2022年2月28日月曜日

国連(国際連合)は何のためにあるのか?

   

   

 基本的に普段、テレビはニュース番組くらいしか見ないのですが、そのニュースは、戦争のことばかりになってきて、ずっと戦争が日に日に緊迫状態になっていく様子を伝えています。

 かといって、現在、起こっていることを知らないのも不安なので、避けて通るわけにもいきませんが、あまりに悲惨な映像に心が疲弊していくのを感じます。

 映画やドラマは別として、以前にテレビから流れてくる映像を見て、涙を流してしまったのは東日本大震災の被害の映像で、とんでもない被害に遭っている被災地の人々が懸命に周囲の人々を思いやりながら、避難所での生活を送っている映像でした。

 あの時もフランスのテレビでも、延々と津波や震災の様子が流されていく映像や東北の人々が被災しながらも懸命に生きる姿が繰り返し報道されていました。

 パンデミックでロックダウンになった時は、1日中家に閉じ込められているものの、コロナウィルスのニュースばかりで、やはり精神的に参ってきてしまうので、テレビのニュースを見るのは、夜だけと決めていました。今もその習慣は続いています。

 そして、そのパンデミックも終わらないうちに、今度はまさかの戦争で、今回は、ウクライナで家が爆撃されて泣いている子供の映像を見て思わず涙し、パリに来て、はじめて、反戦デモ集会を覗きに行って、涙が止まらなくなって自分でも驚いてしまいました。

 ウクライナにいる人のことを考えれば、外から見ているだけで精神的疲弊してきた・・などと言っているのは申し訳ないのですが、どうしても回避できなかった戦争という事態に腹立たしさと悔しさとやるせなさを感じずにはいられないのです。

 現在、私が生きているこの世界の動向を知らずにはいられず、ひととおりニュースは目を通すようにしているのですが、そのニュースを見ながら、心を傷めているだけでなく、ちょっと思うこともあります。

 子供のようなことを言わせてもらえば、世界には、今回の戦争のきっかけともなったNATO(北大西洋条約機構)とか、国連(国際連合)とか、EU(欧州連合)とか、G7とか色々な組織があるにもかかわらず、戦争を防ぐことができないのは、なぜなのか?

 現在の国連(国際連合)は、第二次世界大戦を防ぐことができなかった国際連盟の反省を踏まえて発足されたものではなかったのか? NATOに至っては、戦争のきっかけにまでなっています。

 プーチン大統領が法外なことを起こしているのは、もちろんのこと、それを止められるはずの国際的な組織が機能していないのはおかしいのではないか?ということです。

 昔、日本で私が子供の頃に「こども電話相談室」というラジオ番組がありました。とてもシンプルで、時にはバカバカしいような質問に大人が真面目に答えてくれる番組でした。最近、こんな番組があったら、聞いてみたいな・・と思うことがあります。

 「人を殺してはいけないのに、戦争なら人を殺してもいいんですか?」と。

 先日、応戦しているウクライナの兵士が誇らしげに「今日は、これだけ、応戦できた!相手を倒した!」と取材に答えている様子を見て、国民を守るために戦っているのだから、当然といえば、当然なのですが、とても複雑な気持ちになりました。


国連、国際連合、NATO、EU、 G7


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2022年2月27日日曜日

3月からの日本への入国措置の緩和とウクライナからの日本帰国



 3月1日から日本の水際対策が緩和されるらしいという話は、以前から漠然とした形で伝わってきていましたが、正直、あまり期待していませんでした。

 海外からの入国をこれまでの1日あたり3,500人から5,000人に拡大すると漠然と言われても、それは、あまり具体的な話ではなかったからです。

 しかも、この数字には、日本人の帰国者も含まれており、依然として、外国人の訪日は、ほぼ不可能なまま、これが段階的な緩和の1ステップならば、一般的に外国人が日本に入国できる日は、まだまだ遠い話です。

 ちなみに2019年の訪日外国人数は3,188万人強、単純に日割り計算すると1日91万人が日本を訪れていたのですから、3,500人が5,000人になったところで、あまり変化がある感じは受けません。

 とりあえず、フランスから日本へ入国する日本人というカテゴリーの私の場合は、ワクチン接種が3回済んでいる場合には、強制隔離施設での隔離が撤廃され(ワクチン未接種の場合は、強制隔離施設3日間隔離+4日間自主隔離)、7日間隔離。到着から3日後に自主的に検査をして陰性の場合は、3日間で隔離終了。

 到着日に陰性の場合は24時間以内の移動に関しては、公共交通機関使用が可能ということになりました。日本到着後、24時間以内なら公共交通機関が使えるようになっただけでも、だいぶハードルが下がります。

 なお、ワクチン接種が不可能な年齢の子供に関しては、帯同する保護者のワクチン接種状況に準ずる措置が求められます。

 とはいえ、今となっては、フランスよりも感染者数も死亡者数も多くなってしまっている日本に入国するのに、検査して陰性となっている人の入国にここまでする意味がわかりません。

 日本入国後の隔離以前に、日本入国のために必要な様々な書類を揃えるのは、なかなかな作業ですが、これは、まあ仕方がないかもしれません。

 しかし、ふと、戦争が始まったウクライナにいる日本人は、どうするのだろうか?と思い、在ウクライナ日本大使館のサイトを見ると、「ウクライナに滞在中の方は直ちに安全な方法で退避してください」とあるにもかかわらず、「ウクライナから日本に帰国する際に取っていただく主な措置(日本の水際対策)」とあります。

「新型コロナウィルスの有効な検査証明書の提示」とあり、ウクライナ出国前72時間以内に受検し、所定のフォーマット(日本語版・英語版・ウクライナ語版)記入の検査証明書を受領し、携行してください」となっています。

 注意書きとして、ウクライナのワクチン接種証明書も一定の条件を満たしていれば有効としながらも(一定の条件の詳細はこちら)というサイトは「ファイルが削除されているか、存在しないサイトです」と表示されます。

 世界中が見守っている戦場と化した現在のウクライナで、情報も得られずに、検査を受け、このような書類が揃えられるとは思えません。

 だいたい、もし検査が受けられたとしても、陽性だった場合は、戦争している国にとどまれということなのでしょうか?

 現在のウクライナの戦渦にこのようなことを求める非情さ、もしも、この在ウクライナ日本大使館のサイトが間違いでないのなら、戦争が起こっている国にいる邦人を見捨てているも同然です。

 この非常時に、四角四面というか、融通が効かないというか、温かみがないというか、日本入国のための書類が揃うまででも、なんなら、ウクライナ在住邦人に関しては、大使館内に一先ず避難させてくれても良いのではないか?とも思うのです。

 戦争が1日も早く終わってくれることを祈るとともに、日本の対応も、もう少し柔軟であってほしいと願っています。


日本入国措置緩和 ウクライナから日本への入国


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2022年2月26日土曜日

戦争づくめの報道とウクライナカラーになっているエッフェル塔

   

 


 ウクライナでの戦争が始まって、フランスのニュースは再び、戦争一色になりました。現実に今、ミサイルが飛んでいる様子や、泣き叫びながら避難する人々、別れ別れになってしまった家族を探す人々、破壊され燃え続ける建物、メトロの駅の構内に避難している人々・・テレビからも、見ているのも辛くなるような映像ばかりが流され続けています。

 ついこの前まで・・というより、現在進行形で、コロナウィルスのために失われようとする命をどの国も必死で救おうとしていた・・今もしているというのに、人間が人間を殺そうとしていることに底知れない恐ろしさを感じます。

 話し合うことによって解決する道を退け、戦争という暴力で押し切ろうとすることが、私はどうしても理解できません。

 戦争を始めたロシアでさえも、国民全員が戦争をしたいわけではなく、ロシア国内各地でも「戦争反対」のデモが起こっているというのに、モスクワ当局は、「新型コロナウィルスの感染拡大」を理由に、いかなる形式のデモも禁止し、24日夜までに53都市で1,667人の身柄を拘束したと伝えられています。

 ロシアは、これまでに既に、コロナウィルスによる犠牲者を35万人近くも出しているのです。このうえ、戦争とは、国民とて、賛成するわけがありません。

 フランスに来てからは、何かにつけては、すぐにデモが起こり、パンデミック禍中においても、最初の完全なロックダウン以降は、ずっと、なにかしらのデモは続いているフランスに「どうしようもない・・」と思うことも度々ありましたが、最近は、デモも時には必要なこともあると思うようになりました。

 時には、あまりに過激化するデモに警察ばかりでなく、憲兵隊や軍隊までが出動することもあるフランスですが、「いかなるデモも禁止する」などという状態がフランスにはあり得ないことが、現在のロシアの状態を見ると、あながち間違いではないのかもしれないとさえ思ってしまいます。

 ロシアのような国の状態がフランスに起こるとは考えづらい(起こってほしくない)ことではありますが、もしも、何か、フランス政府が非道な方向に進もうとすれば、戦争より先に、国内での暴動が大変なことになるはずです。

 それを「新型コロナウィルスの感染拡大」などと空々しい理由に、いかなる形式のデモも禁止するなど、感染拡大を理由にするなら、戦争は感染拡大にならないのか!と子供のようなことを言いたくなります。

 マクロン大統領がプーチン大統領と会談のためにモスクワを訪れた際にも「新型コロナウィルスの感染対策」を理由に、対面距離を遠ざけたプーチン大統領です。

 海外諸国の対話にもまともには応じず、国民の声にも耳を貸さず、あまりにも強行な戦争を一方的な理屈だけを推し通すロシアは、どこへ行こうとしているのでしょうか?

 ロシア国内で戦争反対の声が上げられない分も「なにがあっても、戦争はしてはならない、人を殺すことは許されない」「戦争反対」の声を世界中で上げ続けなければなりません。

 フランスは、ウクライナとの連帯の証として、3日間の予定でエッフェル塔のイルミネーションをウクライナカラーで点灯させています。


ウクライナ戦争 エッフェル塔ウクライナカラー


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2022年2月25日金曜日

フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la République

   


 昨日、フランス時間の午前6時にロシアのウクライナへの襲撃が本格的に開始され、ウクライナはもちろんのこと、フランスでも大騒ぎになっています。

 日本にも首相動静という、8時27分、官邸。48分、国会。50分、参院第1委員会室。9時2分、参院予算委員会、11時58分、官邸・・など首相の動向を分刻みで追う報道がありますが、分刻みの報道ではありませんが、フランスにも、共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la Républiqueというサイトがあり、その日、1日の大統領の主な動向が、要件によっては、その内容とともにエリゼ宮が発表しているサイトがあります。

 このところ、マクロン大統領は、2月7日のモスクワ訪問でのプーチン大統領との直接会談を前後して、常にウクライナ、ロシア、アメリカやヨーロッパのそれぞれの国との対話を続けてきました。

 2月に入ってからのマクロン大統領の日程を見ると、実に頻繁に、このウクライナ問題の主人公とも言える各国首脳と電話会談をしていることがわかります。

 マクロン大統領がプーチン大統領とバイデン大統領の会談を提案し、双方がこの会談に合意したと発表されていた数時間後、ロシアのプーチン大統領は、21日の夜、テレビで、ウクライナ東部のドンバスにある2つの分離主義者の領土を認めると発表しました。マクロン大統領はプーチン大統領に対する「失望感」をあらわにしています。

 マクロン大統領のアジャンダによると、

20日 11:00〜、 13:00〜 プーチン大統領と電話会談

    17:30 ドイツ ショルツ首相と電話会談

    20:30 ボリス・ジョンソンイギリス首相と電話会談

          21:45 ジョー・バイデン大統領と電話会談

          23:00 プーチン ロシア大統領と電話会談


21日 16:15 プーチン大統領と電話会談

          17:20 ゼレンスキー ウクライナ大統領と電話会談

          17:40 ドイツ ショルツ首相と電話会談

          18:00 シャルル・ミッシェル欧州理事会議長と電話会談

          18:20 ウルスラ・ヴォン・ダー・ライエン欧州委員会委員長と面会

          19:00 国防・国家安全保障会議 ウクライナ東部の分離主義地域を承認する決定を非難  

          21:00 ジョー・バイデン大統領アメリカ合衆国大統領と電話会談

       ドイツ ショルツ首相と電話会談

・・・そして、23日夜、21:30にゼレンスキー ウクライナ大統領と電話会談をしています。

 それからまもなく、翌朝6:00には、ロシアがウクライナへの攻撃を本格的に開始、8:00には、再び、ゼレンスキー大統領と電話会談、9:00には、ウクライナ情勢に関する国防会議を招集し、13:30 フランス国民に向けてメッセージを発信しています。



 そして、15:00 G7首脳によるビデオ会議

       20:00 ウクライナ情勢に関する欧州理事会臨時会合

 時々、ニュースに目を通すだけでも、一体、マクロン大統領の1日はどうなっているんだろうか? 一体、彼はいつ寝ているのだろうか? この目まぐるしいスケジュールの中、いつも健康でしゃんとして、眠れないとか・・そんなことはないのだろうか?などと下世話なことを思いながら、この大統領のアジャンダを覗いてみたのです。

 大統領選挙公示の締切(3月4日)が目前に迫る中、マクロン大統領は、正式に立候補を宣言する間もないのですが、彼の出馬は公然の事実。立候補を表明していなくても、今、大統領候補の中で最もヨーロッパをフランスを守ることができる人物であるという認識が広まりつつあります。

 実際に、ヨーロッパの各首脳とも、アメリカ大統領とも、ウクライナ大統領や、そしてプーチン大統領とも電話とはいえ、直接、話をすることができる人は、フランス大統領候補だけでなく、諸外国の中にも彼以外には、見当たらないのです。

 マクロン大統領は、国民に宛てたメッセージの中で「この戦争行為は、私たちの生活に深く、永続的な影響を及ぼす」「国連憲章にも欧州や世界の秩序の土台となる原理原則をも踏み躙るものである」と訴えています。

 なんだか、今回は、マクロン大統領のキャンペーンのようになってしまいましたが、あまりに忙しそうなマクロン大統領の1日って見てみたい・・と思って覗いてみたことがきっかけの野次馬根性からマクロン大統領の最近の動向を追ってみた次第です。


ウクライナ問題 マクロン大統領


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2022年2月24日木曜日

パリ16区での日本人が首を絞められる強盗事件発生

   


 在仏日本大使館から、「最近、在留邦人の方が、夜10時ごろ、パリ市内16区(メトロ10番線のミラボー駅付近)の路上(AVENUE DE VERSAILLES)を徒歩で移動中、近寄ってきた複数の男に首を絞められ、その間に所持品を奪われる強盗被害が発生し、被害者の方は、すぐに警察に被害届を提出するとともに、大使館の方にも連絡をいただきました」という注意喚起のメールが届きました。

 パリ16区といえば、パリの中でも高級住宅街として有名な地域。一見、治安は良さそうな気もしがちですが、お金を持っている人が多いということで、逆に狙われる地域でもあるという印象もあります。

 以前、パリ16区に住む知人が運転中、信号で車を停車した際に、突然、男が押し入ってきて、座席においていたバッグを奪い取られた知人がいました。運転中、不覚にもドアをロックしていなかったのです。

 今回の被害者は首を絞められて襲われたということで、金品を奪われた以上に、その恐怖はいかばかりのものであったかと恐ろしいばかりです。人生のうちで首を絞められる経験をしたことがある人など、そんなにいるものではありません。

 夜道、いきなり数名の男に囲まれたら、もう何も抵抗はできないし、むしろ、犯人がナイフなどの凶器を使わなかったことが救いであった気さえしてしまいます。

 私は16区に住んでいるわけではありませんが、日中、パリ市内のいつもは平和そのものの場所でいきなり男の人が近づいてきて、金のネックレスを引きちぎられたことがありました。大男が異様な目つきでいきなり近付いてきたその時の恐怖は今でも忘れることができません。

 暴力を振るわれたわけではなかったけれど、怖くて声を上げることもできませんでした。本当に恐怖にかられた時は、思わず、絶句してしまい、簡単に大声なんて出ないものです。恐ろしい目に遭った時、大声で叫ぶのは、訓練していないとできないかな?などと、へんなことを考えました。はっきり言えば、ネックレスを取られたのもショックではありましたが、それ以上に恐怖心が強く、それ以来、たとえ日中であっても、目立つネックレスをして出かけるのはやめています。

 ブランド物のバッグ等もまさにそれとわかるようなものは、決してパリでは持ち歩きません。

 また、私の同僚(若い中国人の女性)が、パリのメトロの駅付近で帰宅途中(夕方)、ボコボコに顔を殴られて、バッグを奪われたこともありました。また、別の知人は、バイクの二人乗りの男に後ろからつけられ、バッグをひったくられた者もいます。

 今回の首絞め強盗事件には、今のところ、フランスの一般のマスコミでは報道されていませんが、首を絞められるという手口は初めて聞いたことではあるものの、暴力によって金品を奪われる強盗事件は、特別にニュースとしてとりあげられるものではないほど、一般的なものであるのかもしれません。

 昨年、パリ17区で日本人が塩酸を顔にかけられるという傷害事件が発生し、それは、強盗事件ではなく、コロナ発生以来、エスカレートしていたアジア人をターゲットにした「アジア人狩り」とも言われる嫌がらせかもしれないとも言われていました。

 その時の事件は、フランスの新聞でも、一部、報道されたことから、17区の市長が「あれは、特別アジア人を攻撃したものではない。被害者本人が軽傷であるため、警察に訴えることを望んでいない。警察は捜査を続ける。」とコメントを発表したものの(犯人もつかまっていないのになぜ?そんなことがわかるのか?とおもったけど)、結局、被害者が被害届を提出しなかったことから、事件は風化してしまいました。

 今回の事件は被害者は警察に被害届を提出したようですが、強盗事件が日常茶飯事のように起こるパリで、警察が本格的に捜査にあたるとも考えづらく、はっきりしていることは、パリでは常に気を張って、目立たないように暮らさなければならないということです。

 フランス内務省の発表によれば、2021年第4半期(10月〜12月)の強盗件数は、10万件を超えているということで、先ほどのニュースでは、車の盗難事件の話をしており、フランスでは4分に1台の割合で車の盗難事件が起こっているそうです。


 パリで特に危険とされているのは、パリ北部の地域ですが、パリ16区は、昨年4月に死亡者も出る銃撃事件が起こっています。総じて言えば、パリに安全な地域はないということです。

 日々、起こる事件は時が経ち、風化していつの間にか忘れてしまいますが、こうして思い返してみると、身近なところでも色々な事件が両手にあまるほど起きてきて、今までよく無事でいられたものだ・・とも思うのです。

 これまで12月は犯罪が多いと思ってきましたし、実際、そうだとは思いますが、偶然にも、前回、日本人が塩酸を顔にかけられた事件が起こったのも2月、暴力的な事件は2月なのかもしれないと考えたりもしているのです。


パリ16区日本人首絞め強盗事件


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2022年2月23日水曜日

コマーシャルセンターの衰退

 

閉店のための在庫処分セール中のDARTY


 昨日、突然、湯沸かしポットが壊れてしまったので、近所にあるコマーシャルセンターにあるダーティー(DARTY)という家電製品のお店に行きました。我が家の電化製品のほとんどは、このDARTYで買ったもので、ある日、突然、故障して使い物にならなくなってしまう電化製品をすぐに急いで調達したいとなると、すぐに歩いて行ける近所のDARTYに駆け込んで買ってしまうことが多かったのです。

 そんなに頻繁に足を運ぶわけではないけれど、近くにあってくれれば、とりあえず安心できる・・そんなお店の一つでもありました。

 ところが、久しぶりに行ってみると、何やらお店の中の様子がいつもとは違い、何やら雑然とした様子。店内の一部にはつい立てがたてられ、商品の配置もごちゃごちゃしていて、最初は「改装中?」と思いましたが、お目当ての湯沸かしポットの姿はなく、たいていの電化製品ならひととおりはあるはずのお店でこれは一体どうしたことか?と思って、あらためて店内を見渡すと、積み上げられた商品のほとんどには、「在庫処分」の札が・・。

 フランスとて、どんどん変わる電化製品、詳しい商品の説明を聞きたくても、店員さんを捕まえるのがいつも大変なこのお店、(しかも捕まえたところで、まともに説明してくれる人にあたる確率も低い)、ようやくお店の人を捕まえて湯沸かしポットありますか?と聞くと、「もうありません」という回答。

 「このお店、改装中なの?」と聞くと、まさかの3月半ばに閉店とのこと。

 我が家の近所のコマーシャルセンターは、コマーシャルセンターとしては、中規模のもので、それでもワンフロアーに20店舗くらい入るスペースの3階建て(日本でいう4階建て)のもの。

 パンデミックの前から、雲行きはあやしい感じではありましたが、ロックダウンや感染対策の店舗の営業制限などから、いよいよ、一つ、また一つとテナントが減っていきました。

 私が今のアパートに引っ越してきた頃は、コマーシャルセンターはお店も満杯で、テナントに空きなどありませんでした。フランス人なら誰もが知っているような大手のファッションメーカーや子供服専用店などが何店舗も入り、メガネ屋さん2店舗、携帯などの通信機器の店舗、書籍、CD、DVD、文房具などを扱っているバージンメガストアーや、マクドナルドなどのファストフード、パン屋さんのPAULなどは2店舗もありました。

 それが大手チェーン展開をしている店舗はマクドナルドの閉店を皮切りにどんどん閉店していきました。かろうじて、スーパーマーケットのカーフールは存続していますが、それでさえも以前は2フロアにわたり、何から何まで揃っている感じであったものが1フロアに縮小されています。

 客足に翳りが見え始めて撤退する店舗が出始めることで、ますます客足が減少し、客足も減少していくから、さらに売上も減少し、次々と撤退する・・コマーシャルセンターの悪循環というのは、こういうものなのだということをまざまざと見せつけられている感じです。

 しかも、絶対に潰れはしないと思われる大手の店舗がこぞって撤退していくのには、ちょっと唖然とさせられます。しかし、大所帯を抱える大手のチェーン店舗だからこそ、不用な店舗は撤廃していくのは当然のこと。

 パンデミックによるロックダウン生活で、ますますネットショッピングは拡大し、店舗を構えること自体がリスキーなことになっているのかもしれません。

 明らかにこのコマーシャルセンターの衰退にアクセルをかけたのは、パンデミックによるロックダウン、営業停止によるもので、そうでなければ、ここまで急激に衰退することはなかったと思います。目に見えるパンデミックによる経済的な打撃は、私のごくごく身近なところにもあらわれています。

 「どんどんコマーシャルセンター内の店舗が減っていく・・」とショックを受けている私ではありますが、考えてみれば、利用しているのは、スーパーマーケット(カーフール)と薬局、それに、年に1回行くか行かないかのDARTY(電化製品)のみ。

 DARTYでさえも、すでにフナック(fnac)(同じく電化製品を中心に書籍や文化的な製品などの広範囲の製品を扱うチェーン展開のお店)に買収されており、店舗数は縮小されていく方向に向かうのは、当然のこと。集約できないコマーシャルセンターは致命的です。

 人の流れというのは、正直なもので、人が集まるところには、行列ができるようなお店もある中、どう考えても、このままではこのコマーシャルセンターは、たち行かなくなります。

 今、パリで行列のできているお店と言えば、すぐに思い浮かぶのは、人気のラーメン屋さんなどで、この際、ここが、和食屋さんやアジア食材を扱うフードコートのようなものになってくれないものか?などと、悔し紛れに思っているのです。


コマーシャルセンターの衰退


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2022年2月22日火曜日

プーチン大統領の演説にフランスの大統領選挙報道が吹っ飛んだ!

  


 プーチン大統領がロシア国民に向けてテレビ公開で演説を行うというニュースに、ここのところ、ウクライナ問題には、かなり注目しつつも、フランスの大統領選挙のニュースが中心になっていた大統領選のニュースが、昨夜はこのプーチン大統領の演説に吹き飛ばされた感じでした。

 このプーチン大統領の演説をエリゼ宮は政府首脳を集めて見守りました。

 これまで、「戦争回避のために」奔走していたマクロン大統領の努力も虚しく、プーチン大統領は、「ウクライナの親ロシア派分離主義者の独立を認める」と発表、また、「ウクライナはロシアにつながるすべてを放棄して国家を築いた」と述べ、「腐敗と民族主義のために国は本当に形成されてはいない」、「また、ウクライナを「傀儡政権」(名目上は独立しているが、実態では事実上の支配者である外部の国家によって管理・統制・指揮されている)と説明した。彼ははまた、ウクライナの指導者が自国内で行っている「テロ政策」を非難しました。


 

 クレムリンのトップは、親ロシア派の分離主義者と「友好・相互援助協定」を締結し、仰々しくサインする模様が中継されました。

 これは、ロシア国民向けという名目でありながら、全世界に向けての発信です。

 このプーチン大統領の宣言は、マクロン大統領の仲介で、アメリカとロシアとの首脳会談が現実化しようとしていた中、プーチン大統領の先制攻撃であったに違いありません。アメリカとの首脳会談に合意したと言いつつ、話し合いを避け、戦争をも厭わない態度です。明らかに喧嘩を売っている感じです。

 ロシアは、コロナウィルスにより、すでに35万人近い犠牲者を出しています。このうえ、さらに犠牲者を出すことが明白な戦争をも厭わない態度には、閉口してしまいます。

 ロシアの大統領の発表をフランス政府首脳が集まって見守るという、異常な状態に、フランスのマスコミ記者もエリゼ宮を囲み、逐一、動向を伝えるほど緊迫していました。

 おそらく、ヨーロッパ諸国やアメリカも同様の姿勢であったに違いありません。

 イギリスのボリス・ジョンソン首相は、記者会見で、「親ロシア派地域の独立は、ウクライナの主権に対する明白な侵害であり、ミンスク和平合意の否認である」と糾弾、「ウクライナ情勢にとって「悪い前兆」である」と述べました。

 マクロン大統領は、エリゼ宮で国防・安全保障会議を招集し、EUは「断固」として対応し、「国際法の明白な違反」を糾弾すると発表しました。

 結局のところ、プーチン大統領には、他の欧米諸国との話し合いの意思はなく、これまでのマクロン大統領をはじめとする各国の首脳との会談にも一応は応対したものの、あくまでも一方通行であり、話を聞くふりはしていたものの、話し合いには応じておらず、自らのシナリオを推し進めている模様です。

 「宣戦布告」とも思えるプーチン大統領の発信に、おそらくフランスだけではないと思いますが、とりあえず、フランスは大騒ぎ。よもや、戦争か?という危機感が感じられます。

 マクロン大統領が就任してからというもの、大掛かりな「黄色いベスト運動」、「コロナウィルスによるパンデミック」と続き、今度は「ウクライナ×ロシア問題による、よもや戦争?」という状態。

 プーチン大統領はもちろんのこと、マクロン大統領もおそらく大きく歴史に名を残す大統領になるだろうな・・と、私はそんなことを考えていました。

 マクロン大統領は、次期、大統領選挙の出馬を正式に表明してはいないうちに、この騒ぎ。出馬届出の期限は3月4日。ギリギリまで表明しないのは、もともとの彼の大統領選挙戦の戦略で全ての準備は整っているものと思われますが、ここまでギリギリになり、まさか本当の戦争が立ちはだかることになろうとは、彼の想定外であったに違いありません。


プーチン大統領東部独立承認 国際法違反 宣戦布告


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2022年2月21日月曜日

マクロン大統領とプーチン大統領の電話会談の内容 ウクライナ問題の行方

  


 マクロン大統領とプーチン大統領は、1時間45分にわたる電話会談の結果、「停戦に向けた努力」、「現在の危機に対して外交的解決を優先し、すべての関係者から接触線上の停戦約束を得ることを目的とした3カ国接触グループの会合が数時間以内に開催できるよう集中的に取り組む」ことで合意したと、エリゼ宮(フランス)とクレムリン(ロシア)の双方が発表しました。


 

 また、フランス大統領府は、この電話会談の合意により、ジャン・イヴ・ルドリアン外相が数日間のうちに、ロシア側のセルゲイ・ラブロフ氏に会うと明言しています。

 そして、ウクライナの要請により(ウクライナは「即時停戦」を要求している)、欧州安全保障協力機構(Organisation for Security and Co-operation in Europe)は月曜日に常任理事会を開催し、危機の解決策を見出すための会議を開催することになりました。OSCEの監視員によると、ここ数日、親ロシア派の反政府勢力とウクライナ軍の戦闘が増加し、迫撃砲や大砲による攻撃が数百回行われたといいます。

 クレムリンは、2月10日から軍事演習のためにベラルーシに滞在している約3万人(米国調べ)のロシア軍を、日曜日の演習終了時に撤退させると発表しており、エリゼ宮によると、プーチン大統領は電話会談で、ベラルーシから「現在の演習の終了時に」軍隊を撤退させる意向をマクロン大統領に確約したと言われていますが、フランス大統領府は、「これらすべてを検証する必要があり、少し時間がかかるかもしれない」とも述べています。

 この両大統領府の発表にもかかわらず、世界の緊張状態は全く緩む兆しはありません。それだけ、プーチン大統領が油断ならない存在であると誰もが認識しているということでもあり、また、今や、多くの国を巻き込んだ状態から、些細なきっかけで一触即発の状態になりかねない事態であるということです。

 かねてよりのアメリカからの戦闘体制とも、威嚇とも思える発信はもちろんのこと、イギリスのボリス・ジョンソン首相はBBCとのインタビューで、ロシアが「1945年以来ヨーロッパで最大の戦争になるかもしれない」準備をしていると述べています。

 しかし、不思議なことに、当のウクライナとロシア、ロシアとアメリカは、話し合いをしている様子が聞こえてきません。

 ウクライナの大統領ウォルディミル・ゼレンスキーは、マクロン大統領との電話会談で、モスクワが支援する反政府勢力の「挑発的な砲撃」を非難し、プーチン大統領はこの砲撃の発生をウクライナの「挑発行為」のせいだと非難しています。

 これでは、マクロン大統領も子供の喧嘩の仲裁をしているようなところもあります。

 ここへ来て、ジョー・バイデン米大統領は、ロシア側と「いつでも、どんな形式でも、会う用意がある」と述べ、国務長官はCNNに対し、「戦車が本当に動き出し、飛行機が空を飛ぶまで外交ルートはまだ可能である」ことを再確認しています。

 しかし、アメリカとロシアの話し合いが必ずしも平和をもたらすどころか、最悪の結果をもたらすきっかけにもなりかねません。

 そんな懸念も感じているのか、バイデン大統領は、ロシア側と会う用意があると同時にマクロン大統領と話す必要があると述べています。

 マクロン大統領は、イギリスのボリス・ジョンソン首相とも電話会談を行い、今後数日間、外交の道を開き、優勢を保つためにあらゆる適切な行動をとるということを確認しています。

 マクロン大統領は、アメリカとロシアの首脳会談を提案し、日程調整ののち、この会談が実現されるものとみられています。

 今回のマクロン大統領の仲裁は、大統領選挙のための点数稼ぎという見方をしている人々もいますが、それにしても、あまりに荷が重い選挙活動に違いありません。


マクロンとプーチン 電話会談 ウクライナ問題


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2022年2月20日日曜日

フランス政府 ウクライナへの渡航回避から在ウクライナ フランス国民避難勧告と航空会社の対応

  


 緊迫状態が続くウクライナ問題に関して、これまでフランス政府は、「ウクライナへの渡航はすべて延期し、回避するように」と勧告するにとどまっていました。

 しかし、昨日(2月19日)、フランス外務省は、ウクライナ東部の最も危険な地域、「ハリコフ州、ルハンスク州、ドネツク州」およびドニプロペトロフスク州にいるフランス国民に対し、「直ちに退避する旨の避難勧告」を発令、同国東部の最も戦争の危険性が高い地域にいる人々に対して「遅滞なく」脱出するよう呼びかけています。

 これは、ロシアの攻撃への懸念が熱を帯びる中、フランスが単なる渡航回避勧告からウクライナに在住するフランス国民の退避勧告は、この緊張がさらに高まっていることを表しています。

 同日、ウクライナ東部の最前線を移動中だったデニー・モナスティルシキー内相及び政府関係者の近くで迫撃弾が爆発、この襲撃で、少なくとも2人のウクライナ人兵士が死亡、4人が負傷しています。

 ロシアからウクライナへの襲撃は、ドネツクで591回、ルハンスクで975回も確認されているようですが、今回のこの襲撃は、ロシア側の「停戦違反」の最も象徴的な出来事として、多くの国の非難の対象となっていると同時に危機感を一層、煽られる結果となっています。

 先んじて、すでに全ての国民に対して避難勧告を発令していたドイツも「緊急に」「遅滞なく」出国することを呼びかけ、ドイツの航空会社ルフトハンザは、21日から2月末まで、キエフとオデッサ(ウクライナの地域)への定期便を運休すると発表しました。


 つまり、ドイツは20日までに避難するように勧告しているということです。これは、北京オリンピックの閉会式の日程とも重なっています。

 これに対し、フランスの航空会社エールフランスは、当面の間、フライトを維持するとしています。これは、ギリギリまで粘り、退避しようとする国民を守ろうとするフランスの姿勢が感じられます。

 このルフトハンザとエールフランスのとりあえずの対応に、私は、オミクロン株が流行し始めた頃に、日本がただちに、日本国民さえ締め出す結果になる国際便の新規予約を停止した(その後、すぐに条件つきで解除されましたが・・)ことを思い出し、もしも、これが日本であったなら、どちらかといえば、日本はドイツに近いのではないだろうか?と思ったりもしました。

 EU(欧州連合)は、依然として、戦争回避のために、手を差し延べ続けると同時に、あらゆるシナリオに対応可能なウクライナを支援することを目的としたウクライナへの人道支援物資の搬入を調整しています。

 また、ウクライナの大統領ウォルディミル・ゼレンスキーは、ミュンヘン安全保障会議での演説で、欧米諸国に対し、ロシアへの宥和(ゆうわ)政策をやめるように求め、自国のNATO加盟について「明確かつ達成可能な」タイムテーブルを要求しています。

 マクロン大統領は、19日にウクライナ大統領との電話会談の後、20日、再び、プーチン大統領と会談する予定になっています。この電話会談は、フランス大統領府が「最悪の事態を避けるための話し合い」に言及したものだ発表しています。

 結果的にあまり効果が見られなかった、5時間にも及ぶマクロン大統領とプーチン大統領の直接会談から、マクロン大統領は、なんらかの方策を見出しているのでしょうか?


在ウクライナ フランス国民非難勧告 エールフランス ルフトハンザ


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2022年2月19日土曜日

3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準

 


 すでに数日前から話題に上がっている「屋内でのマスク着用義務の撤廃」について、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、マスク撤廃に踏み切る具体的な基準値を発表しました。

 ワクチンパスの施行とともに始まった感染対策規制の緩和は、1週間後には、屋外でのマスク着用義務化とリモートワークの義務化が撤廃され、さらに、つい先日、ディスコやナイトクラブが再開され、カフェやバーでの立ち飲みの解禁と着々と進められてきました。

 フランスの感染状況は、劇的に改善し始め、1ヶ月前には、40万人を超えていた1日の新規感染者数も10万人を切り、現在は、8万人前後になりました。病院の集中治療室の占拠状態も非常に緩やかではありますが、減少し始め、一時は4,000人近かった集中治療室の患者数も3,000人を切り2,970人までになっています。

 この状況を受け、フランス政府は、3月中旬には「屋内でのマスク義務化」を撤廃できるかもしれない・・と言い始めていたのですが、今回は、コロナウィルスによる集中治療室の患者数が1,500人以下になったら・・」という、より具体的な数字をマスク撤廃の条件として発表したのです。

 元来は、大のマスク嫌いのフランス人にとって、これは朗報に違いありません。

 オリヴィエ・ヴェランは、「この3月中旬というタイミングは、決して無作為に選択された日程ではなく、現在の感染の減少の状況とリズムをもとに考慮されたものであり、無駄に過剰な目標を設定するのは意味がない」と説明しています。

 屋外でのマスク義務化が撤廃された後も、屋外でもマスクを着用している人が意外と多いことなども、現在の感染減少を後押ししているような気もします。

 彼は、「今後もウイルスはできるだけ循環させないようにしなければならないが、発症率は毎週ほぼ半減しており、このままの状態が続けば、4週間後には極めて低い発症率に戻り、流行が再燃するリスクを負うことなく、最後の手段を講じることができる」と述べています。

 これまで、フランスは、数ヶ月間にわたって、15日単位で段階的に感染対策を解除してきており、この段階的な対応は、感染にブレーキをかける対策の解除による悪影響がないことを確認するために必要な時間であったし、今後もそれだけの時間をかける必要があるということを説明しているのです。

 3月中旬の屋内でのマスク着用義務化撤廃には、病院が通常通り運営されていること、ウイルスの流行が非常に弱いことを条件にしています。

 そして、さらに次の段階では、ワクチンパスの解除が検討されるのですが、このワクチンパスの解除に関しても、一気に全廃という形をとらずに、特定の感染リスクの高い場所を最後まで残しつつ解除するという、もう一段階のステップを検討中のようです。

 いずれにしても、本当に一時は、ちょっと外出するだけでも、すぐに感染者追跡アプリのアラームが点灯し、「あなたは、感染者と接触しています。ただちに検査を行い、陽性の場合は、隔離してください」というメッセージが入り、その度にドキドキしながら検査に行くことを考えると、外出するのもちょっとウンザリしていたことを思えば、現在の感染状況の劇的な改善はうそみたいです。

 この現在の感染減少の状況がブースター接種によるものなのか?もしくは、もうひととおりの人々が感染して免疫を得たためなのかはわかりませんが、屋内マスクが撤廃されるという事実よりも、それだけ自由が戻ってくるという意味では、私にとっても嬉しい状況です。

 今や過去の映画などの映像を見ていても、マスクをしていない群衆などを見ると、思わずギョッとしてしまう奇妙な自分を発見したりもするのですが、一方、一部のメトロの駅や電車の中では、思わず「マスクがあってよかった・・」別の意味でマスクに助けられる(アンモニア臭など、あまりに匂いがキツいため・・)という場所もあるのが、パリでもあります。

 政府が屋内でのマスク義務化を撤廃しても、しばらくは、私は、やっぱり怖くてマスクをすぐには外せないような気がしています。そして、「やっぱり日本人は・・」などと言われるかもな・・と、そんなことまで考えています。


屋内でのマスク義務化撤廃


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2022年2月18日金曜日

2024年に延期されたパリ中心部の自動車交通規制 

   


 2022年半ばまでに、パリ中心部に「交通規制区域」を導入するとパリ市長アンヌ・イダルゴが発表したのは、2021年5月のことでした。この計画で、パリの中心地(1~4区とサンジェルマン大通りとセーヌ川の間に位置する5、6、7区の一部)において、現在の交通量の50%を占める通過交通を禁止することにより、車の交通量を劇的に減らすことを目標にしていました。

 しかし、この計画は、ある一定の人々には、熱狂的に支持されたものの、彼女が想像していた以上に困難が立ちはだかり、パリ市は交通規制区域設定前に、警察と、一般市民に加え、交通機関、小売店、デパートなどが参加公開質問に準じた影響調査を実施しなければならず、この計画を2024年のパリオリンピックの前の2024年初頭までに延長することを発表しました。

 パリ市は、この「交通規制区域」を「静穏化ゾーン」と改名し、あらためて、パリ1〜4区と5、6、7区の一部を対象とするこのゾーンでは、通過交通(停車せずに通過する車両)をなくすことを発表しています。

  



 パリ市は、この区域を住民、商店主、移動に不自由のある人、この地域で働く従業員、緊急車両、バス、自転車、タクシー、VTC、カーシェアリング車両など通行できる特定のカテゴリーを設定し、ランダムチェックを実施する予定の他、カメラで住民のナンバープレートを読み取るなど、自動チェックも可能なシステムを検討しています。

 だいたい狭いパリの街のさらに限られた中心地域、車で出かけようものなら、駐車スペースを確保するのも、駐車料金を考えるのも、さらには、駐車した車が破壊されたり、盗難にあったりするリスクが高いことを考えれば、メトロやバスの交通網が網羅したこの地域へ車で出かけること自体が私には、考えられないことですが、かといって、車に慣れ切った人から上がる反対の声を鎮める具体的な調査とその結果を提示することが想像以上に時間がかかる模様です。

 もともと、このパリ中心部の自動車交通規制は、パリ市長選挙における大きな目玉施策の一つでもありました。このプロジェクトは自動車に対する行動の象徴的なものでもあり、特に右派からは批判が多く、専門家の中には、規制区域の外側に大量の交通量が移動し、そのために新たな交通渋滞が発生したり、公害が移動したりすることや経済に影響を及ぼす危惧も指摘されています。

 いずれにせよ、2024年のパリオリンピックは、様々な面での一区切りになっており、パリは、このオリンピックという一大イベント前までに、生活の質を向上させるためのイノベーションを起こしています。

 しかし、このようなイノベーションを起こそうとするたびに、「私たちには、運転する権利がある!交通手段を選ぶ権利がある!友人に会う権利がある!人と語り合う権利がある!」などなど、権利を主張する人がたちまち溢れかえるのもフランスです。

 フランス人が何かに一致団結した時のチカラには凄まじいものがありますが、果たしてパリオリンピックがこれを推進するためのきっかけになるかどうか、どうやって、このプロジェクトを推進させていくのかは、興味深く見守りたいことでもあります。


2024年パリ中心部自動車交通規制


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2022年2月17日木曜日

マリアンヌの切手の買い置きとパリでの戦闘体制の日々

   


 私は、かつて、常に切手の買い置きをしていました。それほど、切手を使う機会が多かったのです。フランス国内の郵便で20g以内のものは、たいてい金額が記載されていない「マリアンヌ」の切手で済むので、そのカルネ(切手が12枚セットのシールになっているもの)を常に買い置きをして、いつも、手帳かお財布の中に入れていました。

 マリアンヌの切手は、金額が切手に記載されていないために、たとえ、その後に郵便料金が値上げしても、そのまま同じものを使うことができる利点もあります。

 フランスに来たばかりの頃(20年前)には、私は、フランスでの自動引き落としというものを信用できず(桁を間違えられて引き落とされた経験あり、その後、返金してもらうまでに大変だった・・)、電気料金から、家賃、娘の学費などの支払いなどを小切手を使って支払っていたこともあり(小切手は自分で金額を確認して記入できるうえに、ナンバーと支払い先、金額などを記録できて、払った払っていないなどの問題に小切手の控えで対応できるためです)、それらの支払いの度に小切手を郵送することが多かったのです。

 なので、それらの支払いの度に切手が必要で、常にマリアンヌの切手のカルネは常備していました。

 おまけに、様々なお役所の手続きなどは、一度、送ったはず(下手をすると手渡したはず)の書類を失くされて、何度も同じ書類を送るハメになったり、切手は生活必需品のひとつでもあったのです。

 考えてみれば、いつでもトラブルにあった時のために、自分がやったこと(特に支払い)に関しては、それを証明できるためのものを用意しておかなければならず、常にそれを携えて苦情を申し出る戦闘体制でした。

 書類を送る時には、失くされることを前提に必ずコピーを保管しておくのがフランス生活の常識。常に信用しないこと前提の生活を送ってきたことを今さらのように思うのです。

 しかし、いつの間にか、それらの支払いも自分でネットで振り込むことができるようになり、たま〜に送らなければならない書類は、重さを郵便局で計ってその分だけの料金の切手を買って送るようになっていたため、久しくマリアンヌの切手のお世話にならない生活になっていました。

 先日、あるお役所の手続きに、書類を郵送しなければならない用事ができて、大した重さでもないようなので、これはマリアンヌで行ける!と思い、買い置きしてあったはずの切手を探したのですが、どこにしまい込んだか見つからず、そういえば、長いことマリアンヌのお世話にならなくなっていることに気がついたのです。

 自分でネットで振込ができるようになっただけでも、人の手を介すことが減り、それだけミスも少なくなり、おまけにネット上で振込の記録が残るので、小切手を使うこともほとんどなくなりました。

 お役所関係の書類に関しても、ずいぶんネットで書類を送ったりすることもできるようになりましたが、依然として、書類を印刷して、記入して、郵送して・・ということが、時々、勃発します。その最たるものは、10年に1回のビザ(滞在許可証)の申請です。フランスのお役所の手続きの中で、あれほど嫌なものはありません。

 人が関われば関わるほど、ミスは増え、先方にミスがあっても決して謝られることはなく、ミスをミスとして認めないところは、以前とあまり変わりません。謝らないということは、反省もなく、その手の手続きのシステムは一向に改善されないということでもあります。

 変わったのは、私の方で、書類を送って、返答がないと「失くされたかな?」と普通に考えるようになり、以前ほどは怒りまくらなくなったことです。失くされた場合も、連絡を再度取って確認し、淡々と、コピーしていた書類を探し出して、「しょうがないな・・」と思いながら、再び送るようになりました。

 久しくお世話にならなかったマリアンヌの切手を家中探し回っても見つからず、「たしか、まだあったはずなのに・・」などと思いながらも、自分の記憶にも自信が持てなくなってきて、探しているうちに、思わぬ写真が出てきたり、なぜだか、しまい込んでいた50ユーロをみつけたりしながら、あたふたして、汗だくになり、がっくりしたところで、なぜか、お財布の中では??と思って引っ張り出してきたお財布を、気がつけば冷蔵庫にしまおうとしている自分に呆然。もはや自分すら信用できなくなってきました。

 マリアンヌの切手は、今、いくらになっているのだろうか?とサイトを見ると、切手はサイトで買えるようになっていましたが、どうやって受け取るのかと思いきや、「配送無料」の記載が・・どうやら、ネットで買った切手は郵便で配達してくれるようです。(自分で印刷することもできるらしいけど)

 配送無料でも、この郵便そのものも信用できず、一体、いつ届くのか?下手をすると無事に受け取れるかどうかも不安で、結局、翌日、郵便局に行くことにしました。

 結局のところ、依然として、あらゆるところに信用できないことが待ち受けており、私のフランスでの戦闘体制の生活は、マリアンヌの切手の使用頻度ほどに、以前よりは、楽になったものの、結局のところは、信用しないことが前提で、そのトラブルをいかに回避し、戦うかが根底にあり続けるのです。


マリアンヌの切手


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2022年2月16日水曜日

次のステップに進むフランスの感染対策規制緩和 ディスコ・ナイトクラブ再開

   


 フランスでワクチンパスがスタートしたのは、1月末のことで、ワクチンパススタートの発表時には、同時にその後の段階的な感染対策緩和のスケジュールが発表されていました。

 それまでも、フランスでは、すでにヘルスパスによる制限が定着していたこともあり、その後の感染対策緩和の方に注目が集まっていました。

 その時の予定どおり、フランスは、ワクチンパスの施行の1週間後には、屋外でのマスク義務化やリモートワークの義務化を撤廃しています。

 1月末の段階では、1日の感染者が40万人前後もいた状態で、その後の感染対策の緩和については、正直、「本当に大丈夫なんだろうか?」と不安で、特にさらにその2週間後の「ディスコ、カフェやバーでの立ち飲み、スタンディングコンサートを解禁」という予定には、その時点では、私は、「とんでもない!」と思っていました。

 しかし、2月に入って少し経つと、フランスの1日の新規感染者数は、急激に減少し始め、いつの間にか、薬局での検査のために、あんなに行列していた人々も消え(セルフテストの拡大もある)、今週に入ってからは、なんとか、1日の新規感染者数も10万人前後にまで下がっています。もともとが酷すぎたこともありますが、この感染の急降下には、ちょっとびっくりしています。

 政府報道官ガブリエル・アタルは、15日、現在の状況を「ようやく光が見えてきたようだ・・」と表現し、「最後の制限を解除し、かねてよりの予定どおり感染対策制限を緩和することができる」と発表しました。

 2月16日からは、ディスコ・ナイトクラブが再開され、カフェやバーでの立ち飲みが許可され、スタジアム、映画館、公共交通機関での飲食が可能になります。

 そして、2月28日からは、交通機関を除くワクチンパス対象のすべての閉鎖空間でのマスク着用の義務化が撤廃されます。

 しかし、彼の発表は、感染対策規制の緩和に終始することはなく、現在の状況は、決して安心できる状態ではなく、「規制の緩和・撤廃は、警戒・注意の終了を意味するものではない」と述べています。

 実際に新規感染者数は減少しているものの、コロナウィルスによる入院患者数は、31,500人以上、病床を圧迫し続けていることに変わりはありません。新規感染者の減少は、今のところ病院の状態改善までには影響を及ぼしてはいないのです。

 予定どおりなのは、感染対策の緩和だけではなく、2月15日からは、2回目のワクチン接種から4ヶ月後にブースター接種をしない場合は、ワクチンパスが無効になるというルールもスタート。現段階では、400万人のワクチンパスポートが無効になってしまったと言われています。

 ここまでフランスの感染者数が減少してきたのは、ワクチン接種、ブースター接種の効果が大きいことは言うまでもなく、現在では、フランスのブースター接種率は、55%まで上昇しています。

 ところが、ここに来て、先日のカナダのワクチン接種義務化に反対する大規模なデモ「自由の車列(Freedom Convoy)」に触発されたフランス版ワクチンパス反対+もろもろの抗議デモ「Convoi de la Liverté」を警戒した政府が「ワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる可能性がある」と発言したことから、もう少しだけ我慢すれば、ワクチン接種は必要なくなる・・とワクチン接種をしない方向に傾き始める人も出始め、ワクチン接種・ブースター接種率の上昇はスピードが低下しています。

 戦車までが登場する異様とも言える警戒体制のため、このフランス版の自由の車列デモは、大事には至りませんでしたが、思わぬところで、違う影響が出ています。

 引き続き、フランス政府は、ワクチン接種の拡大に努め、「偽のワクチンパスポートを所持しながらも、ワクチン接種を希望する人は、起訴されるリスクなしにワクチン接種を受けることができる」と、(悔い改めようとする人には鷹揚な対応)思わず唸ってしまうようなルールまで提示しています。

 いずれにせよ、未だ綱渡りの状況が続きますが、先日発表された「3月末か4月初めに解除される可能性がある」ワクチンパスポートも現段階では、考えられず、「この最終的な措置は、病院の状況が十分に緩和され、正常化された時点で緩和する予定」としています。

 この件(ワクチンパスポート解除)に関してインタビューを受けたカステックス首相も「科学的な見解を得ることが必要である」と答えています。

 暦は立春を過ぎ、春はそこまで来ていますが、パンデミックの終わる本当の春が来るのは、まだまだ先かもしれません。


フランス感染対策規制緩和 ディスコ・ナイトクラブ再開


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2022年2月15日火曜日

フランス入国規制措置緩和 日本からのワクチン接種済みの旅行者は検査なし


 フランス政府は、世界の多くの国々でオミクロン変異種が優勢であることやワクチン接種のレベルが上昇した上でのパンデミックの新しい局面を考慮し、入国管理システムを緩和することを発表しました。

 政府は、この決定を「パンデミックが始まって以来、国境における入国管理システムは、私たちの健康を守り、心配な特性を持つウィルスが国内に侵入するのを遅らせることを可能にしてきました。このシステムは、毎週約6,000人の市民警備隊員を動員して検査を実施し、国境警備隊は旅行者の感染対策関連の書類をチェックし、国内治安部隊は地域が決定した隔離・検疫措置を監視し、感染状況の変化や地域ごとの規則に合わせて定期的に調整されてきました」と説明の始めています。

 どんな時にも「俺たちはよくやってきた」という自画自賛を忘れない説明もフランスらしいところです。

 今回の政府の決定により、世界の国々を緑(懸念される新興の亜種が存在せず、ウイルス流通がごくわずかまたは中程度の国または地域)とオレンジ(ウイルスの循環が活発で、懸念される新興の変異型がなく、ワクチンや免疫の逃避先がない国または地域)に色分けしています。

 緑の国からの入国に関しては、ワクチン接種済みの旅行者は、フランス入国の際にワクチン接種証明書(ヨーロッパの規定するワクチン)の提示があれば、検査の陰性証明書の提示は必要がなくなりました。

 ワクチン未接種の旅行者については、引き続き、陰性証明書の提示は必要ですが、到着時の措置(検査・隔離)は、解除されます。日本は緑の国に分類されています。

 欧州の規制に従ってワクチン接種を受けた旅行者は、フランス出国時に検査は必要ありません。(受け入れ国に関しての規制は別として、とりあえず出国の際)

 ワクチン未接種の旅行者については、フランスへの入国時に陰性結果を提示する義務は残りますが、ウイルスの循環が穏やかな「グリーン」リストの国から渡航する場合は、到着時の措置(検査、隔離)が解除されます。

 緑に指定されているのは、欧州連合加盟国、アンドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、サンマリノ、スイス、バチカンです。バーレーン、ホンジュラス、香港、インドネシア、日本、クウェート、ニュージーランド、カタール、ルワンダ、サウジアラビア、セネガル、韓国、台湾、アラブ首長国連邦です。

 また、オレンジに指定されている国からの入国に関しては、フランスに入国する必要性を正当化する説得力のある理由を提示する必要があり、ワクチン接種済の旅行者は症状がないこと、及び14日以内に感染者と接触していないこと、ワクチン未接種者は、到着時検査を承諾することなどに関する承諾書が必要で、到着時にランダム検査を受ける可能性があります。陽性と判定された旅行者は、隔離されることになります。

 日本は緑の国に指定されており、大々的に入国措置が緩和されるような印象もありますが、上に添付した世界地図からもわかるとおり、緑の国は一部であり、大部分の国からの入国は、依然として警戒している状態ではあります。

 とはいえ、入国措置が緩和されていく方向であることには、違いはありません。

  



 一時、あまりに酷すぎたこともありますが、ここのところ、フランスの感染状況は、急降下といえるほどに減少しつつあります。

 この感染減少の現状からも、フランス人の日常の生活ぶりからも、政府の今回の判断は、妥当なものである気がしています。依然として、すっかり解放してしまわないのも理解できますし、かといって、あまりに普通の日常を送っているフランス人の様子をみても、必要以上の水際対策は、バランスが取れない感じです。

 しかし、再び感染力の強い免疫不全のリスクを高める可能性のある変異種が出現した場合には、緊急停止措置が発令されることになっています。現在の色分けの分類は、一時的なものであり、定期的に見直され、随時、状況に応じて変更されるということです。

 いずれにせよ、ウィルスの性質もどんどん変化していく状況で、その状況に応じて迅速に入国管理対策を変更するという姿勢は、フランスだけでなく、どの国にも求められている必要な措置なのではないかと思います。

 逆に言えば、またいつ新しい強力な変異種が出現するかもしれない状況、緩和できる時には、少しでも緩和しておかなければ、いつまた国際間の流れがストップしてしまうかもしれないのです。


フランス入国規制措置緩和


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2022年2月14日月曜日

メイク用品・スキンケア・ヘアケア・日用品・お菓子・日用品がびっくりするほど低価格なお店「NORMAL(ノーマル)」

 


 ちょっと、パリっぽくはなく、しかし、ちょっと人目を引く派手なライトブルーと黒、ピンクを使ったイメージカラーの外観と何やら細かい楽しそうなものがたくさんある店内についつい覗いてみたくなるような、「Normal(ノーマル)」というお店を最近、パリで頻繁に見かけるようになりました。  


 このお店の商品は、メイク用品、スキンケア、ヘアケア、日用品などを中心とした商品構成にお菓子や調味料、香辛料や食料品など広範囲にわたり、しかも低価格のものばかりなので、見ているだけでも楽しいと思いながら、うっかりついつい買い物をしてしまう・・そんなお店です。

 

 このお店は、「トップブランドを驚くほど低価格で提供します」とうたっていますが、トップブラントとはいえ、シャネルやディオールなどの超高級ブランドではなく、フランスでは一般的に名の通った大きなメーカーのものを低価格で!という意味なので、本当に気軽に手を伸ばしてしまう・・そんなお店です。

 食料品、特にお菓子類などは、どちらかというと、フランスのものではない輸入品と思われるラインナップで、なんとなくパッケージの色合いなども普通のフランスのものとは違う感じなところも、なんとなく楽しくなってしまう理由かもしれません。


  

 基本的に日常生活に必要なもの、あるいは、あったら、使ってみたい、試してみたい・・と思うものが目白押し、しかも、一つ一つが低価格なので、あっという間に商品を手にとっています。

 特に、メイク用品、スキンケア用品に関しては、種類が多いので、なんとなく楽しそうな日用品につられて店内に入っても、ついつい、メイク用品・スキンケア用品などにも、「こんなのあるんだ・・」、「こんなに安いの!」とちょっと、百均に近い感覚になります。

 今回、私が気になったのは、顔全体のパックに加えて、部分パックにハンド用パック・・


  

 そして、メイク用品、メイク用の筆なども安いこと安いこと・・

 


 世情を反映しているのか、この「NORMAL(ノーマル)」という店舗はチェーン展開で、パリ市内にも5軒ありますが、この手のお店が最近、増えたなぁと思います。

 そんなお店の中でもこの店舗は、ヨーロッパ(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、オランダ、フィンランド、フランス)を中心に300店舗以上を展開する大きなチェーン店舗で、扱っている商品も安定しており、超高級ブランドではないにせよ、名の知られているメーカーのものが並んでいるので、なんとなく安心感もあります。

 パリに来られた際には、ばら撒き用のおみやげにはちょうどよさそうなものがいっぱいあります。

 雑貨屋さんや、百均を始め、ワンコインショップなど、つくづくこの手のお店が好きな私ですが、もはや高級ブランドよりもこんなお店が楽しくなっているのは、私だけではない気がしています。だって、何より、こういうお店が増えているのですから・・。


⭐️NORMAL PARIS(ノーマル)NORMAL

 5 Boulevard Saint-Michel, 75005 Paris

 17 Boulevard de Vaugirard, 75015 Paris

 30 Avenue d'Italie, 75013 Paris

 109, Rue Saint-Lazare, 75009 Paris

 36 Boulevard Marguerite-de-Rochechouart, 75018 Paris


パリ低価格化粧品、スキンケア用品、日用品、雑貨


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2022年2月13日日曜日

ロシア・ウクライナ問題 パンデミックの次は、本当の戦争の危機

  


 「我々は、戦争状態にある」とマクロン大統領がパンデミックの始めのロックダウンの際の演説を行ってから、そろそろ2年が経とうとしています。ウィルスという目に見えない敵相手の戦争状態は、この間のいくつかの波を超え、ワクチンという武器を持ち、一時のような緊張状態ではなくなりました。

 しかし、最初のロックダウンの際は、まだどのようなウィルスであるのかも、よくわからずに、外出もほとんどできずに、みるみる病床が埋まり、患者は病院の廊下に並べられ、ついには、野戦病院のようなテントまで建てられ、呼吸器やマスクなどの医療物資が足りずに、到着するマスクが警察の先導で運ばれる様子や、ひたすら家に閉じ込められ、外からは、救急車のサイレンが途切れることなく聞こえてくる中、まさにこれが「戦争状態」というものなのか?と思ったりもしました。

 私が子供の頃は、「戦争を知らない世代」などという言葉が使われていたりしましたが、人の一生のうちには、なんらかの戦争に匹敵するくらいの大変な惨事に見舞われることになっているのだろうか?などとも思いましたが、これは目に見えないウィルスとの戦争で、襲っていかかってくる相手が同じ人間である戦争は、ことさら恐ろしいことなのだろうと思っていました。

 しかし、現在のウクライナとロシアの緊張状態は、アメリカやヨーロッパを巻き込み、本当の戦争になる緊迫した状態が続いており、海外で生活する身としては、ことさら、他人事ではいられない恐ろしさを感じています。

 このロシア・ウクライナ問題に先日、マクロン大統領がクレムリンまで出向き、戦争回避のための話し合いに、プーチン大統領との会談に臨みましたが、5時間近い会談にもかかわらず、確かなことは、「その後も話し合いを続ける」ということだけで、決定的な解決には至りませんでした。

 そもそもこの会談、プーチン大統領とマクロン大統領の会談の広い横長のテーブルの端と端に座る極端に離れた距離が話題を呼び、この距離は、後に、マクロン大統領がPCR検査をDNA情報を渡すことを恐れて拒否した結果と言われていますが、感染対策ならば、これだけの距離を取らずとも、いくらでも、方法はあったであろうに、あまりに不自然な距離。

 ロシア側は、わざわざ出向いているマクロン大統領との会談を少しでも遠ざけ、相手のペースを乱そうとしていることの表れでもあります。

 この会談の後、マクロン大統領は、帰国の際の大統領選用機での記者団の取材に応じ、「この危機に関わるすべての国家に対して「具体的な安全保障の構築」を提案した」「状況の悪化やエスカレートがないことを確認した」と述べているものの、「プーチン大統領は自分の曖昧さの一つ一つを利用している」と語っています。言わば、ロシアは、明快な解決策を見出すことを避けているということです。

 アメリカもヨーロッパも、ロシアがウクライナに新たに攻撃を仕掛ければ、クレムリンに壊滅的な制裁を採用することになり、恐ろしい結果になると警告してます。特にアメリカとドイツは、ロシアが攻撃した場合に課すべき制裁について「絶対的に一致」しており、両国は「同じ措置」を取るとしています。

 マクロン大統領は、フランスは欧米の同盟国と「協調」していると主張し、ウクライナへの扉を閉ざすことになるNATOの拡大政策の終了を求めるクレムリンの要求を拒否していますが、マクロン大統領は、ウクライナ人抜きでウクライナ問題を解決することは考えられないと主張しています。

 昨日、プーチン大統領とマクロン大統領は再び2時間にもわたる電話会談を行なっていますが、平行線のままの模様。口が達者で論破が得意なマクロン大統領もEU議長国の長として、必死に対応しようとしていますが、現在のところ、肩透かしを食っている感じです。

 アメリカやヨーロッパの警告をよそに、ロシアが振り上げた手を下ろすことがなければ、本当の戦争が始まってしまいます。

 パンデミックというウィルスとの戦争が終わらないままに、本当の戦争が起こるかもしれない状況に、海外で生活している状態の者にとっては、外国人であるという立場は余計に不安が募ります。

 パンデミックという戦争状態で、多くの犠牲者を出し続けているにもかかわらず、人と人が争い、さらに多くの犠牲者を出すことが確実な戦争がおこるかもしれないことは悲しいことです。

 おりしも、フランスは現在、カナダから触発されたデモで街中には戦車まで登場する殺伐とした状況、平和を叫びながら戦争を起こそうとする人間の罪深さはウィルス以上かもしれません。


ロシア・ウクライナ問題 戦争


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2022年2月12日土曜日

自由の輸送団(Convoi de la liberté)への政府の大規模な警戒

   


 かねてから、カナダでの同タイトルのデモに触発されてフランスでも起こっている「自由の輸送団(Convoi de la liberté)」のデモがフランス全土から一旦、パリに集結し、ベルギー・ブリュッセルに向かう動きに、パリ市内には、普段は目にすることのない戦車までが出動する物々しい警戒ぶりになっています。

  


 警視庁は、このデモのバリケードのために、特殊機械、クレーン車、バリケード対策用トラクター、レッカー車、投水機を用いて、デモによる都市封鎖を防ぎ、違反者を罰金や逮捕すると発表しています。


 フランスでのデモは日常的なことでありながら、日常のデモは地域ごとにデモを行うのが通常でありながら、今回は、フランス全土からパリに集結してデモを行い、また、カナダの例を真似ていることから、先日すでにカナダの首都オタワで起こったデモ隊によるトラックなどによる都市封鎖が懸念され、一度、パリで集結してから、ベルギーに向かうという呼びかけがFacebookを通じてなされており、金曜日の早朝には、大小様々な約3,300台の車がパリに向けて出発したと見られています。

 このデモのもともとの抗議の主軸は、「ワクチンパスポート反対」ではあるものの、燃料費をはじめとする物価の上昇などの社会的な状況への抗議から、さらには、マクロン政権への避難にまでも繋がっている大きなムーブメントになっています。

 政府は、パリの都市封鎖を防ぐためのバリケードを張るだけでなく、数日前には、政府報道官が「ワクチンパスポートは、3月末から4月には解除できる可能性がある」と発表した上、昨日は、「ワクチンパスポートが必要な場所(公共交通機関などは除く)では、2月28日からマスク義務化を解除する」と発表。

 感染対策のための制限をギリギリまで緩和することで、なんとか今回のデモを沈静化しようとしています。

 しかし、この政府の感染対策の緩和の発表をよそに、このデモ隊がアクションを止めようとしないのは、もはや、「ワクチンパス反対」の抗議に留まってはおらず、その他の社会不安に対する抗議に移行しつつあるということです。

 この騒ぎを沈静化しておかなければ、この反政府への勢いが増長し、火に油を注ぐ状態となり、「黄色いベスト運動」のような大きな動きに取って代わる可能性があります。

 大統領選挙を目の前にして、マクロン大統領は、いかにしてもこの騒動は鎮圧する必要があるのです。

 それにしても、デモの防御のために、デモ前日から、集結場所とされているパリ市内には、戦車やクレーンやトラクターなどの特殊車両がパリを覆い、警察官、憲兵隊など7,200人が警戒体制を取る一種の戦争のような状況になっています。

 燃料費の高騰を訴えるために高いガソリン代を使って地方から車でパリに集結することには、いささか疑問に感じるところもありますが、この抗議に対する防御を国力である戦車まで使わなければならないことにもフランスの怖さを感じます。

 それでも、このデモの警戒はやり過ぎ、「デモの自由を侵害するものだ」とまた別の抗議をする人々もいますが、フランスには、とにかく反発することに情熱を感じ、デモといえば、ここぞとばかりに馳せ参じる一定数の国民がおり、それが決して侮れないものであることも事実です。

 デモに集結しながらも、怒りだけではなく、ダンスをしたり、歌を歌ったり、どこか水を得た魚のように生き生きしている彼らの姿に心底、このようなデモがフランスの文化の一つであることを感じずにはいられないのです。

 これらの人々がパンデミックで鬱屈していたものを一気に発散させるのと同じタイミングで大統領選挙戦が始まっていることもこの異様な警戒ぶりにも繋がっています。


フランス自由の輸送団 Convoi de la liberté France


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2022年2月11日金曜日

バレンタイン前のメゾン・ド・ショコラでバラ売りのチョコレートに挑戦

 

バレンタイン仕様になっているメゾンドショコラの店頭


 フランスに来て以来、圧倒的に食べることが増えたものの一つはチョコレートです。

 日頃は、パリにいても、家ではかなり、和食あるいは、日本の食卓に近い食事に傾きがちで、手に入りにくい日本食材やそれに近い食材を見つけては、やっぱり日本のものは美味しい!・・となっている私でも、チョコレートは、やはりフランスのものが美味しい!と力を込めて言うことができます。

 今では、家にはいつもチョコレートの買い置きがあるようになりました。

 スーパーマーケットにずらりと並ぶようなチョコレートから、折に触れて、何か口実をつけて、時々購入する贅沢なチョコレートまで、日本にいた頃は、甘いものはあまり好きではなかった私が辛党ではなく、甘辛両党になったのも、フランスのチョコレートが入口だったかもしれません。

 パトリック・ロジェやジャン・ポール・エヴァンなど、ひととおりのフランスのチョコレートの有名店を一周して、安定して通うようになったのは、メゾン・ド・ショコラのお店です。

 たいていは、色々な種類が詰め合わせになったチョコレートを購入するのですが、その一粒、一粒、どれも美味しいものの、やはり好みはあり、自分の好みのものだけを選りすぐってみたくなって、前回、箱詰めのものを購入した際に、一粒一粒をチェックしながら、カタログと照らし合わせながら、次回こそは、バラ売りのチョコレートを自分で選んで買おうと決めていたのです。

 バレンタインも近づき、誰かにあげるわけではなく、自分へのご褒美(バレンタインという言い訳)、一粒 1.3ユーロという高級チョコレートを20種類以上あるものの中から選ぶのは、ちょっと贅沢な楽しみでもあります。

 とはいえ、なかなかセコくもあり、自分で箱詰め用の箱にいっぱいにした場合とどちらがお得なのかなどということも、わざわざお店の人に尋ねた結果、お店でオリジナルに箱いっぱいにしてもらうと、約1粒分お得になるらしいことも確認。

 さりとて、そこまで、たくさん、自分で選んでいたチョコレートがあったわけではなく、それでも、大事なチョコレートがプラスチックの袋に入れられ、崩れてしまうかもしれないことも悲しくて、前に買った際の空き箱(メゾンドショコラのもの)持参で、その箱に詰めてもらうというイレギュラーな買い方をしてきました。

  


 店内は、バレンタイン用のコフレが中央に綺麗に飾られている中、このような身勝手なお客に対しても店員さんは、「これってとってもエコね!」と快く受け入れて下さり、私が持参した箱に、「賞味期限のシールだけ貼り替えるわね!」と言って、私の選んだチョコレートを詰めてくれました。

 私がメゾンドショコラがお気に入りなのは、チョコレートの味はもちろんのこと、高級店にもかかわらず、店員さんが気取り過ぎておらずに、暖かく対応してくれるところや、必ず、味見用にと食べさせてくれる(今は、購入時にいくつかの中から選んで一つおまけに入れてくれます)ような、ちょっとほっこりさせてくれる部分があるところでもあります。

 ちなみに私が今回、選んだのは、ダークチョコレートが中心で・・

  QUITO(なめらかなダークチョコレートガナッシュをダークチョコレートのシェルでコーティング)

 AKOSOMBO(ガーナ産カカオのスパイシーな香り)

 SALVADOR(ラズベリー果肉入りダークチョコレートガナッシュ)

 ANDALOUSIE(レモンピール入りダークチョコレートガナッシュ)

 ANASTASIA(アーモンドとヘーゼルナッツのプラリネ)

 ABYSSINIE(エチオピア産コーヒーの香りのガナッシュ)

  EXTREME CHOCOLAT(100%ダークチョコレートガナッシュ)

 の7種類でした。

 甘くても後味がさっぱりしていて、チョコレートを食べた時に口から鼻に抜ける香りが至福のひとときを与えてくれます。

 量は食べずとも、ちょっとでとっても満足できるチョコレートで、しばらくの間、私は、幸せな瞬間を過ごすことができそうです。


メゾンドショコラ バレンタイン


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2022年2月10日木曜日

「フランスのワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる」と政府が発表した理由

   


 フランス政府報道官ガブリエル・アタルは、「ワクチンパスは、おそらく3月末から4月には、解除できるであろう」また、「学校での感染対策も緩和する方向で検討している」と発表しました。

 先日、テレビのニュース番組にオリヴィエ・ヴェラン保健相が出演した際に、視聴者の質問に回答する形で、ワクチンパスは、7月末頃には、解除できるかもしれない」と話していましたが、今回のスポークスマンの発言では、それよりさらに前倒しの3月末から4月に解除という話になっています。

 まあ、3月末にしても、7月末にしても、どちらにしても決定事項ではなく、あくまでも、その時点で、感染者数や感染率、病床の占拠状態の改善などが見られた場合の希望的観測によるものであることに変わりはありませんが、今回のスポークスマンの発言には、カナダで起こっている「ワクチン接種義務化に反対する大規模なデモ「自由の車列(Freedom Convoy)」が影響しています。

 カナダでは、国民の多くはこのデモには不支持であるにもかかわらず、首都オタワの中心部で、トラックやテントが通行を妨げ、都市機能が麻痺しています。このカナダでの抗議活動がフランスでのデモ隊を触発し、すでに同じスローガン「Convoi de la Liverté」をかかげ、Facebookを利用して、デモ隊の規模を広げて結集する動きが警戒されています。

 フランスでは、デモ隊が独自のスケジュールを作成しており、彼らは、2月11日(金)の夜にパリに集合し、翌日首都で反ワクチンパスのデモに参加し、翌月曜日にはブリュッセルで他の参加者と合流する予定になっています。

 しかし、この国境を越えたデモは、健康対策への抗議という単純な枠組みを超えており、フランス支部?のメンバーは、完全な熱気の中で、物価、特に燃料価格の上昇に対する抗議も併せて訴えています。

 このデモの動きには、2018年に起こった「黄色いベスト運動」の活動を復活させようとしている人々がインターネットを通じて、今回のカナダを起源とする「Convoi de la liberté」に便乗して煽っています。

 2018年に燃料税の高騰をきっかけに始まり、長い間、フランスで続いていた「黄色いベスト運動」は、パンデミックの始まりとともに、抑えられ、また、感染が減少傾向に向かうと再び燃料費の高騰とともにぶり返しそうになっている皮肉な結果を生もうとしています。

 黄色いベスト運動の時のデモ隊の暴れぶりを思い起こすに、フランスの場合は、トラックでパリを都市封鎖ということは、あまり現実的ではありませんが、より過激になることも予想され、彼らが今回、予定しているベルギーという一応、国を跨ぐ遠征に発展しようとしていることは、今後、ワクチンパス反対から、燃料価格の上昇だけにとどまらず、問題をさらに拡大させていく危険性を孕んでいるのです。

 政府が、慌てて「ワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる」と発表したのは、このデモ隊を沈静化するためと思われます。

 しかし、ワクチンパスポートが施行されたことで、ワクチン接種、ブースター接種が進みつつあったのに、まだ施行されて1ヶ月もたっていないうちに、あと2ヶ月ほどで解除するという発表とは・・「3月末まで、あともう少しでワクチンパスが解除されるなら、それまで粘ろう」と思い始める人も無きにしも非ずで、さすがにこの発表は時期尚早な気がします。

 それにしても、感染を抑えるために「ワクチンパスポート」を施行したのに、今度はデモを抑えるために、それを早々に解除する発表(実際にこの時期に解除できるかどうかは別として)をしなければならないとは、大統領選挙を前にして、混乱状態はできる限り避けたいというところはあるにせよ、想像以上にこのデモを政府が恐れていることが垣間見えるような、ちょっと不思議な発表でもありました。


ワクチンパスポート解除 ワクチンパス反対デモ


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2022年2月9日水曜日

フランスの記録的な貿易赤字と日本の鎖国

   

 

 フランスの税関当局は、2021年、史上最悪の847億ユーロの貿易赤字を記録したことを発表しました。これまでフランスの最大の貿易赤字は2011年に記録した750億でしたが、この記録を更新するものとなりました。

 このことについて、フランク・リースター外国貿易担当大臣は、フランス経済が昨年7%の成長を記録し、「海外で生産された消費財や産業用工具の輸入に影響を与えたことから、輸出よりも輸入の著しい回復によって起こった現象のうえ、航空関係の輸出などの強力な輸出部門がまだ2019年の水準を下回っていることによるものであるとし、今回の赤字は回復の強さによるものと説明することができる」としています。

 また、大臣は記者会見で、「我々の貿易活動の全体像を見ることが重要だ」と述べ、特に「サービス分野で362億ユーロの黒字を記録した」ことを指摘しました。結果的な収支に関しては、基本的に179億ユーロのエネルギー代の増加が悪化の原因である」と述べています。

 このニュースを聞いて、「まぁ〜なんと、フランス人は、口が達者だ・・でもまあ、これは、あながち、全く間違いでもないかもしれない・・」と感じたと同時に、日本は大丈夫なんだろうか?と思いました。

 これまで、感染を抑えてきた日本にとっては、記録的な感染者を出し、閉鎖的になるのもわからないではありませんが、私は、今の日本の鎖国状態がどうしても理解ができないのです。

 日本のニュースを網羅して見ているわけではありませんが、鎖国に関しての危機感の声があがっているというようなニュースをほとんど見かけないのも不思議です。

 鎖国をしているからといって、日本の貿易が全く止まっているとは思いませんが、外国人を締め出している以上、貿易とて、安易ではない状況であることは明らかです。

 だいたい、パンデミック以前から、例えば、こちらの電化製品の店舗などに行っても、以前のように日本製品がズラ〜っと並んでいる光景は、見かけなくなっています。全く消えたわけではありませんが、以前、堂々と並ぶ日本製品を目にして、なんとなく誇らしく思えていた時代ではなくなりました。

 ただでさえ、停滞気味の日本の貿易に拍車をかける「鎖国」を続けていることは、今後、長期にわたり、影響を及ぼします。

 多くの国々がなんとか、ワクチンパスポートなどを起用しながら、日常生活を保とうとしているのは、経済的な問題があるからです。鎖国を続け、生活を締めつけ続ける日本がこの先、どうしてやっていけるのか?心配でなりません。

 以前の日本は「平和ボケ」などと言われた時代もありましたが、現在は、平和でもなく、パンデミックの中を生きていかなければならないのです。

 フランスは、日本よりも感染者も桁違いに多く、犠牲者も多く出し、問題も多く、実際に今回のように記録的な貿易赤字などと発表されていますが、経済は動いています。

 日本人が鎖国のような問題に危機感があまりないのは、私は、日本のマスコミにも問題があると思っています。問題であることを問題として取り上げず、国民に伝えないのは、マスコミの機能を果たしていないと思うのです。


フランス貿易赤字 日本の鎖国


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2022年2月8日火曜日

パリのワンコインショップ 全商品2ユーロ C'est duex euros(セ・ドゥユーロ)

   


 日本に一時帰国した際に、必ず覗いてみる100均ショップ。長いこと日本には行けていないので、最近の日本の100均ショップの様子はわかりませんが、まあその商品の種類や数の多さに、最初はビックリして、一緒に付き合ってもらった友人に、「100均でこんなに買い物する人、見たことない!」とあきれられたこともあります。

 うわっ!すごい!これが100円、こんなのも100円・・と、手当たり次第にカゴに入れていくと結構な量になってしまい、後になってから、結局、あんまり使っていないものもあれば、100円だったのに、ず〜っと使っているものも、今のパリの家にもたくさんあります。

 なにせ、パリには、100均などというものはないので、日本の100均では、一つたった100円なのに、文房具類や、これは便利!と思うものがたくさんあって、今、買っておかなければ、次には、いつ来れるかわからない・・と思うと日本の100均では、ついつい散財してしまうことになるのです。

 しかし、ついにパリにもワンコインショップができたと聞いて(ワンコインとはいえ、2ユーロ(約260円))これは、パリも進化した!と感激して、さっそく行ってみたのです。

 現在、フランス全土には44店舗あるというのに、まだパリには1軒だけだそうで、選択の余地はなく、その一軒に行ってみました。それはシャトレ(Chatelet)の駅から歩いて5分ほどの場所にあります。

 「やった!あった!ここだ!」と勇んで店内に足を踏み入れた私は、正直、第一印象は、ガッカリ・・」日本の100均をイメージしていた私には、ちょっと肩透かしを食らった感じがしました。

 しかし、せっかく来たのだから、何かないかな?と少しずつ商品を見ていくと、意外と面白いものがあって、いつの間にかスイッチが入り、あっという間に入り口にカゴを取りにいくハメになりました。


 
ちょっとお洒落な鍋つかみや、開けたプラスチックの袋を止めるピン




 食料品などは、簡単なお菓子が少しあるだけですが、装飾品、インテリア雑貨、キッチン用品、文房具、香水や簡単な化粧品からおもちゃ、パーティーグッズ、折り畳みの傘や収納のためのグッズやDIY用品などなど、ちょっと洒落た置物や気の利いた食器やワイングラスなどもあるところは、フランスらしいところです。


   レモンの形をしたエコバッグやさまざまな香りのペースト・パウダー状の石鹸


 子供が小さい頃だったら、子供のお誕生日会のプレゼントは、ここで充分、楽しいものがあったのに・・と思いました。

 


  

             カーテンを止めるピンとつっかえ棒


絵を描くための画板

フランス語のマグネット

 日本の100均と比べたら、圧倒的に商品の数は少ないものの、充分に楽しめる内容です。

 一歩、足を踏み入れて、一瞬、ガッカリした私も、日本の100均とは、コンセプトが違うのかも・・と思いなおし、けっこうな時間を楽しみ、結局、10点も購入してしまいました。

 若い女性の店員さんもとても親切で、「何か聞きたいことがあったら、遠慮なく言ってね!」と声をかけて下さり、お言葉に甘えて色々質問する私に嫌な顔ひとつせず、最後に会計の際には、梱包に気遣って、割れないようにと、奥から箱を探してきてくれて(日本なら当然かもしれないけど・・)、丁寧に梱包してくれたのでした。

 2ユーロと言いながら、2ユーロではない商品もあるのでは・・と疑っていた私ですが、2つで2ユーロという商品はあったものの、見事に全商品、2ユーロでした。

 毎週、新商品を入荷するということだったので、まだまだ今後が期待できます。

 まだまだ始まったばかりのパリのワンコインショップですが、これが流行れば、もっと、たくさんの商品で埋め尽くされていくのでは・・と期待しています。

 お近くにお寄りの際は、ちょっとこんなお店を覗いてみるのも楽しいかもしれません。


⭐️C'est duex euros(セ・ドゥユーロ)

    40 Blvd. de Sébastopol 75004 Paris, 月〜土10:00~20:00, 日11:00~20:00

 



パリのワンコインショップ 2ユーロ

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