2022年2月17日木曜日

マリアンヌの切手の買い置きとパリでの戦闘体制の日々

   


 私は、かつて、常に切手の買い置きをしていました。それほど、切手を使う機会が多かったのです。フランス国内の郵便で20g以内のものは、たいてい金額が記載されていない「マリアンヌ」の切手で済むので、そのカルネ(切手が12枚セットのシールになっているもの)を常に買い置きをして、いつも、手帳かお財布の中に入れていました。

 マリアンヌの切手は、金額が切手に記載されていないために、たとえ、その後に郵便料金が値上げしても、そのまま同じものを使うことができる利点もあります。

 フランスに来たばかりの頃(20年前)には、私は、フランスでの自動引き落としというものを信用できず(桁を間違えられて引き落とされた経験あり、その後、返金してもらうまでに大変だった・・)、電気料金から、家賃、娘の学費などの支払いなどを小切手を使って支払っていたこともあり(小切手は自分で金額を確認して記入できるうえに、ナンバーと支払い先、金額などを記録できて、払った払っていないなどの問題に小切手の控えで対応できるためです)、それらの支払いの度に小切手を郵送することが多かったのです。

 なので、それらの支払いの度に切手が必要で、常にマリアンヌの切手のカルネは常備していました。

 おまけに、様々なお役所の手続きなどは、一度、送ったはず(下手をすると手渡したはず)の書類を失くされて、何度も同じ書類を送るハメになったり、切手は生活必需品のひとつでもあったのです。

 考えてみれば、いつでもトラブルにあった時のために、自分がやったこと(特に支払い)に関しては、それを証明できるためのものを用意しておかなければならず、常にそれを携えて苦情を申し出る戦闘体制でした。

 書類を送る時には、失くされることを前提に必ずコピーを保管しておくのがフランス生活の常識。常に信用しないこと前提の生活を送ってきたことを今さらのように思うのです。

 しかし、いつの間にか、それらの支払いも自分でネットで振り込むことができるようになり、たま〜に送らなければならない書類は、重さを郵便局で計ってその分だけの料金の切手を買って送るようになっていたため、久しくマリアンヌの切手のお世話にならない生活になっていました。

 先日、あるお役所の手続きに、書類を郵送しなければならない用事ができて、大した重さでもないようなので、これはマリアンヌで行ける!と思い、買い置きしてあったはずの切手を探したのですが、どこにしまい込んだか見つからず、そういえば、長いことマリアンヌのお世話にならなくなっていることに気がついたのです。

 自分でネットで振込ができるようになっただけでも、人の手を介すことが減り、それだけミスも少なくなり、おまけにネット上で振込の記録が残るので、小切手を使うこともほとんどなくなりました。

 お役所関係の書類に関しても、ずいぶんネットで書類を送ったりすることもできるようになりましたが、依然として、書類を印刷して、記入して、郵送して・・ということが、時々、勃発します。その最たるものは、10年に1回のビザ(滞在許可証)の申請です。フランスのお役所の手続きの中で、あれほど嫌なものはありません。

 人が関われば関わるほど、ミスは増え、先方にミスがあっても決して謝られることはなく、ミスをミスとして認めないところは、以前とあまり変わりません。謝らないということは、反省もなく、その手の手続きのシステムは一向に改善されないということでもあります。

 変わったのは、私の方で、書類を送って、返答がないと「失くされたかな?」と普通に考えるようになり、以前ほどは怒りまくらなくなったことです。失くされた場合も、連絡を再度取って確認し、淡々と、コピーしていた書類を探し出して、「しょうがないな・・」と思いながら、再び送るようになりました。

 久しくお世話にならなかったマリアンヌの切手を家中探し回っても見つからず、「たしか、まだあったはずなのに・・」などと思いながらも、自分の記憶にも自信が持てなくなってきて、探しているうちに、思わぬ写真が出てきたり、なぜだか、しまい込んでいた50ユーロをみつけたりしながら、あたふたして、汗だくになり、がっくりしたところで、なぜか、お財布の中では??と思って引っ張り出してきたお財布を、気がつけば冷蔵庫にしまおうとしている自分に呆然。もはや自分すら信用できなくなってきました。

 マリアンヌの切手は、今、いくらになっているのだろうか?とサイトを見ると、切手はサイトで買えるようになっていましたが、どうやって受け取るのかと思いきや、「配送無料」の記載が・・どうやら、ネットで買った切手は郵便で配達してくれるようです。(自分で印刷することもできるらしいけど)

 配送無料でも、この郵便そのものも信用できず、一体、いつ届くのか?下手をすると無事に受け取れるかどうかも不安で、結局、翌日、郵便局に行くことにしました。

 結局のところ、依然として、あらゆるところに信用できないことが待ち受けており、私のフランスでの戦闘体制の生活は、マリアンヌの切手の使用頻度ほどに、以前よりは、楽になったものの、結局のところは、信用しないことが前提で、そのトラブルをいかに回避し、戦うかが根底にあり続けるのです。


マリアンヌの切手


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