現在、最も感染状況が案じられているイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)のセーヌ・サン・ドニのドランシーにあるユージーン・デラクロワ高校の教師の一人が同校の深刻な状況を訴え、対策改善までの学校の一時閉鎖を求める手紙を大統領宛に送ったことから、この高校の深刻な状況が浮き彫りになってきています。
この高校では、この一ヶ月間で、約60人の学生、20人の教師、3人のスタッフが感染し、パンデミック開始以来、学生の保護者20人がコロナウィルスのために死亡しています。
経済的にも恵まれない家庭の子供が多く通うこの高校は、2,000人以上が校内で行き交い、両親も感染の危険に晒されている仕事を持っているケースが多いため、校内でも狭いアパートの家庭内でも、感染の危険が高い悪循環です。
また、高校内の感染状況も伏せられたまま、授業が続けられており、長い間、校内でウィルスが流行していることを知らされていなかった教師もおり、また、現在の感染状況が明らかになってからは、身の危険を感じて、教師が教鞭に立つことをボイコットしたり、校内の清掃のスタッフ不足から、満足な清掃が行われていないというコロナ以前の日常レベル以前の衛生環境であったことがわかっています。
本来ならば、現在、フランスの高校では、教室の学生の人数を半分にすることが決められていますが、その半分にする規定が明解に示されていないために、ボイコットしたり、実際に感染している教師の欠員のために、少ない教員で、多くの学生を一学級に抱える悪循環が止まりません。
先週、発表になったとおりに、1クラスに1人でも感染者がいれば、学級閉鎖になるはずではあるのですが、この高校のように、学校全体の指揮系統が崩壊している状況では、もっと明解で、強制力のある決定を求めているのです。
結局、弱い者たち、貧しい人たちが明らかに悲鳴をあげて、途中にあるはずのあらゆる機関をすっ飛ばして、大統領への手紙。キツい生活規制に堪えられないはずなのに、さらに具体的で強力な規制なしには、廻らなくなっている高校に悲しい現実を思い知らされます。
今年初めに、高等教育機関の学校に通う学生がマクロン大統領に手紙を宛て、それに回答したマクロン大統領の手紙が話題になりましたが、今後、フランスでは、コロナウィルスの流行とともに、さらにマクロン大統領への手紙を書くことが流行するかもしれません。
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