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2022年2月27日日曜日

3月からの日本への入国措置の緩和とウクライナからの日本帰国



 3月1日から日本の水際対策が緩和されるらしいという話は、以前から漠然とした形で伝わってきていましたが、正直、あまり期待していませんでした。

 海外からの入国をこれまでの1日あたり3,500人から5,000人に拡大すると漠然と言われても、それは、あまり具体的な話ではなかったからです。

 しかも、この数字には、日本人の帰国者も含まれており、依然として、外国人の訪日は、ほぼ不可能なまま、これが段階的な緩和の1ステップならば、一般的に外国人が日本に入国できる日は、まだまだ遠い話です。

 ちなみに2019年の訪日外国人数は3,188万人強、単純に日割り計算すると1日91万人が日本を訪れていたのですから、3,500人が5,000人になったところで、あまり変化がある感じは受けません。

 とりあえず、フランスから日本へ入国する日本人というカテゴリーの私の場合は、ワクチン接種が3回済んでいる場合には、強制隔離施設での隔離が撤廃され(ワクチン未接種の場合は、強制隔離施設3日間隔離+4日間自主隔離)、7日間隔離。到着から3日後に自主的に検査をして陰性の場合は、3日間で隔離終了。

 到着日に陰性の場合は24時間以内の移動に関しては、公共交通機関使用が可能ということになりました。日本到着後、24時間以内なら公共交通機関が使えるようになっただけでも、だいぶハードルが下がります。

 なお、ワクチン接種が不可能な年齢の子供に関しては、帯同する保護者のワクチン接種状況に準ずる措置が求められます。

 とはいえ、今となっては、フランスよりも感染者数も死亡者数も多くなってしまっている日本に入国するのに、検査して陰性となっている人の入国にここまでする意味がわかりません。

 日本入国後の隔離以前に、日本入国のために必要な様々な書類を揃えるのは、なかなかな作業ですが、これは、まあ仕方がないかもしれません。

 しかし、ふと、戦争が始まったウクライナにいる日本人は、どうするのだろうか?と思い、在ウクライナ日本大使館のサイトを見ると、「ウクライナに滞在中の方は直ちに安全な方法で退避してください」とあるにもかかわらず、「ウクライナから日本に帰国する際に取っていただく主な措置(日本の水際対策)」とあります。

「新型コロナウィルスの有効な検査証明書の提示」とあり、ウクライナ出国前72時間以内に受検し、所定のフォーマット(日本語版・英語版・ウクライナ語版)記入の検査証明書を受領し、携行してください」となっています。

 注意書きとして、ウクライナのワクチン接種証明書も一定の条件を満たしていれば有効としながらも(一定の条件の詳細はこちら)というサイトは「ファイルが削除されているか、存在しないサイトです」と表示されます。

 世界中が見守っている戦場と化した現在のウクライナで、情報も得られずに、検査を受け、このような書類が揃えられるとは思えません。

 だいたい、もし検査が受けられたとしても、陽性だった場合は、戦争している国にとどまれということなのでしょうか?

 現在のウクライナの戦渦にこのようなことを求める非情さ、もしも、この在ウクライナ日本大使館のサイトが間違いでないのなら、戦争が起こっている国にいる邦人を見捨てているも同然です。

 この非常時に、四角四面というか、融通が効かないというか、温かみがないというか、日本入国のための書類が揃うまででも、なんなら、ウクライナ在住邦人に関しては、大使館内に一先ず避難させてくれても良いのではないか?とも思うのです。

 戦争が1日も早く終わってくれることを祈るとともに、日本の対応も、もう少し柔軟であってほしいと願っています。


日本入国措置緩和 ウクライナから日本への入国


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2022年2月9日水曜日

フランスの記録的な貿易赤字と日本の鎖国

   

 

 フランスの税関当局は、2021年、史上最悪の847億ユーロの貿易赤字を記録したことを発表しました。これまでフランスの最大の貿易赤字は2011年に記録した750億でしたが、この記録を更新するものとなりました。

 このことについて、フランク・リースター外国貿易担当大臣は、フランス経済が昨年7%の成長を記録し、「海外で生産された消費財や産業用工具の輸入に影響を与えたことから、輸出よりも輸入の著しい回復によって起こった現象のうえ、航空関係の輸出などの強力な輸出部門がまだ2019年の水準を下回っていることによるものであるとし、今回の赤字は回復の強さによるものと説明することができる」としています。

 また、大臣は記者会見で、「我々の貿易活動の全体像を見ることが重要だ」と述べ、特に「サービス分野で362億ユーロの黒字を記録した」ことを指摘しました。結果的な収支に関しては、基本的に179億ユーロのエネルギー代の増加が悪化の原因である」と述べています。

 このニュースを聞いて、「まぁ〜なんと、フランス人は、口が達者だ・・でもまあ、これは、あながち、全く間違いでもないかもしれない・・」と感じたと同時に、日本は大丈夫なんだろうか?と思いました。

 これまで、感染を抑えてきた日本にとっては、記録的な感染者を出し、閉鎖的になるのもわからないではありませんが、私は、今の日本の鎖国状態がどうしても理解ができないのです。

 日本のニュースを網羅して見ているわけではありませんが、鎖国に関しての危機感の声があがっているというようなニュースをほとんど見かけないのも不思議です。

 鎖国をしているからといって、日本の貿易が全く止まっているとは思いませんが、外国人を締め出している以上、貿易とて、安易ではない状況であることは明らかです。

 だいたい、パンデミック以前から、例えば、こちらの電化製品の店舗などに行っても、以前のように日本製品がズラ〜っと並んでいる光景は、見かけなくなっています。全く消えたわけではありませんが、以前、堂々と並ぶ日本製品を目にして、なんとなく誇らしく思えていた時代ではなくなりました。

 ただでさえ、停滞気味の日本の貿易に拍車をかける「鎖国」を続けていることは、今後、長期にわたり、影響を及ぼします。

 多くの国々がなんとか、ワクチンパスポートなどを起用しながら、日常生活を保とうとしているのは、経済的な問題があるからです。鎖国を続け、生活を締めつけ続ける日本がこの先、どうしてやっていけるのか?心配でなりません。

 以前の日本は「平和ボケ」などと言われた時代もありましたが、現在は、平和でもなく、パンデミックの中を生きていかなければならないのです。

 フランスは、日本よりも感染者も桁違いに多く、犠牲者も多く出し、問題も多く、実際に今回のように記録的な貿易赤字などと発表されていますが、経済は動いています。

 日本人が鎖国のような問題に危機感があまりないのは、私は、日本のマスコミにも問題があると思っています。問題であることを問題として取り上げず、国民に伝えないのは、マスコミの機能を果たしていないと思うのです。


フランス貿易赤字 日本の鎖国


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2022年2月4日金曜日

在外選挙人証 3ヶ月以上かかってやっと受け取れました!

  

凱旋門から歩いて5分ほどの場所にあるパリの日本大使館


 私が在外選挙登録をパリの日本大使館に提出したのは、昨年の10月20日頃のことでした。これまで20年以上もパリに住みながら、忙しさと煩わしさにかまけて、海外にいても日本国民ならば選挙に投票する権利がありながら、その権利を放棄し続けてきてしまっていました。

 これまでは、海外にいては、日本のこともよくわからないし、投票しようにも誰に投票したらよいかわからないし・・などと思っていましたが、それにしても、最近の日本政府の様子を見ている限り、どう考えてもおかしいと思うことが増え、わからないなりにも色々調べてでも、投票するべきだと思うようになったのです。

 在外選挙登録というものは、その気になれば、すぐできるものとタカを括っていたこともありますが、在外選挙人証を受け取るまでには、思いのほか時間がかかりました。

 昨年に在仏日本大使館に書類を提出して、在外選挙登録をした時に、その書類は日本の外務省経由で、日本の最終住居地の区役所に送られ、その区役所が在外選挙人証を発行し、また外務省経由でパリの日本大使館に戻ってくるということで、約2ヶ月かかると言われて、仰天しました。

 しかし、2ヶ月経っても何の連絡もないので、「どうしちゃっったんだろう?」と思いながらも、近々に選挙もないし・・とひたすら待っていたのでした。

 それが、昨日、突然、日本大使館から、「在外選挙人証」を書留でお送りしますので、ご住所の確認をさせてください」という電話連絡をいただきました。こちらの郵便事情を今ひとつ信用していない私は、「遠いわけではないので、取りに伺いますが、窓口で受け取ることはできますか?」と聞くと、「今は、感染のリスクもありますし、遠い方には、お送りするようにしているのですが、もちろん、窓口でお渡しすることもできます。開館時間内でしたら、いつでも、おいでください。」と言われ、さっそく日本大使館に在外選挙人証を取りに行ってきました。

 とりあえず、開館時間をチェックすると、パリの日本大使館の開館時間は、9時半から13時、14時半から17時までで、普通の仕事をしている場合、仕事の前や後、昼休みに立ち寄ることは、大変難しい時間設定であることを思い出しました。

 大使館は、現在ビザを申請する人もあまりいないし、とても空いていて、待ちに待った「在外選挙人証」をようやく受け取ることができました。結局、3ヶ月以上かかりました。

 「在外選挙人証」は、8.5cm ×16.5cmの小さい紙で、私の名前と生年月日、性別、登録日、衆議院小選挙区 東京都第6区と書かれており、住所は、フランスの住所が記載されています。

  

在外選挙人証と説明書き


 登録日は令和4年1月7日となっているので、私が大使館に書類を提出してから、2ヶ月以上かかり、それから私の手元に渡るまで約1ヶ月かかっていることになります。うやうやしく○○区選挙管理委員会委員長の判がおされていて、裏面に投票の際に記載される欄が6行、この欄がいっぱいになったら、また再申請しなければならないそうです。

 なんとも、原始的な様相で逆にびっくりしたくらいです。

 この在外選挙人証で、衆議院議員選挙と参議院議員選挙に投票することができます。投票には、在外公館(大使館や領事館)投票、あるいは、郵便投票、また日本に一時帰国の際に選挙が重なった場合は、日本国内で投票することもできます。

 日本国内で選挙期日が公示・告示された日の翌日から、締切日まで、実際の日本での投票日より早い時期の投票になります。

 ただし、誰もが大使館や領事館の近くに住んでいるわけではなく、郵便投票も可能ですが、郵便投票を希望する場合は、在外公館にではなく、日本国内の市区町村の選挙管理委員会に投票用紙を自分で請求し、投票用紙を受け取ってから、再び、投票の際には、自分で送付しなければならないため、かなり時間がかかり、早めに対応しなければ、開票日までに投票が到着しない可能性もあります。これは、なかなかハードルが高そうです。

 この郵便投票もおかしなシステムです。在外公館で投票する人がいるのだから、在外公館でも投票用紙を取り扱っているはずなのに、なぜ日本国内の市区町村に直接、投票用紙を請求しなければならないのでしょうか?

 在外公館では、選挙期間中は、土日も投票を受け付けているそうです。

 しかし、大使館からは、特に投票日が近づいてきたからといって、特にお知らせがあるわけでもないようなので、選挙が近くなったら、自分で注意して情報を集めなければならないようなので、気をつけていないとせっかく手に入れた在外選挙人証を使い損ねてしまいそうです。

 今年は参議院議員選挙があるそうなので、在仏23年にして、初めて投票ができます。

 今の時代にもう少し合理的なやり方がありそうだと思いますが、そんなことも含めて、その時が来たら、期待を込めて、投票したいと思っています。

 私の1票は、ささやかな1票ですが、何もしないではいられない、そんな気持ちなのです。


在外選挙登録 在外選挙人証


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2022年1月29日土曜日

日本の水際対策 海外からの入国・隔離期間7日間に短縮も外国人入国は停止のまま

  


 日本の「水際対策に係る新たな措置について」という文面をパンデミック以来、一体、どれだけ見たかわかりません。

 今回のお知らせは、「1月29日午前0時より、水際対策強化に係る新たな措置に基づき、オミクロン株が支配的となっている国・地域(現時点では全ての国・地域)から帰国・入国する全ての方について、入国後の自宅等待機、健康フォローアップ、公共交通機関不使用の期間が10日間から7日間に変更されます。既に入国済みの方に対しても同時刻から適用されます」という内容のものでした。

厚生労働省 水際対策に係る新たな措置について

 これだけなら、若干、隔離期間が短縮されるのですから、日本への一時帰国を希望する海外に在住する日本人にとっては、朗報といえば、朗報ですが、問題なのは、相も変わらず、「外国人の新規入国は停止」という部分です。

 いい加減、いつまでも外国人であるというだけで入国を制限する日本のやり方は、全く理解ができません。私は日本人ですが、「日本人だけ・・」という日本人さえよければいいだろうというやり方は、実は日本人の首を絞めていることにも繋がっていると思うのです。

 今や蔓延するウィルスの性質も変化し、世界中が対策を変更している中、なぜ?日本は、2月末までの鎖国延長を緩和しないのでしょうか?

 日本に住む多くの日本人にとっては、鎖国状態の日本は、現在の自分たちの生活には、直接関係のないことかもしれませんが、外から見れば、異常な対応です。パンデミックが終息しない段階で、リスクを冒しながら、多くの国が規制を緩和し始めているには、理由があるからです。

 多くの企業がいつまでも鎖国している日本に業を煮やして、他国に乗り換えることを考え始めています。それも当然でしょう。こんなにいつまでも鎖国をされていては、仕事がやりにくくて仕方ありません。他の国は、そんなことしていないのですから、他をあたるのは、当然です。

 留学生とて、いつまでも入国させてくれない日本に見切りをつけ、日本留学は断念するか、他の国に留学先を変更し始めています。

 このままでは、本当に日本は世界から、取り残された状態になります。

 先日、「日本が鎖国状態を2月末まで延長する」と発表した際に、フランス紙に「グローバル化しながらも内向きな国、日本」「このパンデミックは、この列島がいまだに孤立主義を培い、外国人を統合しようとしないことを明らかにした。」などと書かれたとおりのことを日本は続けようとしているのです。

 日本のように資源のない国は、世界と関われなければ、どうにも立ち行かなくなることは、明白です。

 長引くパンデミックに、いつまでも、「今は、とにかく感染を抑えることが最重要課題」などとは、言ってはいられない状況です。広い視野で、同時にいくつもの対策を次々に対応させていかなければなりません。

 いつまでも、「外国人は入国させない」と言い続ける国に、いつまでも、他の国々が辛抱強く待ってくれるわけはありません。他の国々は、ものすごい勢いで動き始めているのです。

 そのうち、日本が開国した頃には、誰も見向きもしなくなっているかもしれません。

 先日、マクロン大統領が、APCEでの講演で「私たちは 歴史に対する責任と同時に、未来に対する責任も負っています。」と話しましたが、実に日本の現在の対応は、未来に対する責任をどう考えているのか?と、絶望的な気持ちになります。

 日本人に対する海外からの入国隔離期間を短縮したタイミングは、鎖国を解除、あるいは、緩和するタイミングでもあったはずです。そもそも、入国に際して、国籍によって区別するなどナンセンス。そんなことをしている国は、ありません。

 私は、日本人の日本入国の隔離期間の短縮よりも、いつまでも鎖国を解除しないことの方がよほどショッキングです。

 長期的に、本当にグローバルな対応を考えなければ、日本は、国を守っているつもりが自分の首をしめている状態です。

 今、私は、海外にいて、外から日本を見て、政府が国を滅ぼしていく様子を地団駄を踏みながら見ている気分です。


日本の水際対策 鎖国 隔離期間短縮


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2022年1月13日木曜日

日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと

   


 フランスの新型コロナウィルス感染は、とどまることを知らず、2日連続、1日の新規感染者数は、36万人を突破しています。それでもフランス政府報道官ガブリエル・アタルは、「ウィルスが蔓延していても、できるだけ、普通に生活を送ることができることを目標としています」と語っています。

 そのため、「特に学校は閉鎖しない」ことを目標に、非常に厳しい検査と隔離の方針を立ち上げ、このあまりの煩雑さに音を上げた教職員組合がこれまでに例のないほどの規模でのストライキを予定していたりしますが、基本的な「普通に生活を送ることができることを目標とする」姿勢は、摩擦は起こっているものの、このなんとかして学校を存続させようという姿勢に表れています。

 また、イギリスとの国境規制の緩和についても、数日中に発表される予定になっています。どちらかと言えば、この感染者数にも関わらず、規制緩和に動きつつあるのです。

 そんな中、正直、遠い国である日本の国境規制については、それほど大々的に報じられているわけではありませんが、(まさにそれどころではない状況)それでも、完全にスルーされているわけではなく、各国のコロナウィルス(特にオミクロン)対応について、少しずつ紹介されている中、日本のこの「鎖国延長」については、海外のニュースの中では(ヨーロッパを除く)比較的大きく扱われている方でした。

 その中で、かなり辛口のものがあったので、参考までにその報道について、書いておきたいと思います。

 「日本は、ほとんどの外国人の入国制限を2月末まで延長し、オミクロン対策として集団予防接種センターを再開すると発表」

 岸田文雄首相は記者団に対し、「人道的見地から必要な措置を講じ、国益を考慮しながら、2月末まで国境管理措置を維持する」と述べた。

 「地元メディアは、日本人の親族を持つ外国人や留学生を対象に、厳しい措置の例外を検討していると報じたが、結局、正式な発表はなかった。」

 「駐在は凍結され、建設現場は中断され、学習計画は半減し、家族は2つに分断される...。」

 「このニュースは、観光客だけでなく、ここで働くビジネスマン、エンジニア、学生などの外国人をも激怒させた。しかし、現地の人々は拍手喝采である。88%の日本人が、国境を守るため、そして彼らにとって苦痛のない閉鎖を認めている。」

 「日本は、検疫期間や入国者への頻繁な検査など、厳しい国境管理を実施している。しかし、こうした取り組みもオミクロン変異株の蔓延を防ぐことはできず、日常的に報告される件数は急増している。全国レベルでは、先週の週次平均が10倍になっている。」

 「グローバル化しながらも内向きな国、日本」「このパンデミックは、この列島がいまだに孤立主義を培い、外国人を統合しようとしないことを明らかにした。」などなど、事実とともに、かなり辛辣な報道もあります。

 これまで世界的なレベルから考えれば、奇跡的とも思われるほどに、感染を抑えてこられた日本としては、水際対策を強化し、これ以上に感染が蔓延することを抑えようとしていることは理解できますが、「人道的見地から必要な措置を講じ、国益を考慮」と言いながら、日本人の配偶者でさえも、外国人の場合は入国できないという非人道的な対応は、海外からすると理解はできないのが普通の感覚です。

 永久に日本が鎖国措置を続けるわけではないにせよ、このあまりに長く続くパンデミック禍中で、この日本の閉鎖的な対策には、かなり批判的な声が多いのは確かです。

 日本以上に感染が蔓延している国からの入国者に慎重になるのは、必要なことではありますが、外国人に対しては、隔離を自己負担にしたり、日本人が入国する場合と同じ感染対策義務などの方策をとれば、不可能なことではないはずです。

 家族が日本人である場合はもちろんのこと、留学生に対しての措置も同様に、外国人であるということで、入国を制限するのは、世界からは、理解されていません。

 フランスはもちろんのこと、多くの海外の国々は、国によって、隔離の期間や条件が異なることはあっても、留学生の受け入れも続けています。もちろん、日本からの留学生も海外では受け入れられています。

 留学生の受け入れについては、パンデミックのさなかに、我が家の娘も2度にわたり、日本の大学への留学を拒否され、ついに、そのチャンスを逃してしまったので、恨みつらみが募っています。

 「日本で学びたい」と真剣に考えている学生を断ち切ってしまうことは、日本にとっての大変な損失です。将来、もしかしたら、日本で働きたいと思ってくれるかもしれない、少なくとも、日本を知りたい、日本に興味を持ってくれている外国人をシャットアウトしてしまうのは、大変、残念なことであり、大変なイメージダウンです。

 日本は、パンデミックの最中にオリンピックを開催することができた国です。留学生の受け入れも、きちんとした隔離対策さえ取れば、可能なはずです。「なぜ、オリンピックならできて、留学生にはできないのか?」これは、この鎖国延長による日本の閉鎖的な対応がどれほど日本にとってダメージになっているかということは、私は、結構、大きな問題である気がしています。

 最近、「日本政府は、世界のニュースを見ているのか?」「子供の将来、日本の20年先、30年先の未来を考えているのか?」と感じることが多くなりました。

 いみじくも、「グローバル化しながらも内向きな国、日本」と酷評された日本政府は、現在の日本国内にいる日本国民にしか目が向いておらず、世界からのイメージのダメージには、無関心な気がしてなりません。これが進めば、世界の中での日本の役割は減少していきます。

 いざという時に日本のことしか考えない国を世界は、信用しなくなります。

 1日30万人もの感染者を出し、2ヶ月後には、2人に1人が感染している状況になると言われている国にいる人間が言うことではないかもしれませんが、長引くからこそ、数々の摩擦を起こしながらも、日常生活に近い生活を送ろうとしているフランス、ヨーロッパの姿勢を私は、嫌いではありません。

 日本政府には、日本国内だけでなく、世界の中にある日本であるということや、その未来をになっていく若者の将来、未来の日本を考えてほしいと思っています。


日本の鎖国延長


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2021年12月6日月曜日

日本入国のための日本人の外国人配偶者短期滞在ビザの効力停止の混乱

   


 12月1日付けで、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否について」という文書が出ています。知人が大使館からメールでお知らせが来たというので、これは、外務省からのものと思いきや、読んでみると法務省の決定を伝えているものでした。しかし、法務省というきっちりとした発信元の記載はなく、最後に連絡先として、出入国在留管理庁出入国管理部審判課とあります。

「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否について」 

 これによると、「当分の間、上陸の申請日前14日以内に以下の地域(これに入っていない国があったら教えてもらいたいくらいのほぼ全ての国)における滞在歴がある外国人について、「特段の事情」がない限り、上陸を拒否する」とあります。

 この「特段の事情」には、「日本人の配偶者」、「永住者の配偶者」、「外交の在留資格取得者」とありますが、実際には、「配偶者のビザが停止された・・」「大使館にビザの申請に行っても受け付けてくれない」という人も少なくないようなのです。

 自分で調べようとしても、相変わらず、外務省、法務省などのサイトはこの上なく、わかりにくく、また次から次へとページを飛ばなけれなならないサイト上でもたらい回し感満載の状態です。

 念のため、フランス大使館に電話して問い合わせたところ、現在は、日本人の配偶者でも日本に居住している場合、もしくは、居住する場合にしかビザの申請は受け付けられない(とりあえず12月31日までは)ということでした。

 そして、フランスには少なくないであろう事実婚のカップルについても一応、聞いてみると。「事実婚の場合は、日本は配偶者とは認めていない」ということでした。

 「配偶者のビザが停止された」「ビザ申請も受け付けない」などというのは、あり得ない話で、日本に居住しない限り、外国人の配偶者は日本人の家族として認められていないのか?と怒りを感じます。

 すでにビザを取得していた人には、なおさらのことで、そもそもその申請に必要な書類を揃えるだけでも、相当な時間とお金と労力がかかっているので、その落胆は、計り知れません。

 パンデミックが始まり、そろそろ2年が経ちます。海外で生活するということは、好きな時に必ずしも日本に帰国できないことは覚悟はしていましたが、これほどまでに長引くと、やはり焦燥感は募ります。

 「いつになったら日本へ行けるのか?」「このまま叔父や叔母にも会えないまま、お別れになってしまうかもしれない・・」「私は生きているうちに、あと何回、日本に行けるだろうか?」などということ考えてしまいます。

 私の場合、日本の両親はすでに他界していますので、このために最期の時に会えなかったとかいうこともありませんが、これまで(コロナ前)、親が急に入院した・・危篤・・などという知らせに、すぐに飛行機を予約して数日後には、日本へ・・などということも一度や二度ではありませんでした。

 そうでなくとも、こちらでの生活にも様々な事情があり、そうそう簡単にいつでも帰国できるわけではありません。

 今回のオミクロン株出現以来の強硬な日本の対応は、全世界からの外国人シャットアウト、フライト予約停止、停止撤回とぐるぐると状況が変わり、特段の帰国の理由のない私はハナから日本への一時帰国は諦めていますが、今の時期にわざわざ日本に帰国する人には、それなりの事情があってのことだと思います。

 私の友人でオミクロン騒ぎになる前に日本に帰国した友人がフランス人の夫のビザも書類も全て揃えたのに、入国の際に長くチェックのために空港で留め置かれた話も聞いています。

 無防備にしろとは言いませんが、もう少し鷹揚な対応をしてくれても良いのではないか?とも思ってしまいます。

 比較になりませんが、イギリスでは、水際対策強化のために、イギリス入国に際しては、12月7日から、12歳以上の全ての人に対して、48時間以内のPCR検査・抗原検査の陰性証明書が必要になったそうです。

 むしろ、これまでそれですら、やっていなかったことの方が驚きです。

 それでも、オミクロン株の登場以来は、入国後2日以内のPCR検査で陰性が確認されるまでは自主隔離、レッドゾーンからの入国は原則禁止(入国が許可された場合でも10日間、政府指定のホテルで自費で自主隔離)ですが、国籍の制限ではありません。

 これに対して、一時はフライト予約停止と日本人でさえ入国できない状態になったり、配偶者ビザが停止されたりと、二転三転しながら、日本の水際対策は戦々恐々としています。

 私は、国籍による区別には疑問に感じています。日本人同様の隔離期間を設け、自費で指定期間に隔離し、検査をすれば、良いのではないかと思うのです。殊に日本人の家族がいるのならば、なおさらのことです。

 どうやら、ヨーロッパと日本では、感染対策には、激しい温度差があるようです。

 にもかかわらず、先ほど、JALからメールが入り、「日本行き2月のスケジュール発表しました!」「各国の出入国制限が続く中ではありますが、渡航を必要とするお客様のたまに、パリ発羽田行きは、2月も継続して毎日運行いたします」と書いてあり、なんとも言えない気持ちになりました。


日本入国のための配偶者ビザ効力停止 受付停止


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2021年11月29日月曜日

このところ感じる日本とフランスの感染対策に対する温度差

  


 ここのところ、日本の友人や親戚と電話などで話す機会があり、感染対策に対する温度差にあらためてハッとさせられています。

 私は、もうここ2年近く、日本への一時帰国はできていないので、実際に現在の日本の様子を見ているわけではないのですが、話している相手(日本にいる友人や親戚)から、漏れ伝わってくる感染対策への警戒がほとんど緩んでいないことに、そして、同時に日本と比較するのもおこがましいほどのフランスの緩み具合を照らし合わせると、あらためて、愕然とさせられるのです。

 日本の友人から、「まだ、み〜んなマスクしてるよ!」とか、「まだまだ、前のようにみんなで気軽に集まって食事したり、おしゃべりしたりする雰囲気ではない・・」などと聞かされると、フランスでは、マスクをしていない人も一段と増え、(もともとマスクをきちんとできていない人も多い)(しかし、公共の場や屋内ではマスクが義務化された)、ヘルスパスでチェックされているとはいえ、思いっきり普通にみんなで会ったり食事したり、めちゃくちゃおしゃべりしているし・・とそのあまりの温度差の違いにちょっと愕然とするのでした。

 これは、フランスでの感染が増加していくのも無理もないかとあらためて感じるのです。

 ヘルスパスがあるだけで、フランスはもうコロナなどなかったかのような日常。

 日本はいつの間にか、感染もかなりおさまり、1日の新規感染者が100人前後というパンデミック以来、フランスはそんな数字にまで抑えられたことがないであろう数字にまで到達しているというのに、未だ持って、フランスのように罰金付きの規則に縛られることもないのに、警戒を怠らない雰囲気は、やはり別世界。

 もしも、フランスで1日の新規感染者が100人などということになれば、もうパンデミックは終わったかのごとく皆が有頂天になることでしょう。

 フランスでの「ワクチン接種をしたから・・」「ヘルスパスを持っているから・・」と甚だしい気の緩みは、あらためて日本にいる人の話を聞くと、「そりゃそうだよな・・感染者が増えるわけだ・・」と思わずにはいられないのです。

 フランスも一時は、ワクチン接種の拡大とヘルスパスの起用により、1日の新規感染者もそれでも5,000人程度まで抑えられていた時期もあったのですが、最近は、ヘルスパスのチェックも緩くなってきて、飲食店などでもバタついていたりすると、「結局ノーチェックだった・・」という話もちらほら耳にするようになりました。

 ヘルスパスにより取り戻した日常に慣れすぎて、ワクチン接種をしているから・・ヘルスパスを持っているからもう何をしても大丈夫・・という感覚になってしまっていることは明白なのです。

 私自身、マスクをしないで出かけることはありませんが、ヘルスパスである程度は、守られているからとちらほらと外食をしたりもし始めていました。

 時間の経過とともにワクチンの有効性が薄れていくことを危惧して、ブースター接種を加速化しているフランス政府ですが、同時にこの気の緩みもなんとかしなくては、この冬を無事に乗り切れないかもしれません。

 これからノエルや年末年始とヘルスパスのチェックのない「家での人の集まり」が増える時期にさしかかり、すでに、先日も隣人が大勢の人を招いての大パーティーを夜から朝にかけてやっている様子が聞こえてきました。

 国民性の違いといってしまえばそれまでですが、規制されなければ、自粛できない、規制されてもその網の目をくぐってやりたい放題の人々にいい加減、うんざりしています。

 いつまでたっても終わらないどころか、新しいオミクロン変異株なるものまで登場して、ますますパンデミックは長引きそうな雲行きです。

 パンデミックの始まりは2020年の始めだったので、そろそろもう丸2年になり、この調子だと3年目に突入するのは不可避です。

 「やっぱり、ちょっと、明日、日本に行ってくるわ・・」とか、気軽に日本に帰れる日は、一体、いつ戻ってくるのでしょうか?

 

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2021年11月20日土曜日

海外在住邦人の日本での国民年金の支払いと受給について

   


 海外に長く住んでいると、別に仲違いしたわけではなくとも、自然と連絡しそびれたりしているうちに、友人と音信不通になることはよくあることで、そんな音信が途絶えていた学生時代の友人から、ひょっこりと連絡をもらって、ほぼ10年ぶりくらいに話をしました。

 その間、お互いの私生活にはそれぞれ色々なことがあって、意図的ではなかったにせよ、彼女と連絡をとらなくなったのには、その間、彼女にも私にも色々なことが起こっていたことがわかったのですが、それでも、その間の隙間を飛び越えて、昔の二人の感覚があという間に蘇ったのが嬉しくて、時差があることも忘れて話し込んでしまいました。

 私も海外に出て長くなりますが、もともと最初に海外に出ていたのは彼女の方で、私が海外に出ることになったことは、彼女の影響がないとは言えません。その後、彼女は日本に戻って生活していますが、相変わらず、彼女のユニークさは変わることはありませんでした。

 そんな彼女が紆余曲折を経て、現在は日本で年金事務所に勤務しているので、さらにビックリ! しかもその事務所が移転のために私の実家のすぐ近くに引っ越すとかで、またまた奇妙な縁というか繋がりに驚いたりもしたのでした。

 日本の年金については、気にかかってはいたものの、どうせ、年金の受給などは大した金額にはならないであろうし、まだまだ先のこと、色々と調べたところで、どんどん条件は変わるし、今から考えても仕方がないし・・と放りっぱなしにしていたので、これはよい機会だと、年金について彼女に少し教えてもらったのです。

 私は日本でも結構な期間、日本の企業で働いていたこともあったので、その会社を辞めた時点で厚生年金から国民年金に切り替えて、本格的に海外生活を始めるにあたって、当時、今までの分が掛け捨てになってしまうのはもったいないから、続けて払っておいた方がよいと母が強く言うので、「まあ、それもそうだな・・」と深く考えもせずに日本での住民票を抜いたにもかかわらず、国民年金は自動引き落としにして、払い続けてきました。

 当時は国民年金の支払いは義務化されてはいなかったと思いますが今では20歳以上の日本に住んでいる国民にとって、国民年金(あるいは厚生年金)の支払いは国民の義務だとかで、支払わない人には、催告状・督促状・呼び出し状などの取り立てが行われ、しまいには強制徴収として、国税局預かりになるのだとか・・。

 支払いができない場合は、免除申請(4分の1〜4分の4、全額免除)を申請することもできるそうです。

 私のような海外在住者に対しては、住民票を抜いている限り、国民年金の支払い義務はないのですが、受給するためには最低でも10年以上の加入期間が必要なので、中途半端に日本で国民(厚生)年金を支払っていた経緯のある場合はそれを無駄にしたくないならば、海外任意加入の手続きをして、少なくとも10年に達するまでは支払う必要があるようです。

 それでも、私が国民年金を自動引き落としにして海外に出た頃は、年間10万円前後(1年間分一括払いだと若干割引になる)だったので、なんとなくそんなつもりで放ったらかしていたら、気がついたら、それがいつの間にか20万円近くになっていてギョッとしましたが、これまで長々としはらってきたことを考えると今さら引くに引けない感じで、まあ父が年金で生活しているのだし(現在は亡くなっていますが)、父のためにその一部を払っていると思うことにしようと思って払い続けてきました。

 国民年金は現在1ヶ月16,610円、1年分一括払いだと少しお得に、2年一括払いだとさらにお得になるそうです。国民年金の支払いは60歳の誕生日の1ヶ月前に終了。しかし、受給できるのは65歳以降、ただし、厚生年金に加入していた期間がある人に関しては、その比例報酬部分は前倒しに63歳から受給が可能な場合もあります。(生まれた年によって少しずつズレるそうです)

 しかし、日本の会社からの海外駐在員なら別ですが、普通、一般的には海外で生活していて、たとえ働いていても収入があるのは海外で、日本での収入がないのが普通ですから、収入がない中、日本での年金を支払い続けるのはなかなか厳しいことでもあります。

 ただし、日本と社会保障協定を結んでいる国(ドイツ、イギリス、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルグ、フィリピン、スロバキア、中国など)との間には、年金の計算を相互どちらか選んで加算してもらうことができるそうなので、それはそれで別の手続きが必要になるそうです。

 国民年金に限って言えば、20歳から60歳までの満了期間を支払って1年間の支給額は78万円。月々6万5千円が受給できます。現在の国民年金の支払い金額で換算すると480ヶ月として7,972,800円支払うことになります。合計すると相当な金額です。

 私が今まで支払ってきた金額を計算したことはありませんが、これは、国民年金を継続しておいた方がよかったのか? 10年で受給資格を満たしていたならば、もっと早くに辞めて、その分は貯金しておいた方がよかったのかな?などとちらっと思うこともありますが、これまであまり真剣に考えてこなかったので、私の場合、時すでに遅しです。

 海外在住者の場合は移住先の国との関わり等もあるようなので、一時帰国した際は一度、確認してみるとよいかもしれません。厚生年金、国民年金ともに個人個人は「基礎年金番号」というもので管理されているそうです。現在のところ、マイナンバーでの確認には必要書類がさらに倍増するとかで、この「基礎年金番号」をまず確認することが必要なようです。

 ひょんなことから、急に年金のことが気になり始めた私ですが、いくら先のこととはいえ、知っていれば、それなりに対処することもできたのでは・・と今になって思います。

 フランス人が、しばしば年金問題でデモやストライキをおこしたりするのを「まったく仕方ない人たちだな・・」などと横目に見てきましたが、実際のところ、私はこれまで自分の年金問題については、ほぼ考えることもなく、ただ漠然と過ごしてきてしまいましたが、友人からの話で急に「いやいや・・私も放置しておいてはいけない!」と遅ればせながら、思い始めた次第です。

 次回、日本に帰国した際には、一度、年金事務所に行って、色々と詳しい手続きを聞いてこようと思っています。

 また日本はこの年金の問題もどう考えてももらう人と払う人のバランスが悪すぎで、半ば諦めている人も少なくないのかもしれませんが、少々、話が飛躍しますが、やはり、海外からでも選挙には投票に行かなければ・・などとも思うのです。そういえば、在外選挙人登録をしたのに、まだ、通知が来ていません。

 

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2021年11月8日月曜日

外務省のお知らせは、すごくわかりにくい・・大使館の手数料問題と似ているかも?

   

外務省 海外安全ホームページ一面


 パンデミックが始まって以来、世界中で、めまぐるしく変わる感染状況に際して、外務省は出入国に関するお知らせを大使館経由で送って下さっています。

 私は、コロナウィルス騒ぎが始まって以来、日本入国のために必要な書類の煩雑さや、なんといっても、その後の隔離期間や公共交通機関を使用できないことなどから、あまりに余計な時間と出費を考えると、とりたてて急ぎの用事もないので日本への帰国は諦めています。

 でも本当はすごく行きたいので、隙あらば・・、入国後の隔離がなくなれば・・とずっと思ってはいるのです。

 パンデミックが長引くにつれて、外務省からのお知らせも、「○月○日、日本において新たな水際対策措置が決定されました。今回の措置の主な点を以下のとおり、お知らせ致しますので、日本への御帰国・御入国等の際には、御留意いただくとともに、最新の情報を御確認ください。」とあり、リンクが貼ってあるところに飛ぶと、「水際強化措置に係る指定国・地域一覧」などが出てきて、検疫所の宿泊施設での待機についてなどが書かれています。

 これらは、はっきり言って、関係のない国についてのお知らせがほとんどで、お知らせを頂いても、いちいち開けてみることはなくなりました。

 頻繁に送って下さるものの、しかし、いざ、日本へ帰国したいと思った場合、日々、条件等が変わる中、外務省のホームページはわかりにくく、いくつものページを開いて調べなければならない上に、一部の対象者向けの話しかかかれていなかったりで、結局、「えっ?じゃあ、私の場合はどうなるわけ?」と思ってしまうことが多いのです。

 例えば、最近、???と思ったのは、「ワクチン接種証明書保持者に対する入国後の行動制限の見直し」という項目について、「受入責任者(入国者を雇用する又は入国者を事業・興行のために招聘する企業・団体)の管理のもとで、ワクチン接種証明書保持者に対し、入国後最短で4日目以降の行動制限の見直しを認めることとします。具体的には・・とこの場合の詳細な条件がダラダラと書かれているのですが、一般的に仕事以外での入国(一時帰国)に関しては、全く触れられていません。

 「新型コロナウィルス感染症に関する重要なお知らせ」のページにいたっては、全面赤文字で、目がチカチカしそうな文字の詰まり方でそれぞれのページに飛ぶとしても、とても読みづらく、画面全体のレイアウトも今時、こんなのある?と言いたくなるような見づらいページです。

 結局、そこから関連ページに飛ぶとしても、そこから、次から次へとページを飛ばなくてはならず、まるでお役所にたらいまわしをされている気分になってきます。

 在外邦人向けに作られているのなら、日本に帰国するにあたって知りたいことは、入国に必要な書類、その後の隔離期間、ワクチン接種証明書の効力、公共交通機関利用の可否など、知りたいことを簡潔に何なら箇条書きにしてくれればよいものをダラダラとこの国に関しては、規制がこう変わりました・・などと、その都度、お知らせが来るのは、なんとも無駄で、いざ必要なオンタイムの情報がほしい時には、サイトをいくつも探して、挙げ句の果てにわからなくて大使館に電話で問い合わせる・・ということになるのです。

 いっそのこと、現在、日本に入国の際に必要なこと・・として、各国の情報がオンタイムで簡潔にわかる状態にしてくれたら良いのに・・と思ってしまいます。

 これには、一方的な情報の発信でそれを使う者の立場にたっていない、そんな印象を受けてしまいます。やっぱりお役所仕事だな・・と。日本なら、お客様のことを第一に考えて少しでも利用しやすいようになっているのが普通の企業ですが、そこは、やはり一般企業とは違うのです。

 これに似た話で、大使館の手数料問題も同じ感じです。先日、在外選挙登録のために久しぶりにパリにある日本大使館に行った際、あいも変わらず、窓口には、「手数料は、ユーロ現金でお支払いください。クレジットカード、小切手、その他の通貨はお使いになれません。」という張り紙がしてあって、正直、パンデミックのおかげ?(衛生問題などから)で、今や一般の店舗などでは、バゲット1本買うのにもカードで済むようになり、もはや、ほとんど現金を使わない生活になっているというのに、「大使館ってまだ変わってないの?」と、「大使館のこれ!いい加減、なんとかしてほしい!」とTwitterで呟いたら、想像以上の反響があり、世界各国の日本大使館は一律同じ対応のようで、ビックリしました。

  


 大使館での手数料といえば、その多くの場合は、パスポートの書き換えの手数料です。10年有効のパスポートの更新手続きの手数料は、132ユーロ(約18,000円)、「危険ですから、あまり現金を持ち歩かないようにしましょう」などと呼びかけながら、己のためなら132ユーロは現金で、しかもピッタリお釣りのないように支払えというのです。

 今どき、カードが使えないなんて、小さな小売店ならいざ知らず、大使館はいわば、日本国の大企業、どうしてこんな状態がいつまでも続くのか?大使館の中には、それがおかしなことだと申し出る人は誰もいないのでしょうか?

 これも、利用者の立場を全く考えないお役所仕事のひとつです。

 もっとも、パスポートの書き換えなどは、10年に一度のことで、その時は、「えっ?」と思っても、払ってしまえば、次はまた10年後で、その度に苦情も飲み込んでしまいます。

 一般には通用しないことでも、お役所であれば、まかり通っていつまでも改善されない・・そんなことが意外に多いのです。

 ちなみにフランスの滞在許可証の手数料は、予めネットで収入印紙を購入することができます。手続きについては多々、問題はありますが、手数料の支払いについては、日本大使館よりは簡素化されています。


外務省ホームページ 


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2021年10月27日水曜日

眞子さまのご結婚報道で見えるフランスの日本という国の見方

 


 「日本の眞子内親王の物議を醸す結婚」「眞子内親王は長い論争の末に結婚した」「眞子内親王の結婚式が帝国の伝統を破る理由」「眞子内親王は4年間の論争の末、ついに婚約者と結婚する」「4年間待った後、眞子内親王はついに結婚しました!」こんな見出しで、フランス大手各紙は眞子さまのご結婚を報道しています。

 フランスでのこの結婚に関する報道は、概ね以下のとおりです。

 天皇陛下の姪にあたる眞子さまは、一般人の小室圭氏と結婚しました。この結婚は婚約発表の3ヶ月後に、夫となった小室圭氏の母親が400万円(3万ユーロ)の返済を拒否したことが公になって以来、日本では物議を醸し続けてきました。

 このスキャンダルは日本社会の非常に保守的な層からは完全に否定的な目で見られていました。

 そのため、宮内庁はこの結婚を延期し、小室氏はニューヨークに旅立ち、勉強を続けていましたが、結婚が正式に決まったタイミングで日本に帰国。4年が経過し、結婚が決まった状況においても空港に降り立った際の彼のポニーテールでさえも非難の的となり、とうとう結婚直前になっても彼らの結婚への反対の声は収まることがありませんでした。

 日本でのこの結婚に対する論争は、英国のメーガンとハリーに匹敵するほどであると報道しています。

 このように、結婚までの経緯については、日本での報道とほぼ同じではありますが、この報道を機に、眞子さまが心的外傷後ストレス障害であると発表されたことから、過去に現皇后・雅子妃殿下が長い間うつ病を患ってきたことなどを例に挙げ、日本のマスコミは、皇族のわずかな粗さにも態度を緩めることはないと指摘しています。

 結果、「多くの人がこの結婚に納得していない」と判断した皇室側は、結婚にまつわる皇室での伝統的な儀式を全て中止し、まるで平和な生活への代償を支払うかのように、結婚時に支払われるはずの1億5,200万円(110万ユーロ)を辞退する結果となり、これは、戦後、日本史上初めてのことであると伝えています。

 また、結婚が単なるラブストーリーの延長ではなく、家族間に関わる契約である場合が多い日本という国で、彼女の父親が結婚を受け入れることは、何世紀にも渡る皇室の伝統や習慣を損なうことになろうとも、娘の幸福を望む秋篠宮文仁親王の皇室の変化への願望とも解釈することができ、この願望はこの世代の日本人の両親によって広く共有されつつあるものでもあり、眞子内親王の結婚は、若い日本人女性の開放の強力な象徴になる可能性があるとも伝えています。

 日本の皇位継承は男性皇族のみに引き継がれるもので、女性の皇族は、結婚後、皇室を離脱することが、定められています。皇室の女性を結婚後も皇室に留めおくことは論じられてはいるものの、強硬派の支持者や伝統主義者は、女性が統治できるようにするための措置に激しく反対しているため、制度の変更は今後長い間続く可能性があります。

 皇室を離れた経緯は異なるとはいえ、ニューヨークに移住するこの元皇族の夫婦は、必然的に王室を離脱して異国に移住したハリー王子とメーガン妃との比較が行われ続けるだろうと予測されています。

 気になるのは、いくつかのメディアでは、国民の多くが賛同しないがゆえに、眞子さまが皇室を離脱したという報道があることです。

 いずれにせよ、ニュースの内容そのものよりも、日本古来の伝統的な皇室の異例な結婚というこのニュースを通じて、フランス(海外)からは、日本がこんな風に見えているのか・・ということを垣間見える興味深い一面もありました。


眞子内親王ご結婚 日本の皇室


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2021年10月23日土曜日

海外での在外選挙投票には、事前に在外選挙登録が必要 そしてそれは2ヶ月もかかる

   

パリの日本大使館はここから歩いて7分程度のところ


 これまで私は、「在外選挙制度」というものがあることを知りながら、なんとなく忙しさにかまけて、日本の様子もよくわからないし・・やり方もわからないし・・と、なし崩しに、ここ20年以上も選挙の投票はせずに過ごしてきてしまいました。

 このパンデミックや日本の様子を見るにつけ、私も日本国民として、少しでもできることはしなくては・・と思うようになり、近々、日本で選挙があるのを機に、「在外選挙」の投票をしてみようと思い立ったのでした。

 総務省の在外選挙制度についてのホームページ(総務省・在外選挙制度について)もありますが、具体的に必要な書類などを直に聞いてみようと在仏日本大使館に電話してみると、まず、ほっとした何とも日本人らしい丁寧で優しい応対に思いの外、ほっこりさせられたのでした。

 しかし、在留届さえ出していれば、簡単に在外選挙の投票ができると思い込んでいた私には、ショックな話で、在外選挙で投票するためには、まず、「在外選挙登録」というものが必要で、在外選挙人名簿の登録申請書を提出しなければならず、実際に申請が受理されてから、登録証を受け取ることができるまでには、約2ヶ月間かかるということで、「今回の選挙には間に合いませんよ」と言われてしまいました。

 申請した書類は、外務省経由で、日本で最後に居住していた市町村の役所に送られて、住民票が抜かれていることなどを確認してから、発行されるものなのだそうです。

 しかし、大使館の担当者は、「今回は間に合いませんが、来年は参議院選挙もありますから、申請はされておいた方が良いですよ!」と勧めて下さったし、まだまだ、フランス生活も続きそうなので、せっかく来たのだから、申請しておくことにしました。

 最近では、日本出国前にも事前に申請することができるそうですが、私が日本の住民票を抜いたのは、かれこれもう20年以上も前のこと、しかし、フランスで在留届を提出済みであり、住所を変更していなければ、パスポートさえあれば申請することができるのです。(在留届を未提出の場合は、現在の住居の滞在を証明する電気料金の請求書などの住所が記載された書類が必要)

 また、住民票を抜いているのに、どこの区役所?と思いきや、自分が出国前に最後に居住していた市町村が管轄になるのだそうです。申請書には名前、生年月日、性別、フランスでの住所、日本から出国した年月日、日本で住民票に記載されていた最終住所、連絡先などを記入するようになっています。

 私が日本の住民票を抜いたのは、フランスの前にアフリカに行った時点の大昔の話、詳しい日にちなどは、古いパスポートを調べればわかるのでしょうが、とても思い出せませんでしたが、大体でいいですよ・・と仰るので、そのとおりに・・。

 私は、フランス国籍を持っているわけではないので、フランスでも選挙で投票する権利はなく、長らく日本の選挙にも参加していなかったので、かれこれ四半世紀近くも選挙の投票というものをしないまま過ごしてきてしまいました。

 在外選挙登録申請をするのは日本大使館ですが、大使館なんて、あんまり縁がなかったなと思いつつも考えてみれば、ここ20年以上の間には、パスポートの書き換え(自分の分と娘の分)、娘の日本の教科書の受け取り、相続手続きのために必要な書類の申請などなど、ざっと数えただけでも、これまでに50回近くも行っています。

 パリのフランス大使館は、シャンゼリゼにほど近いとても良い場所にありながら、これまで、大使館に行くときには、子供の送り迎えや仕事があったために、昼休みを抜け出して(といっても昼休みは大使館も昼休みのために昼休みをずらしてもらっていました)、全速力で走って行って、走って帰るという慌ただしさで、周囲の景色を楽しむような余裕はまるでありませんでした。

 あらためて、久しぶりに平日の昼間に行ってみると、凱旋門からふらふらと歩くと気持ち良いことこの上なく、また、大使館は嘘のように空いていて、申請もあっという間に済みました。現在は、日本に行くためにビザを申請する人などもほとんどなく、空いているのも当然なのかもしれません。

 この大使館の空いているタイミングならば、在外選挙登録申請もいつもよりもずっとスムーズにできるので、今が狙い目かもしれません。(といっても、今回の選挙には間に合わないのですが・・)

 日本の投票率が低いことは、大変、問題だと思いつつ、海外にいるからといって、投票する権利がありながらも、放置したままに何もしてこなかったことを今、反省しています。

 フランス人は大変、政治にとても関心のある国民で、日常から政治の話題が上がることも多く、そんなフランス人に影響されたところもあってか、また同時にフランスと日本の政治を見比べたりしていることもあり、日本が少しでもより良い方向へ進んでくれることを願いつつ、遠くに住んではいても、日本人としてできることを少しでもしたいと思った次第です。

 実際に投票する際は、実際の日本の投票日よりも1〜2週間早くに投票するということです。

 在外選挙登録には費用はかかりません。また、申請時は本人が大使館(または領事館)に出向く必要がありますが、大使館や領事館の遠くに住われていて、そうそう容易には行けない方には、大使館が費用を負担して、郵送してくださるそうです。

 一度、申請してしまえば、それ以降は同じ登録証で投票ができるそうなので、時間に余裕がある際には登録されておくと良いと思います。

 これまで、私も色々理由をつけては後回しにしていたことですが、思っていたよりもずっと簡単に申請できたので、それをお知らせできればと思いました。


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2021年10月22日金曜日

日本のテレビ・情報番組の視聴者からの質問捏造問題を見て感じたこと

 

 

 日本の大手テレビ局の情報・報道番組が視聴者から寄せられた質問を捏造していたことが話題になっていて、さもありなんな話だと思いました。

 この場合、番組が取り上げたい問題に関して、「視聴者から寄せられた質問」として、あたかも視聴者の多くが同じ疑問を抱いているかの如く扱うから、こういったありもしない質問を捏造することに繋がるのであって、恐らく、その方が説得力があると報道する側が考えており、演出の一つの方法で、また、そのようなことが常態化していることから起こるわけで、取り上げたい問題に対して、率直に報道すれば問題はないものの、妙な話だとも思います。

 また、これがなぜ公に暴露されてしまったのかは語られていませんが、内部にこのようなやり方に疑問を持っていた人がいたということでしょうか?

 しかし、私は、ここのところ、何回か、日本のテレビ局の報道番組から、インタビューを依頼されたことがあり、その際に感じたことから、その程度のことは、当然、あるのだろうな・・という感じがしたのです。

 私がご依頼を受けたのは、最近では、ほぼ、フランスのコロナウィルス感染対策や現状についてのテーマが多いのですが、お話を伺って、実際に話が進んでいくうちに、大抵、インタビューをする以前から、シナリオは決まっており、悪い言い方をすれば、局側の言わせたいことをなんとか言わせようとする・・そんな感じを受けたことがあるからです。

 日頃から、私はフランスの生の声、現実を日本の方々にも知っていただきたいと思ってブログを書いているので、日本の方々にそれをテレビというもっと大きなメディアで知って頂けるのは大切なことだと思い、ご協力させていただきたいと思ったのです。

 実際の放送は、フランスからは見ることはできませんが、当然、編集されるであろうインタビューは気になり、友人に頼んで録画したものを送ってもらったり、たまたまYouTubeなどで、ライブ放送されていたりすると見ることができるので、実際に放送された内容も拝見しています。

 しかし、それは、実際のインタビューで話した内容から、都合よく編集されていることがわかります。長いインタビューでも、数分にカットされることは当然のこととして承知していますが、切り取られた部分のあまりの偏りに、少々、憤慨したのです。

 番組ですから、ある程度の仮設やシナリオは必要だとは思いますが、これでは、現地の声としてインタビューまでして、報道する意味があるのだろうか?と思ってしまいます。

 つまり、フランスの現地からの声ということで、そのシナリオに都合の良い部分だけを切り取って証言者にされているわけです。

 例えば、フランスのヘルスパスの問題なども、私はかなり好意的に受け止めており、インタビューの内容の大部分は「ヘルスパスの制度は良かった・・このおかげでワクチン接種も大幅に拡大し、感染減少に繋がって、安心して日常生活を送ることができるようになった」ということを話したのですが、実際に報道されたのは、否定的な面ばかりで、やはり、伝えたいことはブログで・・と思わないわけにはいきませんでした。

 どの局も同じというわけではありませんが、こんな経験をしたことから、今回の「視聴者からの質問捏造事件」の話を聞いても、そんなことは朝飯前だろうし、謝罪をしたからと言って、基本的な報道の体制は変わらないだろう・・と思ってしまうのです。

 考えてみれば、「視聴者からの質問」というやり方も、「現地在住の日本人の証言」も演出のひとつであることに変わりはありません。

 今回の問題は、たまたま公になった氷山の一角に過ぎず、そのような報道の方法を考えるとフランスにだってないとは言えないかもしれないし、なんとなく、報道というものを疑ってかからなければならないと思ってしまうのです。

 情報過多の世の中、やはり、多くのニュースや報道を自分自身で見て、何が真実で、自分はどう考えるのかを見つめていかなければならないのだと私は強く思うのです。


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2021年10月21日木曜日

今、パリで人気のうどん屋さん 喜心 Kisin

   

一番人気の天ぷらうどん うどんと天ぷらは別皿盛り


 パリで人気の日本食屋さんといえば、恐らく軒数でいえば、圧倒的にお寿司屋さんだと思いますが、あまりにお寿司は広まり過ぎて、中国人経営のチェーン店展開のような、なんちゃってお寿司のお店が大半を占め、もはやお寿司は珍しくもなくなり、むしろ日本人の視点から見ると、本物のお寿司屋さんを見つけるのが難しくなりました。

 次に人気なのは、ここ数年で人気を不動のものにしたラーメン屋さんで、その拡大ぶり、人気ぶりは目を見張るものがあります。どのラーメン屋さんも食事時には必ず行列ができ、お店によっては、ちょっとこれがパリ?と思うほどの行列ができています。

 そして、その中に、ちらほら姿を現し始めたのが「うどん屋さん」で、恐らく、パリに最初のうどん屋さんができて久しいですが、国虎屋、十兵(Jubey)、浪花-YA、など、どれも、日本食屋さんが立ち並ぶパリ1区のオペラ界隈・サンタンヌ通り近辺に集中していました。

 中でも私のお気に入りは国虎屋さんで、うどんの本場四国のうどんが美味で、出汁も天ぷらなども、恐らく日本にあるうどん屋さんにも全く引けを取らないクォリティーで、何回か通ったことがありました。(ただし、お値段は若干高めです)

 そして、最近、周囲の友人やSNSなどで大絶賛されているうどん屋さんがあり、ぜひ、行ってみたいと思い、足を運んで見たのです。

  


 喜心(Kisin)というそのお店は、日本食レストラン街(パリ1区)とはちょっと離れたパリ8区、シャンゼリゼからそう遠くない場所にあり、ミシュランにも掲載されている名店です。

 九州産の小麦粉を100%使用しているという手打ちの麺は、喉越しも良く、こしもあり、透明な出汁は、軟水で北海道産の昆布と築地和田久の鰹節を使用して取られており、一口、口にすれば、化学調味料などは一切使われていない丁寧な出汁であることがすぐにわかります。

 透明でさっぱりしていながらも、しっかりした味わいが感じられる出汁です。

 

店内にはうどんを手打ちしている様子の写真が展示されている

  


 こじんまりとした店内は30席ほどですが、店内装飾なども華美ではないものの、しっとりとした日本を感じられるもので、使われている食器などからも、このお店の配慮が行き届いていることが、そのひとつひとつに感じられます。

  

うどんがつかみやすいように切り込みが入れられたお箸

 例えば、お箸も割り箸などは使用しておらずに、お箸が得意ではないフランス人への配慮からか、お箸の先にはうどんがつかみやすいような切り込みが入っており、うどんが入っている器も表面は小さめながら、底が深めでたっぷり入るわりには場所を取らず、冷めにくい配慮が感じられます。

 提供されているメニューひとつひとつに加えて、細部にわたる配慮、全てにお店の本気度が伝わってきます。

 


 一番人気は天ぷらうどんのようでしたが、天ぷらもさっくりカラッと揚がっていて、うどんとは別皿に天つゆ、大根おろし(鬼おろし)と生姜が添えられています。天ぷらもたっぷり、種類に富み、えびが2本とオクラ、かぼちゃ、モロッコインゲン、紫いも、ズッキーニ、マッシュルームなどが盛られており、メニューにはサラダかお漬物(カブや人参、きゅうり、枝豆など)が混ぜられた酢飯のご飯か白米が選べるようになっています。

 サラダのドレッシングもお醤油ベースのゆず風味です。

 店内に入ってすぐにカレーうどんの注文が入っていたのか、店内にスパイシーなカレーの香りが漂っており、一緒に行った娘はお店に行く前から「胡麻坦々うどん」を食べる!と決めていたにもかかわらず、カレーの誘惑に負けてカレーうどんを注文しました。

 しかも、それに加えて揚げ餅入りという炭水化物の揚げ物トッピングという魅惑的なメニュー(牛カレー揚げ餅うどん)を楽しみました。カレーはさほど辛さはありませんが、(フランス人は辛いものが苦手)、充分にスパイスの香りがたち、手打ちうどんともよく絡む絶品。

 


 その上、サイドメニューを酢飯のご飯という炭水化物オンパレードのラインナップでしたが、不思議と(恐ろしくもありますが)ツルツルッと、軽々と彼女の胃の腑に消えていきました。

 これでお値段もカレーうどん(揚げ餅・チーズが選べる)が19ユーロ、天ぷらうどんが20ユーロとクォリティーと内容・量のわりにはお手頃で、人気の理由が伺えます。

   

  

 ラーメン屋さんにしても、うどん屋さんにしても、いつも行くと思うのですが、麺をすするという文化のないフランス人が器用に音を立てずに麺類を食べる様子も、そして、けっこうお箸を上手に使う人が多いのも日本人としては、嬉しい光景でもあります。

 もちろん、ナイフやフォーク(隣の人はナイフとフォークで天ぷらを切りながら食べていました)なども用意されており、頼めば出してくれます。

 しかし、フランスは、もともと小麦粉文化の国、うどんがフランス人に受け入れられないわけはありません。

 日頃から美味しいものがあれば、すっ飛んでいって食べてみたいという衝動に駆られる私ですが、今回のこの「喜心」は、そんな数々のお店の中でも大ビンゴでした!

 お持ち帰りメニューもありましたが、思い止まりました。

 



パリ うどん 喜心 Kisin


⭐️喜心(Kisin)   月曜〜土曜11:45~14:30, 19:00~23:00 日曜・祭日閉店

7-9 Rue de Pnthieu 75008 Paris

メトロ ①⑨番線Franklin D.Roosvelt  ⑨番線 Saint-Philippe-du-Roule




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2021年10月10日日曜日

フランス・死刑制度廃止40周年 死刑制度廃止説得のための戦い

  


 10月9日、フランスは死刑制度を廃止して、40周年を迎え、パンテオンで、これを記念するシンポジウムを開催しました。

 この講演会でマクロン大統領は、「死刑制度の普遍的廃止のための戦いを再開する」と宣言しました。1981年にフランスが死刑制度を廃止して以来、106カ国がこの道を進んだことを振り返り、中国、アメリカ、インドなど50の国は死刑執行の正当性を尊重し続け、2020年には世界で483人の国家殺人が行われたことを嘆きました。

 そして彼は、2022年の前半に欧州連合の枠組みの中で、依然として死刑制度を採用している国に対してこの制度を廃止することの重要性と緊急性を各国指導者に納得させる「最高レベルでの会合」を組織し、それらの国々を説得することを発表しました。

 このシンポジウムには、ジャン・カステックス首相をはじめ、法務大臣のエリック・デュポン・モレッティ、国会議長のリチャード・フェラン、上院のジェラール・ラーチャーを含む約200人が出席しました。

 このシンポジウムには、1981年の死刑制度廃止の際に実際に投票した元法務大臣ロベール・バタンターも参加し、「死刑は人類にとっての恥であり、世界で消滅する運命にある」と断言しています。


 この講演で未だ死刑制度を採用している国として挙げられたのは、中国・アメリカ・インドで日本は入ってはいませんでしたが、日本もまた死刑制度を続けている国であることに違いはありません。

 ましてや、ここに挙げられたアメリカもすでに州レベルでは半数以上が停止・廃止しています。しかも今年の7月になってバイデン政権は、連邦レベルでの死刑執行を一時停止しています。

 EU諸国に至っては、死刑廃止がEU加盟の条件になっています。

 実際に、世界の7割以上が死刑廃止・停止に至っているのです。

 にも関わらず、今回の講演でも日本が話題に上がらないのは不思議なほどに、日本には死刑を支持する声が高い国で、5年に一度、内閣府が実施している世論調査(2019年)では、「死刑もやむを得ない」が80.8%を占めており、「死刑は廃止すべきである」はわずか9%です。

 つまり、日本は他の先進国とは異なり、死刑制度の是非の議論でさえ極めて低調で、世界の流れの中で孤立する可能性を秘めています。

 しかし、実際には、現在の日本では、死刑判決が下りながら、死刑が執行されていないのも事実で、これにはこの世界的な死刑制度に対する潮流が影響していないと考えられないこともありません。にも関わらず、この件に関して、議論が起こらないことの根底には、日本には、「死んでお詫びをする」という歴史的な文化が根付いていることもあります。

 また、日本では世間の同調圧力が大きく、異質なものを徹底して排除しようとする文化があります。

 被害者感情を鑑みれば、「死刑も致し方ない」という考え方もわからないではありませんが、犯罪を生み出すのは、個人であると同時に社会であることも考えれば、その個人を断罪したところで、失われた命を取り戻すことはできません。その犯罪が起こった社会的な原因究明もできないままに通り過ぎてしまうことになってしまいます。

 世界中を震撼とさせた一連の「オウム真理教」の事件に関わった幹部は、ほぼ死刑が執行されましたが、あの社会的に大きな事件がなぜ起こったのかは、徹底的に究明されることはありませんでした。

 EUは死刑廃止の理由を、「全ての人間には、生来尊厳が備わっており、その人格は不可避であること」としていますが、今回のフランスの死刑制度廃止40周年を機に宣言された「死刑制度を採用している国に対して、この制度を廃止する説得を再開する」「この説得を組織化して行う」という宣言により、日本が槍玉にあげられる可能性があります。

 実際に日本の死刑制度を廃止するまでには長い道のりが必要だと思いますが、こうした説得に対して、日本は正面から答えることができるように、この「死刑制度」に関して、少なくとも国民的レベルで議論を開始する必要があります。


死刑制度廃止


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2021年10月9日土曜日

もしもフランスで地震があったなら・・それはパンデミックの被害にも表れている

  


 先日、日本で大きな地震があったことは、フランスでも、すぐに報じられていました。私自身、もう長いこと地震のない国にいるので、震度5強という自身がどの程度のものであったのか? 見当も付かなくなっていました。

 私の記憶に残っている日本での大きな地震は阪神大震災と東日本大震災ですが、阪神大震災があった時はまだ、私もまだ日本に住んでいましたが、私は東京に住んでいたため、さほどの影響はありませんでした。

 ただ、当時、祖母の病状がかなり悪く、転勤で関西にいた弟が祖母に会うために東京に来ており、祖母の病状が少し落ち着いたために、また関西に、よりにもよってバスで戻る帰途に着いた直後のことで、テレビで報道される阪神高速道路がぽっきり折れている様子などを見て、連絡がなかなかつかない弟を家族みんなでとても心配したことを覚えています。

 当時、既にあの世とこの世を行ったり来たりしていたような状態だった祖母が地震の起こる少し前に昏睡状態かと思ったら、ぱっちり目を開けて、「大きな地震が来るわよ、本当よ!」などと言っていたのを地震が起こってから、みんなで、「本当だったんだ・・」などと驚いたことを覚えています。

 その後の東日本大震災の時は、もう私はフランスにいたので、地震の様子はニュースでしか知ることはありませんでしたが、朝、起きていつもは見るとはなしに、なんとなくつけているテレビをつけると、「ジャポン!ジャポン!」という声が聞こえてきて、その後は津波で車や家が流されているような、ちょっと一瞬では理解できないような光景に、テレビに釘付けになりました。

 東日本大震災はフランスでも数日間にわたって特集が組まれるほど大きく報道され、フランス人でも知らない人はいないほどの騒ぎぶりでした。

 その頃通っていたスポーツジムで、これまで話をしたこともなかったフランス人から、「あなた日本人でしょ、ご家族は大丈夫だった?」などと話しかけられたりもしました。彼女は、「あんな大変なことが起こったのに、日本人は礼儀正しく、我慢強くお互いに労りあって素晴らしいわね・・フランスであんなことが起こったら、それこそ殺し合いが起こりかねないわよ・・」などと言われて、「なんだ、本人たちもわかっているんだな・・」などと思ったことを覚えています。

 最近は、気候変動のために洪水被害はやたらと増えたフランスではありますが、地面が揺らいだり、分断されたりする地震などの自然災害(天災)というものはフランスでは比較的少なく(というか地震はない)、どちらかといえば、人災の方が多いのではないかと思われます。

 今回のパンデミックは大きな災害ですが、この災害に慣れていないということがフランスの感染拡大を大きくしてしまったことは、大いに考えられる一因であったようにあらためて思います。

 先日の日本の地震について、フランスでも報道されてはいましたが、幸いなことに現在のところは東日本大震災ほどの被害には及んでいないこともあってか、こちらのニュースでは、「日本ではかなり大きな地震があったが、日本人は慣れているから大丈夫・・」などと言っています。

 日本の災害の多い環境が「常に起こりうる危機に備え、何が起こってもいたずらに騒ぎ立てず、周囲を思いやり、我慢強く耐える」日本人の国民性を培ってきたと思わずにはいられず、そんな日本人をやはり私は、誇りに思っています。

 地震などの災害が多い環境は、状況的には大きなハンディではありますが、そのことによって、日本人の尊さが育まれているのです。

 今回のパンデミックに関しても、その違いは明らかで、日本は結局、オリンピック・パラリンピックまで開催したにも関わらず、これまでの犠牲者(死亡者)は17,856人、フランスは116,991人です。単純計算でもフランスは日本の約6.5倍の犠牲者を出していることになりますが、実際は、日本の人口はフランスの人口の倍以上なので、事実上13倍の犠牲者を出していることになります。

 しかも、フランスでは、ほとんどの人が外出も禁止されているという完全なロックダウン状態(罰金・罰則付き)を2ヶ月間、その後も更に2度のロックダウンを行ってのこの数字です。

 約8ヶ月間にわたり飲食店は営業もできずにいたフランスは、「日本は時短営業などは、行っていても営業停止ではないよ・・」などと言うと、それでどうやって感染を回避できているのか?信じられない!とビックリしていました。

 日頃からの衛生的な環境や習慣もフランス人には到底、想像にも及ばないもので、フランスのパンデミック下の衛生状態は、おそらく日常の日本の衛生的な環境には至っていません。

 日本人の生活は日常から常にあらゆる危機的状況に備えられているので、フランス人に「日本人は慣れているから大丈夫」などと言われるのです。(悪い意味ではありません)

 それに比べてフランス人が慣れているのは、デモや暴動で、ちょっとやそっとのデモが起こってもフランス政府は慣れているのでびくともしません。

 この現実は、フランスで生活する日本人としては、なかなか微妙な現実です。

 もしもフランスで日本のような地震が起こったら・・想像するのも恐ろしいことになりそうです。



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2021年10月6日水曜日

やたら謝る日本人と謝らないフランス人に見る厳しい日本社会と緩いフランス

   


 フランスでの生活が長くなって、たまに日本に行くと、やたらと謝られることに恐縮してしまうことがあります。「こんなことで、そんなに謝らなくてもいいのに・・」と。

 日本で生活していた頃はあまり気にもしませんでしたが、こんなに謝られる国は、そうそうないのではないかと思います。

 「すみませんでした」「申し訳ありませんでした」「ご迷惑をおかけ致しました」などなど、日本にいたら、1日、何回、謝られることかと思うほどです。

 日本のサービスは、正直、世界一ではないかと思うのですが、また顧客側も世界一厳しい顧客なのではないかとも思います。

 逆にフランスに来たばかりの頃は、何をするにも時間がかかり、ダラダラと同僚とおしゃべりしながらの接客にイライラし、しかもミスが多いにも関わらず、絶対に謝らないフランス人に対して、「パードン(ごめんなさい)」ぐらい言えないの?」とキレかけたこともありました。

 今から思えば、あれは珍しいことではなく、大抵、何があっても謝らないのがフランス人なので、そこで怒る私の方が馬鹿らしかったのですが、あの頃は、まだまだ、そんなフランス人には慣れていなかったのです。

 日本だとよく言われる「大変、お待たせして申し訳ありませんでした」という台詞も、待たされることが当たり前のフランスでは、これまで20年以上フランスにいて、これを言われたのは1回のみで、そんなことを言われて、あまりにビックリしたので、逆に鮮明にその時のことを覚えているくらいです。

 例えば、スーパーマーケットで値段を間違えられていたりして、返金してもらいに受付に行ったりすると、謝るどころか、返金の手続きをやってあげた・・そんな感じの応対です。

 私がミスしたわけではないから、私が謝る必要はないし、むしろ、面倒な返金の手続きをやってあげる・・という感じなので、思わずお礼を言ってしまう自分にちょっとバカげた気分になります。そもそも謝るなどということは微塵も考えてもいないのです。

 会社全体のミスを自分がその会社を背負って謝るなどという感覚は全くないのです。

 さすがに高級品を扱うお店などでは、店員も教育され、頗る感じが良いのですが、そんなお店には、滅多に用がありません。

 今では、スムーズに行かないことが前提なので、何かミスをされても、「まただ・・」とちょっとがっかりするだけで、うまくいけばラッキーぐらいの気構えでいます。

 フランスではそんな感じで生活しているので、たまに日本に行くと、あまりに度々、ちょっとのことでも謝られるのに恐縮するというか、それを超えて、どれだけ厳しい社会なんだろうと思うことがあります。

 厳しい顧客がいるからこそ、サービスもどんどん向上していくのでしょうが、少しのミスも許されず、謝らなくてはならない社会がちょっと厳しすぎるような気もするのです。

 逆に、トラブルが前提のフランスでは、多少、待たされても、それが当然なので文句をいう人もおらず、ミスがあっても、謝りもせずに淡々と、堂々とミスを処理していくのは、反省しない分、改善されませんが、反面、それが許される寛容さ?緩さ?があるような気もするのです。


謝罪


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2021年10月4日月曜日

眞子内親王ご結婚に関するフランスの報道

   


 皇室のないフランスでは、他国の皇室の話題がしばしば取り上げられます。その最たるものは、話題に事欠かない事もあり、また、隣国であることもあってか、イギリス王室が最も注目されています。

 しかし、遠い東の国である日本の皇室についても、特に平成から令和に変わった皇位継承の儀式などは、欧州人からすれば、歴史を重んじ、荘厳で尊厳に満ちたセレモニーの様子などが神々しく、また神秘的に映ることも手伝って、絶賛されていました。

 フランス人は、(日本の)伝統的なものに対しての畏敬の念を持っています。それがフランス人の王室・皇室好きに通ずるところがあるのです。(当のフランスの王室は崩壊しているところは皮肉なことですが・・)

 今回の眞子内親王のご結婚に関しては、そこまで大々的に扱われているわけではありませんが、婚約発表からの4年間の経過の事情やその間の日本での報道、そして今回の10月26日に結婚することが発表されるに至った事情などを説明しています。(いくつもの報道がありますが、なぜか、「日本の朝日新聞は、こう説明している」という説明が多いです。)

 「2017年9月に婚約発表をし、当初は2018年11月4日に予定されていたご結婚が婚約者の母親の借金問題が浮上し、スキャンダルになり、多くの国民が反対したために、ご結婚が無期延期となったこと。」

 「日本の多くのマスコミがこれを食い物にし、このカップルについての報道が激化し、その間、婚約者はニューヨークに弁護士資格を取得するために渡米したが、この4年間の間、日本に残され、苦しい立場に追い込まれたプリンセスは心的外傷ストレス障害を発症したこと。」

 「この間に起こったパンデミックがさらに二人の距離を遠ざけたこと。」

 「一部、伝えられるところによると、プリンセスは、婚約者との結婚が叶わなければ、人生を終わらせる覚悟だったこと。」

 「4年間の逆風にも関わらず、婚約者との結婚を諦めることがなかったプリンセスは、通常、皇室のメンバーが結婚の際に行われる全てのセレモニーは執り行わず、また結婚の際に皇室から受け取れるはずの約852,000ユーロを放棄して、皇室を去り、結婚することになったこと。」

 「結婚のために婚約者が3年ぶりに日本に帰国した際にも、マスコミの報道は再び過熱し、空港に降り立った彼のポニーテールが皇室にあるまじき髪型であることなどまでが非難の対象となったこと。」

 「しかし、宮内庁より、彼らは10月26日に結婚し、その後、プリンセスは戸籍、パスポートなどを取得したのち、晴れてニューヨークで新生活をスタートさせることが発表されたこと。」 

 「歴史と慣例を重んじる日本の皇室で、まことに異例づくしの結婚は、しばしば、英国のハリーとメーガンとも比較されて報じられていること。」

 「4年間、国民の非難を浴びながらも耐え続けてきた恋人たちは、ようやく結ばれる!」

 「プリンセスは、愛のためにそんなに多くの人々を遠ざける準備ができていますか?」

 などなど、フランスでは、概ね日本での報道をそのまま伝える形で報道されています。

 皇室のないフランスで、「皇室にあるまじき・・」という概念や、国内での皇室の立ち位置、国民感情など、理解し難いことが多い内容ではあると思いますが、世界最古の皇室の前例のない、このご結婚を、困難を乗り越え、恋愛を成就させたという形で見ている気がします。


眞子さまご結婚報道


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2021年9月13日月曜日

クレープの本場フランス・パリにある原宿のクレープ屋さんをコンセプトにした逆輸入バージョンのクレープ屋さん

   


 最近、パリの街を歩いていると、パリの街のところどころに日本のエッセンスを感じるお店を見つけることが多くなりました。

 それらのお店は、なぜか、しっくりと街の中に馴染んでいるものもあれば、どこかそこ一画だけが、異次元な空間だったり、色々ですが、このお店は明らかに異次元の世界で、また違う形で人目を引く感じではあります。

 私自身、お店の前をたまたま通りかかっただけなのですが、そのお店の色使いといい、雰囲気といい、かなり独特なもので、狭いながらも、お店を一歩入れば、そこは、とてもパリとは思えない空間なのでした。

 中に入って、お店の人に聞いてみたところ、そこは「原宿のクレープ屋さん」をコンセプトにしたお店なのだそうで、中はマンガの主人公と思われる人形やポスター、布などが一面を覆い尽くし、途中でオーナーは一度変わっているものの、そのままの形でもう10年ほど、そこに存在しているのだとか・・。

 もともとクレープといえばフランスが本場・・その本場のフランスでわざわざ原宿のクレープの逆輸入バージョン・・なかなか大胆な発想です。

 「どんなお客さんがいらっしゃるのですか?」と尋ねてみたところ、ちょっと苦笑しながら、「まぁ、普通のフランス人はいらっしゃらないですが、かなりコアな常連客に支えられておりまして・・」とのことでした。

 このパンデミックで倒産して閉店に追いやられたお店は数知れず、その中で生き残ってこれたのですから、なかなかなものです。


 


 いわゆるフランスの折り畳まれているクレープではなく、コルネ式で生クリームがたっぷり入ったクレープは、ショコラ、フランボワーズ、キャラメル、バナナ、ミックスフルーツ、アイスクリームなどに加えて、ツナとコーンとトマトのサラダやモツァレラチーズとトマトなどの甘くないものもあり、変わり種には、唐揚げのクレープや、納豆とアボカド、抹茶味のものなどもあります。

 価格設定も4ユーロ(520円程度)から6.5ユーロ(850円程度)くらいとパリでの外食としては、かなりお手軽な感じです。

 最も人気なのは、イチゴやバナナ、フランボワーズ、生クリームが入った上にチョコレートケーキかチーズケーキまでトッピングされためちゃくちゃボリューミーな「プリンセスクレープ」なるものだそうです。(6.5ユーロ)

 

一番人気のプリンセスクレープ


 それでも、このようなお店が10年以上もパンデミックの危機さえも乗り越え、脈々と続いていることを考えれば、この種のコアな客層もフランス人の中にしっかり定着していることを思わずにはいられません。

 クレープといえば、フランスの食べ物で、それが日本に渡って、変化球バージョンでフランスに戻ってきているこの不思議な現象。

 私は、日本でクレープを食べたことがないので、日本の味が再現されているのかどうかは、わかりませんが、パリに来て、日本の味が恋しくなったら、こんなクレープバージョンもあるので、試してみてはいかがでしょうか?


パリにある原宿のクレープ屋さん

Princess Crepe

3 Rue des écouffes 75004 Paris

Metro①  Saint-Paulより徒歩5分


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2021年9月4日土曜日

「さよなら 日本の菅首相が試合を放棄」フランスでの菅首相退任の報道

   


 

 「さよなら 日本の菅首相が試合を放棄」「日本の菅首相が彼の次の出発を発表する理由」「日本の菅首相自民党総裁を辞任」これらが、フランスでの菅首相退任に関する報道のタイトルでした。

 そもそも、日本のニュースは、余程のことでない限り、フランスでは、大々的に報道されることはありませんが、さすがに首相退任のニュースは、大手新聞社では数社に及び、報道されていました。(テレビでの報道はほぼ無し)

 新聞の報道では、彼は、「コロナウィルスとの戦いと選挙運動を両立することは不可能であるため、コロナウィルス対策に専念し、総裁選には出馬しない」と発表したと伝えています。

 短い記者会見の内容に、各社、それに肉付けする形で、首相退任について説明していますが、その多くが、「パンデミック対応に失敗(ワクチン接種の遅れ、感染悪化、医療対応の不拡充などのコロナウィルス対応の失敗)と、大多数の国民の反対にも関わらず、オリンピック・パラリンピックを強行したことにより、記録的な不人気を更新し続けていた」などと伝えています。

 「日本は6月以来、コロナウィルス感染の記録的な増加に苦しんでおり、現在、約2万件の新たな症例が発生している。日本政府は集団予防接種キャンペーンの開始に遅れをとり、今年の初めから非常事態宣言を繰り返し発令していましたが、これは、本質的に拘束力のない推奨事項に基づくもので、感染を封じ込める効果が低下する一方、締め付けられ続けている国民を深刻に疲れさせ始めている。」

 「不人気記録の更新にも関わらず、当然のように総裁選に出馬すると思われていた菅首相の衝撃的な辞任の発表は、9月5日のパラリンピック閉会の2日前に行われ、47都道府県のうち、21地域で非常事態宣言下にある日本全体のコロナウィルス感染の指数関数的増加の危機的状況から国民の気を逸らす働きを果たした」となかなかの辛口の評もあります。

 「これは自民党の舞台裏でひねりを加えた哀れなパワーゲーム(同盟、裏切りなど)でもある。」

 「現在の日本には、医療崩壊の片鱗が見られる事例が続出しており、多くの感染者が、なかなか入院できずに自宅で死亡するケースが急増しており、これはワクチン接種の遅れを背景にワクチン供給の遅れ、スクリーニングの遅れが原因で、これらに対しての対策が充分に取れなかったことは、彼の失敗であった。」

 「8年間、前任の安倍首相の右腕であった菅首相は、安倍首相の遺言執行者だった。」

 ・・とまあ、こんな感じの報道が多く見られます。

 首相退陣のニュースは、その原因の追求から、日本の感染対策の失敗や、そのことにより、日本国民が現在、感染してもなかなか入院もできずに自宅療養を強いられている状況を知らしめるキャンペーンのようになってしまっている感が否めません。

 しかし、どこか吹っ切れたような菅首相の表情は印象的ですが、首相という権限を失った後に、コロナウィルス対策に専念する・・というのも、どこか、理屈に合わない気もします。

 在任中にコロナウィルス対策に専念して、成功していれば、総裁選を戦うことをせずとも自ずと結果は出てきていたであろうに・・と思うに、彼の退任の本当の理由は、他にあるような気もします。


菅首相退任


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2021年8月27日金曜日

海外から見ている日本のコロナウィルス対策について

   


 私は、日本人ゆえ、海外に住んでいても、いつも日本の状況は気になり、フランスのニュースとともに、日本のニュースも気にしながら、生活しています。

 ことに、パンデミックが始まってからは、日本とフランスを比較しながら、「こんなところはさすが日本だ!」とか、逆に、「フランスでもできていることが、どうして日本でできないんだろう?」とか思いながら、双方の国を見守っています。

 パンデミックが始まったばかりの昨年の段階では、日本はさすがに衛生的で、規律正しい生活をこれまでの日常から送ってきたこともあり、フランスやヨーロッパのような壊滅的な感染拡大には至らず、フランスのような完全なロックダウンもせずに、パンデミックを乗り切ってきました。

 しかし、パンデミックも長引くに連れ、日本には、オリンピックやパラリンピックという計り知れないハンディを背負い、一般の国民へのコロナ対応に加えて、オリンピック対応にも追われ、力もお金も分散され、国民への感染対策が疎かになってしまった結果が現在の日本の状況を招いているような気がしてなりません。

 オリンピック選手のためには、数日おきにPCR検査がなされていたというのに、未だ国民は高価な料金を支払わなければ検査ができないのも、なんで?おかしいなぁ〜と思います。しっかり検査ができていなければ、日本の感染者数は、実際には、もっと多いのではないか?と思ってしまいます。

 パンデミック当初から、徹底的な検査と隔離が叫ばれてきたのに、まずその根本的なところからして改善されていないのは疑問です。日本では抗体カクテル療法が拡大されていくようですが、その前の段階から、改善できることがありそうな気がします。

 特に最近の日本のニュースを見ていると、その現実が信じ難く、救急車でたらい回しになるとか、必要な人が入院治療を受けられないとか、こんなことが本当に日本で起こっているのだろうか?と、これが本当に日本なの?と信じ難い気持ちです。

 「救急車でのたらい回し」なるものは、フランスでは、病院の状況を統括して、救急車がコントロールされて、配置されるため、いくら医療が逼迫している事態の時でもたらい回しという状況は、起こりませんでした。

 昨年の医療が最も逼迫した時でさえ、いよいよ病院が満床になり、病院の廊下にまで病人に埋め尽くされた後には、病院の前にテントが張られ、野戦病院のようなものができ、地域によっては、病人をTGVや軍用機を使って移送したりしていましたので、ある程度以上の病状の人が入院できずにいるケースは少なかったと思います。

 しかし、それでも病床には限りがあり、呼吸器なども不足していたので、動物病院から呼吸器を運び込んだり、トリアージュを行わなければならない場面もありました。

 そして、何回かのロックダウンを繰り返し、ワクチン接種が進むに従って、ヘルスパスなるものを用いて、ワクチン接種済みの人は、ほぼ日常と変わりない生活がスタートしています。

 日本は、ワクチン接種のスタートが遅かったわりには、さすがに巻き返しが早く、現在、54%(2回接種済は43%)までにワクチン接種率が上がっているようですが、いつまでも緊急事態宣言で全ての人が縛り付けられている様子にも疑問を感じます。

 フランスは、バカンスがスタートする時期にヘルスパスの起用が発表されたために、多くの人が急激にワクチン接種に走り、ワクチン接種率が上がりました。

 日本は特に若年層は、重症化しにくかったり、副反応を恐れてワクチン接種が進みにくいという話が伝わってきています。いつまでも、ワクチン接種をした人も、しない人も同じように制限された生活が続くならば、ワクチン接種をしないでおこうと思う気持ちもわからないではありません。

 ヘルスパスのようなものを起用しているのはフランスだけではありません。ワクチン接種をすれば、かなりの割合で重症化を避けることができるのは、すでに多くの国で実証済みなので、日本もヘルスパス同様のものを起用して、ワクチン接種をしたら、具体的に実際の生活が送りやすくなるというメリットを作るべきではないかと思います。

 ヘルスパスを起用するには、ある程度、ワクチン接種が進んでいなければ無理な話ではありますが、フランスがヘルスパスの起用を発表した段階のワクチン接種率は55%程度の時でした。

 自粛自粛で疲弊して、先の見えない気持ちになっている日本の人々に、ヘルスパスのようなものを起用して、これなら日常を取り戻すことができるという希望が持てるようにすることは、大切なことなのではないか?と思うのです。

 コロナ前までは、「日本では当たり前だったことがフランスでは、決して当たり前ではなかった・・フランスだから、仕方ない・・」と思うことが多かったのですが、ここへ来て、コロナ対応を見ていると、「フランスでは当たり前のように行われていることが、日本ではできていない」ことに、日本人として、現在の日本のコロナ対策の現状に唖然とさせられるようになってきたのです。

 日本ってこんな国ではなかったはずなのに・・と。


日本のコロナ対策 フランスのコロナ対策


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