどのストレス状態におかれる職場環境にも問題があったようです。

 夫婦共働きが当たり前のフランスでは、出産後でも女性が仕事を続けるのは普通で、パリでも保育園問題は深刻で、「妊娠した時点で保育園の予約をしなければ・・」などと言われています。

 私がパリで仕事を始めた時も、ちょうど、娘が1歳になるかならないかの、この殺された女の子と同じくらいの年齢だったので、とても人ごとには思えません。幸いにも公立の保育園に空きがあったために、娘は、わりとスムーズに保育園に入れてもらえましたが、娘が生まれてから、片時も離れることなく、べったりと一緒に過ごしてきた私は、子供を預けて働くことに少々不安もあり、お試しに半日、保育園に預かってもらうことから始めました。

 娘を保育園に預けた初日は、私が帰ろうとすると、娘が火のついたように泣き出したので、ちょっとビビり、後ろ髪をひかれる思いで保育園を後にして、この後、どうなることかと思いましたが、数日後には、娘もお気に入りの先生を見つけて、すっかり保育園に馴染んでくれました。

 その頃はまだパリではなく、パリ郊外に住んでいたために、大きな公園の中にある保育園で、環境もよく、また先生にも恵まれて、保育園では泣かないようになったどころか、「おたくのお嬢さんと、もう一人の女の子はお昼寝を全くしないで、周りの子供たちを起こしてまわるので、お昼寝の時間は、他の子とは、別の部屋にいてもらいます」と注意されたほどでした。

 泣かずに保育園に通ってくれていた娘でしたが、夕方、お迎えに行くと、それまで遊んでいたおもちゃを放って、「ママ〜〜!!」と抱きついてきてくれたのは、その頃の私の1日の嬉しい瞬間でもありましたが、まだまだ、小さかった娘は、それだけ、親と一緒にいたかったということだったのかもしれません。

 今年の初めに、オルペアという高齢者施設を運営するグループの高齢者ケアの惨状が暴露された本が出版されて以来、高齢者施設の悪徳運営が問題になっていましたが、このような民間託児所においても存在していることは、恐ろしいことです。

 このような事件を見るにつけ、娘の保育園問題などは、私がフランスに来たばかりの頃のことで、私自身もフランスの保育園事情も全然知らなかったわけで、たまたまその頃住んでいた家の近くで保育園に空きがあり、そこがたまたま悪徳保育園でもなく、娘が無事に育ってくれたのは、本当に奇跡の連続であったような気がしてきます。


リヨン民間託児所保育士女児殺害


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2022年6月25日土曜日

初めての在外選挙投票に行ってきました! 参議院議員選挙在外投票

  


 恥ずかしながら、私はこれまで20年以上フランスで生活しながら、在外選挙投票というものをしたことがありませんでした。正直、仕事と子育てに忙しく、休みの日も不定期だったうえに、子供の学校や行事などが最優先で、とても、その合間を縫って大使館まで投票に行くということは不可能だと思い込んでしまっていたし、だいたい、日本の候補者についてもわからないし・・などなど・・無理だと決めつけていたところがありました。

 しかし、娘にも手がかからなくなり、また、このパンデミックをきっかけに、フランスだけでなく、日本のニュースも気になり始め、それぞれの対応などについてをあらためて、目を通していると、また、外国にいるからこそ見える日本という国を見ていると、どうにもこのままではいけないのではないか・・と危機感を持つようになりました。

 長く海外で生活しているとはいえ、私は日本人で、日本は私の祖国です。私が海外で生活しはじめて、約4半世紀が経ちますが、海外に出た当初は、アフリカは別においておくとしても、フランスは本当にダメな国で、日本はさすがだ・・と思うことばかりのような気がしていて、私にとって、やはり、いつも日本は誇らしい国でした。

 フランスは、今もダメなところもたくさんありますが、この20年間、いつの間にかずいぶん変わりました。フランスの若い政治家が力強く国を動かしていく様子を毎日見る一方で、日本の政治をもどかしく感じることも多くなりました。

 少子高齢化の問題などは、かなり前から問題にされていたのに、対策が講じられないまま、今まで来てしまいました。以前は、フランスの電化製品のお店などに堂々と並んでいた日本が誇る電化製品などの製品も、いつの間にか姿を消しています。

 どうにもこのままではいけない!と思うけれど、とりあえず、日本を変えていく一歩は選挙で投票することから・・と思い、昨年、まず在外選挙登録をしたのです。これが想像以上に時間がかかり、大使館に在外選挙人登録をしてから、在外選挙人証というものを受け取るまでに3ヶ月以上もかかりました。

 そして、今回の参議院議員選挙にようやく投票に行くことができました。選挙が公示されて、日本の7月10日の投票に先駆けて、在外投票は6月23日から7月3日まで、日本大使館、領事館で行うことができます。この間、9時半から17時まで、土日も含めて投票することができます。(通常の大使館業務は13時〜14時半までは昼休みですが、投票は可能です)

 大使館なのに、昼休みも土日も投票できるのは、助かります。

 あらかじめ、ネットで日本の政党、候補者の詳細をネットで調べてパリの日本大使館に投票に向かいました。大使館の前には、今までみたことのない行列・・しかし、この行列は、投票のための行列ではなく、投票のための人は優先的に入れてくれました。

 久しぶりの日本大使館、さすが日本の大使館だけあって、今、パリで一番、マスク率が高い場所はここではないか?と思うほど、皆、マスクをしていることにびっくりしましたが、広くて、清潔な場所でした。通常のパスポートやビザの申請などの手続きとは、全く別の部屋が用意されています。

 日本人の大使館職員は選挙対応のためなのか?大使館の受付はフランス人職員になっていました。

 無駄足を踏むのは嫌なので、あらかじめ電話で開館時間などの問い合わせの電話をして、(電話もなかかなか繋がらなかった)、「投票について伺いたいのですが・・」というと、「選挙については、連絡先を教えていただければ、こちらからメールでお返事いたします」・・と・・。

 「電話での問い合わせはできないのですか?なぜ?」と食い下がると、ようやく、「では領事部にお繋ぎいたします」とやっと繋いでくれました。それでも、質問をするたびに、「少々お待ちください・・確認いたします・・」が何回か続き、ちょっとうんざりした経緯がありましたが、行ってしまえば、なんのことはありませんでした。

 まず、会場に入り、在外選挙人証とパスポートを見せると投票用紙申請用紙とそれを発送するための封筒に管轄選挙管理委員会宛の住所と名前を記入します。それを提出したところで、選挙人証と記入事項をチェックされ、投票用紙と投票用紙を入れる封筒をもらって、ブースのついたスペースで投票用紙に記入します。

  

候補者と政党がリストになっているファイル

      

 そのスペースには、各都道府県ごとに政党と候補者のリストがファイルになっていて、自分の選挙管理委員会管轄の候補者、政党のリストが用意されているので、その中から候補者、政党を選んで記入します。

 ボールペンでは書き直しができないために、えんぴつと消しゴムが用意されています。投票用紙に記入した後は、投票用紙を入れた外封筒に封をして、氏名を記入し、署名します。投票するのに記名しなければならないのには、少々、抵抗はありましたが、公正を期するために必要だということでした。

 記入後、封筒を渡すと、立会人なる人がいて、サインしてくれるので、その封筒が金庫に入れられるのを確認して終了となります。

 今回は参議院議員選挙だったので、選挙区選出議員用の投票用紙と比例代表選出用の用紙との2種類の投票用紙があり、ちょっと戸惑いましたが、大使館の人は親切に一つ一つ手順などを嫌な顔ひとつせずに教えてくれたので、助かりました。

 しかし、大使館、領事館に直接、来れない人は、個人個人で日本の各市町村の選挙管理委員会に投票用紙を請求し、自分で送付しなければならないそうなので、投票するのに、日本と海外を2往復しなければならない(投票用紙が)そうなので、かなりハードルが高そうです。

 今は、どの国でも問題をたくさん抱えていますが、このままではいけない!と思ったら、まず投票に行かなければ何も変わりません。

 大使館での投票は快適にできるようになっていましたが、海外に住んでいるといっても、誰もが簡単に大使館や領事館に行ける人ばかりではありません。それもネット投票が可能になれば、もっとたくさんの人が投票できるようになるはずです。現在の方法は、人出も時間も費用もかなりかかっているはずです。ネット投票ができるようになるようになってくれればよいのに・・と思いますが、ネット投票になってしまったら、自分の議席が危うくなるような人が政権を握っている現在では、期待薄です。

 とはいえ、初めての投票を終えて、私はひとまず、自分的には満足、これまで日本の政治家のことはわからないから投票できないし・・などと言い訳していたのは、私の怠慢でした。今は、ネットでもなんでも情報はいくらでも手に入ります。調べて、知っていけば、興味も湧いてきます。

 とりあえず、投票を終えて、久しぶりに日本人として大切なことが一つできたような気持ちで、なんとなく満たされた気持ちで、帰りにシャンゼリゼを少し歩いて帰ってきました。

 シャンゼリゼはそれほど人も多くなく、気持ちのよいお散歩でした。


在外選挙投票 参議院議員選挙


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2022年6月24日金曜日

EU27カ国 ウクライナとモルドヴァのEU加盟申請を承認

  


 EU・欧州理事会議長は、EU27カ国の首脳会議で、ウクライナとモルドバをEU加盟候補国として承認したと発表しました。かなり興奮気味に、「ロシアによる侵攻が続く中、これは歴史的な瞬間である」と言及しましたが、キエフが待ち望んでいたこの決定は、加盟のための長く複雑なプロセスのほんの始まりです。

 このEU加盟申請の承認ということは、加盟の可能性に関する交渉を正式に開始するという意味であり、数十年かかるかもしれないプロセスの始まりです。ウクライナ戦争がもたらした政治的圧力によって、ウクライナのEU加盟申請は記録的な速さで承認されたものの、今後の審査の過程が短縮されるとは限らないのです。

 ゼレンスキー大統領は、ロシア連邦による領土侵犯から4日後、自国のEU加盟を可能にする「特別手続き」の恩恵を受けるよう要請、その数週間後の3月、正式に加盟申請書を提出しました。 しかし、現実には、EU加盟のための迅速な手続きは存在しません。

 ちなみに、2009年に申請したセルビアは、候補国として認められるまで2012年交渉開始まで待たねばならなりませんでした。バルカン半島のいくつかの国々と同様、セルビアもEUの門を叩いたままです。アルバニア、北マケドニア、モンテネグロと同様に、まだ加盟が有効でなく、交渉中。このEU加盟申請に時間を要する最も象徴的な例は、トルコで、トルコは1987年に申請し、1999年に候補となり、2005年に交渉を開始しましたが、現在は行き詰っている状態です。

 これらの前例を鑑みれば、申請から3カ月後の6月に、欧州理事会がウクライナのEU加盟候補国としての地位の付与を承認したことは、異例中の異例です。

 しかし、これからウクライナはEUの正式な加盟のために、欧州の法体系を統合するために必要な行政、政治、経済の改革を実施できるためにコミットしていかなければなりません。これに加えて、リスボン条約と政治的・経済的安定を前提としたコペンハーゲン基準を適用する必要があります。また、ウクライナはヨーロッパの基準を既存の国内法に取り入れることができなければなりません。

 EU加盟のためには、単にヨーロッパの法律をコピー&ペーストすればいいというものではなく、実際にその法律が機能していくために、汚職システムが根付いているウクライナには、マネーロンダリング防止法などの導入も求められており、EUの一員として、市場経済を動かすことができる自由民主主義国家であることを承認される必要があります。

 現在、ロシアの一方的な侵攻と民主的な団結を見せて戦っているウクライナは概ね好意的に受け入れられ、「ウクライナはすでにヨーロッパのルール、規範、基準の約70%を採用している」「非常に強固な大統領制と議会制の民主主義」「非常によく機能する行政、この戦争中に国を機能させている」「分権改革の成功」「完全に機能する市場経済」などと評価する声もありますが、一方では、急速すぎる加盟は、ブルガリアやルーマニアのような汚職が蔓延したままのEU加盟国となる恐れがあるとの指摘も挙げられています。

 ヨーロッパ、EUと簡単にひとくちに言っても、似ているところはあっても、実は全然違う国の集まり、新しい加盟国を受け入れていくことで、ヨーロッパ全体の色が変わっていく可能性もあるのです。

 要は、「ウクライナが欧州のルールを遵守する能力」、また一方で「EUが制度的バランスを保ちながら新しい国を吸収する能力」を図らなければならないとともに、双方ともにとって、有益であるかどうかということを細部にわたり、検討、審査しなければならない、ちょっと保険の審査にも似た側面があるのかもしれません。

 いずれにせよ、EU(欧州連合)加盟というのは、恐ろしく時間がかかるものらしく、これを見越して、マクロン大統領は、5月初旬の欧州の将来に関する会議でEUとは別に、一連の価値観を信奉する民主的な欧州諸国が、政治協力、安全、協力のための新しい「欧州政治共同体」というまた別の組織を提案していましたが、その後、この話は聞こえてきません。

 しかし、いくら、これからさらに時間がかかるとはいえ、今回のこの決定は、ゼレンスキー大統領が待ち望んでいたものであり、彼にとってこの決定がヨーロッパの同盟国からの強い支持の証となることに間違いありません。


ウクライナEU加盟申請承認


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2022年6月23日木曜日

国民議会選挙後初のマクロン大統領の8分間の演説

 


 

 国民議会選挙でマクロン大統領率いる右派連合「アンサンブル」が過半数を獲得できなかったことから、大きな波紋を呼んでいる中、夜8時からマクロン大統領の演説が行われるというので、注目していました。

 マクロン大統領は、前日から、約2日間かけて、それぞれの政党のリーダーたちと個々に会談の時間を設け、今後の政権運営のためのヒヤリングと意見交換を重ねていました。

 これまでの例を見ても、大方、どこか、違う場所での会合などでの演説ででもない限り、大抵は前もって録画されたものが、夜8時に放送されますが、今回ばかりは、その録画が行われたのが、放送15分前というギリギリのタイミングだったそうで、演説が始まる前から、「マクロン大統領が話す内容」について、ああでもない・・こうでもない・・と、予想されているところ、今、少し前に録画が始まったのだから、8時の放送に変更がないということは、演説は10分以内の短いものであろう・・などと、テレビ的な推測をされていました。

 そこまで時間が押しながらも、生放送に切り替えずに録画にこだわり、結局、今回の彼の演説は8分間の短いものでした。

 彼はこの演説で、国民議会選挙の結果を受け止めていることを示し、まず第一にこの選挙の棄権率の高さを指摘し、投票は、民主主義をより明確にするためのもので、国の大きな選択のために不可欠なものであるにも関わらず、このことが全ての人に実感されていないことが問題であると語っています。 

ー以下演説の内容ー

 そのうえで、「私は我が国に起こっている大きな亀裂や深い分裂を無視することはできず、その現実が今回の審議会の構成にも反映されていると思っています。彼らは、村のような労働者階級が住む地域の多くで、人生が閉ざされ、展望が開けないという懸念を表明しています。」 

 「多くの西欧民主主義国家と同様に、今日、いかなる政治勢力も単独で法律を制定することはできません。したがって、今後は、連合契約を構築するか、議題ごとにマジョリティを構築することによって、拡大することが必要になります。」

 「国民と国家の利益のために行動するために、私たちはこれまでと異なる統治と立法を学ばなければなりません。私たちは、新しい議会を構成する政治グループと、対話、傾聴、尊重を基本に、新たな妥協点を築かなければなりません。これは国民が望んでいたことであるということに留意しています。それは、対話、尊重、要求を通じて、時間をかけて合意することを覚悟しなければならないということを意味しています。」

 「私は、この国が明確に表明した変革への願いを聞き、それを担当することを決意しています。昨日、今日と、国会で会派を組むことができるすべての政治団体のリーダーと交流しています。私は、まず、彼らが皆、わが国の制度を尊重し、わが国のために行き詰まりを回避したいという気持ちを表明したことを強調し、会談の内容を正確に記録しています。」

 「私がこの2日間で会談した指導者のほとんどは、国民統合政府という仮説を否定しており、それは現時点では正当化されないと私は考えています。また、多くの人が、購買力、仕事、完全雇用の達成手段、エコロジーへの移行、安全保障など、皆さんの日常生活に関わる主要かつ緊急な問題について前進する意志を表明しています。したがって、この重要な時期に、より広範で明確な多数派の行動を見出すことが可能であると私は考えています。」

 「この方法は、論争や政治的な姿勢から脱却し、対話、妥協、共同作業を通じて築き上げるという、多くの皆さんの願望に応えるものであることを理解しています。したがって、私は、今後数週間のうちに、この政治的克服が明瞭かつ責任を持って継続されることを望んでいます。」 

 「まず、問題を明瞭に解決していくことが必要で、つまり、昨年の4月に選んだプロジェクトの一貫性を決して失わないということです。それは、私たちの国、フランス、そしてヨーロッパにおける独立のプロジェクトであり、強力で野心的な防衛、優れた研究、将来への投資によるより強力な産業と農業を通じて、より強くしていかなければなりません。」

 「そのためには、この夏、国や皆さんの暮らしに必要な緊急対策を講じなければならないこともわかっています。購買力のための法律、より良い報酬を得るための仕事、完全雇用に向けた最初の決断、エネルギーと気候に関する強い選択、私たちの病院やパンデミックなど、私たちの健康のための緊急措置などです。」

 そして、これらの対策のために増税、負債を負わないことを約束しています。

 具体的な解決策を示すことができる段階ではないため、いつもは力強く、口の上手いマクロン大統領にしては、表情も硬く、説得力に欠ける演説でしたが、国民の混乱を避けるために、とにかく、今の段階で一度、意志を表明しておくことが不可欠だと考えての演説だったと思います。

 しかし、世論調査によると、フランス国民の71%が国民議会に絶対多数派が存在しないことに満足しているといいます。議会にはいろいろな意見の人が集まって、話し合いをする・・これは、極めて民主主義的なことで、健全であるとも言えます。

 逆にこれまで、マクロン政権がかなり強引にことを進めてきたことに対する軌道修正に繋がるかもしれません。ただし、これまでのようなスピード感はなくなります。

 一部から格好の攻撃のターゲットにされていたエリザベット・ボルヌ首相の辞任問題については、今回の演説では、全く触れることはありませんでした。本質の問題は、そこではないのです。

 これまでマクロン大統領が1期目就任以来、黄色いベスト運動、テロ、パンデミック、戦争といくつもの困難が襲ってきましたが、今回のものは、これまでとはまた違う根本的な国の統治の方法を覆される場面、災い転じて福となすといくと良いのですが・・。


マクロン大統領国民議会選挙結果後の演説


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2022年6月22日水曜日

ウクライナ戦争の話題も吹っ飛ぶフランス国民議会選挙の波紋

   


 先週末に行われたフランスの国民議会選挙の決選投票で、マクロン大統領率いる右派連合「アンサンブル」が245議席を獲得し、多数派になったものの、過半数の289議席には届かなかったことから、今後のマクロン大統領の新体制に暗雲が立ち込め始めています。

 これまで、フランスでは、今回のような過半数の議席を持たずに政権を運営するのは、非常に難しいとされてきており、ミッテラン政権(1988〜1991年)以来のことです。

 この緊急事態に、これまで毎日のように報道されていたウクライナ戦争の報道が吹っ飛び、この選挙の波紋について、フランスでは大騒ぎして報道しています。

 この選挙結果を受けて、5月半ばに就任したエリザベット・ボルヌ首相は、「今回の結果が生み出す政治状況は国際的な課題や国内のエネルギー問題や物価高騰問題に直面するフランスにとって大きなリスクになる」と認めつつも、「安定を確保しつつ改革を実現するために必要な多数派の確保に努めること」を宣言し、物価高騰に対応したフードバウチャーなどの家計支援措置や完全雇用、環境問題、教育、医療、産業、エネルギー、農業など、それぞれの安全保障などの分野で多数派を結集することは可能である」と述べていました。

 しかし、今回の選挙で躍進を遂げた野党の勢いは止まらず、選挙から2日後、エリザベット・ボルヌ首相がマクロン大統領に辞表を提出したものの、マクロン大統領に却下されたというニュースで、さらに混乱が広がりました。

 マクロン大統領が再選されたのが、4月末のこと、それから数週間おいて、発表された新内閣が誕生したのは、5月半ばで、マクロン大統領は多くの国民(国民の74%と言われていました)が望む女性の首相を指名し、史上2人目の女性首相として、期待されていました。

 正直、私はそれまで、あまり彼女のことは知りませんでしたが、新旧首相交代の挨拶の際に、カステックス前首相が彼女について、「この2年間、一緒に仕事をしてきた中で、彼女の高潔さ、誠実さ、有能さ、自発性という計り知れない資質を確認している」、「彼女は信頼できる人物であると伝えたい」と語っていましたし、恐らく、それは間違ってはいないことだったと思います。

 しかし、新内閣が組閣されて以来、一新した新しいマクロン政権の様子を見ると、首相にしても、政府スポークスマンにしても、インパクトが薄く、国民に訴えかけ、説得する迫力が失われたような印象を受けていました。

 正直、マクロン大統領は、この新内閣発足以来、ルーマニアやモルドバ、ウクライナを訪問したり、国外向けの対応に追われていて、少々、今回の選挙を甘く見て、新内閣の結束を強固にすることを疎かにしていた感が否めません。

 マクロン大統領にとって、今回の選挙の敗北?とともに、このボルヌ首相の辞任騒ぎは大きな痛手、指名した首相が辞表を提出して却下するなどというマイナスな報道が流れるなど、選挙結果に追い討ちをかけるようなもの。辞表を提出する前に、なぜ大統領と首相は話し合いができなかったのでしょうか? 辞意を示していたとしても、これは決して報道されてはいけないことだったに違いありません。

 彼女が誠実であるがゆえに、提出した辞表だとも思われますが、対立する左派連合「環境・社会 新人民連合(NUPES)」を率いるジャン・リュック・メランション氏などは、ここぞとばかりに「彼女に正当性はない!彼女が辞任するまで時間を無駄にするだけだ!」などの暴言を吐いて攻撃しています。

 いみじくも、新旧首相交代の時に、カステックス前首相が「フランス人は要求の多い国民で、額面通りには受け取らない」「また、マティニョン(首相官邸)の住人に批判が集まるのは必至だ」と彼女に警告していました。

 今後、彼女が首相を続行するのかどうかはわかりませんが、彼女の高潔さ、誠実さ、有能さは貴重ではあるものの、もっとわかりやすい人を惹きつけるようなインパクトや力強さがフランスという国には必要なのかもしれないとも思うのです。


フランス国民議会選挙 ボルヌ首相辞表提出却下


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2022年6月21日火曜日

やっぱりマスクは侮れない フランスのコロナウィルス感染リバウンド

   


 ここ1週間ほどで、フランスは、1日の新規感染者数が2万人台から5万人台へと激増しています。

 今さらではありますが、公共交通機関でのマスク着用義務化が撤廃されて、しかもフランス全土を襲った猛暑で40℃近い気温を記録したり、マスクは、日々、減っていっているような気がします。

 4月に久しぶりの日本に行って、その日本のマスク率にあらためて驚いてきましたが、いい加減、あまりに厳しい空気(普段、ゆるゆるのフランスの生活に慣れてしまっているため)に、正直、日本もそこまでキチキチにしなくてもいいのに・・と思っていました。

 私は、今でも公共交通機関の中ではマスクをするようにしていますが、屋外ではマスクを外しているために、メトロやバスに乗る時には、しばらくしてから、「あっ!そういえば、マスクしてなかった・・」などと思い出して慌ててマスクをすることもあって、自分でも気が緩んでいるな・・と思います。

 これまでいくつもの波を繰り返してきたので、感染は増加に転じ始めると、倍々に増えていくわけで、しかも、これまでと違うことは、周囲の人々がほとんどマスクをしていないので、考えてみたら、これまでよりも感染のリスクはずっと高くなっているわけで、これまで以上に気をつけなければならないということです。

 みんながマスクをしていないから、私もしなくていいのではなく、みんながマスクをしなくなったから、私はしなくてはならない・・という認識に変えなければならないのです。

 1日の新規感染者の数字というのは、意外と身近なところにも表れてくるもので、日本行きの前にテストしたら、まさかの陽性だった・・とか、家族が感染したから、検査したら、陽性だった・・とか、実はすでに感染していて、味覚障害・・とかいう話をポロポロ聞くようになってきました。

 私は幸か不幸か、このクソ暑い中、風邪をひいて、ここ数日、体調がすぐれず、辛いのですが、コロナ感染ではなくとも、インフルエンザ等の病気もマスクによって防げていたのだな・・と感じています。

 あらためて、これまでのコロナウィルスによる被害を見ると、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国(欧米を中心とする先進国)38カ国の中でも、格段に致死率が低く、マスク率は他とは比較にならないほどです。

 ちなみに、これまでのコロナウィルス感染による死者数は、フランスはほぼ15万人、日本は約3万人です。しかも、日本はフランスなどのような、圧倒的なロックダウンは全くやってこなかったのです。

 これまでの実績?を見れば、日本のマスク率の高さはやはり、再注目に値するものであることを見直さなければならないかもしれません。

 一時は、日本ももういい加減、そんなに厳しくマスクしていなくてもいいんじゃないの?と思いかけてはいましたが、やはり、こんな結果を見ると、マスクの効果は侮れないと、このマスクが消えていくフランスで、やっぱりマスクはしなければ・・と決意を新たにしています。

 また、6月に入っての感染の激増の要因の一つは、流行しているウィルスがこれまでのBA2からBA5に置き換わってきていることでもあると言われています。(BA5はBA2よりも8〜12%感染率が高い)

 そして、気になる症状に関しては、一般的な症状に関しては、疲労、咳、発熱、頭痛、鼻水と言われていますが、BA5はBA2よりも嗅覚障害、味覚障害、吐き気、嘔吐、下痢の可能性が高いようです。

 ウクライナ戦争やインフレ、異常気象などでコロナウィルス感染への注意がまぎれ散ってしまっていますが、コロナウィルスは消滅するどころか、また増加しているわけで、戦争もまだまだ続きそうではありますが、コロナウィルス感染もまだまだ続きそうなのです。

 なんと、1日の新規感染者数が2万人台から5万人台に増加したと驚いていたら、翌日には、今度は一気に95,217人を記録して、なんと9万人超えというかもう10万人まで到達しそうな勢い・・本格的なバカンスシーズンを前にして、何も対策を取らないのは、危険かもしれません。やっぱり、マスクはなにがなんでもしなくては・・・。


フランスコロナ感染リバウンド マスクの効用


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2022年6月20日月曜日

最近、猛暑時に必ず起こるストリートプーリング

   


 ここのところ毎年、ちょっと耐え難い猛暑がやってくるたびに、一部の地域では、消火栓を開けてダイナミックに「噴水」を作り涼をとり楽しむ人々が登場します。これを「ストリートプーリング」と呼んでいるようです。

 特に40℃を超えるような暑さともなれば、このような噴水があったら、どんなに涼しいだろうかと思わないこともありませんが、違法であり、危険でもあります。

 パリ北部郊外のセーヌ・サン・ドニなどでは、これが頻繁に起こり、パリ消防局・警察は、「ストリートプールは違法行為、感電、断水、消防隊員の介入妨害などのリスクもあり、最高5年の禁固刑、または75,000ユーロの罰金に課せられる可能性があります」と呼びかけています。

 そもそも、私が最初にヨーロッパに来た時に、夏、暑くなると、街中の噴水などをプール代わりのように使って、涼んでいる人々がいることにびっくりした覚えがあります。

 子供が水のあるところでついついはしゃぐくらいなら理解ができるのですが、大の大人が臆面もなく、街中の噴水に浸かったりするのですから、なんと、野蛮な人たちなんだ・・と思っていました。

 まあ、ちょっと暑くなり始めると、目立ちたがりで頭がおかしい人が現れるんだな・・くらいに思っていたのですが、今から考えてみれば、今、問題になっているストリートプールに比べれば、あらかじめ用意されている噴水に入っていくことくらい、まだ全然マシだったわけです。

 しかし、この噴水などに入って水浴びをしたり、水遊びしたりする人は以前よりも格段に増え、(私自身がそんな光景に慣れてしまって、あまり驚かなくなって感覚が麻痺してきたこともあるかもしれない)、暑さが異常になってきたこともあると思いますが、これが容易に許容されるというか、珍しくない感じになってきていることを感じます。



 もちろん、消火栓は緊急時の消火用のため、いざという時のためで、消火栓自体が破壊されてしまうこともあるので、消防隊だけでなく警察が介入しての衝突が起こります。そもそもフランスでの消火活動といえば、不用意に起こる火事だけでなく、車が燃やされたり、デモが暴徒化してゴミ箱や建物が故意に燃やされたりすることが少なくないので、想像以上に実際に必要なケースは多いのです。

 一見、涼しげで楽しそうに見えてしまうこの光景も一旦、消火栓が開けられると、消防隊が介入するまでの間、数百リットルの水が流れ出し、水道供給のネットワークの圧力が低下してしまい、最悪、飲料水の停止にまで繋がってしまいます。

 また、放出されたジェット水流は数メートルの高さに達するために感電しの危険性を伴う電気配線に到達する可能性があるのです。

 ただでさえ、この猛暑で枯渇する貯水、大量の飲料水の損失も引き起こします。

 最近、サン・ドニで消火栓の解放により6歳の子供が空中に投げ出され、危篤状態に陥ったことがありました。

 なにか、野蛮な事件が起こるといえば、「また、サン・ドニ(パリ北部に隣接した地域)か・・と思ってしまうのですが、残念ながら、この地域はロクなことが起こりません。

 野蛮なタイプの若者の悪ふざけのお遊びのような感じでもありますが、最高5年の禁固刑または、最高75,000ユーロの罰金、75,000ユーロといえば、日本円にして、軽く1千万円超えの大金です。

 悪ふざけの水遊びにしては、かなり高くつきます。


ストリートプーリング


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2022年6月19日日曜日

フランスの猛暑というより40℃超えの酷暑とシャトールーの水道水に大腸菌で水道一時停止

     


 ここ数年、40℃を超える夏の酷暑は、もう年中行事のようになっているので、もはやエアコンのない我が家でも、もう対処方法は慣れたもので、朝早い時間に部屋の空気の入れ替えをして、ベランダの植物にたっぷり水をやり、シャッターのある部屋は薄明かりだけ入るスペースを残して閉めてしまいます。

 ジワジワと暑くなっていく外の気配を家の中で、じっと身を潜めているのです。毛皮に覆われたネコも辛そうで、顎をのばして寝ていて、しかし、このクソ暑い中、わざわざ隣にべったりと座り込んでいるので、シャワーを浴びさせて、洗ってあげました。

 こんな日は、すぐに乾いてしまうので、ネコのシャンプーには最適で、いつもは、ものすごく嫌がって、大騒ぎするのに、今日は、珍しくおとなしくしていました。

 とても、他人に見せられない姿ですが、タオル3本を用意して、水に濡らして1本はねじりハチマキにして頭に巻き、一本は首に巻き、もう1本は肩からかけ、体温が上がらないようにします。これで、ずいぶんと楽になります。タオルが温まってきたら、また、タオルを濡らし直します。

 あとは、扇風機があれば、なんとか40℃も凌げます。とはいえ、暑いというだけで、かなり体力を消耗します。

 ここまでの気温になれば、これ以上、部屋の温度を上げたくないので、とてもお料理などする気にならないので、前日から夏野菜を蒸して、出汁につけてあり、かろうじておそうめんを茹でただけです。

 前日の天気予報では、パリの気温は日陰でも40℃という恐ろしい予報が出ていましたから、万全の体制で備えたわけです。

 予想に反してというほどではありませんが、パリの気温は39℃まで、しかし、ビアリッツ42℃、バイヨンヌ43℃、ボルドー40℃と多くの地域で40℃を突破しました。

 夏の猛暑・・というより、酷暑は毎年のことになっていますが、今年さらにパワーアップしているのは、今がまだ6月だということです。フランスは5月の段階ですでに30℃を超える5月の気温の歴史的記録を塗り替えていますが、どうやら、6月の記録も塗り替えたようです。

 この猛暑は、地域により若干の差はあるものの、フランスのほぼ全体(ヨーロッパ)を襲っているものです。

 この猛暑の中で、フランス中央部のシャトールーという都市では、水道水に大腸菌が発生し、一部、水道水の供給がストップするという恐ろしい事故が起こりました。25,000人の住民が水道水を奪われた状態になり、12万5000本のペットボトルの水が配布されたようです。

 この大腸菌の混入は、水中の塩素拡散システムの故障によるもので、警報が鳴らず、発見までに時間がかかり、結局、未処理の水が配られ、細菌が増殖してしまったそうです。

 この暑さの中で水の供給は命に関わるライフライン、異常な気温の上昇の際には、水の汲み置き、また、水の買い置きも必要だと、この私の猛暑対策のリストに水の確保という項目が追加されました。

 しかし、年々、身をもって感じるこの気候の変化に、ふだん、エコロジーとか、交通規制とか、電気自動車へ移行などの長期的な取り組みが発表される様子を見ていますが、そんなに悠長にしているわけにはいかないのではないか?と肌で感じる今日この頃です。


フランスの記録的な6月の猛暑 40℃


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2022年6月18日土曜日

パリのバス停で・・喋る喋るフランスのおばちゃん

  


 今週のパリ(フランス全土)は、まだ6月だというのに凄く暑くて、身体がキツいです。なによりも、ついちょっと前までは、朝晩は肌寒いほどだったのに、急激に暑くなるものだから、身体の方もついていかないのです。

 そんなこともあってなのか、久しぶりに風邪をひいて、気温だけでなく、体温も上がってしんどい思いをしています。そんな時に限って、用事が立て込んで、忙しく出歩かなければならないと、いつもは、これくらいの距離だったら歩くか・・と思う距離でもバスに乗ろうとしてしまいます。

 そんな時に限って、バスはなかなか来なくて、ここ数日、バス停でバスを待っていると、知らないおばちゃんから、やたらと話しかけられます。どういうわけか、私はなぜか、パリでは知らない人に話しかけられることが多いのですが、ここ数日のおばちゃんたちは、暑いこともあってか、そのおしゃべりには、ものすごい勢いがあって、とても知らない人と話すテンションではありません。

 パリのバス停はたいてい、次のバスとその次のバスが何分後に来るかが表示されているのですが(壊れていることも多いけど)、いつもなら、あまりに時間があくようだったら、これは、歩いた方が早いかな?と思って歩くのですが、今回は体調もよくなくて、歩く元気がなく、ベンチに腰掛けていたのです。

 そこに一人のおばさんがやってきて、その電光掲示板を見て、「えっ??あと30分??」と声を上げたので、私もビックリして掲示板を覗き込むとほんとに30分、「さっき、ほんの1分前に見た時は、10分だったのに・・」とうっかり言ってしまうと、そのおばさんはバスを待つかどうかについて、延々と話し始め、挙句の果てに「夫に調べてもらう」と夫に電話し始めたところで、「えっ??わざわざ電話して調べてもらうの?」と私がびっくりしていると、「夫はね・・」と始まったところで、バスが来ました。

 次の日は、扇風機を買ってきたおばちゃんが、「ちょっと隣に座らせて・・」、とベンチの隣にやってきて、「暑くて耐えられないから買ってきたのよ・・」と始まり、私もつい、うっかり「本当に暑いですね・・」と言ってしまったものだから、もうそのおばちゃん、堰を切ったように話し始め、「だいたい、以前はこんなに暑くなかったし、以前は私も若かったから、こんなに苦しくなかった・・」、「夏には、いつもはバカンスに行くんだけど、今年は何もかも値上げしているから、私たちは行かないの・・」「でも、子供たちはだけは行かせてあげるつもり・・」「しかし、この扇風機を買ったお店、すごく店員さんが感じ良かった・・領収書を頼んだけど、なにもかもきっちりしていて・・もっとも、お店が空いてたこともあるんだろうけど・・」「市役所から、SMSでメッセージがきて、「お水をしっかり飲むようにって・・」「でも、こういう注意喚起は大切よね・・私には必要ないけど、お年寄りは暑さに気がつかない場合もあるし・・」「きっと、市役所には、こういう場合にメッセージを送るリストがあるんだわ・・」などなど、もの凄い勢いで、これまたバスが来るまで話し続けるのでした。

 別にバスを待っている間、おしゃべりしているのは、退屈凌ぎでいいのですが、日本人の私からしたら、とても知らない人と話すテンションではないもの凄い勢いで話し続けるおばちゃんたちにちょっとビックリすることもあるのです。

 フランスに住む前、観光でパリに来たことはあったのですが、その時は、フランス人って(特にパリの人)どちらかというとツンとしていて、感じ悪いな・・と思うことが多かったのに、実際に生活してみると、結構、おしゃべりで、下町のおばちゃんみたいな人も多いのだな・・と思うのです。

 しかし、娘などは、知らない人から話しかけられることはまずないと言うので、私がおしゃべりおばちゃんを呼び寄せるオーラを放っているのかもしれません。でも、日本では私とて、決して知らない人から話しかけられることはないので、やっぱりフランスならではないかと思っています。


フランス人のおばちゃんはおしゃべり


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2022年6月17日金曜日

マクロン大統領ドイツ首相とイタリア首相とともにキエフへ

  


 ウクライナでの戦争が始まって以来、ウクライナのゼレンスキー大統領とは、おそらく誰よりも頻繁に連絡取り続けてきたマクロン大統領がついにウクライナ・キエフを訪問しました。

 マクロン大統領は、ルーマニアとモルドバを公式訪問中で、数日前から、この後、彼がウクライナを訪問するのではないか?という噂が飛び交っていました。

 これまで再度にわたるゼレンスキー大統領から「キエフに来て!」というラブコール?にもかかわらず、比較的、つれない態度で「必要と判断できたら、行く」と言い続けてきたマクロン大統領でしたが、ようやくキエフ訪問に踏み切ったようです。

 しかも、一人ではなく、ドイツのショルツ首相とイタリアのドラギ首相とともにという変化球バージョンで・・。

 この戦時下で、3カ国の首脳が一緒にキエフを訪問するということは、前もってかなり準備された日程であったことは明白ですが、セキュリティー上、彼らのウクライナ訪問は伏せられ、綿密な準備が進められていました。

 ウクライナ領空は閉鎖されているために飛行機という選択肢はなく、マクロン大統領は水曜日の夜にドイツ、イタリアの首相とともにウクライナ鉄道の寝台列車に乗車。国境から約100キロ離れたポーランドの都市ルツェズフを深夜に出発し、午前8時半にウクライナの首都に到着しました。

  


 列車は夜間に走行し、橋や駅に沿って警備隊を配置して保護され、車両に危険物や盗聴器等がないかなどが厳密にチェックされていました。

 列車を降りた欧州の3首脳は、イルピンに向かい、別行動をしていたルーマニアのクラウス・イオハニス大統領と合流しました。朽ち果てた建物や弾丸で破壊された車を目の当たりにして、彼らはこの戦争犯罪の「野蛮さ」を完全に把握したのです。



 ショルツ首相は、「イルピンはブチャと同様、ロシア戦争の想像を絶する残酷さの象徴となった」と言い、マクロンはイルピンを「戦争犯罪の野蛮さが際立つ英雄的都市」と表現し、ドラギ首相は「すべてを再建する」と約束しました。

 これらの訪問や会見の様子は、フランスやウクライナの大統領に敵対する軍事集団が、爆撃の可能性がある国家元首の位置を明確に特定することはできないようにするため、どれも生放送ではなく、数十分程度の少し遅れたバージョンで放送されていました。

 マクロン大統領は、ここに立ち会った4カ国(フランス、ドイツ、イタリア、ルーマニア)はウクライナのEU加盟の「即時」公式候補資格の付与を支持すると発表しています。

 これまで、ウクライナ訪問のタイミングを測っていたマクロン大統領ですが、キエフを訪問するかぎり、手ぶらというわけにはいかないのだろうと思っていましたが、フランスは、ウクライナに「シーザー」兵器システム6台を追加納入(すでに納入した12台は納入済み)すると発表しました。この自走砲は精度と機動性に優れていることで知られています。そして、この兵器供与とともに6月23〜24日に行われる欧州サミットを前に、欧州の連帯を示す強力で明確なメッセージとして、ドイツやイタリア、ルーマニアとともにキエフを訪れ、この訪問にさらなるインパクトを与えたのです。

 折しも、アメリカが、ウクライナの黒海沿岸の防衛のために、榴弾砲18基とその輸送車、砲弾3万6000発、ハープーン対艦ミサイルランチャー2基など10億ドルの援助を発表したばかり、ヨーロッパの結束をアピールするためには、欧州サミットの1週間前という日程が選ばれたのです。

 フランス国内では、このマクロン大統領のキエフ訪問について、訪問そのものは肯定しているものの、なぜ、このタイミングだったのか?(現在、議会選挙の最終投票を控えている)というこのタイミングを非難する声も上がっていますが、このキエフ訪問をより効果的にするためには、ドイツやイタリアの首脳とともに欧州サミットの直前に訪問することで、兵器だけでなく、別のものをウクライナに送ることができると考えたに違いありません。


 それにしても、マクロン大統領とゼレンスキー大統領の再会の際の笑みや抱擁、硬く手を握り合う様子はロマンチックだなどと描写するジャーナリストもいて、兄弟のような熱い絆が感じられるのでした。


マクロン大統領キエフ訪問


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2022年6月16日木曜日

モンマルトル歩行者天国化計画と世界遺産登録

   


 パリ市はすでにパリ中心部の地域を中心に「交通規制区域」(1~4区とサンジェルマン大通りとセーヌ川の間に位置する5、6、7区の一部)を導入する計画を進めていますが、当初の2022年半ばまでには・・という計画は、想像以上に困難が立ちはだかり、計画を2024年のパリオリンピック前までに延期されています。

 それが、今度はパリ18区のモンマルトル地域がこの交通規制を2022年秋には第一段階を開始する予定だそうです。公共交通機関、タクシー、配送車、地域住民のみが歩行者専用エリアにアクセスできる歩行者天国化を計画中です。

 歩行者天国の外周はまだ検討中であり、道路の狭さは道路選定の基準のひとつになると言われています。

 モンマルトルの丘はパリ市内を一望できるパリで一番高い丘、丘の上には、サクレクール寺院が聳えたち、年間1,200万人の観光客が訪れる観光地でもあります。もともと、メトロの駅から丘に登っていく道は、ごちゃごちゃしていて、あまり治安がよいと言える場所でもなく、そんなにビュンビュン車が通るところでもないので、パリの中心部に比べて交通規制は行いやすいのかもしれません。

 モンマルトル地区はすでに毎週日曜日と祝日の11時から19時まで、一部の道路が通行止めになっています。

 このモンマルトル地区がこの歩行者天国化(交通規制)に躍起になっているのは、ユネスコの世界遺産登録を目指していることも理由のひとつであると聞いて、「えっ?サクレクール寺院は、世界遺産じゃなかったの?」と逆に驚いています。

 18区の市長は、「この計画はモンマルトルがユネスコの世界遺産に登録されるためにも不可欠な問題だ」と述べているのです。

 このユネスコの世界遺産というのをあらためて、調べてみると、モンサンミッシェルやヴェルサイユ宮殿、シャルトル大聖堂やランスのノートルダム寺院、パリのセーヌ河岸などなど、フランスには49ヶ所あるようですが、パリのノートルダム寺院(これはパリのセーヌ河岸に入るのかもしれない?)やルーブルやオルセーなどは入っていません。

 そもそも申請しなければ、登録されることはないので、あらためて申請して、世界遺産として認めていただかなくともよいとほど有名な場所はこの「世界遺産」というブランドは必要ないのかもしれませんが、逆に考えてみれば、今さら?モンマルトルが世界遺産登録申請をしているということが不思議な気もしています。

 たしかにモンマルトルは観光にも力を入れているような感じもあり、中でもサクレクール寺院はシンボル的な存在でもあります。その周囲には、ストリートアーティストなどが集まっている広場や街並みは、印象的でもありますが、中には、「ジュテームの壁」などといういかにも観光スポットを狙ったような人工的なちょっと意味がわからない壁を作ったりして、ちょっとビックリしてしまったこともあります。

 また、世界遺産問題は別としても、ここ数日、6月というのに40℃近い気温を記録しようとしているフランスでは、交通規制でもなんでもして、少しでもこの異常気象の改善の小さな一歩になってくれればと思います。

 久しくモンマルトルには行っていませんが、娘が小さかった頃は、なぜか、サクレクール寺院は彼女のお気に入りで、彼女はなぜか「神様のおうち」と呼んでいて、よく連れて行ったものです。

 なんといっても、サクレクール寺院は丘の上にあるために、元気がありあまっていた娘を少しでも疲れさせるには、絶好の場所だったのです。

 今から思えば、あの頃は、夏でさえもこんなに暑いことはなく、なんとか、私も彼女に付き合って、あの丘を登ることができたのですが、今のこの気温だったら、かなりキツかったかもしれません。

 娘の幼少期にこの異常気象がなくて、幸いだったな・・とちょっと、胸を撫で下ろしていますが、ここ数年のパンデミックのロックダウンやこの異常気象、小さいお子さんをお持ちの方はどれだけ大変だろうか?と思います。

 全く、生きにくい世の中になってきたもんですが、少し涼しくなったら、歩行者天国になったモンマルトルの丘へ久しぶりに行ってみようかな?とも思っています。


モンマルトル交通規制 歩行者天国 世界遺産登録


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2022年6月15日水曜日

ガソリン、電気、食用オイルの次は、トイレットペーパーの価格が爆上がり

  


 そもそもパンデミックの影響で始まったインフレはガソリン、電気などの価格が高騰し始めたことで、昨年の段階から騒がれ始め、フランスでは、インフレ手当やエネルギーチケットなどが配られたりして、なんとなく、ちょっと得した気分にさえなっていたボーッとしている私ですが、その頂いたはずのものも、あっという間に知らないうちに、すっかり消費してしまっていることを考えれば、やはり確実に全ての価格は上昇しているようです。

 そもそも私は、日常的に頻繁に買い物する野菜や肉などの生鮮食料品に関しては、だいたい、このくらいの値段なら安いかな?高いかな?とかいう漠然とした感覚はあるものの、ストックがなくなれば、補充しておくような、食用オイルや洗剤、トイレットペーパーなどは、ごくごくたまにしか買わないので、正直、あまり値段は把握していません。

 しかも、通常なら、セールになっている時に、安くなっているなら買っておこうか・・くらいの適当さなので、価格が高騰したと言われても、騒がれ始めてから、なるほど・・と思い、実際に買い物に行っても、スーパーマーケットで色々なものをまとめて支払うので、支払いの時になって、「えっ?これしか買ってないのにこんなになっちゃった??」とちょっと反省したりするのですが、もともと、そんなに無駄なものを買っているわけでもないので、気をつけようもありません。

 だいたい食料品や日用品などは、特に贅沢品でもないかぎり、ひとつひとつの値段は大したことがなくても、積み重なっていくと、さすがに私のようにボーッと暮らしている者にとっても、だんだんヤバい感じになってきます。

 ついこの間まで、食用オイルや小麦粉、パスタなどの価格上昇について騒いでいたと思ったら、今度はトイレットペーパー価格が爆上がりのニュース。なんでも、製紙業界では、原料の紙パルプがここ1年で50%値上がりしたとかで、ペーパータオルが10%、トイレットペーパーが7%値上がりしているそうです。

 しかも、パルプの輸送はほとんどが海上輸送で、ウクライナ紛争が始まってからはさらに、アジアとヨーロッパを結ぶ陸上輸送が水域にシフトしています。現在の港湾の混雑やコンテナの価格は、輸送コストを増幅させるだけです。

 また、この業界では、木の皮のチップを数時間煮込んだ化学薬品の混合物を使用しているため、加工コストは1年で30%上昇しています。

 加えて、製紙はガスや電気を大量に消費しているため、このエネルギーは製品の30%を占めているとのこと。

 ロシアのガスが禁輸された場合、状況はさらに悪化する可能性があり、十分なエネルギーがなければ、一部の工場は操業停止に追い込まれる可能性さえあると言います。

 製紙業界といえば、トイレットペーパーだけではなく、9月からの新学期に備えてのノート類や、現在、アマゾンなどの配送に使われている大量の段ボールなどもあります。

 少し前までは、環境問題(廃棄物問題)から、プラスチック包装は禁止されたり、プラスチックのストローではなく紙のストローなどに移行し始めたばかりです。むしろ、「紙ならばエコ」くらいに感じていたのも、この製造過程を考えれば、そこまでエコでもないのかもしれません。

 ウクライナの小麦やオイルなどが輸出できない状態やロシアへの経済制裁から、食糧危機だと言っていますが、この全ての価格が上昇する経済危機は、止まらないようです。

 食糧危機に関しては、昨日、ウクライナでの戦争以来、初めてウクライナ産のトウモロコシがスペイン北西部の港に到着したそうです。ロシアが封鎖している黒海での航路を回避するための新しい海上航路を見出し、成功したことでこれからのウクライナからの海上輸出航路として期待されています。

 これも、ロシア上空を飛べない飛行機が迂回航路を使っているようなもので、ますます輸送費が加算されそうな気がしますが、食糧難回避のためとなれば、それも致し方ないのかもしれません。

 今回運ばれたトウモロコシなどは飼料用のトウモロコシだそうで、この高価そうなトウモロコシを食べたブタなどの値段がさらにまた、高騰しそうです。

 フランスはこれまで輸入していたひまわりオイルなどを自分で生産しようと、ひまわりなどの栽培にも手を広げ始めたと言われていますが、今度は異常気象で、フランスは今週も猛暑(今週はまだ6月だというのに軒並み30℃超え、パリでさえ、今週末は38℃まで気温が上昇すると言われています)、雨が降らなければ、農作物も育たないというもうにっちもさっちもいかない状態です。


トイレットペーパー爆上がり


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2022年6月14日火曜日

日本の外国人観光客受け入れと燃油サーチャージ値上げ

  


 フランス人の友人が今年は日本も外国人観光客を受け入れるようになったからと、今年の夏は姪っ子を連れて日本へ行く予定にしていました。これは、日本の岸田首相がロンドンを訪問した際の講演で、「日本は6月には、主要7ヶ国(G7)並みに水際対策を緩和する」と宣言したため、本当にG7並みに日本が水際対策を緩和すると思っていたからです。

 ところが、蓋を開けてみれば、これは全くG7とは異なったもので、「旅行代理店を通してグループで旅行する観光客のみ」プラス「外国人観光客には民間医療保険加入を要請」という条件つきでした。

 国際的な場で、あれだけ堂々と宣言したにもかかわらず、全くG7並みではありません。フランス(G7の国々)など、国の地域によっては、制限をかけているところはありますが、入国時のワクチン証明書のランダムなチェックとなっていますが、実際は、ほぼほぼノーチェックです。ましてやまた、旅行代理店を介したグループ旅行のみなどなどあり得ない話です。

 昨日、パリの街中を歩いていたら、あ〜これ、絶対イギリス人の英語だ・・と思うような英語やスペイン語なども聞こえてきて、観光客が増えたことを実感しています。

 ただ、「日本は6月から水際対策を緩和する」とだけ言っておけばよかったものを、彼の発言を間に受けて、日本に行こうと思っていた外国人にとっては、甚だ肩透かしを食った感じで、日本に行きたいと思っていた外国人は思いっきり裏切られた気持ちになっています。はっきり言って、外国人には大変評判が悪いです。

 私の友人について言えば、彼女はすでに何回も日本に行ったことがあり、「グループで旅行するなんて、絶対に嫌、もういい!日本には行かない!」と憤慨して、旅行先を変更してしまいました。

 そもそも、今、パリに来る日本人観光客でさえも、団体旅行というものは、極端に減り、ましてやフランス人は、団体旅行など、個人では行き辛いよほどの辺境の地でもないかぎり、利用しません。好きな時間に好きなところを自分の足で歩いて、自分なりの旅行をアレンジしたいと思うのが普通です。

 コロナのための対策とはいえ、日本がまた、こんな時代に逆行するようなことを言い出しているのは、なんかモヤモヤします。

 せっかく、水際措置を緩和して、「外国人観光客受け入れ再開!」などと、言いつつ、「グループ旅行オンリー」などと条件をつけたために、全くG7並みとはほど遠く、また、外国人観光客を逃しています。

 本来ならば、これだけの円安です。外国人観光客がもっと日本に行けば、どれだけお金を使ってくれるか期待できるところでしたが、またこれで、日本は旅行先候補から外されます。

 そのうえ、ANAから、8月からの発券分は、北米、欧州、中東、オセアニア往復で98,000円に値上げというニュースに絶句しました。

 だいたい、パリ⇄羽田便の直行便に関しては、ANAはほとんど欠航だと聞いていましたが、ANAのサイトを見ると7月1日から8月31日は水、金、日は運行とあり、しかし、よく見てみると、(ただし8月24〜31日までのみの期間、ただし7月7日、9日、28日、8月21日は運行)となっています。

 念の為、値段を確認しようと7月7日に予約を入れてみようとすると、予約のサイトでは、7月7日の便は欠航になっています。もうこの時点で、一体、飛行機が運行されるのか、欠航なのか、情報でさえもあやふやで、怪しくなってきて、この様子では、またキャンセル、変更の繰り返しになるのでは・・とうんざりしました。

 それではJALは?と思って見てみると、JALの方は、パリ⇄羽田便は毎日運行しているようです。それでは念の為、同じ7月7日で予約を入れて値段を確認すると、なんとエコノミークラスで、航空券 1164ユーロ(162,960円)、プラス燃料サーチャージ 724.97ユーロ(約101,495円)で合計1888.97ユーロ(264,455円)という衝撃の価格です。特に燃料サーチャージに関しては、すでに10万円を超えています。

 まあ、そもそも、夏に日本に行くつもりはないのですが、あまりにこの98,000円に値上げというニュースにビックリして、実際に日付を入れてみて値段を確認してみただけなので、構わないと言えば、構わないのですが、それにしても、この値段はあまりにショックです。

 エコノミークラスで航空券が16万円で、燃油サーチャージが10万円って、ちょっと理解できない(これだけガソリン価格が高騰しているのでわかるといえばわかるけど)というか、受け入れられない感じです。

 戦争が終わらないかぎり、長距離フライトプラスこの燃料サーチャージの高騰は続くのでしょうか? そして、戦争が終わってガソリン価格が元に戻ったら、本当に航空券、特にこの燃料サーチャージも元に戻るのでしょうか?

 こんなに値上げされては、そうそう気軽に日本には、もう帰れません。


日本外国人観光客受け入れ 燃油サーチャージ値上げ


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2022年6月13日月曜日

パリの治安の悪化再び エッフェル塔近辺で暴力を伴った強盗事件で一晩で12人逮捕

  


 パンデミック前ほどとは言わないまでも、パリに観光客がかなり戻ってきています。以前ほどではなくとも、観光バスもちらほら見かけるようになってきたし、美術館には行列ができるようになってきました。

 しかし、戻ってきたのは観光客だけではなく、観光客を狙う犯罪も戻ってきたようです。パリでは、スリやひったくり、置き引きなどは、珍しいことではないので、たとえ、観光客ではなく、こちらに住んでいる者とて、決して気を緩めることはできません。

 ある程度、パリに長く住んでいれば、少なからず、それなりに日常的に少なくとも、自分自身も含めて、周囲の誰かしらが被害に遭ったという話を耳にしているので、大金は持ち歩かないとか、華美な服装やブランドものを持ち歩かないとか、自ずとかなり警戒する生活を送っています。

 しかし、観光客となれば、やはり話は別で、慣れない国で知らないところを見に来るのが観光ですから、やはり隙ができるのは仕方ない話で、スリやひったくりなどは観光客をターゲットにしようとします。

 スリやひったくりなどは、取り立ててニュースにするほどでもないくらい頻発しているので、特にパンデミックの観光客が少なかった間は、あまり目立った事件を耳にすることもありませんでした。

 ところが、先週、パリ・エッフェル塔近くのトロカデロで強盗を働いた12人の若者が逮捕されたという知らせが入ってきました。

 スリやひったくりなどは、被害に遭ったことにその瞬間は気付かないことも多く、たいていは、事後になってから気付いて、一応、警察に届けたとしても、その後に捜査をしているとは思い難く、たとえ、無理矢理、何かを奪われることがあっても、その場に警察でもいない限り、身の危険も考えると捕まえることはまず不可能です。

 こういった強盗などは、まず単独犯ではないことが多く、たいていは、何かを奪う人とそれを持って逃げる人と役割分担ができているのも特徴です。

 それが先週の事件は、一度に12人も逮捕したというのですから、ちょっと驚きです。

 今回の事件は、夜11時頃、トロカデロの庭園で2人の若者が観光客から金のネックレスを引きちぎるところをパトロール隊が目撃したことから、始まりました。エッフェル塔付近は、言わずと知れたパリの観光客が集まる場所の一つです。2人の若者は、すぐに逮捕され、近くの警察に連行されました。

 その段階で、近くには20人ほどの仲間がいたことが確認されています。

 その数分後に同じ警察に、後頭部と腕に傷を負い、血を流しながら強盗被害に遭った人が訪れてきました。被害者はすぐに救急隊によって手当を受けて、近隣の病院に搬送されました。この男性の証言によると、エッフェル塔付近にいたところ、持っていたバッグを奪おうと数人の若者が襲ってきて、彼が抵抗したため、割れた瓶で殴られたそうです。

 割れた瓶で殴られるなど、怖すぎる話です。

 また、その直後には、2人のアジア人観光客が「iPhone 12 pro Maxをひったくられた」と被害届を提出に警察へ。ここまで、犯行が重なる事態に、警察は大挙して広場に出動、9人の容疑者を確認し、連行。彼らからは、先ほど盗まれたばかりのiPhoneを発見され、若者たちは、即座に逮捕されました。

 そして、さらに午前2時30分頃、庭を歩いていた女性の首から金のネックレスが引きちぎられる事件が発生。女性の証言により、5人組の強盗に襲われたことがわかり、警察官は容疑者を発見し、さらに3人の強盗が逮捕されました。彼らは5人の共犯者とともに、観光客に暴行を加え、シャネルのペンダントがついた3連の金の鎖を奪っていました。

 一晩で、同じ場所でこれだけの犯罪が起こり、その一部が逮捕されているにも関わらず、犯行が止まずに続くということは、警察も全く舐められているわけで、事実、1日で同じ場所でこれだけの逮捕者が出るという話もあまり聞いたことがありません。



 言わせてもらえば、深夜に観光地でシャネルの金のネックレスをつけて歩く方もどうかしていると思いますが、そもそも悪いのは、犯罪者の方です。しかし、それを誘因するような身なりや行動にも注意が必要です。

 ましてや、金品を奪われるだけでなく、割れた瓶で頭を殴られるなどという暴力的な暴漢に遭遇する危険もあるのです。

 以前は、私の職場も比較的、観光客が多い場所にあり、ジプシーと思われるような子供がたむろしているのを道路に座り込んで待機しているのを見かけたことがありましたが、そのような子供には、必ず大人がバックについており、子供の場合は、捕まってもすぐに解放されるために、大人の代わりに仕事?をさせられているようでしたが、最近は、大人がバックについていない未成年のグループの犯罪が増加しているようです。

 この日は、結局、大挙して警察が出動し、27人もの身元確認が行われた結果、このうちの12人が逮捕されるという大捕物になりました。

 パリ検察庁に送致されるこの手の未成年の犯罪者は年間4,000人と言われています。

 ここ2年間、観光客が途絶えていた期間、仕事?ができなかった彼らが観光客の再来とともに急ピッチで仕事を再開し始めたようです。

 アジア人、特に日本人はターゲットになりやすいので、パリを訪れる際は、くれぐれもご注意ください。日中の観光は、決して華美な服装はせずに、なるべく現金は持たず、少しおしゃれしてディナーなどに出かけたい場合は、一度ホテルに戻って着替えて、行き帰りはタクシーにした方が無難です。

 パリは美しい街ですが、残念ながら、日本の雑誌のパリ特集のようなおしゃれな服装をして出歩けるような場所ではないのです。


パリ 観光地 暴漢 強盗


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2022年6月12日日曜日

彼女を滅多刺しにして殺した14歳の少年に実刑判決 最高懲役20年

   


 ソーヌ・エ・ロワール(ブルゴーニュ地方)の小さな村クレッセで、地域の住民によって、村役場の裏にある市営競技場で血まみれの13歳の少女の遺体が発見されました。少女が身につけていたとみられるアクセサリーや上着が痛いからさほど遠くない道路で発見され、周囲に血痕があったことから、彼女が傷を受けてから、逃げようとしていたことがわかっています。

 少女には、胴体上部、肩、顔、首に数十ヶ所のナイフで刺された傷跡があり、1本のナイフが首に突き刺さっている状態だったと言います。

 少女の友人の証言から、捜査官はすぐに彼女のボーイフレンドを突き止め、遺体が発見されたその日に、彼女の交際相手だった14歳の少年を学校で身柄を拘束しました。一時は、関係を断ち切っていた二人は、最近、交際を復活させ、夜中に再び会うようになっていました。

 過去にこの少年は、誰かを、特に自分のガールフレンドを殺すという不穏な言葉を口にしたことがあったそうですが、周囲の友人たちは、不穏に感じつつも、これらの発言をブラックユーモアとして受け止めていたそうです。

 そりゃそうです。たとえ、「殺してやる!」などと、嘯く人がいたとしても、「乱暴な言い方をするな・・」と嫌な感じを受けても、まさか本当に殺すとは思いません。

 学校で身柄を拘束されたということは、自分の彼女を殺して、普通に学校に登校していたということで、しかも、遺体を隠すこともなく、自分に疑いがかかることは考えなかったのか? それとも、じきに捕まることは覚悟のうえのことだったのか?まるで理解できませんが、彼はあっさり警察で自分が彼女を殺したことを自供したそうです。

 彼の自供によると、ここ数日は頻繁に夜中に彼女と会う約束をしていたため、彼女には、不審に思われることはないと思っていたが、その日は彼女を殺すつもりで、かねてから、扱いを練習までしたナイフを袖に隠してでかけ、しばらく話して様子を見計っって、首を3回刺したと言います。

 逃げようとした彼女を殴り、再びナイフで切りつけて殺したことを自供しています。しかし、犯行の動機については、語られていません。

 この事件は犯人が14歳の未成年の少年であるということや、その犯行の残虐さや、また、彼自身が父親からDVを受けていたこと、また、未成年の殺人という犯罪の量刑についてなど、様々な見地から波紋を呼んでいます。

 逮捕後に彼自身についての捜査が進むにつれて、彼は子供のころから、暴力にさらされて過ごしてきたことが浮かび上がってきました。両親の別離を背景に、不安定な家庭環境の中で生きてきた上に、数ヶ月前には、彼は頭蓋骨を縫った状態で登校し、父親にハンマーで殴られた結果だと友達に説明していたといいます。

 なぜ、恋人であるはずの彼女を殺さなければならなかったのか? 殺すほど憎い人ならば、関わらなければよさそうなものを交際を復活させてまで殺人に及んでしまった、しかも計画的に殺そうとしていたことなど、彼自身が父親から暴力を受けていたことから、身近な誰かを傷つけたかっただけなのか? その真相については語られていません。

 この異常な犯行に少年は、精神鑑定を受けましたが、彼の犯行は詳細にわたって計画されているもので、本人もその犯行の一部始終を細かく記憶していて、説明しているため、責任能力は問える状態であると判断され、すでに起訴、裁判所は、実刑(懲役刑)を求刑しています。これにより、彼はすでに少年刑務所に収監され、最高で20年の懲役が課されることになります。

 殺された13歳の少女は、中学2年生、前日の夜、寝る前に彼女を見たのが最期になってしまった両親は、遺体が発見された朝は、彼女がまだ寝ていると思っていたそうです。

 しかし、度々、夜中に13歳の少女が家を抜け出しているのに気がつかないのもどうかと思いますが、彼女の両親にとっては、前の日の夜の彼女は幸せそうで、このような凄惨な事件が起こるなど、微塵も思っていなかったということです。

 以前にも、14歳の恋愛感情のもつれから、暴力を受けた後に、セーヌ川に投げ捨てられた少女の事件がありましたが、あの時は、被害者の親も加害者の親もインタビューに答えたりして、フランスは、当事者の親までマスコミで堂々と証言をするんだ・・と驚いたことがありましたが、今回の事件に関しては、被害者、加害者の両親ともに公には口を閉ざしています。

 この事件が起こったのは、ソーヌ・エ・ロワール(ブルゴーニュ地方)のクレッセという人口850人といわれる小さな村での出来事で、パリ近郊の大都市圏とは、地元の住民の捉え方も違うのかもしれません。

 未成年の殺人事件というのは、さすがにそんなに起こることではありませんが、なぜか、目にする機会が多いように感じる14歳という年齢。

 今回の場合は、犯人の少年もかなり陰惨な家庭環境でDVを受けながら育ってきた様子で、彼自身も被害者でもあったとも言えるかもしれません。

 しかし、13歳〜14歳という年齢、背伸びしたい年頃とはいえ、まだまだ子供。娘がその年齢の頃を考えれば、夜中に出かけるなどもってのほか、親の責任がまだまだ大きい年齢です。

 こんな陰惨な事件の被害者には、申し訳ないし、不謹慎でもありますが、つくづく娘が無事に育ってよかった・・子供が無事に育つのって奇跡的かも?などと思ってしまうのです。


フランスの14歳の殺人事件


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2022年6月11日土曜日

パリ レピュブリック広場で行われたウクライナで殺害されたジャーナリストの追悼集会に参加しました

   


 5月末にウクライナの戦場で取材中に殺されたフランス人ジャーナリストの追悼集会がパリ・レピュブリック広場で行われました。

 彼の死亡についての報道はテレビやネットで目にしていましたが、32歳という若さで命懸けで真摯に仕事に取り組んでいたジャーナリストの死亡は一視聴者としても、やるせない気持ちで、パリで行われるならば、ぜひ立ち会いたいと参加してきました。

 当日は、午後6時半とはいえ、まだ陽も高く、1人の若者の追悼集会には、悲しいほど晴天で新緑がきれいなレピュブリック広場には、多くの人々が集まっていました。



 この亡くなったジャーナリストがBFMTVの社員であったことから、BFMTVの進行で行われましたが、彼のボルドーでのジャーナリストの学生時代の同級生、BFMTVの幹部、同僚、彼の母親、彼女、そして、ウクライナで彼と共に取材を続けてきた男性などが、次々と彼の人となりや仕事への向き合い方など彼のこれまでの軌跡、また報道の自由やジャーナリズムのあり方についてなどを語り続けました。

 パリのレピュブリック広場に集まっている大勢の人々は、彼らの話を聴きながら、涙する人も少なくありませんでした。

 パリで追悼集会というものに初めて参加しましたが、いつものデモなどの集会のような暴力的な感じや人を押し退けるような感じは微塵もなく、亡くなってしまった彼に寄り添う優しい人が多い印象でした。こうした気持ちを同じ場所に集って共有するというのは、不思議な連帯感が生まれるものです。心の中のフツフツとした感情を呼び起こしてくれるような感じです。

 中でもやはり印象的だったのは、彼の母親の話で、彼がこのジャーナリスト(カメラマン)の道に進んだ経緯や、その後の仕事への向き合い方、そして、今回のウクライナの戦場への取材に向かう前に長い時間、話し合ったことなどを冷静に語っていたことでした。

 彼はウクライナに発つ前に、あらためて、これが自分の職業へのコミットの意味であり、これが自分がこの職業を選んだ理由であると話していたようです。こんなに自分の息子の仕事への信念を理解している母親が一体、どれだけいるだろうか?と、私は自分を省みて、恥ずかしい思いでした。

 彼の母親の話を聴いて、彼の死亡直後にこの母親がロシアのタス通信が報道した内容に対して、毅然と公に反論を表明した意味や理由がわかるような気がしました。

 この日に話をした全ての人は、「彼は、控えめで目立つことを好まない人でしたが、楽しく、面白く、優しい人でもあり、いつも仲間に寄り添い、利他的で繊細で、声なき人々、「マイクを与えられない人々」に声を与えるという使命に真剣に取り組んでいた」と証言しています。

 そして、涙を誘ったのは、彼の最期の瞬間まで一緒に仕事をしていたウクライナから帰国したばかりの同僚の話でした。ウクライナの最前線の戦地で34日間、彼と寝起きを共にして、一緒に食事をし、一緒に仕事をしてきた彼の話はやはり真に迫るものがありました。

 彼らが無謀な取材をしていたのでは?という問いも投げかけられることもありました。しかし、そもそも危険な戦地です。取材に出発前にも可能な限りの安全状況を確認して、当日も安全の確認のために、当初の予定時間から2時間近くも遅れて出発したのだそうです。

 彼によれば、フレデリック(亡くなったジャーナリスト)とは、その都度、とことん話をして取材に臨んでいたが、彼ほど静かに、熱く語る人を今まで自分は知らなかったと話しています。

 「フレデリックは忠実で、人に対して優しく、常に慎重で、時間に遅れがちでした・・しかし、彼が時間に遅れがちなのは、決して彼がだらしないからではなく、彼が全ての準備を念入りにする完璧主義者だったからです」彼は爆撃を受けた直後、ただただ呆然とトラックの前に立ち尽くして彼の名前を呼び続けただけだった自分を振り返っています。

 彼は皆の前で、5分近くしっかり話をしましたが、その後は、呆然と大きく掲げられているフレデリックの写真を見つめて硬い表情を崩すことはありませんでした。彼は自分の話の中でも、現在、戦場で冗談のようにフレデリックと話していたとおりに、自分はPTSDの状態にあると語っていましたが、まさに、側から彼のたたずまいを見るだけでも、彼が深く傷ついていることがわかる様子でした。



  

 私たちは、現在、あたりまえのように戦地の映像を溢れかえるほどに毎日、目にしていますが、映像だけでも心が痛むところを実際に現場で取材に臨んでいる人々がどんなに大変な思いをしていることか、ましてや、目の前でその数分前まで必死に共に取材をしていた仲間が亡くなってしまったら・・そのショックや彼が負ってしまった心の傷は計り知れません。

 強い信念と深い志に溢れ、真剣に仕事に取り組んできた健康な若い青年の死は本当に残念なことです。

 それでもフレデリックの母親は、「ここに集まってくれた人々は、直接に彼を知らなかった人々も私の、そして彼の友人だと思っています。プーチンよ!これが、あなたが殺した美しい人だ!」と強く語りました。


ウクライナで死亡したフランス人ジャーナリストの追悼集会 レピュブリック広場


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2022年6月10日金曜日

2035年にはヨーロッパは電気自動車だけになる

   


 ストラスブールで開催された欧州議会は、EUの気候変動対策計画の一部である自動車のCO2排出規制に関する文書を339票(反対249票、棄権24票)で承認しました。この投票は、妥協案をまとめるための加盟国との交渉に先立って、欧州議会議員の立場を示すものとなります。

 これにより、ヨーロッパでは、2035年以降、内燃機関自動車(ガソリン、ディーゼルエンジンに代表されるピストンエンジンで機動するエンジン内でガソリン等の燃料を燃やして生じる燃焼生成物から動力を得る車)が廃止され、欧州では電気自動車のみが販売されることになります。

 現在、ヨーロッパのCO2排出量のうち、自動車は少なくとも12%を占めています。この欧州議会の決定には、2025年までに自動車排出量を15%削減し、2030年までに55%削減するという中間目標も盛り込まれています。

 しかし、現段階では、欧州議会での決定という第一段階に過ぎず、この計画が順当に進んでいくには、いくつものハードルがあります。今後、登場するであろう水素などの他の方法にも門戸は開かれているものの、ヨーロッパにとっては、自動車市場において競合他社と比較して、劣勢に陥る危険も孕んでいます。

 また、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアなど、いずれの国でも、自動車産業は、現在脅かされている産業界の雇用の大きな割合を占めており、生産体制が電気自動車に移行していけば、電気自動車の製造は内燃機関より少ない労働力で済むため、バッテリー工場の設立にもかかわらず、エネルギー転換により多くの雇用が失われる可能性があります。

 例えばフランスでは、自動車プラットフォーム(PFA)によると、電気自動車への切り替えにより、同業界で20万人ある雇用のうち6万5千人が失われる可能性があると言われています。これにより起こる人員削減のためのデモの様子が目に浮かぶような気がします。

 消費者側にとっては、補助金などの政府の援助もあり、ハイブリッド車や電気自動車は、ある程度、普及し始めてはいますが、一方では、ガソリン車は部品不足の影響を受け、衰退の一途をたどっているにも関わらず、買い手があきらめずに納車を待ったりする現象も起こっています。何よりガソリン車と電気自動車の維持費も含めた価格差が大きな隔たりとなっているのです。

 そもそも、中古車好きのフランス人にとって、新車に固執する層はそんなに多いとも思われず、車を買うといっても中古車から探すようなところもあるので、2035年以前に販売されたガソリン車は、その後も、低排出ガス地帯(LEZ)ですでに行われている都市中心部へのアクセス制限を受けながらも、走り続けることができるので、中古車にしがみつくことが可能です。

 また、フランスでは、その中古車でさえも壊れたガラスにプラスチックのシートを貼り付けたり、折れたバックミラーをガムテープで貼って、そのまま平気で乗っていたりするので、新車、しかも電気自動車ばかりになる時代というのは、現段階では、ちょっと想像しにくい感じがします。

 また、当然のことながら、電気自動車には電力が必要なわけで、電力生産そのものにも、また一つハードルがあります。フランスは電力生産の多くを原子力発電に頼っているので、その面では、石炭を使うドイツやポーランドよりも、有利であるとは、考えられますが、ケチなフランス人が高価な電気自動車を買うかと言われれば、何か抜本的な打開策でもない限り、今後はより一層、中古車にしがみつく傾向に進んでいくようになると思われます。

 しかし、このニュースが、フランスでもあんまり騒ぎにはなっていないのは、これはあくまで欧州議会の決定であり、施行されるのは、2035年というまだまだ先の話で、とりあえずは、13年も先の話よりも現在のガソリン価格の高騰やインフレの方が差し迫った問題であり、「そんな先のこと考えてる場合じゃない!」というのが正直なところかもしれません。


2035年電気自動車 欧州議会


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2022年6月9日木曜日

フードバウチャーは2段階の施行 9月初めには低所得者向けにインフレ手当の支援金直接銀行振込

   


 パンデミック以来、加速しているインフレに対応して、フランス政府は昨年から、低所得の人々に対して、インフレ手当や、エネルギーチケットなどを配布してきました。

 また、ガソリン価格の高騰により、政府は1リットルあたり18セントの補助(店頭表示価格からの値引き)を提供してきましたが、ガソリン価格の高騰は止まるところを知らず、現在フランスのガソリン価格は軽々と2ユーロ(ℓ)(約280円)を突破し、「フランスでこれほどガソリンが高くなったことはない」とまで言われています。

 やはり、ガソリン価格の高騰は輸送費があがることで、全ての商品に波及する深刻な問題で、自家用車を使う人にはもちろんのこと、そうでない人にも多大な影響を及ぼします。

 インフレが猛スピードで進んでいく中、マクロン大統領の選挙公約にあった「フードバウチャー」についての発表が期待されていましたが、先日、ようやくエリザベット・ボルヌ首相から、その概要について発表されました。

 昨年末に取り上げられ始めた「フードバウチャー」については、もともとは、単にインフレ対策だけではなく、環境問題や国内製品需要を考慮するものでもあり、低所得者層が新鮮な地場産品を購入できるよう支援することを目的とした資金援助とされていました。

 しかし、インフレのスピードは、止まるところを知らず、4月の段階ですでに5%近くも上昇し、この食料品、しかも地場産にこだわっての複雑な対応を待っていては間に合わず、正直、地場製品とかビオの製品どころか、価格が上昇する分、品質を落とした低価格のものを購入せざるを得なくなっている現状に、当初の「フードバウチャー」の計画は、2段階のシステムをとって行うことを確認し、緊急措置として、低所得者や学生に向けて、ひとまず、9月の新年度の始まりに、現金で直接銀行に振り込まれることになりました。

 この援助の金額は、「家族の中の子供の数」を考慮して計算されるとのことで、100ユーロ〜150ユーロと見込まれています。

 これで一息ついたところで、政府は第2段階の「すべてのフランス国民が質の高い製品、有機製品を入手できるようにするための対象システムの検討」を開始すると発表しています。

 また、ガソリン価格支援の18セント(1ℓあたり)の割引も当初予定の7月31日までから8月31日までに延長されます。(1ヶ月だけ??とも思ったけど・・)

 そして、同時に、ボルヌ首相は、インフレの影響を受けない製品の価格上昇について、警告を発しました。特定の人々が、この一般的なインフレ環境を利用して、値上げする理由がないのに値上げする(いわゆる便乗値上げ)」ことを防ぐために、DGCCRF(競争・消費者問題・不正防止総局)を含む適切なサービスによるチェックが開始されると明言しました。

 現在のこの状況で、値上げする理由がない商品がどこにあるのか?とも思いますが、便乗値上げは往々にしてあり得ることで、公正にチェックしてくれる機関があれば(それがどの程度機能するのかは疑問ではある)、ありがたいことです。

 経済産業相は、昨日のインタビューで、2023年にはこのインフレも落ち着き始めるだろうと語ってはいましたが、一度値上げしたものが値下げになることは、あんまりないような気もするので、物価の上昇が落ち着いたとしても、これが下がり始めた時の適正価格の監視をしてもらわなければ、現在は政府が少しでも援助をしてくれるうちはまだよいですが、そうでなければ、物価の上昇が止まった時点で価格だけが留まり、そのままその価格が定着することになれば、援助が打ち切りになり、梯子を外されることになります。

 私は現在、日本で生活をしていないので、日本のインフレについては実感がありませんが、日本とて、インフレは例外ではないはずです。先日、日銀総裁が物価高をめぐり、「家計が値上げを受け入れている」と発言したことが大炎上し、その後に「誤解を招く表現だった」と謝罪していましたが、日銀総裁という立場の人間が公の場で、自分の発言がどのように受け取られるかということもわからないで発言するということ自体が全く理解ができません。

 コロナの時も、日本の援助金は、なにかと一律で不公平な感じで、本当に弱い立場の人を守ろうという姿勢は感じらませんでした。今回の日銀総裁の言葉は、いみじくも日本政府の姿勢そのもので、「国民が我慢して耐えていること」を「国民が受け入れている」と解釈する政府の都合のよさを表しているような気がします。

 フランス人は黙って我慢しないので、政府は急いで国民の納得のいく対応を取ろうと対策を取ります。日銀総裁のような発言などもってのほかで、そんな発言がなくとも、このインフレという現実だけで、ぐずぐずしていれば、デモや暴動が起こります。

 外から日本を見ていると、ひたすら国民が耐えていることで、成り立っているように見えて仕方がありません。


フードバウチャー インフレ支援金


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2022年6月8日水曜日

パリ18区警察官発砲事件が呼ぶ波紋 警察官発砲事件は今年2件目だった・・

   


 先週末にパリ18区で警察官の検問を拒否して逃走しようとした車に乗っていた乗客が射殺された事件について、少しずつその時の状況が浮上してきているとともに、事件以来、身柄を拘束されていたこの事件に関与していた3人の警察官が釈放されたという驚きのニュースが入ってきました。

 土曜日の午前10時45分頃、モンマルトルの丘のふもと、クリニャンクール通りとカスティーヌ通りの交差点で、シートベルト付着用で警察の取締中、車(プジョー207)に乗っていた4人が逃走。車はその後、警察官の乗っていた自転車に衝突、警察官1名が車にはねられ左手に傷を負い、右膝が腫れる程度の負傷を負いました。

 さらに車を止めるために警察官2人が車に向けて9発を発砲しています。

 運転手と助手席の女性は警察の銃撃で重症を負い、救急搬送されましたが、頭を撃たれた助手席の女性は死亡、背中を撃たれた運転手は重症を負いましたが、事故の翌日には集中治療室を出て、命に別状はない状態で容体は安定しているそうです。

 この車を運転していた男性は38歳、数々の違反行為によって運転免許が失効になり、新しい免許の取得も禁止されていたとのこと、また、5年間は武器の保持・携帯を禁止されている警察のマーク対象人物であったようです。

 この発砲事件の際には、車の後部には他に21歳の若い女性と37歳の男性が同乗していましたが、彼らに怪我はありませんでした。彼らの証言によると、この車を運転していた男性は、免許を持っていないため、警察の検問で止まることを拒否したと話しています。

 運転手同様、この2人のうち、少なくとも1人は警察がマークしている人物で、アルコールと大麻を摂取していたようです。

 こんな車に乗車していた人々の背景が見えてきたこともあってか、今後も捜査は続行するという前置きつきではありますが、警察官が現段階では起訴されることなく釈放されたのですが、当然、そのことに対して、「服従拒否を理由の射殺を正当化するのか! 警察は射殺を容認する集団アライアンスだ!」と反対の声があがっています。

 また、その反対の声に対して、警察を侮辱したとして、警察組合はこの発言をした政治家を告訴すると息巻いており、法務大臣も「警察や憲兵隊は尊敬に値します。彼らは勇敢で困難な仕事をし、どんな時も命をかけているのです。彼らを侮辱することは、統治を望む人たちの名誉を傷つけることになる。選挙戦の人質として利用することなく、調査を行わせてください!」と反論しています。

 たしかに、選挙を前にして、何か起こるごとに政治家の足の引っ張り合いのように、こきおろそうとするような発言が目立つ気来はあるのですが、圧倒的な公的権力を持つ警察の行き過ぎた行動を問題視することは、必要なことでもあり、逆に選挙戦の人質として、その発言を過小評価する逃げ口上のような気がしないでもありません。

 警察側の発表によれば、暴力のために負傷している警察官は1日あたり110人だそうで、治安の悪化、凶悪化とともに、「命を張って仕事をしている警察官にとっては、警察側も攻撃されることから身を守る術を取らざるを得ない場面もある」としています。

「ここはアメリカではない!拳銃の発砲は、慎重にすべきである」という意見は捨ておけない気がしますが、そこでアメリカを引き合いに出して語るのも、なかなかフランスっぽいな・・などと思います。

 しかし、私は、この事件で初めて知ったのですが、4月24日にもパリのポンヌフ通りで検問を強行突破した車の運転手と助手席の同乗者を銃撃して殺害するという同様の事件が起こっており、警察官は、「任意過失致死罪」で起訴されています。それから約1ヶ月半後にまた、同様のこの事件が起こっているのは、本当に嘆かわしいことです。

 治安が悪くなり、犯罪も凶悪化するから、警察の対応も強硬化し、過激になる悪循環です。しかし、過失とはいえ、逃走した運転手本人ではなく、同乗者の命が奪われている事実は深刻に受け止めるべきです。警察官が危険な任務に携わっていることは理解していますが、警察官の発砲を容認するようには、なってほしくありません。


パリ警察官発砲事件


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2022年6月7日火曜日

最近のフランスのケンタッキーフライドチキンはちょっと残念

  


 

 私は日本でも、フランスでも、あまりファストフードに行く習慣はありませんが、特に毛嫌いしているというわけでもなく、たまには、なんとなく食べたくなることもあります。

 フランスには、日本ほどアメリカのレストランチェーンのファストフードが多くはありませんが、それでもマクドナルドやスターバックスは、まあまあ、ふつうにあります。しかし、ケンタッキーフライドチキンやバーガーキングになると、その数はグッと少ない気がします。(どちらかというと郊外にあるイメージ)

 最近は、パリでもドーナツが流行し始めたと言われてはいますが、ダンキンドーナツやミスタードーナツはなく、セブンイレブン(これはファストフードというよりコンビニですが・・)やファミリーレストランもありません。

 一部には、フランスは自国の食文化を守るために、あまり外国の大規模なチェーン展開のレストランを入れないという話を聞いたことがありますが、実際のところ、理由は不明です。

 日本に一時帰国した際もあまり、ファストフードには行かない(他に食べたいものが多過ぎて、そこまで手が回らない)ので、現在の日本のマクドナルドやケンタッキーがどんなものなのかはわかりませんが、次から次へと日本ならではの新製品が出て、広告やツイッター、YouTubeなどで見ているだけですが、うわぁ〜美味しそう・・と海外から、羨ましく眺めています。

 しかし、マクドナルドにしても、ごくごく定番のハンバーガーやポテト、ビッグマックなどは、入れ替わる新製品とならんで、いつでも存在し、おそらくどこの国で食べても、それぞれの国の物価によって値段は違っても、ビッグマックはおおよそ同じものなはずです。

 ファストフードの中で、たまに食べたいと思うもののひとつは、私にとっては、ケンタッキーフライドチキンで、フランスに来たばかりの頃、まだパリ郊外の義姉夫婦の家の近所に住んでいた頃は、しょっちゅう、義姉の家に顔を出していて、その家の娘(夫の姪っ子)がKFC(カーエフセー)(フランスでは、ケンタッキーをカーエフセーと呼びます(KFC(ケーエフシー)のアルファベットのフランス語読み)でアルバイトをしており、彼女が時々、持ち帰ってきてくれるフライドチキンをご馳走になっては、なんだか、懐かしい気がしたものです。

 パリに引っ越してきてからは、近所にはKFCがないので、数少ないKFCの近くに行けば、滅多に買えないすぐに食べられるものとして、時々、買ってきてみたりしていたこともありました。その頃までは、たしかに、日本でも食べたことのあるケンタッキーフライドチキンだったのです。

 しかし、そんな機会もなく、しばらくケンタッキーフライドチキンを食べる機会もなく、数年が過ぎ、ある時、ひょんなところで、KFCを見かけて、喜んで入ってみたところ、なんとすっかりメニューが変わっており、いわゆる元祖ケンタッキーのオリジナルチキンが姿を消していたのです。

 あのケンタッキー独特のフレーバーも変わっていて、いわゆる、ドラムやリブ(あばら)、キール(胸肉)やサイ(おしり)の骨つきのチキンはなくなり、テンダーと呼ばれるささみの部分と、かろうじて骨つきは、ホットウィングというチキンだけになっています。

  


 とにかく、あのケンタッキーのフレーバーでもなく、衣ばかりがやたらとぶ厚い、全くの別物・・日本では、マニアの人の間では、あのケンタッキーの味を自分で再現しようとしている人もいるというのに、オリジナルに近付けようとしているとも思えない全くの別物がオリジナルメニューとして、君臨しています。

 フランス人には、骨つき肉が食べにくいので嫌われたのかどうかは、わかりませんが、最近のフランスのケンタッキーフライドチキンには、ちょっと残念に思っているのです。


ケンタッキーフライドチキン KFCフランス


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