マクロン大統領が再選されて、正直、ホッとしています。現在のこの世界情勢で極右政権に傾くことは、外国人として生活している在仏邦人としては、穏やかならないものがあります。
また、ロシアによる侵攻から始まったウクライナ戦争が一向に終息の兆しが見えない中、ヨーロッパが結束を強めなければならない中、その中心になって動き始めていたマクロン大統領の存在は、ヨーロッパ全体としても非常に重要な存在であり、もしもマクロン大統領が失脚すれば、ヨーロッパとしての結束が揺らぐ可能性もあり、ロシアに対しても、つけ込む隙を与えかねないことになりかねない結果に陥る危険を孕んでいたと思います。
大統領選挙に向けて、服装から発言まで、ソフト路線に切り替えていたマリン・ルペン氏も、その根本に持つ思想については、疑問が多く、ロシアとの金銭的な繋がりなども指摘されていたこともあり、私個人の意見ではありますが、そのソフト路線が仮面のように見えてしまっていました。
実際に大統領選挙直前にドイツ・スペイン・ポルトガルの首脳が内政干渉とも言える異例の声明を発表し、マクロン指示を表明したことや、ウクライナのゼレンスキー首相が「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と発言したり、周囲の国々からもマクロン大統領を支持する声が上がっていました。
マクロン大統領が満点であるとも思えませんし、実際にマクロン大統領に投票した人のうちの42%は、マクロン大統領に投票したのは、とりあえず、マリン・ルペン氏を阻止するために投票したという数字も出てきています。
年齢層や地域によってもかなり大きく意見が分かれているようで、高齢者と若者には、比較的マクロンを支持するものが多いとか、中間の労働者層にはルペン支持がおおいなど、どちらに投票したかという分析がなされていて、自分の住む地域や周囲の人々がどんな意見を持っている人なのか? この大統領選挙は、そんなことを再確認する機会でもあったかもしれません。
しかし、ともかくも、フランス国内の状況だけでなく、世界との関係性においては、やはりマクロン大統領でよかったと思っています。
そんな世界の期待どおり、マクロン大統領は「我々は警戒を怠らず、ヨーロッパとして、同盟国として団結し、非欧州の地域大国を含むすべての大国と対話を続け、国連内で、ロシアに対して明確なメッセージを送るべきだと思う」と強調し、「しかし、同時にエスカレートしてはならない」と語りました。
「我々は停戦と平和のための努力を続けているが、特にロシア側のいかなるエスカレーションの試みにも屈することがあってはならない。」、ウクライナ・ブチャでの大量虐殺の痕跡と見られる映像が世界中に流れて以来、プーチン大統領との連絡が途絶えている中、早ければ今週中にも彼に電話する機会があるだろう」と語っています。
Le président russe Vladimir Poutine a adressé ses félicitations à son homologue français Emmanuel Macron réélu la veille, lui souhaitant du "succès" pour son nouveau mandat, en dépit des vives tensions liées à l'Ukraine, selon le Kremlin #AFP pic.twitter.com/DEKVKnDZc5
— Agence France-Presse (@afpfr) April 25, 2022
マクロン大統領再選に際して、EU・欧州連合をはじめとして、ドイツ、イギリス、アイルランド、スペイン、カナダ、ウクライナ、アメリカ、日本、オーストラリア、ニジェール等世界各国の首脳が祝辞を発表していますが、ロシアのプーチン大統領もマクロン大統領再選に際しての祝辞を発表。
プーチン大統領からは、「公務の成功とご健康を心よりお祈り申し上げます」というメッセージ。この戦渦の禍中の人として、このような他国の大統領選挙当選に祝辞を贈るような、常識的?なことを臆面もなくやるのも驚きですが、今、彼に健康を祈られるほど不気味な空恐ろしさを感じるものもありません。
どちらにしても、これは、一応、ロシア国内へのポーズをとっているものではないかと思われますが、これをマクロン大統領がどのような顔をして見ているのかは、想像に難くないところですが、これまでさんざんプーチン大統領と会談を重ねてきたマクロン大統領にとっては今さら何の感情も動かないことかもしれません。
いずれにしても、パンデミックも戦争も終息していない中、マクロン大統領の仕事は、これらを終息させることを中心に始まると思われますが、とりあえずは、自分の政策を進めるための組閣人事にとりかかる模様です。
再選が決まったばかりで気の早い話ではありますが、2008年の憲法改正以来、フランスの大統領は2期以上連続して就任することはできなくなっていますが、1期スキップした10年後には出馬することは可能などという話も出始めています。
彼は現在44歳、10年後でも54歳です。彼がそんなに何回も大統領の座に就くことが良いかどうかは別として、とにかく若いんだな・・とあらためて感心しているところです。
蛇足ですが、日本の首相としては54歳でも若い方だよな・・と思って調べたら、伊藤博文は44歳で首相になっていました。
マクロン大統領再選 フランス大統領選挙
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