2021年7月1日木曜日

ロックダウン最終ステージから取り残されたランド県でデルタ株感染が拡大した皮肉な理由 日本も危ない

   


 フランスは、いよいよロックダウン解除の最終段階に入りました。しかし、ランド県(ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏)だけは、デルタ株感染者の割合が他の地域に比べて、極端に高いために、ランド県知事は、ひとまず、7月6日まで、最後の制限の解除を延期することを決定しました。(前段階の生活制限が維持される)

 デルタ株の影響を最も受けたこの地域は、温泉地やリゾート地が点在し、サーフィンの人気スポットであるオスゴールなどもこの県内で、ビーチに行楽客が押し寄せる前に、ロックダウンの最終解除を1週間延長しました。 

 具体的には、公道での集会は10人に制限され、収容人員制限は、映画館や劇場では65%、レストランやカジノでは50%に維持され、店舗では1人あたり4㎡に設定されています。 

 7月6日の時点で、感染状況を精査し、これらの措置を延長するかどうかを決定します。 



 この地域は、これまでコロナウィルス感染が深刻な状況には陥ってこなかった地域で、このために、集団免疫力が弱く、人々の危機感も比較的緩いことが、今回のデルタ株拡大に繋がっていると見られています。

 これまで、感染者を抑えられていたことが、逆にデルタ株の感染拡大に繋がってしまうとは、かくも皮肉な結果ではありませんか?

 この地域のワクチン接種率は、フランスの中でも58%とかなり高めにもかかわらず、この状況。観光地であると同時に療養地でもあるこの地域は、高齢者施設も多く、高齢者を優先にワクチン接種を進めてきた同地域では、若者のワクチン接種は、滞りがちで、また、これまで感染状況が深刻な状況に陥らなかっただけに、若者の間では、ワクチン接種を急ぐ危機感が欠けていたようです。

 同県では、ショッピングセンター前にワクチン接種バスを配置し、14の予防接種センターの半分での予約なしのワクチン接種、企業または季節限定の農業労働者への的を絞ったワクチン接種をさらに拡大することを発表しています。

 同県内では、これまでに7つのクラスター(企業内(5)、高齢者施設(2))が確認されています。

 しかも、最初にデルタ株が確認された高齢者施設では、ワクチン接種済みの高齢者(既往症あり)が2名死亡しています。ワクチンとて、100%有効なわけではないので、ありえないことではありません。

 デルタ株の蔓延により、この高齢者施設では、重症度のレベルが3〜4倍とはるかに高くなっているということです。

 7月に入り、フランス人は、一斉にバカンスシーズンに入ります。観光地であるこの地域にとっては、ロックダウン解除の最終段階に足止めを食うことは、経済的にも大打撃を受けることになります。

 県知事は、夏にこの地を訪れる観光客のためにも、1回しかワクチン接種が済んでいない観光客にもワクチン接種をして、安心してバカンスを過ごしてもらえるように、ビーチ沿いにもワクチン接種センターを設けることにしています。

 しかし、これまで、ある程度、感染が抑えられてこれたからこそ、今、デルタ株に苦しめられているこの地域の様子を見るにつけ、私は、日本も同じではないだろうか?と思わずには、いられません。

 日本は、医療システムの問題で、世界的に見れば、感染者が驚異的に抑えられて来たにもかかわらず、医療崩壊を起こし、日本は日本でパンデミックに喘ぎ苦しんできたと思いますが、全体の人口からの比率にしたら、ヨーロッパなどとは、比較にならないほどに感染者数が抑えられてきている国なのです。

 つまり、現在、ランド県でのデルタ株の蔓延が集団免疫力が低いことによるならば、日本は、まことに危険な状態であると考えざるを得ないのです。

 検査数の違いはあるかもしれませんが、これまでの感染者数だけを見ても、フランスは、577万件以上、日本は、7万9千件です。(フランスの人口は、日本の約半分)

 つくづく恐ろしいデルタ株です。


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