2020年5月19日火曜日

コロナウィルス・ロックダウン生活と海外生活 




 フランスで続いたロックダウンは、2ヶ月近く続きました。これから気候が良くなっていく時期に、急に監禁生活が始まって、コロナウィルス感染の恐怖もあり、日々、変わっていくフランス国内や、世界の状況に、ハラハラしながらも、淡々と家の中での生活を送ってきました。

 日頃から、私は、どちらかというと家にいるのが好きな方なので、娘がまだ、小さい頃などは、学校やお稽古事の送り迎えや仕事が忙しくて、一日でいいから、どこにも出かけずに、家にいたいと、よく思ったものでした。

 一週間前に、ロックダウンは、一応、解除されましたが、結局、ロックダウン中の外出は、2回、買い物に出かけただけで、ほぼ、ずっと、家の中で過ごしました。

 長いこと、連絡を取れていなかった友人とも、今なら、お互いに、絶対に家にいる!と、連絡が取れて、久しぶりに話をしたり、思わぬ人との繋がりを再確認できたりもしました。

 インターネットが繋がらなくなった二日間は、さすがに、一瞬、少し、不安になりましたが、それ以外は、規則正しい生活を心がけ、買い物にもできるだけ出かけたくなかったので、この際、家の中にあって、忘れ去られていた食材の整理をして、こんなことでもなければ、そのまま忘れ去られていたかもしれない食材を、多少の賞味期限切れには、目をつぶって、救済しました。そんなことにも不思議な達成感があるものです。

 そして、同時に、ベランダで種まきをして、日本の野菜を毎日、少しずつ育ててきました。天気がよかったこともあり、まさに太陽の恵みで、野菜は、スクスク育っていきました。水菜、春菊、小松菜、小かぶ、紫蘇、三つ葉、スナックえんどう、きゅうり、にら、小ねぎなどなど、狭いベランダに所狭しと置かれたプランターや鉢が、今は青々と広がっています。


狭いベランダにごちゃごちゃに置いてある野菜の鉢

 植物が芽を出して、少しずつ育っていく様子は楽しくもあり、美味しくもあります。限られた食材でなんとか工夫してお料理をするのも、贅沢な食材を買い集めてするお料理とは別な楽しみがあります。春菊がやたらに採れるので、おひたしにしたり、天ぷらにしたり、ネットで春菊を使うお料理を探したら、春菊のチヂミなるものが出てきて、それを作ってみたり、餃子を作りたくて、ニラを植えたのに、なかなか育たないので、待ちきれずにニラの代わりにネギとニンニクを多めに使って、餃子を作ってみたり、(餃子の皮も自分で作る)贅沢なものに満たされ過ぎずに、なんとか自分で工夫して、自分なりのものを作り出す喜びは、なかなかなものです。採れた野菜をなんとか使って美味しいものを作り出すのが、楽しいのです。




採れた三つ葉を使いたいがために作ったカツ丼と水菜のお漬物

 考えてみれば、海外生活を始めてから、これに近いウォーミングアップのようなことを私は続けてきたのではないかと、次第に思うようになりました。日本から、たくさんの食材を持ってきている私が言えることではありませんが、それでも、日本から持ってこれる食材にも限度があり、こちらで手に入る食材にも限りがあります。ですから、その限られた、なんとか手に入る食材で、なんとか工夫して、日本食、あるいは、自分の感で、これは、代用できるものかもしれないとか、こうしたら、美味しいものができるかもしれないと自分でアレンジした、名前のないお料理を作り続けてきたのです。
 
シソを使いたくて作った名前のない鶏肉料理

春菊のチヂミ

 こちらでは、手に入りにくい日本の野菜をタネから育て始めたのも、海外生活を始めてからです。これまでは、忙しさに紛れて、それを、あまり楽しいと感じる余裕がありませんでしたが、今回のように、閉ざされた環境になると、何でも簡単に手に入る便利な生活とは、また別の意味で、自分で作り出す喜びは、自分の内側を満たしてくれる感じがするのです。それだけ、歳を取ったと言うことかもしれません。

 また、会いたい人に会えないのも、海外にいれば、日本にいる友人や家族に会えないのは、日常です。海外生活は、ある意味、自分の祖国である日本には、そうそう行けるものでもなく、ロックダウンされた状況とも少し似ているかもしれません。

 未だ、いくつかの規制はあるものの、ロックダウンは、解除されましたが、やはり、まだまだ、一日中、救急車やパトカーのサイレンが聞こえ続ける状況に、やはり、やみくもに外に出るのは、怖くて、私は、ロックダウン中とほぼ変わらない生活を続けています。

 不自由ではあるけれど、新たに再確認した楽しみや喜びは、私にとっては、今まで続けてきた海外生活の経験が土台となっており、これからも、しばらく続いていくと思っています。


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