フランス政府報道官ガブリエル・アタルは、「ワクチンパスは、おそらく3月末から4月には、解除できるであろう」また、「学校での感染対策も緩和する方向で検討している」と発表しました。
先日、テレビのニュース番組にオリヴィエ・ヴェラン保健相が出演した際に、視聴者の質問に回答する形で、ワクチンパスは、7月末頃には、解除できるかもしれない」と話していましたが、今回のスポークスマンの発言では、それよりさらに前倒しの3月末から4月に解除という話になっています。
まあ、3月末にしても、7月末にしても、どちらにしても決定事項ではなく、あくまでも、その時点で、感染者数や感染率、病床の占拠状態の改善などが見られた場合の希望的観測によるものであることに変わりはありませんが、今回のスポークスマンの発言には、カナダで起こっている「ワクチン接種義務化に反対する大規模なデモ「自由の車列(Freedom Convoy)」が影響しています。
カナダでは、国民の多くはこのデモには不支持であるにもかかわらず、首都オタワの中心部で、トラックやテントが通行を妨げ、都市機能が麻痺しています。このカナダでの抗議活動がフランスでのデモ隊を触発し、すでに同じスローガン「Convoi de la Liverté」をかかげ、Facebookを利用して、デモ隊の規模を広げて結集する動きが警戒されています。
フランスでは、デモ隊が独自のスケジュールを作成しており、彼らは、2月11日(金)の夜にパリに集合し、翌日首都で反ワクチンパスのデモに参加し、翌月曜日にはブリュッセルで他の参加者と合流する予定になっています。
しかし、この国境を越えたデモは、健康対策への抗議という単純な枠組みを超えており、フランス支部?のメンバーは、完全な熱気の中で、物価、特に燃料価格の上昇に対する抗議も併せて訴えています。
このデモの動きには、2018年に起こった「黄色いベスト運動」の活動を復活させようとしている人々がインターネットを通じて、今回のカナダを起源とする「Convoi de la liberté」に便乗して煽っています。
2018年に燃料税の高騰をきっかけに始まり、長い間、フランスで続いていた「黄色いベスト運動」は、パンデミックの始まりとともに、抑えられ、また、感染が減少傾向に向かうと再び燃料費の高騰とともにぶり返しそうになっている皮肉な結果を生もうとしています。
黄色いベスト運動の時のデモ隊の暴れぶりを思い起こすに、フランスの場合は、トラックでパリを都市封鎖ということは、あまり現実的ではありませんが、より過激になることも予想され、彼らが今回、予定しているベルギーという一応、国を跨ぐ遠征に発展しようとしていることは、今後、ワクチンパス反対から、燃料価格の上昇だけにとどまらず、問題をさらに拡大させていく危険性を孕んでいるのです。
政府が、慌てて「ワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる」と発表したのは、このデモ隊を沈静化するためと思われます。
しかし、ワクチンパスポートが施行されたことで、ワクチン接種、ブースター接種が進みつつあったのに、まだ施行されて1ヶ月もたっていないうちに、あと2ヶ月ほどで解除するという発表とは・・「3月末まで、あともう少しでワクチンパスが解除されるなら、それまで粘ろう」と思い始める人も無きにしも非ずで、さすがにこの発表は時期尚早な気がします。
それにしても、感染を抑えるために「ワクチンパスポート」を施行したのに、今度はデモを抑えるために、それを早々に解除する発表(実際にこの時期に解除できるかどうかは別として)をしなければならないとは、大統領選挙を前にして、混乱状態はできる限り避けたいというところはあるにせよ、想像以上にこのデモを政府が恐れていることが垣間見えるような、ちょっと不思議な発表でもありました。
ワクチンパスポート解除 ワクチンパス反対デモ
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