2022年5月31日火曜日

フランス人ジャーナリスト ウクライナの戦地で取材中に撃たれて死亡

  


 週明けの月曜日、フランスBFMTV(フランスのニュース専門チャンネル)のジャーナリストがウクライナ東部のセベロドネツクでBFMTVの取材中に榴散弾に当たって死亡しました。彼はBFMTVに入社して6年目の32歳のフランス人フォトジャーナリスト、ウクライナ戦争勃発以来、ロシアの侵攻を取材するためウクライナに赴き、2回目の任務で走行中の車両がロシアの爆撃の標的になり、首を撃たれて致命的な傷を負って死亡したということです。

 彼はパートナーのマキシム・ブランドシュテッターとともに、できるだけ前線に近い東部での紛争を取材していました。当日も彼は民間人の避難を記録中にロシアの榴散弾で首を撃たれたとのこと。

 BFMTVの局長によると、「彼は熱血漢ではなく、冷静着実に勤務を遂行してきた人で、この戦場という危険な取材において、彼は任務の一分一秒を秤にかけて行ってきた」と彼の行動が決して無謀な行動ではなかったことを語っています。

 彼に同行していた同僚も脚を負傷して、すぐにフランスに送還されることになっています。



 このフランス人ジャーナリストの死亡の報せに、マクロン大統領は、自身のツイッターを通じて、「人道的救助のバスに乗り、ロシアの爆撃から逃れるために逃げざるを得なかった市民と並んで、彼は致命的な傷を負った」と説明。「フレデリック・ルクレール・イムホフ氏は、戦争の現実を伝えるためにウクライナに滞在していた」「戦地で情報提供という困難な任務を遂行する人々に対して、フランスの無条件の支援を改めて表明したい」と記し、「ルクレール・イムホフの家族、友人、同僚の悲しみを共有する」と追悼の意を表明しました。 

 他の報道には、載っていませんでしたが、マクロン大統領のツイートによると、彼が取材していたのは、ウクライナ民間人の人道的救助のバスでの出来事。民間人の人道的救助に使用されているバスがなぜ、標的になっているのか?

 献身的に真摯に仕事に取り組んでいた若者の死は衝撃的で、この悲劇は、3ヶ月以上前からこの紛争を命がけで報道しているすべてのジャーナリストが直面している危険をあらためて再確認させられます。

 彼が2014年にボルドー・アキテーヌ・ジャーナリズム学院(IJBA)を卒業したのは、そんなに昔の話ではありません。同時に卒業したジャーナリスト仲間からも悲しみの声があがっています。


 添付したツイートの写真は、5月21日、ミコライフの町で周囲で「大爆発」が起こっている中、廊下でレポートを編集している姿です。彼の仕事に向きあう真摯な姿勢がみえる貴重な写真です。

 彼の親の立場からしたら、なぜ、そんなに危険な仕事に就く学校に進ませてしまったのか?と後悔の念にかられそうなところですが、彼の母親は、BFMTVに対して、「彼は確かにとても献身的で、私は彼の選択を誇りに思います」と短いメッセージを送っています。

 BFMTV報道局長は、記者が2回目のウクライナ訪問をしたのは「本人の希望によるもの」、「これは、私たちの汚名を晴らすためではなく、彼の決意を表明するために発表したのです」と述べ、フレデリック・ルクレール・イムホフの母親と電話で話をした模様を「彼女は明らかに涙を流していた。彼女は明らかに、私たちBFMTVと同じようにプライドを持って、息子の仕事が何であるかを知っていたのです」と静かに語っています。

 この戦争は、報道戦などとも言われていますが、私たちは、彼らのような使命感をもったジャーナリストのおかげで、この悲惨で卑劣な戦争という状況を知り、考えることができるのです。

 ウクライナ戦争開始以来、ジャーナリストの死亡はこれで8人目です。NGOが発表した数字によると、他に9人のジャーナリストが負傷し、13人が拉致または恣意的に拘束され、そのうち4人が拷問や虐待の犠牲になっています。

 キエフに滞在しているフランスの外務大臣は、彼の死は「深く、衝撃的であり、透明性のある調査を要求する」と述べました。

 今日は、彼の取材した映像がBFMTVで流れ続けています。


フランス人ジャーナリスト死亡


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2022年5月30日月曜日

サッカー ヨーロッパチャンピオンリーグ決勝戦 試合よりも話題沸騰のスキャンダル


 サッカーのヨーロッパチャンピオンリーグの決勝戦、レアル・マドリード対リバプールの試合が先週末にパリ北部郊外サン・ドニのスタッド・ド・フランスで行われました。

 結果は1対0でレアル・マドリードが勝ち、史上最多14回目の優勝を飾りました。

 しかし、フランスでは、決勝戦にフランスが残っていなかったこともあるとは思いますが、試合以上に試合開始までの会場での大混乱の模様について、欧州の周囲の国(特にイギリスとスペイン)で、この大混乱へのフランスの警察の対応が「行き過ぎ、やりすぎ、完全に管理不足、大スキャンダルであると報じられている」と問題視されていることをに注目が集まっています。

 ヨーロッパでのサッカーの試合、しかもチャンピオンリーグの決勝戦といえば、それに集まってくるサポーターたちの熱狂ぶりは、身の危険を感じることもあるほどのイベントで、前日には、在仏日本大使館から、「ヨーロッパチャンピオンリーグの決勝戦がスタッド・ド・フランスで行われるため、熱狂的なサポーターによる破壊行為や衝突を避けるため、多数の警察が出動する予定になっており、思わぬ騒動が発生する恐れがあるので、今週末、特に夜間の外出の際には十分に注意してください」とお知らせが来ていました。

 以前、私が、ロンドンにいた頃に一時、障害者施設でスタージュをさせていただいていたことがあり、その中にいた悲しいほどハンサムなイギリス人の青年が半身不随で車椅子生活、まともに話もできない状態で、施設の方に事情をうかがったところ、サッカーの試合を見に行って、熱狂するサポーターの暴力でこのようになってしまったという話を聞いて以来、ますますヨーロッパでのサッカーの試合には、警戒感を強めるようになりました。

 一面では、あんなに熱狂できることが羨ましいような気もするのですが、とてもあの爆発的な熱狂ぶりには、ついていけません。ヨーロッパの人々が全て同じではありませんが、どうにも熱量の違いを思い知らされます。




 今回のスタッド・ド・フランスでの騒動は、多くの警察が警戒する中、何千人ものイギリス人サポーターがチケットを持たずに、あるいは偽チケットで入場しようとしたことから起こったもので、これらの観客をチェックするために入場ゲートを一旦、閉じたところ、一部のサポーターがボルダリングのように壁をよじのぼって侵入しようとしたりする騒ぎになったのを機に、警察は催涙ガスまで使用して、かなり強硬なやり方で騒動を沈静化しようとした模様で、パリ警察は、スタジアムへの無謀な侵入者は「難なく」退散させたと、むしろ得意気に発表したものの、その場にいたチケットを持っていたにもかかわらず入場できなかったサポーターの怒りは大変なもので、また、その場の模様を撮影していた人も大勢で、映像はSNS上でもあっという間に拡散され、このパリ警察の強引な対処法やスタジアムの管理問題を恥ずべき光景、恐ろしい・・衝撃的だと非難しています。

 フランスでは、頻繁におこるデモやデモが暴徒化した場合に催涙ガスや放水車などが出動するのは、もはや珍しくない光景ですが、これらをサッカーの観戦のために集まった人に同じ対応をするのは、妥当であったのかどうか、いくら相手が興奮状態であったとしてもチカラで押しのけようとするのは、やり過ぎの気もします。

 リバプールのサポーター組合は、この大会を運営するUEFAに対して、ファンの安全をないがしろにしたと述べ、フランス警察が「無差別」に催涙ガスを使用したことを「強引」だと非難する声明を発表し、翌日には、イギリスの文化・スポーツ長官が「何が悪かったのか、なぜそうなったのか、公式な調査を開始するようUEFAに要請する事態にまで発展しています。

 しかし、一方では、勝者スペインサッカー界の重鎮であるアルフレッド・レラーノ氏は、リバプールと「チケットを持たない野蛮人の大群」を糾弾し、「スタジアムのゲートでスキャンダルを起こし、大惨事につながる可能性が十分にあった」と厳しい意見を述べています。

 フランスの報道の一部では、なんとこの日のチケット2万枚分が偽チケット、あるいはチケットなしで入場していたとも言われており(スタッド・ド・フランスの収容人数は8万人)、このチケットについても大きな問題があったとも言われています。

 この日の夜、パリ警察は、このスタジアムで105人を逮捕、39人が身柄を拘束しています。楽しんで観戦するはずのサッカーの試合でこの騒ぎには、閉口してしまいます。

 何より私が驚いたのは、自分自身がこのような催涙ガスが使われるような騒動になっている映像を見ても、あまり驚いていない自分自身で、「あっ・・また・・」という感じで、フランスの日常の物騒な光景を見慣れてしまっていることです。


サッカーヨーロッパチャンピオンリーグ決勝戦 スタッドドフランス


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2022年5月29日日曜日

マクロン大統領、今度はドイツのショルツ首相と共にプーチン大統領との電話会談

  


 これまで、ウクライナ戦争の危機が起こって以来、定期的に粘り強く一人でプーチン大統領との会談に臨んできたマクロン大統領は、昨日は、ドイツのショルツ首相とともに、プーチン大統領との80分にわたる電話会談を行ったことをエリゼ宮が伝えています。

 マクロン大統領とショルツ首相は、プーチン大統領に対して、「できるだけ早く、ウクライナのゼレンスキー大統領と真剣に直接交渉し、紛争の外交的解決策を見出し、「戦争のいかなる解決策も、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重しつつ、モスクワとキエフの間で交渉されなければならない」と強調したと伝えています。



 そして、ウクライナとロシアの話し合いのためにも、ロシアのウクライナに対する攻撃を停止し、ロシア軍を撤退させることを求めています。

 同時に、フランス・ドイツ両首脳は、世界の食糧危機を回避するために、黒海経由でウクライナの穀物輸出を可能にするために、オデッサの封鎖解除の緊急性を主張しました。

 この提案に対し、プーチン大統領は、「黒海の港からウクライナの穀物を含む、妨げのない穀物輸出のオプションを見つけるのを助ける準備ができている」と述べたとされており、フランス・ドイツ側は、ロシア大統領が、「同港の地雷除去を行えば、ロシアに軍事利用されることなく穀物輸出のための船舶アクセスを認めると約束した」と発表していますが、一方では、プーチン大統領は、「世界の食糧危機は、「西側諸国の誤った経済・金融政策と、これらの国々によって課せられた反ロシア制裁」によって引き起こされたこと」でもあるとし、ロシアの肥料や農産物の納入が増えれば、国際農産物市場の緊張が緩和される可能性があり、モスクワに対する「もちろん、適切な制裁の解除も必要だ」と強調しています。

 マクロン・ショルツ両首脳は、このプーチン大統領との約束を国連を介して早急に進めるとしていますが、プーチン大統領の言っている「ロシアに対する適切な制裁の解除が必要」という部分については、言及されていません。

 もともと、今やロシアとの間に約束というものが成り立つものなのかどうかすら、疑問ではありますが、こうして何らかの話し合いの場がもたれることは、重要なことだと思われます。

 しかし、これまで1対1で行われてきたプーチン大統領との電話会談が2対1と客観的に見ても、対等ではない話し合いが、どの程度、プーチン大統領を圧迫するかという危険も孕んでいるとは思いますが、1対1では、どうにも埒が明かないことに業を煮やしたのか、長く続いてきたマクロン対プーチンの電話会談には、ついにショルツ首相が参戦し始めました。

 もっとも、プーチン大統領は、フランスもドイツも西側諸国の一括りに考えていると思われるところもありますが、戦争の中心はあくまでも「ロシアとウクライナ」でありながら、ロシアは一体、どこの国と戦争しているのか?と思われる節もあります。

 また、この会談では、マクロン・ショルツ両首脳は、ロシア軍によって捕虜となった約2,500人のアゾフスタル防衛隊員の解放も要求しています。

 まさかの戦争が始まって、すでに3ヶ月が経過していますが、問題は世界中を巻き込んで大きくなるばかり。とりあえず、プーチン大統領が約束したと言われている経由でのウクライナの穀物の輸出も「ロシアへの制裁の適切な解除」が行われないなら、プーチン大統領がそれを呑むとは考えづらく、結局、うまく進むとは考え難いような気がしています。

 マクロン大統領とショルツ首相は今後もこの件で緊密な連絡を取り続けるとしていますが、2対1の電話会談の方が良いのか悪いのか? 依然としても、まだまだ終結への道のりは長そうな気がしています。


マクロン大統領 ショルツ首相 プーチン大統領 3首脳電話会談


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2022年5月28日土曜日

6月からの日本入国水際措置緩和について 外国人観光客受け入れ再開

 

 

 先日、世界経済フォーラムが2年に1度を目処に世界117カ国を対象に行った調査により、観光資源や、交通インフラの利便性や自然や文化の豊かさなどが評価され、2007年の調査以来、初めて日本が1位になったというニュースに日本の観光産業が世界に認められたと、日本人として、とても嬉しく思いました。

 ちなみに、2位はアメリカ、3位スペイン、フランスは4位でした。

 海外に住んでいても日本が世界的な評価を受けることは、「ほらね・・そうでしょ・・」と誇らしい気持ちなのです。しかし、2年に一度ということは、このパンデミックで日本がほぼ鎖国状態だった期間以来の調査。ちょっと複雑な思いがないこともありません。

 しかし、パンデミックで観光がストップしてしまう前までは、フランス人も本当に日本に行く人が増え、2年前までは、日本行きの直行便などは、乗客のほとんどがフランス人だらけというちょっとびっくりするような状態になっていました。

 しかし、パンデミック以来、日本の水際対策措置により、外国人は外国人であるというだけで、ほぼ完全シャットアウト状態が続き、この制限の仕方もいかがなものか?と思ってきました。

 もっとも、この間、日本人でさえも、日本への入国制限は厳しく、その時の感染状況によって、出発前のPCR検査に加えて、日本の空港到着後の検査、そして強制隔離施設での隔離、公共交通機関使用禁止、その後の自宅隔離期間などが義務付けられていて、日本に行くのはとてもハードルが高い期間が続きました。

 ようやく日本到着後に隔離がいらなくなったのが、今年3月に入ってからで、その後も外国人の日本入国は、原則認められていませんでした。

 それが、ようやく6月10日から、日本も外国人観光客を受け入れることを発表。それぞれの国や地域を青、黄、赤に区分して、地域ごとに入国条件を区別しています。

 日本への観光客が期待できそうな国(欧米、アジア、豪州など)は、ほぼ全て青に区分されています。もちろんフランスも青です。

 青に区分された国からの入国に関しては、ワクチン接種の有無に関わらず、72時間前の陰性証明書などの書類は現状通りに求められるようですが、入国時の検査は行われません。

 赤の国からの入国は3日間の強制施設での隔離、黄の国からの入国は7日間の自宅等施設での隔離(3日後に検査をして陰性の場合はその後解放)が求められます。

水際対策強化に係る新たな措置に基づく 国・地域の区分について

 この日本政府の決定により、多くの外国人が出発前72時間前の陰性結果で、到着時検査なしに日本に入国することになります。また、外国人、完全シャットアウトをしていた日本が極端な方法をとったものだと、ちょっと驚きでもあります。

 しかし、よく見てみると、一応、「外国人の観光目的の日本入国は、旅行代理店等を受入れ責任者とする場合に限る」とされているので、ツアー客のみの受入れとなっています。旅行代理店を介しての観光とはいえ、色々なケースがあるので、これでどの程度、外国人観光客を管理できるのかは甚だ疑問ではありますが、基本的に日本人のように従順な国民はいないので、いくら旅行代理店を介在させたところで、そんなに甘いものではないのではないか?とも思います。

 だいたい、一番、驚くのは、おそらく外国人観光客で、海外ではほとんどノーマスクの世界で生きている人々が日本のマスク率には、きっとビックリすることでしょう。そこで、日本に来ているのだから、日本のルール?に従う・・と思う人もいるかもしれませんが、そうはならない人もきっと、大勢いることでしょう。まあ、双方で、こんな世界もあるんだ・・ということを知り合うこともよいかもしれませんが、受け入れる日本側からしたら、ギョッとさせられることもありそうな気がしています。

 日本は日本で、いい加減、もう少しゆったり構えてもいいと思うし、緩みきっているフランスのような国もいかがなものかとも思うのです。

 一方、出発前72時間前の陰性証明書はともかく、「誓約書」や「質問票」などの不要な書類が引き続き求められることも、疑問です。現実的には、まだ入国時の検査を行った方が意味がありそうなものの、経費削減のために検査を省略するのだとしても、やっている感を醸し出すための「誓約書」や「質問票」なのではないか?と思ってしまいます。

 これらの書類についてにしても、集めるだけでなく、本当にチェックしたりしているならば、結局は、それを何重にもチェックする人はいるわけで、人件費は必要なはずで、ちょっと理解不能です。

 私が日本に行ったのは、今年の3月から4月にかけてでしたが、手続きを簡素化するはずのアプリをダウンロードして、必要な情報は入力しているにも関わらず、それとダブった内容の書類を提出し、そのチェックを何重にも行い、何のためのアプリなのか?と思いました。

 せっかく世界経済フォーラムが日本を世界一の観光国と認めてくれたのですから、これから、再び、日本の観光産業が復活してくれることを祈っています。

 しかし、考えてみれば、日本から海外旅行をする人に対しても青に分類されている国に行く限りは、日本に再入国の際の検査がなくなるということで、ハードルは少しだけ下がるので、日本からの観光客も少しは増えるかもしれない・・と期待もしています。

 もっとも、禁止されているわけではなくとも、逆に日本人がマスクなしの世界に旅行するのは、やっぱりまだ怖い・・と考える人も少なくないのかもしれません。

 どうにもこうにも、このギャップ、私はその両方をなんとなく微妙な気持ちで眺めている気持ちです。

 しかし、コロナとは別の新たなハードルの一つを忘れていました。現在、パリ⇄日本のフライトは、ウクライナ戦争のために、直行便は再開したものの、迂回経路による長距離フライトのままでした。ただでさえ長いヨーロッパ線、長距離フライトは結構キツいのです。


6月から日本入国水際措置緩和 外国人観光客受入れ再開


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2022年5月27日金曜日

2022年パリ・クロワッサンコンクール優勝のお店 Carton カルトン

  


 ここ数年、毎年、行われるパリのバゲットコンクールで優勝したお店には、必ず行って、食べてみるのが楽しみの一つになっていましたが、パリにはクロワッサンコンクールというものもあることを、私はついこの前まで知りませんでした。

 パリの街を歩いていて、あるブーランジェリーのショーウィンドーに堂々とパリクロワッサンコンクール優勝と掲げられているのを見つけて、あら、クロワッサンコンクールもあるんだ!と思ったのですが、その日、たまたま、そのお店はお休みで、そのクロワッサンは買えないまま、また、クロワッサンのことは忘れていました。

 しかし、つい先日、2022年のクロワッサンコンクールの記事を見つけて、「あ〜これこれ!今年こそ行こう!」とクロワッサンを買いに出かけたのでした。

  


 フランスでパンといえば、やはり主食とも言えるバゲットがやはり王様、一番、大量に消費されるパンで、クロワッサンは、パンではなく、ヴィエノワズリーと別の分類をされるものです。

 このヴィエノワズリーの王道は、クロワッサンで、その他、パン・オ・ショコラ、パン・オ・レザン(レーズン入り)、ショッソン・オ・ポム(りんご)などは、たいていどのブーランジェリーにもある定番のヴィエノワズリーで、卵やバター、生クリームなどを使ったパリパリとした幾層にもなったパイのような生地を軽くふわっと焼いたものです。

 毎朝、焼き立てのクロワッサンを食卓で・・などということをしている家庭は少ないと思いますが、お休みの日の朝など、夫がとても得意そうに、クロワッサン買ってこようか?などと、さぞかし私たちを喜ばせようとしてくれているのだな・・と感じることがあります。

 バゲットにしても同じですが、クロワッサンにしても、あまり買い置きができるものではなく、やはり焼き立てのものが美味しいので、たとえば、朝、出勤の途中にカフェでクロワッサンとコーヒーで軽く朝食をとって・・とか、また、以前、私の通勤途中の駅構内にパン屋さんがあって、朝はクロワッサンを焼くバターの香りが駅に広がっている・・という駅構内に広がるバターの香りに、まだ、フランスに来たばかりの頃は、これが立ち食いそばのお出汁の匂いだったら、どんなによかっただろうに・・などと思ったこともあります。

 しかし、フランスでの生活も長くなり、クロワッサンの焼けるバターの香りもまた、このうえもなく、幸福感を覚えるものにもなりました。

 でも、一方では「クロワッサン=カロリー爆弾」の印象が拭えないのも事実でもあります。

 一般的にクロワッサン100gあたりのカロリーは424kcal程度と言われていて、軽くてあっという間にたべてしまうクロワッサンがこんなカロリー!!と認識してからは、そうそう気軽に食べることを躊躇ってきました。

 ただし、「美味しいものには、カロリーは関係ない」ことは私の中の勝手な掟。パリで一番美味しいクロワッサンと言われれば、カロリーは無視。とはいえ、クロワッサンを買うと入れてくれる紙袋に染み出すバターにはちょっとした背徳感を感じるのですが、今回のクロワッサンでは、それほど油が染み出してきていませんでした。

 今年のクロワッサンのチャンピオンだけあって、このクロワッサンは大ぶりで堂々とした出立ち(9cm×16cm)、表面がつやつやしています。



 買ってきたクロワッサンを一瞬だけオーブンで温め直し、また、蘇ってくるバターの香りを楽しみつつ、やさしくちぎって、遠慮なくサクッと一口・・サクッとした歯触りの次にしっとりしたやわらかい食感とそこはかとなく甘い香りが口の中で広がります。

 思ったよりもバター感がしつこくなく、軽く2〜3個はいけてしまいそうな危険な軽さです。美味しいものの条件の一つに、私は後味の良さがあると思うのですが、このクロワッサンは、後味が非常にすっきりしています。

 気にしないといいつつ、このクロワッサンの重さを計ったら、1つ73gだったので、1つあたり約309kcalことになります。

 このブーランジェリー、まことに危険なお店で、他にも美味しそうなケーキやサンドイッチがたくさんで、大変な誘惑と戦うことになりましたが、今回はとにかくクロワッサン!と自分に言い聞かせて、ケーキは写真だけでガマンガマン・・また別の機会にすることにしました。






 昨年、行ったバゲットコンクール優勝のパン屋さんなどは、堅実な街のパン屋さんという感じでしたが、今回のクロワッサンNo1のお店は、やたらと目移りするお店の規模も少し大きめのお店でした。



 

彼が手にした賞状とカップは店内にも展示されていました

 しかし、コンクールの審査の基準になっているのかどうかはわかりませんが、お値段はチャンピオンだから特に高いということもなく、クロワッサン1個 1.2ユーロと、普通のお店と変わりません。

 良いお店というのは、店員さんもきびきびしていて、とても感じがよい(パリなのに・・)のが特徴です。

 あまり、私がよく行く地域ではないのは残念ですが、ちょっと、また、是非、覗いてみたいお店を見つけてしまいました。きっと、クロワッサン以外のものも、絶対美味しいお店です。

 イートインスペースもあります。

 今、一番パリで美味しいクロワッサン、パリにいらしたら、是非、お試しください。


⭐️Carton Paris  

    6 Blvd de Denain 75010 Paris 6:30~20:00 日曜休 

    Gare du Nord(パリ北駅4番出口から徒歩3分)

   



2022年パリ クロワッサンコンクール優勝店 カルトン


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2022年5月26日木曜日

ストライキに遭遇して見知らぬ人と駅まで歩くハメになった・・ストライキには腹を立てないフランス人

 

 

 今週、フランスは、木曜日が祭日(Assension 昇天祭)で、金曜日を挟んで、土日がお休み、このような場合はポンする・・(橋をかける)といって、金曜日も休んで4連休にする人が非常に多く、なんか、連休モードになります。

 学校でさえも金曜日はポンで休み・・となってしまうところも多いので、夏には長いバカンスをとるフランス人にとっては、4連休など、なんのことはないと思いきや、この連休を利用して、本格的なバカンスのウォーミングアップがわりに、近郊にキャンプにでかけたりする人やスーツケースをごろごろ転がしている人も見かけます。

 この連休に入ってしまう前に(土日・祭日はバスなども休日運行になるため)用事は済ませておこうと思って出かけたら、なんと、不覚にもパリではバスやトラムウェイのストライキをやっていて、バス停に行くと、ちょうど来ていたバスに乗ろうと思ったら、激混みでバスの扉も閉まらないほどでした。

 このマスク義務化が撤廃されたばかりの交通機関にこの混み具合でバスに乗り込むということをちょっと躊躇っていたら、運転手さんが、「次のバスに乗った方がいいよ!もうドアが閉まらないから・・」と言われて、無理やり乗り込むことは諦めて、次のバスを待つことにしたのです。

 この時点では、なんでこんなに混んでるんだろう?と、この激混みが、まだストライキであることに、私は気付いていませんでした。

 仕方ない・・次のバスまで待つか・・とバス停のベンチに腰掛ける前にバスの表示版をチェックすると、表示版には、通常は次の○○行きのバスが車であと○分・・とか表示されているものが、「2本に1本」としか表示されておらず、この時点でようやくストライキであることに気が付いたのです。

 そういえば、数日前に今週、フランステレビジョンがストライキをする・・というニュースは見かけたものの、RATP(パリ交通公団)のストライキはチェックはしていませんでした。

 まぁ、待つしかない・・と、ベンチに座って、スマホをいじり出すと、あとから、ポツポツとバスを待つ人が溜まり始め、人が来るたびに、表示版を眺めては、ため息。

 あと何分と表示されているなら、また表示版を見て、次のバスを確認することもできますが(ときには、あと5分が7分とかに増えていくことがある・・)、今回は2本に1本というまことに不親切な表示。それでも、また見てしまうのが人情というもの。

 その場に居合わせたおばさんが、「ここからメトロの駅までは歩けないのかしら?あなた、この辺の道、わかる?」と言い出して、この見知らぬ女性とメトロの駅まで歩くことになったのです。歩いて10分くらいなのですが、バスに乗ってしまえば3分くらいで着いてしまうため、ついついバスに乗る習慣がついていました。

 すると、そばにいた、また別のおじさんが、「一緒についていってもいいかな?」と、これに便乗、見知らぬフランス人2人を先導して、駅まで歩くことになりました。

 幸いにも天気もよくて、「まあ、このくらいの距離なら、本当は歩いた方がいいんだけど・・」「いつ来るかもわからないバスを待っているのもバカらしいし・・」「この方が健康にもいいしね・・」などと言いながら、見知らぬ人々とおしゃべりをしながら、駅まで歩くことになりました。

 私より、少し年上かな?と思っていた女性は、4人の子供がいて、「一番下の子ももう30を過ぎているとか・・みんなもう結婚していて、もう9人の孫もいるのよ・・」などと話ながら、平日の午後の見知らぬ人とほのぼのとした世間話をしながら、歩くハメになりました。

 ストライキはフランスでは珍しいことはありませんが、その度に感じるのは、この交通機関などのストライキに対して、フランス人があまり腹をたてていないことです。これが、長く続けば、また話は別なのですが、ちょっとくらいのストライキでは、もう慣れたもので、日常では、文句があれば、決して黙っていないフランス人としては、このストライキの被害を黙って受け止めていることが不思議な気もしています。

 考えてみれば、私も以前は、家が職場まで遠かったこともあり、ストライキの被害はもっとキツく感じられ、「RATPなど、私など、一般市民よりもずっと労働条件はいいのに、このうえ、何の文句があるのか!!ストライキをしたいのは、こちらの方だ!」などと真剣に腹をたてたこともありましたが、今はこうしてバスが使えない程度で、大した被害もないこともあり、あまり腹をたてることもなくなりました。

 細かいことを言えば、1ヶ月単位で購入しているNavigo(パリ市内使える定期のようなもの)、使えなかった分、返してほしいと思いますが、これは、ストライキが、よほどの長期間に渡った場合でもない限り、返金はされません。

 以前、1ヶ月近くストライキが続いた翌月には、次回の購入分が半額とかになった記憶があります。また、この際に、長く続いたストライキのあとに検札に回ってきたRATPの職員が「おまえ、あんなに長いことストライキをやっておいて、検札に回ってくるなんて、ふざけるな!」と周囲の乗客に袋叩きにあって、次の駅ですごすごと降りていったことを覚えています。

 私は少し離れていたところから、その様子を見ていましたが、1ヶ月間ストライキに苦しめられた身としては、胸のすく思いでした。

 しかし、通常のストライキに対しては、そこまで怒ることもなく、意外と大人しく受け入れているフランス人。

 下手をすると、自分が被る迷惑以上に、一方では、ストライキやデモが盛んな国であることを誇りにしているようなところもあるフランス人に、長くフランスにいても、まだまだ理解しきれないことがたくさんあるな・・と思うのです。

 そういう私も、「そういえば、以前はコロナ感染が怖くて、できるだけバスなどに乗るのも避けて、自転車にやたらと乗っていたし、歩けるところは歩いていたな・・」とか、「こうして、見知らぬおばさんとおしゃべりしながら歩くのも悪くないな・・」などと、ストライキを肯定的に受け止めようとしている自分の変化も感じながら歩いたのでした。

 今日のところは、幸いメトロは通常運転でしたが、これからマクロン政権の第2期がスタートして、年金問題などの改革に着手すれば、ストライキはこの程度では済まなくなるかもしれません。


ストライキ


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2022年5月25日水曜日

冷凍ピザの次はサラミソーセージにサルモネラ菌 真剣にどうにかしてほしいフランスの食品衛生管理

  


 現在、フランスでは、急速に進むインフレで購買力の低下をどのように克服するか?が盛んに論じられています。ウクライナ戦争に連動したエネルギーや農業原材料の高騰によるインフレは、2022年には基準値の5%を超える可能性があり、フランスの食費は2022年末までに一人当たり月224ユーロ(約3万円)上昇すると言われています。

 つまり、年間、一人当たり合計2,963ユーロ(約40万円)増加するということですから、かなり深刻です。

 私などは、かなり大雑把な人間なので、買い物の際に、商品ひとつひとつの値段をよほどのことがない限り、覚えていないので、安くなっているものを買い、この値段だと高いから買わないとか・・このくらいなら、いいか・・程度なので、今のところ、インフレを痛烈に感じてはいないのですが、それでも、買い物に行くと、お肉が高くなったなぁ〜とか、レジで支払いの段になって、合計金額を見て、「あれ?こんなに買ったっけ?」と感じることが増えているのは事実です。

 このように5%物価が上昇すると予告されていれば、5%程度、消費を抑えるように心がければよいか・・と考えるのが普通で、この消費低迷を回避するために、フランス政府は、食品バウチャーの発行を検討しているそうです。

 しかし、実際には、ヨーロッパの食品メーカーは2021年に入ってから14%値上げしたのに対し、食品流通業者は6%の値上げにとどまっているのだそうで、この政府が発行すると見られている食品バウチャーの発行とともに、さらに値上げに拍車がかかるとも考えられます。

 それでも、フランスは食料品に関しては、自国で賄える割合が高い国ではありますが、実際に流通しているものは、フランス製のものばかりではなく、むしろ、価格が低いものは、他国から来ているものが多く(基本的な食料品)、輸送価格の高騰から、この差が縮まりつつあります。

 しかし、先日、発覚した冷凍ピザの食中毒死亡事故の様子などを見ているとフランスの食品にも懐疑的になってしまうな・・と思っていたら、今度は、大手スーパーマーケットチェーン・カーフールで販売されていたサラミソーセージに重大な食中毒の原因となるサルモネラ菌が検出され、商品の回収を呼びかけるというニュースを聞いて、愕然としています。


 

 フランスでは、ソースィッソンと呼ばれるこの食品(日本でいうサラミソーセージ)は、フランスでは、とてもポピュラーな食品で、アペロ(食前に軽くちょっとつまみながら飲む習慣)には、チップスなどとともに登場する機会が多いもので、家にもたいてい、買い置きがあるものです。

 もともと、保存食のような食品なので、あらためて火を通すことも冷凍することもなく口にするのなので、これで食中毒と言われれば、ちょっと、しばらくは買うのを控えようかと思ってしまいます。

 カーフールは、ロット番号13922、14022、製品識別番号3498301003320、3498301003320に該当する賞味期限2022年7月18日、2022年7月19日の同製品の回収を呼びかけています。

 サルモネラ菌は、サルモネラ症の原因となる腸内細菌で、摂取してから一般的に6~72時間後に発熱や頭痛を伴うことが多く、突然の胃腸障害(下痢、嘔吐)が起こります。

 これらの症状は、幼児、妊婦、免疫不全者、高齢者に特に顕著に現れると言われています。

 ここのところ、幼稚園などで、高熱を出す生徒が増えているという話なども聞くので、子供が病気?と聞けば、まず、コロナを疑い、インフルエンザを疑い、そして食中毒を疑わなければならないのかもしれません。

 ただでさえ、コロナウィルスによるパンデミックは終わらない中、なぜか最近は、インフルエンザも流行し始め、その上、「サル痘」なる、これまで聞いたこともなかった病気までが登場しているこのご時世。

 食中毒のように、衛生管理で防げるはずの事故が立て続けに起こることに、インフレとは別にフランスの食品の消費を控えたくなるような気になります。

 逆にコロナウィルスがもっと蔓延していた時期には、食品工場に限らず、フランス全体が消毒され、衛生管理に気を配るようになって(ピークで感染対策をしていた頃でさえ、日本の通常モードレベルの衛生管理ではありましたが・・)いたのですが、このコロナ感染対策緩和で、街は再び汚れ始め、駅のトイレも匂いを取り戻し始め、この気の緩みが直接、口に入るものを扱う食品衛生管理にも現れ始めているのではないか?とも思うのです。

 この度重なる食中毒事故をどの程度、フランス人が注目するのかは、疑問ではありますが、これらの事故を機に、少しでも食品衛生管理を改善していってもらいたいと切に思うのです。

 食中毒に見舞われるくらいなら(一度、カーフールの魚で死にそうに苦しい思いをしました)、家でおにぎりでもパクついていれば、安心でご機嫌です。

 食中毒で苦しい思いをした体験を思い起こせば、もう2度とあんな思いはしたくないし、そりゃあ〜高齢者や幼児などには、致命的なことにもなりかねないのも想像がつきます。

 土足文化の上に、やたらと地べたに座るのが好きなフランスの人々、汚いもの、不衛生という感覚は、そう簡単には、変化するとも思い難く、やはり検査で厳しく取り締まってもらわなくては、ダメなのかもしれません。

 

サルモネラ菌 サラミ回収 カーフール


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2022年5月24日火曜日

日本の友人と話が噛み合わなくなってきた・・日本とフランスの感染対策観念とマスクの効用

  


 ここのところ、日本の友人とLINEなどで話をしたり、メッセージを送り合ったりしていると、なんだか、ちょっと私は日本の感覚と違ってしまっているかもしれない・・と思うことが、度々あって、ちょっと、自分は、気が緩んでしまっているのかも・・と、ちょっと戸惑いを覚えながらも、やっぱり違和感を感じずにはいられないことに少しモヤモヤしています。

 それは、友人が、「週末に外食の約束をしているのだけど、感染状況次第では、日にちを変更しようと思っている・・」という話をしていたことで、「えっ!?感染状況次第で外食もやめてしまうの?」とちょっとびっくりしてしまったことで、逆に私は、日本人の感染対策への観念とずいぶん、ズレしまっているんだな・・と感じたのです。

 今、私は、パリでそんなに頻繁に外食をしているわけではありませんが、現在のこの解放モードのフランスで、外食をすることには、なんの躊躇いも感じておらず、その外食ができる場合とできない場合の感染状況の違いを理解することができなかったのです。

 また、別の友人とは、全く別の話をしていて、「ちょっと旅行でもして、気分転換すれば? よかったら、パリにおいでよ!」と気軽に話したら、「う〜ん、ちょっと、現在の環境を変えて、気分転換は必要だと思っているんだけど、海外旅行は、もう少しコロナがおさまってからね・・」と言われて、またまた、「えっ?私、この間、日本に行ったばっかりじゃん!」まあ、日本への一時帰国は旅行とはまた少し違うとはいえ、やっぱり、私自身もフランスにいて生活しているうちに、この感染対策に対する感覚がやっぱり日本に住んでいる人とはズレてしまっていることを思わずにいられませんでした。

 それは、やはり、どんどん感染対策が解除されていくフランスで、「公共交通機関のマスク義務化くらい、継続してもいいのに・・」と思いつつ、バスやメトロの中で、個人的にはマスクをし続けていても、やはり、あまりに周囲の雰囲気が全く通常の日常モードに戻っていくなか、知らず知らずのうちに自分の感覚もどんどん緩くなっていることを自覚せずにはいられない感じです。

 やはり、マスクというものは、心理的にも行動を抑制する働きがあるんだな・・とも感じるのです。まあ、もともと、公共交通機関でのマスクの義務化が、かろうじて続いていた段階でさえも、屋外でのマスク義務化が撤廃され、飲食店が再開された時点で、もうフランスはほとんど通常モードで、皆、躊躇なくバカンスにも行っているし、レストランも通常営業、これまでのコロナ規制を取り戻すかの如く、外食も旅行も満喫している様子で、最近では、日常のあいさつ代わりのビズー(頬と頬を合わせてあいさつする)もかなり復活。

 つい最近の大統領選挙や新内閣の発足などでエリゼ宮に集まっている政府の首脳やEUの会議などでも、屋内外問わず、マスク姿はとんとお目にかからなくなりました。

 昨日、バイデン大統領の日本訪問の映像を見て、バイデン大統領もマスクをしているのを見て、「郷に入れば郷にしたがえ」なのか・・などと、思い、さしずめ、私は「朱に交われば赤くなっている」のかもしれません。

 しかし、そんなにまだ、みんなが慎重に感染対策をしている日本はいつの間にか、フランスよりも1日の感染者数がフランスよりも多くなっていて、(フランスはここ1ヶ月ほどでかなり減少してきて、ここ1週間の1日の感染者数の平均は24,000人程度、日本は34,000人程度でいつの間にか逆転しています)ちょっとビックリしています。

 やっぱり日本の人々が慎重な感染対策を取り続けているのは、そんなこともあってのことなのかもしれません。


日本とフランスの感染対策の感覚


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2022年5月23日月曜日

全仏オープンテニス ローランギャロス平常モードで開幕 ロシア選手は出場するか?

   



 フランスで毎年、行われる国際的なイベントの一つとして、毎年5月に開催される全仏オープンテニス・ローランギャロスがあります。

 パンデミックのために2020年には、5月開催を延期し、さらに感染状況が悪化した9月に開催したり、昨年は、感染対策が厳しくとられる中、例年どおりの5月に開催されました。

 今年の全仏オープンは、マスクの義務化もワクチンパスも撤廃された例年どおりの大会を取り戻しています。観客も100%入ります。2年間のパンデミックの規制がこの大会では全て、取り払われ、まだ、始まったばかりというのに行列ができています。

 ローランギャロス観戦は、もともと感染対策以外の警備も厳しいことで知られており、荷物のチェックもうるさく、持ち込めるバッグの大きさ(15ℓ以下)から、禁止項目は、アルコール飲料やヘルメット、応援用の旗のサイズや楽器類から、セルフィースティックまで詳細にわたっています。

 さんざん、感染対策用の規制ばかりを見慣れてきた身としては、逆にこのようなセキュリティーのための規制が新鮮に感じてしまうのは不思議です。




 感染対策への規制が撤廃され、ほぼほぼ平常が戻ってきている雰囲気の中、今年は、新たな問題が登場しています。それは、ロシア、ベラルーシからの選手の出場可否についての問題です。

 これについては、世界中でロシアに対する様々な経済措置がとられる中、大会開催前から、物議を醸してきましたが、今回の2022年の全仏オープンテニス大会では、今年3月9日の時点で欧州連合をはじめとする36カ国のスポーツ大臣の共同宣言の署名文書に沿ったものとして、ロシア・ベラルーシの選手が中立的な旗の下で競技に参加することを認めています。

 この共同声明によると、ロシア・ベラルーシの選手に関しては、出身国に関するいかなる表示もしないという厳しい中立性制度を尊重しなければならないとされています。このため、ロシア・ベラルーシの選手は出場は許可されているものの、国旗、国歌の掲揚は禁止されています。

 実際にローランギャロスの出場選手のリストを見ると、世界ランキング2位のダニール・メドベージェフ選手や、世界ランキング7位のアンドレイ・ルブレフ、同8位のアリナ・サバレンカはロシアの国旗を掲げることが許されず、各選手の国旗が記されているスペースはブランクになっています。

  



 出身国に関するいかなる表示もしないという厳しい中立性制度を尊重しなければならないというのは、こういうことなのか・・と思わせられます。

 この大会ディレクターのアメリー・モーレスモは、「これは非常にデリケートな問題で、正しい判断が何かはわからない。しかし、国としての代表選手の場合は出場できないが、個人として中立な立場をとる者の出場は制限しない。しかし、これらの選手がメディアを通して、プーチン寄りの発言をした場合には、必ず制裁をとる」としています。

 また、FFT(フランステニス連盟)会長のジル・モレトン氏も「すべては進化している」とし、ロシア人選手のプーチンに対する立場について、「我々は、一人ひとりの家庭の事情に余計に左右されることを知っているので、個々の個人的な状況の詳細に踏み込むつもりはない」と語っています。

 これに対して、6月に開催が予定されているイギリスのウィンブルドン大会では、すでに「ロシアが自らの利益のためにイベントの成功を利用しないように、また選手や家族の安全のためにロシア・ベラルーシからの選手を排除する」決定をしているようです。

 全仏オープンとウィンブルドン、2つの大きなテニスの国際大会で、異なる選択をしたフランスとイギリス。

 本当にこの状況で何が正解なのかは、わかりませんが、とりあえず、私は、全仏オープンに関しては、フランスらしい選択をしたような気がしています。


全仏オープンテニス2022  ローランギャロス2022


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2022年5月22日日曜日

パリで一番、美しいスターバックス Starbucks Boulevard des Capucines

  

外観はそんなに特別でもないスタバの正面入り口



 カフェ文化が根強くはびこるフランスで、スターバックスが出来始めた時には、一体、どの程度、広まるものかとも思いましたが、スタバは今やどこでも見かけるほどにグングン拡大していきました。たしかに美味しいとは思いますが、だいたい、いつも行列していて、並ぶのが大嫌いな私は、滅多にスタバには行くことはありません。

 最近は、他のお店でも見かけるようになりましたが、かつてはあまり一般的ではなかったチーズケーキやドーナッツやマフィンなどがあるので、お菓子目当てに行っていたことはあります。

 とはいえ、パンデミックで多くのお店が閉店に追い込まれたりしたものの、パリでもスタバは健在、パリのほとんどの区にスタバは存在し、パリ1区にいたっては、ちょっと数えただけでも8店舗もあります。

 今回は、パリ2区にスタバとは思えないようなスタバがあるというので、これは是非、行ってみたいと思って、覗きに行ってきました。

 オペラ通りから歩いていくと、オペラ通りにも1軒、こちらの方は、そんなに特別感はありません。それでも、ここも大抵、いつも行列ができています。

 今回のお目当てのスタバは、もっとオペラ座に近いキャプシーヌ大通り(Boulevard des Capucines)にあります。外観は、そんなに特別感はありませんが、中に入ると、「うわっ!これか!!」とやっぱり、なかなかインパクトがあります。

 


 入り口付近の注文する場所は、いかにもスタバな感じのモダンに作られたスペース、中央には、スタバグッズが並んでいます。


   


 それは、外観の店構えよりもずっと奥行きのある空間で、客席は、階段を数段上がったスペースに設けられています。

 


 この階段を数段上がっていくと、美術館?宮殿?と思われるような光景が広がります。

 



 もちろん、満席。一瞬、ここ、図書館?どこかの事務所?と思うくらい、パソコンを開いたお客さんが中央を陣取っています。このパソコンを開いている人々のいるテーブルが中央にあり、それを遠巻きにするように各座席があります。

  




 しかし、それ以上にびっくりするのは、もはや内装という言葉は適さないのではないかと思うような天井のフレスコ画、大理石の柱、ゴールドの装飾、豪華なシャンデリア、鏡と優雅な空間です。

 



 そのキラキラ、豪華な内装には、とってつけた感がなく、どこかしっくりきてしまうところがさすがのパリマジックです。

 スタバのお値段は、場所によっても違いますが、オペラ通りのお店とは、同じお値段だったら、せっかくなら、この優雅な空間を味わえる方がなんだかお得な感じです。

   


 しかし、パリ市内、どこも値段は同じかと思えば、我が家から直近のスタバを覗いてみたら、値段は、だいたい50セント安かったので、やっぱりパリの中心地は高いようです。

 もともと、スタバのお値段は少々、高め・・そのうえ、さらにちょっとだけ高いのですが、この豪華な空間を楽しめるのであれば、文句はありません。

 ましてや、そこで長時間、仕事をしたりするのであれば、気分よく仕事ができそうな気もします。しかし、場所取りはなかなか大変そうです。

 とはいえ、ここで仕事?をしている人のパソコンはなぜか、圧倒的に Mac(Apple)が多く、りんごのマークがずらりと並んでいます。ひょっとして、ここApple?と勘違いするほどです。

 スタバが好きな人は、なぜかMacが好き・・一見、全然、関係ないようでいて、ここに集まる人のタイプが垣間見えるような気もしたのでした。

 しかし、もしパリにいらっしゃる機会があれば、この優雅なスタバ、一見の価値があるかもしれません。

 




Starbucks Boulevard des capucines

3 Boulevard des capucines 75002 Paris 7:00~22:00



パリのスタバ スターバックス パリ



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2022年5月21日土曜日

ヨーロッパで相次いで症例が報告されているサル痘がフランスにも上陸した

   


 これまで聞いたことがなかった「サル痘」(Monkeypox)という病気が、ここ数日でヨーロッパで広まっているというニュースを聞いて、ギョッとしています。

 正直、また、ヨーロッパを中心に感染拡大・・と思ったら、カナダやアメリカ、オーストラリアでも、症例が報告され始めて、これは、欧州だけではないらしいことがわかりました。

 もともと、西アフリカの風土病であったサル痘がアフリカ大陸の外で拡大するケースは稀なことで、WHO(世界保健機構)は、このサル痘に関する緊急会議を召集しています。

 しかし、私が以前、西アフリカにいた時、サル痘なんて、聞いたことありませんでした。あの時は、とにかくマラリアが怖くて・・夫は数回、マラリアにかかって苦しんでいました。

 この病気(サル痘)は、最初の段階で、発熱、頭痛、関節や筋肉の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が現れ、第2段階では、水疱を伴う発疹ができ、多くの場合、顔から始まり、手のひら、足の裏、性器など体の他の部分に広がるとのこと。特定の治療法はないようですが、天然痘のワクチンが有効であるとも言われ、大多数の患者は隔離され、自然に回復するとされています。しかし、一方で、一部の疫学者の間では、「サル痘の死亡率はコロナウィルスよりもはるかに高い」と警告しています。

 今回のサル痘の蔓延は、5月6日にイギリスで確認されたのを皮切りに、5月14日以降、ヨーロッパでは、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イタリア、ベルギーでの症例が報告されており、とうとうフランスでも、5月20日に、イル・ド・フランス地方で初めてサル痘の患者が確認されたと、保健当局とSanté publique France(SPF)が発表しました。



 このフランスでの患者は29歳の男性で、過去にウイルスが流行している国への渡航歴はないと、保健当局が発表しています。患者は、感染症が疑われた時点ですぐに保護され、現在のところ、自宅で隔離されています。

 ウイルスは、病人の皮膚病変部や粘膜に直接触れたり、飛沫を介したりして感染し、また、病人の生活環境(寝具、衣類、食器、バスタオルなど)との接触でも感染するとされています。

 また、現段階での感染経路の追跡によると、感染者やその体液(唾液など)との接触による感染が目立ち、「感染が疑われる症例は、性交渉の際に粘膜を介して感染が起こった例が多い」ことが指摘されていますが、現段階では「感染のダイナミクスをより理解するために適切に調査する必要がある」とされています。

 潜伏期間は5日から21日。発熱期は1〜3日程度続きます。通常は軽症で、2~3週間後に自然に治癒することが多いということです。

 しかし、総じて、この病気は人間同士の感染力はそれほど強くないことから、コロナウィルスのようなパンデミックには陥りにくいだろうと予測されていますが、一方では、にもかかわらず、明らかなアウトブレイクが多発していることに、WHOや欧米各国の保健当局は警戒を強めています。

 マスク、手洗いなどの最低限の感染対策の日々はまだまだ続けなければならないようです。

 まったく、次から次へと未知の病気が出てきて・・という風にも思いますが、逆にコロナウィルスによるパンデミックを経験して、これまでよりも感染症に対する警戒が強まったために、このような報告が浮上してきているのかもしれないとも思うのです。


サル痘 Monkeypox 


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2022年5月20日金曜日

フランスでよくある「2個買うと2個目半額」の罠

   



 スーパーマーケットに買い物に行くと、「ー50%!」とか、表示されていて、「うわっ!」と思うと、よく見ると「2つ目が半額」・・などというのが、よくあります。この2つ目半額というのが、出始めた頃は、その「2つ目が・・」というところをちゃんと見ずに、半額だと思って1個だけ買ってきて、実は定価のままだったりしたことがよくあって、特に夫は、このあたりの注意力が欠如していて、何度も同じ過ちを繰り返していました。

 この「2個目は半額」というのが出始めて以来、敵もさるもの、「2個目は40%引き」とか「3個目は無料」とか、手を変え、品をかえ、さまざまな試みをしているものの、大家族でもない限り、また、よほど保存のきくものでない限り、そんなにチャンスはないのですが、それでも、せこい私は、2個目が半額ということは、1個あたり・・いくらか? 3個目が無料ということは・・などと、一応、その場で立ち止まって、考えたりするのです。

 しかし、この「2個目半額」や「3個目は無料」には、最終的な落とし穴も待っていて、実際に買い物が終了して、レジに行って、支払いを済ませて、レシートを確認すると、まったく割引になっていないこともしばしばで、返金となると、その場ではしてもらえずに受付にまで行かなければなりません。

 最近はオートレジになったので、その場で自分でピッピッと値段を確認していくことができるのですが、「2個目半額」、「3個目無料」などのケースは、最後にトータルになった時点で割り引かれるとかで、最後まで確認することはできず、しかも、結局、割引になっていない場合は、やっぱり返金手続きに行かなければなりません。

 レジで並んだ後、支払いをして、また、さらに返金のために受付で並ぶことを考えると、なかなかウンザリします。

 また、量り売りの野菜なども自分で量ってキロ単位の価格に従って、自分で選んだ商品を量りに置いて、自分で選んだ重さの分だけの値段がついたステッカーを袋に貼り付けるのですが、その量りで出てくるステッカー自体も表示価格と値段が違うこともあり、(重さを量ってステッカーを貼っただけで、なんか安心しがち・・)値段を気にし始めたら、本当に気が抜けないのがフランスのスーパーマーケットでの買い物です。

 とにかく、間違いが多いので、この急激なインフレのおり、いつも以上に値段は気にして、買い物をするようになったのですが、実際に支払いの段になって、「えっ?こんな金額になっちゃった???」と思ってレシートを確かめると、たしかに一つ一つの値段はあっていて、やっぱり、全てが値上がりしているんだな・・と、最近は思います。

 しかし、これだけ安くなっているから、この値段なら、買ってもいいかな・・と思って買ったものが、割り引かれていないのは悔しいもので、返金のために並ぶのもめんどくさいので諦めていたこともあったのですが、このトラブルを減らし、問題を改善してもらうためにも、やっぱり、返金してもらいに行こうと、最近は諦めないことにしています。

 これは、間違えられる可能性がある・・と思った時には、その値段の表示を写真に撮って、返金の時にすぐに、「ほら、この値段って書いてあった!」と見せられるように構えています。こんなところも、いつも戦闘体制、戦うことが前提で備えます。

 しかし、これで少しでも改善されるかと思えば、全くそんなことはなさそうで、受付でも、まあ慣れたもので、日本だったら、「すみませんでした」とか、「大変、申し訳ありませんでした」とか、すごく謝られそうなところですが、フランスの場合は、しれっとしたもので、まったく謝ることなどもなく、しかし、びっくりするほど、あっさり返金してくれます。

 これは、完全な分業制がなせるところでもあり、返金の場合なども、フランス人お得意の「それは、私のミスではない!」というところで、たしかに返金係の人のミスではないにしても、その人が会社を背負って謝るということもしないのです。

 あくまでも返金係はその人の仕事をしているだけの話で、堂々としたものです。やもすると、返金手続きを「やってあげた感」満載の場合もあります。

 まあ、この手のトラブルも全て、間違えられること前提にしていれば、怒りも軽減できます。

 私もフランスでの生活が長くなって、自分なりのストレス軽減法を身につけました。


2個目半額 3個目無料

 


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2022年5月19日木曜日

フランス 5月の記録的な熱波

  


 ここ数年、フランスの夏の猛暑は毎年のことで、珍しいことではなくなってきました。

 私がフランスに来た頃、20年くらい前は、夏の間、暑い日があってもせいぜい2〜3日のことで、湿度も低いせいか、夏は断然、フランスの方が過ごしやすいと思っていましたし、建物自体が木造ではないため、外が暑くても建物の中に入ると、冷房がなくとも、すっと涼しい感じでした。

 年間を通して、あっつ〜 い!と感じる2〜3日のためにエアコンを買うこともないし、実際、一般家庭にエアコンのある家はほとんどありませんでした。

 フランスでも、日本のエアコンのように壁面に取り付けるものも、もちろんないことはありませんが、それよりも大きな箱のようなものが多く、場所もとるし、また一年のほとんどを使わないとなるとしまっておく場所も必要で、我が家はフランスのアパートではたいていあるカーヴ(地下にある物置のようなスペース)もないため、収納スペースがごくごく限られていて、そうでなくとも、普段使わないものが多い我が家には(夫の妙な美術品の収集癖のため)、そんなものを置く場所はないので、ハナからエアコンを買うつもりはありませんでした。

 それがここ数年、夏の暑さは毎年のように40℃前後にまで上がる日が数日あり、天気予報を見ながら、そろそろヤバいとなると、もう戦闘体制で、朝早くに家の空気を入れ替えた後は、ベランダの植物にはたっぷりと水をやって、窓もあけず、光も遮断して、お風呂に水をため、家に籠ってバスタオルに水を浸して肩からかけて、なんとか凌ぐというのが、ここ数年の猛暑対策として、定着しています。

 しかし、この猛暑もこれまでは、せいぜい7月から8月にかけてのことで、今年は、まだ、なんと5月! まだ5月というのにここ連日30℃近い日が続いており、これは、5月としてはフランスでも歴史的な記録なのだそうです。

 昨日は、フランスの南西部を中心に13地域で軒並みこれまでの5月の気温の記録を更新し、ソール・オスゴール(ヌーベル・アキテーヌ地域圏)での35.18℃をはじめとして、トゥールーズで33.4℃、パリで30℃とこれまでの記録を軒並み塗り替えています。

 それでも暑いとはいえ、まだパリは30℃、例年なら、暖かい気温が安定しはじめる5月まで待って、ベランダに野菜の種を蒔き、それから1ヶ月ほどして、苗を分けていくのですが、今年は早々に芽をだしたと思ったら、気温が高いだけあって、育つのが早いこと!

 もう苗を分け始めなければならなくなり、ベランダで、畑仕事?をしていたら、どうにも暑くて耐えられなくなり、一旦、中断して、夕方になって少し日が傾いてから再開したくらいでした。

 4月までは、暖かくなったとはいえ、まだまだ朝晩は肌寒かったりしたのに、徐々に暑くなっていくのならともかく、急激な気温の変化に身体がついていきません。

 昨夜は寝苦しく、冷凍庫に入れっぱなしになっていたアイスノンを引っ張り出して眠りました。(この時代に原始的な方法・・)

 フランス気象庁は、今年は早く、長く、激しい熱波が発生していると発表しています。水曜日、フランスの3分の1が30℃以上の気温を記録していたそうで、数日後には、再び多くの場所で35℃を超えるという予報が出ています。また、この気温の上昇は、少なくとも5月24日まで続くそうで、この高い気温の連続も記録を更新しそうだということです。

 また、この天気続きで干ばつの被害も心配されています。テレビのニュースでは、燃料費の高騰に始まり、あらゆる物価の上昇の次は、この干ばつで、野菜や果物にまで影響が出て、新鮮な野菜は高級品になると騒いでいます。

 やっぱり、ベランダ菜園はやめられません。

 アフリカに住んでいた頃は、朝起きて、曇っていると、心の底からホッとしたり、また四季のある生活というものは、やはり良いものだな・・などと思ったことを思い出しますが、本来ならば、一番過ごしやすい季節のはずの5月がこのようなことになるとは、地球環境問題も本当に早急に対応しなければならないことだと実感しています。

 いつもは当てにならないフランスの天気予報ですが、こんな時だけは当たるんだな・・と恨めしく思うのです。


フランス5月の記録的な熱波


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2022年5月18日水曜日

カンヌ国際映画祭開幕セレモニー サプライズゲストはウクライナのゼレンスキー大統領

  


 パンデミックのために2020年には、開催が延期されたり、今ひとつ盛り上がりに欠けていた2022年カンヌ国際映画祭が開幕し、久しぶりにコロナ前の人出に沸き、ようやく取り戻したこの国際的なイベントの盛況ぶりに、カンヌの街、ホテルやレストラン、映画関係者は、祝祭ムードに包まれていることで喜びに湧いています。 

 昨日、今年が75回目にあたるこのカンヌ国際映画祭の開幕セレモニーが行われ、レッドカーペットが敷き詰められた会場は、満席状態、華やかな服装にマスク姿はもうどこにも見当たりません。

 煌びやかにセレモニーが始まって、まもなく、司会の女性に、「今日はスペシャルゲストが登場します」と紹介されて、スクリーンに登場したのには、なんと、ウクライナのゼレンスキー大統領、これには、会場も一斉に立ち上がり、彼は大きな拍手で迎えられました。



 最初は、少々、緊張した面持ちだったゼレンスキー大統領も、すぐにいつものスピーチモードに入り、彼はこの晴れやかなカンヌ映画祭のオープニングで「チャーリー・チャップリン」の映画を引き合いに出し、映画と戦争の密接な関係について語りました。

 そして、彼は、チャップリンと1940年に公開された映画「偉大なる独裁者」に賛辞を送り、語り始めました。

「この物語では、始まりではなく、終わりが最も重要なのです」とこの物語の終わりとは、主人公が広場で行った演説のことを指していると思われます。それは大勢の兵士の前で、自由と寛容、人種の壁を越えた融和を訴えるもので、希望を捨てないことをラジオを通して語りかけるシーンです。

 そして、同時に「映画は沈黙ではないことを証明する新しいチャップリンが必要だ」とも語っています。

 20世紀の最も恐ろしい独裁者たちは映画を愛していました。以来、「人類は数々の素晴らしい映画を作ってきました。皆が、戦争の恐怖に続編はないと思っていましたが、当時も今も、再び、独裁者が現れました」

「現在の私たちの毎日に拷問を受けない日はありません。皆さんも、マリウポルの市立劇場がロシアの爆撃を受けたのをご覧になったことと思います。その劇場は、今日、皆さんが集まっている劇場と同じような感じでした。そこに避難していたのは、民間人でした」

 中略

「しかし、我々は戦い続ける、他に選択肢はありません、私は「独裁者」が負けると確信しています」

 そして、最後に彼は「私の話を聞いてくださっている全ての方々、絶望しないでください、憎しみはやがて消え、独裁者は死ぬでしょう・・私たちは、この目的を達成するために、常に自由の側に立つ映画を必要としているのです」と、楽観的な言葉で締めくくりました。

 元俳優でもあるゼレンスキー大統領ですが、こんな形でカンヌ映画祭に参加することになるとは、彼自身、俳優時代には、想像もしていなかったでしょうが、彼の発信力は、甚大なもので、今や彼をテレビで見ない日はないほどです。

 しかし、まさかカンヌ映画祭にまで登場するとは・・驚きで、本当にサプライズでした。フランスでは、カンヌ映画祭のオープニングセレモニーそのものよりも、ゼレンスキー大統領のスピーチばかりがクローズアップされる皮肉なことになっています。

 あらゆる国で、あらゆるツールを使って、彼は世界中に語りかけています。

 カンヌ国際映画祭には、ジャーナリストだけでも世界90カ国から4,000人以上が集まっています。この彼のカンヌ映画祭での演説も世界中でまた、報道されることになるでしょう。

 長期化する戦争の中で彼は世界中からの関心が失われないように発信し続ける役割を見事に果たし、世界中の協力を求めています。

 この彼の演説の数時間前、ゼレンスキー首相は、当日もマクロン大統領と電話会談をしています。この演説に臨むにあたって、彼らがどんな話をしたのか、気になるところでもありますが、マクロン大統領は、この電話会談の直後に、「ゼレンスキー大統領に対しては、防衛装備品、人道支援、経済・財政支援、燃料など、ウクライナのニーズに応えるとともに、司法の仕事を支援していくことを再確認しました」

 「ウクライナの人々の勇気は尊敬に値するものであり、私たちの連帯を期待するものです。これまでにフランスからウクライナに送られた人道支援物資はすでに800トンに達しています。我々はゼレンスキー大統領と、ウクライナの主権と領土保全の尊重を確保するための国際協定の枠組みの中で、フランスがウクライナに提供できる安全保障について議論しました」と発表しています。

 マクロン大統領は、プーチン大統領との電話会談では、一向に話が進展していきませんが、ゼレンスキー大統領との連携は頑強にとれているようです。


カンヌ国際映画祭 スペシャルゲスト ゼレンスキー大統領


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2022年5月17日火曜日

フランスに女性新首相エリザべス・ボルヌ現労働相が就任

  


 マクロン大統領の再選が4月24日に決定して以来、新内閣の組閣について、長いこと発表されないままでしたが、特に首相の選出については、注目されてさまざまな憶測が流れていました。

 しかし、大統領選直後にJDD(Le Journal du Dimanche)が行った世論調査によれば、国民の74%が次期首相には女性を任命してほしいと思っているという結果が発表されていたので、もしかしたら、次期首相は女性なのかも?と思っていました。

 74%といえば、マクロン大統領の支持率よりも多い数字、この世論を無視するわけはないと思っていましたが、数日前から新首相予想に上がっていた数名も女性ばかりでした。

 昨日までのカステックス首相が首相に就任したのは、2年前の7月のこと、エリゼ宮での首相交代のセレモニーの記憶もそんなに遠いものではありません。パンデミックの第一波を乗り切ったばかりの頃で、前フィリップ首相の辞任により、突然、登場した感じでした。

 彼が最初に現れた時は、その経歴からも、かなりのエリートであることは歴然としていたものの、彼の南仏訛りのきついアクセントやどこか冴えないスーツ姿に、フランスの首相としてどうなの?みっともない・・などという声もあがっていました。

 しかし、結果的に首相に就任してからの彼の言動は、アクセントはそのままでしたが、暖かい人間味あふれる感じや誠実さ、そしてどこかコミカルな印象を与える人柄(決してウケを狙っているわけではないし、本人大真面目なのに、どこかコミカルという感じ・・)が、常に論理的で、口が立ち過ぎて、どこか反感を持たれるところのあるマクロン大統領のマイナス面を見事にカバーする役割を果たしていたように思います。

 首相退任後にまず何をしますか?という記者からの問いに、「家でペンキ塗りをする所がある」と答えたとかで、家でのペンキ塗りもしっくりきそうなほんわかした人柄です。

 実際に、パンデミックの感染悪化、テロ、暴力事件などの問題が起こるたびに、現地に出向き現地の人々声に耳を傾け、誠実に応対する姿勢をこの2年間、度々、報道で目にしてきましたが、これまでの首相の出張記録回数の新記録を樹立していたそうです。

 新旧首相の挨拶では、お互いに向ける言葉の中でそれぞれを"Tu" (フランス語では親しい間柄で使うYouにあたる言葉)で呼び掛け合い、同じ内閣で長く働いてきた親しい間柄を窺わせるものでした。

 この挨拶の中で二人、それぞれ、ちょっと面白いことを言っていました。

 カステックス首相の話の中でおもしろかったのは、「フランス人は要求の多い国民で、額面通りには受け取らない。しかし、彼らはそれに対処する方法を知っている。彼らは偉大な人々であり、政治的な人々だ」「また、マティニョン(首相官邸)の住人に批判が集まるのは必至だ」と彼女に警告したことです。

 「フランス人は要求の多い国民で額面通りに受け取らない・・」まさにそのとおりです。

 また、国民に向けて、エリザベスについて、「この2年間、一緒に仕事をしてきた中で、彼女の高潔さ、誠実さ、有能さ、自発性という計り知れない資質を確認している」、「彼女は信頼できる人物であると伝えたい」と語っています。

 そして、彼女もまた、彼のフランスという国に対する揺るぎなき献身と、人間性、誠実さ、仲間への共感力を讃えました。

 また、彼女の挨拶の中で最も印象的だったのは、最後に彼女が語った一言でした。

「ご想像のとおり、私は今晩明らかに非常に感動しています。そして、この地位にあった最初の女性、エディット・クレッソンに思いを馳せずにはいられません(フランス史上初の女性首相)。そして、おそらく、この私の首相就任をすべての少女たちに捧げ、「夢に向かって頑張れ」と言いたいです。社会における女性の地位のための闘いを減速させてはならない」という言葉でした。

 見渡してみれば、ヨーロッパでは、すでに女性の首相がすでに、数名登場し始めています。民主主義を叫びながら、フランスとてこの世界の潮流から遅れるわけには、いかないというマクロン大統領の思いがあったのかもしれません。

 この首相就任という事実をすべての少女たちに捧げると語った彼女ではありますが、彼女の経歴は、並大抵のものではありません。

 1961年パリ15区生まれ。父親は彼女の父親はフランスに避難したロシア系ユダヤ人で、第二次世界大戦中にレジスタンスの一員として活動し、強制送還させられており、決して容易いものではなかったであろうに、1981年エコール・ポリテクニック(フランスの理工科公立高等教育機関のグランゼコールの一つで超エリート校)卒業、その後も数校において学業を続け、MBAを取得したエンジニアでもあります。

 彼女自身も「自分は小さい時に父親を失い、国の奨学金で教育を受けてきた」と語っています。

 ここまでの時点で、もう普通の少女とは違っていたと思われますが、彼女自身が苦労してきたからこそ、全ての少女たちに向けて、チャンスはあるとエールを送ったのかもしれません。

 公共事業省に入省したのが彼女のキャリアの始まりで、その後、国民教育省の顧問、運輸担当テクニカルアドバイザー、SNCF(フランス国鉄)の戦略担当ディレクターを経て、ポワトゥー・シャラント県知事とヴィエンヌ県知事に就任、その後RATP(パリ交通公団)社長を経て、運輸大臣、エコロジー連帯移行担当大臣を経て、昨日まで労働大臣を務めていました。

 マクロン大統領は、次期首相について「社会問題、環境問題や生産性の問題に長けている誰かであろう」とだけ語っていましたが、彼女の経歴を見る限り、まさに彼女であったと思わされます。

 華やかな感じはありませんが、カステックス首相が語ったように、高潔さ、誠実さ、有能さ、自発性が感じられる印象で、真面目そうで、どこか、厳しい学校の先生のような感じがする彼女が今後、フランス二人目の首相として、着実に活躍していってくれることを祈っています。

 ちなみに、全然、関係ありませんが、エリザベットという名前はエリザベスのフランス語読み。昔、娘が英語の授業で「エリザベットに手紙を書いたの!」と言うので、「誰?エリザベットって誰?」と聞き返したら、エリザベス女王のことで、後日、バッキンガム宮殿から返事がきたのに驚いたことを思い出しました。


フランス女性新首相誕生 エリザベス・ボルヌ


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2022年5月16日月曜日

お客様を招く時の簡単フレンチレシピ

 


 日本にいた頃は、友人に会ったりする時は、「飲みに行こう!」とか、これが食べたければ、あのお店に行こうとか、外食が多く、あまり友人を家に招くということはしませんでした。

 しかし、フランスに来て以来、仲良くなった友人には、「家においでよ!」と友人を家に招くことが増えました。私の場合、子供が小さい頃などは、子供を連れていくのでは、ゆっくりできないし、ましてや子供を一人で家においていくわけにもいかなかったので、自ずと友人に家に来てもらって、ゆっくり飲んだり食べたりしたかった・・ということが主な理由なのですが、フランスの場合は、外食が高いこともあり、仲良くなると、「家においでよ!」となることが日本よりも多い気がします。

 私の場合、お客様によって、メニューは変えているのですが、日本食を特にリクエストされない限り、フランス人のお客様の場合は、材料が手に入りにくいこともあり、また、本当にその味をわかってもらえそうもないので、いわゆる日本の洋食のようなもの、ドリアとか、トンカツとか、唐揚げとか、オムライスとか、比較的、彼らの好みに合いそうなものを作ります。

 日本人の場合は、和食っぽいものを作ることも多いのですが、飲む人(ワインだけど)と、飲まない人でも、メニューは変わってきます。

 先日、家にいらしたお客様は日本人でしたが、近々、日本に帰国されるという方々だったので、それでは和食というのも、なんか、しらける気がして、ちょっとフレンチもどきのものを用意しました。

 お酒はあまり強くないので、たくさんは飲めないけど、ワインも好きです・・ということだったので、一応、ワインも用意(というか、ワインだけは、けっこうたくさんあるので、その中から選ぶだけですが・・)。

 お客様がワイン好きだというだけで、なんか、ワインでかなりごまかせる気がして、気が楽になります。

 できるだけ、出来立てのものをお出ししながら、私も一緒に食べたいので、とりあえず、つまめるものを探し、今回はアーティーチョークを茹でておき、少しずつちぎって食べられるように冷やしておきました。

 アーティーチョーク用のソースは、バルサミコ酢にガーリックパウダー、マスタードちょっととお醤油ちょっとを混ぜただけの簡単なものです。

 そして、アントレがわりにブリック、マッシュポテトにバター、生クリーム、茅乃舎の野菜だしを少しまぜたものをブリックの皮に包んで焼くだけです。あらかじめ包んでおいて、食べる直前に焼くだけで済みます。

 サラダは、レタスやマッシュルーム、人参、きゅうり、トマトなどをドレッシングで和えただけの簡単なもの。

 そして、帆立貝とエビを使ったお魚屋さんに教わったちょっとフレンチなレシピ。名前は知りませんが、フランスのお魚屋さんが教えてくれたので、フレンチだと勝手に思っているのですが・・なかなか簡単で美味しいお料理です。

 エシャロットのみじん切りをバターで炒めたところに、小ぶりの帆立貝(私はピカールのものを使っていますが)とエビを入れて、軽く塩胡椒して火を通し、そこに生クリームとマスタードを少々、最後にコニャックで香りづけしてできあがりの簡単なメニューですが、ちょっと、プロっぽい感じにできるわりには、簡単なメニューです。

 最後にお肉、お肉は軽く塩、コショウ、おろしニンニクを塗って焼き、お好みの焼き具合に火が通ったところで、一旦、あげて、フライパンに残った肉汁に、みじん切りにしたネギ、おろし生姜、おろしニンニク、お醤油、みりん(無ければちょっとだけお砂糖)、ちょっとだけごま油、ちょっとだけお酢を混ぜたものを入れて、少しだけ煮詰めます。

 焼いたお肉をザクザクと切って、この肉汁入りのソースをかけて出来上がりです。ちょっと、普通のステーキとは違う変化球バージョンな感じが気に入っています。

 デザートには、コンテ(チーズ)とコーヒーゼリーにイチゴを添えたものを用意しました。フランスだとゼリーというものは、ほとんど売っていないので、日本人のお客様には喜ばれます。

 なんか、作りながら、自分も食べて、飲んで、おしゃべりも楽しくて、写真を撮るのを忘れてしまいましたが、次回、お客様をする時には、忘れないようにして、また、別のメニューもいつか、ご紹介したいと思います。ただし、分量などは、適当なため、正確にはお伝えできません。

 あまり強くないので、そんなに飲めない・・とおっしゃっていたお客様でしたが、結局、3人でワイン3本飲みました。

 今回のお客様は、ちゃんと家に帰られましたが、我が家のソファーはよほど寝心地がよいと見えて、ソファーで寝てしまう方も結構おられます。

 昔、日本で「突撃、となりの晩ごはん」という番組がありましたが、人の家の食事って、なかなか興味深いものです。

 フランスにいるゆえ、材料等が偏りがあるかもしれませんが、ちょっとでも参考になれば、幸いです。

 上に添付した写真は、最後の最後に「あ!写真撮ってなかった!」と気付いてギリギリ最後に撮ったお肉のメニューです。


簡単フレンチレシピ


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2022年5月15日日曜日

海外で暮らしていると日本ではきっと会わなかったであろう人に出会う

  


 海外で長く生活していると、日本からの客人をお迎えすることがあります。今は亡き母も一度、友人とパリに来てくれたことがありました。その後、叔父夫婦、従兄弟が新婚旅行で来てくれたこともあったし、パリの大学と交流のあった大学教授の叔父(現在は退官しています)などは、 在任中は毎年のように学生を連れてパリに来ていました。

 この叔父は、どちらかというと私にとっては、その度に叔母が用意してくれる大量の日本食を運んでくれる宅配便のような存在でした。

 その他、親友も一度、弟、叔母二人、従姉妹たちやその友人など、思い起こせば、これまでずいぶんたくさんの人が来てくれました。

 家に泊まってくれた人もいれば、友人などと一緒でホテルに滞在していた人もいましたが、こちらもせっかく日本から来てくれているのだからと、できるだけ都合をつけて、一緒にパリの街を歩いたり、家に招いて食事をしたり、外食したりと、その度に楽しい時間を過ごしてきました。

 友人や叔父、叔母、従兄弟、従姉妹など、直接の知り合いはもちろんのこと、遠い親戚で、母の従姉妹の娘さん(はとこ?)など、日本では会ったこともなかった女の子が「ワーホリで1年、パリに行くので、何かの時は、よろしく!」などということもあり、パリ滞在中に、何度か家に食事に来たりしていたこともありました。

 それが、このコロナ禍以来、ぱったりと日本からの客人が途絶えてしまったのですが、コロナ騒ぎが始まってしばらくして、従姉妹から「知り合いがパリのグランドエコールに留学するので、何かの時のためにあなたの連絡先を教えても良いですか?」と連絡が来て、グランドエコールに通うような人に私がチカラになれることはないと思うけど、まあ、何があるかわからないので、どうぞ・・」と返事をしておきました。

 その方は、律儀にも時々、パリに来られてからは、律儀にメールで近況などを知らせてくださっていましたが、いつもなら、「一度、家で食事でもしませんか?」と声をかけるところが、今回ばかりはパンデミックで、あまり人と食事というのも躊躇われ、たまにメールで連絡を取る程度で、一度もお目にかかることもなく、なにやかやと毎日が過ぎていき、正直、私はその方はとっくに日本に帰国されたとばかり思っていました。

 しかし、先日、「しばらくご連絡しておりませんでしたが、学校のプログラムも終了の目処がたち、来月、日本に帰国することになりました。つきましては、お世話になった(結局、私はなにもしていないんだけど・・)お礼に一度、お伺いしたいのですが・・」というメールを頂き、一時のような感染騒ぎでもなくなったので、「それでは、よろしければ、家で一緒にお食事でもしませんか?よろしければ、奥様もご一緒にどうぞ」と連絡したら、快諾してくださり、彼らと一緒に家で食事をすることになりました。

 家の道順を知らせて、「バスを降りたら電話してください」と約束をして、当日になって、食事の支度をしながらふと、「そういえば、私は彼のことを全く知らない」ということにその時になって気がついて、従姉妹からは、お花の生徒さんで、学生時代(なんと東大生)に通ってきていたお花の生徒さんとしては、極めて異色な生徒さんで、卒業後は日本企業に勤めたのだけど、この度、その企業からパリに留学することになった・・普通の人なら、放っておくんだけど、とても良い人だったから・・なにかあったら、チカラになってあげて・・」と言われていただけで、彼の年齢もどんな人なのかも全く知らないのでした。

 しかし、従姉妹が良い人というのだし、同じ日本人でもあり、こちらでも、すこぶる優秀な学校に通っているということもあり、メールの文面なども極めて丁寧で丁重で家に招くということもあまり心配はしていませんでした。

 さすがの日本人、約束した時間ぴったりに来られるあたりは、日頃、時間にルーズなフランス人に慣れてしまっている私には逆にびっくり!さすが日本人だと感心!フランス人の場合、約束の時間を過ぎた頃にようやく電話がかかってきて、「これからバスに乗るところ・・あと何分くらいで着きます」などと連絡がくる感じ、下手すると少し遅れるのが礼儀・・などと言い出す人までいます。

 結局、お昼の食事をしながら、日本でのこと、こちらに来てから色々な国の学生と関わった話など延々と8時間近くも食べて飲んでおしゃべりをして、楽しい時間を過ごしました。もう帰国まで1ヶ月程度しか残っておらず、もう少し早く気付いていたら、色々なところにご案内もできたのに・・とパンデミックボケしていたことをちょっと後悔したくらいでした。

 考えてみれば、もしも日本にいたならば、絶対に接点のなかった人たちです。前述したワーホリに来ていた親戚の女の子とて、日本では会ったこともなかった遠い親戚です。しかし、海外にいるということで、思わぬ繋がりができて、一緒に食事したり、話をしたりする時間を持つということも楽しいものです。

 彼らにとっても、私にとっても長い人生のうちの、ほんの一瞬ではありますが、日本にいたら、絶対に会うことがなかったであろう人に会えるということも海外生活ならではのことなのかな?と思ったりしています。


留学生 海外生活


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2022年5月14日土曜日

日本一時帰国の後遺症 マイおにぎりブーム

   


 コロナ禍、戦禍の中、日本に一時帰国して、フランスに戻って、あっという間に約1ヶ月が経ちました。今回の一時帰国は3週間弱のつもりでしたが、長距離フライトを甘く見ていて、思っていたよりも滞在期間は短くなりました。

 そのうえ、日本到着翌日に娘が機内濃厚接触者になったと通知が来たために、ほぼ、最初の一週間は外食もできずに、「せっかく日本に来たのに外食もできないなんて!」と不満たらたらでした。

 今回は、長距離フライトのせいだったのか、結局、時差ボケも日本滞在中はずっと治ることもなく、次から次へと用事が立て込み、スケジュールはキツキツになり、体力的にも限界を感じていました。

 しかし、だからといって、外食ができなかった期間も食べることを諦めたわけではありませんでしたが、外食解禁からは、なかなかのペースで追い上げ、思い返してみれば、ほぼ食べたいものは網羅し、満足して、フランスに戻ってきたのでした。

 当然、フランスに帰国する際の荷物は、ほぼほぼ食糧で満杯で、最後に荷物を入れたり出したりしながら、23キロ×2個の荷物は重量制限ギリギリまで詰め込み、フランスに戻ってからもたくさんの日本の食糧に囲まれてご機嫌の日々を過ごしております。

 考えてみれば、フランスに戻ってからというもの、野菜などを除いては、ほぼほぼ日本のものしか食べずに、1ヶ月を過ごしてしまいました。

 特に今回は、フランスに戻ってからは、なぜかお米が食べたくて仕方なく、特にお漬物や佃煮などがたくさんあることもあり、気がつけば「おにぎり」ばかりを作っては食べていて、先日、久しぶりに友人と食事にでかけて、久々にフレンチの食事をし、「そういえば・・帰ってきてからバゲット食べたの初めてかも・・」とこの食事の偏りに自分でびっくりしたくらいです。

 しかし、炊き立てのごはんに、刻んだ柴漬けやひじき、ちょうど折りよく育ってきた紫蘇の葉などを刻んで、梅干し、明太子や昆布の佃煮などをちょっと入れて、フワッと握ったおにぎりに香りのよいパリパリの海苔を巻いたり、とろろ昆布で包んだりするおにぎりは、何よりも簡単で美味しいご馳走で、それに大量に持ち帰った贅沢な出汁でお味噌汁でも添えようものなら、もう至福・・。

 


 この「おにぎり」のマイブームのループから、抜け出すことができません。 




 その「おにぎり」でさえも、作るのが面倒な時は、日本から持ち帰ったお煎餅をポリポリ・・しかし、これも結局はお米です。

 帰国後、1週間ほどで時差ボケは治ったものの、このもう一つの日本一時帰国の後遺症の「マイおにぎりブーム」からは抜け出すことができません。




 この「おにぎりループ」から脱却しようと、近くのスーパーマーケットに買い物に行っても、一向に食指の動くものは見当たらず、最低限必要な野菜や、せめて野菜を摂れるようにと野菜ジュースを買ってみたりするだけで、日本に帰国した際にお土産に持ち帰って、「やっぱり、美味しい〜〜〜」と感激された、チーズやバターや生クリームも、よりどり見どりに沢山あるにも関わらず、全く私の目を捉えることはありません。

 しかも、なんだか全ての食品が少しずつ値上げしていて、ますます購買意欲が削がれます。

 しかし、しばらくして、持ち帰った日本食材が底をつき始めたら、おのずと元通りの生活に戻らざるを得なくなりますが、日本からの食材が尽きるまで、しばらく続くかもしれません。

 思い返してみれば、日本に住んでいた時には、私はそれほどお米を食べていなかったし、最初に海外に出た頃には、これほど、日本食に固執してはいなかったのに、今回ばかりは、なぜかダメ。

 年齢のせいもあるのかもしれませんが、おにぎりを頬張りながら、これがソウルフードというものか・・などと思いながら、夜中にまでおにぎりを作る誘惑に耐えているのです。

 これまでは、食事を作るのが面倒だとバゲットを買ってきて、せめてバターくらいは贅沢にエシレバター・・などとバターをパンに塗りながら、結局、これが一番簡単で確実に美味しい・・などと思っていたのですが、1ヶ月経っても、バゲット生活には戻れていないのです。

 しかし、おにぎりにしろ、バゲットにバターにしろ、シンプルなものが一番、飽きずに美味しいということは同じようです。


日本食 おにぎり


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2022年5月13日金曜日

冷凍ピザ死亡事故に見るフランスの食品衛生管理

  



 すでに事件は3月に起こっていたようですが、大手食品メーカーの冷凍ピザから、溶血性尿毒症症候群(HUS)と毒素産生性大腸菌(STEC)の感染症が56件確認されたことから、このピザを製造している工場には、3月の時点で2度の徹底的な衛生検査が行われ、4月1日には、この工場でのピザの製造は禁止されていました。

 これらの検査により、食品衛生管理のレベルが悪化していることが明らかになった」と報告が上がっており、特に、「ネズミが存在し、害虫の侵入を防ぐ効果的な手段や食品活動に適応した害虫駆除が行われていないこと」、「製造、保管、通路エリアのメンテナンスと清掃が行われていないこと」などが指摘されています。

 この冷凍ピザはフランスのスーパーマーケットなら、どこでも売っている有名なメーカーの製品。決して、激安の怪しげな商品ではありません。

 これまでに2人の子供がこのピザを食べて死亡しており、この事件は、5月に入って、パリ検察庁に捜査が移管されました。この司法捜査は、「過失致死罪、14人に対する過失傷害罪、人や動物の健康を害する製品に関する偽装、食品に使用される食品が偽造または破損して健康を害する展示または販売、健康を害する製品を市場に出して他人を危険にさらす容疑」で行われています。現段階では、同ブランドのFraich'upシリーズのみが懸念されていると、検察庁は発表しています。

 その後の捜査でこの食中毒は合計75件発生しています。その大半が子供で、そのうち2人が死亡。この捜査がパリ検察庁の手に渡ったことで、再びこの騒動はクローズアップされ、このピザを食べて死亡した子供の両親などの証言も報道されています。 

 冷凍ピザはフランスでは、かなりポピュラーな存在。フランスでは共稼ぎの家庭がほとんどのため、仕事が終わって、帰宅後に簡単に食べさせることができる冷凍ピザの買い置きをしている家庭は多いのです。しかも、みんなが大好きな食品です。

 その冷凍ピザを食べて、まさか子供が死んでしまうとは・・想像もつかない悲劇です。しかし、以前、この工場で働いていた従業員の証言や公開された映像からは、ちょっと信じられないほどの不潔な状態には目を覆いたくなる酷い状況です。



 しかし、私の日常で食品工場を目にする機会はないものの、ネズミに関しては、もともとあまり驚かないフランス人、以前、働いていた会社(食品関係ではない)にもネズミ駆除の薬を置きに来る人が定期的に出入りしていましたし、大きなゴミ箱を回収に来ていた時にゴミ箱からネズミが出てきたのをたまたま目撃して、私が悲鳴をあげたら、ゴミ収集の人に、「ここは、どこだと思ってるの?パリだよ!」と笑われたこともありました。

 また、食品を扱っているお店に勤めていた知人が仕入れたキャラメルの袋がネズミに食いちぎられた跡があり、メーカーにクレームを入れたら、「ネズミも食べたがるほど、美味しいってことだよ!」と言われたと驚愕していたことがありました。食品の管理状態をさほど気にしていないことがうかがわれます。

 しかし、一方では、パリでレストランをやっている知人によると、食品衛生の検査は、とても厳しく、店内、厨房にいたるまで細かくチェックされ、冷凍してある食品の状態まで厳しくチェックされ、改善命令が出るとこの改善が確認されるまで、営業停止になってしまう・・ものすごく厳しい・・という話も聞いたことがあります。

 しかし、今回、問題が起こったのは、食品工場、このような状態のまま放置されている場合もあるということが驚愕です。

 このピザを食べて被害に遭っているのは、ほとんどが子供ですが、いずれも大腸菌を原因とする溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断されており、ピザを食べて数時間後に腹痛を起こして救急車で運ばれて、あっけなく亡くなってしまったとのこと。

 冷凍食品とはいえ、火を通して食べるものでありながら、こんなことが起こりうると思うと恐怖でもあり、それを食べさせてしまった親の後悔の念も計り知れません。

 私自身もたまに、焼くだけで簡単に食べられる冷凍ピザを利用することがありますが、この映像を見てしまったら、しばらく冷凍ピザは食べる気がしなくなりました。


冷凍ピザ食中毒死亡事故


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