2021年7月21日水曜日

日本のオリンピックで日本のバブル方式が通用しない理由

  


 遡れば、コロナウィルスがこの世に登場し、それがこんなパンデミックにまで広がる前、最初に世界でコロナウィルスについて騒ぎ出したのは、横浜から出港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の乗客で香港で下船した男性が新型コロナウィルスに感染していたことが発覚してからのことでした。

 クルーズ船内での感染が拡大し、乗務員・乗客併せて3,713人のうち、712人の感染が確認され、当時は、コロナウィルスの正体もよくわからないままに、クルーズ船内でのクラスターに、日本(アジア)で起こった新しい感染症くらいにヨーロッパでは捉えられていました。

 ちょうど、そんな騒ぎの最中に日本に帰国していた私は、フランスに帰国する際に飛行機に乗せてもらえるかどうか? はたまたフランスに入国できるかどうか心配したくらいでした。

 しかし、帰国当日、恐る恐る羽田空港に行き、ANAのチェックインカウンターに行き、「フランスへの入国は、問題ありませんか?」と確認したところ、「今のところ、フランス側からは、特別な入国条件は提示してきていません」とのことで、飛行機に乗ったものの、それでも疑心暗鬼でいましたが、フランスへの入国は、全くノーチェックで何の問題もありませんでした。

 ただ、フランスに帰国してみると、やはり、日本から感染を運んできているのでは?と感じている人はいるようで、現に留守の間に猫の世話を頼んでいたフランス人などは、家の鍵を返しに来ると、いつもは延々とおしゃべりをして帰るのに、鍵を渡すと早々に退散していきました。

 しかし、それから間もなく、感染が爆発的に拡大したのは、フランスの方で、あっという間に前代未聞の完全なロックダウン状況に陥り、一日中、閉ざされた家の中で救急車のサイレンが絶え間なく聞こえ続く異常な生活が始まりました。

 「日本も油断していると危ない・・コロナを舐めていてはいけない!」などと思っていましたが、日本は、これまでに一度もフランス(ヨーロッパ)のような、深刻な感染拡大に至ることはありませんでした。

 日本では、法律上の問題などもあるのでしょうが、一度もフランスのような完全な罰金を課せられる厳しいロックダウンをすることなしに、感染を抑えられてきたことは、海外から見れば、奇跡的なことです。

 フランス人にそのことを話しても、「日本人は、マスクをする習慣があるからね・・」などと、軽く受け止めていますが、日本で感染をある程度、抑えてこれたのは、マスクだけではなく、日頃からの日常的な衛生的な生活、衛生観念、清潔に身を保つ習慣、規律正しく、規則を守る真面目な国民性などなど様々な要因に支えられてのことです。

 その習慣的に衛生管理に気を配る生活や、はっきりした規則(罰則)がなくとも自粛するということが外国人には、きっと想像もつかない世界です。

 ある意味、日本の方が特別な国なのです。

 ですから、外国人にとっては、日本で非常事態宣言が出ていると言っても、「お店はやっているし、人は街に出ているし、日本の非常事態宣言ってなに??」と意味がわかっていません。

 その上、感染者数は、ヨーロッパなどとは比較の対象にすらならないほどに少ないし、どれだけ日本人がオリンピックのために自粛生活をしているかは知らずに、この程度の感染者数なら、全然OK(あくまでフランスその他ヨーロッパの基準ですが・・)と思ってしまうのです。

 菅総理大臣は、「日本の状況は数字に表れているので、世界に発信すべきだ」と言っているようですが、ただ、数字を発表しても、世界的に見れば、数字だけでは、全く響かない数字で、世界に発信するならば、日本人がどのようにして、これだけ数字を抑えられてきたのかを具体的に説明しなければ、数字だけを発表しても意味がありません。

 むしろ、逆に受け取られかねません。

 オリンピックは、バブル方式とかいう対策がとられているそうですが、これは、あくまでも日本人の常識の範囲内ならば、通用するものであって、世界各国から集まるそれぞれのウィルスに対する衛生対策への感覚や、規則というものをどのように受け止めるかという民度?は、日本人とは全く違うのです。

 これまでは、日本がある程度、感染を抑えることができていたのは、ことさら、この日本人の民度の高さに支えられてきたところが大きく、世界中から人が集まるオリンピックにこれは、通用しません。

 「日本人は政府の意向を示すと多くの人が従ってくれる」と菅総理は言っていますが、(日本人だって、もう我慢の限界に来ているというのに・・)多くの外国人が入ってくるオリンピックでは、それは通用しません。

 オリンピック選手ならば、自分の体調には少なからず、気を配り、もしも感染すれば、出場できなくなることを考えればまだマシかもしれませんが、選手団のスタッフ、マスコミ関係、IOC関係者に関しては、規則をきっちり守るとは、思い難いのです。

 ましてや、オリンピック関係者やマスコミ関係者などは、とかく「自分たちは特別扱い」に慣れている人々で、周りはダメでも自分たちはOKと思って生活している人が多いのです。

 このオリンピック開催にあたっては、海外の人の日常の生活様式や考え方、行動を予測しなさすぎています。日本の中だけでなら通用する素晴らしい日本人の生活の仕方(衛生対策)は、ある意味、世界的には、かなり特別であるという認識に欠けています。

 日本でオリンピック開催反対のデモなどが起こっている様子はフランスのニュースでも報道されていますが、日本のデモは、お行儀がよくて、常日頃からフランスで起こっている激しいデモを見慣れているフランス人にとっては、恐らく日本人の怒りのほどは伝わっていません。

 残念ながら、第4波を迎えているフランスは、1日の感染者数が1万8千人を超え、一週間で感染者数は、2.6倍に増加しているとはいえ、人々は、バカンスを謳歌し、一部の感染が悪化している地域で、レストラン・カフェの営業が23時までの時短営業になっただけで、大ブーイングが起こっています。

 先日、発表されたヘルスパスに反対するデモも度々、起こっており、数万人の人がほとんどマスクなしで、街を練り歩いています。

 多少、厳しい規則でも、はっきりとわかりやすい規則を提示しなければ、バブルには、穴が飽き続けることは明白です。厳しすぎると言われても、一生それが続くわけでもあるまいし、日本人でも今はなかなか行きづらい日本に行っているのだから、日本はオリンピック関係者に対して、もっと毅然と対応すべきです。

 外国人に対して、曖昧な規則は通用しません。

 オリンピックは、2週間とちょっとで終わりますが、ウィルスを撒き散らし、オリンピックのために自粛を強いられ続けている日本がオリンピック後にも、さらに感染拡大に苦しめられるのは、見ていられません。

 オリンピックはやっていないのに、ものすごい勢いで感染が再拡大しているフランスから見れば、オリンピックは恐怖でしかありません。


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