2023年12月31日日曜日

ロンドン発着ユーロスターの終日運休で3万人が足止め

  


 最近、とんと、ユーロスターは利用していませんが、一時、「ロンドンにこんなに簡単に行けるなんて!」と感激して、しばらく、何回か続けて、ロンドンに行っていた頃がありました。

 パリ北駅から、ロンドンのセント・パンクラス駅まで直行なので、空港まで行くよりもずっと近いし、ロンドンに着いてからも、やはりロンドンの中心部なので、その後の移動もラクで俄然、楽ちんなのです。

 ロンドンは、想像以上にフランス人が多いことも、その時にビックリしたことで、まあ、これだけ簡単に行けるのだから、当然といえば、当然です。

 まあ、ヨーロッパ諸国はだいたい他の国とて、陸続きなので、簡単に外国に行けることには変わりありませんが、なぜか?ロンドンは、フランス人に人気の場所であるようです。

 当然、バカンスシーズンなどは、チケットの値段も高くなり、また、この年末年始にかけても、予約は満席だったようです。ところが、30日という最も人々が移動するタイミングでユーロスターが終日運休という悲劇に見舞われ、甚大な被害が起こりました。

 原因は、ロンドン近郊のトンネル浸水のためのようですが、当初は、16時まで運休ということだったものが、結局、1日中復旧せずに、ロンドン発着のユーロスターは一日中、全てキャンセルになってしまったのです。

 ユーロスターはパリだけではなく、同じく、ブリュッセル間、アムステルダム間の乗客を併せると、約3万人が足止めを食ったことになります。

 新年をパリで過ごしたかった人々も、ロンドンで過ごしたかった人々も同じく足止めを食い、振りかえ便を予約しようにも、いつ復旧するかもわからず、復旧したところで、もう全て満席状態で、その場に立ち尽くした人々は、携帯を握りしめ、代わりの飛行機やフェリー、バスなどの便の予約を試みていたようですが、この時期、どこもかなりの満席、予約が取れたとしても、旅行の予定は大幅に変更せざるを得ないわけで、パリに来ようとしていた家族連れが、「年明けにはディズニーランドに行く予定だったのに~!」と泣いている子供をあやしているパパなどが、泣きたいのはこっちだと言わんばかりの顔で、必死に子供をあやしていました。

 ユーロスター側は、大変申し訳ないと詫びつつ、チケットの変更やキャンセルは、駅ではなく、サイト上の予約管理のページで行ってほしいと呼びかけています。まあ、これだけの混乱状態で、駅に人が溢れかえることを回避したいのもわかりますが、誰もかれもが上手くサイト上でそのようなことができるとは限りません。

 そういえば、以前、娘がロンドンにある大学に留学予定で、早々にユーロスターを予約していたのが、パンデミックのために、国外には出れなくなり、ロンドンには行けなくなって(リモート留学になった)、予約していたユーロスターをキャンセルしたら、当然、こちら側の落ち度ではなく、国の取り決めで国外に出れなくなったのだから、当然、全額返金されると思っていたら、ユーロスターのクーポン券のようなもので返してきて(しかも期限付き)、結局、その期限内には使うことができずに、使えないままにダメになってしまって、憤慨したことがありました。

 今回のチケットの変更・返金に関しては12ヶ月間以内と言っていますが、また、これらの変更・返金のリクエストは、28日以内に処理されます・・とのことですが、28日もかかるのか?とちょっとウッときてしまいます。

 また、この足止めを食った人々に対する食費や宿泊費の補償については、一応、ユーロスターの予約管理サイトのサポートの欄に進み、これらの費用についての払い戻しを請求すれば、検討するとなっています。

 「一晩の宿泊、ケータリング、駅と宿泊場所間の交通などは、ユーロスターのチケットのコピーとその領収書、支払い先の銀行口座情報を添付してください」となっていますが、実際、予約するより、キャンセルをしたり、返金や補償をしてもらう方がよっぽど大変だな・・と思います。

 私は、一度、パリからロンドン行きのユーロスターに乗り遅れてしまったことがあって、その時は、駅の窓口に駆け込んで頼み込んだら、わりとあっさりと、チケットを次の便に変更してくれたこともあったのですが、ここまで混雑しているタイミングだと、駅の窓口にも来るな!と言っているくらいですから、そんなことはとてもムリな話です。

 最近は、こういうトラブルがあるたびに「これ、オリンピックの時だったら、どうするんだろう?」と思います。夏の猛暑のなか、豪雨・・そして洪水・・浸水・・なんてこともなくはありません。ただでさえ、どこの宿泊施設も交通機関も満杯状態になっているだろうに、何も起こらない方が不思議な気がしてきました。


ロンドン発着ユーロスター終日運休


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2023年12月30日土曜日

ノエルが終わって、あっという間にびっくりするほど値引きしている生牡蠣に手を出そうかどうか迷う

  


 実は、私は、ノエルが終わった後のスーパーマーケットをちょっと楽しみにしています。特に、ふつう、フランス人が食べるような食品がすごく好きというわけではないので、最近は、クリスマスもなんか、ふつうにちょっとごちそうっぽいものを用意するくらいでです。

 しかし、ノエルが終わるととたんに、ノエル用の食材は、値引きを始めるので、この時期にスーパーマーケットに行って、「えっ?1日違うだけでこんなに安くなってる!」と、嬉しくなって、「まあ、これだけ安くなっているなら、買ってもいいかな??」となります。

 とはいえ、まだ、年越しというイベントもすぐ控えているので、そこまで驚くほど安くなっているわけではなく、20%offとか、せいぜい30%offとかで、しかもよく見ると、「2つ目が・・」というのがついていたりするので、「意外とシブいな~」と、「よし、年越しが終わるまで待ってみるか・・」とこちらも、引き下がりません。

 というより、正直なところ、今は日本から持ってきている食料品がまだ、たくさんあるために、ちょっと満ち足りていて、「よっぽど安くなっているなら、買ってあげてもよくってよ・・」「今はもっともっと美味しいものがたくさんあるんだから・・」などと思いながら、なんとなく余裕な気持ちなのです。

 ところが、生牡蠣の積み上げてある箱を覗いたら、50%offとか、70%offとかいうのまであって、さすがに、これには、心が動きました。

 いくら日本から食料品をたくさん持ってきているとはいえ、生牡蠣はムリな話。そして、けっこう生牡蠣は好きなのです。ただ、フランスだと殻ごと売っているので、殻をあけるのが面倒くさいし、ゴミの量が半端ではないので、いつも躊躇してしまいます。

 一応、フランスに来てから、牡蠣の殻をあけるのは、マスターしたのですが、それでもラクではなく、たいてい、手に切り傷の一つは作ります。

 そして、この生牡蠣の激安には、おそらくもう一つ理由があり、今年は、ノエル以降、アルカッション湾の牡蠣に加えて、ノルマンディーのカルバドスの牡蠣でも、集団食中毒が報告され、販売禁止および、その地域での貝類の収穫(趣味の範囲での釣りも含めて)も禁止することが発表されています。

 そうそう、生牡蠣で怖いのは、食中毒。レストランで食べるならともかく、フランスで生牡蠣を買おうと思うときに、ふと頭をよぎる「あたったら、怖いな・・」という不安。

 今年は、この食中毒のニュースを聞いていたので、やっぱり、この地域のものではなくても、やっぱり伸ばしかけた手が引っ込んでしまいました。


 だいたい、牡蠣というものを保管するのには、どの程度の温度がふさわしいのかわかりませんが、冷蔵室でもない空間にごっそり積まれている牡蠣の木箱に、牡蠣は常温保存でも大丈夫なの?と思わないでもありません。

 これまで、私は牡蠣にあたったことはありませんが、一度、他の海鮮類で食中毒を経験し、あの時の辛さを考えると、やっぱり安くしてくれても勇気がありませんでした。

 牡蠣といえば、娘が小さい頃からの大好物。フランス料理が苦手な娘は、レストランに行っても、生牡蠣なら、大丈夫!と、フレンチのお店に行けば、彼女が注文するのは、生牡蠣だけ・・お店の人から、「こんな子供が牡蠣が好きなんて!初めて見た!」とかびっくりされたことがありました。

 また、シャンゼリゼで迷子になった時、私は携帯の着信に気付かずに夢中で探し回って、ふと、携帯に娘が助けを求めた警察官からのメッセージがはいっていたのに気が付いて、ようやく、「ここでお嬢さんと待っていますから来てください」というのを聞いて、慌てて、娘を迎えに行った帰り道。

 予想外に娘は、全然、不安そうな様子はなく、「このままママが来なかったら、きっと、食事の時間になって、何か食べさせてもらえるだろうから、「生牡蠣」を頼もうと考えていた・・」という、あまりにお気楽で脳天気でとんでもないことを考えていて、「子どもを保護した警察で、生牡蠣なんかたべさせてくれるわけないでしょ!」と怒りながらも、なんだかそのお気楽さにあまりに呆れて笑ってしまったことを思い出しました。

 

爆安 生牡蠣


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2023年12月29日金曜日

真似したいおしゃれ

 


 クリスマス前後は、どこのレストランもスペシャル・ノエルとか、スペシャル・レヴェイヨンとか、特別メニューになっていたりして、その値段からしても、また、ちょっと食べすぎる日々が続いていることもあるので、外食からは、ちょっと足も遠のく感じもするなか、日本から帰ってきてから、全然、外食してないな・・ランチくらいはいいかな?と、たま~に行くフレンチのレストランに出かけた時のことです。

 一見、間口はふつうでも、中に入ってみると、かなり奥まって広いレストランというのは、パリにはよくあることで、そのレストランも、かなり歴史のあるレストランで、歴史を感じさせる建物の造りや、調度品などに包まれている空間が心地よく、また、応対をしてくれるウェイターなどのスタッフもとても感じよく、礼儀正しくて気に入っているお店です。

 昼ならば、たいてい予約もいらないので、気が向いた時に好きに行けるところも気に入っています。ランチのメニューだと、そんなに高すぎることもなく、お値段もほどほどです。

 それほど、フォーマルすぎず、かといって、それほどカジュアルすぎる感じでもなく、ちょうどいい感じが気に入っています。

 その日は、今まで、入ったことのない部屋に案内してくれて(上階、中階、地上階と入り組んで部屋がたくさんあります)、「ほ~っ!ここの部屋、初めてだ!」と部屋の調度品などを眺めながら、メニューを選び、私には、ちょうどアントレが運ばれてきて、「う~ん!やっぱり美味しい~」と舌つづみを打っていた頃、隣には、50代後半くらいの3人連れの男女が案内されてきました。

 それとなく、様子を見ていると、上品な感じの人たちで、それほど着飾っているという感じではないものの、上質な感じの生地のシンプルなセーターに、控え目だけど、要所を押さえているようなアクセサリーを身に着け方で、とってもいいな・・と思って、何気なく、様子をうかがっていました。

 しばらくして、彼らの注文を聞きに来たウェイトレスの女の子が、「フランス語を話しますか?」と彼らに聞いたので、「えっ?」とそばにいた私もちょっとびっくりしたのですが、彼らの一人が、ニッコリと、「私たちは、ホンモノのパリジャンですよ!」と返し、上手くニュアンスが伝わらないかもしれませんが、そのゆったりとした態度が余計に、なんだか、いいな・・ああいう大人・・と思ったのです。

 外国人観光客と間違えてしまった若いウェイトレスの女の子は恐縮して謝っていましたが、穏やかな空間が壊れることなく、逆に彼女にいたわりの言葉をかけていました。

 フォーマルに着飾るおしゃれより、こういう普段着での素敵なおしゃれができるのって、いいな・・そして、その言動や立ち振る舞いなども、その人の醸し出すおしゃれな雰囲気の一部でもあり、私もすでにいい歳ではありますが、こんな大人になりたいな・・こんな歳のとり方、こんなおしゃれができるようになりたいな・・と思いました。

 一方、同じレストランで、見かけたことがあるのですが、まるで、舞踏会にでも行くの?みたいに煌びやかに着飾って、やたらと写真を撮りまくって、豪華なメニューを注文してはしゃいでいたアジア人観光客らしきカップルをみかけたことがあったのですが、観光客で、なんとなくはしゃいでいる気持ちもわからないではないのですが、どう考えてもみっともないな・・と思ったことがありました。

 時と場合にもよりますが、あまり華美に着飾るのではなく、シンプルな服装でおしゃれができるようになりたいな・・と、最近の私は思っています。

 しかし、ここまで書いて思ったのですが、もしかして、おしゃれってもう死語ですか?


おしゃれ


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2023年12月28日木曜日

ジェラール・ドパルデューを消すな!50人以上の文化著名人が性加害俳優 擁護の署名



 現在、フランスでは、現在3件の性加害の告発状を受けている俳優ジェラール・ドパルデューについての大論争がどんどん膨らんで大騒ぎになっていきます。

 そもそもは今月初めに彼を特集した雑誌が発売されて、騒ぎが蒸し返されカタチになり、また、その後にその雑誌の盛り上がりをきっかけに、彼にターゲットをあてたテレビのドキュメンタリー番組が放送され、その中での彼の女性蔑視的、性的に侮蔑的な発言などがふたたび炎上、話は、彼が受賞していたレジオンドヌール勲章剥奪か?という話にまで発展しました。

 それにも増して、この騒ぎをさらに大きくしたのはマクロン大統領がテレビのインタビュー番組で、「彼はフランスの誇りである!」などと、「それ?今、言うこと?」と思われるような彼を擁護する発言をしたことで、さらに火に油を注ぐカタチとなりました。

 一応、判決が出ていないということで、「推定無罪」ということが前提での話であるとは思うのですが、一人ふたりではなく、しかも、同業の女優や海外のジャーナリストなど、著名人の被害者からの告発の数々は、告発する側も相当な覚悟があってのことで、推定無罪とはいえ、限りなくグレーです。(しかも、そのうち1件はすでに起訴されている)

 そんな状況で、ふつう「性加害など、絶対に許さない!」と言うのが、大統領としては、妥当だと思われるところを「彼はフランスの誇り」などと言ってのけるあたり、どうにも理解しがたい思いで聞いていました。

 しかし、そのように考えているのはマクロン大統領だけではなかったようで、仏紙ル・フィガロに掲載されたコラムの中で、約50人以上の文化人が「ジェラール・ドパルデューを消さないでください!」、「この偉大な俳優を自分たちから奪うことは悲劇であり、敗北だ!」、「それは、芸術の死を意味する!」などと声をあげています。

 著名人とはいえ、私は、あまりフランスの文化界については詳しくないので、そこに名を連ねているのが、どの程度の人々なのかはわかりませんが、ナタリー・バイ、ベルトラン・ブリエ、キャロル・ブーケ、カーラ・ブルーニ、ジャック・デュトロン、ピエール・リシャール、ナディーヌ・トランティニャン、さらにはジャック・ウェーバーなどが名前を連ねています。

 唯一、私がアッと思ったのは、カーラ・ブルーニ(サルコジ元大統領夫人)でした。

 今年、日本でジャニーズ事務所の性加害問題が大炎上した際に、「こんなこと!海外だったら、絶対に許されることではない!」と言われており、私もそうだと思っていましたが、ジャニーズの問題は、未成年への性加害でまた、ちょっと違うところもあるとはいえ、今回の問題とて、対象は異なりはしますが、弱い者に対する権力や立場を利用した性加害には違いなく、被害者感情を無視したような、この「芸術至上主義」、「芸術は全てに勝る」ような考え方が、こんなにも文化人や権力者の間に沁み込んでいることに、大変ショックを受けた次第です。

 当然、このような考え方には、大反発が生まれ、さらに大論争になっているわけで、また、この擁護する人々の立場をとる人などは、「だいたい、性加害など、何年も経ってから、告発するものではない!」などと言いだす人までいて、本当に開いた口がふさがりません。

 芸術だろうと何だろうと、人間、富と名声を得て、権力を持ち、それが長く続くと慢心をコントロールするのが難しくなり、また周囲もその権力にすがったり、恩恵に預かろうとして太鼓持ちをしたりと、醜悪極まりないことをしでかすような気がします。

 芸能界にせよ、政界にせよ、チカラを持つ者が弱い者を痛めつける構図は、ありとあらゆる場面で起こっていることです。

 しかし、司法の場では、公正に裁いてくれると信じたいし、芸能界や映画界の場合は、結局は、視聴者や観衆が判断することです。


文化著名人の署名


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2023年12月27日水曜日

クリスマスの一家5人殺人事件の犯人は父親だった・・

  


 クリスマスの夜、パリ近郊セーヌ・エ・マルヌ県(イルドフランス)で女性1人と4人の子供、合計5人の遺体が発見され、翌日、その家族の父親が逮捕されました。

 10歳、7歳、4歳、9ヶ月の子供たちとその母親が父親に殺されたのです。しかも、クリスマスイブの夜に・・。

 この事件が公になったのは、同じアパートに住む隣人の通報によるもので、彼女は、アパートの建物の踊り場に血痕を発見して、知人を伴って、その血痕を辿ってその家族の住居に安否を確認しに行きました。ドアフォンに応答した父親は、ドアを開けずに「みんな寝ています」と言ったので、彼女は一旦、家に戻りました。

 それから少しして、彼女はその母親から、「いとこの家にいる」というメッセージを受け取りましたが、このメッセージが通常、この女性から送られてくるメッセージとは違うと感じ、アパートのブラインドが閉まったままであったことを心配し、再び、その家を訪れると、今度はドアの取っ手に血が付いているのを発見し、警察に通報しました。

 駆け付けた警察官は、玄関の鍵がかけられていたため、窓のシャッターを破ってアパート内に突入すると、悲惨な犯行現場のなかに5人の遺体を発見しました。母親と2人の娘には、多数の刺し傷が認められ、4歳の男の子と9ヶ月の赤ちゃんには、外傷は認められず、窒息死、または、溺死が疑われています。

 通報した女性はこの母親と親しくしていたといい、大晦日には一家を家に招待していたと話しており、母親はとても陽気な人で、父親は、とても、おとなしくて控え目な人だったと話しています。

 近隣住民らは警察に対し、12月24日午後11時から12月25日早朝にかけて悲鳴を聞いたと証言しており、本来ならば、クリスマスイブからクリスマス当日にかけての一家で楽しく過ごしているはずの時間帯に悲鳴とは穏やかではありません。

 アパートに設置されている監視カメラの映像から、この父親は25日の夜8時過ぎにアパートを出ていく様子が確認され、翌日、この父親は同地域の彼の実家の前で逮捕されました。

 この男性は2017年にうつ病と精神病性障害で精神病院に収容されており、一応、監視下にあったものの、その後、退院してからまもなく、2019年には、妻の肩甲骨をナイフで刺すという事件を起こしていました。

 この夫婦、最近、結婚したばかりであったようですが、14年間の長い付き合いで、この事件の際も、妻は事を大ごとにしたくない事件化したくないと、パートナーが長年うつ病に苦しんでいると説明し、精神鑑定の結果、気分変調症(慢性うつ病状態によって定義される気分障害)と精神病的病理が存在し、事件当時の識別能力が失われていたと結論づけられ、その後、事件はそれ以上の措置を講じることなく終了してしまいました。

 結果的には、彼の精神病理は改善されることもなかったために、この惨状が展開されてしまったことになったことは、とても悔やまれることです。

 この手の精神障害とも思われる夫婦間および家族間の残酷な殺害事件は、時々、事件として浮上しますが、なぜ、ナイフまで持ち出したような事件を起こした加害者を、たとえ、被害者であったパートナーが事件として扱われることを望まなかったとしても、野放しにしてしまうのかは、そのたびに疑問に感じるところでもあります。

 この男性は、逮捕後に、「愛している妻に危害を加えたかったのではなく、自分自身に危害を加えたかった・・意図的せずにやってしまったことだ・・」と語っているそうですが、事件後に、妻の携帯から隣人に妻に扮してメッセージを送って犯行をごまかそうとしていたりもしていたことから、どうにも辻褄が合わない気がします。

 検察は「15歳の未成年者の故意の殺人」と「配偶者の故意の殺人」でこの事件の司法捜査を開始しました。 一家の父親はこれらの犯罪で終身刑に直面しています。 事件を起こした時点での精神病理の鑑定により、判断力がなかったと認められた場合、彼は懲役30年に処される可能性もあります。

 家族5人殺害ともなれば、日本だったら、まずは死刑は免れようもないと思われますが、死刑制度が廃止されているフランスでは、最悪でも終身刑です。精神病により責任能力なしと判断された場合は懲役30年になる可能性もあります。

 死刑制度には、問題があるとはいえ、このような人物が刑務所に30年いて、精神状態が改善されるとも考えにくく、また、これ以上悪化した状態で世に放たれるのかと思うと、凍り付くような思いがします。


クリスマス一家5人殺人事件


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2023年12月26日火曜日

パリ市の呼びかけ クリスマスツリーのリサイクル

  


 各家庭でのノエルのデコレーションを彩るのは、やはりクリスマスツリーで、プレゼントはクリスマスツリーの下に積み上げられて置かれるという習慣があり、その演出のためにも欠かせないものの一つでもあります。

 我が家でも娘が小さい頃には、夫の指導?により、娘はプレゼントのお願いの手紙をサンタクロースに送り、どういうわけか、家族それぞれの靴をツリーの下に置き、オレンジを添えるという行事を行い、25日の朝、娘がワクワクしながら、クリスマスツリーに駆け寄っていき、嬉しそうにプレゼントを開けていくのを、私たちは、娘以上にワクワクしながら、そんな娘を見守っていました。

 そんなクリスマスツリーを買ってきて、そのデコレーションを家族で始めることから、もうクリスマスを家族で楽しむことが始まっていて、やはり、クリスマスツリーは、我が家でも、以前は、ある種、象徴的で不可欠なものでもありました。

 クリスマスシーズンが始まると、生のモミの木がスーパーマーケットの前やガレージなどで売られていて、生の木だけに、当然、しまっておけるものでもなく、クリスマス、せめて、年明けの一連のお祭りが終わると、当然、捨ててしまうもので、これは、割りばし(以前、日本やアジアの割りばしはエコロジストの標的になっていたこともありました)どころではない、大変な廃棄物問題ではないか?と思ったこともありました。

 かねてから、フランス人のゴミの捨て方には、疑問が多いところでもありますが、このクリスマスツリーなどもまた、かなり、あからさまに、我が家のアパートのふつうのゴミ収集のゴミ箱にそのまま、無残にのせられているのを毎年、見かけます。

 まれに、夏ごろになって、ツリーが捨てられているのを見かけることもあり、「えっ?今ごろ?」と驚かされることもありますが、これを見ると、なぜか「お雛さまをいつまでも片付けないとお嫁に行けない・・」などと昔、言われたなあと思い出します。

 しかし、ここ数年、パリ市はこのクリスマスツリーのリサイクルとして、今年は12月26日から1月20日まで、176ヶ所の収集場所を設け、「クリスマスツリーに第2の命を吹き込もう!」と呼びかけています。

 第2の命を吹き込む?とは、どういうことなのか?と思ったら、回収されたモミの木は、粉砕され、緑地の植物を保護する役割を果たすそうです。 粉砕されたモミの木は雑草の発生を減らし、水の蒸発を制限し、土壌の寿命を最適化する地下微生物の発達を促進するため、天然の除草剤として利用されるのだそうです。

 モミの木は、酸性であるため、堆肥としての使用には適していませが、一方、その抗発芽特性は、環境に優しい方法で雑草の増殖を制限するのに最適で、自然の除草剤として作用するのだそうです。

 私が子供の頃は、季節になると、母がどこからか鉢植えのクリスマスツリーを買ってきて、飾っていたりしたこともあったのを覚えていますが、その処理はどうしていたのか? たいていは、枯らしてしまったのだと思いますが、ある年、枯らしてしまうのが可愛そうだからと、庭に植え替えたら、青天井でどんどん大きくなり続け、ある時期には、植木屋さんにこれ以上、伸びないように止めてもらったことを記憶しています。

 一方、両親がいなくなった実家では、庭もあまり手入れしなくなったために、放っておくと雑草が際限なく生えてくるために、一時は除草剤を撒こうかとも思ったのですが、それもなんだか躊躇われ、除草シートを貼ったりしていたのですが、まさかのモミの木の木くずが除草剤がわりになるとは、今度、日本に行ったら、試してみようかと思っています。

 常日頃のフランス人のゴミの捨て方を見ていると、あまり期待できないクリスマスツリーの回収場所設置ですが、昨年は意外にも 114,247 本ものモミの木が回収されたとのことで、さすがのフランス人もクリスマスツリーだけはちょっと特別扱いなのかもしれません。


クリスマスツリーのリサイクル


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2023年12月25日月曜日

ノエルと年末年始に警察官がまさかのストライキ

  


 パリの日常では、もうすっかり見慣れてしまって、空港などはもちろんのこと、大きな駅や街中でも、きっと、初めて見たら、ギョッとするような数のイカつい警察官や、たくさんの警察車両が並んでいたりしますが、もうそんな光景にも慣れてしまって、あらためて、驚くこともなくなっていますが、考えてみたら、パリは普段から、警戒のために巡回してくださっている警察官の数は他の都市と比べても相当数にのぼるものと思われます。

 たとえば、他の地方に行っていたりして、パリに戻ってくると、あらためて、パリは本当に警察官の多い街だなぁと思います。

 しかし、私たちが、一見、一括りに見てしまう警察も国家警察やその特殊部隊、自治体の警察、憲兵隊と様々な組織で構成されていますが、このなかの自治体警察の労働組合が26,000人(フランス全国地方自治体警察官連盟(FNPMF)によると、各自治体の市長の競争によって採用された地方公務員と自治体警察官の数は20年間で倍増し、現在では2万6000人に及んでいる)に、まさかのノエルと大晦日から元旦にかけてのストライキを呼び掛けています。

 ノエルは、どちらかといえば家族で過ごす人も多いため、そこまでの緊張状態が起こることは少ないとはいえ、祝祭の日といえば、世間は少なからず興奮状態にあり、問題も起こりやすく、ましてや、大晦日の日ともなれば、圧倒的に元気な若者たちは外に出て騒ぐ者が多く、毎年、何十台もの車が燃えることでも有名な暴動じみたことが起こる日でもあり、よりにもよって、そんな日に警察がストライキとは前代未聞のことです。

 彼らはこのストライキの要求として、「自治体警察の給料は低く、国家警察はより良い社会保障を受けている」と訴え、給与水準の引き上げを求めています。また、年金についても、35年間就労して、月額1,200~1,400ユーロのみで、同じ危険にさらされながら仕事をしているのに国家警察とはえらく違う!」と。

 ストライキを呼び掛けるからには、最も効果的な(世の中を混乱させたり、迷惑をかける)タイミングを選択しようとするのは、わからないでもありませんが、こと一般市民の安全にかかわる職業では、それってありなの?という気がしないでもありません。

 しかし、今回の彼らは、最終的にはパリオリンピックという特別な切り札も持っており、ノエル、大晦日から元旦にかけて、そして、2月3日での全国の自治体での集会を予告しており、それでも改善されない場合には、「パリオリンピックの警備には携わらない!」と警告しています。

 パリオリンピックといっても、競技はパリだけで行われるわけではなく、全国規模で展開されるもので、各自治体の警察の協力は必要不可欠です。

 日頃、私が見かけるたくさんの警察官のうち、一体、自治体警察がどれほどの割合を占めているのかはわかりませんが、オリンピックともなれば、マックスの警戒体制が敷かれる予定になっているのは、明白です。

 それが崩れることは、大変なことです。

 パリは、平常時でさえ、観光客が多い場所で、観光客だけでなく、その観光客狙いの犯罪者も周囲の国々から集まってくる場所でもあります。

 ノエルと年末年始に加えて、オリンピックまで盾にしている自治体警察は、要求を叶えられるのでしょうか? 

 しかし、今後、年明け以降、オリンピックを盾にしたストライキが他にも続々と起こる可能性があるかもしれません。


自治体警察ストライキ


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2023年12月24日日曜日

フランス人がノエルに使うお金 物価高にもかかわらず減少

  


 フランス人にとって、一年のメインイベントの大きな一つでもあるノエル、クリスマスのために使うお金は、平均 549ユーロ(約8万6千円)と、昨年よりも19ユーロ減少しているという調査報告が出ています。

 これは、昨年よりもかなり円安になっているため、円に換算すると多くなっているという円換算では妙なことになっていますが、現実には、インフレのためにほぼ全ての値段が上昇しているなか、減少しているということは、事実上、かなりの緊縮財政をとっていると言えます。

 この 549ユーロには、ノエルは主に家族と過ごすことが多いために帰省するための交通費や、食事、プレゼント、クリスマスツリーなどのデコレーションなど、全てが含まれた金額です。

 なかでも、プレゼントに関しては、年々ヒートアップしていた感があり、フランス人一人につき、用意するプレゼントの数は平均7つと言われており、この家族に愛情を示す愛情表現のひとつとして習慣となっているプレゼントはかなりのプレッシャーになっているという調査結果も発表されています。

 プレゼントの数を減らすのではなく、いかに安く抑えるかという点で悩ましく思っているということで、困っているとはいえ、ノエルの準備の買い物をしている人は、どこかワクワク楽しそうで、そんな中でも、しっかり予算を抑えているのは、やはり、このインフレがノエルにも大変な影響を与えていることがうかがえます。

 実際には、このプレゼントにかける割合が依然として大きく、このノエルのための全予算549ユーロ中、プレゼントにかける金額は平均 332ユーロと最も多く、(ちなみに食事には 120ユーロ)かなりをプレゼントにかけていることがわかります。

 この時期は、メトロに乗っても、大きなプレゼントの入った紙袋を下げている人が多く、恐らく、フランスでは、最も商品が売れる時期でもあり、今年は、クリスマスイブが日曜日にもかかわらず、多くの店舗は営業して(通常、日曜日は休業)、売り上げをあげることに努めています。

 昨年は、冬の間は電力供給が間に合わないかもしれないと言われつつ、イルミネーション点灯時間が制限されたりしていたこともありましたが、今年は、そんな様子はなく、キラキラのパリ。

 イルミネーションの準備も例年よりも早く始まっていて、このフランス人が最も消費する季節を盛り上げようとしていましたが、結果的には、前年よりも、クリスマスの消費はダウンの傾向にあるようです。

 昨年、フランス人がノエルの準備のために使った予算は前年よりも増加していましたが、今年は減額、ノエルはフランス人にとって家族とともに過ごす夢のような時間であると同時に、けっこう現実的でもあり、イルミネーションと消費は正比例しないようです。


フランス人のノエル、クリスマス予算


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2023年12月23日土曜日

俳優ジェラール・ドパルデューのレジオンドヌール勲章剥奪とマクロン大統領の発言

  


 ジェラール・ドパルデューはフランスの有名な俳優です。彼の俳優としての多くの業績とともに、様々なスキャンダルでも有名な存在でもあります。

 彼の歩んできた道は幼少期から決して平坦なものではなく、俳優として成功をおさめてからも、税金逃れのために、ベルギーに移住したり、プーチン大統領と親交が深かったり、最近では、女優のシャルロット・アルヌールからの告訴を受け、2020年から強姦罪で起訴され、その後、女優のエレーヌ・ダラスによる2007年に遡る性的暴行行為とスペイン人ジャーナリストで作家のルース・バザによる1995年に遡る強姦行為など、現在3件の性加害問題に関する告訴状が提出されています。

 まるで、フランス版 Me too 運動のように、1人が告訴を始めたことで、その後に立て続けに告訴状が提出されたカタチになっています。しかし、彼自身はこの告発を否認しており、この事件は、まだ捜査中で、有罪判決は出ていません。

 しかし、こんな状況の中で、先日、フランステレビジョンで12月7日に発売された雑誌「Complement d’investigation」でジェラール・ドパルデューを特集した一連の内容が放送され、物議を醸しました。

 内容は、北朝鮮で馬術のデモを観戦するジェラール・ドパルデューの発言などを扱っているもので、その中での彼の少女に対する発言が性的に侮蔑的で不適切であり、女性の品位を傷つけるものであると論争を巻き起こしているのです。

 同時にこれはフランステレビジョン側が故意に映像を編集して、彼を陥れようとしているとする意見があるものの、フランステレビジョン側は、「私たちのドキュメンタリーには、同じくらい深刻で衝撃的な問題のある箇所が無数にある」と、自分たちの報道は誠実なものであると反論しています。

 そして、この論争に輪をかけたのが、別のインタビュー番組でこの件について質問を受けたマクロン大統領の彼を庇っているとも思えるような発言でした。

 ジェラール・ドパルデューは、1996年シラク大統領政権下にレジオンドヌール勲章を受章していますが、このいくつもの告訴にまつわる彼の行為や今回の騒動により、文化相はレジオンドヌール勲章(フランスの軍事、社会、文化への功労者に送られる賞)の懲戒手続きの開始を発表しています。

 この件について質問されたマクロン大統領は、文化相からの申し入れがあることは認めたものの、最終的に決定するのは大統領である自分であるとし、また、自分は彼の友人でもあり、大ファンでもあることを公言し、彼はフランスの誇りであり、現段階では推定無罪であるとし、「レジオンドヌール勲章は道徳を説くためにあるのではない」と語りました。

 さすがに強姦罪で告訴されている状態は、もうすでに道徳云々の範囲を越していると思われるのに、なぜ?マクロン大統領がこれほどまでにグレーな彼を庇うような発言をするのか?大変、奇妙な気もします。

 しかし、実際に彼が有罪判決を受けた場合は、大統領が決定するということにはなっていますが、ほぼ自動的に剥奪されるようです。

 過去にもこのレジオンドヌール勲章が剥奪された例は、実はけっこうあるようなのですが、ウェブサイトでは、この措置は匿名化されているようで、官報のページでレジオンドヌール勲章のメンバーが除外されたことがわかっても、アクセスが保護されているためにそれが誰であるのかを知ることは簡単ではないようです。

 しかし、過去にこのレジオンドヌール勲章が剥奪された例の中には、外務省の現金ボーナス問題・・なんていうのもあったりで、まったく、どこの国でも同じようなことがあるんだな・・しかも、レジオンドヌール勲章叙勲者だったとは、びっくりです。


ジェラール・ドパルデュー レジオンドヌール勲章剥奪


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2023年12月22日金曜日

7年前に起こった日本人留学生殺人事件 容疑者に懲役28年求刑

  


 7年前、2016年12月にフランス東部ブザンソンに留学していた日本人女子学生(当時21歳)が殺害されたとされる事件の控訴審で元交際相手のチリ人の男性に対し、第一審と同じ懲役28年が求刑されました。

 今回の裁判は、13日間にもわたる控訴審で、裁判所は、このチリ人が新しい交際相手ができた彼女に対して強烈な嫉妬にかられてフランスに戻り、彼女を取り戻すか、それが叶わなければ殺そうとしていたとし、2016年12月4日から5日の夜に黒崎成美さんを計画的に殺害し、その後樹林帯に遺体を処分したとみなしました。

 彼は、この7年間の間、一貫して無実を訴え続けているうえに、遺体も発見されていないのですが、公判を通して、彼は、彼女との関係における彼の横暴な態度、嫉妬、脅迫ビデオ、フランシュ・コンテでの旅程、森や彼女の大学の寮周辺での夜間の行動などの目撃証言に加えて、 2016年12月4日の夕方、そして夜に聞こえたとされる叫び声など、彼に不利な数多くの証拠があがっていました。

 彼は、彼女に会うためにフランスにやってきたということと、彼女が行方不明になった前日の夜に彼女の大学の寮の部屋をノックしていたところを証人に見られたということは、認めたものの、「それでも、私は殺人者ではない」と主張し続けています。

 彼は、裁判中は、あまり感情を表に出さなかったと言われていますが、裁判に集中し、膝の上に置いたノートに必死でメモを取りながら、自分の弁護に積極的に取り組み、 特に収監中に看守に受けた暴行について言及したり、彼女を殺していないことを繰り返した挙句に泣き崩れて最後まで、「私は彼女を殺していない」と繰り返していたそうです。

 具体的な証拠については、詳細は不明ではありますが、彼が7年間、否認を続けていることや遺体を処分したとみなされている森からも遺体が発見されていないことは、冤罪の可能性もあり得るのではないか?とも思ってしまうところですが、彼には殺人罪で懲役28年という判決が下されたうえに、刑期が終了すれば、フランス領土への帰還も禁止されます。

 もっとも、もし、これが冤罪であったなら、頼まれたってフランスには二度と来たくないだろうと思いますが・・。

 また、裁判所は民事審理で損害賠償に関する判決も下しています。フランスでは、被害者の遺族が被告に対して、損害賠償を求めることができます。この事件に関しては、裁判長は、被告に対して、被害者の両親に6万ユーロ(約940万円)、被害者の姉妹に5万ユーロ(約785万円)、最後に被害者の最後の恋人に5千ユーロを支払うことを命じています。

 被害者の両親と姉妹に別々に支払ううえに、最後の恋人にまで支払いというのも、ちょっとビックリです。

 また、この控訴審では、被害者家族の悲しみにも注目されています。被害者側の弁護士は、遺族の訴えているありえない追悼や永遠の苦痛の他、自殺未遂を起こしたことや、被告の足跡をたどるためにチリを旅したことなども説明し、裁判の傍聴中、被害者の母親が何度も泣き崩れ、弁護士の弁論を中断しなければならなかったと言われています。

 被害者の遺族の感情は察するに余りあるところではありますが、被告側の弁護士は、この判決に対して、不服を申し立て、最高裁へ向かうことを発表しています。


日本人留学生殺人事件


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2023年12月21日木曜日

移民法の改正で大騒ぎのフランス

  


 フランスの移民法については、長い間、物議を醸し続けていて、以前から、移民が犯罪を犯したりするたびに、この人物は、OQTF(公序良俗を著しく脅かす異常事態に陥った外国人に対して、フランス領土を離れる命令)が発行されていたはずだった・・などという事実が浮上してきたりと、問題視されてきました。

 今回の移民法の改正も、主には「治安に対する深刻な脅威となる外国人の排除を促進することを目的」としていますが、正直なところ、私自身も「移民」であり、とばっちりを受けるのではないか?と、あまり心穏やかに聞けるニュースではありません。

 特に、今回の改正法の中の基準の一つに、社会保障などの条件についても、外国人でもEU圏内からの場合とEU圏外からの外国人とを区別して規定していたりして、どっきりさせられます。

 一方では、内容を見ると、「フランスに長期滞在している人やフランスに個人的・家族的つながりがある人であっても、特に犯罪で法的に有罪判決を受けた外国人の国外追放が認められ、少なくとも懲役10年以上、場合によっては5年の刑が科せられることになる」とか、逆に「今までは違ったの?」と驚く内容のものもあります。

 また、排除するばかりではなく、労働力不足の業界(建設や介護など)においては、1 年間の期限付きの「不足している専門職で働く」滞在許可を創設しています。

 「不法滞在しているこの業界での労働者は、正規化を要求できるようになり、 この新しいカードは、一定の条件(フランスでの滞在期間が3年以上(不法滞在が3年以上?と思うとなんか変・・)、過去24か月のうち緊張状態にある業界で8か月の経験)のもとで自動的に発行される」などという項目には、はなから不法労働者ありきの法令で、まあ現実的といえば、現実的ですが、なんか、もやもやするところでもあります。

 これに加えて、「不法就労と闘うため、非正規な状況で労働者の雇用主に対し、関係する従業員1人当たり最大4000ユーロの行政罰金(再犯の場合は2倍)を新たに課すことになる。 この罰金は既存の刑事および行政制裁に加えられることになる」という項目も付け加えられています。

 現在のところ、賛否両論、喧々囂々としているので、今後、修正が加えられるところが出てくる可能性もないではありません。

 しかし、これだけ大騒ぎになるというのは、それだけフランスには移民が多いということでもあります。

 私にとっては、個人的には、社会保障などの改正が気になるところではあり、必死になって、この法改正されている文面を追っていたのですが、色々と改正、廃止・・などと続いている最後に、「難民・滞在許可証保持者は除外」とあり、そもそも、滞在許可証を持っていない人がどうやって社会保障をこれまで受けてこられたのだろうか?と不思議に思ったりもしました。

 毎回、といっても、10年に一度ではありますが、この滞在許可証更新のたびにドキドキし、特に前回の更新の時には、ちょうどロックダウンの時期と重なってしまったために、お役所は、大混乱となり、手続きに異常に時間がかかり、実際には、滞在許可証の期限が切れてしまって、「これでは私は不法滞在者ではないか?」と泣きそうになっていたような小心者の私には、やっぱり全面的に理解することは難しいかもしれません。

 しかし、移民の一人である私が言えることではないかもしれませんが、今回の問題も移民が膨れ上がってしまった上での問題でもあり、「最近は、日本も治安が悪くなった・・」などという声もありますが、「いやいや、まだまだ・・あまいあまい・・」と思ってしまうほど、質の悪い移民は多いわけで、容易に受け入れてしまっては、フランスみたいに大変なことになります。


フランス 移民法改正


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2023年12月20日水曜日

フランス人の死に至る三大疾患

  


 今週、発表された、フランス公衆衛生局、Insermおよび保健省統計局(Drees)が実施した主な死因に関する調査によると、がん、心神経血管疾患、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が三大死因として挙げられています。

 ただし、これは、2021年のデータをもとにしているので、パンデミックの影響を大きく受けていた年でもあるので、一般的な年とは異なる結果となっている向きもあります。

 フランスでは、年間で約66万168人が死亡していますが(2021年)、そのうちの4分の1がガン、5分の1が心神経血管疾患、そして10分の1が新型コロナウイルスによるものであったというデータが出ています。

 ガンに関しては、肺、気管支、気管の腫瘍が最も多く、次いで、結腸直腸腫瘍 (10%) が死亡率の高い腫瘍であり、次に乳癌が続き、女性の腫瘍による死亡のほぼ 17% を占めています。

 この発表ではまた、2020年以降、循環器系、内分泌疾患、栄養疾患、代謝疾患、消化器系の疾患による死亡率が増加していることも指摘しています。 

 それまで、心神経血管疾患による死亡は減少していましたが、これが増加しているという過去の傾向という変化は国際的な結果と一致しており、新型コロナウイルス感染症の流行が死亡率に直接的および間接的に及ぼす影響の可能性もあると言われています。

 フランス公衆衛生局の疫学者アンヌ・フイエ氏は、「ケアへのアクセスの困難や、社会的孤立の拡大が行動や生活環境の違いなども生命の分かれ目に影響を与えた可能性があると考えられる」とも説明しています。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、依然として、多くの高齢者が死亡していますが(2021年)、2020年よりは減少しています。新型コロナウイルス感染症による死亡者のほぼ半数は85歳以上の人々に関係していますが、65 歳から 74 歳の割合は 11.9% から 15.8% に増加し、65 歳未満の割合は 6.2% から 8.4%とわずかに増加しているのも、ワクチン接種の年齢層別の拡大とロックダウン解除後の人との関わり方も関連しあっているとも言われています。

 また、新型コロナウイルス感染症による死亡者の10人中9人近くには、少なくとも1つの併存疾患または合併症が死亡診断書に記載されている。この後、高齢者、既往症がある人は新型コロナウィルス感染の際の重症化のリスクが高いと分類されていたことも合点がいきます。

 新型コロナウイルス感染症の流行は、原因が何であれ、自宅での死亡者数の増加も引き起こしました。 2017年から2019年にかけて、死亡の21%は自宅で発生していましたが、 この割合は、2021 年には 23% に増加しています。

 また、このデータ発表では、あらゆる原因による男性の超過死亡率も浮き彫りになっており、 具体的には、男性の死亡率は女性の1.7倍になっています。 特に 65 歳未満の超過死亡、早期死亡は 10 人に 2 人近くの死亡に相当し、女性の場合はその半分です。

 そして、もう 1 つ注目されているのは、死亡の約 6% は偶発的な転倒や交通事故などの外的原因によるものであり、自殺はこのカテゴリーに分類されており、これらの死亡のほぼ4分の1を占めています。 また、自殺による死亡の大部分は男性にというのも驚きました。 

 こうして、データを見ると、明らかに男性の方が弱い?と思わざるを得ず、それはフランスの平均寿命にも顕著にあらわれており、女性は85歳、男性は80歳となっています。

 いずれにしても、女性は強いということでしょうか?


フランス人の死因


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2023年12月19日火曜日

インフレと最低賃金(SMIC)引き上げ

  


 フランス政府はインフレに関する INSEE(国立統計経済研究所)の統計発表結果を参考に、2024年1月1日からの最低賃金(SMIC)の引き上げを発表しました。

 これにより、最低賃金は、フルタイムの場合、現在の月額1,747.20ユーロ(手取1,383.08ユーロ)から、1.13%増加の1,766.90ユーロに上昇します。時給にして、現在の11.52ユーロから11.65ユーロ、つまり0.13ユーロ(20円程度)の上昇です。

 手取り金額1,383.08ユーロは、現在のレートで換算すると、約215,000円程度になりますが、現在の円安の状況や物価の違いなどを考慮すると、これが日本に比べて、安いのか高いのかは、簡単に評価することはできません。

 フランスでは、この最低賃金(SMIC)は、物価の上昇に応じて、毎年、改定されており、一機に上昇はせずとも、長いスパンで考えると確実に上昇はしています。例えば、2012年には、最低賃金は、1,398.37ユーロであったことを考えれば、368.53ユーロも上昇しています。

 また、1月1日以外の年度中にも、インフレ率が2%を超えた場合には、再評価が行われます。なので、通常は年1回の改定ではありますが、2021年には、1月、10月の2回、2022年には、1月、5月、8月の3回、2023年は、1月、5月に見直しが行われているので、今回は2021年以来、8回目の改定となっています。

 今回の最低賃金の改定に先駆けて、労働大臣はこの点を強調して、2021年から13.5%上昇していると、なんだか、今回の上昇が今一つであることを煙に巻くような発言もしています。

 この見直しに関しては、最も所得の低い世帯の 20% に対する加重物価上昇率などが考慮して計算されています。

 また、法令により、このように、少なくても確実には上昇している最低賃金のようには、ギリギリ、それ以上を稼いでいる人々の賃金は、必ずしも上昇するわけではないという現実もあり、働けど、働けど、どんどん最低賃金に近づいていくようなことも起こっているわけです。実際に、この最低賃金で働いている人々は、全体の17.3%と言われていますが、1年前の14.5%に比べると増加しています。

 そして、物価の上昇が考慮されたものではあるにせよ、実際の現実の物価の上昇に追いつくものではないため、必ずしもありがたいものとは限らない皮肉な結果を生んでしまうこともあるようです。

 たとえば、家族などの同一世帯などの場合、社会保障などの援助の枠から、わずかな昇給のために援助対象から外れてしまって、援助金が削られてしまったりして、実質はマイナスなどということも起こり得ると訴える人もいたりで、そんなに簡単な話ではありません。

 どんな対応をしても黙って受け入れはしないフランスの労働組合(CGT)は、プレスリリースの中で、「最低賃金とすべての賃金の大幅な引き上げ」の緊急性を強調し、最低賃金総額2,000ユーロに引き上げを要求しています。

 しかし、一方では、これを支払う雇用者側にとっても、全てが値上がりする中、従業員に支払う最低賃金額も政府が一方的に決めていくわけですから、これもキツい話ではないか?とも思うのです。


フランス最低賃金 SMIC


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2023年12月18日月曜日

私が日本に持って行ったお土産でビックリしたこと 朝からチーズ?

  


 今回も私が日本に持っていたお土産類は、9割方、食料品でした。

 主に、チーズ(いつもの定番はコンテ、パルミジャーノ、今回はリクエストがあって、一部モンドール)、バター、ドライセップ茸、インスタントスープ(今回はアスパラガス)、タラマ、ちょっと珍しめのスナック菓子類、チョコレート、マドレーヌなどなど、あらかじめ、リクエストがあった分は別として、一部は、あの人は、これが好きだったな~とか思いながら、買い集めるのですが、買い進むにつれて、だんだんわけがわからなくなり、だいたい、前もって会う約束している人は別として、誰に会えるかもわからないので、その数でさえ、不特定なので、最終的には、まあ、これくらいあれば、足りるかな?という感じになってしまいます。

 それらをこちらのスーパーマーケットなどのエコバッグなどに入れて渡しています。

 概ね、日本ではやたらと高い乳製品は大好評なので、友人などに渡すと、「さっそく明日の朝、食べるから、美味しいパンを買って帰ろう!」などと言って、実際に翌朝、「美味しく頂きました!」などとご丁寧に朝の食卓の写真を送ってくれたりするのですが、バターはともかく、「えっ?朝からチーズ?」となんとなくビックリしてしまうのです。

 たしかに私が子供の頃は、朝食でもチーズトーストなどは食べた記憶はあるし、ヨーロッパでもホテルなどのバイキング式の朝食などでは、薄切りのチーズが並んでいたりもするのですが、フランスに来て以来、朝からチーズ?というのは、どうもピンと来なくなっています。

 チーズといえば、どちらかといえば、食後に食べる感じで、なんとなく、朝からチーズ・・などというとウッとくる感じがするようになっています。

 私が子供の頃、我が家では、チーズはどちらかというと、父がお酒を飲む時のおつまみのような感じでした。

 そういえば、父が仕事でヨーロッパに出張に行って、帰ってきた時に、外国人との商談での食事での様子について、「ようやく食事が終わったと思ったら、チーズの盛り合わせがでてきて、それをみんな、嬉しそうに食べるんだ!」と話してくれたことがあって、「へえ~~?」と思ったことを今、これを書きながら、思い出しました。

 今は、まさにその逆バージョンで、私が持って行ったチーズを「美味しく朝食にいただきました!」という友人の話に「へえ~~?」と思うのです。しかも、彼女はモンドールまで朝から食べたというので、さらにビックリです。

 まあ、うちの夫だったら、大歓迎だったかもしれませんが、実際にかなりのチーズ好きだった夫も朝は、たいていは、バゲットにカフェオレで、チーズは食べていませんでした。

 いずれにせよ、日本人の方がしっかり朝ごはんを食べる人が多いということなのかもしれません。

 私もパリではほとんど朝食をとりませんが、日本に行くと、わりとしっかりと食べることが多いです。しかし、私の場合、正直、チーズとパンよりもお味噌汁に干物と納豆とごはん・・といった和食の朝食の方が好きです。

 また、お土産についてですが、シンガポールからやってきていた弟にもチーズいらない?バターは?と一応、お伺いをたてたのですが、どれも、「いらない・・」と冷たくあしらわれ、結局、彼が目を見開いて、喜んでくれたのは、なぜか宮古島に行った時にみつけて私が感激して山のように買ってきたチーズ味の「カール」(スナック菓子)(最近は、関東では販売しなくなったらしい・・)でした。



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2023年12月17日日曜日

フランス政府 2024年から薬の服薬指導を紙からQRコードへ移行開始

  


 フランス政府は2024年から薬の服薬指導の紙を廃止し、QRコードに置き換えることを目的とした試みを開始することを発表しました。

 2024年はひとまず、一部の薬の箱に、このためのQRコードが付加される予定で、長期的には、この薬の箱の中に入っている服薬指導の紙の廃止を検討する予定です。

 私がフランスに来たばかりのころ、フランス人はやたらと薬(ヤバい薬というわけではない)に頼りたがり、また、医者も気安くやたらと薬を処方するような気がする・・と思いました。

 そして、医者の処方箋をもらって薬を出してもらう薬も全て箱入りの薬で、やたらかさばる感じがした覚えがあります。それは今もあまり変わりません。

 現在、私は3か月ごとにかかりつけのお医者さんに通って処方箋を書いてもらって、薬をもらってきていますが、3ヶ月分の薬もそれぞれが箱入りとなるとなかなかこんもりとした量で、また、その箱の一つ一つには、まず読むことのない薬の服用指導の紙が入っており、この服用指導の紙に関しては、ほぼほぼ包み紙同様の扱いで、即刻、ゴミ箱へ直行してしまうもので、まず、読んだことがありません。

 だいたい、紙に書いてあることは長すぎる上に細かい文字で読みにくく、ごくごくたまにその薬について、知りたいことがあったとしても、薬の名前でググって調べる方がラクなので、全く必要がありません。

 私でさえも、こんな具合ですから、病院などでは、けっこうなゴミの量になるそうで、これは、なるほど、すごくいらないものだな・・と思います。

 これまでにも、フランスでは、環境問題に関しては、レシートが廃止されたり(とはいっても、頼めば貰えますが・・)、紙の広告のチラシなどが大幅に削減されたり、ファストフードの店内飲食には再利用できる容器が使われるようになったり、様々な試みが続いてきましたが、まだまだあるな・・削減できるもの・・と思います。

 その一つ一つは、大した量ではなくとも、小さいこと(でもないけど)の積み重ねで、少しでも環境問題を改善していこうと国主導でどんどん動いていくことが、大切なのだなぁと思います。

 それでも、やはり、QRコードの取り扱いに慣れていない一定の層はいるわけで、そういった人々に対する「薬剤師向けの紙の指示書の提供」など、さまざまな「解決策」が検討されているようです。

 しかし、まあ、そうでなくとも、たいていの場合、薬局の人は聞けば薬についても、よく教えてくれるし、結構、おしゃべり好きな人が多い印象なので、難しい説明書を読むよりもずっとわかりやすいのではないか?とも思われます。

 それに加えて、処方箋を出してもらう段階で、お医者さんに色々、聞くこともできるし、たとえQRコードがなくても、薬の名前でググれば、たいていは出てくるので、やっぱり、この紙は、ほとんど必要はありません。

 むしろ、薬の名前+(たとえば)副作用などと調べれば、ピンポイントで知りたいことが出てくるので、その方が全然ラクでわかりやすいです。

 いずれにしても、環境問題にせよ何にせよ、政府主導でどんどん対応していく感じが日本にはないフランスのよいところだな・・とも感じます。



薬の服薬指導QRコード 


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2023年12月16日土曜日

パリのノエルのイルミネーションさんぽ

  


 早いもので、今年もあっという間に一年が過ぎようとしています。12月も残り半月ほどになり、ノエルまでもう一週間と少しになりました。

 先月から少し、フランスを離れていたこともあり、なんとなくノエルに乗り遅れた感じもあり、また、今月は、どういうわけかお天気の悪い日が多かったりで、さっぱりノエルのイルミネーションを見に行けていませんでした。でも、その乗り遅れを取り戻すように、今年は、ぐる~っと一気に気になるところを見てきました。

 最初に行ったのは、ギャラリーラファイエットで毎年、一応、チェックする感じです。特に買い物もないのに、店内のドームのような空間のデコレーションやショーウィンドーを覗いています。


 今年は、大きなサンタクロースがあしらわれたツリー型の飾りで、ドームの天井に映える感じではありましたが、個人的には、今一つな感じの印象・・同様にショーウィンドーも今一つ惹きつけられる感じが薄い印象でした。

 後日、今度は、マドレーヌあたりから、フォーブールサントノーレを通ってルー・カンボンを横目で眺めつつ、ヴァンドーム広場へ、そして、チュイルリー公園を通ってシャンゼリゼまで歩きます。

 このコースは、けっこうハイブランドのお店なども多く、通り自体も可愛い大きなアーチ状のデコレーションをしていたり、オリジナルのクリスマスのモニュメントを飾っていたりするので、お店に入らずとも、通り沿いを歩いて行くだけでも、「お~~可愛い!素敵!」と楽しみながら歩くことができます。


 マドレーヌ寺院の近くのディオールは今年のディオールの統一デコレーションでお店が飾られており、なかなか華やかで、その脇にあるヴィラージュ・ロワイヤルというスペースはいつもきれいにデコレーションされていますが、しっかりノエルバージョンになっています。


 そこから、フォーブール・サントノーレを歩いて行くと、ハイブランドのお店が軒並み華やかなデコレーションのパレード状態、ルー・カンボンと交差するあたりで、再び、ディオール、そして、シャネルの独特なシャネルっぽいデコレーションに「ほ~~っ!」となります。



 しばらくすると、マンダリンオリエンタルホテルのオーソドックスではあるけど、シックで上品なデコレーション。

 


 そして、ヴァンドーム広場に行き付く直前には、ちょうどショパールとルイヴィトンが重なって見えるポイントが見えてきます。このショパールとルイヴィトンのデコレーションは毎年楽しみで、特にショパールのデコレーションはいつも品がよくて私が好きなデコレーションの一つでもあります。

 


 昨年のルイヴィトンは、これでもか!というくらいインパクト大な感じで、むしろ、ちょっと引く感じがしてしまったのですが、今年はそれに比べるとかなり、トーンダウンした感じがして、むしろ、隣のグッチの方がインパクトがある感じさえしました。(しかし、後になって、やはり、ルイ・ヴィトンにはびっくりさせられた!)

 





 今年のヴァンドーム広場には、ブルーの回転木馬が設置されていました。

 




 そして、現在、マルシェ・ド・ノエルをやっているチュイルリー公園を横目に、コンコルド広場を通ってシャンゼリゼへ・・。しかし、ここで、私は少々ズルをして、コンコルド広場からジョルジュサンクまではメトロで移動。

 今年のシャンゼリゼは、やけに早くから、街路樹のイルミネーションの準備をしていたので、何か特別なことがあるかと思いきや、特別なことはなく、いつもどおりに17時にイルミネーションが点灯します。

 17時きっかりにまず、パラパラと白いライトがつき始め、白いライトでシャンパンフラッシュが始まり、15分おきにこのシャンパンフラッシュタイムになります。

 しかし、白いライトがキラキラするのも一瞬はきれいなのですが、正直、個人的には、これはなくてもいい気がします。オレンジのライトの方が華やかでシャンゼリゼにも合っているし、実際にシャンパンフラッシュが終わって、ライトがオレンジに切り替わって明るくなると、周囲から、「お~っ!」という声が上がるので、このコントラストを感じさせるためならば、シャンパンフラッシュも良いですが、写真に撮っても、シャンパンフラッシュはあまり映えません。

 しかし、さすがにシャンゼリゼともなると、このお店がきれいとか、もう、そういうのを超えていて、この通り全体が全て華やかで美しく、やっぱりパリのノエルのデコレーションの中でも王道な感じがあります。


ゲランのお店のデコレーションはいつも同じトーンながらオリジナルな感じで好き

 そして、ついさっき、今年は、昨年に比べると控え目だと思っていたルイヴィトンですが、なんとずっと工事中だったビルが完成?したのか、ど~んと大きなきらきら光るトランクになっていて、ビックリさせられまさした。今年のルイヴィトンは控え目になっていたなど、前言撤回です。

街路樹のイルミネーションも霞むルイヴィトンのキラキラトランク

 なお、蛇足ですが、シャンゼリゼのイルミネーション全体の写真は、17時半頃、日が沈んでしまう直前、そして、ちょうどゲランのお店の前あたりのシャンゼリゼの中央にある場所がきれいに写真が撮れるポイントです。

通りの真ん中にこんな立ちスペースまであります!

2023年12月15日金曜日

極上の温泉と最高のお料理とおもてなし 鹿児島県霧島温泉 石原荘

 


 ごくごく若い頃には、海外ばかりに目が向いて、温泉に行きたいなどとはあまり思わなかったのですが、海外生活も長くなり、歳も重ねていくうちに、日本の温泉は、ことさら憧れの場所になり、ずっと、「日本の温泉に行きたい!」と、ゆっくりお湯につかって、のんびりして、美味しいお料理を食べることに憧れてきました。

 今回の日本への一時帰国では、かねてから従姉妹に「すっごくいいよ~!」と教えてもらっていた鹿児島県霧島温泉にある石原荘という宿にどうしても行ってみたくて、その宿の予約を軸にして、日本行きのスケジュールを立て始めました。

 前日に泊まった宿を出て、ひととおり観光をして、宿に着いたのは、4時ごろだったと思ういます。渓谷の中にあるような、ちょっと、ともすると通り過ぎてしまうような場所でもあるのですが、ようやく宿に辿り着いて、車を宿の前に停めると、すぐに宿の人が荷物を運んでくれて、車は、このままでどうぞ・・と宿の中に案内してくれました。

 宿の中のひとつひとつのインテリア、調度品、花、デコレーションなどは、しっとりと上質で、どれも落ち着いていて、センスよく、心地よい空間です。


 通されたラウンジでは、チェックインの間にお菓子とお茶が出てきて、その時に、別棟にある貸し切り露店風呂の予約をし、しばらくすると、お部屋に案内してくれました。



 私たちが泊まったお部屋は奥まった露天風呂がついたお部屋で、居間に寝室にお茶室までついていて、もちろん、お部屋のお風呂は24時間、好きな時に入ることができます。

 お部屋の担当の人が案内してくれたのですが、なんと上品な感じの若い外国人の男性で、流暢な日本語で、お部屋の中を色々と説明してくれました。私は、あまり意にも留めずにいたのですが、同行の友人がその方に向かって、「日本語お上手ですね‥どちらの国からいらしているのですか?」などと尋ねるので、私は「また~そんなこと聞かなくても・・」と内心、思っていたら、なんと、その男性はフランス人で、「あらまぁ~!こんなところにフランス人!」と私もビックリして、また、友人が「この人もフランスから来ているんですよ!」などと私の方を振り返ると、その方は、一瞬、嬉しそうにフランス語で挨拶してくれました。

 なにしろ、相手は日本語もフランス語もわかっているのですから、一緒にいた友人の手前、フランス語で長々と話すのも躊躇われ、少々、こちらの方がとまどっていると、よほど、厳しく躾られているのか、その男性は、そのまま勢いに乗って、フランス語で話しつづけることはなく、ひととおりの説明を終えると部屋から下がっていきました。

 もう長年の憧れであったお宿に興奮している私は、さっそく温泉へと、まずは部屋のお風呂ではなく、お宿の中の一番大きなお風呂にでかけ、次に予約していた貸し切りの露天風呂へ直行。

 そもそも宿泊客は、満室とはいえ、そんなに人数が多いわけでもなく、しかも時間帯が食事の時間帯にかかりかけていたこともあって、大きなお風呂も貸し切り状態。大きなお風呂には私たち2人だけ。サウナも水風呂もついていたのですが、とりあえずは、「これなら、泳げちゃうね・・」などと言いながら、温泉につかりました。

 同じ霧島温泉でも、前日に泊まった温泉とは泉質も違い、その違いを楽しみました。


 いくつものお風呂がある中央にあるラウンジのようなところでは、飲み物のサービスやアイスキャンディーまであって、なんなら、観光などせずに、一日中、宿にいればよかったかも?と思ったほどでした。

 そして、念願の夕食は噂どおりの絶品の連続で、季節のもの、地のものを中心としたお料理が絶妙のタイミングで出てきて、最初の食前酒として出てきたのが、地物の市販されていない蔵出しの焼酎のお湯割りで、香りが抜群によく、最近はお酒を飲まなくなっていた私も、これは、お料理にもバッチリあう調味料の役割だ・・と感じて、少しずつ頂きました。










 また、給仕してくれる方も行き届いていて、どんな質問にも適切な答えが返ってきて、本当に心地よい、まさに日本ならではの「おもてなし」、尋ねたことに対しても、決していい加減な返答をすることはなく、不確かなことは、「ちょっと確認いたしますね・・」と、その応対もとても自然で固さもなく、本当に素敵な応対でした。

 煮物、焼き物、揚げ物からご飯の炊きあがりまで、お客様の食べる時間や速度にあわせられていて、本当に見事なお食事で、ふっくらと釜で炊かれた新米など、「余った分は、おにぎりにして、お部屋にお持ちいたしましょうか?」と、後でお部屋の方に持ってきてくれました。

 これは、翌日の朝食の時も同じでした。




 しかし、優雅な温泉宿に泊まって、ゆったりとくつろげばいいものの、私は、せっかくだからと、お部屋の温泉を出たり入ったりと、忙しくしてしまう貧乏性。ちっとも、ゆっくりしていないことに気付いたのですが、だからといって、せっかくの温泉、じっとしているわけにはいきません。

 朝食の後に、フロントで、この宿の近くにある魚屋さん(東京よりもずっと安くて美味しい鰻があるという話を聞いていたので・・)の所在を尋ねたら、電話で問い合わせてくれて、持ち帰りの鰻を予約してくれました。

 こんな風に極上の温泉での一日には大満足でしたが、あっという間に過ぎてしまいました。

 帰りのチェックアウトのために、フロントにいたら、昨日のフランス人の男性がいて、もうこれで帰ってしまうからと思ったのか? いきなりフランス語でおしゃべりを始めて、とっても嬉しそうにお話してくれました。

 こんな秘境?で、フランス人もあんまりいないだろうし、フランス語を話す機会もあまりないだろうし、フランス語を話せることは嬉しいんだろうな・・と、逆バージョンではありますが、海外で生活している者どおし、なんとなく、気持ちがわかるような気がしました。

 とはいえ、私が住んでいるのはパリで日本人に会おうと思えばいくらでもいるので、全然違うとは思いますが・・。

 もう、今は、そのお宿で働き始めて8年目だとおっしゃっていましたが、ふつうの日本人としても、厳しいだろうと思われるそのお宿の礼儀作法など、ふだんのフランス人の生活を見ている私には、さぞ、彼も苦しかろうと思うのですが、奥様がその土地の方とのことで、頑張っておられます。

 日本の憧れの温泉に行って、頑張っているフランス人にも会えるというおまけつき、ぜひぜひ、また、いつか、あのお宿に行きたいと思っています。


鹿児島県 霧島温泉 石原荘

🌟妙見石原荘 鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4376


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2023年12月14日木曜日

12歳の少女が授業中に教師をナイフで襲う・・

  


 12歳の少女が授業中に教師をナイフで襲うという事件が起こり、騒然としています。この少女は、前の週にその教師と授業中に携帯電話を没収されたことで口論になった経過があり、この教師を殺す目的で、ナイフを持って登校していたと見られています。

 彼女は、2ヶ月ほど前にアラス(フランス北部オードフランス地域圏)で起こったことと同じこと(教師が刺殺された事件)をしたかったと語っており、ある程度、計画的な犯行であったと見られています。

 とはいえ、彼女は昨年度にも、教師に対する暴力事件で前の学校を退学になっていたという過去があり、今回もまた、同様の事件を起こし、教師に向かってナイフで切りつける前に「今回は、自分らしくありたい!」と叫んでから襲い掛かったということで、どう考えても、ふつうではありません。

 そもそも彼女が持ってきていたのは、刃渡り17センチのかなりしっかりしたナイフで、こんなものを学校に持ってくること自体、異常です。

 このナイフの話で思い出したのは、以前、娘がコロニー(スポーツなどのアクティビティーをするサマーキャンプのようなもの)に参加したときに、同室の女の子が突然ナイフを取り出したとかで、コロニーのディレクトリス(責任者)から、「おたくのお嬢さんが刺されそうになりました・・」と会社に電話があったことがあったのを思い出しました。

 今、思えば、ちょうど、同じ年ごろでした。

 その時は、他から話が伝わって大騒動にならないようにとディレクトリスが先手を打って、「そういうことがあったのですが、大丈夫ですから・・」という電話だったのですが、それこそ、そんな話を聞かされて、「あ~そうですか・・」で済むわけもなく、知人に頼んで、そのコロニーのオーガナイザーに連絡してもらい、厳重に監視してもらうように釘を刺したことがありました。

 「そもそも、コロニーにナイフを持ってくるなんて、ふつうじゃない!」と思ったことを思い出しました。

 無事に娘が帰ってきて、事情を聴くと、「同室の女の子の間で、1人、電気を消すか?とか、窓を閉めるか?とかいう、そんな些細なことで、いじけていた子でちょっとおかしな子だっただけで、大騒ぎすることじゃない・・」などと言っていましたが、カッとしてはずみで・・ということもあり得ないではありません。

 そもそも、ナイフを持ってきていること自体が異常です。

 普段、私立の学校に通っている娘にとっては、学校側が、問題のある子は、排除している環境の中で生活しているために、なかなかお目にかからないタイプで、「とにかく、世の中には色々な人がいるんだから、ちょっとおかしな子だと思ったら、刺激しないようにしないとダメだよ!」とキツく、言い含めたことを思い出しました。

 今回の事件を起こした少女は、「アラスと同じようにしたかった・・」と供述したことから、イスラム過激派であることも疑われてもいましたが、現在のところは、そのような背景にはないようで、両親はモンゴル人で彼女自身はマルセイユ生まれで、特別に特殊な環境で育っているわけではないと見られています。

 しかしながら、ナイフを持ち出すのも初めてのことではなく・・しかも、授業中に教師を殺そうとする・・とは、いくら腹立たしいことがあったとしても、どう考えてもふつうではないため、彼女には、精神鑑定が行われているということです。

 一度、ナイフを使用した暴力事件を起こした段階で、退学処分というだけで、また別の学校に転校させればよいという話ではなかったことは明白で、なんらかのケアが必用であったことは、言うまでもありません。

 とはいえ、今回の事件では、即、同教室にいた生徒たちも教師も避難したために、怪我人は出なかったそうですが、学校内での混乱は、計り知れません。

 フランスでは、よく、学校などで事件が起こったりすると、その後の精神的なケアをするユニットを学校内や地域に設置したというような話を聞きますが、その実、問題を起こした張本人のその後について、ある一定の期間は、治療や施設での更生を行うものの、案外、あっさり放置されたりもする話を聞くので、その後も、しっかりと支えてあげてほしいな・・と思います。


12歳の少女の教室での殺人未遂事件


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2023年12月13日水曜日

フランスの学校での制服 2024年春から試験的に開始

  


 フランスの学校での制服着用案が議会に提案されたのは、今年の初め頃だったと思いますが、その時は、押し付けられ、強制されるのを嫌うフランス人には「ムリでしょ!」と机上の空論に終わるかと思っていたのですが、どうやら、その計画は着々と進んでいたようで、早いところでは、2024年の春から試験的に開始されるそうで、ちょっとビックリしています。

 とはいえ、現段階では試験的な試みなので、その効果について、少なくとも2年間は様子を見て、その効果を測定する期間として、この制服採用について「生徒の幸福度、学校環境、学業就業における社会的不平等の軽減に対する制服の影響を測定し、家族のサポートや関係者間の協力方法の問題を分析する」としています。

 これらの制服採用については、小・中・高等学校を対象とし、このテストに参加するのは、現在のところ、トゥルコアン、ランス、ニースの各都市、アリエ県、アルプ・マリティーム県、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏などの一部の学校のみで、この試験的試みは国から一部資金提供されるため、数は限られています。

 各生徒の基本キットは、ポロシャツ 5 枚、セーター 2 枚、ズボン 2 枚で構成される場合があります。 しかし、一部のコミュニティでは、全体のうちの一部だけ、たとえばポロシャツとセーターだけを使用することを想定しているということなので、日本の学校の制服のイメージとはちょっと異なる感じです。

 このキットの費用は 200 ユーロ(約3万円程度)ですが、家族は何も支払う必要はありません。 推奨される方法は、半分は国、半分は自治体が資金を提供する方法がとられます。

 また、子どもの成長に応じて服が小さくなったり、破損したりした場合、各子どもには1年ごとに新しい着替えを受け取る権利があるということです。

 この試験的な試みの中には、制服を義務化した場合に拒否した学生についての対応として、学校の内規にこれを取り入れるということも実験内容の一つに組み込まれているようです。

 義務化に関しては、その内容如何に関わらず、必ず反発が生まれると思われるフランスで、この実験結果は興味深いところでもあります。

 しかし、このインフレが進む中、楽観的に考えれば、学校での服飾費200ユーロを国が負担してくれるということで、宗教的な服装云々の問題を除いて考えるならば、低所得層からは、歓迎される可能性もあります。

 今回の話は、あくまでも試験的な試みを開始するということなので、とりあえず2年間はその行方を見て、具体的に全国的に実施するかどうか判断するということになるのでしょうが、そのどちらにしても、この話が議会に提出されてから、あっという間に、テストケースとはいえ、具体的に動き出す政治のパワフルでスピーディーなところが凄いなぁ~と感心するところです。

 実際に全国展開する前に、試験的に試みて、検討する期間を設けるところも、実施するにしても、やめるにしても、説得力のあるところです。

 私は制服のある学校に行ったことはないので、制服を着るという気持ちを味わったことがないのですが、単に社会的不公平感がどうのというだけでなく、まず、決められた服装に従うということや、皆が同じ服を着るという統制される感じが、学生の感性に影響を与えるところもあるのではないか?そんなことも思います。

 しかし、ちょっと前までは、思ってもみなかったフランス人の学校での制服というものがどんなものになるのか?楽しみでもあります。


フランス公立学校制服


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2023年12月12日火曜日

日本のフライト 国際線と国内線

  


 今回の日本への一時帰国で、国内旅行をする機会があり、ものすごく久しぶりに国内線のフライトを利用しました。むしろ、久しぶりというよりは、これまで、私は国内線のフライトというものに、過去2~3回しか乗ったことがありませんでした。しかも、かなり昔の話です。

 なので、ほぼほぼ、以前、それがどんなだったか、はっきり記憶にもないほどなのですが、今回、国内線のフライトに乗ってみて、いくつか驚いたことがありました。

 今回は、羽田から宮古島に行った時と、鹿児島に行った時に飛行機に乗ったので、国内線としたら、長いフライトの類だとは思いますが、それでも国内線とのことで、パスポートコントロールなどはないので、1時間、せいぜい1時間半前までに空港に行けばよいと思い、そのあたりは、全然、気楽でした。

 フライト自体は鹿児島で2時間弱、宮古島で3時間半くらいで、さすがに私が一番よく乗るパリ⇔羽田便の12時間(現在はもう少し長いけど)に比べたら、全然、楽なのですが、今回、往復併せて4回のフライトは、どのフライトも全て遅延で、そのいずれもが機体整備に時間がかかっているとのことでしたが、国内線というのは、こんなに遅れるものなのか?とちょっとびっくりしました。

 なんとなく、自分の中には、いつの間にか、日本の交通機関は時間に正確というイメージがあり、これが、エアフランスとかだったら、遅れても驚かないし、むしろ、時間どおりだったら、驚くくらいなのに、自分でもおかしなものだな・・と思いました。

 私のイメージを作っていた日本の交通機関の時間の正確さというものは、鉄道に関することだったのでしょうか?

 国際線にしても日本の航空会社だと、まずオンタイムのことが多いし、飛行時間が長いので、遅れて出発しても、途中、飛行速度を調整しているのか? 飛行中に遅れを取り戻してくれたりするので、さすが・・と思ったりするのですが、国内線の場合は、そもそもの飛行時間が短いために遅れを取り戻すのも難しいかもしれません。

 おかげで、到着後のスケジュールがずれてしまい、貴重な日本での一食の機会を失ったもので、ちょっとガッカリしたりもしたのです。

 私はフランスでも、ほぼ国内旅行というものをしてこず、ましてや飛行機でフランス国内を移動したのは、1回だけ、ビアリッツに行った時だけで、その他は、イタリアなどのヨーロッパ内の移動なので、国際線になります。しかし、飛行時間を考えれば、ミラノまで1時間ちょっと、ローマまでは2時間ちょっとで、日本での国内線の飛行時間と変わらないので、国際線とて、楽といえば、楽です。

 そして、もうひとつ、今回、驚いたのは、日本国内のフライトでは、ペットボトルなどの持ち込みがOKだったことで、国際線同様、ペットボトルがダメだと思っていた私は、荷物チェックの前までに、一生懸命、持っていたペットボトルを空にしようと頑張って必死に水を飲みきったりしていたのですから、それがOKだったと知ったときの拍子抜けといったら、ありませんでした。

 何やら、ペットボトルの中身をチェックするような機械があったりもしたので、なんなら、これを国際線にも使ってもらえないだろうか?と思ったりもしました。

 液体類の持ち込みに制限ができたのは、いつだったかは、もうはっきりも記憶にないくらいなのですが、全く迷惑な話で、パリ⇔羽田便で経由便を使いたくないのは、このチェックをトランジット先の空港でも再びやらなければならないということも大きくて、一度、羽田からの帰りの便で前の便の到着が遅れたうえに、ターミナル間の移動に時間がかかったうえに、このチェックで次のフライトに乗り遅れそうになったことがあり、直行便にすれば、少なくともこのような煩わしさが一度は回避できると思ってしまうことにあります。

 日本の国内線に関して言えば、飛行時間が短いゆえに、その後のスケジュールまで、前もって目論んでしまっていたのですが、今回、私が乗った便がたまたま遅れただけなのか?それとも、遅れることは、珍しくないのか?と考えてしまいます。

 それによって、今後、日本の国内線に乗る際は、スケジュールに余裕をもって旅程を組んだり、予約するフライトの時間をずらしてとることも考えるべきなわけで、ほぼほぼ国内線初心者の私は、日本の国内線事情について、もう少し知っておくべきだったな・・そして、ここぞとばかりにスケジュールの詰め込みすぎはダメなんだな・・と思いながら、また、今度、日本に行ったら、どこへ行こうか?ともう、日本国内で旅行することをさっそく考えているのです。


国際線と国内線


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2023年12月11日月曜日

パリ8区の高級ブティックで強盗 被害総額60万ユーロ

  


 年中を通して治安の悪いパリも12月となると一段と治安が悪くなるのは、毎年のことです。

 今回起こったのは、高級ブティック狙いの強盗で、この種の強盗は、季節的というよりも、もはや定期的に起こっている気もします。

 事件は日曜日の朝10時45分頃、シャンゼリゼからもほど近いパリ8区にある高級ブティック KITH(ニューヨークの高級ブランド)で起こりました。覆面をした2人の男が店に乱入し、催涙ガスを使用したうえで、持ってきたハンマーでショーケースを割り、多数の高級時計や宝石類を強奪し、バイクで逃走した模様です。

 犯行時間はわずか2分で怪我人は一切なしという鮮やかさ。現在のところ、犯人は逮捕されておらず、パリ検察庁は、この種の強盗を専門とする強盗鎮圧旅団に委託して捜査を開始しています。

 被害総額は少なくとも60万ユーロに及ぶ模様です。

 このような強盗事件は、たびたび耳にする話のような気がしますが、事件が起こった時は、一応、報道されるものの、その後に犯人が逮捕されたという話はいっこうに耳にすることはありません。

 このような高級ブティックでは、まず顧客や店員の安全を第一に確保するように店舗側も体制を敷いているため、まず、その場で犯人が確保されることはありません。だいたい、このような高級ブティックでは、盗難被害は保険がカバーするものと思われますが、ノエル前の商品が一番、売れる時期に商品がなくなるわけですから、たとえ、その分の金額が補償されたとしても、破壊されたショーケースや売れるはずの商品が消えてしまい、やはり大変な痛手であるにちがいありません。

 その同日、ホテルリッツでは、宿泊客がホテル内で紛失していた75万ユーロ相当の指輪が掃除機の袋の中から発見されたというニュースが報道されています。この指輪の持ち主はマレーシア国籍の経営者ということで、先週末にパリ中心部の警察署に盗難の被害届を提出していたそうで、これがホテル内で起こったということで、リッツ側もホテルの信用問題をかけて必死の捜索を行った模様です。

 しかし、強盗事件では60万ユーロ、ホテルリッツの掃除機からは70万ユーロの指輪、双方ともに、1億円近い宝石類が強奪されたり、掃除機の中から出てきたり、少し前の空港からの車を襲撃された人の被害総額57万ユーロなどなど、一般庶民としては、あまりに金額が凄すぎて、現実味のない話でもありますが、あるところには、あるんだな・・などと思ってしまいます。

 しかし、不謹慎ではありますが、数々の犯罪や強盗事件がある中で、わずか数分で負傷者を出すことなく、消え去ってしまう高級ブティック・宝飾店狙いの強盗は、鮮やかとさえ感じてしまう部分もないわけではありません。


高級ブティック強盗 60万ユーロ被害


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2023年12月10日日曜日

Vinted(ヴィンテッド)で殺人事件が起こった!

  

 

 パリ近郊ヴァル・ド・マルヌ県ヴァラントンの路上で、16歳のティーンエイジャーが刺殺されたという話で、また、どんな乱闘騒ぎがあったのか?と思ったら、それがVinted(ヴィンテッド)(フリマサイト)での商品売買の際に起こったものであったことを知り、すごく驚きました。

 Vinted(ヴィンテッド)は、私もおこづかい稼ぎによく利用しているフリマサイト(日本でいうメルカリのようなもの)で、その売買の現場で殺人事件が起こるなどとは、これまで聞いたこともなかった話だったからです。

 そもそも、ヴィンテッドの大半は、商品の売買は、直接、売り手と買い手が会うことはなく、商品への質問や値段の交渉などはサイト上で行われているもので、商品の受け渡しは発送するのが通常であり、代金の支払いもサイトを通じて行われ、その間のトラブルなどに関しては、ヴィンテッドが介入してくれるので、これまでに深刻なトラブルになったことはありませんでした。

 ごくごくたまに、急いでいるので、直接、手渡しにできないか?とか、その際に連絡するために携帯ナンバーを教えてもらえないか?と頼まれることはあっても、安全上の理由から携帯ナンバーを教えることは、お断りしています。

 今回の殺人事件はティーンエイジャーの間の出来事で、どのような交渉の末に実際に対面での売買という話になったのかはわかりませんが、一応、サイト上での交渉は成立していたようで、被害者の少年は、商品の引き渡しに行った際に刺された模様です。

 一応、この少年は、商品の引き渡しに際して、一応は警戒していたようで、1人ではなく、友人たちとともに3人で出かけたようですが、商品の引き取りにあらわれた人物もまた6人で現れたようで、買い手の方が代金を支払わずに商品を奪おうとした際にナイフを持ち出し、結果的には、少年一人を殺してしまったようです。

 引き渡しに行った3人の少年のうち2人が刺され、致命傷に至った少年の傷は、大腿動脈に達しており、もう一人が血を流しながら道路に辿りついてから、通報したと言われており、警察が駆け付けた際には、少年の一人はすでに心肺停止状態であったそうです。

 その事件が起こった約3時間後に、パニック状態に陥った犯人とみられる母親の女性から息子が自分のしてしまったことに対して自責の念を感じ、3階から飛び降り自殺を図ろうとしたと通報があり、警察が駆け付けると少年は泣き叫んでいたと伝えられています。

 被害者、加害者ともに16歳のティーンエイジャーで、そのきっかけとなったのは、ごくごくシンプルなNike(ナイキ)のジョギングスーツとのこと、あまりに稚拙でこのようなことで命を落としてしまうとは、泣くにも泣けないような気もしてしまいます。

 私の場合は、ヴィンテッドで買い物をすることはありませんが、全くの見ず知らずの人とのやりとりなわけで、その人の過去の売買記録の点数ややり取りに対するコメントを参考にすることは、やっぱり必要で、このようなケースは非常に稀なケースとはいうものの、実際に会って手渡しというのは、警戒すべきだなと思うのでした。


Vinted(ヴィンテッド)殺人事件


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