2021年7月9日金曜日

16年ぶりに再開したパリ・サマリテーヌに行ってみました!

   


 2005年に老朽化による改修工事のために閉鎖されてきたパリの老舗デパート サマリテーヌが16年ぶりに再開されました。

 当初2011年に再開するはずだったこの店舗は、数々の工事に関わるトラブルやデモ・テロ、パンデミックの影響なども受け、工事は遅れに遅れ、パリ1区、セーヌ川沿い、ポンヌフの正面、リヴォリ通り近くのパリの中心も中心、抜群のロケーションの超一等地にあるこの店舗が16年間という、これほどの長期にわたり閉鎖してきたのは、驚愕的なことで、むしろ、実際に再開した時には、もはや「あれ、ほんとに再開するの?」と拍子抜けする気分でした。

 なにせ、これだけの地の利の良い場所ですから、見過ごすのが難しいくらいの場所で、私がパリに来たばかりの頃、一度は行ったことがあったのですが、それから、私もすぐに仕事を始め、娘もまだ小さく、仕事と子育てでゆったり買い物をしに行く時間などもないままに、あっという間に閉鎖され、それからは、近くを通るたびに、「こんな一等地の店舗をいつまでも閉めていて、勿体無いな・・」などと、横目で見ながら、通り過ぎてきたのでした。


 
             改装工事中の写真も展示されている



 サマリテーヌの再開は、同業のプランタンなどが店舗を縮小していく中、再開される老舗デパートとして、再注目されましたが、再開と同時に不正金融取引と課税に反抗する過激派の標的になり、白いオーバーオールに身を包み、防毒マスクを身につけた活動家がショーウィンドーを黒く塗りつぶし、白い文字で「ダーティーマネー」などの落書きをして騒ぎを起こし、ちょっとケチがつきましたが、すぐにそのウィンドーには、カバーがかけられ、大勢に影響はありませんでした。

 店舗の中心部分に位置する太陽の光を取り入れる開放的な空間に、アール・ヌーヴォーとアールデコの入り混ざった空間には、有名な孔雀のフレスコ画が完全に復元され、まさに古くて新しい洗練された空間に仕上がっていました。

 こんな仕上がりを見ていると、フランスは、自分たちの文化の継承を10年や20年などは、ものともせずに、もっと長いスパンで捉えているのではないか?とも思えてきます。

  

フレスコ画も完全復元

    

店舗中央の階段部分

 店舗の中央部分にあえて見せるように作られている階段は、ちょうど登りやすい段差で、階段を登りながら、店舗全体も見渡せるようになっており、そのすぐ横には、エスカレーターも目立たない感じで配置されています。

    

感染対策のため? 階段には上り専用の表示

 地上階は、バッグなどのマロキネリー(皮革製品)、1階(日本でいう2階)には、女性ファッション、2階が時計・宝石、3階が男性ファッション、4階は女性用靴、そして、地上階から光の入るガラスの屋根までが吹き抜けになっている最上階は、真ん中の吹き抜けを囲むように配置されたレストランと、リラックススペースには、適宜、移動可能な組み合わせて座れるソファーが置かれた薄暗いスペースの前に、セーヌ川沿いのパリの動画が流されている大画面があり、ゆったりとくつろいでいる人には、まるでホームムービーを見ながら、昼寝しているような人までいて、なかなか自由にリラックスできる感じになっています。

   

最上階にあるリラックススペース 大画面はパリの景色の動画

 デパートに入るとフワッと香ってくる香水の香りなどがないと思っていたら、化粧品、香水などのコーナーは、地下にありました。

 現在のところは、あまり海外からの観光客もいないので、客層は、地元の人と思われるような比較的、年配の人が多く、落ち着いた雰囲気でしたが、高級品が多いこともあり、どちらかというと買い物というよりは、半分は観光のようなひやかしのような空間を楽しんでいるような感じで満員なのは、レストランだけでした。

      

人だかりができていたシャンパンのコーナーも美しい


 売り場でちょっとした人だかりができていたのは、店頭販売の男性が「シャンパンは絶対に光に当ててはいけないものだ!」と熱弁を奮いながら、皮のカバー付きのシャンパンを売っているコーナーで、取り囲むちょっと年配の人々が和やかに談笑する光景をキラキラ光るシャンパンのボトルを背景に、ほんわかとした気分で、眺めてきました。

 最上階のスペースには、レストラン、カフェ、ティールームがあり、スターシェフの創造性を楽しめる最高のフランス料理から最もトレンディなペストリーまで様々なメニューを楽しむことができます。レストランのメニューを覗いて見たら、結構、和のエッセンスも加えられていたりするメニューもありました。

    

レストランのメニューの一つ 和牛を使ったメニューがやたら高い

   

 デパート全体では600のブランドのファッション、化粧品、ジュエリーなどを扱い700人を雇用しています。最終的には、保育園、公営住宅、高級ホテル(9月オープン予定)が加わるこのサマリテーヌ全体では、3,000人の雇用が見込まれています。

  

階下には現在のサマリテーヌのオーナーであるルイ・ヴィトンのオブジェ


 このサマリテーヌの完成もフランスの経済復興の一つになることは間違いありません。しかし、考えてみれば、このサマリテーヌでさえ、観光客が本格的に戻ってくる頃には、ものすごい人出になるに違いなく、パリに住んでいる方には、今がチャンスかもしれません。

 すっかり引きこもりの生活が続き、すっかり私の物欲も消え失せていたと思っていたところ、久しぶりにゆったりと贅沢な高級品を眺めて歩いて、思わぬ指輪に遭遇、しかも滅多にフランスでは見つからない私のサイズまであり、ピッタリ! しかし、値段を聞いて、びっくりして、なんとか思いとどまり、久しぶりに「欲しい!」と思う気持ちを抑える苦しさを味わった、ちょっぴり危険な16年ぶりのサマリテーヌ訪問でした。



【SAMARITAINE 】サマリテーヌ 9 rue de la Monnaie 75001 Paris

年中無休(5月1日除く)

Metro 1,4,7,10,11号線(Chatelet, Louvre-Rivoli, Mabillon, Pont-Neuf)



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