2023年8月31日木曜日

夏のバカンスが終わると、続々と発表されるストライキの予告

 



 フランス人のデモやストライキの激しさは、今さら説明する必要もないくらい有名な話だと思われますが、バカンス(特に夏)を一年のメインイベントの一つとして捉えている(習慣づいている)フランス人にとっては、この時期のデモやストライキは、基本的には、お休みになります。

 その年によって、よほどのムーブメントがあった場合(黄色いベスト運動の時やワクチンパスポート反対の時など)には、夏まで引きずったこともありましたが、例年は、わりときっぱり、あっさり、夏の間はみんながバカンスに散っていきます。

 ワクチンパスポートの時は、感染拡大予防のために、ワクチン接種を早急に浸透させるために、バカンスを人質にとり、夏のバカンスシーズン直前に、ワクチンパスポートがないと、長距離移動の公共交通機関に乗車できないとかイベント会場に入場できない、外食できないなどの規制ができたために、発表当時は、大変な反対の声が上がり、大きなデモが起こりましたが、結果的には、「あれこれ言っていないで、さっさとワクチンでも何でも打って、バカンスに行きたい!」と思う人が多かったようで、いつの間にか、このデモも鎮まり、何より、ワクチン接種があっという間に進んだという経緯がありました。

 ということは、やっぱり、何よりもバカンスファーストの国なわけです。

 今年は、年初から、年金問題のデモやストライキ、そして、警察官の発砲事件による未成年者死亡事故をきっかけにしたデモから大きな暴動が起こり続けていましたが、そのどちらも夏まで引きずることはなく、夏のバカンスの期間は大きなデモやストライキはありませんでした。

 何よりも、パリは特に、バカンス期間中は多くの住民が出払ってしまうので、あまりストライキをしても、そもそも人が少ないのですから、あまり影響はなく意味もないのです。

 そんなわけで、夏のバカンス期間があけて、新年度が始まるとともに、学校や仕事も再開されると同時にストライキも再開されます。下手をすると、夏のバカンス前に9月のストライキの日時の予告をして、バカンスに突入する機関もあるくらいです。本当にちゃっかりしています。

 現在、聞いているだけでも、9月7日にSAMU(救急隊)のデモ、8日のラグビーワールドカップ開幕戦(スタット・ド・フランス)の当日のRATP(パリ交通公団)、SNCF(フランス国鉄)のストライキなどが発表されており、今後も続々と出てくるのではないかと予想されます。

 日本人からすれば、考えられないほどの長期間の夏のバカンスをとった後に、すっかりリフレッシュして、さあ仕事!と思いきや、ストライキですから、もうある意味、突き抜けているというか、極めているというか、もう見事なものです。

 もちろん、こんなことができるのは、一部の企業や機関のことではありますが、夏のバカンスの後のストライキ、これもまた、ある意味、フランスの風物詩のような感もあるくらいです。

 来年の夏は、パリでオリンピックが行われるために、確実にいつもと違う夏を迎えることになると思われるフランスですが、一体、どんなイレギュラーなことになるのか?不安なような、楽しみなような気持ちです。

 まさか、オリンピックの最中にストライキ?なんてことはないと思いたいのですが、このオリンピックを妨害したい人々がボランティアに紛れ込んでいて、彼らが一斉にボランティアの仕事をボイコットする・・なんていう計画というか、噂もあるのです。

 フランス人恐るべしです。


バカンス後、9月はストライキ


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2023年8月30日水曜日

福島の放射能汚染水と中国人に対する非難について

  


 日本が福島原発の処理水を海に放出することを発表した後に、中国がこれを強く非難し、その報復措置として、日本からの水産物全面禁輸を発表しました。日本政府は、この放射能汚染水は、安全性が保たれる希釈措置が取られているものであることを強調しているので、専門家が多くの資料や実験などで検討した結果であるだろうし、それを信頼する以外にありません。

 この日本の放射能汚染水の処理について、フランスはどんなにか騒ぐだろうか?と思いきや、遠いこともあるのか、また、原子力発電を日本よりもよっぽど多く活用しているフランスは、他人様のことを言える立場でもないのかもしれないし、国際的な安全性の基準内(国際原子力機関(IAEA)も承認している)であれば、フランスはとりたてて騒ぐことでもないと考えているのかもしれませんが、現在のところは、あくまでも客観的な立場をとって、中国が日本企業などに対して電話攻勢をかけたり大騒ぎしていることを報じています。

 この中国の報復措置に日本国民の一部が、過剰に反応し、ネットで、「中国人へ 当店の食材は全て福島産です」などと掲げているお店に対し、中国人排斥だと抗議しているジャーナリストがいたり、また、逆に「日本に入国する中国人全員にホタテを食わせろ!」とか、「中国人を福島の海で泳がせろ!」などと言っている元政治家たちのトーク番組の切り抜きが流れてきたり、なんだか荒れているようで、特にこの「中国人にホタテを食わせろ!」とか、「福島の海で泳がせろ!」などという元政治家には、あまりに低次元で、こんな発言が世界的には、どんな扱いを受ける、どんな風に見られるかを思うと、もう言葉もない気がします。

 福島の食材を擁護しようとする?お店の気持ちはわからないではありませんし、福島の食材を忌み嫌う中国人に親切にも教えてあげているのだ・・などという意見もあるようですが、そもそも、「中国人へ」という書き方に、侮蔑の意が表れている気がします。

 親切で教えてあげるというのなら、お店の側から出すべきは、せめて、「中国からのお客様」とか、なんらかのもう少しソフトな書き方があるだろうし、なにも中国人だけを取り上げることもないと思うのです。

 もし、フランスでお店がこんな看板を出したら、あっという間にこのお店は中国人からだけでなく、人権擁護団体などから、袋叩きにあうか、お店を破壊されてしまうだろうと思います。フランスに差別がないとは言いませんし、むしろ、差別の歴史があるからこそ、非常にデリケートに扱われる問題なのかもしれません。なので、特定の国名を挙げてのお店の看板(プラスの印象のものは別として)などは、あり得ないことで、公人のこんな発言は絶対的なタブーです。

 ましてや、元とはいえ、政治家、評論家のような立場の人がこんなことを公の場で口にするとは、なんと幼稚で国際的な感覚が欠如しているのかと情けなくなります。

 フランスでも、中国人観光客があまりお行儀がよくない噂を聞かないわけではありませんが、だからといって、このような国を特定して、卑しめるような発言や表記は、あり得ないことです。

 中国政府は、なにかにつけて、ケチをつける材料を探しているのであって、今回は、中国政府にとって絶好のターゲットとなっているのであって、中国人全員が意を共にしているわけでもありません。

 むしろ、中国人に対する嫌がらせのような言動は、日本人の恥部を晒しているようにも感じるのです。


福島放射能汚染水 中国人


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2023年8月29日火曜日

物議を醸すフランスの公立校でのアバヤ着用禁止 アバヤは宗教か?文化か?


 

 新年度を目前にして、国民教育相ガブリエル・アタルがフランスの公立校における「アバヤ」の着用を禁止することを発表し、物議を醸しています。彼は、これを「国家レベルでの明確な規則とする」としています。

 これは、ただちに左翼指導者の怒りを引き起こし、イスラム教徒女性に対する強迫的規則であると、この公立校におけるアバヤ着用禁止を非難しています。

 恥ずかしながら、私は、この「アバヤ」という名前を知らず、一瞬、???となりましたが、映像を見ると、当然、見かけたことはある顔以外の全身を覆うアラブの女性の伝統的衣装であることがわかりました。

 フランスでは、政教分離の原則に則り、公立校では宗教的なシンボルを着用することが法律で禁止されているようですが、具体的な衣装を名指し?で禁止というのは、初めてです。

 問題はこの「アバヤ」が宗教的なシンボルであるかどうかということが争点となると思われますが、争点云々以上にわざわざ公的に禁止するほど、アバヤを着ている子がいるのだろうか?ということです。

 まあ、地域によっては、そういう地域もあり得るのかもしれませんが、少なくとも私は、学生で登校するのにアバヤを着ている子を見かけたことはありません。むしろ、禁止されたところで、関係ない子が大多数だと思われるものをわざわざ「禁止」というような発表をして、反感を買うのもいかがなものだろうか?とも思います。

 これに反して、このアバヤを着ることについて、これは宗教的なものではなく、単なるファッションの一つであると言い張る子もいるようです。

 ただ、このドレスが宗教云々以前に、学校生活を送るために、便利でふさわしいものであるかというと、そうとは思えないところではあります。

 そもそもフランスでは公立、私立ともに制服を定めている学校というのはほとんどなく、服装について、あまり、うるさく言われることもないし、禁止されるとか、縛られるということに慣れていません。

 だいたい、この年頃の子たちは、禁止と言われれば、より反抗するようなところもあります。

 娘が通っていた学校(私立)では、ある程度の節度ある服装をというぼんやりとした指導はあるようで、節度を外れているような場合は、忠告があったようです。

 日本の学校では、制服のある学校も多く、服装や髪型に対してまで、それこそそんな校則いる?と思うほど、厳しい規則を強いている学校もあるように聞きますが、宗教的なものに関する規則というのはあるのでしょうか?

 バブル世代に学生時代を過ごした私は、お嬢さん学校に入学した子が入学と同時にイブニングドレスがいると言われたとか、逆に、あの女子大はブーツが禁止らしいとか、毛皮のコートはダメとか、規則とはいえ、今から思えれば、どうかしている、それこそ浮世離れした話ばかり耳にしていました。

 今回のフランスの公立校における「アバヤ着用禁止」は、ともすると宗教的な差別とも言われかねないものでもあり、この種の訴訟を専門としている一部の弁護士によると、「アバヤは長いドレスであり、国家公認の権威であるCFCM(フランスイスラム崇拝評議会)の宣言によれば、宗教的な衣服ではない。従って、アバヤは宗教的なしるしではなく、文化的なものである」と説明しており、今後のこの禁止措置は主に行政管轄権への上訴の対象となる可能性があると語っています。

 「アバヤ」は宗教か?文化か? 難しい問題です。

 

フランス公立校アバヤ禁止


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2023年8月28日月曜日

フランスでも日本でも、最近、もっぱらよく聞くようになった、けっこうキツい親の介護の話

  


 以前は、娘の学校の休みの時期、しかも娘を日本の小学校に少しでも体験入学をさせたいなどと思うと、日本が最も暑くて、過ごしづらくて、航空運賃も最も高い夏に日本に一時帰国することに、いささか、憤りを感じてはいたものの、一方では、一年に一度の日本への一時帰国は、やはり、このうえなく楽しみで、両親も年に一度、孫に会えるのを楽しみにしてくれていました。

 孫というものは、本当に可愛いものらしく、母も手放しで娘をほめちぎり、まだ元気だったうちは、やたらとどこへでも孫を連れて歩きたがり、多分に気難しく、ケチな父親でえさえも、孫にだけはなにやら様子が違って、やたら気前よく、私も夫も絶対に買い与えなかった、携帯ゲームなどをいそいそと2人でこっそり事前に約束して買いにでかけたり、いずれにしても、両親2人ともが、それぞれにとても楽しそうで、これまで私がどんなに親のためにしてきたことも孫の存在にはかなうものではありませんでした。

 しかし、両親は、私の年齢からしたら、わりと早くに2人とも他界してしまい、母にいたっては、もう亡くなってから15年以上も経っているので、周囲の友人たちが親の介護に苦労しているなどという話を聞いても、介護する親がまだ生きていてくれて、羨ましいとさえ思っていました・・つい最近までは・・。

 母は本当に倒れてから、亡くなるまでがあっという間のことだったので、介護らしい介護をする間もなく、また、父の時は、私も弟も海外で生活しているために、けっこう、周囲の親戚などと、ゴタついたりもしましたが、それでも結局、父は最期のギリギリまで家で頑張り続け、介護施設に入って、半年くらいで亡くなってしまったので、私は、父に対しても、母に対しても、ほぼ介護らしい介護をすることはありませんでした。

 その後も、パンデミック前までは、ほぼ1年に1~2度は日本に帰国し、誰もいなくなった家の片付けをしたりして、その際には叔父や叔母たちに会ったりするたびに、父や母がいなくなっても付き合いが続いていることに感謝し、嬉しくもあるものの、どこかで、正直なところ、なんで父と母だけがもういないんだろう?などと思うこともありました。

 今、フランスに居続けるか日本に帰るかなどと考えたりもしますが、今でも両親のどちらかが生きていたら、ブーブー文句を言いつつも、私はきっと日本に帰っていただろうなとも思います。

 しかし、最近は、周囲の友人たちの親も、生きているかわりに、介護はそれなりに壮絶になってきているらしく、多少、ボケてきたり、物忘れがひどくなって、同じことを繰り返したりするのは、仕方ないにしても、ごくごく身近で介護している人に対して、異常に暴言を吐いたり、頑固に家に引きこもるようになったり、やたらと攻撃的だったり、もう耐えられないと音を上げている友人もいます。

 ついこの間は、母娘二人暮らしだった友人がお母さまを見送ったばかりだし、介護する側もされる側も、私が両親を看送った時よりも、歳をとっているため、精神的にも肉体的にも大変そうです。

 つい先日、こちらでも、フランス人の友人と久しぶりに会う約束をしていたら、両親の具合が悪くなったとかで、約束は延期になり、どうやら、コロナウィルスに感染してしまったそうです。

 彼女とは、しばらく会っていませんでしたが、以前に話を聞いた時にも、両親ともに健在?(とはいっても、要介護)ながら、すでに、もう2人とも90を過ぎていると言っていたので、今はおいくつになられたのかわかりませんが、あれからけっこう経っているので、2人とも相当な高齢で(もしかしたら、100歳くらい)、それでコロナウィルス感染などといったら、下手をしたら、深刻なことにもなりかねないわけで、それはそれは大変です。

 彼女自身ももう引退していて、郊外に住んでおり、パリに住んでいる両親の介護に通うのもなかなか大変なようで、フランス人もけっこう長生きで、まさに老々介護の感じです。

 こうなってくると、今度は、あまり長生きして、娘や周囲の人に迷惑をかけたくない・・などと考え始めてしまい、上手い具合に死ぬのも大変・・などと思ってしまい、あまり健康に気を付けすぎるのも困った結果になりかねないなどといらぬことを考えたりもするのですが、こればかりは、自分でどうこうできるものでもありません。

 これからは、自分も含めて周囲もどんどん歳をとっていくわけで、そうなってくると、小さい子供、若い命、しかも自分の遺伝子を受け継ぐ小さないいきものがスクスクと育っていることに別の感動を覚え、両親が娘を無条件に可愛がってくれた気持ちがなんとなく、今はわかるような気がしてきました。


老々介護


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2023年8月27日日曜日

海外在住者の老後 日日(日本人同士)カップルも帰国しない人が増えているらしい・・

  


 私は、そんなに日本人の知り合いが多いわけではないのですが、それでも四半世紀以上もパリに住んでいると、少しは日本人の友人(在仏)もいて、まあ、だいたい似通った年頃か、もしくは、私よりも年上の人が多いので、日本にいる親の介護の話とか、仕事を引退してからはどうするとか? そんな話題も少なくありません。

 どちらかというと、日本人以外のパートナーを持っている人が多く、また、こちらで、アパートや家を買ってしまっている人は、おそらく、老後もこのままフランスで過ごすつもりなのだと思いますし、もうすでに、引退した生活が始まっている人もいます。

 なかでも、独身を通してきた人などは、自分の住まいを縮小して、かなり整理したりして、自分にもしものことがあった場合、日本の家族(といっても、両親はすでにいないために、自分の兄弟やその子供たち)に後のことを頼み、遺言書まで用意して、また、必要な手続きをできるだけスムーズにできるように準備している人までいます。

 私の周囲では、珍しい日日(日本人同士)のカップルは、一応、こちらでアパートを購入し(まだローンが残っていると言っていたけど・・)、「将来は、2人で日本に帰るかもしれない・・」と、以前から話していたのですが、ここのところ、「う~ん・・どうも、あんまり日本には、帰りたくない気がしてきた・・」と言い出しています。

 どちらにしても、まだ、引退しているわけでもないし、決定事項ではないようなのですが、彼女の周囲には、他にも、日日カップルがいるらしく、彼らも、以前は「将来、老後は日本に帰ると言っていたのに、帰らないと言い出した・・」そうで、日本での老後の生活に不安要素が増えたというか、あまり、魅力を感じなくなってしまったというところでしょうか・・。

 日本とフランスの間には、相互の年金を合算して計算してもらうこともできるという協定があるらしく(具体的には、まだ調べていませんが・・)、フランスで働いた分の年金を日本で働いた分と合算して受け取ることもできるようなので、そもそも日本で生まれ育った日本人同士のカップルならば、老後、病気になったり、弱ったりしてきたら、食べ物だって、なんだって、日本人として、やっぱり日本の方が安心と思うのも当然のような気もするのです。

 日本は、どこも清潔で、治安もよくて(海外と比較しての話)、きちんとしていて、何より、生まれ育った我が国は安心だという気持ちは多々あります。

 しかし、長くフランスで生活してきた生活習慣や、また、現在のそれぞれの国のありようを比べて、日本への帰国に二の足を踏んでしまう気持ちもわからないではありません。

 フランスで生活していくために、自分をフランスでの生活に順応させていくうちに、自分自身の行動や、考え方なども変わってしまっているところもあります。

 フランスでは、外国人であるとはいえ、正当な権利をもって(ビザを持って)生活している以上、ほぼ、フランス人と同様の社会保障が受けられます。税金も高いですが、それなりの保障に還元されている気がします。特に、最も弱い立場に陥った場合には、優しい国だと思います。

 もはや、日本の事情の方に疎くなってしまっているところもあるのですが、日本には、それがあるのかどうかが、甚だ疑問でもあります。

 そもそも、歳をとってから、生活環境を変えるというのは、大変なことで、しかも、国をまたいで・・となれば、なおさらのことです。

 私自身もまだ、将来、どうするのかは決めてはいませんが、今のところは、どこに住むか、どこで死ぬかというより、とにかく少しずつ片付けるように心がける・・くらいしかしておらず、今のところは、国というよりも、とりあえずは、今、住んでいる家(アパート)(決して豪華でもないし、きれいなところでもないのですが・・)の自分の空間が心地よいので、今は、動くつもりはありません。

 「猫は、家につく」というように、私も今のところは、この家が気に入っているのでここにいたい・・そんな感じです。

 しかし、老後は日本に帰ると決めていた日本人たちが、こぞって、「日本には帰りたくなくなった・・」と言いだしたのは、ここ20~30年の日本の国の変わりようもあるのかもしれないと、なんとなく、「やっぱり・・」と、うなずける部分もある気がしているのです。


日本での老後生活


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2023年8月26日土曜日

超人気のセドリック グロレのクロワッサンを買うのは大変 Cédric Grolét Opéra

  


 ずっと気になっていたセドリックグロレ(Cédric Grolét Opéra)というパティスリーがあって、いつ通りかかっても(といっても、そんなに頻繁に通るわけでもないけど・・)、長蛇の列ができていて、なんだか、いかにもインスタ映えしそうな可愛らしい店構えのお店で、そのうち、ブームが過ぎて、空いてきたら行ってみようと思っていました。

 なにやら、ホテル・ムーリスの世界的に有名なスターシェフがやっているお店だとかで、クロワッサンにしても、ケーキにしても、美しく麗しいことこのうえないのですが、食べてみないことには、どんなふうに良いのかもわかりません。

 サイトを見ると、予約することもできるのですが、それはケーキだけで、クロワッサンやヴィエノワズリーは、予約はできません。

 知人からも、「やっぱり美味しいよ!あそこのクロワッサン!」などと聞いていたのも、私を突き動かすきっかけともなりました。

 もうそろそろ、夏のバカンスシーズンも終わりに近づいてきて、ふと、「バカンス期間中の今だったら、そんなに並んでいないかもしれない!」と急に思い立ち、行ってみることにしました。

 まだ、午前中だったし、我が家からもそんなに遠くもないし・・と思って出かけたのですが、私の思いつきは、全く甘い考えで、やっぱり結構な行列ができていました。私がお店に到着したのは、11時頃、行列を整理するために張られたロープの先には、「クロワッサン等のヴィエノワズリーは午前中、12時までです」と書かれていたので、私はそれを見て内心、「セーフ!やった~!」と思っていました。 

 それから行列に並ぶこと約40分、ようやく店内に入れましたが、すでにクロワッサンもパン・オ・ショコラも売り切れで、思いっきりガッカリし、「え~~!売り切れだとわかっていたら、並ばなかったのに~~!先に言ってよ~~!」と思いましたが、これだけ並んで手ぶらで帰るのも悔しく、まだ、かろうじて存在していたヴィエノワズリーの一つである、シナモンを使ったヴィエノワズリーを一つ買って(12ユーロ)、帰ってきました。もはやこの値段、ふつうのヴィエノワズリー一つの値段ではありません。(ちなみにここのケーキも小さい一人用の大きさのケーキ一つの値段の平均は17ユーロというビックリ価格です!)




 こうなってくると、普段、並んで何かを買い物をしたりすることは、まず、することはない私も、ちょっと意地になってきて、是が非でもクロワッサンをゲットしたくなり、お店で明日の開店時間を確認して、次回は開店時間に行こう!とその日は、家に戻りました。

 買って帰ったシナモンのヴィエノワズリーは、想像以上にかなり美味しく、こうなってくると、余計に期待も高まります。

 翌日は、開店時間に行ったのですが、すでに、昨日同様の長蛇の列、このような行列に慣れていない私は全くもって、甘かったのです。行列ができるなら、開店時間の前から並ばなければいけないのです。

 お店を覗いてみれば、今日はしっかりウィンドーから見えるところに麗しいパン・オ・ショコラが並んでいます。しかし、行列は、昨日以上に凄まじく、私の手前に並んでいた人が行列を時々、整理しにくる男性に、「昨日は、さんざん並んでクロワッサン1個しか買えなかったんだけど、今日は大丈夫?」などと言って、結局、怒って帰ってしまったりしたので、「並んでいるからといって、必ずしも買えるとは限らないんだ・・」と思いながら、少しずつ行列の前に進んでいきながらも、ショーウィンドーに並んでいるクロワッサンを確認しつつ、「まだあるある・・」と思いながら、行列に並んでいる人の様子を眺めながら、ひたすら順番を待つこと約1時間半くらい・・ようやく中に入れて、無事、クロワッサン、パン・オ・ショコラ等、4種類のヴィエノワズリーをゲットしてきました。


この4つで31ユーロでした! 高いけど、それなりの感動が・・!


 我ながら、ちょっとバカらしいと思いつつも、一応、念願を果たし、まあ、キレイなお金がかかっていそうな包みと紙袋に包まれたパンを持って家に帰りました。

 せっかくだからと、クロワッサンとパン・オ・ショコラはちょっとだけオーブンで温めて食べましたが、苦労が報われる素晴らしい味で、ちょっと冷めてからは、むしろ、本来の味わいを深く感じたというのも、皮肉な感じでもありますが、クロワッサンにありがちな、バターの油が染み出してしまう感じがなく、思っていた以上にさっぱりとしていて、それでいて、口の中に入れたときに、鼻から感じる風味までが素晴らしく、思わず一人で「う~ん!納得!」と満足しました。

お見事すぎてパンオショコラには見えない


 また、どこのチョコレートを使っているのかはわかりませんが、パン・オ・ショコラのチョコレートの香りもすばらしく、あっという間にペロッといってしまいそうになりました。あんなにならんだのに、食べてしまうのは一瞬です。

 しかし、これだけ行列ができるからといって、クロワッサンだって、ヴィエノワズリーだって、一日中、売っていたってよさそうなところを無理はせず、品質は落とさず、逆に商品価値を上げてしまうあたり、なかなかな手腕、同じ通りの並びにあるPAULには、「クロワッサン3つ買ったら1つおまけ」の看板が立っていて、なんだかちょっとPAULが気の毒な気になったくらいです。

 また、紙袋もさることながら、お店のデコレーションもどこから撮っても映えるようにデザインされていて、買い物をする人はほぼ100%写真を撮っていました。

 また、このお客さん、どうやら、観光客もかなりの割合で、含まれているようで、数日しかパリにいない僅かな時間をこの行列に割くのか・・と、不思議な気もしましたが、パリに来て、ぜひ、行きたい場所がパティスリーというのも、楽しいことなのかもしれません。

 こうしてやってきたお客さんたちが、SNS等で拡散して宣伝してくれるのですから、バカンス中でパリの住民が少ないからといって、お客さんが全然、減らないわけです。

 この分だと、当分、この行列はバカンス期間関係なしに、当分、短くなることは、なさそうです。

 しかし、また、この行列に並んでまで買いたいかというと、それは御免被りたいところ、パリには、まだまだ、私が食べたことがない美味しいものがたくさんあるのです。

 でも、とりあえずは、話題の?大人気のクロワッサンを一度は食べられたことにとっても満足しています。これだけ感動できるクロワッサンもなかなかないかも・・。


⭐️ Cédric Grolét Opéra

     35 Avenue de l'Opéra 75002 Paris


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2023年8月25日金曜日

10年間で半数が退職してしまう公立病院の看護師不足

  


 公立病院の看護師としてのキャリアをスタートした人々の約半数は、10年後には退職しているという深刻な看護師不足が数字で表れている結果が発表されています。

 しかも、この数字には、コロナウィルスによるパンデミックのための退職者は含まれていないということなので、現状は、さらに酷いことになっているかもしれません。

 昔、まだ私が日本にいた頃に、3K(きつい、汚い、危険)などと言われる仕事の人出不足が叫ばれていた覚えがありますが、フランスでも、まさに看護師という仕事は、この3Kに当てはまるのではないかと思います。

 しかも、慢性的な人出不足のために、個々の仕事の負担が重くなることから、ますます、きつい仕事となり、志を持って資格まで取得して就いた仕事を続けられなくなってしまうという残念な悪循環が続いているようです。

 現在の日本の状況はよくわかりませんが、そもそも、フランス人は、というか、今の世代の人々は特に、退職や転職というものをあまり否定的にはとらえていない印象があり、その中でも、特別な資格を必要とする看護師のような職業ならば、本来ならば、退職者、転職者は他の仕事に比べて少なそうなイメージがないこともないのですが、それが、逆に他の職業よりも多いということは、やっぱり、それでもなお、耐えられない、やってられない・・と思うことが多いのかもしれません。

 そのうえ、大変な仕事のわりには、低賃金であるということが、さらに退職・転職増加に拍車をかけています。

 彼ら(彼女ら)は、同じ仕事でもフランスよりも高賃金のスイスやルクセンブルクに転職したり、医療検査機関や、高齢者施設などに転職するか?全く別の仕事に就くか、彼らにとっては、むしろ、一般の人よりも選択肢はたくさんあるのです。

 以前、医者不足のために、定年後も医者に働いてもらうためのシステムなどが、提案されていた話がありましたが、医療全般にわたって、医者も看護師も足りないという危機的状況のようです。

 この看護師不足の数字から算定すると、年間40,000人の新卒採用が必要と見られていますが、実際には、看護師を志しても、看護学生の20%は、仕事に就く前に断念しているのが現状だそうで、どうにも壁が高そうです。

 皮肉なことに、この看護師不足、学生の段階から看護師の道を断念してしまうのは、インターシップのシステムによる職業体験がひと役買っているようで、学生の立場からすれば、実際にどっぷりつかってしまう前に方向転換するならば、できるだけ早い段階の方がよいのかもしれませんが、実際の現場での職業体験で、将来の労働条件を如実に知ることになり、学業を放棄する学生の数は、10年間で3倍に増加したと言われています。

 私は、幸いなことに、自分自身は、これまでフランスの病院に入院したことはありませんが、夫や友人などが入院した際のことを思い出す限り、あまりよい印象はなく、出来ればお世話になりたくないとは思っていますが、こればかりは、もしもの時には、仕方ありません。

 しかし、一般の企業などから、考えれば、患者さん(お客さん)は溢れるほどいるのに、看護師に充分な賃金も払えず、その病院が上手く回らないというのは、やはりお金の回し方がおかしいということで、病院経営については、よくわかりませんが、単純に考えれば、こんなに次から次へとお客さんが来る仕事もないのに・・などと素人は考えてしまいます。


深刻なフランスの看護師不足


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2023年8月24日木曜日

人種差別問題はけっこう厄介

   


 人種差別というのは、非常にデリケートな話題でもあるし、色々な種類の人種差別があるので、ひとくちに語ることはできません。

 しかし、人種差別というのは、確実に存在するし、表面的には、差別などないようにふるまっている人々の中にも差別意識というのは、潜んでいる場合も多々あります。

 特にアフリカに住んでいた時などは、外地から転勤してきている人々は、ボーイさんやメイドさんなどを雇わなければならないので、自ずと現地の人との間に主従関係ができるわけですが、その現地の人々を雇用するにあたっての対応というか応対というか、その接し方があまりに露骨にかつての歴史を引きずっている感じで、我が夫も含めて、フランス人ってスゴい(あまり良い意味ではない)なぁ・・と最初はちょっと引いてしまう感じがしました。

 そこらへんは、日本人などは、妙なもんですが、ボーイさんたちにも名前にさん付けでよんでいたりする人もいたりして、これはこれで、逆に舐められ切っているのでは・・と感じないでもありませんでした。

 パリに来てからは、そこまで露骨な主従関係には、遭遇しないものの、今度は下手をすると、私とて、アジア人ということで、差別を受けかねないところもあり、まあ、私などの暮らす狭い世界では、ごくごく限られた人としか接することがないので、日本人(アジア人)だからと差別されたと感じたことはほとんどありません。

 むしろ、外国人が多すぎて、そもそも純粋なフランス人という方が少ないような気がするので、いちいち人種差別しているわけにもいかないのでしょうが、外国人として生きるには、日本にいる外国人の方が違和感にさらされているかもしれません。

 私は、ごくごく親しい人くらいしか、プライベートでは付き合いがなくて、例えば、職場などでも、仕事が終わるとすぐに子供を迎えに行って、休みの日は子供のお稽古事や買い物や家事、家族と過ごすでいっぱいいっぱいで、長い間、個人的な友達付き合いというものをする時間もなかったので、職場の同僚などとの付き合いもプライベートはほとんどしてきませんでした。

 なので、彼ら(彼女ら)とは、仕事上の付き合いのみで、分け隔てなく、どんな人種の人とも同じように接してきたつもりではありますが、その中に、ハイチ出身の女性がいて、普段、雑談をしていたりする時は、ふつうに接しているのに、何か注意されたりすると、すぐに「レイシストだ!人種差別だ!」と騒ぎだす女性がいました。

 単に正当な注意をしているだけなのに、そう言われてしまうと、「そういうことではないでしょ!単にあなたのしていることに対しての話をしているだけでしょ!」と言っても、もう彼女はかなり感情的になっていて、全く受けつけず、こちらの方が諦めるしかなく、むしろ、「なんでもそれで片付けようとする方がズルいではないか・・」などと思ったものでした。

 これだけ異様に反応するのも、これを便利な言い訳として使っているのでなければ、よほど差別に対する被害者意識が沁み込んでいるのか?と、半分は気の毒な気にもなります。

 ふだんは、彼女も一人でお嬢さんを育ててきたこともあって、一人で子育てをしていた私には、娘の話をしたり、写真を見せたりすると、娘の成長をとても喜んでくれていて、職場の人間関係としては良好な方だと思っていました。

 そうして、「レイシストだ!」などと、騒いだりしても、結局のところ、彼女もそれを引きずるわけではなく、しばらくすると、何事もなかったようにもと通りになるので、こちらも、いつの間にか忘れているのですが、たまに、彼女の口から出てくる「レイシストだ!」という言葉には、逆にモヤモヤする気持ちがするのでした。


人種差別 レイシスト


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2023年8月23日水曜日

ハードディスカウントショップ・激安店で思う子供のしつけ

  


 最近、我が家の近所のコマーシャルセンターにACTION(アクション)というハードディスカウントショップ・激安店ができて、想像以上に人気で、結構、繁盛しています。

 コマーシャルセンター自体が衰退の一途を辿っていて、どんどんテナントに入っていたお店が撤退して、どこにでもあるH&Mなどの洋服屋さんや、かなり大手のチェーン展開をしている美容院や、子供服のお店や、家電といえば、フランスでは、1強?と思われていたDARTYもなくなり、ついには、マクドナルドまでなくなり、どんどん空きスペースが増えて、「ここ、本当にどうなっちゃうんだろう?」と思っていました。

 いくら、家賃を下げてでも、スペースを空けておくよりはマシだろうとは思うのですが、チェーン展開のお店とて、店舗を開けておくことは、人件費もかかり、ストックも抱えるということで、この厳しいご時世、致し方ないことなのかもしれません。

 そんな中、このコマーシャルセンターに登場したACTION(アクション)は、ちょっと日本で初めて100均に行った時のような感動の安さで、このインフレのご時世には、ぴったり合ったお店なのかもしれません。

 このコマーシャルセンターにはカーフールも入っており、まあ、食料品やそこそこのものは、たいてい揃うので、このコマーシャルセンター=カーフール・・というような感じでもあったのですが、最近は、もしかしたら、ACTIONの方が人が入っているかも?と思うくらい人気で、ACTION目当てで、やってくる人も多い気がしています。

 この ACTION、徹底的に経費を抑えての経営でも有名で、商品は過剰在庫や倒産した会社の商品、売れ残り商品など、機会に応じた買収を優先する購買戦略や余分な店内装飾や人員も最低限に抑えていることでも有名なのですが、恐らく、この場所が選ばれたのも、そこそこの場所にこれだけ空きスペースを抱えているコマーシャルセンターの賃料も相当、値切り交渉が行われたのではないのか?と睨んでいます。

 この店舗のおかげで、結果的に集客は増えているので、また、別の空きスペースに店舗が入り始めているのも事実です。

 しかし、ハードディスカウントショップ・激安店だけに、集まってくる人の層が少々、これまでと違う客層も混ざっていることも事実で、けっこう、ヤバい感じの少年少女、小さい子供連れの親子でも、やたらと大きな声で子供を𠮟りつける光景なども、このお店の店内や周辺では見かけるようになりました。

 激安店ですから、いわゆる底辺層の人も集まってくるのは、当然の話ではありますが、彼らに共通するのは、子供にやたらと大声で急き立てたり、叱りつけたりすることで、まだ、パリに来る前に住んでいたパリ近郊の街にいた頃に娘が通っていた幼稚園には、そんな親がけっこういたことを思い出しました。

 やたらと大きな声で外で四六時中、子供を叱りつけているのが、こういう人たち(こういう人たちという言い方は失礼とは思うのですが・・)に共通するところで、子供たちが騒いで、はしゃぎまわっているとか、そういうことではないのですが、「早くしなさい!」とか、「静かにしなさい!」大したことではないことに、やたらと親が大声をあげるのです。

 はたから見ていると、「叱りつけている親の方がうるさいけど・・」などと思うのですが、そういった子供たちの反応を見る限り、もう怒鳴られても何とも思っていないようで、つまり、無限ループのようにそれが続いているようで、結局は子供たちもそれに慣れてしまっており、全くしつけになっていないのではないか?などと、思ってしまうのです。

 今の住まいに引っ越してから、娘を通わせていた学校では、とんと、この手の親子に遭遇してこなかったので、なんだか、久しぶりにこういう親子を見た気がしたのです。

 以前に、日本で水族館に行ったとき、子供が泣いたり、騒いだりしていても、親が放置していることに驚いたことがありましたが、だからといって、子供を大声で叱りつければいいというものでもないのにな・・などと、久しぶりに見かけるようになったこのような親子を見て、子育てって難しいもんだな・・この違いはどこから来るのだろうか?と思うのでした。


子供のしつけ


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2023年8月22日火曜日

パリのデパート 私はボン・マルシェを侮っていた・・

 


 私はそもそも、ショッピングというものが、あまり好きではなくて、ましてやデパートで買い物をするなどということは、まずないことで、パリでも滅多にデパートに行くことはありません。

 それでも、ごくごくたまにノエルのデコレーションを見がてらだったり、近くまで行った時にチラッと寄るのは、デパートでも食料品売り場くらいなものです。

 つまり、私がたまにふら~っと見て歩くのは、ギャラリーラファイエットのグルメ館くらいなもので、本館の方は、グルメ館に行くまでの道すがら、外ではなく、本館の中を通り、名だたるブランド物のお店が並んでいる間を横目で眺めながら、相変わらず、ルイヴィトンはすごい行列だ・・とか、セリーヌは今年、こんな感じの新作を出しているのか・・とか思いながら、本当に通り過ぎるだけです。

 パリのデパートといえば、ギャラリーラファイエット、プランタン、そして、サマリテーヌ、ボンマルシェ・・くらいでしょうか?

 中でもやはり、知名度が高く、実際に店舗も多いのはギャラリーラファイエットやプランタンですが、その両巨頭でさえも、相変わらずの人出で賑わっているのは、パリのオスマン通りにある店舗くらいなもので、地方都市にある店舗は業績不振でパンデミック後にけっこうな店舗が閉店となり、縮小されています。

 そもそもGLFのグルメ館にしても、けっこう良い(値段も品物も)ものが集まっているので、効率よく買い物ができるし、また、これまで知らなかった美味しいものを新たに発見できる場所でもあり、たまに覗いてみようと思うのですが、それも、たまたま他のデパートよりも、場所的に我が家からは行き易いというだけの話です。

 先日、たまたまボンマルシェに行く機会があり、「まあ、たまにはいいか・・」くらいの気持ちで、やはりギャラリーラファイエットに行く時のように、グルメ館に行くまでの道をデパートの中を通った方が涼しいし・・くらいの気持ちで本館の方に入ったら、思いのほか、なんとなく、ギャラリーラファイエットよりも、多少、人出が少ないこともあるのか、店内もゆったりとしていて、見やすく、デパート自体のレイアウトやデコレーションを楽しむのであれば、若干、寂しい気もしないでもありませんが、ここはここなりの美しさがあり、なんか、あらためて、「ボンマルシェも悪くないな・・」という気になったのです。



 グルメ館の方へ行くと、なんだか、今や、珍しく感じるようになった日本人観光客と数回すれ違い、「あらら、ここには、日本人がいるんだ・・」と思ったと同時に、なんだか、スターのパティシエのお店が全面に出ているギャラリーラファイエットのグルメ館よりも、スペースも広いこともあるのか、品揃えが多く、また、よりお土産に良さそうなものが多くて、なるほど、日本に住んでいる日本人の方がよくパリを知っているんだな・・と感心した次第です。


 私が、ちょっと嬉しかったのは、ギャラリーラファイエットのグルメ館からは、なぜか撤退して姿を消してしまったBellota Bellota(ベロータベロータ)の生ハムがこちらでは、まだまだ生き残って、イートインのスペースまであって存在していることでした。

 しかし、どちらにせよ、食料品とはいえ、高級品を中心に扱っているだけあって、なんだか、以前に来た時と比べると、値段の高騰がものすごい気がして、「え~?これって、こんなに高かったっけ?」とそれこそ目玉が飛び出る気がしたのでした。


オリジナルのエコバッグもけっこう可愛い


ちょっとおしゃれかも?と思ったキッチンペーパーホルダー


 それでも、食べることの大好きな私、山のような食料品を見て歩くのは、楽しいことで、見飽きることはなく、特に何を買おうというわけでもないのに、ぐるぐる歩き回り、お店を出た時には、身体が冷え切った気がしたくらいです。けっこうな時間、ぐるぐる歩いていたとはいえ、パリで身体が冷えるほどの冷房が効いている場所といのもそうそうあるわけではなく、夏の暑い間はここを散歩して歩くのも悪くないな・・などと、思ったくらいです。

 とはいえ、日常の食生活は、そんなに高級品を食べているわけでもなく、あまり縁がある場所とも思えないのではありますが、日本から友人が来ることがあったら、食料品関係のお土産を探すなら、ボンマルシェはいいかもよ・・とおススメしたい気持ちになりました。


パリのデパート ボンマルシェ


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2023年8月21日月曜日

数度にわたる殺害予告の末、逮捕・拘留も、釈放され、元パートナーを殺害した男

  


 今年の1月以来、殺害の脅迫を受けていた女性が予告どおりに殺害される痛ましい事件が起こっています。どうやら、この殺害の脅迫は、けんかや口論の末、「殺してやる!」などという軽口をたたいていたようなものではなく、本気の殺害の脅迫だったことは、脅迫を受け続けていた彼女が警察(憲兵隊)に届け出た際の証言や、彼女が周囲に助けを求めていた緊迫した状況などからも容易に想像することができます。

 彼女は5年前に配偶者とともに、パリからギャリアックス(オクシタニー地域圏)の小さな田舎町に転居していました。事件はそこで起こりました。

 今年の初めから続いていた元パートナーの殺害予告に6月半ばに彼女は警察に被害届を提出していました。捜査が進まず、なかなか対応がとられない状況に彼女は業を煮やして、再び、警察を訪れると、「事情聴取した人物がバカンス中」ということで「担当の者が戻ったら捜査を再開する」と言われます。

 このあたりは、フランスでは、さもありなんという気もします。

 その後、彼女は度重なる暴力や脅迫に怯えながら暮らしていましたが、彼が眠り込んでいる隙に、友人宅へ避難し、そこから、再び通報し、ついに彼の家は、憲兵隊によって包囲され、家からは、銃器4丁が押収され、彼は警察に拘留されました。

 この男、大変、粗暴なうえに、アルコール依存症で、精神病院に一度は強制入院させられたものの、彼は、彼女への殺害脅迫の事実を認め、11月の裁判の日程が決まると、精神科の医師の判断で、釈放されてしまいます。

 このあたりが恐ろしいところで、一旦、逮捕されても、事実を認め、裁判の日程が決まるとそれがたとえ、殺害を脅迫している人物であっても釈放されてしまうというのは、意味がわかりません。

 それからわずか、3日後、彼女は再び彼に殺害の脅迫を受けながら、彼から逃げようと足を引きずりながら走っているところを地域住民が目撃し、通報しましたが、この犯人の男は、隣人の助けを求めようとベルを鳴らしている彼女に車ごとぶつかっていき、車は一度彼女を家の門に叩きつけたのち、もう一度、車をバックさせてから、再度、彼女を押しつぶすという残酷な行為に至り、彼女を死に至らしました。

 その後、この男は、家と車に火を放ち、銃により自殺を図り、重症を負ったと言われています。しかし、皮肉なことに、この男は一命をとりとめています。

 まったく、映画やドラマにしても、これほど激しい結末は、なかなかないほどの狂暴さですが、これがひどく残念なことは、こんな結末は、対応如何によっては、避けることができたであろうことです。

 フランスの法律がよほどのことでない限り、逮捕後、長期にわたる拘留ができないのがふつうだということなのだと思いますが、それにしても、これだけ狂暴な男が、何よりも殺害の脅迫をしていた人間を解放してしまうというのは、全くもって解せない話です。

 フランスは、どうにも、釈放してはいけない人を釈放してしまい、事件に繋がる話が多い気がします。

 愛憎というのは、表裏一体と言いますが、愛情を持った相手に対しては、憎悪の気持ちも大きくなりがちなようで、どちらにしても、激しく感情が動くということです。ましてや、この男のように、精神に異常をきたしている場合は、型通りに釈放するというのは、あまりに無責任な話です。

 フランスでは、パートナー、あるいは、元パートナーによる暴力や殺人事件は、珍しくはない事件ですが、これらの事件に共通していることは、ちょっと想像を逸脱するほどの狂暴さで、執拗に追い回し続けることです。

 2022年には、フランスでは112人の女性が夫や元夫、パートナーにより殺されています。今年に入ってからは、彼女は76人目の被害者だそうです。

 彼女の家族は司法捜査の甘さを指摘しており、また、助けを求められていた友人も彼女が泣きながら、「彼は本気で私を殺そうとしている!」と訴えていた姿が忘れられないと語っており、周囲の人たちに遺恨を残しているのは、犯人の残酷な犯行だけではなく、警察の対応如何によってはこんなことにはならなかったという思いだと思うのです。


パートナーによる女性への暴力 殺人事件


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2023年8月20日日曜日

セーヌ川で泳ぐって、感覚的にちょっと勇気がいるかも・・トライアスロンテスト大会水泳中止

  


 パリの景色には、セーヌ川が映り込む映像も少なくありません。水のある景色というのは、美しいものです。歴史あるパリの建築物や街並みの中に映り込むセーヌ川は美しいパリらしい景色の一つでもあります。

 しかし、景色として美しいのと、泳げるような美しさというか、清潔な清い感じとは、また別の話で、セーヌ川で泳ぐかというと、感覚的には、ちょっと尻込みするのがふつうな印象があります。

 パリに来たばかりの頃、夏の暑い時期などだと、ところかまわず街中の噴水などでも水遊びだか水浴びだかをする人がいたりすることに、びっくりしたものですが、これと同様? いや、これ以上にセーヌ川で泳ぎ出す人がいたとすれば、「ちょっと大丈夫?」と思ってしまうと思います。

 しかし、来年のパリオリンピックのトライアスロンの水泳は、セーヌ川のアレクサンドル 3 世橋からスタートする予定になっているようで、このオリンピックに向けて、先日は、一度は、テスト大会のようなものが行われたようですが、昨日のパラリンピックのトライアスロンテスト大会は、水質に問題があるということで、土壇場になって中止になったようです。

 その2日前までに2日間にわたって行われていたテストでは、GOサインが出ていたものの、公衆衛生局は、研究所が提供した最新の水質分析結果と高周波サンプル分析装置との間に重大な矛盾があると指摘し、選手の健康と安全を危険に晒すことを避けるためにこのテスト大会は、トライアスロンの水泳部分を削除して行われました。

 パリオリンピックでは、セーヌ川で開会式の各国選手の入場行進が行われるということで、話題を集めていますが、その同じセーヌ川で泳ぐというのも、やっぱりなかなかハードルが高いのでは・・と思ってしまいます。

 パリを横断するように流れているセーヌ川は特にパリの中心部だと、ジグザグにどこを歩いていてもセーヌ川にぶち当たるような感じで、オリンピックでパリの美しい景色をアピールするのに、セーヌ川を利用するのは、とても素敵なアイディアであるとは思います。

 


 セーヌ川はパリとは、切っても切れない存在で、RATP(パリ交通公団)のマークは、グリーンのサークルに、一見、意味不明のブルーのラインがデザインされたものですが、このグリーンはパリ全体を表し、ブルーのラインはセーヌ川を表しているデザインだと言われています。

 パリの美しい景色はセーヌ川とともにあるといっても過言ではありません。

 しかし、当初、セーヌ川をトライアスロンのスタート地点として、水泳の場所に定めることで、セーヌ川の水質改善の促進を促すことにも繋がるとも考えられたとは思いますが、一時の最悪の水質状態よりは改善したとはいえ、今後1年の間に劇的に改善されるかといえば、あまり期待できるものではないし、ぶち壊すようで、申し訳ないのですが、私だったら、ちょっとセーヌ川で泳ぐのはごめん被りたい気持ちです。

 だいたい、セーヌ川は、大雨が降れば、すぐに洪水、水はけもよくないのか、水位が上がると、橋の下を通るバトームーシュなどの観光船も通行不可になり運航休止になってしまい、いい加減、この時代になぜ、いつまでも対策を講じないのか、長い間の私の疑問でもありました。

 結局、今回は、テスト大会が中止になっただけで、オリンピックでのトライアスロンのセーヌ川での水泳が中止になったというわけではありませんが、オリンピックともなれば、今回のようにドタキャンというわけにもいきません。

 この異常気象で、夏は、激しい暑さに加えて、今までは考えられなかったような激しい雨に見舞われることもあるようになったこのご時世。早いところ、別の候補地を探した方がいいような気もします。

 セーヌ川は見るだけで充分、美しいのですから・・。


セーヌ川 トライアスロン水泳テスト大会中止


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2023年8月19日土曜日

フランスの学校でのいじめ問題 被害者ではなく、加害者を転校させる法律発令

  


 8月も半ばを過ぎ、9月からの新年度に向けて、文部科学省は深刻になっているフランスの学校でのいじめ問題にメスを入れる新しい法令を発令しています。

 最近は、学校内でのいじめ問題も自殺者が出るほど深刻化しているため、今回の法令では、このいじめ問題から被害者を守る対策の一環として、いじめられている被害者ではなく、加害者の方を学校から追い出し、転校、あるいは、退学の措置をとれるようになることを法的に定めています。

 いじめの被害に遭っている子供たちが、不登校になったり、転校をせざるを得ない状況に追い詰められるということは、これまでにも多々、あったと思いますし、いじめられている子供の親にとったら、これ以上のいじめにあって苦しむくらいだったら、学校には行かなくてもいいし、転校させようか?と考えてしまうのは、あり得ることです。

 ましてや、いじめの果てに自殺してしまった子供の親にとったら、そんなに苦しんでいたのなら、もう学校なんて、辞めさせたってよかったのに・・と後悔しているに違いありません。

 しかし、これは、考えてみれば、おかしな話で、いじめられている人が学校から姿を消し、いじめている側がそのまま学校に残ることは、再び、次の標的を探すことにもなりかねないどころか、充分に考えられることで、本来、学校を去るべきなのは、加害者側の方なのです。

 今回の法令では、意図的、ならびに反復的ないじめ行為が他の生徒の安全や健康に危険を及ぼすことが証明されている生徒を別の学校に転校、あるいは退学させることが可能になります。

 学校でのいじめに対するこの措置は、被害者である生徒にこの学習環境の変更を強いることを避けるために導入されました。しかし、別の学校に移ったところで、ネットいじめの場合は、学校をまたいで継続される可能性がありますが、別の学校の生徒からのネットによるいじめの制裁は、別に検討中で、追って発表されることになっています。

 とりあえずは、去るべきなのは、いじめの加害者側という至極、まっとうなことが、今後は法律のもとに、行われることになるはずで、少なくとも、いじめられている側にとったら、少しは救われるであろうことで、また、どの学校も「いじめ行為をする生徒はいらない!」という頑とした態度をとることができるようになるのは、前進です。

 この懲戒規則は2023学年度の初め(9月)から適用され、小学生だけでなく中学生、高校生も対象となります。

 ただし、このいじめ加害者追い出しについては、あくまでも、義務教育の場合は、受け入れる学校がある場合の話で、公立学校が自治体に1校しかない場合は、他の自治体がその生徒の入学に同意するという条件でのみ転校が可能になります。

 つまり、問題児を引き受けたくない学校は当然、多いであろう中、そのような子供の「たらいまわし」が起こることになります。

 また、今の時代、携帯を持っていない、ネットを利用していない子供はいないため、学校内だけのいじめに留まらないことは、明白で、被害者に対する誹謗中傷などのいじめは、あっという間に拡散され、多くの人の間で共有されることになり、単に学校から追い出した程度では、解決にならない可能性も大きいのではないかと思います。

 SNSは、いつでも、どこでも簡単に情報を得ることができ、また、必要な情報を拡散できるという面では、大変、便利なものではありますが、悪用された場合の弊害もまた、ここのところ、かなり浮き彫りになってきているような気もするので、この利用についても指導が必要なところもあるし、また、プロバイダーもあらゆる悪用されるケースに対応したサービスを検討していくことが求められていると思います。

 フランスでは、毎年、80万人から100万人の子供たちが学校でのいじめの被害者となっていると言われています。


フランスの学校でのいじめ加害者に制裁を加える法律


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2023年8月18日金曜日

好奇心旺盛のフランス人の夫がアフリカで食べた動物がパリの動物園にいた!

  



 以前に、とっても懐かしい思い出があったパリの動物園のオランウータンに会いに行って、オランウータンのスペースを探しながら(動物園の地図には、なぜか載っていない動物がたくさんある)、水牛とか、獏とか、なんだかオレンジ色っぽい子ザルとか、一目見ただけでは、この動物はなんという動物だかわからないような動物がけっこういて、なんだか、感動ポイントがフランス人とはずれているのかなぁ?と思いつつ、なんだか、今一つ盛り上がりに欠けるかも・・などと思いながら、歩いていました。

 それでも、せっかく来たのだから、一応、ここにいる動物はひととおり見て行こうと思って、「これ、何?」と思う動物は、一応、看板を見て、何の動物なのかを確認しながら歩いていると、なにやら、熱帯動物を集めた、歴史を感じさせる、やけにガッチリ作られた石の門構えの建物があり、入ってみると、熱帯動物を集めているだけあって、中の空気は生ぬるく、蒸しっとしていて、ひとつひとつの動物?ごとに、ガラス窓でしきられていて、覗いてみると、なんとヘビやオオトカゲなどの爬虫類・・。

 あまり趣味ではないので、早々に退散、しばらくして、鳥類が集まっている場所の一部には、鮮やかなフラミンゴがいたりして、ちょっと救われた気がしたものの、なんだか、「もう!一体、オランウータンはどこだったんだっけ?」と思いつつ、もう少し、動物園らしい?喜びを感じさせてくれる動物はいないものだろうか?と思って歩いていると、その中のひとつに、看板を見て、「ん??これは何と読むのだ?」という動物がいました。

 もちろん、全部、フランス語(英語でも書いてあったと思う)で書いてあるので、ましてや、あんまり見覚えがない動物の名前など、フランス語はもちろんのこと、日本語だって、わかりません。


 しかし、「AGOUTI」(アグーチ)とたどたどしく読みながら、「アグーチ、えっ?アグーチ??」「アグーチって、もしかして、あのアグーチだ!」と、私は、一人でちょっと興奮していました。

 それこそ、感動ポイントがずれていると思いますが、アグーチという名前には聞き覚えがあり、なんとそれは、好奇心旺盛なフランス人の夫とコートジボアール(西アフリカ)にいた時に、その土地の名物料理のようなものが食べたいと、レストランで食べたことがあった動物だったのです。

 それは、テーブルに出てきた時には、シチューのような煮込み料理になっていたので、原形をとどめておらず、どんな動物なのか?とレストランの人に聞くと、なにやら、モグラとネズミの混ざったような動物だということで、どちらにしても、食用としたら、あまり気持ちのよいものではないだけに、あらためて、わざわざ調べてみることも、具体的に想像してみることもしてきませんでしたが、この名前だけは、なぜか鮮明に記憶していたのでした。

 まさかのパリの動物園で、このアグーチを見ることになるとは、思ってもみないことで、まじまじと見つめてしまいました。

 夫は好奇心旺盛で、フランス人はあまり行かない現地の小さい村のお祭りに大使館の現地採用のスタッフに頼んで参加させてもらったり、なんだか、野原のようなところの、「これ、ほんとに石鹸?」と思うような石鹸工場を見に行ったり、タバスキと呼ばれる、イスラム教のラマダンの終わりに行う羊をいけにえに捧げる行事に参加したり、物珍しいものごとには、果敢に参加して挑戦する夫は、現地の人が食べるとい珍しいお料理もぜひにと食べたがって、実現させたのでした。

 なんだか、得体のしれないものを食べたがるわりには、胃腸はあまり丈夫ではなく、必ずあとには、必ずお腹を壊すのですが、それでも、夫は大変、満足そうでした。

 実際に、現地の人々は、やはり、貧しくて、うちに来ていたボーイさんなどに聞く話では、動物は、ほとんど、どんな動物でも食べるそうで、そういわれてみれば、猫や犬でさえも、あまり外をウロウロしていることはありません。

 動物園といえば、アビジャン(コートジボアール)でも、一度、動物園に行きましたが、英語では、アイボリーコースト(日本語で象牙海岸共和国)と言われるくらい、大昔には、象牙の売買で有名だった場所。さぞかし立派な象がいるだろうと思いきや、あんなに痩せた象を見たのは初めてで、なんだか、悲しくなりました。

 話は逸れてしまいましたが、四半世紀を過ぎて、あの時、夫が食べたアグーチに会うとは・・、なんだか、私には、「へえ~~?これがあのアグーチ!」「まさに、モグラとネズミの混ざった感じ・・」と、ちょっと感動?しましたが、果たして、ふつうに動物園を訪れた人が何を思うか?不思議な気もしました。


アグーチ パリ動物園 コートジボアール


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2023年8月17日木曜日

冷蔵庫が壊れて、慌てて新しい冷蔵庫を買いに行きました・・

  


 2~3日前から、どうも冷蔵庫があんまり冷えないな・・と思い始めていたのですが、急ぎの仕事があったので、そのうちなんとかしなくちゃと思いつつ、それでも、冷凍庫は動いているので、そのうちなんとかなるか・・と甘い気持ちでいました。

 私は、電気系統とか、家電とかに全く弱く、ネットで冷蔵庫が壊れた時の対処法などを調べて、「冷凍庫に霜がたまっていませんか?」とか、「冷蔵庫の裏に埃がたまっていませんか?」など、故障の原因になっている場合があるということを少しずつやってみて、Twitter(X)の皆さまにも教えを乞うたりして、どれをやっても、結局ダメ。

 また、悪いことに、パリはちょっと気温がまた上がってきたタイミング、もう冷蔵庫なしでは、どうにもならない・・と、慌てて、冷蔵庫って、いくらぐらいするものだったっけ?とネットで調べ始めました。

 とにかく安い買い物ではないし、以前、冷蔵庫を買ったときに、おそらく、これが、私が生きている間に買う最後の冷蔵庫になるのでは?などと思って、そこそこいい冷蔵庫を買ったつもりではあったのですが、その冷蔵庫が届いた時から、運んできたおじさんが、得意気に、「これが冷蔵庫の霜取りに使うヘラです。こんなのもちゃんとついてます!」というので、「こんなのつけるくらいなら、霜のつかない冷蔵庫にせんかい!」などと思ったことは、覚えているのですが、肝心な値段は、全く覚えておらず、ただ「高いな~」という記憶しかありませんでした。

 しかし、数ある電化製品の中でも恐らくないと一番困るのは、冷蔵庫。ふつうにあることがあまりにあたりまえで、日頃は全く、ありがたみを感じることもないのですが、特にこの暑い中、冷蔵庫が冷えないと、当然のことながら、中のものはどんどん腐り始め、ほんとうに困ります。

 そういえば、家電製品修理の援助金というものができたんだったな・・と思いつつ、冷蔵庫などは、自分で持っていくこともできないし、冷蔵庫修理の援助金は25ユーロで、もう修理に来てもらうだけでも、そんな金額ではとても間に合わないうえに、来てもらったうえに、結局、なおらないとか言うことになった場合は、それこそ大変なうえに、何日もかかることになります。

 この夏の暑い中、できるだけ早く冷蔵庫は必要で、もう腹を括って、買いに行きました。ネットで買うこともできるのですが、やっぱり写真では、イマイチぴんと来ないし、今ある冷蔵庫を引き取ってもらったり、色々、わからないことを質問したりもしたかったので、お店に出向きました。

 やっぱり、実物を見てみると、中のしきりの大きさとかポケットとか、スペースの取り方とかがそれぞれ、微妙に違い、このスペースは何?と聞くと、「それは、チーズのためのスペース」とか、ワインラックがついているものとか、いかにもフランスな感じのものもあり、そんなものはいらない私は、やっぱり直に来て聞いてみてよかった・・などと思ったのでした。

 幸い、バカンス中でお店は空いていて、運よく、とてもテキパキした若い女の子が担当してくれて、非常にスムーズに、お店のカードをその場で作って、今日からそれで割引にしてあげる!ということになり、明日には、配達できるというので、けっこうあっという間に決めて帰ってきました。

 電化製品のお店は日本のようにそんなに選択肢がなく、たいていDARTYというお店に行くのですが、こんな風に何かが壊れた時に来るだけなので、本当に何年かに一度しか来ないし、前に来たのがいつだったか?何を買ったのかもよく、覚えていないくらいです。

 しかし、前に来た時にも少し感じたのですが、以前はたくさんあった日本の製品がすっかり姿を消していることに愕然とし、Samsung(サムソン)のものがたくさんになっていて、思わず、「私は日本人なので、日本のメーカーがいいんだけど、日本の冷蔵庫はないの?」と半分、冗談めかして言ってみたものの、あっさり、「全然、ない!ありません!」とのこと。

 他の電化製品にしても、すっかり日本のものはなくなっていて、かろうじてあるのは、SONYのテレビくらいのもので、ここでも日本の衰退ぶりをハッキリ見せつけられた気がして寂しくなりました。

 とにかく、明日の午前中には新しい冷蔵庫が届くことになっていますが、最後の最後まで安心できないのがフランスです。一度、約束の日になかなか来ないと思っていたら、電話がかかってきて、「運ぶときに冷蔵庫に穴をあけてしまったけど、割引するから、それでもいいか?」などと言われたこともあり(いいわけないだろ!という話ですが・・)、無事に運んでくれて、それがしっかり動くことを確認し、きっちり古い冷蔵庫を持って行ってもらうまでは、まだまだ安心はできません。

 しかし、とかく電化製品といえば、立て続けに色々なものが壊れ始めるというジンクス(我が家ではという話ですが・・)があるため、またまた、他のものにも、いつ何が起こるのか?不安な気持ちにもなります。

 以前から感じているのですが、電化製品というのは、当たりはずれがあって、やけに、あっさり壊れてしまうものもあれば、やたらと長持ちするものもあったりで、全く、寿命というものに見当がつきません。

 ちなみに我が家で使っている電子レンジは、フランスに来た時に、義姉が、もう家で使っていないものがあるから、これ、使って!と言われてもらってきたもので、ということは、少なくとも、我が家では、もう25年以上使っていて、その前に義姉が使っていたことを考えれば、スゴく長持ち・・昔の電化製品の方が長持ちするという感じもするのですが、とにかく、これは当たりの電子レンジでした。しかも、もらいもの。

 こんなことを言っていると途端に電子レンジが壊れた・・とかいうことになりかねませんが、その電子レンジはTOSHIBAのものです。

 どうか、今度の冷蔵庫は霜取りが必要ありませんように・・。


冷蔵庫故障


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2023年8月16日水曜日

母親の命を救った7歳の子供 救急隊員が通話記録をSNS上に公開して正確な通報を啓発

  


 殺伐としたニュースばかりが多い中、珍しく、ほっこりさせられるニュースです。

 目覚めない母親を心配して、救急隊に電話してきた子供とオペレーターの会話をSNS上で公開し、正確に状況を把握して処置を行おうとする救急隊のオペレーターと冷静な子供の応答を公開して、正確で冷静な通報の啓発と頼もしい救急隊の仕事ぶりをアピールしています。

 すごく不安で、小さな男の子が救急隊に電話をかけてくるだけでも、大変な勇気のいることであっただろうに、この男の子は極めて冷静で、オペレーターの質問に正確に答え、指示に従って、一つ一つの確認作業をこなしていくのには、聞いているだけでも、思わず、「がんばれ!えらいぞ!」と応援したくなります。



 子供は第一声、「ボンジュール、私のお母さんが起きられないので〇〇(住所)に来てください」と言います。

「ママは何歳ですか?」「34歳」

「一軒家ですか?アパートですか?」「一軒家です」

「ママはうつ伏せになっていますか?仰向けになっていますか?」「うつ伏せですが、起きられません」

「ママを仰向けにできますか?」「ママン・・」と言いながら、仰向けにしている気配で、オペレーターは、「呼びかけるとママは答えますか?」と畳みかけるように質問すると、「いいえ、返事がありません」

「ママの耳の近くで大きな声でママ~と叫んでみてください」「ママ~!具合わるいの?」

「仰向けにしてください」「了解」、「仰向けにできましたか?」「ウィ!」

「ママの鼻のそばに耳をあてて、空気が出ているか確認してください」「はい、鼻から空気が出ています!」

「君は何歳ですか?」「7歳半です」

「ママを肩を下にして、横向きにできますか?」「はい、できました!」

「君は家に子供一人だけですか?」「いいえ、妹と一緒です」

「妹は何歳?」「4歳半です」

「お隣さんのところへ知らせに行けますか?」「ハイ!」といって、子供はお隣に行って、事情を説明し、お隣のおばさんに電話を引き継ぎます。

 救急隊員は子供が確認したことを再度簡単におばさんに確認し、救急隊が到着するまで、子供と一緒にいてもらえますか?と頼み、「彼はとても立派だあったので、彼を誉めてあげてくださいね・・」と付け加え、通話は終了します。

 救急隊を呼ぶ事態となれば、大人であっても、冷静に会話、行動することは、なかなか難しいことですが、この子供はびっくりするほど冷静で、本当に全然、関係ない私も「偉かったね・・」とほめてあげたくなります。

 私は、ずいぶん前のことになりますが、夫が家で苦しくて息ができない!と言い出したことがあり、一度だけ、夜中に救急車を呼んだことがありましたが、救急隊に電話して何を話したか?全く記憶がありません。

 一応、命に別状はないとのことで、当時、娘はまだ3~4歳で、まさかそんな子供を連れて夜中に一緒に救急車に乗ることも憚られて、不安な気持ちで夜を過ごしたことだけは覚えています。

 しかも、娘にとっては、救急車が家に来たことが相当なショックだったようで、しばらくは、救急車を見かけるたびに、「voiture de papa !」(パパの車だ!)と反応していました。

 呼び掛けても答えない意識不明の母親を救った7歳の男の子、本当に立派だなぁ~と感心させられます。


意識不明の母親を救った7歳の子供


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2023年8月15日火曜日

エッフェル塔への相次ぐ爆破予告

  


 先週末にエッフェル塔に爆破予告があり、エッフェル塔を訪れていた観光客は、正午頃から避難を余儀なくされ、エッフェル塔には、爆発物処理要員が現場に向かったと報じられました。

 避難命令は、エッフェル塔の前庭、エッフェル塔内のレストラン、記念碑を含む3回部分に及び、近隣の交通も遮断され、迂回しなければならない大規模な警戒態勢になりました。実際にエッフェル塔が爆破された場合に及ぶ被害を考えれば、当然の避難、警戒態勢とはいえ、来場していた人、前庭にいた人全て避難させるなど、大変なこと、また、その場にいた人にとっては、大変なパニック状態になることは必須です。

 来場者全員の避難が終了したのは、午後1時半すぎのことで、けっこう時間がかかるものです。

 しかし、これは、結局は、幸い?にも虚偽の爆破予告だったようで、実際にエッフェル塔が爆破されることはなく、午後3時半頃には、警報が解除され、エッフェル塔の公開は再開されました。

 全く、人騒がせな爆破予告だ・・と思っていたら、今週になって、再び、爆破予告が届き、またエッフェル塔には、警報が出され、皆、避難。先週末と同じことを繰り返すハメになったようです。

 この2つの爆破予告は、jeuxvideo.com(ビデオゲームニュースを提供するサイト)とmoncommissariat.fr(警察及び、行政に関する通報、および相談などができるサイト)に投稿されたメッセージからのもので、「エッフェル塔に爆弾がある(ガラスの向こう側ではない)」、「どうやって知っているかは聞かないでください。確かなことは、エッフェル塔の周囲の地域はできるだけ早く避難しなければならないということです。」というものでした。

 特にビデオゲームニュースのサイトからの情報などといえば、少なからず、ゲーム感覚で周囲を騒がせて楽しんでいる愉快犯のような色が濃そうな気がします。

 先日の、警察官検が問の際に発砲した事件がきっかけでフランス中に広がった暴動や略奪行為もスナップチャット(SNS)での情報共有により、ついには、一部では破壊・強奪行為の競いあいのゲームのような現象にさえなっており、どうにもゲーム感覚で犯罪を犯すというスタイル?が増えてきている気がします。

 とはいえ、爆破予告を疑い、無視するわけにはいかないのは当然のこと、テロ行為が珍しくはない国、駅や空港、電車などでも、たとえ、それが単なる忘れ物であったとしても、不審物発見のために避難・通行止め、電車が不通となったりするのですから、ことさら、予告などがあったりすれば、警戒措置をとるのは、あたりまえのことでもあります。

 そういえば、以前、職場に突然、警察官がドカドカと入ってきて、急に「すぐに外に出て、できるだけ遠くに避難してください!」「とにかく早く~~~!早くできるだけ遠くに走って~~!」と大騒ぎになったことがあり、どうしたの?と思ったら、通りの前に止まったバスの中に不審物があるとのことで、だったら、バスごと移動してよ!パリのど真ん中でしょ!と思いながら、わけもわからず、必死で走ったことがあったのを思い出しました。

 しかし、度重なる爆破予告にエッフェル塔とて、大変な営業妨害を被っているわけで、そのたびに大勢の警察や憲兵隊が出動するのですから、迷惑千万な話。

 パリ検察当局は、この虚偽の予告について、犯罪の脅迫と虚偽の情報の開示の容疑で捜査を開始し、これらの犯罪には 2 年の懲役と 30,000 ユーロの罰金が課せられると逆に警告しています。

 エッフェル塔は年間580万人の観光客が訪れると言われるパリのウルトラ級の観光地、前回のエッフェル塔への爆破予告は、2020年9月に「アッラー・アクバル」と叫び、「エッフェル塔の全てを爆破する!」という電話だったそうで、この手の脅迫も、電話からネットに移行しているようで、ネットの功罪が続々、登場しているようで、犯罪も変化しているようです。


エッフェル塔爆破予告


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2023年8月14日月曜日

落とし物を届けに行ったら・・へんな顔をされた・・

 


 落とし物をしても、日本だったら、見つかる可能性もなくはないと思うし、以前、流行語にもなった滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」の東京オリンピック招致のスピーチの中に、東京は安全な場所だというアピールの中で、「もし、あなたが、落とし物をしても、きっと戻ってきます・・現金の入ったお財布でさえも、年間3000万ドル以上が警察に届けられる街なのです・・」 という話を思い出します。

 たしかに、これは、海外から見れば、現金でさえも、そんなに落とし物として届けられるなどということは、ちょっとしたミラクルのような話です。

 だいたい、落とさなくても盗られるのが不思議ではなく、しかも、盗られても、気をつけなかった方がいけないような雰囲気で、たとえ、スリなどにお財布を盗られたとしても、警察に盗難届を出しても、見つかる可能性は限りなく低く、保険のための盗難届の書類を書いてもらうために行くようなものです。

 パリでの私の落とし物に関しては、一度は、パンツのうしろポケットに入れていたNavigo(定期券のようなもの)を座った時に、レストランで落としたらしく、後で気が付いて、取りに行ったら、レストランの人がとっておいてくれた・・ということがありました。

 あとは、一度、歩いている途中にスカーフを落としたら、後ろから来た人が私のスカーフを持って駆け寄って来てくれて、「これ、落としましたよ!」ということがあったのですが、「うわ!ありがとうございます!」とお礼を言い、彼女たちが私の横を通り過ぎていく時に、一緒にいた女性が、「なんで?渡しちゃうのよ!ふつう、渡さないでしょ!」と拾ってくれた女性を責めているのが聞こえてしまって、「やっぱりね・・ふつうは、拾っても盗られちゃうんだよな・・」と思いました。

 もう一度は、バスの中でけっこう気に入っていた折り畳みの傘を忘れて降りてしまい、バスを降りてすぐに気が付いたので、猛スピードで走ってバスを追いかけて、ちょうど渋滞でストップしたバスの扉をドンドンたたいて、「忘れ物をしてしまったので、ちょっとすみません・・」とバスに乗り込み、私が座っていた場所に目をやると、ちょうど、隣にいた女性が自分のバッグにしまおうとしているところで、「それ!私のです!」といって、取り返してきたことがありました。

 その他は、娘も含めると、相当の落とし物をしていますが、見つかったためしがありません。

 最近は、もうできるだけ落とし物やスリに遭ったりしないように、服装などもできるだけシンプルに、大ぶりのバッグを持ち歩いたりと対策をとっているので、落とし物もしていないし、スリなどの被害にも遭っていません。

 それとは逆に、この間、動物園に出かけた時に、歩いていたら、子供用の帽子が落ちているのを拾ったので、ちょっと周りを見回しても、それらしい子供が見当たらなかったので、一瞬、これはどうしたものか? ここの近くのどこかにひっかけておいた方が、もしも、本人か親が探しに来た場合、見つけられるかな?とも思ったのですが、いやいや、関係ない人に盗られてしまうこともあり得るし、広い動物園の中、どこで落としたかのかもわからないだろうな・・と思って、動物園の入口(出口)の受付に届けておこうと思って、持っていきました。

 受付にいた一人の女性に、「これ、拾ったんですけど・・」と帽子を渡したら、「それ、あなたのじゃないの?」と変な質問をされ、「自分のものを拾って届けるわけないだろ!」と心の中でつぶやきながら、「およっ??やっぱり落とし物を届けるなんて、あり得ないこと??」と思いつつ、「いいえ、私のではありませんよ・・」と言って、その帽子を渡したら、「始末に困る・・」と言わんばかりの不機嫌な顔をされて、やっぱり落とし物を預かるということに慣れてないんだわ・・と、あたかも私がフランスの文化に馴染んでいないような気になりました。 

 落とし物が届けられるといことがどれだけ少ないことなのか?と思った体験でした。


落とし物


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2023年8月13日日曜日

コロナウィルス新変異種 Eris(エリス)出現で再び感染者増加傾向 2週間で24.6%増

  


 いつ頃からだったか、自分でも記憶にないのですが、恐らく、1年前だったら、熱を出したとか、だるいとか、少々具合が悪いとか体調が悪かったりすれば、「まさか・・コロナウィルスに感染した??」と一番に疑っていたと思いますが、げんきんなもので、コロナウィルスのことなど、すっかり忘れて、もう先日、少々、体調を崩したときには、その前日に行った心臓の検査のせい?だと思っていました。

 まあそれも、2日ほどで回復したので、何だったかはわかりません。

 街中からはマスク姿の人は、ほぼほぼ見られなくなり、全くもと通りの生活に戻っている中で、コロナウィルスが消え失せたとは思っていなくても、ほぼマスクの消失?とともに、その病気の恐怖も私の中で消えつつあったのです。

 今回のパンデミックでは、ヨーロッパはなかなかの被害者数を叩き出し、ウィルスの出現とその拡散のスピードは恐ろしいほどで、あっという間にロックダウンという、証明書がないと、ほぼほぼ外出さえできないという前代未聞のセンセーショナル?な体験をしたというのに、あっさりとその時の恐怖を忘れてしまうのは、なんだか愚かなような、また忘れることで、気持ちを回復できるチカラというか、その両方を感じます。

 それが、フランス公衆衛生局の発表によると、Eris(エリス)と呼ばれる新変異種の出現のため、ここ2週間あまりで、感染者数が24.6%増加しているという話を聞いて、「そういえば、ここのところ、体調が悪くても、コロナウィルス感染を疑わなくなっていたけど、もしかしたら、感染していたのかもしれない・・」と、思い出しました。

 実際のところ、多くの人は、おそらく私のように、体調が悪かったとしても、検査をするという習慣がすっかりなくなっているので、実際の感染者数は、もっと多い可能性もあります。

 しかし、問題なのは、重症化した場合に病院の病床がひっ迫する状況になってしまうかどうか?ということで、現在のところ、バカンスシーズンの真っ只中で、コロナウィルス感染者増加うんぬん以前に、もともと不足している病院のスタッフの人員がバカンスのために、さらなる人出不足を招いており、救急病院でも夜間は受け付けないとしている病院が出始めているというニュースを聞いたばかりです。

 また、コロナウィルスに対する緊急事態対応も一応、停止されており、検査等も全額国民健康保険負担ではなくなっており、ワクチンパスポート等に利用されていたTousAntiCovidのアプリも一時停止になっています。

 そして、検査の結果、陽性となった場合でも隔離義務はなくなり、病気休暇も別に医師の診察をうけないと取れなくなっています。

 現在のこの俄か感染者増加の現象を鑑みて、フランス公衆衛生局は、現段階では、さして神経質に心配する段階ではないとしながらも、「頭痛、喉の痛み、咳、発熱などの症状がある場合は、検査を受けることを推奨する」としています。

 考えてみれば、バカンスシーズン真っ盛りで、ほぼ日常どおりにあちこちで、たくさんの人が集まるお祭りやイベントごとがあちこちで行われ、また、幸か不幸か、今年のフランスの夏は、けっこう涼しめで、考えようによっては、ウィルスが蔓延しやすい状況でもあります。

 私は、これまでに4回のワクチン接種をしていますが、この話を聞いて、久しぶりにワクチンパスポートを開いてみたら、最後のワクチン接種は昨年の7月で、ちょうど1年くらい経過しています。今回の感染者の増加は、ワクチンの恩恵が時間とともに減少していることも原因の一つとされています。

 ワクチンがどの程度効いていたのかは、わかりませんが、私は、これまでに何度となく、検査をしましたが、これまで一度も感染してきませんでした。もしかしたら、感染していたのに、気がつかなかったということもあるかもしれませんが、高齢者と接触する機会があるわけでもなく、いずれにしても、重症化さえしなければ、いいのかな?くらいの軽い気分になってしまっています。

 私は、ITのことは、からっきし、弱いので、これが偶然なのかどうかもわからないくらいですが、少し前から、私の携帯には、いつの間にかなくなっていたTousAntiCovidのアプリ、「復活させたい場合は、こちらをタップしてください・・」という画面が表示されています。

 日本の事情はわかりませんが、最初のロックダウンの時も政府から個人の携帯にロックダウン開始のメッセージが入り、「なんで?私の電話番号知ってるの?」とびっくりしましたが、なかなかフランスは、この方面、いつの間にか結構進歩し、いつの間にか自然と浸透ています。

 もともと人混みは嫌いなので、あまり人の多い場所には行かない私ではありますが、また、マスクは持ち歩き、必要に応じて、使った方がいいかな?と思い始めています。


コロナウィルス エリス 感染者増加


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2023年8月12日土曜日

病気休暇の正当性を認めなかった80歳の現役医師が暴行を受け、顔面7針縫う大ケガ

  


 まず、この事件の狂暴性以前に80歳で現役で医者を続けている人がいることに驚きました。昨年から今年前半にかけて、フランス中が揉めに揉めた年金問題は、職種によるとはいえ、一般的には、62歳から64歳に延長されるというものだったので、80歳現役、しかも医者というのですから、ビックリさせられたのです。

 フランスは、医者不足問題も抱えていて、これから数年の間に医者の25%は60歳以上になり、10年以内にはこれらの人々は引退してしまうため、さらに医者不足が加速することにあなります。

 政府は、それらを少しでも緩和させるために彼ら(医者)に定年後も働いてもらうために、定年の年齢を迎えた後は、彼らの年金保険料を免除し、年金をもらいながら、仕事を続け、働いた分だけ給料を得られるシステムを検討することを発表していました。

 現在のところ、その法案が可決された話は聞いていないので、定年を過ぎても仕事を続けている医師は、よほどの使命感を持って働いていらっしゃる方であると思います。

 この医師は、通常、午前中は、自分の診療所で診察を受けつけ、午後は、在宅治療中の患者、病気休業中の患者さんの自宅を往診してまわり、その後の時間帯は、社会保障と連携する企業の病気休暇中の患者さんをチェックし、その状況について意見を提出する仕事を同時に行っている忙しい毎日を送る、まさに自分の職業に対して情熱を持って取り組んでいる人のようです。

 今回の事件は、おそらく、彼の仕事のうちの最後の病気休暇中の患者さんのチェックとそれに対する意見書の作成にまつわる彼の見解に納得しなかった患者が彼を暴行するに至ったということだと思います。

 フランスでは、病気休暇が認められれば、基本的には日給の50%~66.66%は、国民健康保険から支払いを受けられることになっており、この病気休暇のための費用は増加傾向にあり、必ずしもそれが正当なものではなく、ずる休みになっているケースも少なくないため、昨今は、医師による病気休暇の正当性のチェックを厳しく行うようにすると言われてはいます。

 今回の暴行者は、この病気休暇がこの医者により、正当性がないと判断されたために、激怒し、この医者が作成した意見書にサインを求められた際にその用紙を奪い取るとともに顔に殴りかかり、恐怖を感じて、逃げ出した医者を執拗に追いかけて、その後も暴行を加え、顔を7針も縫う大けがを負いました。


 幸いにも、途中で、通りかかった二人の男性が介入して、彼の暴力を止めてくれたそうですが、一瞬、彼は、もうこのまま助からないであろうと頭をよぎったと証言しています。

 彼の証言によると、この暴行者の問題は、明らかに彼の職場の上司とのトラブルで、病気休暇を取り続けることは問題の解決にはならないと判断したそうですが、彼は医者が家に訪問してくること自体からして受け入れきれずに、訪問時には、すでにかなりの興奮状態であったと話しています。

 この暴行者は逮捕、拘留されましたが、彼の身元は明らかにされていません。

 この医師がメディアに証言者として登場した際には、当然のことながら、すでに悲惨な暴行を負った後のことで、彼の負った傷のせいもあるのでしょうが、立派?な老人で、この人にそんな忙しい仕事が務まっているのか?と思ってしまいそうになりましたが、話し始めてみると、さすがに現役で忙しい仕事を続けているだけあって、話し方は、若々しく、声だけ聞いていたら、とてもこんな年齢とは、思えないような理路整然と、きびきびした話し方で、なるほど、使命感をもって、ここまで仕事を続けている人は違うな・・と妙な感心をしてしまったほどです。

 私にも、幸いなことにとても信頼しているかかりつけのお医者さんがいますが、やはり、どこか、他の職業の人に対してとは、違う尊敬と信頼の念があり、そういう相手に向かって暴力をふるうなどとは、考えられない(他の人に対しても暴力はふるいませんが・・)ことで、こういう患者さんがいては、お医者さんも大変だ・・と思ってしまいました。

 しかし、これは、極端な例ではありましたが、実は医者に対する暴力というのは、少なくないようで、フランスでは2022年に医師に対する1,200件以上の暴力行為が報告されているようで、この数字は過去 20 年間増加し続けていると言われています。

 治安が悪くなり、暴力的な事件が増えているとは思っていましたが、お医者さんに対してもこんなに暴力事件がおきているとは、これでは医者になりたい人が減るわけです。


80歳の現役医師に対する暴力事件


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2023年8月11日金曜日

今は亡き夫の友達だったパリの動物園にいるオランウータンに会いに行った 

 


 私には、長い間、ずっと行きたかった場所がありました。パリ市内でもあるし、別に行こうと思えばいつでも行ける場所ではあるのですが、なんとなく、行きそびれているまま、もう10年以上は経ってしまっていました。

 それは、パリ5区にあるジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)の中にある動物園で、よくバスで通りがかるくらいの、家からもそんなに遠くない場所にあります。

 ジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)の大きな庭園(敷地)の中には、名前どおりの植物園や温室、自然史博物館や植物学の学校などに加えて動物園があります。

 ここには、これまでに2回来たことがあって、1回は家族で動物園に、そして、もう1回は、日本から家族連れで来た友人がここの自然史博物館の恐竜を見にやってきました。

 私がここにずっと来たいと思っていたのは、ここの動物園の方で、パリには、ヴァンセンヌに1つ、そして、このジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)の中にもう一つの動物園があります。

 この動物園には、私たち家族にとって、特別な思い出があり、まだ、娘も小さかった頃に、ある休日の日にどこかに散歩に行こうと、最初は植物園に来たつもりが、中に動物園があることを発見し、何気なく立ち寄った場所でした。

 実際には、この動物園、ヴァンセンヌの動物園に比べて規模は小さいものの、世界で最も古い歴史を持つ動物園のひとつでもあるそうで、この植物園全体の中にもいくつもの歴史的な建造物が惜しげもなく、ポコポコ建っている感じです。

 動物園は、もうはっきりと記憶もないくらいだったのですが、さすがに10年以上経って、以前に比べると、ずいぶん整備された感じで、私は、動物園に入ると、園内の地図を片手にオランウータンを探しながら、歩き始めました。

 私がこの動物園に来たかったのは、以前、家族で訪れたときに、この中にいた一匹のWATANA(ワタナ)というオランウータンが夫のことをとても気に入ったらしく、お腹が空いただろうとでもいいたげに、なんだか、最初に小さな木のかけらを投げてよこし、口に指をあてて、これ食べない?みたいにアクションをしかけてきたのです。

 その後、自分が遊びに使っていた布切れを網の向こうから垂らして、夫とひっぱりっこをして遊び始めたのです。動物園の飼育員ならいざ知らず、見ず知らずの人間と大きなオランウータンがこんなことをして遊ぶなんて、ちょっと考えられないことで、私たちの周りには、人だかりができたほどでした。

 夫は、もう亡くなってしまいましたが、この動物園のことを思い出すたびに、WATANA(ワタナ)はどうしているだろうか? 会いたいな・・とずっと思っていたのです。オランウータンの寿命は飼育下では、50年程度ということですが、あの時、ワタナは一体、何歳だったのかもわかりません。まだ彼女は生きているのだろうか?それとも、もう亡くなってしまっているのでしょうか?

 動物園の地図には、オランウータンの場所は記載されていなくて、それでも、どこかにはいるはず・・と思いつつ、ようやくオランウータンの檻を見つけると、その檻はすっかり整備されて、網ではなく、ガラス張りになっていました。




 中にいるオランウータンの顔写真と名前が書いた看板を見ると、ワタナの名前と写真はありませんでした。実際、ワタナの顔だって、正直、私も全然、覚えていません。

 その日は、その中には3匹の親子と見られるオランウータンがいて、けっこう人気で人が集まっていました。やっぱり他の動物と比べると、人間に近いせいか、見ているとそれぞれのキャラクターがわかってきて、1日眺めていても飽きない感じもしました。

 しばらくすると、飼育員がやってきて、オランウータンについての解説を始め、オランウータンは、どこからやってきたのか?とか、その習性とか、子育てとか、飼育にあたっての健康管理についてなどの説明をしてくれました。



 他の動物についても、全部ではありませんが、こうして、頃合いを見て、飼育員が人を集めて解説していました。こんな解説などでも、フランス人はほんとうにお話が上手だな・・と感心してしまいます。

 動物園のオランウータンは、通常は、野菜しか食べさせてもらえないそうで、最近の果物は、食物繊維も減少しているうえに糖分過多なのだとか・・なんだか、自分に言われている気がしてしまったほどです。果物をあげるのは、嫌な検査をするときとか、薬を飲ませるときなどのご褒美がわりに与えているそうです。

 こうして食事をはじめとした健康管理は、ふつうの人間以上に行われているようで、健康状態には、常に気を配り、異常があった場合には、素早い対応を・・まさに早期発見、早期治療・・と人間さながらの健康管理です。

 また、メスのオランウータンの出産は、一生のうちに多くて3回程度だということで、だいたいこの辺も人間と似ているな・・などと思いながら、彼の説明を聞いていました。

 彼の説明が終わったところで、何か質問は?とみんなに質問を募っていたのですが、私が聞きたいのは、WATANAのことで、あまりに個人的?な質問ゆえ、説明大会が終了したところで、彼をつかまえて、「あの・・つかぬことをお伺いしますが、あなたは、WATANAを知っていますか?」と聞いてみたのです。

 すると、彼は、ちょっとビックリした様子で「WATANA?」と言い直してから、「知ってます!」と。でもすぐに、「Elle est parti」(彼女は旅立った)と言ったので、私は、てっきり亡くなってしまったとばかり思って、「あ~残念・・」と。

 彼の話によると、彼がここで働き始めたのは、6年前からのことで、WATANAがここにいたのは、8年くらい前までのことだそうで、それでも、WATANAの話は聞いたことがあるので知っています・・と。

 私はてっきり、ワタナは亡くなってしまったとばかり思っていたので、「ワタナは何歳まで生きていたのですか?」と聞いたら、「彼女は亡くなったわけではなくて、まだ生きていますよ!」、「今は、スペインの動物園にいるはずです・・」と。

 詳しいことはわからないけど、マッチング?が上手くいかなくて、子供がなかなかできなかったので、違う動物園に行くことになったのだとか・・。普通、他の動物園に移った動物でも、もしも、亡くなったりした場合は連絡があるはずなので、ワタナについては、そういう話を聞いていないから、まだ生きていると思うよ・・と。

 予想外のワタナの消息に、まだ、ワタナは元気で生きてるんだ!となんだか、すぐにでもスペインの動物園に飛んでいきたいような気持ちになりましたが、残念ながら、彼には、スペインのどこの動物園なのか、わからずに、私がワタナに会いに行くことはできそうにありません。

 しかし、まだ、あの彼女がスペインで生きていてくれるという話だけで、なんだか私はとっても嬉しくなり、とても満たされた気持ちで動物園を後にしたのでした。


ジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)動物園 オランウータン

🌟JARDIN DES PLANTES  57 Rue Cuvier 75005 Paris


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2023年8月10日木曜日

来年のパリオリンピック期間中 パリのホテルの価格が爆上がり!

  


 私は特にオリンピックが大好きというわけでもありませんが、東京オリンピックが決まって、その後のオリンピックはパリだということが決まった時は、なんと!行こうと思えば、私は、そのどちらも行けるではないか!と、なんだかちょっと自分のゆかりの地?が続けてオリンピックの開催地になったことが、ちょっと嬉しいような気もしたりしたのです。

 しかし、その時点では、どちらのオリンピックもまだまだ、ず~っと先のことで、その頃、私はどこでどうしているのやら?とも思っていました。

 私は、オリンピックよりなにより、人混みが苦手で、映画館ですら、あんまり好きではないくらいなので、オリンピックに行くということは、あまり現実的ではないとはいえ、なんとなくオリンピックで盛り上がる街の様子などがちょっとだけ楽しみだったのです。

 しかし、東京オリンピックは、なんとパンデミックにぶつかり、1年後に延期され、ギリギリまでオリンピック、本当にやるの?という感じで、オリンピックどころか、日本に行くことだけでも容易なことではなくなってしまったことは、多くの人々と同じです。

 結局、東京オリンピックはほとんど楽しめなかった(フランスだとオリンピック中継も当然、フランスの選手を中心にした中継なので、日本の選手は、あまり見られないのです)うえに、後から出てくるオリンピック関連の汚職の話にウンザリするばかりでした。

 その頃はまだ、次のパリオリンピックの頃には、パンデミックはおさまっているのだろうか?と思っていましたが、現在のところ、ウィルスがなくなったわけではないでしょうが、もうパリはすでに日常生活に戻って、来年のパリオリンピックのカウントダウンが始まっています。

 パリオリンピックまで1年を切った頃から、なんと1年前というのに、ホテルの予約が始まっているらしく、しかも、その価格の高騰ぶりがもの凄いと話題になっています。2倍、3倍はあたりまえ、中には5倍、6倍、10倍以上なんていうホテルもあるそうです。

 来年のパリオリンピックには、1,500万人~2,000万人の観光客が見込まれており、需要と供給のバランスを考えれば、当然、起こりうることとはいえ、なかなか、あこぎなやり方をしているところもあるようです。

 ル・パリジャン紙の報道によれば、例えば、12ヶ所のホテルを、8月5日~6日分の予約料金を2023年と2024年で比較してみた場合、その価格は平均6倍以上になっているといい、酷いところだと、パリ15区のホテルで、今年の夏一泊、90ユーロのところが、来年の夏には、1,363ユーロに値上げしているところまであると言います。

 パリ・イル・ド・フランス(パリ近郊)には、13万室以上の客室があると言われていますが、すでに、こんな価格の高騰を招いていて、余程の覚悟で予約に挑まなければならない気配で、中には、予約の段階で全額支払い、キャンセル不可などというのもあります。

 オリンピック競技が行われるのは、パリばかりではありませんが、とりあえず、やはり一番人が集まると思われるのは、パリです。

 もっとも、パンデミックのあいだ中、本当に痛手を食って、苦境に瀕していたホテル業界ですから、これを機に巻き返しにかかりたい、オリンピックのために、なんとか持ちこたえてきたというホテルも少なくないはずです。

 我が家の近所にもホテルがありますが、長いこと、ここが満室らしき気配は見られませんでしたが、この様子だと、オリンピック期間中には、満室になることは、間違いなさそうです。

 いつもは、どこか人が少なくなるパリの夏が、そんな大勢の人で埋まるのは、逆にちょっとそら恐ろしい気もして、さぞかし、バスやメトロが混むんだろうな・・などと、どこかに逃げ出そうにも、さぞかし航空運賃も高騰しているんだろうと、とりあえずのこのパリのホテル価格の爆上がりのニュースを聞きながら、来年、どうしよう?と思っています。

 

パリオリンピック パリホテル価格爆上がり


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2023年8月9日水曜日

うっかり確認せずに出かけたら、メトロがない!

  


 ここのところ、バスを利用することが多くて、メトロを使っていなかったので、ついつい、何も確認せずに出かけて、駅に行ったら、今週は工事のためにメトロがなくて、ストライキでもないのに、駅が閉鎖されていて、一瞬、呆然となりました。

 私は14号線を使うことが多いのですが、14号線は運転手のいない自動運転のために、他の線がストライキをやっていても、14号線(と1号線)は動いているので、なんだか、今、工事が多いと知りつつ、つい、うっかりしていました。

 夜間の工事をずっとしていたのは、知っていたし、一部の駅は全く閉鎖になったのも知っていたのですが、まさか今週は、14号線は全線ストップ。

 メトロの代わりにその区間はバスが運行しているのですが、代わりのバスが出ている臨時バス停まで矢印に従って歩き、バス停を探すと(通常の一般の市内バスとは別のバス停)、長蛇の列。さまよい歩いてようやくたどり着いた様子の家族連れの外国人観光客などもいるにもかかわらず、表示はフランス語のみで不安そうな観光客を引き連れて歩くことになりました。

 もしも、私が観光客で、土地勘もなく、フランス語もわからなかったら、どれだけ不安だろうか?と思うのです。

 代替バスは、とてもメトロの乗客がすべてカバーできる本数ではないため、延々、待たされて、やっと来たバスには、乗り切れない乗客が溢れて、次のバス待ちになってしまう人も・・。

 いつもと同じNavigo(定期券のようなもの)や、チケットの料金でこれは、酷いです!そのくせ、昨日、乗ったバスでは、いつまでも発車しないので、何やってるんだろう?と思ったら、検札(コントロール)をしていました。

 今の季節は観光客も多いので、逆にキセル乗車は少ないはずだし、チケットのことがよくわからずに、無効になっているチケットを持っていたりする観光客に罰金を払わせるのは、ちょっと違うのではないか?と思うのです。

 一年のうちでもパリが一番空いていて、メトロなどもゆったり乗れて、例年なら、ごきげんな季節なのに・・今年はさんざんです。ここ数年は、やたらと工事が多い気がしていましたが、本当にメトロだけでなく、トラムも動いていないところもあるし、どこに行っても工事だらけ。

 仕方なく、迂回して、いつもは通らない駅を通ったりして、もうすでに工事が終了したのか、やけにAuber(オーベール)の駅などがピカピカになっていて、ビックリしたり、駅を上がると、ずっと続いているオペラ座の工事もまだまだ続いていて、工事中の壁面のお色直しはしているものの、入口の階段の部分も縮小されていました。

 最近は、ちょっと行かないだけでも、パリの中もどんどん変わっていくので、「ほんとうに、パリっていつまでも変わらないんだから・・」と思っていたのは、昔の話で、そういえば、このあたり、久しく来てないな・・などと思うところは、いつのまにか、けっこう変わっています。

 普段、色々と出歩くことが多いのですが、やっぱり、知らず知らずのうちに私の行動範囲には、かなり偏りがあり、また、私の出かける先も、いつの間にか変わってきているようです。

 とりあえず、夏の間、しばらくは、しっかりメトロやトラムなどがあるかどうか、チェックしてから出かけることにします。

 しかし、インフレであらゆる値段が上がっているというのに、そんなことにはびくともせずに、工事は、ガンガン進み、中には、「この間も工事してたばかりで、もうきれいになっているのに、こんなところ、また工事して、この工事、ホントに必要?」などと思うところまであって、少々、恨めしいような気もします。



メトロ14番線不通


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2023年8月8日火曜日

最初は不思議だったヨーロッパの人々の公園の楽しみ方が少しわかってきた気がする リュクサンブール公園

  


 私が最初に海外で生活したのは、ロンドンで、その頃は、私も若く、日本では、東京生まれの東京育ち、日本の他の地域に住んだこともなくて、初めて親元を出た経験でもありました。言葉の違い、文化の違いなどに触れ、見るものすべてが驚きの連続でした。

 最初は、街の中を見て歩いたり、人々の様子を観察したりして、慣れない英語での生活にドキドキしながら、知っているはずだった英語をいちいちイギリス英語に直されたりするたびに、直すぐらいだったら、意味はわかっているんだから、いいじゃん!などとバカなことを思ったりしていました。

 ロンドンは(パリもだけど・・)、東京に比べるとずいぶんとコンパクトな街で、最初は地下鉄を使って、そのうち、バスで動けるようになると、街の色々なところを自由自在に楽しむことができるようになりました。

 ロンドンには、けっこう街中に大きな公園がありますが、その公園に行ったりすると、そこにいる人たちが、公園で寝転んだり、本を読んだり、ピクニックをしたりしている様子がとても楽しそうで、彼らはとてもシンプルに生活を楽しむんだなということが、なんだか、とても衝撃的でした。

 それは、パリに来ても同じことで、最初は、彼らはなんで、わざわざ、こんなところで本を読んでいるんだろう?とか、なんで、こんなところにきて、何もせずにただ座って、喋っているんだろう?とか、思いました。喋りもせずにただ一人で座っている・・なんていう人もいます。

 パリに来て、長い間、私は、公園どころではなく、仕事と子育てに追われて、公園でゆっくりするなんていう時間的な余裕もまったくなく、仕事が休みの日は、子供のお稽古事の送り迎えや買い物やウィークデーにはできない家事などで忙殺され、バカンスには、パリ以外のところに行ってしまうので、パリの街中、しかも公園を楽しむなどということはありませんでした。

 ここのところ、子育ても終わり、時間にも余裕ができて、健康のためにできるだけ歩かなければ・・などと思い始めると、どうせ、歩くなら、少しでもきれいな場所、気持ち良い場所が良いな・・と思い、たまに、パリ市内のきれいな公園(庭園)に行くようになりました。

 最近、行くようになったのは、パリ6区にあるリュクサンブール公園で、フランス人がヨーロッパで最も美しい庭園と誇る巨大な公園で、入口だけでも10ヶ所あります。


 季節ごとの花は美しく、フレンチな感じとイギリスの感じが混在する庭園と言われており、敷地は、公開されているだけでも部分だけでも 21.75haもあり、敷地内には、庭園はもちろんのこと、宮殿、美術館からテニスコート、バスケットコートや子供が遊べる公園や砂場、回転木馬、マリオネットの劇場、野外音楽堂、ピンポン、チェスなどを楽しめる場所、小洒落たカフェ、有名なメディチ家の噴水、庭園内には、102点の彫像が散りばめられ、それが、上手く調和して、存在しています。






 けっこう、ヨーロッパからの観光客も多く(子供連れも多い)、2022年には、年間来場者数620万人を記録しているそうです。

 わざわざパリまで来て、ここで、質素な食事でピクニック? わざわざ、こんな庭園に来て、読書?などと思わないでもありませんが、心地よい場所を選んで好きなことをしていると思えば、それはそれで、というか、それだけで、心にゆとりがあるような気もするのです。

ドイツからの観光客 パンや卵、フルーツなどを分け合いながら食べている


 彼らは太陽が大好きということもありますが、同じ本を読むならば、食事をするならば、屋外の景色のよい心地よい場所でというのは、たしかに、気分が良いことに違いありません。彼らは公園が大好き。若者でも、簡単な食事やお菓子を持って、おしゃべりしたり、カードゲームをしたり、すごくシンプルに遊んでいます。たしかに、狭い家の中で、ごそごそやっているよりも外に出て、緑や太陽に触れながら、遊ぶ方が健康的たし、心地よいに決まっています。

 しかし、私は若い頃には、そんな遊び方をする発想は皆無だったので、そんな光景もけっこう衝撃でした。

 また、観光客の場合、限られた日数の旅程で、あそこの美術館にも行きたい、あそこで買い物もしたいと忙しく動き回りそうになるところをゆったりとした時間を美しい庭園で好きなようにゆったりと時間を過ごすというのも、いいな・・と最近の私は、思うようになりました。

 リュクサンブール公園には、4,517の椅子(ベンチ)があるといわれていますが、今の季節、平日の昼間でも、椅子は、ほぼ満席?です。広い庭園の中をそんな人々の様子を眺めつつ、美しい花や彫像などを楽しみながら散歩するのは、なかなか退屈しません。

 せっかくパリにいるのですから、今度は、私も、歩くだけではなく、本を持って、ゆっくりと時間を過ごしてみようかと思っています。


リュクサンブール公園


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