49.3条(首相の責任のもと、採択せずに法案を通してしまう法律)が発令されて以来、毎晩、続いているデモ?はもうこれで6日連続になりました。
こんなことが毎日、続いていて良いはずはありません。しかも、このデモは日に日に過激になっている感があり、昨日、年金改正法案がついに通ってしまったのを区切りに、より暴動に近い暴力的な要素が色濃くなってきた感じがあります。
前夜も夜遅くまで群衆が集結していたパリ・リパブリック広場が昨夜の舞台の中心となりました。
そもそも、ここ数日のデモは、届け出の出されていない(フランスはデモの権利がとても尊重されていますが、事前の許可を届け出る必要があります)無認可の自然発生的に近いデモで、この日は学生の集団抗議デモが日中から、パリ近郊から12区にかけて行進していました。(この段階ではまだ、暴力的ではなかったようなのですが・・)
しかし、どこからとなく声があがり始めた「18時リパブリック広場に集結!」の号令に合わせたように、18時を待たずして、夕刻からリパブリック広場には、すごい人が集まり始めました。
そして、すぐに、山積みにされたゴミとともに近くに停めてあったバイクが勢いよく燃えはじめ、その火の勢いとともに、盛大な黒煙がたちのぼり、一気に物騒な感じになりました。
また、この集まりは、すでに単にゴミを燃やすだけにはとどまらず、警護にあたる警察、憲兵隊に向けて、ロケット花火が発火されたりして、一時はこの警備隊も後ずさりせざるを得ない、まことに危険な状況に陥りました。
MANIFS / RETRAITES : Des tensions éclatent aux abords de la place de la République à Paris. pic.twitter.com/IJuLiRuRnK
— Infos Françaises (@InfosFrancaises) March 21, 2023
もうロケット花火などの武器を持参してデモに参加している時点で、これはもうかなり暴力的なものになっているわけで、暴力行為がエスカレートしてきていることは明白で、応戦する警察もたまったものではありません。
そもそも49.3条が発令された木曜日以来、パリだけでも連日連夜(もう6日間)、毎晩遅くまで2000人の警察官が動員されているそうで、警察も疲れ果てていることと思います。
もう法案は決定してしまったというのに、この暴動がおさまらないということは、終わりが見えないということです。
これまで、公にはこの件で沈黙を守ってきたマクロン大統領は、22日、ジャーナリストからのインタビューに答えるという形で生放送でようやく重たい口を開くようですが、また、この放送時間帯が13時ということで、この映像は、繰り返し流されることになるとはいえ、この放送時間帯の視聴者は、すでに引退している人向けの時間帯で、どこか消極的な姿勢が見え隠れする空気もあり、あまり大したことを話すとは見られていません。
現在のフランスの状況で、マクロン大統領がいつもの調子で正当性を全面にかざして話をしたところで火に油を注ぐだけだと思われます。
しかし、だからといって、このままで良いわけはなく、どうするつもりなのか、本当にマクロン大統領に聞いてみたいです。
そもそも3月7日から始まっているパリのゴミ収集業者のストライキはまだ一向に終わる気配もなく、少なくとも来週の月曜日までは続くと言われています。
このゴミ問題だけでも大変な被害で、ゴミ収集場所の近隣の飲食店などは、さすがのパリジャンも、もう客足の減少が著しく、臭いも強烈で、ましてや毎晩のように山積みのゴミが街中で燃やされているのですから、その燃え上がる炎の映像だけでも衝撃的ですが、映像では伝わらない、街中で数日放置されたゴミが燃える臭いは、強烈です。
パリの住民もさすがに、もうこれには、辟易してきて、ゴミ収集分の税金を支払わないなどと言いだしている人まで出没しています。
世の中の動きや政治の動きなどは、長い歴史の中で時間がたってからでないと、その良し悪しが判断できないものが多いですが、今回のこのフランスの年金改革騒動、かなりの痛みを伴っていますが、あとになって、痛みを伴ってでさえも、あの時の判断は正しかった・・となるのかどうか・・ともかくも、痛みは最小限にとどめてもらいたいです。
49.3条 年金改革反対デモ ゴミ問題
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