WHO(世界保健機構)が新型コロナウィルスをWHOの最高警戒レベルである「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言したのは、2020年1月30日のことでした。
それから、今まで、発表されたWHOの新型コロナウィルスに関する見解や勧告は、どちらかといえば、後出しジャンケンのような気がするものが多かった印象があります。
しかし、今回、WHOが発表した勧告は、世界中で感染の度合いが違うとはいえ、オミクロン株という、これまでとは桁違いの感染力や特異な特性を持つウィルスの拡大により、世界各国がそれぞれの感染対策をとり、また、感染対策を移行しつつある中で、一つの指標となり得るものであったのではないかと思っています。
今回の発表で、WHOは、「世界各地でオミクロンの感染者が増え続ける中、オミクロン変異体の感染拡大の抑制に効果がないとして、海外渡航制限の廃止・緩和」を呼びかけています。
WHO国際保健規則緊急委員会は、2022年1月13日に開催された新型コロナウィルスに関する第10回会合の終了後、本勧告を発表しました。委員会は、パンデミックはWHOの最高レベルの警戒態勢に値するほど深刻であると考え、「海外旅行禁止は何の価値もなく、締約国の経済的・社会的ストレスを圧迫し続けているため、解除または緩和されるべきである」と勧告しているのです。
国連の世界保健機関によると、包括的な渡航禁止の実施は「国際的な広がりを抑制する効果はない」とし、「懸念される新変異種に関する透明でタイムリーな報告を阻害する可能性がある」と説明しています。
委員会は、パンデミックについて「世界中の人々の健康に影響を与え続け、国際的な広がりと国際間交通への干渉の可能性を持ち、国際的に協調した対応を必要とする異常事態である」ことに「全員一致」で合意しています。
フランスは、昨日、感染上昇が続いていた日々から、初めて感染者の減少が見られましたが(1日の感染者数が38万人まで下がった)、依然として、圧倒的な感染者数を出し続けているにもかかわらず、集中治療室の患者数が若干減少し始めたこともあり、ワクチンパスの施行を機に、感染対策の規制の緩和を開始することを決定しています。
もともとフランスは、あまり入国制限に対して、厳しい措置をとっていないので、このWHOの勧告どおりの状態(逆にもう少し、慎重にすればと思うくらい)ですが、これ(フランス)はあまりに極端な例ではありますが、日本の水際対策は、この世界の潮流から、取り残されている感が拭えません。
これまでも、日本の鎖国については、海外からは、「日本の内向きな対策」などと、厳しい声があがっていましたが、このウィルスがパンデミック・世界中を巻き込んでいる感染であり、しかもオミクロン株という強烈な感染力で拡大し続けている今、WHOは、「国際的に協調した対応を必要としている」と述べているのです。
日本が国を守るためにしていることが、国際的にも、経済的にも取り残される危険を孕んでいます。
このWHOの勧告に対して、日本がどのように対応するのかを期待しています。
WHO海外渡航制限解除または緩和の勧告
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