このところ、フランス各地で、10代の半ばのティーンエイジャーの事件が続発しています。
その多くが地域のグループ同士による抗争がエスカレートした乱闘から、ナイフなどの凶器による傷害事件や殺人事件です。
昨日もパリ16区の高校前で数十名が関与するグループ間の乱闘から3人が負傷し、1人が刺されるという事件が起こっています。ここのところ、このような傷害事件が続いているので、正直、またか・・という気持ちもありますが、これがパリ16区という高級住宅街で起こっていることはショッキングなことでした。
この事件がこの高校の生徒が関係しているものかどうかはわかっていませんが、この高校(Lycée Jean de la fontaine)は、公立高校でありながら、日本語セクションがあり、正課で日本語が学べる高校で、一時は娘もその高校へ進学させようかと考えていたこともあったので、余計にショックが大きいです。
先日もパリ15区で、14歳の少年が集団による凶暴な暴力を受けて、殺人未遂事件として扱われていますが、今度は、その隣の16区での事件、今や、この手の事件が必ずしも貧困する地域にばかり起こる事件ではなくなっていることがうかがえます。
そして、同じ日に、14歳の少女が1人の少年を挟んだ三角関係から派生したトラブルから、セーヌ川で死体で発見されるという痛ましい事件が起こっています。
彼らは、アルジャントゥイユ(ヴァルドワーズ・イル・ド・フランス)にある同じ高校に通う生徒でした。
この事件は、血塗れになって交際中の彼女と共に帰宅した息子を不審に思った母親が少年に問いただしたところ、少年が母親に犯行を告白したため、母親は現場に行って確認したところ、血痕と髪の毛の付いた手袋を発見して、家に戻ったところ、彼らはすでに姿を消しており、取り乱した母親が隣人に相談、警察に通報しました。
すぐに警察は、友人宅に隠れていた彼らを逮捕するとともに、すぐに遺体の捜索が行われました。
具体的な犯行の動機はわかっていませんが、殺された少女は、数ヶ月にわたる嫌がらせを受け続けており、下着姿の写真をスナップチャットにあげられたり、一週間前には、この少年の交際相手の少女と激しい口論になっていたことを被害者の母親が語っています。
この少女は顔や頭などを殴られた後に、橋の上からセーヌ川に落とされ(捨てられ)ており、この犯行が計画的なものであったのかどうかはわかっていません。
しかしながら、この少年の交際相手の少女の嫉妬の感情が嫌がらせだけに留まることがなく、このような凶悪な暴力から殺人にまで至ってしまうことに震撼とさせられます。
また、日本なら考えられないことですが、その日のうちに、被害者の両親と加害者の少年の母親が(別々にですが)、テレビのインタビューに答えて、顔を出して、彼らの思いをそれぞれに語っています。
これまでも被害者の親が目撃証言などを求めて、テレビのインタビューに答えているのを見たことがありましたが、加害者の親がインタビューに顔を出して語っているのを見るのは稀なことです。
彼の母親によれば、「昨年の9月に今の彼女と付き合い出してから、彼はすっかり変わってしまった。それまでは、どちらかといえば、内気でずっとパソコンに向かっているような子だったのに、彼に何が起こったのか、さっぱりわからない・・」と語っています。
暗に、この事件は彼女にそそのかされたものであることを言いたかったのかどうかは、わかりませんが、彼自身がやったことを否定できるものではありません。
しかし、ある日、息子が血塗れになって帰宅し、殺人を告白、夜中に殺人現場に確認に行かなければならなかった母親の苦悩も伝わってきます。
14歳〜15歳といえば、感情をコントロールするのが難しい繊細な年頃でもありますが、それにしても、ここのところ耳にする暴力事件のほとんどは、この年頃のティーンエイジャーばかりです。
娘が小さい頃(小学校低学年)に、日本で頂いてきたハローキティーの付いた帽子を学校にかぶって行ったら、嫉妬されて、その日のうちに、帽子を引きちぎられて帰ってきたことがあり、こちらの子供の嫉妬感情は激しいな・・と驚いたことがありましたが、中高校生、しかも恋愛感情が絡まれば、帽子を引きちぎる程度のことではすまないのかもしれません。
しかし、普通、一般的には、健全な恋愛をしている年頃でもあり、加害者となった少年と少女には、何らかの精神的な問題があったかもしれません。
彼らが通っていたのは、私立の学校で、今のところ、学校からのコメントは何も発表されていません。一般的にフランスの学校では、学校外で起こったことに関しては、感知しないとするケースが多いのですが、このように大々的で衝撃的に報道されてしまっている事件の加害者、被害者ともが通っていた学校としては、今後も知らない顔をして通すわけにもいかず、少なくとも、他の生徒の保護者に対しては、何らかの説明があると思われます。
しかし、以前から、当事者同士で揉めごとになっており、スナップチャットに写真があげられるような嫌がらせを受けていたことがわかっていながら、このような深刻な事態にエスカレートする前に何とかならなかったものなのか?と周囲の人は悔やんでいるに違いありません。
フランスでは、年間70万件の学校でのいじめ(嫌がらせ)の犠牲が報告されており、いじめに対する目撃証言や被害申告などを受け付ける無料電話サービス☎️3020が設けられています。
<関連>
「パリ15区での14歳の少年への集団襲撃事件」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/1515.html
「グループ抗争による2件の乱闘事件で、中学生2名死亡 14歳は危険な年齢か?」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/02/14.html
「フランス人の嫉妬心と日本人の嫉妬心」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_22.html
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