ワクチンパスが議会で多くの議論を呼び、自由剥奪の声が途絶えない一方で、ワクチンパスの兄貴分である「ヘルスパス」が今、評価され始めています。
Conseil d'analyse Economique(CAE)(経済分析諮問委員会)が発表したOECDとブリューゲル研究所の協力による調査によると、ヘルスパスによって、フランスでは4,000人、ドイツでは、1,100人、イタリアでは1,300人が死亡せずに済んだとしています。
この研究では、同じような状況にありながら、ヘルスパスの導入の時期、またヘルスパスの導入をしなかった国、フランス、イタリア、ドイツの3カ国を分析、比較しながら、「フランスに、もし、ヘルスパスがなければ、入院は30%増え、死亡者も4,000人以上増えていただろう」と分析しています。
まず、フランスでは、ワクチン接種率の上昇が、ヘルスパスのシステムにかなり影響を与えたことは、明白であり、また、ロックダウン状態から、人々が外に出始めた時には、おっかなびっくりであった一部の国民もヘルスパスによってリスクの高いと言われる場所での社会的な交流を持つことへの恐怖心が薄れ(現在では、薄れすぎですが・・)、ワクチン接種率の上昇とヘルスパスによって経済活動が想像以上に回復し始め、60億ユーロの損失を逃れたと試算しています。
直接的な影響は、国民が社会活動を行えるようになったことにありますが、もしも、ヘルスパスがなければ、ワクチン接種率は停滞したままで、医療体制は飽和状態を迎え、政府は再び、ロックダウン、外出禁止、特定の場所の閉鎖といった制限を課さざるを得なくなっていたであろうという見解です。
これからヘルスパスはワクチンパスへと移行しますが、これは、ワクチン接種済みの人にとっては、アプリを入れ替える必要もなく、そのままワクチンパスとして使用できるようになるので、とりたてて何もする必要はありません。
しかし、一方では、2回目のワクチン接種から7ヶ月後には、3回目のブースター接種をしない場合は、ワクチンパスは自動的に失効してしまいます。
保健省の発表によると、先週末には、約56万人がヘルスパスを失ったと言われています。
7ヶ月後という期間をうっかりしていると、知らないうちに失効していることがあり得るようです。慌てて、ブースター接種を受けに行っても、接種後、ワクチン接種が有効化されるまでは、7日間待たなければならず、1週間は、ワクチンパスが必要な場所にはアクセスできなくなってしまいます。
また、2月15日からは、2回のワクチン接種から、ブースター接種までの最長期間が4ヶ月に変更になるので、ワクチン接種からワクチンが有効になる期間を考慮すれば、4ヶ月経過する少なくとも1週間前までにワクチン接種を受けなければ、レストランやカフェ、文化施設、娯楽施設、スポーツ施設などには、アクセスできない1週間以上を過ごすことになります。
ひとまず、ヘルスパスからワクチンパスへ移行するタイミングで、ヘルスパスの効果は絶賛されていますが、ワクチンパスへの移行による効果については、現在では、ワクチンを接種していないフランス人はごく少数派のため、ワクチンパスの効果は、このごく少数派の人々にどの程度、響くのかは、未知数です。
しかし、ヘルスパスの起用が発表になった時は、少なからず衝撃的な内容で、反発も多くありましたが、結果的に見れば、こうして絶賛され、大いに評価される結果となったわけですから、ワクチンパスもしばらく時間が経過しなければ、一体、どんな評価が下されるのかはわかりません。
とはいえ、大多数のフランス国民は、ワクチン接種済みなので、大勢に影響はないと思われますが、それでも感染がおさまらなければ、結局は、残すところは、マスクや手洗いやソーシャルディスタンスなどの基本的な感染対策しかありません。
ヘルスパスの評価 ワクチンパス有効期限
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