2022年10月31日月曜日

海外生活を送る日本人ママは頑張り屋さんが多い

  


 私がフランスで生活を始めてから20年以上が経ちますが、そんなにたくさんの日本人の知り合いがいるわけでもありませんが、それでもこれだけ長くいれば、そこそこに日本人を見かけることはあるわけで、海外生活を送る日本人ママは、みんな頑張り屋さんだなぁ〜と思うのです。

 だいたい、自分の育った文化とは違う国で生活するということだけでも大変なのに、異国で仕事をし、家庭を持ち、子供を育てながら家事もこなすということは、並大抵のことではありません。

 しかし、彼女たちは、言葉と文化の壁という障害を抱えながらも、たくましく仕事をし、子供を育てながら暮らしています。フランスの場合は共働きがあたりまえなので、日本人ママにしても、働いている場合が多いと思います。

 近くに子供の面倒を見てくれる実家があるわけでもなく、自分のルーツでもある日本の文化もできるだけ子供には伝えながら、(季節ごとの行事などもフランスのものと日本のものと両方・・)日本語を教え、フランスの学校に送り迎えをしながら通わせて、家事とて、手を抜くことなく、栄養のバランスを考えながら、手作りのものを食卓に並べます。

 日本食を作りたいと思えば、簡単にお惣菜を買ってきて食卓に並べるということもできないので、食材を買い集め、工夫しながら日本食も作ります。フランス人の家庭などは、日頃は、子供の食事は簡単に、ハム(あるいは肉でも焼いて)に茹で野菜やスープにパンとチーズなどの乳製品で終わりという家庭も少なくないので、それから考えると日本食などは、驚くほど手間がかかります。

 バカンスの多いフランスの学校の中で子供のバカンス期間のスケジュールの調整をし、お稽古ごとに通わせている人も多いです。

 海外で育つ子供に日本語を教えることは根気のいることですが、レベルも様々ですが、日本人ママのいる家庭で、全く日本語がわからない子供は少ないのではないかと思います。

 日仏家庭でも家庭それぞれで、子供の育て方も家事の分担もそれぞれだとは思いますし、概して、フランス人の男性は家のことには協力的な人が多いような気もしますが、それでもなお、日本人ママの負担はけっこう大きいのではないかと思います。それをさしてきびしい顔もせずに、あざやかにやってのけている人が多く、まさにスーパーママだな!と思うのです。

 そして、なぜか、日本人の子供は優秀な子供が多いような気もするのです。私の知り合いの子供は、なぜか、軒並み高学歴で、医者、弁護士、エンジニアなどの見事な仕上がりの子供が多いのです。

 一部には、子供の頃から、2ヶ国語以上の言語を使うことが脳の発達に影響するという話を聞いたこともありますが、基本的には、日本人が培ってきた真面目さにあると思っています。

 子供に日本人の基本的な生活習慣を教えながら、教育していくという観点からしても、それは海外にあっては、決して当たり前のことではなく、自分たちがあたりまえのように受けてきた教育をあたりまえのようにコツコツとこなしていくことは、海外ではすでに上レベルのことなのかもしれません。

 それにしても、彼女たちの日々の努力には、頭が下がることが多く、忙しいのに、そんなものまで手作り!?(自分で納豆を作ってみたり、お味噌を仕込んでみたり、ケーキを焼いたり・・)と驚かされることも多く、以前の職場にいた日本人の先輩のお弁当などを見るにつけ、彩ゆたかに品数も多く、家族の世話を細やかにやいていることは、そのお弁当からも垣間見られ、感心したものです。

 子供の教育に関しても、こういうことには気をつけた方がいいとか、日本語を教えるのは根気よく、諦めたらいけないとか、多くを彼女たちに教わりました。

 現在の私は子育ても終わり、全然、頑張らない生活になり、もっとずっと忙しくしていた頃には、逆にもっと、マメに色々なことをしていたような気もしていますが、現在、小さい子供を抱えて頑張っている日本人ママさんたちの様子を見るにつけ、やっぱり日本人ママってすごいなぁと思うのです。


日本人ママは努力家 頑張り屋さん


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2022年10月30日日曜日

陰惨な事件が続くフランス 被害者・加害者ともに若すぎる

  


 毎日のように大々的に殺人事件についての報道、毎週、遺体が発見されているような気がする・・そんなニュースばかりが続いていることに暗澹たる気持ちにさせられています。しかも、その被害者・加害者ともに20代前半だったり、子供だったり、命を絶たれた被害者はもちろんのこと、加害者となった若者の人生も終わりで、彼らのあまりに短い人生にやるせない気持ちになります。

 10月半ばにパリ15区で起こった、12歳の少女が殺され、彼女が住んでいたアパートの近くの中庭でスーツケースの中から遺体が発見された事件は、その非道で残酷な手口はあまりにも衝撃的でフランス中が大騒ぎになりました。

 容疑者は比較的早い段階で逮捕されましたが、24歳の、一見すると、普通の女性で娘と同じ年齢だったことは、私にとっては、同時に衝撃的でしたが、娘にその話をすると、「同い年だからといって、同じ境遇や環境で育ってはいないし、同じ24年間を過ごしてはいない」と一蹴されてまるで意に介していない様子には、どこか、ホッとするような、なんだか納得いかないような複雑な気持ちになりました。

 その後、今度はコレーズ県(ヌーベル・アキテーヌ地域圏)のディスコで週末に20歳の女性が行方不明になったと報じられ、それからまもなく、21歳の男性が誘拐、強姦、殺人の容疑で逮捕され、彼は彼女を殺して彼女の遺体を森に埋めたことを自供しました。

 2人の間に多少の面識はあったことが逆に彼女を油断させたような気もしますが、後に同席していた友人の証言により、向けられたシャンパンのグラスに口をつけた彼女がへんな味がすると言っていたことがわかっており、飲み物に薬物を入れられていた可能性が浮上しています。

 この犯行がどの程度、計画的なものであったのかはわかりませんが、彼は犯行後、彼女の持っていたバッグを燃やし、犯行が行われた部屋から彼女の痕跡を消そうとした形跡があり、遺体を埋めていることから、逆に彼自身が、彼の行いが悪いことであると認識して隠そうとしていたことが、たとえ衝動的な犯行であったにせよ、彼が責任能力が問われないような精神状態であったとは考え難いことを表しています。

 被害者の女性は2歳の子供がいる20歳の女性、加害者は21歳の男性。被害者の女性は命を奪われ、その子供は2歳で母親を亡くしてしまいました。加害者の男性には、今後、容疑が固められていきますが、おそらく終身刑が降ると言われています。

 そしてまた、今度は、マルセイユで11歳の子供が遺体で発見されたというニュース。当初、母親から子供の失踪届けが出されていたといいますが、子供の遺体にナイフで切られた跡が数箇所発見され、その血痕が家から遺体発見現場への道のりに残されていたことから、子供の母親が警察に拘束されています。

 ここのところ続いている陰惨な殺人事件とその被害者・加害者の若さは、衝撃的です。この世に殺されるという死に方をする人がどのくらいいるのかわかりませんが、まだ、はじまったばかりの人生で、殺されるほどの人の恨みをかうほど生きてこなかった人が殺されるやるせなさは、計り知れません。

 娘と同年代の人々の事件を見るにつけ、被害者になる心配とともに、初めて自分が妊娠した時に、育て方によっては、子供が将来、犯罪を犯す側にもなりえるのだ・・ちゃんと育てなければならない・・大変な責任を負ってしまった・・と感じたことを思い出します。

 このような若い人の陰惨な事件を見るにつけ、最近の私は、どうしてもその親側の目線で見てしまうのでした。


若者の殺人事件


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2022年10月29日土曜日

フランスの医者不足 医者に定年後も働いてもらうためのシステム 

  


 高齢化問題は、日本の「おはこ」のような気がしていましたが、フランスにも高齢化問題は、特に医療問題において、顕著になりつつあるようです。

 今週、マクロン大統領は、現在、国会で審議中の社会保障財源法案の一部として議論されているこの国の医療問題について、「病院や街に「十分な医師がいない」と指摘し、「今後、数年の間にフランスの医師の25%は60歳以上になる」「彼らが定年を迎えた後には、この医師不足の問題はさらに深刻になるため、定年後も彼らに仕事を続けてもらえるためのシステムを構築する」と発表しています。

 現時点では、開業医の定年は、生まれた年によって異なりますが、法的には、1955年以降に生まれた医師の定年は62歳です。仕事を開始した時期により僅差はありますが、67歳で年金を満額受け取ることができます。

 なので、フランスの医師の25%は、このまま放置すれば、10年以内に消えていくことになります。もちろん、現在でも定年後にも仕事を続けている医師はいますが、現時点では定年後も働き続けることに対しての特別待遇は設けられてはいません。

 フランスは少子化による人口減少は起こっていないにも関わらず、医者だけが高齢化を迎えているということは、医者になる人の数が減少しているということや、地域的な格差も影響していると言われています。

 いずれにせよ、人口は減少していないものの、高齢者も少なくないフランスで、今後数年は、ますます介護のニーズは増加し医者不足に拍車をかけると見られています。

 今後の医学部の学生数の設定などを検討しなおし、対策を始めたとしても、この結果が表れ、現在の現役医師数のレベルに回復するには、2035年頃と見られており、放置すれば、減少を続けるであろう医師をなんとかそれまでは確保しつづけるために、定年後も医者が働く特別待遇を提案し始めたわけです。

 マクロン大統領は「定年後も仕事を続ける医者に対しては、年金保険料を免除し、年金をもらいながら仕事を続けることを奨励する」と発表したのです。自分が引退後に受け取ることができる年金プラス、働いた分だけ給与をもらうことができるのです。

 しかし、一方では、このシステムにより、年金保険料の7.3%、つまり7300万ユーロの収入減になりかねないとも言われており、この減免措置が医師の増加につながるかどうかは定かではないばかりか、追加報酬の恩恵を受けるために退職の清算を前倒しする医師が出てくる可能性さえあるとも懸念されています。

 少子化は免れてなお、顕在化してくる高齢化問題に、社会全体が高齢化を迎えている日本ではなおさらのこと、AIでは代わりが効かない職業の人材問題は、一層深刻になっていくのではないか?と思うのです。

 私にとっては、もう20年以上もお世話になり続けているかかりつけのお医者さんがいますが、彼女は定年までは、まだ少し時間がありそうですが、今度、行ったら、「あなたがいなくなったら、絶対困る!ぜひ、その先も仕事を続けてほしい!」と、今度行ったら、頼んでみようと思います。


医者不足 定年後の医者の仕事継続 年金保険料免除


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2022年10月28日金曜日

一瞬やってきた秋が去って、また夏日のフランス 10月の異常気象

  

秋みたいだけど夏なチュイルリー公園


 フランスでは、なんだか季節がわからなくなるような気候が続いています。

 一瞬、気温が下がった時があり、周囲のフランス人たちが、そのたった1日の違いであっという間に冬支度になり、コートやマフラー、中にはダウンジャケットを着ている人までいて、相変わらず、寸分違わないフランス人の衣替えのタイミングの見事さに、今年も舌を巻いたばかりでした。

 しかし、その寒さは長い間は続かず、10月も終わりが近いというのに、今日のパリの気温は23℃まで上昇し、週末には25℃を超える見込みで、フランス南部では30℃を超えるという夏が戻ってきたかのごとき異常な気象に見舞われています。

 うっかりコートを着てでかけようものなら、汗だくで、昨日などは、半袖姿の人もちらほらいるような(ほんと、私もTシャツでよかったと思いました)、よく言えばポカポカ陽気です。

 フランス気象庁は、10月末にフランスを襲っている遅めの猛暑を「異例」「例外的」と表現しています。全国的に気温は季節の標準を大きく上回っており、これは、気候変動が制御不能になりつつあることを示す明らかな兆候であると述べています。

 この10月の異常な暑さは、過ごしやすく暖かい秋・・とは、素直に喜べない異常な感じがあります。

 私がアフリカにいた時は、ほぼ一年を通して暑くて、最初は夏服だけだから楽だな・・などと思ったものの、実際には、暑すぎて、朝起きて、曇っていると心底ホッとしたもので、また、夏服だけの生活というのも長くなってくると、それはそれで味気ないもので、四季折々の季節の変化とともに楽しめる季節感を恋しく思い、「四季があるって素晴らしいことだ!」などとしみじみ思ったものでした。

 

孫たちを連れたおばあさんたちも10月末とは思えない軽装


 今のパリの街は紅葉が始まり、石畳に黄色やベージュの落ち葉が散る秋の風景ではあるのですが、現在はトゥーサン(諸聖人の祝日・ハロウィン)のバカンス中で、学校が休みのため、孫を連れたおばあさん(時にはおじいさん)の姿がけっこう目立っていて、このポカポカ陽気を楽しんでいる様子なのは微笑ましいところですが、一方、この異常気象で再び、干ばつの被害の対応も求められ、農作物への影響も生じてきます。

 本当にパンデミックに始まり、戦争、インフレ、エネルギー危機、そして地球温暖化による異常気象と世の中の混乱はおさまりそうにありません。

 10月はまだ終わっていませんが、フランスでの気象記録史上、最も暑い10月となることは、もはや間違いないと言われており、また、これは、年間を通して、平均気温においても、2022年は、フランスで記録的に暑い年になる可能性があります。

 科学者はこの地球温暖化により、「今後、フランスに起こる熱波は、より激しく、より頻繁に、より長い期間にわたるようになる」と述べており、いつかは、アフリカのようになってしまうのでは?と不安な気がしています。

 フランス人が秋の訪れとともに、あっという間に冬の洋装に変わるのも、季節を先取りするおしゃれをしたいという気持ちもあります。それぞれの季節によって、おしゃれの楽しみ方はありますが、やはりおしゃれを本格的に楽しめるのは、秋冬という感じがします。しかし、この気候変動とともにそんな楽しみも薄れていってしまうかもしれません。


10月の異常気象 猛暑 地球温暖化


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2022年10月27日木曜日

レストランチェーン Pizza Del Arte ピッツァ・デル・アルテ 月額35ユーロで毎日食事ができるシステム試験導入

  


 フランスの大手イタリアンレストランチェーン Pizza Del Arte(ピッツァ・デル・アルテ)は、顧客獲得のため、月額35ユーロで1日1度、ランチかディナー時に食事ができるシステムを試験的に導入することを発表しています。

 これは、あくまでもテストケースで、フランス全土にある210店舗のうち、ブローニュ・ビヤンクール、コルマール、リヨン、メッス、レンヌ、トゥールーズの13店舗で試験的に導入されるものです。

 しかし、これはフランスでは画期的な試みで、初回は6ヶ月契約(初月は30ユーロ)が必要で、月額を支払えば、1日1回、通常8ユーロのピザ5種類とパスタ2種類の中から1皿だけ選ぶことができるというものです。

 つまり、顧客側から言えば、月5回行けば、採算が取れることになりますが、その他のメニューについて、また、デザート、ドリンク、コーヒーの追加は消費者の負担となります。店舗側から言えば、この追加オーダーを狙うと同時にこの魅力的な月額価格によって、新規の顧客拡大を見込んでいます。

 パリ市内ではあまり、頻繁には見かけない気がするこのレストランですが、どこかのコマーシャルセンターの中に入っていて、買い物に行った時に子供を連れて食事するのに、かなり昔に何回か行ったことがあるような気がしますが、そのお味については、特に美味しかったとも不味かったとも、高かったとか安かったという記憶もないため、ごくごく普通のチェーン展開のレストランなんだと思います。

 パンデミックを機に、一気に拡大したテレワークのために、定期的にランチタイムに訪れる顧客を失い、停滞した状況に何かの起爆剤が必要だったのかもしれません。

 ピザといえば、フランス人も大好きな手軽に比較的低価格で食べられる食事の代表のような食事ですが、その分、冷凍ピザなどは、種類も多く、価格も安く、デリバリーのお店のメニューには必ずあるようなメニューで人気がある分だけ、逆に競争も激しいのかもしれません。

 そういう面では、パリはきっとある種、特殊な場所で、観光客も多いために、こんなものに、こんな値段?と思ってしまうようなお店でもけっこう人が入っているし、もともと外食の値段も高いので、パリの人々は、景気良く、気前良く食事をしている感じがするので、彼らが今回、このシステムで狙うターゲットは学生やブルーワーカーとも言われています。

 これは、とことんキャンティーン(社食・学食)のように利用しようとする人々には、魅力的なシステムかもしれませんが、これが成功して、このチェーン展開のレストランの救世主となるかどうかは、かなりの賭けかもしれません。

 一般的にフランス人が外食する場合、彼らは必ずといっていいぐらいデザートを頼むし、少なくともカフェを頼んでいるので、その点から行けば、この月額払いで訪れる人々も追加でドリンクかデザートかカフェを注文するような気もするのですが、イタリアンレストラン、ピッツェリアの場合は、どうも例外的な気もするのです。

 それよりも、もっとオリジナリティのあるメニューだったり、特色があったりすれば、最近のフランス人は並んででも行きたがるレストランはけっこうあるわけで、その代表的なケースがラーメンだったりもするのです。

 日本のファミレスなどでは、ドリンクバーなどは、あたりまえのように存在していますが、かなり前に日本で初めてこのファミレスのドリンクバーを見た時に、「これは、フランスでは無理だな・・」と思った記憶があります。

 コーヒー、紅茶、烏龍茶、炭酸飲料から多種類のティーバッグなど、すごい品数が揃っていて、これが飲み放題といったら、さしずめフランスだったら、持ち帰れるティーバックなどは、あっという間になくなるだろうし、とても店舗側からしたら採算が取れるとは思えないからです。

 今回の月額システムのレストランの試みを聞いて、なんとなくこの日本のドリンクバーを思い出したのですが、社会奉仕のためならいざ知らず、ある程度、お金を持っている層をターゲットにしないと、今の時代、どんな商売でもキツいような気がしています。


イタリアンレストランチェーン デルアルテ 月額システム


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2022年10月26日水曜日

義理の家族と嫁姑の関係

  


 私が夫と出会った時には、すでに夫の両親は他界していたので、私には、日本でいうところのお舅さんやお姑さんという人がいませんでした。しかし、夫には、歳の離れた兄夫婦がおり、特にそのお義姉さんは、夫の母親代わりのような感じで、非常に夫のことを可愛がっているのが傍目からもわかり、憎まれ口をききながらも、一方では、かなり甘やかしているようなところもあり、夫も好き勝手なことを言っているわりには、甘えたり、面倒をみたりもしていたので、ある意味、私にとってもお義母さんのような存在でもありました。

 とはいえ、本当のお姑さんではないので、また違うところもあるのでしょうし、彼女たちにはたくさんの子供や孫もいて、その全部を包み込んでくれるように優しさで、ほどほどの心地よい距離を保っている人でした。

 彼女は、お料理上手で、家の中ではいつでも何かしらの家事をしていて、いつも何かをしながら話をしている印象で、特に私たちがフランスに来たばかりの頃、まだ娘も赤ちゃんで、さまざまな書類の問題や私のビザの問題、職場を変わって、少しうつ状態だった夫など、問題が山積みしていた時に、彼らの存在は、私にとっては救いで、お義姉さんの存在がなかったら、そのままフランスにい続けてこれたかわかりません。

 しかし、姑がいなかった代わりに、夫には、前妻との間に3人の息子がおり、彼らは私にとっては、義理の家族ではありました。上の二人の男の子たちは、すでに大きかったのでクリスマスなどに家に来たりすることはありましたが、せいぜい、顔を合わせるのも年に数回でしたが、一番下の男の子は、隔週おきの週末には家に遊びにきていたので、一緒に出かけたりすることも多かったような気がします。

 日常的に同居しているわけではないので、そんなに負担ではありませんでしたが、いわば彼らにとって、私は継母なわけで、私の方は最初はけっこう身構えていましたが、彼らは、思っていたよりも全然、普通で、自然な態度で、逆に言えば、遠慮というものも全く感じられず、和気あいあいとした感じでした。

 日本の私の両親には、弟のお嫁さんがいて、彼らが日本にいた頃は、娘を連れて、顔を出したりしていたようですが、弟もある時から海外勤務になり、一時帰国時には、お嫁さんと子供は彼女の実家に滞在し、弟だけが実家に滞在するという奇妙なような、一方ではしごく当然のような感じで、私の実家と弟のお嫁さんは、別に険悪というわけではなくとも、最低限のつきあいという感じであまり深い関わりはなかったと思います。

 何より、父が大変、気難しい人だったので、弟が警戒してあまり近づけなかったというのが正直なところかもしれません。

 私の母や叔母と祖母(彼女たちにとっての姑)の関係を見ているとずいぶん違うな・・とも思いますが、それはそれぞれの家庭環境や時代の違いもあるのかもしれません。

 母は、お嫁さんとも、そんなに気を使わずにいられると言っていましたが、私がアフリカにいたり、出産後、しばらく日本に帰れなかった数年間ののち、日本に帰った時に、「今まで、お嫁さんにそんなに気を使っているとは思ってなかったけど、娘は楽ね・・」などともらしたことがあったので、それなりにお互いに気を使いながら、無難に過ごしていた気がします。

 しかし、母が心臓の発作を起こして入院した時、転勤でアメリカに行ったばかりだった弟たちが、トンボ帰りのように日本に帰国して、一時、どうにか症状が落ち着いたかに思われた母を見届けて、アメリカに帰る前に、母がベッドの上に座りなおして、お嫁さんに「息子をよろしくお願いします」と頼んだという話を母の死後に聞いて、この義理の親子の関係というものは、どういうものだろうか? 母はどんな気持ちだったのだろうか?と、そんな嫁に向けての最期の挨拶の仕方がかえって二人の距離を感じさせるような、複雑な思いをしたものです。

 私の義母は、義姉さんの話によると、かなり存在感のあるダイナミックな人だったようで、会ってみたかったな・・フランスのお姑さんというのも体験してみたかったとも思うのですが、こればかりは仕方ありません。

 家族それぞれにある家族関係、もともと違う環境で育った二人ですが、国も文化も違えばなおさらのこと、それがよいことも悪いこともあるかもしれませんが、結局は人と人との繋がり、相性もあるかもしれません。


義理の家族 嫁 姑


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2022年10月25日火曜日

ルボンカン leboncoin(フランスのメルカリの拡張バージョン)に潜り込むロシアのスパイ

  


 ルボンカンと言えば、フランス版メルカリのようなサイトで有名なのですが、現在の日本のメルカリのサイトがどこまで手を広げているのかはわかりませんが、ルボンカンの守備範囲は広く、簡単な不用品の売買から、家や車、バカンスや求人まで多岐にわたる一種の幅広い広告掲載サイトとして広く利用されています。

 このルボンカンにロシアのスパイが潜り込み、グランゼコールの数学、エンジニアなど知識レベルの高い人に接触し、核研究や原子物理学、人工知能など、自分たちが興味を持ち、機密性の高い分野でインターネットを通じて名門校の学生や個人レッスンを提供する若い専門家をターゲットにし、情報収集を行っていることが発覚していることから、内務省保安総局(DGSI)が警告を発しています。

 外国のエージェントを追跡する役割を担うフランス国内情報局は、最近、フランスの学生や若い専門家が、専門分野(経済、科学、言語、地政学など)のネット広告で個人レッスンを提供した後、ロシアの外国情報機関SVR(旧KGB)の幹部から接触されたことが判明したとホームページで説明しています。

 パリで、若い人工知能のエンジニアに対して、KGBの専門家がルボンカンで接触を取り、レストランで出会った二人は、数学の授業を受けていた。しかし、ある日、スパイはさらにしつこく、生徒が取り組んでいる科目のノートを要求し、その代わりにお金を渡すと言い出しました。

 しかし、このケースでは、ロシアのスパイは取引の途中で捕まり、ロシアに送り返されていますが、DGSIでは、3年間で12件の同様の事例が確認されています。各サービスはロシアのテクニックとそれを阻止する方法について警告を発しています。

 諜報機関では、スパイの手口について、「偽りの無害な関係を築き、やがてスパイ行為に利用できるようにする」ことを目的としている、と説明しています。

 このロシアのスパイ活動について、DGSIは、疑いを抱かせるような警告サインを列挙しています。

 ロシア以外の国籍を使用する「弟子(スパイ)」は、まずは親しい関係を築くことに注力し、関係が構築されていくうちに、徐々にデリケートなテーマでリクエストをし、電話にはほとんど出ず、自宅ではなくレストランやバーでレッスンを受けることを望み、どんどん多額のお金を現金で支払い、レッスンから次のレッスンまで、常に口頭でスケジュールを組むのが手口だと言われています。

 自分の本当の身元は明かさずに、親しい人間関係を構築して・・というと、どこか、今、日本で話題の宗教の勧誘、霊感商法にも共通する感じがしますが、つまり、これが人を騙す詐欺の手口なわけです。

 しかし、この広告サイト、今回問題になっているのは、この求人広告の部分ですが、正当にこのサイトを利用している人もたくさんいるわけで(というか、それがほとんど)、あらぬ疑いをかけられて、迷惑この上ない話だと驚いています。

 スパイといえば、映画やドラマの中のことのような気もしますが、スパイはロシアだけでなく、どこの国にもいるわけで、以前、主人の同僚の大使館員の中に元スパイ(フランス人)だったという人がいて、びっくりするほどスパイっぽくない人で(私は勝手に映画の中にでてくるスパイのイメージを持っていたため・・)逆に拍子抜けしたくらいですが、考えてみれば、本物のスパイは、その身分が明かされてはいけないので、それらしく見えない方がいいのです。

 しかし、私も利用しているルボンカン(私は不用品の売買だけですが)にロシアの魔の手が迫っていたとは、本当にビックリしました。


ルボンカン ロシアのスパイ   leboncoin


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2022年10月24日月曜日

進化しているフランスのクリーニング屋さん

 



 フランスに来てから、クリーニング屋さんを利用する機会がグッと減った気がします。それでも、当初は、季節が変わるごとにある程度の洋服を出していたのですが、一度、お気に入りだったコートをダメにされて以来、信頼できるクリーニング屋さんを見つけるのはなかなか大変で、近所に新しいクリーニング屋さんができた!と思っても、いつのまにかなくなってしまったり、クリーニング屋さんもなかなか安定した顧客を確保するのが大変で、生き残りが難しいのかもしれません。

 ある時、あるクリーニング屋さんにコートを持っていったら、受付のおばさんに、「ここは、ダメにされたり、預かったものがなくなったりするから預けない方がいいわよ・・」と言われて、ビックリしたこともあります。よっぽど正直な人なのか、自分の働くお店に恨みでもあるのか?ちょっとあり得ないことです。

 結局、「本当にいいのね・・」と脅されるようにしながらも、その時、私が預けたものは無事にクリーニングされて戻ってきましたが、その後、そのお店はいつのまにかなくなってしまいました。

 他の家の様子はわかりませんが、フランス人はアイロンをしっかりかける習慣のあるイメージで、以前、義理の姉の家に行くと、彼女はいつもアイロンをかけているイメージがあり、しかもT-シャツからジーンズなど、何から何まで丁寧にアイロンをかけているのでした。

 そういえば、アフリカにいた時も家にいたボーイさんは家事を何から何までやってくれていましたが、前任者のフランス人の奥さんから色々と仕込まれていて、それこそ洗濯機に入れて洗ったものは全て(パンツまで)アイロンをかけてくれていて、フランス人に仕えるボーイさんにとって、アイロンかけは必須事項で、夫の同僚は、1日中、家にいるボーイさんは雇わずとも掃除とアイロンかけのためのボーイさんを午前中だけ頼んでいました。

 フランスに戻ってボーイさんのいない普通の生活に戻っても、アイロンかけは、なぜか夫がこだわっていて、家事の分担の中で、自ずとアイロンかけは夫が自分でやると言い出し、彼がずっとやっていました。

 夫も亡くなり、私もスーツなどのクリーニングが必要な服は極力着ないようになり、今はシーズン毎のコートくらいですが、最近は、ネットでクリーニングを頼むと集配に来てくれて、配達してくれるというシステムが浸透し出したようで、フランスも変わったなぁ〜とビックリしています。

 そのサービスが浸透することで、ますます元来のクリーニング屋さんの生き残りが難しくなっているそうで、私は頼んだことがありませんが、この集配とクリーニング、そしてクリーニングできたものの配達と、フランスだったら、何重にもハードルがある気がします。

 このサービスのサイトを見ると、「時間を守りますとか、お預かりしたものは大切に取り扱いますとか、プロフェッショナルなクリーニングをお約束します」などと書いてありますが、日本のサービスなら当然のことですが、フランスだと、これまでの経験から、どうも懐疑の念が拭えません。

 私にとっては、まず、集配や宅配に来てくれるといっても、決めた時間に来てくれるという保証もないし、品物がなくならずにキレイになって戻ってくるかどうかもわかりません。この集配や宅配を待ってイライラするのは嫌だな・・と思ってしまいます。

 しかし、本来のクリーニング屋さんが脅かされているというのだから、それなりにこの新しいタイプのクリーニング屋さんもけっこう、廻っているのかもしれません。

 しかし、これ、考えてみれば、クリーニングの注文をネットでするというだけで、日本には以前からあったクリーニング屋さんの御用聞きのようなもので、そんなに新しい話でもありません。ただ、大量に集配するので、工場でまとめて機械を使って合理的に一気にクリーニング処理していくところが違うのですが、洗濯物の集配と宅配については、まさに昔の日本のクリーニング屋さんです。

 日本の実家に来てくれていたクリーニング屋さんのおじさんは、遠くに引っ越してしまってからも、半分、おしゃべりを楽しみにずっと来てくれていたようです。この程度の洗濯物で、こんな遠くにまで来て、割が合うのだろうか?と思うほどでしたが、東京に来ると、区内にあるうちの親戚中を渡り歩き、もはや親戚の動向を誰よりも把握している親戚のおばさんのようなおじさんでした。

 考えてみれば、今、世界中に広がっているUber Eatsなども、ちょっと見方を変えれば、日本には昔からあった出前を現代風にしたもので、日本に昔から存在するものは、けっこう便利なシステムだったのだな・・と思います。


集配・宅配するクリーニング屋さん


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2022年10月23日日曜日

最近、考える終の住処

   


 私が海外で生活を始めた時点では、私はずっと海外に永住しようとか、そんな決意があったわけでもなく、ただ、好きな人と暮らしたいという思いだけで、あまり長期的なことを計画していたわけではありませんでした。

 まあ、夫が今でも生きていれば、今でも、そんなことは考えていなかったかもしれませんが、思いの外、夫が突然、早くに亡くなってしまい、その時点で、日本に帰ろうかどうか考えたこともありましたが、結局、娘の教育のことを考えて、また、周囲のフランス人のママ友たちが強く、フランスに残ることを薦めてくれて、皆が力になってくれたので、結局、フランスに残ることにしたのでした。

 それからは、決めたからには、私には他の選択肢はなくなり、差し迫った状況に、むしろ、これまでにないほど迷いのない潔い気持ちでさえありました。

 今から思い返すに、私は今まで、自分の人生をそれほど具体的に長期に計画してきたことはなく、夫が亡くなったことで、なおさら、「色々なことを考えていても、突如、人生が変わってしまうこともあるのだ・・人生、思い通りにならないこともある・・」と虚しく感じたり、そのわりには、なんとか生き延びてこれたものだなどと思ったりもします。

 現在、私はフランスでの生活で、まあ、たまに日常的なトラブルはあるものの、それなりの交わし方も覚え、それなりに満足して過ごしていますが、このまま、ずっとフランスで生活をし続けると肝を据えているわけでもなく、今すぐどうこうというわけでなくとも、今後、日本に帰ることがあるかどうかを時々、考えます。

 これまでは、なんとなく、フランスと日本と半々とまでは言わないまでも、一年のうちに、しばらく日本で過ごせる期間があればいいなと思っていましたが、パンデミックで突然、身動きがとれなくなった2年間とちょっと、そして、今度は戦争で、以前のように、そうそう簡単には日本と行き来ができなくなり、これが一体、いつまで続くのかわからなくなっている今、また、自分が元気で動き回れる残された時間には限りがあること(余命宣告されたりしたわけではないけど)を考えると、このままフランスにいるべきか、いつかは日本に帰った方がいいのだろうか?と考えることがあります。

 しかし、現在のところは、どう考えても、日本に本帰国することは、あまりピンとこなくて、モヤモヤしています。

 先日、日本にいる友人と電話で話していて、彼女は一時、イギリスで生活していたことがあるのですが、今は日本で生活していて、それなりに幸せに生活しているものの、どこかしっくりこないところがあるというような話を聞くと、余計に日本に本帰国することに二の足を踏んでしまう気になります。

 彼女はイギリス滞在期間中はそれなりに一生懸命、勉強していただけあって、英語が堪能で職場でも彼女の英語を過剰に頼りにされることが多く、そのわりには、職場には、出来ないもの勝ちのようなところがあり、そのうえ、海外のごくごく普通の話題などをしても、「海外かぶれ」などと言われ、いちいち、面倒で過剰な反応をされるという話を聞いたりすると「あ〜〜私、無理かも・・」などと思ってしまいます。

 その生活の環境や周囲の状況などもあるのでしょうが、今さらながら、「私にとって、幸せは何なのか?」そんな単純なことをあらためて、考えている今日この頃なのです。


日本への本帰国 終の住処


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2022年10月22日土曜日

海外で仕事を続けている義理の息子の久しぶりの訪問

  


 私が彼に最初に会ったのは、たしか彼が9歳の時だったと思います。彼は夫の前妻との子供の一人で、三人いる娘の義理のお兄ちゃんの一人でもあります。当時は、まだ、あどけない感じもあって、1週間おきに家に来ていましたし、ヴァカンスの間はしばらく家にいたりして、彼のママが教会べったりで、かなり自由な生活を制限されていたりしたこともあり、我が家が避難所のような時期もあり、彼の好きなゲームや本などは、家に保管してあったりもしました。

 なので、娘の3人のお兄ちゃんの中では、私にとっては、一番、身近な感じもしていましたが、彼は早々に家を出たかったこともあり、高校から全寮制の学校に入ってからは、すっかり顔を見る機会も減ってしまいました。

 しかし、彼はなかなか優秀でもあり、夫の息子たちの中では、夫の希望の星のようなところもあり、夫も何かと世話を焼いていて、遠くに住む彼の引っ越しなどには車で手伝いに出かけたりしていました。

 夫が亡くなった時には、ちょうど試験の真っ最中で彼にとっては試験中に大きな精神的な痛手で大変なハンディでもあったと思いますが、彼はグランゼコールに進みました。

 グランゼコールを卒業してからは、しばらくフランスの研究所で働いたあと、スイスで博士号を取得、今はドイツで原子力関係の研究所に勤務しているのだそうです。そんな感じなので、彼はパリどころか、長年、フランスにいることがない生活をしてきたので、あまり会う機会はありませんでした。

 それでも、かなり前にひょっこり、ノエルの時に来てくれたり、娘の誕生日に来てくれたりしたことはありましたが、たまにメールをくれたりすることはあっても、なんだか彼は遠い人になりつつありました。

 それが、先日、パリに行く機会があるので、「ちょっと家に寄ってもいい?」というので、久しぶりに懐かしく、食事をしながら、楽しい時を過ごしました。

 これまでじっくり聞くことがなかったスイスでの話、ドイツでの現在の生活、それぞれの国について、仕事についてなど、複数の国で生活した経験を持つ人の話は楽しいなと思いました。

 彼は研究者の道を選んだわけですが、最初はフランスの国の研究所、その後、スイスでPhdを取ったあとに、現在は大きな企業の中の研究所にいるのですが、彼の話を聞いていると、優秀な研究者の多くは外国(フランス国外)へ出て行ってしまうのではないか?と思いました。

 彼曰く、フランスは上に上がっていく機会がかなり限られている上に、時間もプロセスもかかり、そのうえ、報酬もパッとせず、話をきいていると彼がフランスに戻ってくる日はあるのだろうか?と思ってしまいました。

 彼がスイスに行ったばかりの頃は、スイスの物価の高さを嘆いていましたが、実際に働いてみるといくら物価が2倍だとしても、給料は3倍、もはや、フランスにいることは考えられないと言っています。

 だからといって、仕事はお金のためだけではないけれど、自分のやりたい研究が思うようにはできない、一企業人としての葛藤やだからといって、大学などには、十分な予算もないなど・・現在の仕事には満足はしているものの、生涯、同じところにはいなそうな気配。

 しかし、フランスで高等教育を受けた彼のような人々をフランスは、逃してしまっているのだな・・と娘とも重ねて、考えたのでした。

 専攻は違いますが、理系の道を進んだ娘も研究者になるか、それとも就職するのか、悩んでいた時期もありましたが、結局、色々、イレギュラーな出来事(パンデミック)なども重なって、きっとすんなり学生生活を過ごした場合とは違ったであろう道に進んだであろうと思います。

 しかし、結果的にフランスから出てしまっていることを考えると、なんだか、国が多額の負担を負って教育をしている結果をフランスが使いきれていないのはもったいないな・・などと、思います。

 それにしても、外国といっても、生活してみなければわからないこともたくさんあるわけで、スイスはほとんどストライキがないとか、かなり排他的な国民性、口で注意することなく、少しのことでイキナリすぐに通報されるとか、ドイツの鉄道事情が最悪だとか、保険のシステムが簡単な診療を妨げているとか、私がこれまで抱いていた両国のイメージとは違うもので、まぁどこの国も一長一短かな?と思います。

 現在、まだ独身の彼は、将来、結婚して、子供を育てていくとなると、子供のこともあるので、また、別の意味で仕事も仕事をする国も考えなければいけないな・・と言っていましたが、それにしても、今の私なら、色々、考えるところはあるにせよ、私が彼の年齢には、まるでそんなことを考えてこなかったにもかかわらず、よくも無事にここまで生きながらえてきたと思うのでした。

 義理の仲ではありますが、それぞれに歴史を知り合っている人と色々な話ができることは、大変、幸いなことであります。あんなに小さかった彼が立派に成長した姿がちょっと眩しいくらいです。


フランスの研究者


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2022年10月21日金曜日

コロナウィルス第8波のピークとオミクロンBQ.1.1

  


 フランスのコロナウィルス第8波は、先週に、1日あたりの新規感染者が6万8千人近くの数字を記録したのをピークに若干の減少傾向にあると言われています。しかし、依然として6万人前後の高い水準を維持しています。

 10月20日の時点では、入院患者数は、前日より38人多い20,110人を記録しており、新規感染者の減少とはうらはらに、未だ増加を続けています。感染から発症、悪化の時間差によるものとも思われますが、未だ安心できないのは、オミクロンBQ.1.1というオミクロンの新しい変異種の出現もあります。

 第8波と言われているフランスでは、パリでもメトロの中などは、少しマスクをしている人が増え、それなりに警戒している人もいるのだと思わされますが、この新しい変異種については、あまり騒がれてはいません。というか、コロナウィルスに関する報道はかなり縮小されています。

 しかし、これまでの感染の大半を占めてきたと言われていたオミクロンBA.5から新しい変異種であるオミクロンBQ.1.1に変化しつつあるということは、これまでの感染の波が新しい変異種の出現とともに感染の増加が起こってきたことを考えれば、容易に第8波は過ぎ去ったと言い切れない懸念を残しています。

 BQ.1.1は、すでにナイジェリアで広く流通しており、また、アメリカ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、イタリア、オランダ、イギリスでも増加傾向にあります。フランスも例外ではありません。

 10月16日の時点で、このBQ.1.1の割合は、前週の7%から16%に増加したと、フランスの公衆衛生機関が発表しています。妙な言い方ですが、新たに変異しているだけあって、BQ.1.1はBA.5より成長力があります。

 BQ.1.1は「厄介な変異に満ちている」ため、「我々の免疫系の反応を脅かす可能性がある」とともに、また、多くの科学者がこの新しい変異体が引き起こす症状(下痢や嘔吐を引き起こす特殊性がある)について懸念しています。

 発熱や嗅覚障害よりも、むしろ、消化器系の問題を引き起こす場合、患者はコロナウィルスとの関連性を認識しなくなるため、風邪や他の疾患だと考えて検査を受けずに感染が広がってしまう危険性も懸念されているのです。

 しかし、現在、急成長中のオミクロンBQ.1.1はもちろん懸念される問題ではあるものの、WHO(世界保健機構)では、オミクロンの亜系を全部で300以上リストアップしています。BQ.1.1は、その一つに過ぎないとも言えます。

 今や体調を崩すと、私も、まずは、もしもコロナに感染したかも?とすぐに検査に行きますが、それが消化器系の問題出会ったりした場合は、検査には、行っていなかったと思うので、今やどんな体調の悪化に際しても検査をしなければならないほどコロナウィルスの症状は多岐にわたっているのかもしれません。

 ちょっと風邪をひいたくらいでは、あまり医者にかかったりしませんし、医者に行ったところで治療薬があるわけでもないのですが、周囲の人に感染を広げないためには、具合が悪くなったらまず検査に行くということは必要なわけで、そんな生活はまだまだ終わりそうにありません。


オミクロンBQ.1.1 コロナウィルス第8波


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2022年10月20日木曜日

12歳の少女殺人事件が呼び起こす極右政党の移民叩き

  


 パリ19区で12歳の少女がトランクの中で死体で発見された事件は、あまりに残酷で衝撃的な事件で、先週、死体入りのトランクが彼女が住んでいた建物の近くの中庭で発見され、容疑者と見られる女性が逮捕されて以来、大騒ぎになっています。

 トランクの近くには、2つのキャリーバッグが転がっていたという遺体を隠そうともしない放置の仕方も不可思議です。

 被害者の両親は、彼女が金曜日の午後に学校から帰ってこないことを心配して、娘の行方不明を警察に知らせ、パリ東部にある自分たちの住居にこの見知らぬ若い女性がいることを通報したのです。

 この見知らぬ若い女性は、彼女が学校を出てから数分後、姿を消すまでの間、建物の監視カメラに少女と一緒に映っていた人物でした。

 発見されたトランクの中の遺体には、喉に複数の傷があり、体は布に覆われ、縛られて丸まっていました。検死の結果、死因は窒息死と判定され、被害者の両足の下に赤で0と1が書かれていたと検察庁は発表しています。

 容疑者は24歳のアルジェリア出身の住所不定の女性で、2016年に学生ビザで合法的にフランスに入国していましたが、2022年9月21日以降、フランス領から退去する義務を負っていたと伝えられています。

 彼女は8月21日にフランスの空港で滞在許可を取得していないため、フランス領からの出国義務(OQTF)を課されていますが、前科がないため、行政拘置所には入れず、30日の帰国期限付きで自由にしてもらったという経緯があったようです。  

 彼女は警察からは、ノーマークの人物で、2018年にDVの被害者として警察に記録されていたといいます。

 彼女の姉がこの被害者と同じアパートに住んでいたということ以外、彼女と被害者との接点はなく、なぜ彼女が殺されなければならなかったのか? 犯行の動機などは、解明されていませんが、犯行前後の彼女の動向を目撃した人々の証言からも、到底、普通の精神状態ではなかったことは明らかで、彼女は「15歳未満の未成年者の殺害」と「拷問と野蛮な性的行為を伴う強姦」の罪で起訴されていますが、彼女が供述を度々、翻すことで、事情聴取はが難航している模様です。

 彼女は、当初「少女を、同じ建物に住む姉のアパートに引きずり込んだ後、シャワーを浴びさせ、死に至る性的犯罪やその他の暴力を行った」と話していましたが、その後、「子供を殺すなんて有り得ない」とか、「夢を語ったのであって、現実は違う」とか、「幽霊と戦った」とか、「私もレイプされ、目の前で両親が死ぬのを見ました」と、一貫しない供述を続けており、同時に精神鑑定が行われているようです。

 地域の住民の目撃者は「彼女はトランクを持ち歩いていて、カフェの前でトランクを置いて、向かいのパン屋にクロワッサンを買いに行って、何事もなかったかのように戻ってきた」と証言しています。

 死体の入ったトランクを持ち歩いてクロワッサンを買いに行くという神経も信じがたいのですが、彼女は、荷物を持ったまま近所に戻り、ローラと同じアパートに住む姉のベルを鳴らし、姉に詰め寄られた結果、アパートの中庭にトランクを捨ててしまったとも言われています。

 この衝撃的な事件は、地域の住民にも深いショックを与え、彼女のアパートには、多くの住民が訪れ、花を供え悲しみと恐怖の感情をあらわしています。

 彼女が在籍していた学校と周辺の学校の生徒と職員のために、心理的サポートのチームが設置されました。19区の市長は住民の感情がピークに達しているため、精神科医を派遣することを発表しています。

 週明けにはマクロン大統領がこの被害者の両親を迎え入れた・・という話が流れ始めてまもなく、この事件は火曜日に国民集会(RN)と共和党(LR)の主導で国民議会で政治的な展開となり、極右と右派が「不法移民との戦いにおける政府の無力さ」を糾弾しています。

 不法移民に対しては、例えば、彼女がフランス領からの出国義務(OQTF)を課されているにもかかわらず、猶予期限の1ヶ月を過ぎているのに、追跡していないことは、解せない話ですが、極右と右派の不法移民の排除、しいては移民自体の排除問題にまで発展しかねない感じもあり、この無惨な12歳の少女の殺人事件が政治に利用されているようで、痛ましい気がしてなりません。

 

 公開されている容疑者を見ると、本当にどこにでもいそうな若い女性であることに、なおさら恐ろしさを感じずにはいられません。

 彼女の姉の証言によると、「妹は社会になじめず、夜中に目を覚まして支離滅裂な発言をすることもあった」と語っています。

 フランスでは、わりと事件があっても、加害者の家族や被害者の家族がマスコミに顔出ししたりすることもあるのが驚きですが、今回はさすがに両者ともに、マスコミには登場していません。
 
 私もこの事件を見て、やはり、フランスでは送り迎えが必要なんだな・・と思ったりもしましたが、これが移民問題に飛び火していく様子には、ちょっと納得いかない気がしてなりません。
 
 何よりも被害者家族にとって、深い悲しみの中、正義をふりかざしながら、被害者感情を捨て置くだけでなく、真相も解明されていないうちから、鉄は熱いうちに打てとばかりに事件を利用して騒ぎ出すのは、あまりに忍びなく、やるせない気がするのです。

 被害者の少女の両親は、書面にて、「恐怖と苦痛の中にいる私たちは、平和を願い、嘆くために瞑想しています。娘のために、私たちは葬儀が政治やメディアの扇動から遠く離れて、静けさと穏やかさの精神で行われることを望んでいます」と声明を発表しています。


12歳少女殺人事件 移民問題


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2022年10月19日水曜日

バゲットの値上げとお金のない人のお金の使い方

  


 INSEE(統計経済研究所)によると、昨年平均90セントで売られていた標準的なバゲットの価格は、1.20ユーロ(約175円)に近づく可能性があると言われています。欧州全体では、パンの価格が1年で18%上昇したと言われているので、フランスはまだマシな方なのかもしれません。

 しかし、そう言われても、すでにかなり前からバゲットの値段は1ユーロを超えていたような気がするのですが、あくまでも平均価格での話なので、スーパーマーケットで10本5ユーロとかいうようなバゲットも当然入っているわけで、最近、気のせいか、スーパーマーケットで、この10本セットなどのバゲットを抱えている人が増えたような気がします。

 上の写真の10本セットのバゲットは、1本だと52セントで10本セットだと5.20ユーロで、たくさん買ったところで別に安くなるわけでもないんだ・・と思いきや、10本買うと1本オマケについてくるらしい・・つまり1本あたり47セント(70円くらい)になる計算です。

 なかなかギリギリな感じですが、5人家族が多いフランスの家庭ではこの10本のバゲットもあっという間に消費してしまえる量なのでしょう。

 一般的には、バゲットはフランス人家庭にとっては、主食であり、毎日、確実に消費する食品なので、バゲットの価格はある程度の経済指標の一つになるのです。バゲットはフランス人の家庭にとっての主食であり、おやつでもあり、子供のグーテ(学校に持っていったりするおやつ)には、バゲットにチョコレートクリームや時には板チョコを挟んだりして持たせる親も少なくありません。簡単だし、いつも家にあるもので、安上がりなフランス人の子供のおやつです。

 バゲットを焼くオーブンは、ガスや電気で稼働しているので、そもそも値上がりしたと言っても高くない単価のバゲットなどのパンに関して、このエネルギー価格の高騰は大変な痛手で、原材料価格の小麦、バター、卵、人件費、パンを包む紙袋まで、全ての価格が上昇し、小さいパン屋さんなどには、とても持ち堪えられない事態。

 おまけにスーパーマーケットなどの大量生産で価格を下げる戦法には、とても太刀打ちできません。2023年度予算では、従業員10人未満の企業には来年度も関税の軽減措置が適用されることになっており、これは多くのパン屋さんに関係します。

 私自身は、それほど定期的にバゲットを食べているわけではないので、この値上げにあまりピンと来てはいないのですが、最近、レストランに行くと出てくるパン(バゲット等のハード系のパンが多い)の量が減ったな・・と感じています。(足りなければ、頼めば追加で出してくれるとは思いますが・・)

 そもそもレストランでは日本だと、パンは行くとまず出てくる水のようなもので、パンは頼まなくてもまず出てくるものなので(食事の場合)、なんか、これでもか!というくらい山盛りで出てきていたイメージがあるのですが、それが、最近、このパン山盛り感が減った気がしています。

 まあ、パンを目当てに行っているわけではないし、パンばかりでお腹を膨らましては残念なので、私にとっては、全然OKなのですが、やはりパンがないと食事にならない・・という人もいて、夫の友人のパン好きの人は、ピザを食べてもパンが欲しいとか、日本食も好きなんだけど、日本食のレストランはパンが出てこないから行かない・・などという人もいるのです。

 全てが値上がりしているため、パン屋さんだけでなく、レストランなども緊縮財政での営業なのだと思いますが、価格の高騰を嘆くわりには、フランス人は外食が好きで、価格の高騰で生活苦を訴えるデモに数万人動員・・などと言っているわりに、こんなものにこんなに払ってまで外食する?また、ランチタイムなどのテイクアウトのサンドイッチやサラダなどが結構な値段にもかかわらず、けっこう売れているのは不思議です。

 自分で稼いでいるお金、何にどう使おうと勝手といえば、勝手なのですが、午前中の休憩時間などに、毎日のように、たむろして、クロワッサンとカフェなどを食べたり飲んだりしている決して高給取りとは思えない人々になんだかモヤモヤするのです。まあ、これが中途半端に高いのですよ・・。

 先日、日本では、「貧因層ほどコンビニで割高の買い物をしている」などという報道を見かけましたが、細かいながらも蓄積される消費を抑えないのは、フランスでも同じなのかな?と思ったりもします。

 ましてや、フランスは一般的に外食は高く、10ユーロ(約1,450円)以下で食事ができることは、かなり稀なのです。

 もともと私はケチなので、支払う金額に対してそれなりの価値がなければ、外食をする気にはなりません。外食をする場合は、家で自分で作れないもの、またお店の雰囲気や空間が心地よいと感じられる場所に限られるので、そんなに外食する機会が多いわけではないのです。

 しかし、「貧因層ほど無駄なお金の使い方をする」というのは、フランスでもまた、同じかな?と感じるのです。


バゲット値上げ 貧因層


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2022年10月18日火曜日

些細なもので、感動できる「海外生活のおタカラ」の日本食

  


 日本に一時帰国する際には、入念に日本で買ってきたいものをリストアップ(ほぼ食糧)し、日本に滞在している間は、躍起になってそのリストアップされた食糧を探し回ることになるのですが、もう久しぶりに行く日本のスーパーマーケットは、欲しいものだらけで、大変な興奮状態になります。

 賞味期限等もあるので、ものによっては、買うタイミングを図りつつも、買い物に行けば、セールになっていたりすると、ついつい手が伸びてしまい、荷物をパッキングする際には、通常スーツケース1個あたり23キロに制限される荷物をギリギリ、プラスマイナス1キロ以内にまで調整するのに汗だくになり、期間中に頂いたものなどを併せると、結局、いつも泣く泣く置いて帰らなければならないものがでることになります。

 しかし、フランスに帰ってきて、山のような荷物を納めるところに納めてしまうと、案外あっけなく、何もなかったように納まってしまうのも、ちょっと寂しい気さえするほどなのですが、それでも日本から持ち帰ったものでいっぱいになっている冷蔵庫などを眺めるにつけ、自然と笑みが溢れてくるものです。

 なまものに関しては、賞味期限が短いので、案外あっさりとなくなってしまうのですが、逆にインスタントラーメンなどは、賞味期限も長いために比較的長いこと保管していることになるのです。

 今やインスタントラーメンなどは、パリでは行くところに行けば、買えるものではあるのですが、種類もそんなに多いわけではなく、日本から持ち帰ったものというのは、やはり特別な思い入れがあるわけで、ここぞと言う時の「ご褒美」、落ち込んだりした時の「元気の源」になるわけで、「とっておき」のおタカラとして、抱え込むのであります。

 そうなってくると、案外、忘れて賞味期限切れになってしまう場合も少なくないのですが、海外生活では、賞味期限にもかなり寛容になり、少々の賞味期限切れなどは意に介すこともなくなり、おおよその目安と化しています。

 そのとっておきのラーメンなどを食べるときには、本当にそれで、かなり癒されるもので、この喜びは海外生活ならではの感動だな・・とむせび泣く思いでラーメンを啜るのです。

 このささやかな喜びは日本に住んでいたら、ごくごくあたりまえの普通のことになり、なんの感動もなくなると思うとラーメン一つでこんなに感動できる海外生活というのも、悪くないな・・と思うのです。

 やはり、日本食と見れば、大興奮で一時帰国の際には、テンション高く私と買い物をしていた娘は現在は、日本で仕事をしているので、さぞかし食生活には満足しているかと思いきや、やはり、毎日の日常になれば、さしたる感動も失せ、しらっとしていることに、なんだか目を輝かしながら一緒にスーパーマーケットを回っていた同士を失ったようで、今後は一人でやたら興奮しながら買い物をするであろうと思いつつ、なんか、彼女はあの感動を失ってしまったことが気の毒な気さえしてくるのでした。


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2022年10月17日月曜日

パリのモーターショーと電気自動車購入のためのボーナスとガス欠

  


 今週からモーターショー(自動車国際見本市)が、4年ぶりにパリに戻ってきます。通常は、1年おきに開催されているパリのモーターショーは、2020年にはパンデミックのために開催が中止されたために、実に4年ぶりの開催になります。

 しかし、例年は、2週間で100万人が集まる大規模な人気のイベントでしたが、今年は自動車業界の複雑な状況から規模を縮小して行われ、主催者は、今年の来場者数を1週間で、30万人から40万人とすることを目標としています。

 メインのフランスのプジョーとルノー、シトロエンと共に中国とベトナムの電気自動車ブランドが大きなブースを構えて欧州進出を狙っています。

 ルノーは新型ルノー5と一緒に展示される電気自動車SUV、新型ルノー4を展示、プジョーはジープ、DSの新型車を発表、シトロエンは「サスティナブル」をコンセプトとしたOLIを先行公開します。

 しかし、このモーターショーが盛り上がりにかけるのには、ドイツ車、日本車が出展していないこともあり、BMWとフォルクスワーゲンは、子会社のミニ、シート、ブガッティ、ランボルギーニとともに参加しない予定です、日本車に関しても不参加と噂されており、話題には上がってきていません。

 このモーターショーを前にしたタイミングを図ってのことだと思いますが、前日には、マクロン大統領は、国民に向けて、電気自動車購入の際に所得の低い層の国民に対して(全世帯の約半数)のボーナスを6,000ユーロから7,000ユーロに増加することを、同時に電気自動車の充電ステーションにエネルギー価格の関税シールドを拡張することを発表しました。

 この電気自動車購入のためのボーナスは、電気自動車がガソリンやディーゼル車に比べてはるかに高額であるにもかかわらず、多くの国で市場が離陸する手助けとなってきましたが、このボーナスは、47,000ユーロ以下で販売される車、すなわちルノー メガーヌやプジョー2008などの小型電気自動車やSUVが対象で、テスラは対象外です。欧州製の車の購入に対するメリットの強化を計っています。

 同日、ボルヌ首相はこれまでのガソリン1リットルあたり30セントの援助を11月中旬までに延長することを発表しています。

 しかし、大統領、首相のそれぞれの発表には、国民はさして関心を寄せてはおらず、どちらかといえば、「今ごろ何を的外れなことを言っている!」「まず、給油も満足にできない状態をなんとかしろ!」と、反対に国民の怒りを買う始末。

 ボルヌ首相は現在の製油所のストライキについて、「私たちは、ストライキの権利は尊重しています。しかし、組合とは過半数の同意を得て交渉を締結しているのだから、少数派の意見の人々がいつまでもストライキを続けることは、あり得ない、会社側も従業員を説得する努力をする必要があり、責任がある」「しかし、もしも明日もまた、状況が非常に緊迫していれば、徴発(強制的に仕事をさせる)を行うことができる」などと言及しているものの、彼女の言っていることはいちいちもっともなことではあるのですが、どうも彼女のキャラクター?からか、厳しい学校の先生のような感じで一般庶民にあまり行為的に受け入れられる感じがしないのも残念なところです。

 ガス欠で車が動かなくなる車が多いのか、最近、レッカー車をよく見かけるようにもなり、ガス欠で仕事に行けない、店舗なども品物が届かない、来週から始まる予定のバカンスにも行けない・・状態で、電気自動車購入のボーナスなどの話をされたところで、それどころではない!政府は悉くタイミングがズレている!といって国民の怒りを買うのも致し方ない状況なのです。


パリ モーターショー 電気自動車購入ボーナス ガソリン不足 


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2022年10月16日日曜日

パリ12区で服従拒否の運転手に警察官が発砲 運転手死亡

  


 パリはまことに物騒な犯罪の多い街でもありますが、同時に警察官の検問にも注意を払い、素直に従わないと撃たれる可能性があると言うののは非常に恐ろしい話です。

 今年に入ってから、一体、何件、同じような事件を聞いたか、警察官を見ても、ちょっとそら恐ろしくなるような気さえしてしまいます。

 金曜日の夜7時半ごろ、パリ12区で保険未加入の車両の取締をしていた警察官が車を停めるように促したところ、運転手はこれを無視して逃走をはかり、交通渋滞に巻き込まれた脇道に入りました。

 車がいったん、止まったところで、2人の同乗者は徒歩で逃走し、車内に残った運転手にエンジンを切って、車から降りるように言うと、運転手は警察官に向かって車を発車させようとしたため、警察官が発砲したということです。

 同乗者は依然として逃走中、知人が殺された現在、どんな気持ちで逃げていることやら・・。なぜ、逃げるのだろうか?と一瞬、思いましたが、警察官に拳銃を向けられたら、さすがに怖くなって逃げるのは、普通です。

 運転手はその後、この脇道で店の前に駐車していた別の車両に突っ込み、まもなく死亡したそうです。現場を目撃していた人の証言によると、警察官が発砲したのは、3発、うち1発が命中し、運転手は重傷を負い、現場で心臓マッサージを受けたものの死亡してしまいました。

 この発砲事件で警察官2名が身柄を拘束され、国家警察監察局(IGPN)により「権力者による自発的過失致死」の調査の一環としての捜査が開始される予定です。

 今年に入ってから、服従拒否に関連して警察が発砲し、12人が死亡しています。私がちょっと思い浮かべるだけでも2〜3件はあります。シートベルトのチェックのための取り締まりの際の服従拒否での発砲事件もあったし、車ではなく、空港でのホームレスに向けての発砲事件もありました。

 いずれの事件もその時は、警察官の発砲事件が起こった!と一瞬、報道され、公権力保持者による自発的過失致死で捜査・・とまでは報じられるのですが、その後にその警察官がどうなったのかは、あまり報道されません。

 その度に、法務相などが出てきて、警察官は非常に危険な職務についているなどと、警察を擁護するかのごとき発言をするのがとても気になるところですが、保険未加入で逃走しようとする運転手に向けて、発砲までしなければならない理由がわかりませんし、発砲するにしてもとりあえず車を止めるならば、タイヤに向けて発砲するとか、別の方法があるのではないかと思ってしまいます。

 警察官が危険にさらされる職業であることは理解できますが、あまりに気安く発砲しすぎる傾向がある気がしてなりません。今回、法務相は、「警察官が武器を使用するケースは0.5%に過ぎない」と得意げに話していましたが、警察官や憲兵が1年間に記録した約26,000件の応召拒否のうち、約200件に発砲しています。つまり、0.76%の確率ということです。

 そもそも従わないから殺してしまうというのは、どう考えてもおかしな話です。死刑制度のないフランスは、死刑制度を声高く非難しながらも、微罪の犯人に対しても警察官の手であっさり射殺してしまう一面もあるのです。


パリ12区警察官発砲事件 服従拒否 射殺


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2022年10月15日土曜日

鎖国を解除した日本について 日本に観光客は戻るのか?

  


 「2020年春にパンデミックのために、外国人観光客をシャットアウトしてしまった日本がようやく今週からその扉を開けた!」と、紹介する報道がちらほら上がってきています。

 日本水際対策のためにしいていた外国人に対しての鎖国を段階的に解き、今年6月には、外国人観光客の入国が許されたものの、それは団体旅行や旅行代理店を通じた旅行に限られていました。

 そんな日本にも、10月からは、ようやく68カ国からの旅行者が再びビザなしで入国できる(ワクチン3回接種証明書あるいは、出発前72時間以内の陰性証明書があれば)ようになったことは、フランスのメディアでも取り上げられ始めました。

 パンデミックのためには、これまで日本人でさえも海外からの入国には、72時間以内の陰性証明やワクチン接種証明書、入国後の検査や強制隔離施設での隔離期間など様々なハードルが設けられていましたが、それ以上に外国人であるというだけで日本入国には、特別な場合にしか入国は認められず、ビザを取得しなければならなかったため、事実上、不可能に近く、またそのビザ取得のためには、日本から書類を取り寄せなければならなかったり、大使館には常にそのための長蛇の列ができて、通常業務にも差し障りが出る大変なことだったのです。

 外国人というだけで入国を拒否し続けてきたことに関しては、その意味は未だもって納得はできませんが、このビザが必要なくなるという発表前にビザを申請するために支払った料金も返金されることはなく、もやもやが残る鎖国解除でもあります。

 パンデミック前の2019年には、3,180万人の海外からの観光客を受け入れ、それに匹敵する経済効果(同年4兆8000億円、現在の価格で約340億ユーロ)を記録しましたが、日本はこの鎖国のために、2021年の訪日外国人旅行者は25万人未満にまで落ち込み、2022年も現時点では、50万人強で、以前の記録には遥か及びません。

 しかし、この鎖国解除の発表以来、日本の航空会社JALの予約は3倍に跳ね上がり、折りしも、記録的な円安を更新し続ける日本は海外からの観光客にとっては、またとないチャンスでもあり、日本は今なお人気の高い観光地であると伝えています。

 そんな日本に行く人のために、海外のメディアが現在の日本について、伝えていることの中で、「ほ〜っ!なるほど・・」と思ったことをお伝えします。

 まず、「コロナウイルスにより、人口1億2600万人近いこの国で約45000人の死者を出したが、これは他の多くの先進国に比べてはるかに少ない。 これは、日本の徹底した衛生管理によるものでもあり、日本ではまだまだ衛生習慣が厳しいので、それを遵守しなければならない。交通機関や店舗では今でもマスク着用が制度化されており、屋外でも厳しく監視されていおり、国は室内ではマスクを着用し、大きな声で話すことを控えるよう促しているので、日本に入国した場合は、この日本人の習慣に適応しなければならない、日本政府は、パンデミック発生時に、ホテルが管理体制に従わない宿泊客を拒否できるようにする規制強化策を承認している」と注意喚起を促しています。

 次に「ほ〜っ!」と思ったのは、「日本はこの鎖国期間に電子決済サービスを拡張し、現金の使用率が依然として高いこの国においては、ちょっとした革命が起こっている」という点です。

 私が2年ぶりに日本に行ったのは今年の4月でしたが、あまりに現金を使う人が多いのにはビックリさせられたばかりでした。銀行のATMなどに行列している人々に、なぜ?こんなに銀行に行列ができるのかを不思議に思ったばかりでした。

 やはり海外から見れば、現金を使うという人がこんなにも多いということは、驚きだということなのです。

 そして、円安と同時に航空運賃が爆上がりしていることにも言及しています。航空運賃は、燃料費の高騰、2020年以降に航空会社が被った多額の損失、ウクライナ戦争によりヨーロッパからのフライトがロシアを迂回せざるを得なくなったことなどで膨れ上がり、日本への観光客への抑止力にもなっています。

 大手オンライン旅行会社MisterFlyによると、日本への航空券の平均価格が83%上昇しているとしており、日本の鎖国解除は、フランス人旅行者の間で大きな関心を呼んでいるものの、この破壊的な航空券の価格上昇は大きな障壁となっていると言っています。

 日本政府は、年初から対ドルで25%値下がりした円安が観光客を呼び、経済活性化につながるものと期待していますが、83%の航空券の価格の上昇とどう折り合いをつけて日本へ行く選択をするかは、決して楽観視はできない状況ではないでしょうか?


日本鎖国解除


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2022年10月14日金曜日

EUがロシアの核兵器使用に対して警告「ロシアの核攻撃は、ロシア軍が全滅するほど強力な西側の軍事的対応に繋がる」

  


 最近のロシアのウクライナへの侵攻に関しては、ぼちぼちフランスでも、「プーチンは負けたのか?」という内容にシフトしつつあります。10月に入って以来のキエフへのミサイル空爆などに関しても、「この調子でミサイルを使い続ければ、ロシアの武器は枯渇し始める・・」とか、プーチンによる部分的動員でほぼ強制的に動員されている人々はほぼ素人で、何の訓練も受けずにすぐに白旗を揚げているとか・・もはやロシアに勝ち目はない・・という見方に変わっています。

 しかし、ロシア勢が劣勢になればなるほどプーチン大統領が核兵器を使用するリスクは上がっているということでもあるものの、ロシアが核兵器を使用する決断をすることは、そう簡単なことではなく、プーチン大統領の健康状態や精神状態などを併せながら語っています。

 先日もマクロン大統領が核兵器使用については、話題にし過ぎることは、信憑性がなくなることになるので、あまり多くを語らないと言っていたばかり。

 その翌日に、EUの外報部長は、ブルージュでの講演の中で、「ロシアによるウクライナへの核攻撃は、ロシア軍が全滅するほど強力な西側の軍事的対応につながる」と警告しています。

 彼は「プーチン大統領は、核の脅威に対してハッタリではないと言っています。そして、ウクライナを支援する国、EUとその加盟国、米国、NATOもハッタリではないことを理解する必要がある」と述べています。

 これではますます「ハッタリではない」と言い合う脅迫合戦ですが、言われるまでもなく、どんな種類の核兵器であろうと一度たりとも使用することがあれば、EUやNATO、アメリカなどのウクライナを支援している国々が軍事行動を起こし、紛争の性質を根本的に変えることになることは、ロシアもわかっているからこそ、さんざんの脅しをかけながらも踏み切れずにいるのです。

 「核兵器の使用は、たとえ小さなものであっても大変な結果をもたらすものであり、ロシアもそれを承知している」としながらも、「NATOが核兵器を使用しなければならないような状況は極めて稀である」とNATO事務総長は述べていいます。

 NATOが核兵器を使用するには、NATOの同盟国に対する攻撃が行われた場合で、ウクライナに関する限り、当事者ではない。NATOの核抑止力は、同盟国への攻撃を抑止するためのものだ」と述べ、NATOによる核兵器の使用を暗に否定しています。

 EU、NATOなどの国々は核兵器を保ちつつも核兵器を使うことなくロシア軍を全滅させるほどの軍事対応をするということになります。

 また、 米国防長官は、「彼らは非常に危険で無責任だ」と警告し、「ロシアが核態勢を変えたという兆候は今のところないが、我々は365日24時間監視している」と述べています。

 核兵器の使用をチラつかせながらハッタリではないと脅し続ける一方で、占領した地域をどんどん奪還され始め、軍事的に劣勢になってきているロシアは、軍事力ではなく、わけのわからない選挙という茶番劇で無理矢理、領土を併合しようとしたり、そんなことあり得ないでしょ!という非常に子供じみた方法を取ったり、やはりどう考えても勝ち目はありません。

 ロシアが攻撃すればするほど、ウクライナは諦めるどころか、さらに強力に対抗し、EUやNATO、アメリカ、G7などの国々との連帯を強め、「北風と太陽」の話を彷彿とさせます。

 しかし、そもそもあり得ない形で始まった、このロシアのウクライナ侵攻は何をしでかすかわからないロシアの現在の状態で、そのうえ最初の数週間で占領できなかった時点で、もはやロシアには勝ち目がないにもかかわらず、多くの自国民でさえも犠牲にしながら侵攻を続ける建設的な意味はまるでなく、たとえ自国が滅びようとも、このやぶれかぶれに何をするかわからないロシアがハッタリではなく、本当に脅迫どおり、パリ、ロンドン、ベルリンを攻撃するようなことだって、ありえないとは言えないのです。


ロシア核兵器使用の場合はロシア軍全滅 EU警告



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2022年10月13日木曜日

マクロン大統領1時間のインタビュー生番組 圧倒的な話すチカラ

  


 フランスでは、そんなに珍しいことでもありませんが、先日、マクロン大統領が夜のニュース番組の中で、1時間近くにわたり独占インタビューに答えて語る番組が生放送されました。

 様々な国際問題について、ロシアのウクライナ侵攻について、フランスのウクライナへの武器供与、ロシア・プーチン大統領との交渉について、核兵器について、エネルギー危機について、ガソリン不足問題、原子力発電について、ベラルーシ、イランやアルメニアの問題について、などなど、これでもかというくらい喋りまくりました。

 ジャーナリストのキャロライン・ルーとの1対1の対話、途中ウクライナからのジャーナリストの質問などを挟みながらの生番組で、おおよそのテーマは決められていたであろうし、その一つ一つに対する話の内容については、用意はしていたとは思いますが、どちらもかなりのテンションで話が進んでいく中、おそらくかなり自分の中で練り込まれているであろう内容を自分の言葉で巧みに語っていく様子には、毎度のことながら、お見事と感心させられます。

 ロシアのウクライナ侵攻については、フランスが戦争をしているわけではなく、ウクライナを守るために武器供与を行なっているのであり、ロシアは2月24日、ロシアはウクライナに対する戦争の開始を選択しましたが、今月に入ってからのロシアによるウクライナへの一般市民を巻き込んだ空爆による攻撃はさらなる段階に突入したと見ており、このことから、さらに6台のシーザー砲を追加供与することを決定しました。

 今月に入って以来激化しているロシアによるウクライナへの攻撃について、マクロン大統領は、たとえロシアがこれを戦争ではなく「特別軍事作戦」と言ったとしても、国際的な武力紛争であるため、戦争の規則が適用され、民間人に対する攻撃は、国際法上、戦争犯罪とみなされると明言しています。

 数週間前にプーチン大統領と話したという彼は、必要ならばいつでも話をする用意があるが、いずれ話し合いのテーブルにつかなければならないのは、ロシアとウクライナであることも強調しています。

 また、国内の問題については、これまで欧州はロシアのガスに依存しすぎており、以前は購入するガスの約40%がロシアからでしたが、現在は7.5%。「ロシアはガスを戦争の道具に変えてしまった」と語り、フランスの原子力発電所については、「56基のうち30基が稼働している状態。あと数週間で、40基が稼働され、1月には45基にするのが目標であり、この目標は達成される見込みであることを発表しました。

 ロシアの核兵器の使用については、非常に警戒が必要であるとしつつも、核兵器への脅しに煽られて話題に上げすぎてはいけない、あまり多くを語らない方が信頼性が高まると述べ、フランスも核兵器保有国であるということだけを語りました。

 そして、現在フランスで起こっているガソリン不足問題については、これは戦争によるものではなく、製油所のCGTの社会的な問題であり、首相が決定した製油所労働者を徴用する(最低限社会生活に必要なガソリン供給のために働くことを強制し、従わない場合は懲役6ヶ月、罰金1万ユーロという罰則つき)ことについて、夜中にガソリンを探すために行列している人々のことを思うと、頭が下がる思いであり、これ以上、国を封鎖したままにしておくわけにはいかない、フランスの燃料価格が他のヨーロッパ諸国と比べて圧倒的に上昇していないのは、国が差額を支払っているからで、誰もが自分の立場をわきまえ、すべての責任を負わなければならないと述べました。

 おそらく、この場に臨む以前に何度も話し合いが続けられてきた内容ゆえ、台本なしになめらかに力強く語り続けることができるのでしょうが、この他にベラルーシ、イラン、アルメニア問題なども語りつつ、最後にインタビュアーが締めの言葉に入ろうとしたのを遮って、最後にもう一つ言わせて欲しい!と彼自身の納得のいく言葉で「たしかに難しい局面ではあるが、わたしたちにはチカラがある。必ず乗り越えられる」と締めくくりました。

 マクロン大統領は弁が立つことで有名で、時にはそれが嫌われる原因ともなるのですが、なんといっても、その言葉は力強さには、もしかしたら騙されているかも?と思いつつも納得させられてしまうようなところがあり、何よりも、なに一つ国民に対して満足に説明できない日本の首相の様子を見ている限り、国のリーダーとして、羨ましい気持ちを拭いきれないのでありました。


マクロン大統領インタビュー生番組


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2022年10月12日水曜日

必須アイテムになったガソリンスタンド検索アプリ pénurie mon essence

   

ガソリンスタンドを探すためのマップ


 ほどほどなところで解決すると思われていたフランスのガソリン不足問題。

 そもそもガソリンの供給も危うい状態に製油所のストライキが重なって、日々、問題は拡大し、深刻化している上に、危機感を煽られる人が続出。中には、ポリタンクを抱えて過剰にガソリンのストックを始める人までいたり、どこのガソリンスタンドでも、長蛇の列・・と思っていたら、もう列ができる以前にガソリンスタンドのタンクも空になって補給されなくなり、今やガソリンのあるガソリンスタンドを探すことが難しくなり、ガソリンスタンド検索アプリなるものが必須アイテムになっています。

 9月の時点で、すでに政府が軽油やガソリンを置いているガソリンスタンドをリストアップし、燃料の種類、ブランドの種類、部署や町単位での検索が可能なサイトを提供し、定期的に更新しています。フランス政府のガソリンスタンド検索サイト

 また、ユーザーによって開発された« pénurie mon essence »(ペニュリー・モン・エッセンス)のサイトは政府のサイトよりもさらに便利で、利用可能なガソリンスタンドを一覧できるマップを搭載しています。何よりも政府のサイトよりも優れている点は、その情報が常にリアルタイムで更新されている点です。« pénurie mon essence »

 こちらの方は、探したい場所の市町村の郵便番号を入れるとその地域から近くの利用可能なガソリンスタンドが出てきます。《Essence & CO》

 通勤に車が必須な人や運転の仕事をしている人(タクシーや運送会社など)には切羽詰まった状況で、ついには、「警察、消防、救急などの車両用が最優先」などという話までし始めたのには、ますます危機感が煽られる感じがしますが、煽られるというよりも実際にガソリンを探すのが困難な状況に陥ってしまっているということなのでしょう。

 価格の高騰だけでなく、あたりまえのように使っていたものの供給が止まる・・普段、ガソリンに有り難みなど感じませんが、考えてみれば、ガソリンがないと、あらゆることがストップしてしまうことを今更のように思い知らされるのです。

 ガソリンスタンド、または、すでにガソリンの入った車からのガソリンの盗難事件なども起こり始めているようです。

 何にせよ、パニックが起こった時には、似通ったことが起こるのでしょうが、パンデミックの当初にマスクが足りなくて、輸入されたマスクが病院に優先的に運ばれるそばから、盗難事件が起こり、最後には、マスクが国内に到着すると、大変な護衛隊に先導されて運ばれていたことを思い出しますし、コロナウィルス対応に政府が最初に作っていたサイトよりも、結果的に、大いに活躍したのは、政府とは無関係の24歳の青年が作ったサイト「コビット・トラッカー」(ワクチン接種の空き状況が確認・予約できるサイト)だったりしたことも、なにかと共通点を感じます。

 後にこの「コビット・トラッカー」は政府のサイトと連携するようになりましたが、より便利なツールを自分自身で自由自在に築いていくZ世代の力強い活躍を感じました。

 このガソリンスタンド検索アプリによって、無駄にガソリンを探し回る必要はなくなりましたが、供給量が絶対的に不足していることを解決できているわけではなく、このガソリンの大元の供給に加えて、ストライキによる供給量の低下には、一部の政治家までがストライキを動員したりしているのには、閉口してしまいます。

 今は国内で争っている場合ではないと思うのですが、やはりアプリだけでは解決できない問題で、どうにか、これ以上の混乱が起こらないためにも、おおもとの問題が解決してくれることを願っています。


ガソリンスタンド検索アプリ


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2022年10月11日火曜日

コロナウィルス第8波 公共交通機関(閉鎖空間)でのマスク義務化検討中

     


 フランスでは、今年の5月半ばに公共交通機関内でのマスク着用義務化が撤廃されて以来、夏の間は、ほとんどマスクをしている人がいなくなっていました。それでも、マスクをしている人が決してゼロにならなかったのも事実で、これまでマスクを忌み嫌っていたフランス人、よほど痛い目にあったか、恐怖が植え付けられた人なのか・・と思っていました。

 3月の段階で、屋内でのマスク義務化が撤廃されて、最後まで残っていたのが公共交通機関でのマスク着用義務でした。

 そして、7月末で、2020年3月から施行されていた保健衛生上の緊急事態の期間が終了し、それとともにコロナウィルス感染対策のためにとられたすべての例外措置が終了したので、現在は、これまで行われてきたロックダウンや行動制限措置等が必要になれば、政府は国会と一つ一つ交渉して、対策を講じなければならない状態になっています。

 秋の訪れとともに、第8波を迎えているフランスは、1日の新規感染者数は着実に増加し、先週の1日の新規感染者数の平均は56,000人程度、入院患者数は16,000人を超えています。

 個人的には、想像していたよりは、増加の速度は遅いような気がしますが、確実に波の高さが上昇中であることに違いはありません。

 この状況を受けて、科学技術評議会は公共交通機関(閉鎖空間)でのマスク義務化再開を検討中であることを明らかにしています。

 しかし、大多数の人がマスクをしていないとはいえ、最近では、メトロの中などでのマスクをしている人は、少し増えた感じがあり(といっても車内1両中に5〜8人程度)、なんといっても、マスク義務化が撤廃された当初のようにマスクをしている人に対して怪訝な顔をしたり、いちゃもんをつけたりする人がいなくなり、必要だと思う人はマスクをつけ、必要がないと考える人はしないというバランスの良さというか、それぞれの棲み分けが健全にできている感じで悪くないな・・と思っています。

 私自身は、現在は、屋外ではマスクはしていませんが、公共交通機関の中ではマスクをするように、マスクはいつも持ち歩いています。

 一時は、「マスクをいつまでもしてるなよ!」的な人がいて、嫌な思いをしたこともあるのですが、今はマスクをしている人もしていない人もそれぞれに尊重している感じです。

 3月末に屋内でマスク義務化が撤廃された時に、スーパーマーケット内(パリ)で「いつまでマスクしてるんだ!」と他人に絡んでいるおじさんがいて、ゾッとしたり、4月に日本に行った時に、外を歩いていた時に、誰もいない屋外の空間だったので、マスクを外したら、どこからか人がひょっこり出てきて、すっごい怖い顔で睨まれたりして、「うわっ日本人怖い!」と思ったりしたことがありましたが、現在のフランスのマスク事情に関しては、そのようなどちらに対しても、同調圧力というものがなくなり、ちょうどいいというか、バランスがとれて健全になった気がしています。

 今後は、急激に感染状況が悪化することがあれば、再び義務化も致し方ないとも思うのですが、今の必要だと思う人はマスクをつけ、マスクをしている人に対しても嫌な顔をしないという状況がちょうどよいのでは?と思っています。

 現在は、インフレやエネルギー危機、節電など、他方面からの生活の締め付けられる場面も多く、抑圧されることに溢れているので、マスク義務化はこれまで以上に慎重になっていると思われます。

 でも、今のところ、フランスのマスク事情、いい感じです。

 

コロナウィルス第8波 公共交通機関マスク義務化


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2022年10月10日月曜日

チップについて、一番ケチなのはフランス人

   


 テレビのニュース番組で、「チップについて、一番ケチなのは、フランス人という研究結果が出ています」という話を紹介していて、堂々、一番のケチはフランス人!、2位がイギリス、3位がイタリアなのだそうです。

 「フランス人はケチだもんな・・」と思いつつ、それとほぼ同時に「えっ??チップ??」と私は、ハッとさせられていました。

 正直なところ、恥ずかしながら、私はいつからだったか、記憶もないほどにチップというものをすっかり忘れていて、ここのところ、レストランなどに食事に行っても、チップというものを払った記憶がなく、チップというものの存在すら全く忘れていたからです。

 そもそも、私はそんなに外食をする方ではないのですが、それにしても、全く忘れていたというのも、自分でも、ちょっとビックリするぐらいです。

 たしかに、以前は、食事をしたりして、いくらかはチップを置いていた記憶はあり、サービスによって、その金額を調整したりしていた記憶もあるのですが、どうして、いつの間にか、このチップをきれいさっぱり忘れていたのかというのも、あまりにその忘却ぶりが完璧すぎて、ちょっと自分でも唖然とするくらいです。

 別に、「チップなんて、払うものか!」と思っていたわけでもなく、チップというものの存在自体を忘れていたのです。

 言い訳じみたことを言わせてもらえば、パンデミックの間、かなり長い間(たしか半年以上)、レストランというものは、営業停止で外食そのものが不可能であったこと・・もう一つは現金というものをほとんど使わなくなったことで、以前は現金で支払うと、お釣りがわざとチップ用と思われる感じで細かい小銭で返ってきたりして、そのうちいくらかを置いてくる・・という感じだったと思うのですが、カードで支払うよういなって、お釣りというものもないため、支払いはカードのレシートが返ってくる時点で終了した感があるのです。

 そして、もう一つは、周囲も多分同じなのでしょうが、チップを置いている人を見かけないために、忘れがちなチップというものを思い出させてくれる場面に遭遇しないこともあるかもしれません。もともとチップという習慣のなか日本で生まれ育ってきた私にとって、うっかりチップを忘れてしまうのは、そんなに難しいことでもありません。

 そもそも、フランスでチップという文化は消えつつある感じでもあり、チップを払うのは10人のうち2人と言われています。それでもチップは支払い額の3%程度というのがおおよその相場とされているそうです。

 最初に海外旅行をし始めた頃は、海外にはチップという習慣があるから、礼儀として、レストラン、ホテル、タクシー、美容院などでは、価格の○%はチップを置いてくるものだ・・と言われたりして、やけに慎重にチップを用意したりしていたこともあったのですが、時代も変わり、私も変わりました。

 そもそも、現金や小銭というものをほとんど持ち歩かなくなった今、チップのために小銭を持ち歩いてまで、チップを支払うべきか?というのも、考えてしまうところでもあります。

 今でもレストランの支払いのレジの近くには、チップを入れる箱が置かれていることも多いのですが、そもそもレジにさえ行かずにテーブルで支払いを済ませてしまうことの方が多い気がするので、それさえも見かけません。

 フランスでは、チップというものは、そもそも任意のシステムで、義務ではありません。マスクと同じで義務化されなければ、やらないという国民性。フランスからチップというシステムは、消えていきつつある習慣なのかもしれません。


フランス人のチップ チップの習慣


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2022年10月9日日曜日

ランチタイムの中華料理屋さんでの風景 Impérial Choisy

   

フランス人の定番中華メニュー ナム(春巻き)とカナールラッケとチャーハン


 我が家の食卓は、かなり和食というか、日本の食卓に近い料理をすることが多いため、そのための食材の確保のためには、普通のフランスのスーパーマーケットでは、手に入らないものがあって、たまに調味料系や野菜などの買い物に13区のチャイナタウンにあるタンフレール(アジア系スーパーマーケット)に出かけます。

 日本食料品店は、オペラ界隈に何軒かあるのですが、こちらよりも広範囲の商品があり、値段も多少安いので、13区に行くことの方が多いのです。

 13区のタンフレールに行った時には、それがお昼時に重なれば、必ず行く中華料理のレストランがあります。もうかれこれ、10年以上は通っているお店で、いつ行っても活気があり、ちょっと時間を間違えると行列するハメになるほどの人気店です。

 このお店をどうやってみつけたのか?今となってはどんなキッカケで行き始めたのか?記憶もないくらいなのですが、中国人のお客さんも多く、常連さんが多いのにもその人気が伺えます。値段も良心的なわりには、クォリティもたしかで、フランス人のお客さんも少なくないのには、「知っている人は知っているんだな・・」と感心させられます。

 以前に比べると、いつのまにか、お店も格段にきれいになって、今では店舗を地下のスペースにまで拡張しています。

 先日、ちょうど、買い物に行った際に久しぶりに食事に寄って、変わらない安定したお料理を楽しんできました。

 ちょうどお昼時で、仕事の同僚らしき男性客の集まりが多く、世の男性のランチはこんな感じなのか?とちょっと興味深く、観察していました。

 隣に座った二人組の男性、先輩の方は、ちょっと馴れた風を装っていて、何ページもあるメニューを見ながら、後輩くんに、オーダーするの手伝おうか?などと言っていて、しかし、実のところは、そんなに詳しくもなく、オーダーを始めるのを聞いていると、実は後輩くんの方が詳しい感じ・・。こういう人っているよな・・ちょっとカッコ悪・・と思いながら、様子を伺っていました。

 また、少し離れたところにいる4〜5人の、やはり会社の同僚と思われるグループの男性たちは、揃いも揃って、皆がカナールラッケ(Canard laqué )(うっすら甘い五香粉の香りのするソースをつけながらじっくり焼かれた鴨)・・おとなしそうだけど、やたらにハンサムな若い男の子も大人しく先輩方に従っています。

 友人同士ではない、この微妙な距離感の取り方に、平日のランチタイムの独特な雰囲気を感じます。私自身は、仕事中には、食事の時間も同僚と外に食事に出るような時間を取れなかったので、こんな雰囲気も妙に新鮮な感じがします。

 せっかく大勢で来ているのだから、中華料理なんだし、違うものを頼んで、分け合って、色々なものを楽しめばいいものをと思うのに、同じカナールラッケがそれぞれの前に並びます。フランス人は、レストランで皆で分け合って食べることをあまりしないのです。

 実際、中華料理のお店でフランス人の8割型の人はカナールラッケを食べるのではないか?と思うほど、フランスでは人気のカナールラッケです。

 そして、また、反対側に座っている私と同年代の女性とその娘の二人組。なんとなく、そのお嬢さんも娘と同じ年頃で、なんとなく微笑ましく様子を眺めていると、これまたフランス人の中華料理店での三種の神器?とも思われるオーダー。

 カナールラッケとチャーハン(Riz Cantonais / リ・カントネ)と春巻き(といってもナムという米粉の皮を使った小ぶりの春巻き)、これに、このお店の人気メニューの一つでもあるエビワンタンスープ。

 彼女たちのテーブルに並んだメニューを見て、これは、なんとフランス人の中華料理オーダーのお手本?のようなチョイス!と目を丸くしていると、ひたすら食べるお母さんに比べて、軽く春巻きをつまむ程度の娘。「なによ!あなた、あんまり食べないわね〜」と言いながら、ひたすら食べるママ。

 娘の方は、「食べているわよ〜」と言いながらもどこか冷めた感じで、結局、残ったお料理をママがテイクアウト。

 いつだったか、このお店に娘と二人で行って、二人ですごい勢いで食べて、お店の人に「二人とも、よく食べるね〜〜」とビックリされたことを思い出しました。

 実は、このお店、最近、知ったのですが、ミシュランのビブグルマンにも載っている有名店。厳しそうな女性が仕切っていて、店員さんもキビキビしていて、いつ行っても間違いのないお店です。

 そんな有名店とは知らずにいつの間にかもう10年以上も通っていた私のアンテナは、なかなか悪くない・・と妙な満足感を感じています。

 以前、このお店に行った時、メニューを見ていて、私が日本人だとわかったら、「麻婆豆腐は?」と言われたことがあって、フランス人なら、「カナールラッケ」で、日本人だと「麻婆豆腐」というイメージがあるのかな?とちょっとこそばゆい気がしました。


⭐️Impérial Choisy 32 Av. de Choisy 75013


パリ中華料理 ミシュラン ビブグルマン


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2022年10月8日土曜日

エネルギー危機が疑問を投げかけるクリスマスのイルミネーションの是非

  


 今年も10月に入り、フランス人にとっての一大イベントのノエルの季節がもうすぐそこに見えてくる時期に入りました。なんでも時間がかかって物事がすんなりと進まないことが多いフランスでも、毎年、ノエルの準備だけは早く、だいたいトゥーサン(ハロウィン)が終わったかと思うと、街中はさっそく、ノエルのイルミネーションの準備が始まります。

 ところが、今年のクリスマスのイルミネーションは、エネルギー危機、電気代の異常な高騰により、各自治体は、この年末年始のノエルのイルミネーションの是非を問われ、この一大イベントのノエルのイルミネーションを削減する方向で検討を始めているようです。

 パンデミックの間も(今も終わったわけではないけど・・)、2020年などは特に、自粛ムードでこのイルミネーションを削減したり、廃止したりした場所もありましたが、昨年末には、ほぼ通常どおりのイルミネーションに戻り、私もシャンゼリゼのイルミネーションを見に行き、「去年はイルミネーションはあったものの、ほとんどのお店が閉店で寂しかったな・・元に戻って嬉しいな・・」と思いながら、シャンゼリゼのイルミネーションを見てきました。

 シャンゼリゼについては、現在のところは、まだ発表されていませんが、地方の各自治体は、すでに大幅に値上げされた電気代を考慮し、イルミネーションを大幅に削減する発表をしています。

 イルミネーション自体を減らすだけでなく、LEDを使用したり、時間帯を短くしたり、イルミネーションの点灯期間を4週間半から3週間に短縮する自治体もあります。

 例えば、ボルドーでは、「昨年と同じイルミネーションを維持しつつ、昨年は、11月26日から始まったイルミネーションは、12月9日からになり、点灯期間を短縮する(2週間短縮)」予定を発表しています。また、時間帯についても午前1時から7時までは装飾を消す予定です。

 国をあげて、マクロン大統領自らタートルネックを着て、省エネ・節電を呼びかけているこのご時世、暖房も控えよ!と暖も満足に取れない中、クリスマスのイルミネーションが例年どおりのままに据え置かれるわけはありません。

 すでにエッフェル塔のライトアップの時間は短縮されていますが、シャンゼリゼのイルミネーションもさしずめ、期間が短縮されるぐらいのことは、されてしかるべきだと思います。

 別に、クリスマスなのですから、せいぜい、12月に入ってからで十分ではないか?と思うのですが、例年の恒例の予定を変更するには、必ず揉めるのは、どこの国でも同じです。

 パリ近郊でも、ちょっと郊外の方に行ったりすると、クリスマス前になると、家全体を電球で飾り立てたりしている家を目にすることもありますが、これだけ電気代が高騰すると、このような家もずいぶん減るのではないかと思います。

 クリスマスのイルミネーションは、華やかで、心が踊るものではありますが、「暖房を控え、節電を心がけて、10%の電力消費を削減すれば、停電は避けられる」などと言われる中、正直なところ、停電のリスクを侵してまでやってくれなくてもいいと日本人の私は思ってしまうのですが、このイルミネーション、フランス人の一年間の購買力のかなりの部分が高まる時期、フランス人を消費の道へと導き、購買意欲を煽る働きもしているために、迂闊に廃止・・というわけにもいかないのが正直なところなのかもしれません。


クリスマス ノエル イルミネーション削減


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2022年10月7日金曜日

肉や魚の価格高騰でたまご人気が急上昇している!



 最近、買い物に行くと、気のせいか、スーパーマーケットの棚がガランとしているな・・と思うことがあります。特に肉や魚は、商品満載の感じが欠けている気がします。

 一昨年末あたりから、「食品廃棄物防止」の試みで、賞味期限間近のものにアンチガスピヤージュ(無駄防止)の黄色いラベルが貼ってある商品を集めて置いていたケースが我が家の近所のスーパーマーケットから姿を消してしまいました。

 思うに購買力が低下したために、仕入れを減らしているのか、別の方法で販売しているのかわかりませんが、結構、便利に使っていた私としては、残念なことです。

 もともと、一度、痛い思いをして以来、ほぼスーパーマーケットで魚は買わなくなった私ですが、肉に関しては、もともとそんなに肉が大好き!(別に嫌いなわけでもないけど・・)というわけでもない私にとって、ボーッとしている私ですら気が付くほどに、明らかに以前とは値段が上がっていて、手に取ってみると、あまりの値段の高騰に、ちょっと「えっ??」と思ってしまうので、以前より肉を食べなくなっているかもしれません。

 そんな中、多少、値段が上がっているとはいえ、まだまだ安い卵は、相変わらず、買い物に行けば必ず買うものの一つで、貴重な動物性タンパク質として頼りにしています。

 卵焼きでもオムレツでも、ゆで卵でも、目玉焼きでも、茶碗蒸しでもケーキでも何にでも使える卵は、便利な食べ物で、簡単に食べられることも魅力です。

 しかし、そんなことを考えているのは私だけではなかったようで、ここのところ、インフレ対策のためか、夏以降、肉や魚の売上が減少している代わりに卵の売上が180%増と目覚ましい躍進を見せているのだそうです。

 フランス人が1年間に消費する卵の数は平均218個という数字を見て、これが多いのか?少ないのか?あまりピンと来なかった私は、では、日本人は?と思って調べてみたら、なんと、338個(一人あたりの卵の年間消費量)で、なんと堂々、世界第2位という卵大国!(ちなみに1位はメキシコの372個でした)

 卵といえば、当然、海外の方がずっと食べているような印象があったのですが、意外にも日本人の方が卵を食べているようです。思えば、卵ほど日本人の食卓に欠かせない食品というのもそうそうないもの・・どおりで、私も海外にいても卵を重宝にして使っているわけでした。

 考えてみれば、日本食には、卵焼き、だし巻き卵、オムレツ、丼ものなどに使う卵とじ、錦糸卵、炒り卵、ラーメンの味玉や月見なんちゃら・・など、思い浮かぶ卵料理はいくらでもあります。

 そこへ行くと、フランス料理では、とりあえずクレープなどのお菓子作りなどに卵は欠かせず、キッシュやオムレツなどは、思い当たりはしますが、日本のバラエティに富んだ卵使いには、負けるような気がします。

 しかし、このインフレと健康志向を機に、シャルキュトリー(ハムやパテ、ソーセージなどの肉加工商品)よりも安いうえに、はるかに健康的だと、あらためて、卵は注目を集めて、売上を急増させているようです。

 こうなってくると卵を正当化する議論が始まるのもお決まりのパターンです。「卵といえば、コレステロールの過剰摂取を案ずる人がいるが、これは不当な評価で、必須ビタミンや抗酸化物質が多く含まれている優れものの食品だ!」などと今も、テレビで言っています。


インフレ対応食品 卵 たまご


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2022年10月6日木曜日

この冬の暖房費節約努力を示すシンボル タートルネック タートルネックは今年のモード?

 


 とにかく、現在のフランスは、節電・省エネアピールが凄まじいのです。

 テレビをつければ、どうやって節電するかを論じ、ここ連日のようにフランス電力からは、こうすれば、値上げを回避できるとか、あなたの家庭での電力消費は・・と、自宅の電力消費を何に何パーセントし使用しているか?を円グラフにして送ってきて、どの部分を削減できるか検討しましょうとか、使っていない部屋の電気は消しましょうとか、使用していない電化製品のコンセントは抜きましょうとか、一番の節電は、消費しないこと・・などいうメールが送られてきます。

 そして、ブルーノ・ル・メール財務相をはじめ、マクロン大統領自らも、いつものスーツにネクタイ姿から、タートルネックのセーターにジャケットを重ねたタートルネックでの防寒アピールで登場し、タートルネックがこの冬の暖房費節約努力を示すシンボルになりつつあり、また、今年の冬のモード(流行)になりつつあります。

 紺や黒、ダークグレーなど、比較的薄手の生地のタートルネックは、首をすっきり見せて、顔を引き締めてみせてくれる感じで個人的には好みです。


 もともと、マクロン大統領のタートルネック姿は、そんなに真新しい感じもなく、たしか、昨年も着ていたような気がするし、コロナウィルスに感染した際にすぐに声明を発表した時にもたしか、タートルネック姿だったような記憶がありますが、今年のエネルギー危機の中では、同じタートルネックでも、訴えかけるものがまるで違ってくるのが不思議なくらいです。

 だいたい、フランスでは、そもそもスーツ姿の人というのは、日本に比べると極端に少なく、オフィスワークの人でも、もともとそんなにスーツにネクタイ・・という人はそんなにいるわけではなく、言われるまでもなく、タートルネック、もしくは、マフラーを上手に巻いたりしている人が多く、あらためて言われるまでもないことのような気もします。

 このエネルギー危機の最初の頃から、ボルヌ首相は10%の節電、暖房は19℃にセット・・などを呼びかけていますが、ここまで節電アピールがエスカレートしていくと、逆になんだか危機感を煽られているような気分になってきます。

 パンデミックの時にも感じたことですが、そもそも、もともとフランスは日本などと比べて自然災害の少ない国、パニックに陥った場合の騒ぎ方も尋常ではありません。

 フランス政府の面々がタートルネックを着て、暖房費節約努力をアピールしたりしていると、必ずそれを茶化すように、「タートルネックはタイトかルーズか?」とか、「カシミアかウールか?」など、果ては「このままエネルギー危機が来年の夏まで続いたら、今度は短パンにビルケンシュトックのサンダルを履いて登場するつもりか?」などと言い出す者まで現れていますが、実際にこの冬に停電などということにでもなれば、そんなことを言っている場合ではなく、そのパニックは大変なことになりそうです。

 そんなにフランスの電気代が高騰するなら、なんならしばらく日本に帰ろうか?と一瞬、頭を掠めましたが、考えてみれば、日本への航空運賃は、電気代の比ではないのでした。


タートルネック暖房費節約努力アピール タートルネック流行


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2022年10月5日水曜日

ガソリンスタンドにガソリンがない トータルエナジーズ ガソリン切れのため一部休業

  


 パリ市内及びパリ近郊にあるフランス大手石油・ガス供給会社トータルエナジーズ(TotalEnagies)のガソリンスタンド40店舗中、17店舗でディーゼルやガソリンのストック切れのため、販売ができなくなり、一部が休業しなければならない事態に陥り、少々、混乱状態にあります。

 よもや、ガソリン不足?とパニックに陥りかけている消費者に向けて、同グループ広報は「トタルエナジーズは在庫を積み上げ、現在定期的に輸入しているため、燃料不足はない」と断言しています。

 トータルエナジーズは、9月の新年度開始以来、1リットルあたり20セントの値下げを導入したため、(政府が導入している1リットルあたりの値下げを併せると1リットルあたり50セントの恩恵を受けることができる)消費者が30%増加したと発表しています。

 しかし、消費量が30%増加することで、供給が途絶えてしまうことなど、ちょっと通常では考えられない事態であることに変わりありません。

 これには、同グループ製油所で行われているストライキ(従業員は10%の賃上げを要求)も影響していると言われていますが、それにしてもストライキなどフランスでは珍しい話でもなく、ガソリンスタンドにガソリンがない・・供給が途絶えるなどという話はこれまで聞いたことがありません。

 運送会社や、通勤などに車が不可欠な人々にとっては値上がりだけでなく、ガソリンがない・・という事態は、深刻な事態に違いありません。

 燃料価格高騰は、インフレの大きな原因の一つにもなっていますが、同社は、原油価格の高騰で過去最高の利益を記録したばかりです。この不況の中、少しでも安いガソリンを求める消費者が集まったことで、トータルエナジーズは成功をおさめているのです。

 何かのトラブルに加えて、ストライキによる影響が加わることは、フランスではよくあることで、今年の夏のバカンスの初めに、CDG空港での空港職員のストライキに加えて、荷物積載のシステムダウンが重なったことで、ロストバゲージが2万個以上発生して、数ヶ月間空港に置き去りにされるという問題が起こりました。

 そもそも、インフレのための賃上げ要求や労働条件改善などを求めてのストライキではありますが、このストライキがさらに問題を大きくしているところがあります。

 その中で、確実に利益を上げている人々もいるのは見過ごされがちなところではあるのですが、今回のトータルエナジーズのガス欠は、そんな一面を露呈した出来事だったかもしれません。

 パリ・パリ近郊のガソリンスタンド品切れは、40店舗中、17店舗のみですが、TF1によると、フランス国内にあるトタルエナジーの3,500店舗のうち、先週末までに100店舗近くがこの燃料不足の影響を受けたと言われています。

 しかし、どうやら、このパニックは、他社のガソリンスタンドにも影響を及ぼし、他でもガソリンを入れるのは長蛇の列ができ始めている模様。そもそもやはり、絶体的なガソリン不足は、否めないのかもしれません。


ガソリン不足 トータルエナジーズ


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2022年10月4日火曜日

今週から始まるフランスの第8波対策ワクチンキャンペーン 3回目のブースター接種も可能になる

  


 すでに夏の始まりから、「秋には必ず第8波がやってくる!」と言われていましたが、その予想どおりに、フランスではコロナウィルス第8波が訪れています。ただ、現在のところ、そこまで、急激な増加にはなっておらず、波は波でも比較的、緩やかな波です。

 ここのところ、気のせいかもしれませんが、一時よりは、ほんの若干ではありますが、マスクをしている人が見られるようになったのは、それなりにマスクが以前より(パンデミック前よりという意味)は、マスクを受け入れる人や、ある程度の予防効果を認める人が生まれたのだなと思っています。

 フランス国立衛生局は、今週から本格的にワクチンキャンペーンを開始するとしており、希望者は誰でもワクチン接種を受けることができますが、特に重症化リスクの高い人、また、これらの重症化リスクの高い人と同居している人が優先されるべきだとしています。



 フランスでは、現段階で、60歳以上の3割強が2回のブースター接種を受けています(計4回ということ)が、今週からは、オミクロン対応の新しいワクチン接種が始まることもあり、すでに2回のブースターを受けた人でも、対象条件を満たせば、この秋に3回目のブースターを受けることが奨励されています。

 対象条件に該当する項目には、60歳以上、高齢者施設、長期介護施設の居住者、免疫不全、既往症があり重症化リスクの高い成人、妊婦、介護者、医療・福祉分野従事者などが挙げられており、最後のワクチン接種から3ヶ月以上が経過していること(80歳以上、高齢者施設居住者、免疫不全者)または、6ヶ月以上(前述以外の場合)が経過していることとしています。

 オミクロンに対応した新ワクチンは、ファイザー社のものとモデルナ社のものを選ぶことができますが、ファイザーは2種類のワクチンを販売しており、一つは、原種に加え、オミクロンBA.4、BA.5の変種をターゲットにしたもので、もう一つは、さらにBA.1亜系をターゲットにしています。2種類があるので、ワクチン接種の際は確認をして、どちらのワクチンを接種したのか、記録は残されると思いますが、確認しておいた方がよいかもしれません。

 モデルナ社のものは、オミクロンBA.1亜系をターゲットにした二価ワクチン1種類ですが、ただし、フランス国立衛生局は、30歳未満の人には、心臓への問題を避けるために、ファイザー社のワクチンの使用を推奨しています。

 また、国立衛生局は、18日から、インフルエンザの予防接種も開始されるので、これら2つの疾病は、いずれも重なった人口に対してリスクが高くなるため、両方を接種すること、また同時接種も可能であると発表しています。

 先日、我が家では、日本で娘がコロナに感染し、私も風邪?をひいて体調を崩したばかり・・他人事ではありません。

 私自身は、2回目のブースター接種を受けたのは、今年の7月だったので、3回目のブースター接種をするなら、来年の1月以降ということになりますが、その前にインフルエンザのワクチン接種を今年もしておこうかと思っています。

 すでに国民健康保険から、インフルエンザのワクチンを受けてくださいという通知は来ているので、今月末にでも受けてこようと思っています。


フランスのワクチンキャンペーン 3回目のブースター接種


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