フランス政府は、これまで14日間だった父親の育児休暇を28日間に延長することを発表しました。これは、2021年7月1日以降に生まれた、あるいは、その日以降に出産予定になっていた子供の父親に適用されます。
育児休暇中の給与の大半は、国の社会保障期間から支払われ、雇用主の負担は3日分とされています。
この育児休暇は、子供の誕生から6ヶ月以内に取得する必要があります。(2回に分けて取ることもできます)
子供の母親が子供の父親以外の男性と生活している場合(結婚、PACS、または同棲)、子供の母親と生活している男性も同様に育児休暇を取ることができます。この辺りの複雑な事情にまでわたって、取り決められているところに、フランスらしい複雑な家族関係を垣間見ることができます。
出産のタイミングはともかく、父親、あるいは、母親の違う兄弟姉妹を持つ人は少なくありません。娘の友人にも結構、そういう家族はいるし、かくいう我が家も、娘には、異母兄弟がいます。
フランスは、離婚率も高いけど、懲りずに再婚する人も少なくなくて、私の同僚で、かなり年齢の離れた子供がいて、「え〜!!そんな小さな子供がいたんだ!」と言ったら、「私だって、本当は、もう子供は欲しくなかった・・」などと言っているフランス人がいて、びっくりしたことがあります。
また、同性カップルが子供をもうけた場合でも、性別を問わず、二人目の親に適用されます。
この父親の育児休暇は、産休と同じ条件で社会保障によって、補償されます。しかも出産直後の最初の一週間は、強制的に取得することが義務付けられています。
単胎出産の場合は、28日間ですが、多胎出産の場合は、35日間と、一週間、長くなっています。
給付を希望する従業員は、休暇の開始日の少なくとも1か月前に雇用主に通知する必要があります。
この父親の育児休暇の延長は、両親が揃って育児に関わる重要性を考慮し、男女平等を推進するための施策としています。
EUの27の加盟国のうち、23カ国がこの父親の育児休暇の制度を導入していますが、この期間延長で、フランスは、欧州の中でも最多レベルの国になりました。
私は、日本を離れて長いし、日本で出産も育児もしたことがないので、日本の事情は、わかりませんが、フランスは、女性も働くのが当然の国なので、男性が積極的に育児・家事に参加しているイメージが強いです。また、けっこう、それを楽しんでいるようなところもあります。
出産から育児は、長い道のりで、父親の育児休暇が長くなったとはいえ、28日間で完了するものではありませんが、最初の一番大変な出産直後の時間を父親が育児に参加することで、その後の長い育児において、より主体的に育児に関わる習慣、きっかけになるのではないかと思っています。
フランスでは、子供を3人以上育てていると、税制上もとても優遇されるシステムをとっているため、少子化にはなっていない国ですが、この父親の育児休暇の延長で、さらに子育てを後押ししてくれる社会になってくれると良いなと思います。
以前、日本の会社からパリに駐在していた友人夫婦は、子供を産むのは、フランスにいるうちに・・と言って、駐在期間中に子供を産んで、日本に帰っていった夫婦がいました。出産費用の面からも、その後の育児休暇の面からもフランスで子供を産んだ方が、負担が少ないからです。
しかしながら、一方では家庭内でのDVなどの話も後を経たず、逆に育児休暇だけとって、育児をしないで、家で暴れられたりする家庭もあるのではないかと、余計な心配も後を経ちません。
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