2022年11月30日水曜日

フランスを襲うコロナウィルス、細気管支炎、インフルエンザの呼吸器系トリプル感染症

  


 すでに11月の初旬に問題視されていた細気管支炎の流行による、特に小児科病棟の圧迫は、この約1ヶ月の間もとどまる様子をみせずに満床状態が続き、コロナウィルス感染も再び増加傾向に転じ、冬に向けての強いインフルエンザの流行も予想され、コロナウィルスだけではないこの三つの感染症が同時に蔓延することで、感染症専門家は再び警鐘を鳴らしはじめています。

 このような病気の組み合わせは「フランスでも前例がないことである」と感染症専門医は危機感を露にしています。

 パリ近郊のある病院では、先週末から記録している入院はすべて、呼吸器感染症に罹ったもので、この急性ウィルス性感染症の蔓延は、今年に入ってから過去最高レベルに達しており、すでに政府は11月上旬にホワイトプラン(深刻な保健衛生上の緊急事態を予測し、患者の急激な大量増加に備えるための例外的な措置)の採択を余儀なくされています。

 フランス公衆衛生局は、細気管支炎による入院が、3週連続で2歳以下の子供の救急外来受診後の入院の半数を占めていると報告しています。

 11月末には、この細気管支炎の流行のピークを過ぎるという医療関係者のこれまでの予想が裏切られるなか、コロナウィルス感染の増加(毎日、45,000人近い新規感染)がこれに覆いかぶさるかたちで襲い掛かっています。

 この流行は南フランス、特にオクシタニー地方で最も強く、オー・ド・ピレネー県では人口10万人あたり740人以上と、フランスで最も高い発症率となっています。

 この流行の原因の一つには、10月に再開されたワクチン接種キャンペーンが想像以上に軌道に乗っていないこともありそうです。インフルエンザについても同様で、昨年同時期よりもインフルエンザのワクチン接種を受ける人は大幅に減少しています。

 昨年までは、マスクにより、インフルエンザなども回避できていた状況が、今年は一転して、すっかり通常モードにほぼ戻っていることもこの3つの感染症が同時に広まりつつある状況を招いています。

 そういう私も昨年末は、コロナウィルスが爆発的に増加していたこともあって、コロナウィルスはもちろんのこと、インフルエンザに感染して、体調を崩すことが怖くて、数年ぶりにインフルエンザのワクチン接種を受けたのに、今年は、もう少し様子を見てからにしようとあと伸ばしにしていました。

 感染症専門家は、今年の冬はこの三つのウィルスは、おそらく重なり合い、互いに追随しあうだろうと述べており、この三つの呼吸器系感染症による爆発的なカクテルができるための材料は十分すぎるほどに揃っていると警告しています。

 昨年、インフルエンザワクチン接種後に体調が悪かったこともあり、尻込みしていましたが、そろそろ折り合いを見て、インフルエンザのワクチン接種に行かなくては・・と思っています。


細気管支炎 コロナウィルス インフルエンザ 呼吸器系感染症


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2022年11月29日火曜日

中国のゼロコロナ政策反対のデモを天安門事件以来のターニングポイントと見ているフランス

   


 先週、在中国フランス大使館が「中国のゼロコロナ政策」を「不必要で過剰な制限である」とSNS上で批判したことが、中国国民の大きな賛同を得て盛り上がったことが話題となっていましたが、先週末は大規模なデモが中国各地で起こり、このデモは、政権を直接標的とした政治的な方向に進み始めており、フランスでは、習近平政権が揺らぎ始めたと注目しています。

 デモ隊の怒りに火をつけたのには、中国通信によると、中国北西部ウルムチの住宅で火災が発生し、10人が死亡、9人が負傷する致命的な事態となったことも原因の一つであり、地域がゼロコロナ政策のために封鎖されると、至るところに障壁が設置され、消防車までもが燃える建物に近づくことができなかったためでもあると言われています。

 この地域隔離や工場閉鎖など、もうそろそろパンデミックが始まって以来3年が経とうとしている今、あらゆる階層の人々が、あまりに厳しい隔離や検査にうんざりして鬱憤がたまりきっており、その爆発の仕方が半端ないものになっており、また、このデモに参加したのか、取材中だったのか、イギリスのBBCのジャーナリストが警察に暴力を受けながら逮捕されたりしたことも、イギリスも容認できないとしています。

 コロナは関係なくとも、四六時中、毎週のようにどこかでデモをやっているフランスにとって、デモをする権利というのは、尊重しすぎるほど尊重されているもので、それが暴徒化しないように、間近にするとちょっと引くぐらい、これでもかというほど、警察や憲兵隊がガードしてまで行うデモでも、警察側から暴力をもってデモを阻止することなど、もってのほかで、はたから見ても、自由の侵害は許せない!という気持ちになるのでしょう。

 フランスのデモが暴徒化した場合でも、重装備した警察官や憲兵隊も武器を使ったりすることは、よほどのことがないとありえないことで、せいぜい催涙ガスか、水を撒いて応戦する感じなのです。

 中国から比べたら、今から思い返せばフランスのロックダウンなど短かったわけで、最初の1カ月強はほぼ、外に誰も出られない完全なロックダウンでしたが、その後、少しずつ、外出できる時間も距離も広がり、営業できる種類の店舗も拡大し、様々な種類の規制がしばらく続いていたものの、そんな中でもデモは行われていて、私などは、逆に「へんなの・・」と思っていたくらいです。

 ロシアの言論統制にしても、今回の中国のゼロコロナ政策にしても、不自然なかたちで政府が国民を抑えつける体制は、全くフランスとは相容れない国であるのがわかります。

 それにしても、中国人のデモというのもなかなか迫力のあるもので、それを阻止しようとしている中国の警察の圧力のせいもあるかもしれませんが、例えば日本のデモなどの様子を映像で見たときに、フランスのデモを見慣れている私にとっては、「なんとおとなしい!これは本当にデモなのだろうか?」と思うのに比べて、中国のデモは、なかなか迫力のあるデモで、なかなか中国人、発火した場合はすごいパワーになりそうです。

 とにかく、フランスでは、今回の中国のゼロコロナ政策反対デモは1989年の天安門事件以来の歴史的なムーブメントになるのではないか?と見ており、習近平政権が揺らぎ始めるきっかけになるのではないか?と見守っているのです。

 また、この中国での騒動については、今回は、国連も「平和的抗議の権利の尊重」を求め、「平和的に意見を表明しただけで恣意的に拘束されることがあってはならない」「国際的な人権法と基準に従ってデモに対応するよう求める」と警告を発しています。


中国ゼロコロナ政策反対デモ


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2022年11月28日月曜日

パリのメトロ・Navigoパス 2023年1月1日から値上げ

  


 すべての価格が上昇する中、仕方ないとは思うもの、パリのメトロのチケット・Navigoパスが大幅に値上げされるそうで、うんざりしています。

 現在1枚 1.90 ユーロのチケットは、2.10 ユーロになり、カルネと呼ばれる10枚綴りのチケットは、カードにチャージする場合だと16.90ユーロ(現行14.90ユーロ、つまり+2ユーロ)、紙のチケットでは、19.10ユーロ(現行16.90ユーロ、+2.2ユーロ)に値上がり、現行75.2ユーロ(月額)(約10,900円)のNavigoパスは84.10ユーロ(12,500円)になります。

 私は、通常はNavigoパスを使っていますが、毎年、確実に少しずつ値上がりしていることは承知していましたが、これまでに、一気に15ユーロ近くも値上がりしたことなどはなく、かなり衝撃的な値上がりです。

 日本に行ったときは、suicaなどにチャージして、あんまり地下鉄やバスなどの運賃をあまりちゃんと確認していないまま使っているので、知らないうちに、あっという間にチャージした分がなくなっているので、けっこう、交通費ってバカにならないなぁ・・と感じていました。

 日本は区間ごとに値段が違ったりもするので(パリの場合は1回1枚という感じ)、一概にどちらが高いのかはよくわかりませんが、東京メトロなどのクォリティーを考えると、日本は(といっても東京しかわかりませんが)、車両も駅もいつもピカピカで清潔で、おまけに時間にも正確で滅多にトラブルもストライキもなく、金額は日本の方が妥当な気もします。

 だいたい、パリの公共交通機関は、なんだかんだでトラブルが多く、急に電車が止まってしばらく動かなくなったり、駅などのエスカレーターが動いていなかったり、汚い駅もけっこうあり、そのうえ、定期的?にストライキ。

 また、ここ数年は、オリンピックを控えているためなのか、やたらと工事が多く、夜や週末は不通とか、なにかと不便な思いをさせられています。

 そんなに値上げしなければならないほど資金繰りに困っているなら、工事してくれなくてもいいし、やたらと新車にしてくれなくてもいいのに、オリンピックで海外に向けてもかっこつけたいのか、パリ市内は、メトロだけでなく、ここのところ、やたらとどこでも工事中なのです。

 環境問題を叫びながら、自家用車ではなく、公共交通機関を活用するように促しながら、その公共交通機関を大幅に値上げして、利用者の負担を増加させるのは、ナンセンスだと批判の声も多く上がっています。

 そのうえ、なぜこのタイミングなのかと思いますが、マクロン大統領はRATPのネットワークをパリだけではなくフランス国内の10都市に拡大する計画を発表。

 地方都市の交通機関については、わかりませんが、何もこの値上げのタイミングでさらにお金がかかりそうなことを同時に発表されるのも、どうにもモヤモヤするところです。

 Navigoパスについては、年間で購入すれば、1ヵ月分安くなるなど、工夫して節約することも可能ですし、観光でパリを訪れる方などには、5日間乗り放題のチケットなどもあるので、なんとか少しでも安上がりに済ませる方法もありそうです。

 なにもかもが少しずつ値上げになっていますが、トータルにするとけっこうバカにならない金額で、ほんとうにウンザリです。


2023年パリメトロ値上げ


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2022年11月27日日曜日

在中国フランス大使館が中国のゼロコロナ政策を批判

  


 大使館は外地においても、その国の治外法権と言われますが、在中国フランス大使館が中国がいまだに取り続けている厳しい「ゼロコロナ」政策をソーシャルネットワークWeiboの公式アカウントに中国語でで公開された異例のメッセージの中で、「不必要で過剰な制限」であると厳しく批判したことが大きな反響を呼んでいるようです。

 いつまでも外国人を締め出して、鎖国状態をとり続けていた日本も、ようやく外国人を受け入れるようになり、それまでは、外国人をシャットアウトしている国として、世界地図の中で日本は中国と同じ色に塗りつぶされていて、「うわっ!中国と同じ扱いにされている!」と残念な気がした覚えもあります。

 しかし、実際には、中国国内の「ゼロコロナ政策」は、日本の比ではない厳しさで、患者が出るとすぐに監禁を課し、陽性反応が出た人をセンターに隔離し、公共の場に出るにはほぼ毎日PCR検査を義務付けるような、しかも、その強制的かつ時には暴力的にも見える拘束の仕方は、度々、フランスのメディアでも、その映像が流されていました。

 今回の在中国フランス大使館のメッセージは、「このゼロコロナ政策は不必要で過剰な制限であり、中国に存在するフランス企業に影響を与えるものであり、中仏間の貿易・投資を維持・発展させるためには、透明で予測可能かつ公正なビジネス環境が不可欠である」と訴えています。

 中国は、ゼロコロナ政策の緩和を発表し、特に中国到着時の検疫期間を短縮し、渡航を容易にするとしていますが、フランス大使館は、中国側の緩和措置は「期待に応えていない」と、中国側に「不必要で過剰な制限を排除する」ように求めているものです。

 このフランス大使館のSNSでのコメントの3日前に、中国政府はコロナウィルス感染者の急増を理由に、巨大なiPhone工場がある中国中部の都市、鄭州市のロックダウンを宣言したばかりでした。

 本来ならば、他国の政策に口を出すことは、あまり歓迎されるべきものではないとは思われますが、このメッセージに関しては、このゼロコロナ政策にうんざりしている中国の人々から広く歓迎され、あっという間に8万5000回以上「いいね!」が付き、1万件以上の好意的なコメントが寄せられ、大変な盛り上がりを見せているようです。

 「フランスは本当に革命の国だ!」と感謝する人や、「ありがとう、フランスがワールドカップで優勝することを願うよ!」「企業資本主義 を守ってくれてありがとう!」などの圧倒的に好意的なコメントが多いようですが、中には、「なぜフランス企業が中国のコロナ対策に口を挟むのか?」と、もっともといえば、もっともなコメントもあるようです。

 国ごとに対策が違うことも、致し方ないとはいえ、今ではほぼ普通の生活を送っている身としては、「ここまでやる必要があるのかな?」とは思いますが、どうせ、ここまでやるならば、なぜ、最初に武漢でウィルスがばら撒かれた最初の最初に、このような対処をしてくれなかったのだろうか?と、思ってしまいます。


在中国フランス大使館 SNS ゼロコロナ批判


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2022年11月26日土曜日

パリ市内のバス RATP(パリ交通公団)キセル乗車の取り締まり

 


 数ヶ月前だったと思いますが、バスを降りたところで、RATP(パリ交通公団)のコントロール(検札)の人が待ち構えていて、乗車券のチェックに遭ったことがあり、なるほど、降りたばかりの人を待ち構えていれば、逃げられないだろうな・・RATPもなかなか試行錯誤しているのだな・・コントロールも進化しているんだ・・と驚いたというか、感心したことがありました。

 バスにしてもメトロにしても、キセル乗車をあたりまえのようにしている人は、けっこういるもので、メトロの場合は平然と改札を飛び越えていったり、時には、あなたが改札を通る時に一緒に通らせてくださいと頼まれることさえあります。

 バスの場合は、一応、運転手がチェックすることもできるのですが、チケット、あるいは、Navigoと呼ばれる定期券のようなものを機械に通さなくても(通した時点で、チ〜ンと音がするので、チケットの場合はチケットの非有効化になり、Navigoの場合は有効なチケットを持っているという確認になっている)、運転手が乗客に無賃乗車を直接注意しているのを見たことはありませんが、代わりに「チケットを通してくださいという録音されたテープが流されることはあります。

 おそらく、無賃乗車を注意した場合に逆ギレされて、運転手に危険が及ぶことを考慮して運転手へ直接、攻撃が向かないためのことだと思います。

 そして、今日、バスに乗って、座ることができたので、座ってそのまま私はスマホを見て下を向いていたのですが、突然、私の目の前に仰々しい銀色のバッチ付きの手帳が提示され、何事かと顔をあげると、「チケットを見せてください」という検札の人が・・。

 これまでは、RATPの検札といえば、おなじみのペパーミントグリーンとブルーのRATPの制服やジャケットを着た人で、それも3〜4人の大所帯で、いかにも「検札でござい!」とばかりにやってくるのですが、今回は私服の女性二人組で、バスがある停留所を出発してすぐに前触れなしにいきなり現れたので、こちらもギョッとしたのです。

 やましいことがなくても突然、見慣れないバッチのようなものを見せられたら、ギョッとしてしまうのです。ましてや、私服、そのバッチでさえ見慣れないのですから、それがほんものんなのかどうかなどはわかりません。

 偽警察官の手帳を持っている詐欺などもいるという昨今、すべてに懐疑的な傾向を抱いてしまうことは、悲しいことです。

 しかし、検札用の機械を持って、私の持っているNavigoが有効なものであることをチェックすると、「ありがとうございました」とすぐに次の人へ・・。

 まあ、よく考えてみれば、狭いバスの中で、運転手も同乗している中で、偽物の検札が行われるとは考え難いのですが、制服を着ていないというだけで、こちらの方が、本物の検札なのだろうか?と思ってしまうのですから、制服の威力というものはスゴいものです。

 何人かチェックしていって、「意外とみんな、ちゃんと乗車券を持っているものだな・・と見るとはなしに、なんとなく気にしていると、やっぱり、キセル乗車をしている人がいたようで、「チケット出してください」「チケットは昨日、買ったのですが・・」などと、わけのわからない押し問答が続いたのち、結局、その女性は罰金を払わされることになり、身分証明書の提示を求められ、罰金切符を切られていました。

 その際に、「今すぐ払うなら、20ユーロ割引になります」と言われているのが聞こえて、「え??罰金に割引なんてあるの?うさんくさいな・・これって、本物の検札?」と思ったので、帰ってからRATPのサイトを見て調べたら、確かに、20日以内に支払うと20ユーロ減額されると書いてありました。

 RATP・パリのメトロ、バスの罰金は、チケットなし、あるいは第三者所有のNavigoを使用した場合は、50ユーロ、チケットの非有効化(Validé、チ〜ンとさせていない場合)は35ユーロの他、車内喫煙の場合は68ユーロと決められているようです。

 以前に、パリでの交通機関事情がよくわからない観光客がこの違反切符を切られたと嘆いていたのを聞いたことがあって、「パリにお金を落としてくれる観光客ではなく、もっと常習犯を捕まえればいいのに・・」と思ったことがありましたが、今は手法を変えながら、取り締まりを強化しているようです。

 しかし、今回、私が遭遇したこのRATPの検札隊は、黒っぽい服を着た中年の女性二人組で、言葉遣いもとても丁寧で、これまでの制服を着た、どちらかといえば、威圧的な感じの検札とは、まったく違って、とても感じのよい女性二人組でした。

 考えてみれば、キセル乗車をしているような人を相手にするのですから、パリでは、十分に身の危険もあり得る仕事、相手を怒らせないように丁寧で毅然とした態度で接することができる人を選んでいるのかもしれない・・と妙に納得をしたのでした。

 パリでは、これまで使用されていたいわゆる紙の切符というものが廃止されて、すべてカード化される方向にあり、すでに、切符が使用できない駅もあるので、ご注意ください。


パリ キセル乗車取り締まり


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2022年11月25日金曜日

パリの公立病院の救急治療室で起こった強姦事件

  


 パリの治安の悪さは承知しているつもりでも、まさかの救急搬送された病院で強姦事件が起こるとは、まさに世も末としかいいようがありません。

 事件は10月末に起こっていたようですが、この強姦事件について、被害者の34歳の女性が「生命の危険に晒された」と病院を告訴したことから、この事件が公になりました。

 事件当日夜、セーヌ川沿いのバーで過ごしていた女性は気分が悪くなり、バーを後にして外へ出て、ふらついて転倒し、地面に頭を打ち付けてしまったようです。ここまでならば、酔っ払いの女性がふらついて転んで怪我をしたのですから、自業自得と思われても仕方ないことです。

 しかし、この女性は転倒後、反応がなく、頭に怪我を負っていたために、午前1時20分に救急隊によって救助され、パリ市内の公立病院に運ばれ、個室に収容されました。

 女性は気を失ったまま、病院の個室に寝かされていましたが、午前4時頃、暴行を加える加害者に与えられた痛みで目を覚まし、悲鳴をあげたために、看護師がかけつけたのを機に、犯人は病院から逃走しました。

 この犯人の犯行は、ある程度、計画的だったようで、現場での目撃者の証言によると、女性が最初に体調を崩したバーの近辺をうろついており、地面に倒れた女性を飢えた目をして、執拗に眺めていたと言われており、バーのオーナーは警備員の一人にこの男を追い出すように依頼したと証言しています。

 しかし、驚くことに、この男は、1時間後にアルコールで昏睡したふりをして、救急車を呼んで、救急隊はこの男を彼女と同じ病院に搬送し、歩けないと言いながら、看護師に車椅子に乗せられて、被害者の病室と同じ廊下沿いの部屋に連れていかれました。

 容疑者はまんまと被害者のいる病院に潜り込んだのです。

 看護婦が立ち去ると、この容疑者は部屋を出て、個室から個室へと移動して彼女を探し回り、途中で看護師に遮られていましたが、結局、彼は看護師の目を縫って、犯行に及んでしまったのです。

 しかし、その後、被害者が驚いて悲鳴をあげたことによりかけつけた看護師に見つかり、逃走したのです。

 病院は直ちに警察に通報し、容疑者は、逃走する際に盗んだ被害者のクレジットカードで1時間後に食料品の買い物をしたところで逮捕されました。

 逮捕後、警察の留置場で行われた検査の結果、容疑者からはアルコールは検出されなかったかわりに、大麻とコカインの陽性反応が出たと言われています。

 この容疑者は非正規滞在者(不法移民)で22歳のヨルダン人であると名乗っているそうですが、彼は窃盗、盗品受け取り、薬物使用などで何度も逮捕されており、IDをいくつも(少なくとも13の身分を持つ)持ちながら、違法滞在を続けてきたようで、2020年に未成年者を強姦した容疑をかけられていたものの、事件は未解決のまま放置されたと言われています。

 容疑者の供述によると、2019年にフランスに不法入国し、すでに3回のフランス領土からの退去命令(OQTF)を受けており、最後のものは、昨年7月であったものの、この3つのOQTFは、それぞれ別のIDで発行されたもので、追跡されていなかったようで、昨年9月からは、亡命申請を行ったため、追放の可能性が保留されていたということです。

 この事件は、単なる強姦事件には留まらず、病院の安全管理に対する問題や不法移民の退去命令(OQTF)の管理の難しさなども含まれており、多くの問題を投げかけています。

 もちろん、一番、罪があるのは、この不法滞在の容疑者であるには違いありませんが、普通、病院に搬送されれば、ひとまず安心するのが普通で、病院でこのような危険な目に遭うとは思いもよらないことです。

 被害者の女性の弁護士は彼女は強姦されたという事実とともに、安全なはずの病院でこのような被害に遭ったという二重のトラウマを抱えてしまったと訴えています。

 ただでさえ、人手不足の病院で、病院内で看護師が警察の警戒のような役割まで果たさなければならないことには、閉口してしまいますが、現在のところ、Assistance publique - hôpital de Paris (AP-HP) (パリ公立病院)は、この病院の救命救急で患者が暴行を受けたことを確認しただけで、捜査が現在進行中の件についてはコメントしないとしています。


パリ公立病院 救急治療室強姦事件 不法移民 OQTF


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2022年11月24日木曜日

いつのまにか、また感染増加 フランスのコロナウィルス第9波

 



 パンデミックが始まって以来、もう大小さまざまの波が訪れて、なんとなく定期的にコロナウィルスの感染者数をチェックする習慣がついてしまいました。当初は毎日のように仰々しく感染者数がテレビでも発表されていたりしましたが、今やもうそんな報道もなくなり、自分から探しにいかなければ現状は把握しにくくなりました。

 私はこれまで15万人以上のコロナウィルスによる死亡者を叩き出しているフランスで生活しながら、今まで、一度も感染せずに生き延びてきました。コロナウィルスによるパンデミックが騒がれ始めたのは、2020年の2月頃のことでした。

 それから3月にあっという間にロックダウンという前代未聞の事態に陥りましたが、実際にコロナウィルスと見られる症例がフランスで見られ始めたのは、2019年の11月頃と言われており、その当時は原因不明の病気として処理されていましたが、その翌月の12月頃に異常にだるくて発熱し、起きれなかった時期があったので、もしかしたら、その時に感染していた可能性がないでもないと思っていますが、幸いにも、解熱剤を飲んでひたすら寝ることで回復したので、結局、それが何であったのかはわからないままになっています。

 ワクチン接種が始まってからは、ワクチンに対する懐疑的な思いもあったものの、いつもフランスは世界的にも感染率のトップを走っているような状況だったので、もはやワクチン接種による副作用等のリスクよりも感染するリスクの方がよほど高いと思い、これまで2回目のブースター接種までしています。

 私には、軽い心臓疾患もあるため、やはり感染は怖いのです。そんなわけで、コロナウィルスの蔓延状況は、常に気になり、感染者が多くなればなるほど、感染する確率も上がるわけで、それなりに注意を払って生活しているわけです。

 この2年半の間にフランス人でも、人が多いメトロの中などでは、少数ではありますが、しっかりマスクをする人はするようになり、またマスク義務化が撤廃された当初は「いつまでマスクなんかしてるんだ!」などと言われることもあったり、あれだけマスク嫌いだと思っていたフランス社会においても、今ではマスクをする人はそれはそれでOKという市民権を得て、マスクをしていても、していなくても、好きなようにしていられるところは、大変な変化です。

 それが、10月中旬には、小康状態を保っていたと思われていたフランスのコロナウィルス感染が、11月半ばを過ぎて以来、再び増加し始め、感染者数の増加とともに入院患者数も増加し、再びリバウンドが始まったのは確実、第9波に突入したと言われています。

 これには、月初に祝日があったり、大規模なストライキがあったことにも起因していると言われていますが、比較的、暖かい気温の日が続いていた後、例年どおりの寒さがやってきたことも原因と言われています。

 そうでなくとも、これから年末年始にかけてはノエルなどの行事も控えていて、人が集まる機会も増え、また、ワクチン接種の効果が一体どの程度なのかを示す指標となるデータも混乱状況にあるようで、不安要素は常にあります。

 結局は、自分の身は自分で守ることが基本なので、より危険な状況ならば、やはり自分でより注意を払い、できるだけマスクをするようにするとか、アルコールジェルや手洗いを頻繁に行うようにするしかないわけです。

 昨日、1日の感染者数を見てみたら、これまでせいぜい4〜5万人だったのが、急に6万人を突破していて、ギョッとしたのも束の間、何とは無しに日本も見てみたら、なんと日本は桁違いの12万人突破で、1日の死亡者数も100人以上・・一体、どうなっちゃったの?とフランスの感染増加以上にビックリしました。

 たしかに、この冬に向けてのタイミング、感染増加は世界的なもののようです。


コロナウィルス第9波


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2022年11月23日水曜日

子どもの学校のバカンスの多さに追いまくられるフランスでの子育て

  


 「家族で旅行に行きたいけれど、平日に小学生の子どもを1日だけ学校を休ませて行ってもいいものだろうか?」という疑問を投げかけている人がいて、ヤレヤレ・・子どもの学校とバカンス問かか・・と、子育てが終わった今でも、思い出すたびに、ウッとくる気持ちです。

 私は日本で子育てをしたことがないので、今の日本の事情はわかりませんが、私が子どもの頃は、母も日常的に通勤が必要な仕事はしていなかったので、特に学校がお休みであっても、母が子どもの処遇に苦労していた記憶はありません。

 しかし、そういえば、私には、田舎というものがなく、夏休みにはおじいちゃん、おばあちゃんのいる田舎に行くという友達をうらやましく思ったことがあったので、そういう習慣にしていた人もけっこういたのだな・・と今になって思います。

 私がフランスで仕事を始めたのは、娘がちょうど1歳になった頃だったので、それから娘が成人するまでの間、どのように子どもの学校のバカンスと自分のバカンス(休暇)を調整するかは、常に大問題でした。

 保育園に行っている頃は、それでもバカンス期間中もほぼ関係なく、預かってくれるので、まだまだ全然マシでしたが、学校(フランスでは幼稚園から学校扱い)が始まってからは、約2ヶ月間の夏休み、その他になんだかんだと、ほぼ1ヶ月おきくらいに2週間ずつのバカンス(トゥーサン(ハロウィンの期間)、ノエル、冬休み、イースターなど)がやってきて、当然、いくらフランスの会社はバカンスが取れるとはいえ、自分が会社で取得できるバカンスの期間はせいぜい1ヶ月で、とても子どものバカンスをカバーできるものではありません。

 そうでなくとも、子供の学校(小学校まで)は、水・土・日とがお休みで、この日常のお休みとバカンスを合わせると、フランスの学校は1年の3分の1はお休みということになります。そのうえ、学校のストライキなどまであるのですから、もう親はたまったもんではありません。

 それでもまだ夫がいた頃は、二人でバカンスをずらしながら、騙し騙し、時には、バレエのスタージュやアートのクラスなどに通わせたりして、なんとか、少しでも有意義な時間を過ごさせてあげられる工夫をしてきたのですが、とにかく、四六時中、子どものバカンスに追いまくられていたイメージがあるのです。

 フランス人の家族だと、そこに登場するのは、マミーやパピー(祖父母)という助っ人なのですが、我が家の場合は、夫の両親はすでに他界しており、私の両親は日本と、全く親に頼ることはできなかったのです。

 一年間の子どものバカンス期間をどう調整するか?という問題、そのひとつひとつを乗り越えながら、あっという間に一年が過ぎる・・という感じだったのです。

 だいたい、子どもが小さい頃は学校は学校であると同時に託児所でもあり、私にとっては、ただでさえ多い学校の休みやバカンスを無駄にして、旅行に行くなどということは、全く考えたことはありませんでした。しかし、状況が許せば、家族の判断で学校を休ませて旅行に行くことは悪いことだとは思いませんし、フランスでも、実際に夏休みを前倒しにして、バカンスに出てしまう家庭もないことはありません。

 しかし、夫が亡くなってからは、さらに子どものバカンス期間のやりくりは、さらに大変なことになり、最初の1年目の夏休みには、娘を一人で日本に行かせて、叔母に預かってもらったのですが(母はすでに他界していたため)、当時、娘は11歳で、どんなトラブルがあったのかは未だにはっきりはわかりませんが、途中で叔母から電話があって、「もう預かりきれないから、飛行機が取れたら、フランスに帰ってもらいたい」などと言われて途方に暮れて以来、しばらく日本には行けなくなり、代わりに、コロニー(我が家の場合は財務省(夫の勤務先)主催の子供の合宿)をフルに活用することになりました。

 おかげで、娘はバカンスのたびに、冬はスキー、春は乗馬、夏はマリンスポーツとスポーツと旅行三昧の10代を送ることになり、学校での合宿や旅行や、私がバカンスをとれた時にする親子旅行を加えると、ほぼ1ヶ月おきにどこかを旅行して歩いている、見ようによっては、大変、贅沢な生活を送っていたのです。

 夫が亡くなった後は、ご親切なのか、いじわるなのか? 児童保護機関に通報してくださった方がおり、外国人一人親の子育てということで、児童裁判所から呼び出しを受け、よもや子供を取り上げられるかもしれないという怖い思いをしたりしたこともあり、結果的には、娘が成人するまでは、専任の判事がついて、「何があっても私がお嬢さんをお守りします」と言ってくれたのですが、私たちは児童裁判所の監視下にあり、そうでなくとも未成年の子供を一人で放置することは禁じられているフランスですが、私は特に子どもを一人で家においたりすることには、神経質になっていたのです。

 でも、振り返ってみれば、結果的には、大勢の人のチカラをお借りして、なんとかフランスの長いバカンス期間を乗り切り続け、いろいろな経験をさせてあげられて、よかったと思っていますが、当時は、もう娘の学校のバカンス期間をどうやって埋めていくかということに、常に追いまくられている気分でもうため息も出ない感じだったのです。

 今では、子どものバカンス期間とは関係ない時期に気楽に旅行ができる環境になりましたが、いつでも行ける、いつでもいいや・・などと思っていると、結局、なかなか行かなくなり、しかも、パンデミックや戦争・・などとなって、結果的には、あの忙しく子どものバカンスに追いまくられていた頃の方がよっぽど旅行していたな・・と思うのです。


フランスの学校のバカンス お休み


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2022年11月22日火曜日

パリオリンピック オフィシャルショップ オリンピックオフィシャルグッズと値段

 


 2024年パリオリンピックのマスコットキャラクターが発表され、オリンピックオフィシャルショップがパリにオープンしたというので、見てきました。 

 ショップは、パリ1区のレ・アール フォーラムの一画にあり、マスコットキャラクター「フリージュ」のぬいぐるみをはじめ、Tシャツ、トレーナー、キャップ、キーホルダー、マグカップ、ピンバッチなど、様々な商品が陳列されています。

 レ・アール、シャトレの駅からすぐのところにあるので、雨に濡れることもなく、迷うこともなく容易に行くことができます。

 見ようによっては、パリにあるお土産屋さんと変わらないような気もしますが、商品の一つ一つには、オリンピックの公式マークが入り、中には、数量限定のプレミアがつきそうなものもあるのは見逃せません。

 そんなに広いお店ではありませんが、一つ一つの商品を丁寧に見ていくと、なかなか工夫されたものなどもあり、楽しく過ごせますし、これからオリンピックまでの間という期間限定、今だけのものでもあり、パリのお土産としたら、なかなかお手頃な値段のものもあるので、記念に買っておきたいものなどもあるかと思うので、見てきた商品とお値段をご紹介します。




 


 まずは、マスコットキャラクターのぬいぐるみは、小、中、大、特大(13€、30€、50€、150€)の4種類で特大は抱き抱えるほどの大きさです。




 Tシャツ25€、子供用Tシャツ20€、トレーナー45€、キャップ25€

          


 

 

 また、記念コインなどは、Monnaie de Paris(フランスの国立通貨機関・造幣局)が発行しているもので、2021年、2022年バージョンのものがあり、来年、再来年も続々と新しいものがナンバリングされて売られています。

マスコットキャラクター入り1万個限定の10ユーロ硬貨


 片面にオリンピックのデザインが施されている2ユーロ硬貨が10ユーロ(10万個限定)、また、マスコットキャラクター入りの10ユーロ硬貨は85ユーロ(1万個限定)で販売しています。 


お手軽な10ユーロの2ユーロ硬貨


 
マグネット(5€)とピンバッチ(8€)

 今の若い世代はわかりませんが、ある一定の世代以上のフランス人はなぜか、ピンバッチが好きな人たちがいて、スーツの内側にこれでもかというくらいピンバッチのコレクションをつけている人もいて、驚いたことがあります。そんな世代を狙ってなのか、ピンバッチは、エッフェル塔、サクレクール、コンコルド、凱旋門など、他の種類のものもありました。

 


 また、サングラスなどは、なかなか本格的なもので、中には風避け、雪除けの部分がついているものもあり、オリンピック選手が入場してくる時に、このサングラスをしている様子が目に浮かぶ感じがします。しかし、これはなかなかなお値段で255€。

 



 そして、あるあるな感じのマグカップ(12€)やエコバッグ(12€)

 



 
キーホルダー5€

 小さなスペースですが、店員さんもとても感じがよく、ちょっと話をしたりしながら、楽しい時間を過ごし、なんか、一つくらい記念に買って行こうかと、私はマグカップを一つだけ買いました。



 ところが、ここは、VISAカードとのパートナーショップだとかで、お支払いはVISAカードしか使えない(もしくは現金)ので、ご注意ください。

 2024年オリンピックが近づいたら、シャンゼリゼにもお店ができるそうですが、それまでは、この1軒だけということです。


⭐️PARIS 2024 boutique officielle des Jeux olympiques 

 5 bis, rue Pierre-Lescot 75001 Paris


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2022年11月21日月曜日

2022年のシャンゼリゼのイルミネーションは節制モード Sobrillance(ソブリランス)

  


 毎年、ノエルの時期には、一度は見に行くシャンゼリゼのイルミネーションですが、今年は、去年までの赤いイルミネーションと打って変わって、シャンパンをイメージしたという黄金色に輝いています。

 今年は、エネルギー危機、節電が叫ばれている中、さすがにシャンゼリゼのイルミネーションは中止ということはないだろうと思っていましたが、時間・期間ともに短縮になったようです。

 とはいえ、凱旋門を中心に広がる沿道の400本の木々が数百万のLEDで華やかにライトアップされて飾られる風景は、やはり、毎年のことながら、息をのむ美しさです。

 それでも、今年は節電の必要性から照明の数を大幅に減らしているため、「Sobrillance(ソブリランス)」(輝きと節制)と名付けられ、12月24日と31日を除き、新しい照明制御システムにより、例年は午前2時に消灯するところを、午後11時45分に消灯します。また、例年より1週間早い1月2日でイルミネーションは終了します。

 また、シャンゼリゼに面したすべての店舗やオフィスでは、午後10時から翌日の午前7時まで照明の消灯が義務付けられているため、例年とは、少々、趣が異なるかもしれません。(ただし、この時間帯に営業している店舗やビジネス(主に映画館、カフェ、レストラン)は当然ながら影響を受けません)

 このシャンゼリゼのイルミネーションシステムの消費電力は11,500kWh、50m²のアパルトマンに住む2人家族の年間消費電力量に相当するそうで、昨年の2分の1になっているそうです。ちなみに、16年前の2006年との比較すると97%の節電になっているそうで、そう言われてみると、2006年のシャンゼリゼのイルミネーションは、特に記憶していませんが、どれだけ華やかだったのだろうか?と、見返してみたくなる気がします。

 今年は、このイルミネーションは時短と節電の代わりに、5分ごとにエッフェル塔のように輝くようにプログラミングされており、別の美しさを味わうことができます。

 今年のシャンゼリゼ・イルミネーションのオフィシャルパートナーはSEPHORA(セフォラ)(化粧品・香水を扱う専門店・LVMH傘下)になっていますが、毎年、このオフィシャルパートナーは交代するので、広告がごちゃまぜになることはなく、統一感が保たれていることも全体としての景観の美しさを配慮したものだと思います。

 2020年には、パンデミックのために、イルミネーションはあったものの、観光客もおらずに人もまばらなシャンゼリゼ(しかも、多くの店舗は営業停止でもちろん店舗は消灯)、昨年は、どうにか例年の様子に近づいてはいましたが、依然として禁止事項もあり、手放しに喜べない感じ・・そして、今年は、照明削減、時間短縮、期間短縮のシャンゼリゼのイルミネーションです。

 毎年、シャンゼリゼのイルミネーションの様子の記録を見れば、その年の情勢が反映されるような感じになっていることは、皮肉なことでもあります。

 それでも、フランスは、「世界で最も美しいイルミネーション」と、「シャンパンの色を想起させ、祝祭の概念とヨーロッパの生活芸術に立ち返る」と誇らしく胸をはっています。

 しかし、だいたい、シャンゼリゼはイルミネーションがあろうとなかろうと、そのままでも充分に美しく、イルミネーションの美しさを競うには、ちょっと反則かとも思います。


2022年シャンゼリゼ イルミネーション


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2022年11月20日日曜日

離婚率も高いが再婚率も高いフランス 子育て期間も長くなる

  


 フランス人の友人、知人、同僚などには、子供の年齢が結構、離れていることがある場合があって、私とそんなに年齢が変わらないと思っていた人に意外とまだ小さい子供がいたりして、驚かされたりすることがあります。

 彼女たちと世間話をしていると、子供の話題になることも少なくないのですが、そんな子供の話になって、「えっ?まだ、そんなに小さい子がいたんだ・・」と驚くと、「私だって、ほんとは、もう子供はいらなかったんだけど・・」などと、こちらが恐縮するようなことを言い出したりするので、びっくりさせられるのです。

 また、そこまで詳細な家族構成がわからずにいて、子供は現在、同居している子供だけだと思っていたら、「これがこの間、ブルターニュで生まれた私の孫で・・」などと写真を見せられたりして、逆にそんなに大きい子供さんもいたんだ・・」と驚かされることもあります。当然、これは前の夫との子供の子供(孫)で、ママであると同時にマミー(おばあさん)でもあるわけです。

 というのも、年齢の離れた子供を持っている人は、たいてい再婚をしていて、最初の結婚での子供に加えて、再婚相手との子供もいるので、おのずと子供の年齢が離れていることになるわけで、それだけ長期間にわたって子育てをしているわけです。

 フランスは離婚率が高くても、再婚率も高いわけで、その全部の子供たちと同居しているかどうかは別として、一度、離婚しても、懲りずに再婚して子供もいる場合も多いのです。

 考えてみれば、娘の友人などでも、異母兄弟を持つ人は少なくなくて、そういう我が夫も再婚だったので、娘にも異母兄弟がいるので、その例外ではないかもしれません。

 娘の友人の両親で、3人の子供がいて、パパが浮気をしているのが見つかって、家を出て行った・・別居・・かと思うと、いつのまにか、またパパが戻ってきた・・と何度か別居と復縁を繰り返していたと思ったら、ついに離婚。かと思ったら、今度は、ママの新しい恋人があっという間に同居・・と、日本的?な感覚からしたら、子供たちは新しいママの恋人をどうやって受け入れているのだろうか?と思ったりもするのですが、それはそれなりに成立しているようで、やはり、ここまでするのは、バイタリティーあるなぁ・・と感心させられたりもするのです。

 私だったら、双方に気を使って疲れ果ててしまいそうで、そんな面倒臭いことはゴメンだと思ってしまいます。

 そもそも、フランスには、PACSのような事実婚の形態も存在しているので、結婚せずに子供を持つ場合も少なくないこともあると思いますが、一度の離婚くらいではめげない、よく言えばバイタリティや奔放さ、自由さがフランス人にはあるのかもしれません。

 それに比べて、日本にいる私の友人、知人は、再婚どころか独身の人も多く、もちろん彼女らには子供はおらず、結婚していても、子供がいない人が圧倒的に多く、逆に私に1人でも子供がいることが奇跡的に感じるほどで、なるほど日本は少子化の一途を辿るわけだ・・とも思います。

 私は、離婚したわけではなく、死別だったこともあるのか、もう懲り懲りで、(また死なれるのはたくさん)全く再婚するつもりはない私は、やっぱり日本人なのかもしれません。


フランス人の離婚 再婚 子供


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2022年11月19日土曜日

原子力発電所の生産量低下で、極寒の1月には停電のリスク 

   


 フランスの送電システム運用会社であるRTEは、この冬は、フランスの原子力発電所が歴史的な原子力発電の生産量低下などにより、寒さが厳しくなると見られる1月には、停電のリスクがあることを発表しました。(例年、電力消費のピークは寒波時1月前後に集中)

 RTEと環境エネルギー管理庁(Ademe)は消費者が国内の電力供給量や必要に応じて停電のリスクをリアルタイムで参照できるようにするために「エネルギー天気予報」として考案された「Ecowatt」(エコワット)ツールを共同開発しています。

 ここのところ、なにかといえば、天気予報のようなマップ・・コロナウィルスマップ、ガソリンマップ・・そして、今度はエネルギーマップ・・それだけ、わたしたちの生活がリスクに見舞われているということです。

 このエコワットでは、グリーン「通常の消費」、オレンジ「緊迫した電力システム、エコアクション歓迎」、レッド「非常に緊迫した電力システム、消費を抑えなければ停電必至」の3段階のグラデーションが予定されています。

 RTEは、この停電のリスクを回避するために、「利用可能なすべての生産手段を用いる」と断言し、環境汚染度の高い石炭火力発電所重要な役割を果たすことになると説明しています。

 これまでも、政府は国民や企業に向けての10%の節電目標をかかげ、夜間の電気広告を禁止したり、エッフェル塔のライトアップの時間短縮をしたり、暖房の温度は19℃までなどと呼びかけ、中には、冬の2週間を臨時休校にしたり、マクロン大統領自らタートルネックを着てアピールしたりと、節電を呼びかけてきました。

 私などは、停電のリスク以前に電気・ガス料金の値上げにより、値上がりしている分は、電力消費を抑えなければ・・と細かな努力ですが、こまめにコンセントを抜いたり、冷凍庫の霜取りをしたり(フランスの冷蔵庫は霜取りが必要な場合が多いのです)、暖房はできるだけ使わないようにしたりしていますが、そもそも大した電力消費をしていない我が家にとっては、これ以上、節電のしようがない感じもします。

 これから、12月の冬至までは、日に日に日も短くなり、電気をつける時間も長くなるので、これ以上節電するとしたら、早寝するくらいしかありませんが、残念ながら、朝、明るくなる時間も遅いので、夏に日が長い反面、冬はとても暮らしづらいところです。

 しかし、この停電のリスクは、この冬、電力需給が不均衡になった場合、家庭向け電力削減が行われる場合の具体的な停電対策が発表されていることから、ますますこの危機が現実感をもってきました。

 なお、エコワットシグナルがレッドサインを示した場合でも、病院、警察、研究所、安全上必要不可欠とみなされる公共道路信号および照明設備、特定の産業施設(特に国防関連の施設)は、停電の対象とはなりません。

 また、自宅療養中の生命に危険のある病人のいる世帯に対しては、PHRV登録(資格)を地域保健医療機関(ARS)に申請していれば、停電時の具体的な情報提供通知、停電予定日時の5日前に情報を得ることが可能になり、停電時に機器を動作させるための自律的な電力供給(発電機やバッテリーなど)の手配をすることができるとしています。

 停電といっても、計画的に電力消費負荷分散のために、地域ごとに、時間帯を区切って(朝8時〜13時、夕方18時〜20時)停電させるということで、この計画停電の情報を的確に得るためには、ECOWATTのアプリを入れ、アラートをセットすれば、通知を受け取ることができるので、ある程度は、備えることはできるのかもしれません。

 しかし、ひと月まえくらいまでは、このまま節電していけば、停電は避けられるということだったのに、まさかのこの事態・・。「例外的な状況を除き、夜間は決して行わない」としていますが、混乱は必須です。

 我が家のアパートはガスはなく、オール電化、停電は本当に困るのです。

 

フランス1月停電


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2022年11月18日金曜日

ボジョレーヌーボーと日本の関係

  



 ボジョレーヌーボー解禁の日だと、朝、気がついて、今年はどんな具合だろうか?とスーパーマーケットをのぞきに行ってみました。ここ数年、パンデミックの影響も多少はあったとはいえ、年々、衰退していくボジョレーヌーボーを「あ〜あ・・」という感じで、見ていました。

 もともと、ボジョレーヌーボーは、フランスでは、そんなに人気があるわけでもなく、私自身も特に飲みたいと思うわけでもないのですが、一応、11月の第3週目の木曜日と日付が決められていることで、なんか、季節感を感じる気がする程度です。

 とはいえ、一応は、解禁日からしばらくは、ボジョレーヌーボーのコーナーが設けられ、低価格(5〜10€程度)なこともあり、手にとっている人もいたのですが、いつの頃からか、スーパーマーケットのボジョレーヌーポーのコーナーは年々縮小されてきました。

 昨年も、「あれ?これだけ?」と驚くほど小さいコーナーが設けられていただけでしたが、なんと今年は、影もかたちもありませんでした。(あくまで私がいつも行っているスーパーマーケットでの話ですが・・)

 醸造期間の短いこのワインは、時に、人工酵母などの化学物質が添加されることも多く、ワインにピリッとした甘さを与えているなどと、悪評が広まったことがフランスでの人気低迷の理由にも挙げられています。

 ボジョレーヌーボーの人気のピークは1980年代だったと言われており、1984年には、ボジョレーヌーボーが数日で6千万本販売されるという記録が残されていますが、1985年以降は解禁日が11月の第3木曜日に固定されたことで、商業的に別の盛り上がりを煽るかたちになったことは否めません。

 ボジョレーヌーボーが話題にされるたびに、「なぜボジョレーヌーボーは日本で人気があるのか?」など、日本でのボジョレー人気が話題にあがるほど、フランスにとっても、ボジョレーヌーボーと日本は切り離せない存在のようです。

 フランス人の分析によれば、日本でのボジョレー人気を「日本人は何よりも非常にフルーティーで軽いものを求めている」という日本人の味覚があたかもボジョレーヌーボーの特質にマッチしているかのように語る人もいます。

 また、日本人にとって、ハロウィンとクリスマスの間にある、このボジョレーヌーボー解禁の日付が、祭りの季節感に敏感な日本人の心をくすぐり、日本市場はこれを巧みに広告にのせて、マーケットを展開しているとも評しています。

 とはいえ、ボジョレー・ヌーヴォーの生産量は、最盛期の50%から、現在では20%に過ぎないほど低下しているうえ、今年は、干ばつの影響でさらに過去5年間の平均を20%ほど下回っていると言われています。

 今でもボジョレー・ヌーボーの総生産量の3分の1は日本に輸出されていると言われているものの、同じ3分の1でも全体の生産量が落ちているので、以前とは違ってはいるのでしょう。

 実際に日本で実際に現在、どのようにボジョレーヌーボーが売られているのかわかりませんが、ボジョレーヌーボーにとって、今でも日本のマーケットは欠かせない存在のようなのです。


ボジョレーヌーボー


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2022年11月17日木曜日

ポーランドに落下したミサイルとNATO条約第5条 よもや第三次世界大戦の危機

  


 ウクライナがロシア軍から激しい砲撃を受ける中、ポーランドにミサイルが直撃し、一昨日は、フランスにも大きな波紋が広がりました。

 NATO加盟国であるポーランドがロシアからの攻撃を受けたとなれば、NATO条約第5条により、集団的自衛権を行使することに繋がる可能性があるのです。

 この第5条には、「NATO加盟国が武力攻撃の被害を受けた場合、他の加盟国はこの暴力行為を全加盟国に対する武力攻撃とみなし、攻撃された国を支援するために必要と認められる措置を講じる」と記されています。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、まもなく、このポーランドへのミサイル攻撃を「これはロシアの攻撃だ!インドネシアで開催中のG20サミットに対する「ロシアからのメッセージ」だと発言。

 バイデン大統領も、「これはおそらくロシアの攻撃だろう!」と発言していましたが、当のポーランドは、極めて深刻な緊急事態であるとしながらも、早急に真相を追求する必要があると、慎重な態度をとっていました。

 ロシア側はすぐに、これはウクライナの仕業だと声明を発表しましたが、これまでも、自分でしかけては相手のせいにしてきたロシアの発言に信憑性はありません。

 漏れ伝わってくる戦況からすれば、現在のロシアがNATO全体の攻撃の誘因となるような攻撃をすることは、あり得ないとは思っても、そもそも、これまであり得ないことばかりをやってきたロシアが今度は何をやらかすかはわかりません。

 また、NATO、マクロン大統領は、かなり冷静な態度を取り続けていて、不用意な発言はせず、「真相を解明し、慎重な対応をとる」という姿勢を崩すことはありませんでした。

 私は、これまでNATOの集団的自衛権は、戦争を抑止するためのものとの認識で、実際にこれが行使されるかもしれないという局面が訪れる緊迫感を感じたのは、初めてのことで、よもや第三次世界大戦に突入するかもしれないという事態に、NATO加盟国であるフランスにも緊張が走ったのです。

 しかし、一夜が明けて、NATOは、「ポーランドを直撃したミサイルは、どうやらウクライナの迎撃ミサイルが落下したもので、不幸な事故であったとの見方」を発表。しかし、彼はこの声明に加えて、「しかし、これはウクライナが悪いのではなく、もともと非合法の戦争をしかけたロシアの責任である」ことも付け加えて発表しました。

 まだ、このミサイルの発射元については、正確に確定されたわけではありませんが、一先ずロシアのものではなかったらしい・・ということで、NATO第5条の勇み足は中断されることになったようです。

 ウクライナは、当日も、少なくとも85発以上のミサイル攻撃を受けており、同時にインフラ施設への激しい爆撃作戦を受け、広い範囲で停電が起こっており、ゼレンスキー大統領がフライング気味の発言をしてロシアを非難するのもわからないではありませんが、NATOの中でもより大きな力を持っているアメリカの大統領としてのバイデン大統領の不用意な発言には、問題を感じます。

 いずれにしても、あらためてウクライナでの戦争がもしかしたら、第三次世界大戦に発展する危険性はそんなに遠くないところにあるという緊迫感を感じ、「そんなことになったら、やっぱり自国である日本にいた方がいいのだろうか?」などと不安になった夜でした。


ポーランドミサイル落下 NATO第5条 集団的自衛権


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2022年11月16日水曜日

10ユーロから45ユーロの電気・電子機器 家電製品修理ボーナス導入

  


 2022年12月15日から、フランスは、電気・電子機器に修理ボーナスの導入をスタートさせます。これは、2020年、循環型経済法で規定された修理基金で、機器の長寿命化と廃棄物削減を目的としたもので、この基金には6年間で4億1千万ユーロが割り当てられる予定です。

 現在、約15億点の電気・電子機器が流通するフランスでは、年間約1,000万件の修理が行われていると推定されていますが、この修理ボーナス導入により、この修理量を20%増加させることを目標としています。

 つまりは、「捨てずに修理して使おう! そのために、一部は負担するよ!」ということです。

 この修理ボーナスは製品の種類により、金額は10ユーロから45ユーロに分類されています。

 ・10€ コーヒーメーカー、アイロンなど

 ・15€ 掃除機、DVDプレーヤー、ホームシアター、楽器、自転車、スクーターなど

 ・20€ ゲーム機、スピーカーなど

 ・25€ ワインセラー、洗濯機、冷蔵庫/冷凍庫、タブレット、携帯電話など

 ・30€ テレビ、ビデオプロジェクターなど

 ・45€   デスクトップ、ノートパソコンなど

 修理の内容に関わらず、この修理ボーナスは固定されたままということです。

 そして、2024年には、ディープフライヤー、プリンター、フードプロセッサー、電子レンジが、2025年には、エアコン、ヘアドライヤー、扇風機が追加される予定になっています。

 2022年12月の段階では、対象とされる30種類ほどの家電製品について、先着500社の認定修理業者(「QualiRépar」ラベル付き)に修理を依頼した場合にのみ、このボーナスの恩恵を受けることができるようになります。

 この認定修理業者は、2023年までに1,500社、2027年までに1万社を見込んでおり、すべてのタイプ(独立系、メーカーアフターサービス、代理店アフターサービス)が含まれるようになります。

 フランス人は比較的、古いものを大切に使い続け、中古品なども積極的に利用する傾向が強く、粗大ゴミなどでも、捨てるそばから拾っていく人も少なくない印象があり、私も一度、壊れた掃除機を捨てに行ったら、「それ捨てるんですか?」と言われたことがあります。

 しかし、私は恥ずかしながら洗濯機や冷蔵庫、オーブンなどは、もはや修理しようと考えたこともなく、ハナから無理だと決めつけ、新しいものを買って、買う際に必ず古いものを引き取ってくれることを交渉してくるくらいしか考えたことがありませんでした。

 ちょっと前ですが、ノートパソコンが壊れた際には、修理ができるか?いくらでできるか?を見てもらいにアップルストアーに行ったことがあるのですが、とても修理とは思えない金額で、諦めたことがありました。

 そうなのです。電化製品が壊れた場合は、普通なら修理するか、新品に買い替えるかを検討するところですが、往々にして修理代が異様に高額で、それなら新しいものを買った方がいい・・となってしまうのです。

 フランスの場合は、修理に来てもらう時点で、頼んだ日時にちゃんと来てくれる可能性も低いうえに、その人が十分に修理できる技術を有している可能性はさらに低く、そんな煩わしさも考えると、特に緊急性の高い冷蔵庫などに関しては、即、買い替えをしてしまうのです。

 新しい冷蔵庫を買った時でさえ、配達の日にちを勝手に変更された挙句にようやく届いたと思ったら、「ぶつけて穴をあけてしまったので、値引きするのでこれでいいか?」などと言われて、「良いわけないだろ!」と憤慨したことがありました。

 この修理ボーナスは大変、ありがたい話ではありますが、製品にもよりますが、ちょっと安すぎないか?と思ってしまいます。一応、各製品の平均的な修理費用の20%程度に相当するはずだとしていますが、「いやいやいや〜〜〜そんな安くない〜〜」と思うのは私だけでしょうか?

 この家電製品修理ボーナス、どの程度の結果がでるか、ちょっと見ものな気がしています。


家電製品修理ボーナス


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2022年11月15日火曜日

2024年パリオリンピック・パラリンピック マスコットキャラクター フリージュ

 


 


 2024年パリオリンピック・パラリンピックのマスコットキャラクターが発表されました。

 「フリージュ」と名付けられたこのキャラクターは、フランスの精神を具現化したもので、トリコロールとフランス革命とフランスの象徴であるフリジア帽をモチーフにしていると言われています。そういわれてみれば、たしかに、あの帽子です。

 このキャラクターの選択は、6歳から14歳の子どもたちにサンプルを使ってテストして、検証された結果、選ばれたもので、赤いフリジア帽がマスコット化したもの。それぞれの靴はトリコロールの赤・青・白でデザインされていて、ご丁寧なことに目そのものもトリコロールカラー、目尻につけられたリボンまでトリコロールで足さえもブルーと白で、双子のうち1人は義足をつけています。

 彼らの使命は「フランスとフランス人を動かし、スポーツを紹介・再導入すること」であり、「完璧なサポーターの精神」を広めることだそうで、「スポーツはすべてを変えることができ、私たちの社会で重要な位置を占めるに値することを証明することを目的としている」と重大な任務を負っています。

 この二つのキャラクターには、ストーリー性のあるキャラクター設定もされており、オリンピックのフリージュは「賢い人であり、すべてを計算せずに物事に着手することはなく、少し狡猾で誘惑的な面もあるが、非常に感情的でもある」一方、パラリンピックのフリージュは、「無限のエネルギーを持つ外向的なパーティーガールで、自発的で、少し熱血漢、常に新しい経験を求めている」のだそうです。

 他の国のオリンピックのマスコットキャラクターに関しても、こんなに詳細なキャラクター設定がもされているのかどうかはわかりませんが、とかく、なにかと理屈をつみあげて、仰々しく語りたがるフランス人らしいような気がします。

 とはいえ、このマスコットキャラクター販売は、オリンピックのライセンス収入の25%にのぼり、総額は1億2700万ユーロとと見積もられています。

 フランスの中小企業メーカーGipsy ToysとDoudou et compagnieが請け負い、主にリサイクル素材で作られるマスコットは200万個の売り上げを目標とし、その他、Tシャツ、パーカー、キーホルダー、ピンバッチも販売される予定になっていますが、実際の生産は中国の工場で行われるようです。

 「マスコットはフランスのエスプリを体現していなければならず、フランスの価値観を担う理想、信念のようなものであり、長い時間、歴史の中で積み重ねられてきたものが表現されていなければならない」と壮大な理想のもとにキャラクターのストーリー設定までが語られているのに、中国で作るあたりは、ちょっとがっかりするというか、非常に現実的で、実際のところは、オリンピックのビッグビジネスの一つなのです。

 オリンピックなどのマスコットというのは、可愛いんだか可愛くないんだか、よくわからない奇妙なものとして、登場し、中には見慣れていくうちにだんだん愛着が湧いてくるものもありますが、いずれにせよ、オリンピックまで、そしてオリンピック開催時には、これでもかというくらい登場するので、これから、2024年にかけて、パリではさまざまなところで、この「フリージュ」を見かけることになるかもしれません。

 

2024年パリオリンピック・パラリンピック マスコットキャラクター フリージュ 

 

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2022年11月14日月曜日

スティーブン・スピルバーグ「ターミナル」にインスピレーションを与えた伝説のホームレスCDGで死去

  


 スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ターミナル」にインスピレーションを与えたイランの政治亡命者、メヘラン・カリミ・ナセリ氏が彼が長年過ごしたホームであるパリ・シャルル・ド・ゴール空港で亡くなりました。

 彼は、母親を探してロンドン、ベルリン、アムステルダムと旅をした後、1988年11月にパリ北部のロワシーに居を構えるようになりました。彼は、自分のホームに選んだ空港という場所で、好きな音楽を聴き、新聞や小説を読み、自分の思いを書き綴りながら、空港という公共の施設で静かに暮らし続けていましたが、ついには、1999年、フランスで難民認定を受け、滞在許可証を取得しています。

 そんな彼をどうやって発掘したのかは謎ですが、彼の哲学的?な生活からヒントを受けてスティーブン・スピルバーグ監督が制作した映画「ターミナル」が公開された当時、彼は世界中からのジャーナリストの注目を集め、1日に何本ものインタビューを受けるほどの有名人になり、シャルル・ド・ゴール空港では、空港職員の顔として親しまれ、伝説的な存在になっていたのです。

 サンドイッチ屋とマクドナルドに挟まれた数平方メートルの三角形が彼の日常生活の中心で、空港のトイレがバスルームになっており、上着やズボンは定期的にクリーニングに出していて、決して問題は起こさず、静かな人で、他のホームレスが助けを求めてきたり、食べ物を求めてきたりしても、彼は何も言わず、何も要求せず、お金も出さず、他とは一線を画す存在で、彼を知る人々は、「素直だけど口下手で正直者だが口数の少ない人」「彼は仙人だ、現代社会の僧侶を思わせる 」とも語っています。

 彼は約18年間、シャルル・ド・ゴール空港で暮らしていましたが、映画の公開により、彼にはある程度のまとまったお金が入り、映画公開の2年後には、空港から病院経由でパリ郊外のホステルに滞在していたと言われています。

 彼が空港に戻ってきたのは、死亡する数週間前と言われており、映画で得たお金を使い果たして空港に戻ってきたと思われていましたが、彼の遺体からは数千ユーロが発見されたようです。

 彼の死は自然死であったと公表されていますが、彼の77歳という年齢からも自然死というのも妙な話で、事故でも事件でもなかったという意味なのだと思いますが、なんらかの病を患っていた彼が死期を察して、彼のホームでもあったシャルル・ド・ゴール空港ターミナル2Fを最期の場所として選んでいたのかもしれません。

 ターミナル2Fにいた空港職員は、数週間前から彼が荷物を持って悲しげな表情をして、いつもと同じ席に動かずに座っており、ここ数週間は、あまり調子が良くないようで、窓の方を向いて、口を開けて、ぼんやりとした目をしていたと証言しています。

 彼が亡くなったことは、座席に白いシートがかけられたことで気づいたと語っています。

 スピルバーグ監督の映画は彼からのインスピレーションを受けて作られた作品ではあるものの、彼自身の人生そのものとは、異なる物語ですが、この彼の最期の迎え方、また空港職員との独特な関係性や彼の生き様のようなものも、そのまま映画になりそうな感じです。

 彼がとても大切にしていた自分の思いを書き綴ること・・彼のノートに書かれていたことも、このまま埋もれてしまうのは、惜しいような気がします。

 彼の物語は、フランスのフィリップ・リオレ監督にも影響を与え、「Tombés du ciel」という映画が1994年に公開されています。

 今年に入って、空港のホームレスが空港警察官に射殺されたという殺伐とした事件もありましたが、それと同じ空港で、このように生活していた人もいた時代が悪くはなかったような、なんだか不思議な感じもします。

 ましてや、彼のホームであったシャルル・ド・ゴール空港のターミナル2Fは、私も一番利用する機会の多いターミナルで、そんなドラマがあったとは・・今度、空港に行ったら、彼のホームであったベンチを探してみたくなりました。


スティーブン・スピルバーグ 伝説の空港ホームレス


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2022年11月13日日曜日

モンパルナスにできた新しいコマーシャルセンター Les Ateliers Gaîté とモンパルナス駅のM&Sとカヌレ

  



 パリ・モンパルナス界隈に新しいコマーシャルセンター Les Ateliers Gaîté ができたというので、覗きに行ってきました。ちょっと、他の出先からだったので、バスで出かけたのですが、モンパルナス駅からもそんなに遠くはありません。




 この新しいコマーシャルセンターはアトリエと名前に入っていることからも、一般的なコマーシャルセンターに入っているような店舗(Truffaut、Nature & Découvertes、Mr. Bricolage、Go Sport、Bo Concept、PoltroneSofà、Darty)、衣料品店(Naf Naf、Okaïdi、Courir、Claire'sなど)から古着屋さんなども入っていますが、とりたてて、もの珍しくもなく、個人的には、あまり興味が湧かず、強いていうなら、フードコートが比較的広く、DJなども入るようにできているので、おそらく夜、若者たちにとっては、楽しい空間になるのかもしれません。

フードコート入り口



 ところどころにピンボールなどのゲーム機が置かれているのにも遊び心が感じられます。




 しかし、このコマーシャルセンターは、ショッピングエリアだけではなく、最終的なプロジェクトとしては、社会住宅、託児所、オフィス、ホテル、市立図書館を含む複合施設になることになっており、また、このアトリエのコンセプトは、この地域が、劇場、芸術家のアトリエ、文壇などの娯楽の場であったことを喚起させ、DIYのトレンドに乗り、お客様がワークショップに参加することで交流し、学び、単なる購買行為を超えた体験をする場にすることをうたっています。

 そういえば、昨年、16年ぶりに再開したパリ・サマリテーヌもショッピングエリアとともに、同様の社会住宅や託児所、オフィス、ホテルなどを併設した形で完成すると言われていますので、複合的な総合施設というのは、現在のトレンドなのかもしれません。

 コマーシャルセンターだけでは、もはや人を惹きつけられず、プラスアルファが求められているのかもしれません。

 しかし、はっきり言って、私にとっては、少々、期待ハズレで、あまり来ることのないモンパルナス界隈、せっかく来たのだから、モンパルナス駅に寄って、カヌレを買って帰ろう・・とモンパルナス駅に向かったのでした。

 滅多に来ることがないモンパルナス駅ですが、去年、久しぶりにTGVに乗るために駅を利用し、びっくりするほど綺麗になっているのにビックリしたのですが、旅行の通過点にすぎず、あまり駅の中をゆっくり歩くことはありませんでした。

 今回、じゃあカヌレを買いに・・と思ったのは、ボルドーの有名な La Toque Cuivrée というカヌレ屋さんのお店がパリでは1軒だけ、モンパルナス駅にあることを知っていたからです。




 ここのお店のカヌレはふんわりとラムの香りのするもっちりとしたカヌレで、何よりも、そのクォリティに対して圧倒的に値段が安いので(というより、一般的に他のお店のものが高すぎる)(例えばPAULなどの半額以下)、ボルドーには、この店舗はけっこうありますが、どこも行列のできる人気店。パリには、モンパルナス駅にしかないのです。

 店舗というよりは、駅の片隅にあるスタンドのようなスペースですが、しっかり発見、久しぶりのカヌレを買ってきました。




 そして、駅の構内のテイクアウトできるさまざまな食品のスタンドの種類の多いこと!昔は、駅にあるスタンドといえば、サンドイッチかクロワッサンくらいなものでしたが、今は、よりどりみどりで、ベーグルやマフィン、ドーナッツ、スープ、おにぎりやお寿司、ポケボウルなどなど、さしずめ日本でいうなら、駅弁フェアみたいです。



 食い意地の張っている私にとっては、新しいショッピングセンターよりもモンパルナス駅の方がよっぽど楽しく、一先ずお目当てのカヌレを抱えて、ニコニコでメトロで帰ろうと地下に降りていく途中に発見したのは、「M&S(マークスアンドスペンサー)Food」の看板が・・。



 ブレグジットとともに、あっという間にパリの街から姿を消していったイギリスのスーパーマーケットM&Sです。そういえば、空港や駅の一部の店舗だけは残すという話は聞いていたのですが、思わず、「あなた・・ここにいたのね・・」と別れた恋人にばったり出会った気分でした。

 M&Sには、クッキーや紅茶、サンドイッチ、スナック類、パンなど、大好きなものがたくさんで、思わず、カヌレを買ったことも忘れて、大量の食品を買い込んだのでした。イギリスに留学していたこともあり、より思い入れの深いこともありますが、フランスのものとは違うどこか懐かしい感じもするシンプルなクッキーやクラッカー、薄切り、ふわふわの食パンなどが結構、好きなのです。




 これまで、あまりモンパルナスに来ることはありませんでしたが、これからは、このカヌレとM&Sのために定期的に来ることになるだろうと思っています。


モンパルナス駅 M&S コマーシャルセンター Les Ateliers Gaîté 


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2022年11月12日土曜日

1686年創業のパリ最古のカフェレストラン ル・プロコープ Le Procope

  


 パリの街の美しいところは、近代化されていく中でも歴史が脈々と残されているところにあると思っています。とはいえ、場所によっては、「ここは、本当にパリ?」と思うほど劣化して、スラム化しているような場所もあるのですが、そういう場所は危険も伴うので、たまに出くわすことがあってもあまり近寄ることはありません。

 パリに来たばかりの頃は、「きっとパリってず〜っと変わらないんだろうな・・」と思っていたのですが、ここ10年ほど、特にパンデミックを境に大きく変わってきた気がします。

 パリの中でも、私が最も好きなの場所のひとつは、サンジェルマン・デ・プレ界隈で、おそらく日本の人がイメージしているであろうパリが楽しめる場所です。

 

サンジェルマン大通り沿いのパッサージュの入り口付近


 そんなサンジェルマン・デ・プレを散歩していて偶然見つけたのが、パリで最古といわれるル・プロコープ Le Procopeというカフェレストランです。実は、有名なレストランだったのですが、私は全くそんなことは知らずに、サンジェルマン大通り(Boulvard St.Germain)に面した小さなパッサージュ(石畳の小さなお店が迷路のように並んでいる一画)を歩いていて、こんなところにこんな空間!とちょっとワクワクして、その古路を歩いていると、一見すると小ぶりなカフェ?と思われるお店を見つけ、覗き込むとレストランでもあり、メニューを見ても、そんなに横暴な値段でもなく、ただ、看板には1686年創業とちょっと信じ難い年号が出ていたために興味を惹かれたのでした。

 

パッサージュの中のカフェ裏口のテラス席

 

 しかし、実のところは、そのパッサージュから入る入り口はいわば裏口のようなもので、正面口は、アンシャン・コメディ通り(Rue de l'Ancienne Comédie)にあり、見事な店構えです。

 店内は美術館というか博物館のような感じの重厚なインテリアでシャンデリアや絵画、歴史的な書物などが要所要所に飾られており、だいたい建物自体が歴史を感じさせる一見の価値があるもので、地上階(日本でいう1階)、階段を登ると中間の階にも部屋があり、その上に1階と大変、立体的で面白い作りで、「うわっ!ここにもお部屋が・・うわっ!こんなものが・・」といちいち感動します。






 テーブルには古典的ではありますが、白いテーブルクロスが敷かれ、ウェイターの人も背筋が伸びている感じで礼儀正しく、感じよく、細かいサービスも行き届いています。




 メニューは、アントレ(前菜)10〜20ユーロ前後、肉料理、魚料理(20〜30ユーロ前後)、デザート(10ユーロ前後)と、パリでは一般的な感じのお値段ですが、お昼のメニューだと、その日のいくつかのメニューの中から、前菜とメインまたは、メインとデザートで23.50ユーロ(平日のみ)というチョイスもできます。

 お店のインテリアや雰囲気、サービスに負けることなく、お料理もしっかり美味しく、一つ一つ手抜きのないお料理であることが一口、口にするとわかります。

 


 オーダーするとまず、つきだし?のように出してくれるオリーブがちょっと感動するほど美味しく、前回、行った時に食べたお昼のメニューのアントレに頼んだ白トリュフのラビオリは、「これは、やっぱり自分ではできない、なかなかなクォリティー!」と感動し、メインに選んだ鱒のムニエルは散りばめられているアーモンドのソテーの香ばしさが上手くマッチしていて、外はカリッと中はふっくらとしていて絶品でした。

 

白トリュフのラビオリ

 また、添えられていたピューレもわざとつぶが残されているバターの香りの効いた思わずにっこりしてしまう味、何も足さずに出てきたそのままで満足できるお味でした。


鱒のムニエルとじゃがいものピューレ


 デザートは、もうお腹いっぱいで、食べられませんでしたが、近くの席に座っていた人が食べていたこのお店の人気のタルト・オ・カフェがとても美味しそうでした。

 また、このお店には、伝統的に受け継がれたメニューというものが、いくつか存在していて、その中でも人気のコック・オー・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)を、後日、食べてみましたが、まず、実に鶏肉自体が大変美味しく、味のしっかりした鶏肉で、これが鶏肉料理?と思うほどの煮込み料理で、赤ワインと鶏のブイヨンでよくぞこれほどのコクのある味が・・と思わせられるのに、鶏肉自体は柔らかく煮込まれているにもかかわらず、煮崩れることなく存在し、一緒に煮込まれている小さなじゃがいもや小玉ねぎ、人参、マッシュルームなどが、ソースと混ざって、かなり食べ応えがあります。


 
コック・オー・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)


 このコック・オー・ヴァンは、お鍋のままサーブされ、温かいお皿が別にやってきます。ふたりで分けて食べてもいいくらいたっぷり入っています。

 デザートは食べられなかったので、最後にカフェだけ頼んだら、なんとカフェにはマドレーヌで蓋がしてあるというユニークな心遣いで、なんだか妙にお得な気分。よくカフェには小さなチョコレートがついてきたりしますが、マドレーヌとは・・、これにもちょっと感激でした。



 一見すると煌びやかな感じもしますが、お客さんはそんなにかしこまることもなく、普段着で気楽にやってきていて、たまに観光客らしきアジア人のカップルがやけにドレスアップしてやたらと写真を撮りまくっていたりするのもまた、そんなに違和感もありません。




 ちょうど近くにいた私と同年代の女性が母親らしき人を連れて食事していたのが、微笑ましく、かなり高齢と思われる母親はオニオングラタンスープだけしか食べていませんでしたが、それはそれでOKな、見かけの重厚さとは裏腹な、温かいお店の雰囲気です。

 私もそんな彼女を見ていて、母が生きていたら、連れてきてあげたかった・・いやいや、フランス料理好きだった祖父を連れてきてあげたらどんなに喜んだだろうか?などと、一瞬、思っていたのですが、そもそも歴史あるお店ゆえ、パリに留学していたことのある祖父です。

 数々の歴史的著名人も訪れていたというこのお店、なにしろ、1686年からやっているのですから、彼の留学中にも存在していたわけで、もしかしたら、祖父もここに来たことがあったかもしれない・・などと想像が膨らんだのでした。


このお店に来店していた著名人の名前が刻まれている


 レストランを選ぶ時には、その味はもちろんのこと、そのお店の雰囲気、サービスなど色々な要素が加わりますが、このお店はそのどれをとっても超おススメです。

 また、私が初めてパリに旅行に行く際に一番、躊躇したのが言葉の問題ですが、ここは英語もOK(というより、今はパリ市内のたいていのレストランは英語を話してくれます)で、英語のメニューもあるようですのでご心配いりません。


Le Peocope ル・プロコープ

13 Rue de l'Ancienne Comédie 75006 Paris      毎日12:00~0:00まで


パリ最古のカフェレストラン ルプロコープ


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