2020年11月24日火曜日

サン・ドニの難民キャンプ解体による避難所要求のデモ

 Les migrants ont installé leurs tentes place de la République à Paris (photo d'association).


 次から次へとよくも、こんなに色々起こるもんだ・・と、ため息が出るほどです。

 一昨日のデモに続いて、またデモ・・です。

 先週の初めにパリ北部、サン・ドニ(セーヌ・サン・ドニ県)の難民キャンプで、警察により、2,500人が追放され、移動先の宿泊施設の解決策がないままに、700人から1,000人の人々が路上に残されました。

 行き先を失くした人々のうち、400人以上が安全を確保するために、パリ・レピュブリック広場に集結して、テントを張り、セーヌ・サン・ドニ県、パリ市役所、政府に対し、基本的権利の尊重と難民に対する警察の暴力の即時かつ継続的な終結と、1,000か所の無条件の即時宿泊施設の設置を要請しています。

 権利の主張は、あらゆる人に共通するようです。基本的権利や警察の暴力に対する抗議はまだしも、無条件の宿泊施設とは意味がわかりません。

 彼らは、同時に、先週のキャンプ解体による避難中に警察がとった暴力的な行動に対して、県と内務省に対する苦情の申し立てもしています。警察のとった暴力行為といえば、さっそく、先日、大きなデモを引き起こしたグローバルセキュリティー法第24条(警察・憲兵隊の撮影を禁ずる法律)の是非が問われる案件です。

 そして昨夜のレピュブリック広場に集結した難民との間にも再度、緊張状態が生じ、警察だけでなく憲兵隊まで出動する騒動に発展しています。

 もともと、サン・ドニといえば、パリ郊外の中でも治安の悪さで有名な地域、私は、20年以上パリに住んでいて、ほんの数回しか行ったことはありません・・というよりも、敢えて近寄らないようにしている場所です。

 サン・ドニ界隈に行けば、難民の多さは一目瞭然、ここはフランス??と思うほどの移民の多さ、治安の悪さは、すぐに肌で感じることができます。治安の悪さを肌でひしひしと感じるってなかなかスゴいことです。

 何か事件が起こる度にサン・ドニの地名が上がり、今回のコロナウィルス感染においても、パリ近郊では一番、感染状態が深刻だった場所です。

 一昨日も、殺人事件が起こったばかり、先日のテロ事件で、共犯で手配された犯人もサン・ドニのアパートで逮捕されており、私の身近なところでは、知り合いのガイドさんが、サン・ドニ界隈のホテルに日本人ツアーのお迎えに行ったところ、強盗に襲われ、殴り殺されたという悲惨な事件もありました。

 移民も多く、生活水準も低く、治安も悪いことから家賃も比較的安く、若者が多いのも特徴で、人が埋もれて暮らしやすい場所でもあります。

 今回、難民キャンプが追放されたことで、パリ中心部での騒ぎに発展して、彼らの意図した通りに注目を浴びましたが、サン・ドニを追放された700人から1,000人近くの人が行き場を失い、パリ近郊を放浪していることになります。

 治安が悪いサン・ドニを避けている私には、避けているものが向こうからやってくるような気持ちにさせられます。

 感染対策も含めて、難民キャンプを追放したと思われますが、追放するだけでその後の準備がなされていない雑なやり方は、また別な混乱を生むだけです。

 ロックダウン中とは思えない光景は、政府がわざわざ作り出している部分もあるのかもしれません。

 この騒動は翌日まで持ち越し、この避難した難民を擁護する人々がちょっと目眩がしそうなほどの規模で、再びレピュブリック広場に集合し、デモを行っています。


<関連>

「コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post_19.html

 

 

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