2021年7月20日火曜日

フランス第4波突入宣言 ボルドーのナイトクラブでクラスター ヘルスパスが機能していない現実 

 



 フランスでは、ほぼ1年半にわたって閉鎖されていたディスコ・ナイトクラブが7月9日に再開されて、さっそく、ナイトクラブでクラスターが発生してしまいました。

 先日、このディスコ・ナイトクラブの再開にあたっては、アルコールを扱う場所でもあり、開放的に密になる場所として最も警戒されて、これまでのロックダウン解除が最も先送りにされてきました。

 ナイトクラブの営業再開が許可されたとはいえ、衛生管理を徹底することが難しく、未だ再開できていない場所も多いのです。

 ところが、今回、営業を再開したボルドーのナイトクラブで、クラスターが発生し、問題が再浮上しています。もう開けたら、すぐです!

 7月9日の営業開始直後、このナイトクラブには、670人が集まり、それ以来、多い日には2,000人以上が来場しています。

 このナイトクラブの再開以来、この地域(ヌーヴェル・アキテーヌ=フランス南西部)では、21例のクラスターが発生しています。

 このナイトクラブは、夕刻から入り口にヘルスパスコントロールを設置することを命じられていましたが、このパーティーに参加した人のSNSの投稿によれば、このコントロールは充分ではなく、時間帯によっては、チェックがされていなかったことが指摘されています。

 この投稿をした本人は、ヘルスパスのQRコードを提示し、その時間帯には、全てルールどおりに入場制限が行われており、750人中、80人がヘルスパス不携帯のために入場拒否に遭っていたことがわかっています。

 しかし、午前2時以降の入場者に関しては、ヘルスパスは、ノーチェックになってしまい、事実上、クラスターの格納庫のような状態になってしまったのです。

 ワクチン接種が進み、すっかり日常モードになってきたフランスも、ひとたび、気を緩めれば、あっという間にクラスターが発生してしまうことが証明されてしまったのです。

 このナイトクラブへの入場者のヘルスパス保持者のうち、ワクチン接種済みの人の割合がどの程度であったのかはわかりませんが、ワクチンをすれば、感染しないのではなく、重症化しないだけであって、実は、感染していて、感染を広げてしまう可能性も考えられるわけです。

 ワクチン接種をしている人が圧倒的な割合までに達すれば、それほど深刻な事態にまでは発展しないのかもしれませんが、今は、感染者数だけを見れば、あっという間に1万2千人にまで増加しているフランスは、相変わらず、少しでも気を緩めることができないウィルスとワクチン接種の攻防戦が続いていることを思い知らされます。

 この21例のクラスターは、今後数日で増加する可能性も十分にあり、内務大臣は、18日、「ナイトクラブ・ディスコなどの営業に関しては、ヘルスパスのコントロールについて、最も厳格な警戒が必要であるとし、ヘルスパスの管理を尊重しないナイトクラブの閉鎖を求める声明」を発表しています。

 ヘルスパスがあらゆるところで求められるようになっても、そのチェック機能がうまく働いていない、機能していないのでは、意味がありません。そのための人員の配置や段取りには、いくつかハードルがあるかもしれませんが、これを機に、店舗側も営業停止にならないようにしっかりチェックを行ってもらわなければなりません。

 政府が厳しめの緊急措置を取っても、結果としてそれが機能していないことは、いかにもフランスではありそうなことでもあります。

 しかし、ちょっとの緩みがすぐに、感染増加、クラスターと結果が現れるのです。

 フランスは、ここ2週間ほどで新規感染者が急増しており、一時は、2千人台だったものが、あっという間に1万2千人、これまで減少し続けてきた入院患者も集中治療室の患者数も増加に転じています。

 ワクチン接種を進めているにもかかわらず、入院患者、重症患者が増加するということは、ワクチン接種の速度がウィルスの拡大に追いついていないということで、やはりヘルスパスは必須事項だということです。

 フランスは、19日、政府のスポークスマンが「我々は、第4波に突入しました」と宣言しました。現在のフランスの感染者の80%はデルタ変異種に占められ、入院患者数も増加傾向に転じたことがこの宣言の理由とされています。

 現在のフランスは、多くの人がバカンスで国内を大移動し始めてから、ちょうど2週間、やっぱり、バカンスによる国内大移動や開放感で感染が拡大しないわけはありません。

 5月の初旬の時点で、パスツール研究所(フランスの生物学・医学研究機関)が発表していた、「7月以降に第4波を迎え、再び入院患者が増加することは避けられない」という見解は、見事に的中してしまったことになります。

 特に感染状態が悪化しているピレネ・オリアンタル県(オクシタニー地域圏)(スペインとの国境近く)では、感染状況は、フランス国内平均値の4倍の数値で、すでにレストラン・バーなどの営業が23時までに制限されています。

 このまま放っておいたら、また夜間外出制限などの規制を敷かざるを得なくなり、マクロン大統領のかなり強引とも思われたヘルスパスについての発表は、やはり致し方ないとしか言いようがありません。デルタ・・恐るべし・・。

 

<関連記事>

「パスツール研究所が示すフランス第4波のシナリオ」

「フランスは、ヘルスパスがないと身動きが取れなくなる! 義務化という言葉を使わない事実上の義務化」

「フランスの感染状況再び上昇へ転換 今のフランスに感染が減少する理由はない オリンピックは本当にヤバいかも?」

「バカンス中にも関わらず、ヘルスパス反対のデモ」


0 コメント: