2024年4月27日土曜日

パリオリンピック開会式1週間前からの通行止めとメトロ・RER 17駅閉鎖

 



 オリンピックの期間中は、かなり厄介なことになるだろうな・・予想はしていたものの、少しずつ具体的なプランが発表され始めて、けっこうウンザリしています。

 パリ警視庁は、「2024年オリンピック開会式 安全保証セキュリティ システム」として、オリンピック前後の通行止め、駅の閉鎖などを発表しました。

 オーステルリッツ橋からイエナ橋までの 6 キロ以上のセーヌ川の上をボートでパレードし、トロカデロでグランドフィナーレセレモニーを行うという前代未聞のオリンピック開会式は、その警備も前代未聞のようで、その1週間前から、この開会式の行われる予定の中心部には、赤とグレーの境界線が設定され、一般市民も思うように動けなくなります。

 このあたりを通行するためには、デジタルパスを事前に用意する必要があります。

 歩行者と自転車は、デジタルパス、チケット、または式典へのアクセスを許可するアクセス許可を持っていることを条件として、このエリアへのアクセスが許可されますが、グレーのゾーンには一般車両(特別なケースを除いて)は通行ができなくなります。

 特に開会式当日 7月26日午後1時からは、治安部隊と緊急サービス以外は通行止めになります。

 また、7月18日から、このグレーのエリア内にあるメトロの駅は閉鎖され、これらの境界線を横切るバス路線は迂回路線を通ることになります。

 最も厄介なのはメトロで、1週間前から17駅が閉鎖されます。駅によっては、期間がもっと、長くなるため、注意が必要です。

<7月18日から開会式まで閉鎖される駅>

・Tuileries ①

・Concorde ①,⑧,⑫

・Champs-Elysées Clémenceau ①,⑬

・Alma Marceau ⑨ 

・Iéna ⑨

・Trocadéro ⑥,⑨

・Passy ⑥

・Quai de la Rapée ⑤

・Cité ④

・Javel ⑩

・Musées d'Orsay(RER C)

・Champ de Mars Tour Eiffel(RER C)

・ Pont de l'Alma(RER C)

・⑦号線の Châtelet (⑪号線を含む), Pont Marie, Pont Neuf, et Sully Morlandの区間は乗客を乗せずに通過します。

 また、Champs-Elysées Clémenceau ①,⑬駅、は、7月1日~9月21日まで閉鎖、アーバンスポーツイベントが開催されるコンコルド広場、Concorde ①,⑧駅、Tuileries ①は6月17日~9月21日まで閉鎖、Concorde ⑫は5月17日~9月21日まで閉鎖されます。

 もっとも、このあたりは、駅と駅の区間が短くて、これらの駅が閉鎖されても歩いて別の駅に行くこともできるので、まるで動きがとれなくなるわけではありません。ただし、以前、ラグビーワールドカップの時にコンコルド広場にラグビーヴィラージュができていた時に、試合によっては、周囲に近寄ることができないこともあったので(歩行者にも交通規制が敷かれていて、ものすごい迂回させられました)、そういうことがないとも限りません。

 また、トラムについても以下が閉鎖予定です。

・Porte d'Issy (T2) 、Porte de Versailles (T2, T3a)は、7月25日~8月11日、8月29日~9月7日

・Colette Besson(T3b)は7月27日~8月10日、8月29日~9月8日

 まあ、主な閉鎖駅に関しては、オリンピック開会式の前の1週間のことで、しかも、限られた地域(とはいっても、セーヌ川を沿ってパリを分断する感じ)ですが、とはいえ、今は机上のプランですが、実際にその期間になれば、ここに人が溢れかえった状態になっているわけで、最近、パリ市内を移動していても、ここも、ここも人で溢れかえるのか・・と想像するだけでゾッとしています。

 しかし、ここまでやるのだから、絶対に成功してほしいと思っています。セーヌ川の上で94 隻の船で 10,500 人の選手がパレードするなんて誰が考えたのか? これはテレビで見るしかないだろうし、綿密にカット割りなども美しく構成されているだろうし、成功したら、本当に素晴らしいし、楽しみでもあります。

 

パリオリンピック1週間前から閉鎖されるメトロの駅


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2024年4月26日金曜日

フランスの空港管制官のストライキ 飛行機がキャンセルになった場合

  


 かねてから予告されていた空港管制官のストライキは、やっぱりけっこうな規模のもので、ストライキに動員されるとする人数から、オルリー便の75%、ロワシー便の55%がキャンセルになると予想されていました。

 航空管制官らは航空交通管制の見直しを規定した改革に抗議するために動員され、経営陣が提案した支援策は十分ではないと考え、特に5年間で25%の報酬増額を要求しています。

 労働組合との協議は難航していたものの、ストライキ通告は、一旦、解除されたにもかかわらず、結果的には、多くの空の便に影響が及び、マルセイユ・プロヴァンス空港発の便の65%、ロワシーシャルルドゴール空港発の便の55%が欠航となりました。

 フライトの欠航は主に短距離および中距離のフライトではありましたが、短距離・中距離のフライトを乗り継いで、長距離便に乗るという人もいるわけで、フライトのキャンセルはその後のホテルなどの日程までキャンセルしなければならない大変なこと。とても他人事ではありません。

 最も影響を受けたのは欧州地域での運航を増やしている格安航空会社で、ライアンエアーだけでも300便以上、イージージェットとトランサヴィアはそれぞれ200便以上がキャンセルになりました。

 これらの航空会社は通常運行の場合は、本当にビックリするくらい安いのですが、このようなトラブルには、めっぽう弱いようです。

 ストライキによるフライトキャンセルの場合は、チケットをキャンセルして払い戻し手続きを行うか、フライトを変更する必要があります。

 このフライト変更に伴う時間差間の食費・宿泊費も航空会社が一定の金額を負担しなければならないことになっているので、請求するべきです。請求しなければ、支払ってくれません。

 航空会社が代替便への変更を提案してくれる場合もありますが、必ずしもこれに応じる必要はなく、チケットをキャンセルする権利があります。チケットをキャンセルする場合は、フライトの飛行距離によって最低補償金額が定めらており、1,500 キロメートル以下のすべてのフライトの場合は 250 ユーロ、1,500 キロ以上のフライトには 400 ユーロ、それ以上の場合は、600ユーロということになっています。

 ただ、ここが格安航空会社の落とし穴で、この払い戻し手続きや返金、補償のシステムが一部の企業では明確であるものの、そのルールに透明性がない会社もあるのも現実のようです。

 しかし、このような時は泣き寝入りはもったいない!とにかく、被害を被っているのですから、ダメ元でも、取り返すつもりで、返金手続きはするべきです。

 この航空管制官のストライキ、組合と経営者側の協議は15ヶ月間も続いているのに、一向に進捗が見えず、挙句の果てにこの大がかりなストライキで迷惑を被る乗客は、全くのとばっちりです。

 私も旅行が大好きなのですが、いつも不安をよぎるのは、このストライキでキャンセルになったら・・ということ。

 ちなみに、一応、規定では、ストライキに加えて、フライトが少なくとも 3 時間以上遅延した場合、フライトのキャンセルに相当すると考えられ、航空券の払い戻しを要求できるそうです。

 FNAUT(La Fédération Nationale des Associations d'Usagers des Transports)(全国交通利用者団体連合会)は、航空会社が適切な対応をしない場合は、民間航空総局 (DGAC) に連絡して払い戻しを受けるようにアドバイスしています。

 もっとも、そんなことをしなくてよいのが一番で、避けられるものなら、避けて予約したいものですが、なかなかそうもいかずに難しいです。

 今年はオリンピックがあるので、少々イレギュラーな気もしますが、彼らは特に迷惑がかかる時期を狙ってストライキを起こすので、子どもの学校のバカンスの時期などが時期的には、狙われやすい気がします。でも、子どものバカンス時期にしか出かけられない人もたくさんいますよね・・。まったく酷いです!


フランスの空港管制官のストライキ


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2024年4月25日木曜日

ニース市長 夏季期間中の13歳未満の夜間外出禁止を発表

  


 未成年による超暴力的な事件や非行の増加や過激化による問題は、昨今、報道されるニュースからも深刻な問題となっているのがわかります。

 そんな背景を受けて、フランス国内の複数の地域の市長らは、13歳以下の未成年の子どもに対して、夏季期間中の夜間外出禁止令を発表しています。

 最初にこの夜間外出禁止令の発令が注目されたのは、ベジエ市(フランス南西部・オクシタニー地域圏)の極右に近い市長の発表で、「13歳未満の未成年者は、4月22日から9月30日まで、午後11時から午前6時まで、市内の3つの地域に外出してはならない」というもので、「これに違反した子どもたちの親は刑事訴追の対象となる可能性がある」と警告しています。

 また、この未成年の非行問題対策に追随し、ニース市長もまたこれに同意する意向を表明し、「5月より、13歳未満の未成年者は午後11時から午前6時までの間、一人での(保護者なしでの)外出禁止」を発表し、これが再度にわたるものであった場合、保護者を強制的に子育て講習に呼び出すようにしたいと語っています。

 外出禁止といえば、コロナウィルスによるパンデミックの際のロックダウンを連想してしまいますが、今回、対象とされているのは、未成年で、しかも13歳未満の子どもの話です。

 逆に市長に禁止されるまでもなく、そんな時間に親が子どもを外出させるということ自体が私には考えられないことで、その子どもがどうこう以前に、そんな時間に子どもの外出を許している親の方がどうかしている気がします。

 しかし、こういう法令が出されるということは、それを看過している親が少なくないということなのでしょう。

 「門限」という言葉がありますが、いい大人ならともかく、13歳未満の子どもの門限が夜の11時というのも、なんなら甘すぎるような気もします。夏の間は日も長く、いつまでも明るいので、暗くなったら、家に帰るというのが夜の11時?ということなのかもしれませんが、そのあたりもなぜ?夜間11時にしたのかは、よくわかりません。

 13歳未満といえば、フランスでいえば、小学校から中学校のはじめくらいの年齢です。

 我が家の娘がそれくらいの年齢の時は、まず昼間でさえも、ほぼ一人で外出させるということもなく、まず、ウィークデーなどは、学校にいる時間が長かったし、お休みの日もお稽古事などで、ほぼスケジュールがキツキツで外出する時間などなかったし、夜に子どもが一人ででかけるなど、想像したことさえもありませんでした。

 休日の日にお友達の家に行ったりするのも、必ず送り迎えをしていたし、私が行けないときは、お友達のパパやママが家まで送ってきてくれたりしたものです。ですから、夜遅くに子どもだけで集まるなどというお友達もいなかったのです。

 子ども自身が非行に走るというよりも、それ以外にも危険な目にあったり、事故にあったりしないかとそんな心配はしていて、周囲の保護者たちも幸いにそういうスタンスの人たちばかりだったので、それは、当然のことだと思っていました。

 こうして考えると、私立の学校は、概して親の意識が高いなので(というか普通なので)、そういう環境に子どもを置くこと、悪い環境から子どもを守ることは、大切なことなのだと思うのです。

 子どもの犯罪の低年齢化や激化、悪化について、社会のせいにする人々もいるようですが、特に未成年の子どもに関しては、ほぼ親の責任だと私は思っています。

 親がしっかりとしていれば、こんな法令をわざわざ制定するまでもないはずだと思うのですが、これが必用だということは、そんな年齢の子どもを放置しているということです。

 子どもも子どもですが、それを許している親の方がどうかしていると思うのです。

 なんなら、深刻な事件を起こしている未成年の年齢を見ていると、14~15歳という年齢が多いような気もするので、13歳未満などと言わずに、未成年は・・としてもいいくらいかだと思います。


13歳未満の夜間外出禁止


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2024年4月24日水曜日

SNCF(フランス国鉄)のストライキ回避のための活動早期終了制度 早期退職制度

  


 SNCF(フランス国鉄)は、年明けからしばしばストライキを始め、2月の段階ではかなり大々的なストライキをすでに行っており、これにより、15万人の人々が足止めをくう大混乱を引き起こしていました。

 これによる国鉄側の損害も相当なものであったはずですが、その後も労働組合側は初夏からオリンピック期間に向けてのストライキを予告しており、これをどうおさめるのだろうか?と思っていたら、案外、あっさり経営者側と労働組合の話し合いの折り合いがついたということで、意外に思いました。

 しかし、この折り合いがつくのも、当然といえば、当然で、彼らの要求であった年金改革による影響を軽減するという希望が叶ったようです。一般人の立場からすれば、「あんなに大騒ぎして改革した年金改革はなんだったのか?」と思うほどです。

 そもそも、SNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)などの鉄道関係の運転手や管制官などは、退職年齢がかなり早く設定されており、年金改革後も引き上げられたとはいえ、一般職から比べると法廷退職年齢も低く設定されていました。

 職種によって、法廷退職年齢が考慮されるのは、当然だとは思いますが、それがかなり幅があることに違和感もあります。

 今回の国鉄経営陣と労働組合が締結した契約によれば、会社からの給与を残したまま退職を認める新たな「活動早期終了制度」というものを設けています。

 これは、国鉄の中でも職種によって期間が異なるものの、過酷な仕事として位置づけられている運転士や転鉄士(ポイント切り替えなどを行う仕事)に関しては、法廷退職年齢の30ヶ月前には、活動早期終了制度を開始することができ、その間の15ヶ月間働いた分には100%、その後の15ヶ月間については、仕事をせずに給料の75%が支払われるといい、管制官に至っては、36ヶ月前にこの制度が開始できるというものです(18ヶ月は仕事をせずに75%分支払い)。

 国鉄側はキャリアの終わりを2つの期間に分割する制度と説明していますが、結果的には、早期退職が認められつつ、75%とはいえ、給与が支払われるわけですから、年金改革前とどこが違うのか?と思ってしまいます。

 今回の国鉄の決定により、とりあえずは5月以降のストライキが回避できたということで、今後、様々な公共交通機関がストライキを予定していますが、この国鉄の決定が指針のひとつになるのではないか?という見方もあります。

 とりあえず近々では、空の窓口である空港の管制官がストライキを予告しています。

 とにかく、今年は、オリンピックという一大行事を控えているため、最低限でも公共交通機関のストライキは、絶対に避けたいことに違いないので、今のタイミングのストライキ、あるいは、その予告は、いつも以上に要求が通りやすくなってしまっているのかとも思います。

 だいたい、ストライキがなかったとしても、なんらかのトラブルは必須な公共交通機関です。そのうえ、ストライキなんてことになったら、大変なことです。

 しかし、昔からこのSNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)などの特別扱い感は満載だったのが、年金改革で少しは軽減されたかと思っていたのに、結局は、やっぱり特別扱いなのには、「やっぱり結局、変わらないじゃん・・」という気がしてしまいます。

 運転手はなにも国鉄だけではないだろうに、他の交通機関の運転手は、「運転手は国鉄だけじゃない!」と怒っているんだろうな・・と、少しまえに乗ったタクシーの運転手さんが、「タクシー運転手は夏は働かない人が多いよ・・」と言っていたことを思い出します。

 外部の反発を恐れてか、SNCF側は、年金改革を否定するのではなく、あくまで一部を緩和するものとしていますが、この一部緩和でさえも、ふつうは認められないものであることには、かわりありません。


SNCF(フランス国鉄)活動早期終了制度


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2024年4月23日火曜日

続々と発表される社会保障費の削減について

  


 昨年、大騒動を巻き起こした年金改革がどうにかおさまったと思っていたら、ここのところ、立て続けに社会保障の削減が続々と発表されています。

 ついこの間は、失業保険の受給期間が削減されることが提案されたばかり。これに関しては、もちろん、第一には、失業率を下げるため、失業後にできるだけ早く仕事に就くことを促すためと言われていますし、一部は、初めから失業保険ありきの働き方をしているというか、受給資格を得るまで働いて、その後はしばらく失業手当で生活している人などがいることを理由のひとつに挙げています。

 後者のようなケースの場合、そもそも再就職が比較的、容易に見込める場合なのだと思うのですが、比較的、本人にとっては、深刻な話でもないかもしれません。

 ただ、底辺の人たちにとったら、再就職はそんなに簡単なことでもなく、おまけに就業期間中に支払う失業保険料の金額が減額されるわけでもないので、まさに、まさかの時の保険なわけで、「そんなことはありえない!」と抗議の声があがっていることも事実で、本当に困っている人からも保障を奪ってしまいかねないことになりかねません。

 今回、この失業保険に続いて、また、他の社会保障が削減されるというので、今度は何かと思ったら、家族援助や最低限の老齢年金保障のようなものを受給するためには、最低9ヶ月はフランスに滞在していなければならない(これまでは、6ヶ月間)というもので、これには、逆に、「今までは、フランスにいなくてももらえていたの?」と逆に驚いた次第です。

 これは、特に家族手当(児童手当など)に関するものだと言われていますが、子どもや家族がいる場合に、たとえ、9ヶ月としても6ヶ月としてもフランスに滞在せずに受給がどうやって可能になるのか?わかりませんが、そういう人々は、実にうまくこのような保障の類を利用しているものです。

 我が家も娘がまだ小さいときに、夫が突然、亡くなってしまったので、家族手当などは、ずいぶん受けてきましたが、さすがに、これはフランスにいるからであると思っていたし、逆に日本に帰ってしまったら、こういうお金を日本では出してくれないんだろうな・・と思っていました。 

 そういう意味では、本当に我が家はフランスのお世話になってきて、娘は本当にフランスに育てていただいたようなものだととても感謝しております。

 しかし、この社会保障の詐欺?申請は、相当な金額に上っているそうで、一番多いのは、医療保険詐欺で38億~45億ユーロ、家族給付金詐欺は25億ユーロから32億ユーロと言われています。今回の改正案により、その損失?を少しでも失くす計画だと見られています。

 まさか、フランスに住んでいない人を援助しなくてもいいとは思いますが、この手の削減が、不正受給を受けている人のために本当に援助が必用な苦しい人をより苦しめてしまうのではないか?という感じもなくはありません。

 そもそも、通常、ふつうに働いている場合は、税金、高いですから・・。


フランスの社会保障費削減


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2024年4月22日月曜日

嘘つきは泥棒の始まりは本当だった話

  


 以前、私がいた職場には、おかしな人がいました。同じ職場にいるのだから、ちょっと妙な人だな・・と思っても、関わらないわけにはいかず、仕事はふつうに一緒にしていましたが、プライベートでは、絶対に関わりたくない人だな・・と思っていました。

 とにかく、自慢話のつもりなのか?自分がすごいお嬢様育ちであり、有能であり、美しく、いかに洗練されているかということを語り、それがいちいち、ピントがずれていたり、かなりのウソが混ざってどんどんエスカレートして辻褄が合わなくなっていることに自分で気が付かないのか、聞いている方も辟易するのですが、いちいち話を遮ったりするのも面倒なので、「へえ~・・」という感じで聞き流していました。

 その辻褄が合わなくなっている話で彼女のウソはもうバレバレなのに、どういうつもりなのか? 目下の人間と自分が判断した人を見下すところがあり、「彼女は、私たちみたいに高学歴じゃないからね・・」などと、言われて、「私たちって???」と仲間扱いにされたときは、かなり絶句してしまいました。

 学歴といえば、今、日本では、小池百合子さんのことが騒ぎになっているようですが、ふつうの日常では、あまり学歴を話題にすることはありません。

 そもそも彼女はどんな学校を卒業しているのかも知りませんが、私だって、そんなに高学歴と自分で豪語するような学歴でもありません。敢えて、「彼女にどこの大学出てるの?」などと聞くこともしませんでしたが、だいたいの彼女の話を聞いていれば、なんとなく彼女が本当に高学歴なのかどうかは想像がつく話です。 

 そもそも、本当に育ちの良い人は、つまらないことを自慢したりしないし、もっとしなやかで、その言動に嫌みがない気がします。経済的に豊かに育ったかということが必ずしもその人の育ちの良さにはつながらないとも思います。要はお金持ちの子どもが全て育ちが良いか?というと、決してそうでもないと思うのです。

 まあ、嫌みなというか、嫌な人というものは、周囲の人々もたいてい同じように思っているもので、皆、そこそこには、控え目な言い方をすれば、彼女のことを「めんどくさい人」だと思っていたようです。

 私がその会社を辞めるときには、今後は一切、関わりたくないな・・と思っていました。

 聞いてもいないことに対して、周囲にはもうバレバレなウソを本当に息をするようにつくので、もう本人もウソをついているうちにそれが本当のことだと信じ込んでいるかのようで、病気なの?と、ちょっと怖い感じさえしたくらいです。

 よく「嘘つきは泥棒の始まり」と言いますが、私がその会社をやめてから、1~2年経った頃でしょうか? 彼女が会社のものを盗んで捕まって、会社を辞めさせられたという話を聞いたときは、「嘘つきは泥棒の始まり」というのは、本当なんだ・・とビックリしました。

 そういう話は、すぐに知れ渡るものにもかかわらず、それからしばらくたって、彼女に偶然、街で会ったときには、そんな話が知れ渡っているかどうかなど全く気にする様子は微塵もなく、「○○の○○さんの引きで、転職したの・・」とまたウソ話。

 そういう人は、何があっても、どこででも、たくましく生きていくものだ・・とげんなりしたのでした。


嘘つきは泥棒の始まり


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2024年4月21日日曜日

「捕食者の巣窟」と呼ばれる危険なオンライン・チャットサイト

  


 4月の半ば頃に、グランド・シント(オー・ド・フランス地域圏)で未成年の少年(14歳・15歳)が路上で男性を襲い、殴り殺してしまったという事件が起こったことなどから、未成年の超暴力化が問題にされていました。

 このような暴力事件がいくつか、この事件が注目されたためかわかりませんが、立て続けに似たような事件もとりあげられていました。

 グランド・シントでの事件を起こした少年たちは、すでに公判前拘留され、殺人罪で起訴されています。少年たちは、過去にも暴力行為や窃盗などで逮捕歴があったものの、今回は、殺人事件、彼らは、殺すつもりはなかったが、暴力行為を行ったことは認めているといいます。

 ところが、彼らのこの暴力行為についての計画が「coco.gg」というオンライン・チャットサイトで、「未成年の少女を装って被害者との面会を設定した」と供述したことから、このサイトの危険性に注目が集まっています。

 ココランドとして知られるこのサイトは、性別、年齢、ニックネーム、郵便番号を入力すれば、誰でも参加できてしまい、モデレータや会話のセキュリティやコントロールが全く行われていないサイトで、本人の身分をいくらでも偽ることができるため、このサイトを使って起こされている事件は少なくないようで、これが「捕食者の巣窟」と言われる所以のようです。

 ホームページの左側には、「料理」、「映画」、「60歳以上」などの、ある種のオーソドックスな感じのテーマに加えて、「異教徒の女性」、「女子高生」、「ふしだらな女」のようなわいせつで下品なテーマも並んでおり、小児性愛的なものや、同性愛嫌悪的なものなども含まれます。

 このサイトは、とても簡単にアクセスできるため、また匿名性という気軽さもあいまって、フランスでは85万人のユーザーが存在すると言われています。

 このような危険なサイトは、未成熟な未成年者には特に危険なうえに、その他、「小児犯罪者、強姦者、同性愛嫌悪者、武器、麻薬売買などの不法な交換の場にもなっていると警鐘が鳴らされています。

 Innocence in Danger などの児童保護団体は2013年からこのサイトの閉鎖を求める署名を集め、訴えているそうですが、現在、集まっているのは5,000人ほどの署名だそうで、85万人のユーザーに対しては、あまりにも少ないことは驚きでもありますが、私自身もこの事件が起こるまでは、このサイトの存在は全く知らなかったので、社会問題として、大々的には取り上げられてこなかったのかもしれません。

 しかし、このサイトはガーンジー島でホストされているために、フランス当局が必ずしも対抗できないかもしれないと児童保護団体の弁護士が語っています。

 近年、いくつかの事件がこのオンライン チャットにリンクされており、 ある男は10年以上にわたって妻に薬物を投与し、ココランドを通じて見知らぬ人に彼女とのセックスを持ちかけており、 この事件に関して50人の男性が2024年9月にアヴィニョンで裁判にかけられる予定になっているそうです。

 しかし、このココランドは、ある意味、そのような界隈の人々には象徴的な存在になっているものの、残念ながら、これは他の多くのSNSやチャット形式(ゲームなど一見無害に見えるものも含む)に存在する状況の一例にすぎないという見方もあります。

 近年、SNSを利用した犯罪が多発するようになり、コントロールが本当に難しくなっていますが、ある程度のセキュリティが保たれた状態でないサイトには、少なくとも未成年者だけでもアクセスできないようにしてもらわなくては・・と思います。


危険なオンラインチャットサイト ココランド


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2024年4月20日土曜日

断捨離で厄介なもの 日本語の本

  


 夫が亡くなって、しばらくの間は、彼が生きている時は、「もうこんなの捨てなさいよ!」とか言っていた、夫がため込んでいた、なんだかわけのわからない夫が海外で買い集めてきた妙なオブジェのようなものとか、骨董品のようなものから彼の洋服や靴に至るまで、かえって捨てられなくなって、全く手をつけられなくなってしまいました。

 3年くらい経った頃からでしょうか? 洋服や靴などは、サイズの合う人には、もしよかったら使ってくださいと差し上げたり、もう人に差し上げるのも失礼だと思われるものは、処分し、その他の多くのものは、エマウス(不用品を持っていくときれいにして販売され、その収益は恵まれない人のための寄付金になる団体)に引き取ってもらいました。

 ある程度、片付いてきたあとは、今度は日本の両親が亡くなったりもしたので、今度は日本に行くたびに、両親の遺品や家のものを整理する月日が流れ、しばらくすると、断捨離にも疲れてきて、しばらく手つかずにいました。

 しかし、自分自身もだんだんと体力の衰えを感じはじめ、今度は、自分自身の断捨離も少し体力のあるうちにやらなければと思い始め、最近、また、断捨離を開始しています。

 買ったまま使っていなかったバッグなどの小物類から洋服やアクセサリーとか、大して使わなかった娘のおもちゃとか、子ども服などは、折に触れて、以前からVinted(ヴィンテッド)やルボンカンなどのメルカリのようなサイトに出して、おこづかい稼ぎをしているのですが、どうにもならないのが日本語の本です。

 海外生活を始めるにあたって(最初はアフリカだった)、何よりも恋しくなると思われた本類・・好きな作家の日本語の本などは、段ボール3個分、別送しました。そのうち1個はアフリカに到着したのかしないのか?紛失してしまいましたが、それ以外はずっと引っ越すたびに一緒に移動し、蓄積されてきたものです。

 パリに来てからは、一時帰国するたびに文庫本などはを少しずつ、買って帰ってきたもの、ブックオフなどで安売りしている時などに買い込んだものなど、とにかく四半世紀以上ともなれば、相当な数になっています。

 一番、手っ取り早いのは、こちらにいる日本人の友人たちに、聞きまわればいいのですが、本にはそれぞれの好みもあり、おまけに皆、自分自身もそろそろ断捨離し始めたい世代の人々。

 日本語の本ばかりは、おそらく娘も先々になって読むとも思えず、また、フランス語や英語の本ならばともかくVintedなどでは出品したところで売れません。かといって、本好きの身、また日本語の活字が読みたくて読みたくて仕方なかった時期があった私としては、本を捨てるということにはとても抵抗があるのです。

 なので、ここのところ、気が向いたときには、ブックオフに本を引き取ってもらいに行っています。とにかく、気が付いてみれば、自分でも、よくもこれだけ家に運び込んだな・・と思うほどあり、しかも、本というものは重いもので、家には車もないので、ラクではありません。

 一応、査定をしてくれて、買い取ってもらえる分もあるのですが、値段がつかなくても、「欲しい人がいたら、あげてください」と言って引き取ってもらいます。もしかしたら、捨てられてしまうかもしれないのですが、一応、私が死んだ場合はダイレクトに捨てられてしまいそうな本にちょっとでも敬意を払っている気になっています。

 このブックオフの査定ですが、ある程度、きれいな状態であっても、本の種類にもよるのか?基準がよくわからないのですが、査定をしてくれる人によって、ずいぶん差があるなという印象です。

 まあ、1回に持っていけるのは、せいぜいエコバッグ1個分くらいなので、しれていますが、せいぜい1回分3~5ユーロ程度、少ない時だと1ユーロにもならないこともあります。本と言えば、夫も本好きであったため、山ほどフランス語の本もあるのですが、こちらの方は、近くにいらなくなった本を置いておくスペースが街中にできているので、いざとなったら、そこへ持っていくつもりです。

 最後の最後まで身近にとっておきたい本をのぞいては、あとは少しずつ処分するつもりです。好きな作家の本は、何度となく読む本もあるにはあるのですが、その大部分はもうおそらく二度と読まない本がほとんどです。

 最近は、荷物になるのが嫌なので、日本語の本もKindleで済ませてしまうので、今後、本は極力増やさないようにしていますが、正直なところ、本当は紙に書かれた活字の方がやっぱり、しっくりくる古い世代です。

 本当は、一度、じっくり徹底的に断捨離するのが合理的なのかもしれませんが、あとどのくらい生きているのかもわからないので、あまりさっぱりしすぎてしまうのも寂しいものです。

 しかし、考えてみれば、私が日常生活で使っているものなど、家にあるものの中で本当に限られたものだけで、本当に大切なもの以外はやはり少しずつ処分していき、大事なものを大切にして、暮らすべきなのだな・・それはモノに限らず、何かに費やす時間なども同じことだな・・などと断捨離しながら、考えています。


断捨離 ブックオフ 日本語の本


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2024年4月19日金曜日

ギャラリーラファイエットグルメのレ・ヌーベル・ターブル ・デュ・グルメ(ストリートフード)

  


 実を言うと、私はデパートというものがあまり好きではなくて・・というより、買い物に行くということがあまり好きではありません。デパートに行くのは、ノエルの時にデコレーションをチラッと覗きに行く程度です。

 それでも食べることにだけは依然として、けっこう執着があり、美味しいものと聞けば飛んでいきます。なので、デパートとはいえ、ラファイエットグルメは時々、覗きに行くことはあります。常設している感じのお店もある中、わりと頻繁に入れ替わるお店などもあり、美味しいものを扱っているお店が期間限定で入っていたりもするので、これまで知らなかった美味しいお店を発見できたりもするのです。

 これは!というものを見つければ、ちょっと味見程度に購入し、気に入ったら、たいていはパリ市内に本店があるので本店の方に行ってみたりもします。

 昨日、たまたま、近くに用事があって、いつもと違う地下鉄の出口を出たら、ラファイエットグルメの近くであることに気が付いて、重たい荷物を持っていたけど、まあ、通り道、せっかくだから、ぐるっと覗いていくか・・と思って入ってみたのです。

 地上階は大した変化はなかったものの、1階(日本でいう2階)にレストラン(というほどかしこまってはいない)街のようなスペースができていて、はて?ここは昔何だったのかと思い返すに、以前はキラキラなカーブ(ワインやシャンパンやウィスキー、ブランデーなど)と食器などが置いてあったスペースだったと思うのですが、いつのまにか、すっかり様変わりしていました。


 まだ、あまり知られていないのか?そんなに混んではいませんでしたが、8軒のお店が入っています。「世界中のストリートフードからのインスピレーション」をテーマに出店しているレストランというか、フードコートのような、わりと気軽な感じのお店がおしゃれに並んでいます。


 以前のカーブだったスペースの名残りのような「ラ・カーブ」というワインや世界中のスピリッツを扱うお店もあります。


 その他、フレンチのひとつとしてロティスリー(鶏の丸焼きなど)、ペルー料理、地中海料理、アメリカ、インドなどの気軽に食べられる食事が集まっています。



 お味のほどはわかりませんが、ラーメンやお寿司を扱う日本食のお店も入っていました。

小さいワンカップの日本酒までありました!


 



 お値段は、ラファイエット価格なので、ストリートフードとはいえ、決してお安くはないものの、ラフな感じで楽しめそうなスペースになっています。

 そもそも、このスペースは、以前はワインを中心としたキラキラな、本当に美しい、お店というより博物館のようなスペースで一見の価値はあるようなスペースではあったものの、一般庶民には、敷居の高い感じでもあり、客足が若干、鈍いスペースでもありました。

 ギャラリーラファイエットだから、そんなスペースもあってもいいのかな?とも思っていたのですが、やはりフランス人でさえもワイン離れが叫ばれるなか、あの高級な感じのスペースがストリートフードのスペースになっていたとは驚きでした。

 しかし、ストリートフードとはいえ、そこはさすがのラファイエット、オシャレな感じに仕上がっています。

 ただし、個人的にはパリでストリートフード(ファストフード)といえば、ケバブではないか?と思うのですが、ケバブが入っていないのは、なんだか少々残念な気がしました。

 すっごく美味しいケバブのお店もあるのに・・。

 私が気が付いていなかっただけで、もう結構、前からあったのかもしれませんが、ラファイエットグルメといえば、これまで地上階、せいぜい地下の食料品売り場だけを覗いていた人も多いはず・・地上階を入って少し進むとエスカレーターがあるので、ついでにチラッとパリに集まっている世界のストリートフードスペースを覗いてみるのも楽しいかもしれません。


ギャラリーラファイエットグルメ ヌーベルターブルデュグルメ


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2024年4月18日木曜日

いつまで続くの?この気候? くもり時々晴れ、のち暴風雨・・

  



 春先は、天候が不安定になりがちではあるけれど、今年はちょっといつもより酷い気がしています。

 なにせ、全般的に年明けから天気の悪い日が多く、春が待ち遠しい気がしていたのに、春になっても、ちょっと晴れれば日差しは春の光になってはいるけれど、とにかく天気は荒れ模様の日が多いです。

 昨日も一昨日も、くもり時々晴れ、後、小雨が続いてその後は風が強くなって暴風雨みたいな感じになりました。朝、起きて、窓の外を見て、「やった!今日は晴れだ!」と思っても、そのうち、パラパラ雨が降ってきて、パラパラどころかけっこうな雨になったりもしtて、夕方になるとそれに風が加わって暴風雨です。

 先週は一瞬、20℃を超えるお天気の日が数日あって、「やっと、これで暖かくなる!」と喜んで、これならTシャツで大丈夫!と歩き回っていたら、翌週には、また冬に逆戻り。

 こんなところは、フランス人、実に服装の切り替えは鮮やかで、暑い日にはTシャツ姿、翌週、寒ければ皆、真冬の装備に戻っているところはさすがだな・・と感心します。

 いつもなら、お花見がてらにお花のきれいなところにでも出かけてみよう!などと思う季節なのですが、このお天気と気候では、そんな気分にもなりません。天気が悪い日が続いて、気持ちが沈みがちになったりすると、気候はその土地に住む気質にも影響しているんだろうな・・などということまで考えたりもします。

 以前は、雨が降っても、しばらく待っていれば止んでしまう感じだったので、雨でも傘をささないフランス人が多かったけれど、最近は、こう雨が多いとちゃんと傘をさす人も増えたような気がします。

 考えてみれば、日本には、よくある傘置き場のようなものや、雨に濡れた傘をカバーする袋のようなものが設置されていることもパリではほとんど見かけないので、今後はそういったものがパリにも必要になる日が来るかもしれません。

 これまでは、パリは一日中雨という日もあまりなかったし、もちろん天気の良い日は、青空にパリの街並みも美しく、夏の暑い日とて、本当に暑くて厳しいのは、ほんの1~2週間で、それも湿度が低いために建物の中に入るとスッと涼しかったりもしたので、気候も気に入っていたのですが、最近は、以前の気候とはすっかり変わりつつあるのを感じます。

 天気が良すぎるアフリカにいた時には、曇っている日には、心の底からホッとした記憶がありますが、パリでもこう天気が悪い日が多いと、気分もやる気も落ちがちで、もっと温暖な土地がよいな・・と、ないものねだりをしてしまいます。

 しかし、夏になれば、きっとまた猛暑がやってくるだろうし、本当に異常気象は年々エスカレート。猛暑の期間が長くなっているのは感じていたけれど、今度は雨の日が増えてきた感じ。確実に地球が壊れかけているんだろうな・・ということを実感しています。


異常気象


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2024年4月17日水曜日

オーストラリア シドニーでヒーローになったフランス人

 


 先週末、オーストラリア・シドニーのショッピングセンターで買い物客らが無差別に刃物で襲われ6名が死亡したという事件はフランスでも報道されていました。

 その時は、「オーストラリアでもこんな恐ろしい事件が起こるんだな~怖い怖い・・」とその事件の映像を見ながら同時に「これ、フランスでもありそうなことだな・・(実際にある・・去年もいくつかありました)」と思っていました。

 襲撃犯は射殺されているので、動機などは不明のままですが、精神疾患を患っていた可能性があると言われています。

 結局、その時の報道は、死亡者6名、乳幼児を含む負傷者12名というだけで終わっていたのですが、その後に、その襲撃犯がさらなる獲物にターゲットを向けている間にそれを阻止しようと介入した人物がいて、それが31歳のフランス人の男性であったことがわかり、にわかに彼はヒーローになっています。

 当日、事件の起こったコマーシャルセンターのジムに来ていたフランス人男性二人はこの襲撃事件に遭遇し、襲撃犯がやってくるのを見てなんとかしてこれを阻止しなければならないと夢中でこの襲撃犯と対峙したということで、このうちの男性の一人はインタビューにこたえ、「襲撃犯の目はうつろで、彼自身の魂が抜けているような感じだった・・」と語り、自分がヒーローと讃えられていることについて、「自分は当然のことをしただけで、本当のヒーロー(ヒロイン)は、襲撃犯を射殺した女性警察官である!」と話しています。

 彼らの勇気ある行動に対して、オーストラリアの首相も「フランスの英雄」として賞賛。

 彼は、2017年にオーストラリアに渡り、建設作業員として働いていたと言われていますが、ちょうどビザが切れるタイミングでビザを申請中のタイミングだったようです。

 オーストラリア国民からも彼は大絶賛されており、「これは人間の本性について多くを物語っている。私たちが困難な問題に直面したとき、この国の国民ではない人が勇敢にあのエスカレーターの頂上に立って、この襲撃者が別の階に到達してさらなる大虐殺を起こす可能性を阻止したのです!」と、ビザどころか彼にオーストラリア国籍を!という嘆願書がオンライン上で立ち上がり、あっという間に1,800名以上の署名が集まったそうです。

 しかし、署名を集めるまでもなく、オーストラリア首相は「彼はオーストラリア国民として喜んで歓迎したい人物、好きなだけオーストラリアにいてほしい」と話しています。

 これまで、幾度となく、フランスで同じような事件が起こって報道されることがあり、本当に恐ろしいことだと思う反面、このような事件が起こったときには、必ずといっていいくらい、警察官以外のその場に居合わせた男性が介入して助けてくれる・・ということも事実で、フランスには、恐ろしい事件も起こるけれども、勇気ある頼もしい男性も少なからずいることも事実のようです。

 フランス人には、窮地に至っている人を助けようとするような、こういう面もあるんじゃないかな?という気もしています。

 この件は、マクロン大統領もX(旧Twitter)で彼の勇気ある行動を讃えるポストをしています。


オーストラリアのフランス人ヒーロー


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2024年4月16日火曜日

パリオリンピックに関してマクロン大統領のインタビューで話したこと

  


 カウントダウンが始まりつつあるパリオリンピックについて、マクロン大統領がテレビのインタビュー番組に出演、熱弁を振るいました。マクロン大統領がこのインタビューの場所に選んだのは、オリンピックのテコンドーとフェンシングの会場となるグランパレの中でした。

 インタビューは先日起こったイランによるイスラエルの攻撃の話題から始まるというオリンピックに関するインタビューとしては、異例の話題で始まりましたが、フランスは、イスラエルの防空にも参加しており、このような不安定な世界情勢の中で行われようとしているオリンピックの安全性からも残念ながら避けて通れない話題でもあります。

 マクロン大統領は、このインタビューの中で、「オリンピックは外交上の平和の瞬間でもあり、少なくともオリンピック休戦に向けて取り組みたい。これは多くのパートナーとの間に敬意と寛容の精神を確認する機会でもある」と述べています。

 とはいえ、逆に考えれば世界中から多くの人々が集まり、多くの人々が注目するであろうオリンピックの場は、テロのターゲットとして計画されかねない機会でもあります。

 特にフランスが計画している今回のオリンピックの開会式は、オーステルリッツ橋から各国代表団専用の94隻の船がセーヌ川で行進してエッフェル塔に向かうという壮大な計画で通常の情勢でさえも、大変なリスクを伴うものになっています。

 これに対して、なぜ?こんなにリスクの高いことを行うのか?本当に大丈夫なのか?という質問に、「もちろんリスクはある」としながらも、「われわれは最大級の警戒体制をとっており、毎日3万人がこの警戒にあたり、ヨーロッパやアメリカ、アジアと協力体制をとりながら、諜報機関とあらゆる情報を収集し、サイバー攻撃も含めてリアルタイムに分析を行い、テロの脅威に備えている」と説明したうえで、「それでも、テロの危険性が確認された場合には、開会式は縮小され、プランB、さらにはプランCとして用意されている「トロカデロに限定」されるか、さらには「スタッド・ド・フランスに移送される」可能性もある」と語りました。

 また、この大規模の警戒体制を支えるために動員される人々をはじめ、オリンピック期間中(バカンス期間中)に働かなければならない人々が「CGT(労働組合)」を筆頭にストライキを計画していることについては、労働組合とその「責任精神」に対する「信頼」を表明し、「フランスはチームであり、統一国家であるため、我々はこの模範的な性質に対応しており、 私は、労働法や職場の安全に関して模範となることで、フランスが大きなイベントをどのように組織するかを知っていることを証明するつもりだ」と力説しています。

 どうにも「それは理想的にはそうなんだろうが・・」という話をものすごくエネルギッシュに語るのはいつものマクロン大統領の話にありがちなことです。

 オリンピックが開催されるのは7月26日からのことですが、実際には、オリンピックの聖火は5月8日にマルセイユに到着します。

 そして、オリンピック聖火は7月8日から26日までフランス全土を巡る450の中継都市を通過し、海外も含めてその聖火リレーの様子は全世界に報道されることになり、その一つ一つの都市のPRにもつながると説明しています。

 それにしても、フランスの大統領であるとはいえ、オリンピックの大会委員長であるわけでもないのに、大筋とはいえ、詳細にわたって自分の言葉で強く熱く語れるということは凄いことだな・・といつもながら感心してしまいます。

 我ながら、感動ポイントがズレているとは思うのですが、残念ながら、日本の政治家には、期待できないことです。


パリオリンピック


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2024年4月15日月曜日

電気料金の値上げとエネルギーチケット

  


 ここのところ、電気料金は毎年、着実に値上げされており、2024年は2月からさらに10%値上げされています。これは毎年徐々にあげられているため、数年前から比べるとずいぶん高くなったと思いますが、しかし、それでもこの値上げは国によって抑制されている状態のようです。 

 実際の電気料金は、これ以上に値上げされているのが現実なのですが、国が関税を調整しているために、これでも他の欧州諸国に比べて大幅な値上げを抑えているのだそうで、国からしてみれば、この調整を少しずつ段階的に終了させていく予定で、当初は2023年12月に終了予定だったものが、2025年2月までに延長されています。

 したがって、国は引き続きフランス国民の請求書の一部を一定期間負担しているわけで、この措置により、2024 年の国家予算では、30億ユーロが割かれています。

 ということは、2025年2月には、また確実に値上げされることは間違いなさそうです。

 これまでフランスは特にウクライナでの戦争が始まって以来のインフレのために、インフレ手当やエネルギークーポン(エネルギーチケット)などを数度にわたって配布してきましたが、全員に一律○○ユーロ・・ということはまずなくて、この援助の実質的な金額も所得によって違っています。

 このあたりは、とても合理的なところです。

 これは、前年度に申告された所得や家族構成(子どもの年齢や数など)により、自動的に配布されるもので、エネルギーチケットに関しては現金で支払われるものではなく、EDF(フランス電力)の個々のアカウントにデポジットとして、支給されます。

 今回のエネルギーチケットの平均支給額は150ユーロ(約24,500円)ということで、所得や世帯の規模に応じて48ユーロから 277ユーロ(約45,000円)とされています。

 このあたりの援助に関しては、フランスのシステムは非常によくできており、この枠内の人々に一定の率の金額(相当のバウチャー)を配布するとなれば、そのたびに個々に申請する必要はなく、自動的に振り込まれるようになっているところは、とてもスムーズで円滑に行われます。

 実際には、このチケットが配布された後は、電気料金は、そのデポジットから電気代が自動的に支払われることになるので、他の用途に使うことはできません。

 これらの援助に関しては、かなり手厚いと言えば手厚いのがフランスですが、年々、その援助されるはずの枠が狭められてきているのも国家の緊縮財政が見え隠れするところで、最近ではHLM(低所得者向けの公営住宅)の居住資格についての見直しを行う必要があることが話題に上がっています。

 このHLMについては、一応、2年に一度、チェックされているのですが、このチェックはこれまで居住権の問題もあって、わりと緩かったのですが、「所得の上限を大幅に超えた人々が公営住宅に住み続けることの妥当性を再検討する必要がある」と住宅大臣が問題を投げかけており、収入増加に応じて、家賃の増額、あるいは、退去が求められる可能性があります。

 フランスの場合、低所得者層への援助はこれまでも手厚いイメージがあるのですが、それだけ低所得者層がギリギリの生活に窮しているということでもあり、格差社会のあらわれでもあると思われます。

 そこのところが、税金を払う側にまわるか?もらう側にまわるか?などと揶揄されることにもつながっているのですが、実際のところは、ギリギリのところで、もらう側には回れない人々が一番厳しいのかな?という気もしてしまいます。


フランスのエネルギーチケット エネルギーバウチャー


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2024年4月14日日曜日

春の種蒔き ベランダ野菜栽培

  


 春になると、毎年、ベランダで野菜の種を撒くのが年中行事のようになっています。今年は、3月にしばらくパリを留守にしていたし、パリに帰ってきてからも、お天気があまり良くなくて、気温も上がらなかったので、ずっと頃合いを見計らってきました。

 そもそも私がベランダで野菜を育てるきっかけになったのは、最初にアフリカに引っ越したときのことで、アフリカといえば、そうそう簡単に日本に帰ってくることも難しく、持っていける荷物にも限度があって、日本の食べ物にしても、そんなに持っていけるわけでもなく、母が、持っていけないならば、自分で育てれば?と日本の野菜の種を持っていくことを提案してくれたのでした。

 今から考えれば、アフリカにいた頃はもっと時間もあったし、広いベランダもあったし、年中お天気もよかった(良すぎ)ので、もっと本腰を入れてやれば、どんなにか立派な野菜もできただろうに・・と思うのですが、あの頃は、とにかく私はフランス語を覚えることに必死で、そこまで真剣に野菜の栽培には取り組んでいませんでした。

 その後、フランスに引っ越してきてからは、しばらくは色々と落ち着かず、仕事と子育てに忙しい日々を送っていたので、野菜を育てることもすっかり忘れていました。

 とはいえ、パリに来て、生活も落ち着き始めてから、私のベランダ野菜栽培は再開し、日本に一時帰国するたびに野菜の種を買ってきては、春になると種まきをし、春先には春菊や水菜、小松菜などの葉野菜、夏にはきゅうりというのがお決まりのスタンダードになり、その他に小葱やにら、しそ、三つ葉、山椒などの薬味の類は、欠かせません。

 なにしろ、本当に猫の額ほどの狭いベランダなので、何を優先させるかは頭の痛いところです。今年は、いつものメンバーに加えて、スナップエンドウやからし菜、ししとうなどにも挑戦します。

 数年前にパンデミックのために突然、ロックダウンになり、家から出られなくなったときも、たまたまその直前に日本に行ったときに買い集めていた野菜の種が、いつも以上に役に立ち、当初はどんな病気なのか、予想もできずに、毎日毎日、外からは救急車のサイレンが聞こえてきて、テレビから流れてくるのは、もう病院に収容しきれない患者が溢れた病院の様子などで陰鬱になりがちだったときに、ベランダでの野菜の栽培には、心がなごみ、どこか土いじりに癒されている感じがしたと同時にどんどん育っていく野菜に実際に買い物に行くのも怖かったときに食卓を彩ってくれるとれたての野菜には、本当に助かった思い出があります。

 今でも春先の種蒔きの時期になると、あのロックダウンという前代未聞の時間を思い出します。

 現在は、どこにでも買い物には出られますが、やはり日本の野菜というと手に入りにくいものも多く、なにしろ、ベランダに出れば、ちょっとした青菜や薬味などが手に入るので、こんなに便利なことはありません。

 だいたい収穫が終わる秋の終わり頃には、枯れ枝を取り除き、土を大きなケースに入れ替えて、冬の間は、野菜くずなどを少しずつ土に埋めながら、翌年用の土を作ります。我ながら、「エコだな~!」と悦に入りつつ、土づくりをしています。

 この種蒔きの時期もなかなか頃合いをはかるのが難しく、早すぎれば芽が出ないままダメになってしまうこともあり、とはいえ、スペースにも限りのあることゆえ、後の予定が詰まっていて気は焦ります。

 私の場合、一番のメインイベントはきゅうりなので、きゅうりはだいたい例年からいくと、5月の日本のゴールデンウィークあたりに撒くのが一番成功率が高いです。きゅうりは、一旦、育ち始めると、ジャックと豆の木みたいに目に見えるかたちで、どんどん蔓を撒いてどんどん育っていくので、喜びもあります。

 少し背がのびていくと、毎年のようにベランダにやってくる鳩との闘いになるのですが、これも、根気よく闘っていく日を過ごしていくとそのうち鳩も諦めてくれます。

 こうして、ごくごく狭いベランダでも植物が育っていく喜びと太陽と土と水の偉大なチカラをしみじみと感じたり、同じように育てても、育ちかたが色々だったり、収穫の喜びを味わったり・・。こんな時間の過ごし方も楽しいものだ・・と思ったり・・。

 日本の家なら、庭もあるので、野菜を育てるスペースはあるものの、日本の野菜はいつでもどこでも簡単に手に入るために、きっとこんなことしなかっただろうし、こんな楽しみも味わうことはなかったと思います。

 海外生活ゆえに始めたこのベランダ菜園も今や私にとっては大切な楽しみになっているのです。


ベランダ菜園


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2024年4月13日土曜日

公共交通機関のトラブルに遭遇し続けた1日

  

電車とホームの間がこんなにあいている・・


 久しぶりの晴天に恵まれて、こんな日こそ溜まっていた用事を済ませよう・・と明るいなかばお花見気分で出かけました。気候も良くなって良い気分でバスに乗っていたら、久しぶりにいきなりRATP(パリ交通公団)の検札官の一団が乗ってきて、乗客のキセルチェックを始めました。

 私自身は、Navigo(定期券)のようなものを持っているので、それを検札官が持っているマシンにかざせば、OKなのですが、近くにいた若い男性が無賃乗車だったらしく、身分証明書の提示を求められ、「この場で払うなら、50ユーロ・・現金がなければ、クレジットカードでも払えます・・」などと言われていました。

 この男性、身分証明書を探しているのか?ゴソゴソとスマホをいじりだして、なかなか手続きは済みません。その間に別の無賃乗車だったらしい若い男性がいきなりバスを降りて逃走・・それを追いかける検札官の一団のうちの一部の人。

 その間、延々とバスは停車状態で出発できず。しばらくして、ようやく・・生半可には、解決しないと判断したのか?RATPの一団と捕まった男性は、そこで下車してやっとバスが出発しました。渋滞だけでなく、バスはこんなことでも遅れるのです。

 現在は、パリ地区は学校のバカンス期間ということで、工事のためにいくつかの路線が閉鎖になっており、迂回しなければいけないことも手伝ってか、平日の昼間というのに、その他の路線は少々、いつもより混んでいる感じです。

 この先、6月までは、まだまだパリのメトロ・・あちこちの路線で閉鎖が続くようです。

 そんな状態なので、パリ市内を動くのには、いつもなら、そこまで確認しないのですが、念のためにその路線が動いているかどうか?確認して動いています。

 そんなわけで、いつもはあまり乗らないRER C線を使おうとサイトでチェックすると、なんと、工事中でもないのに、「不通」と出ていてウンザリ・・この近くの他の駅は?何に乗ればよかったっけ??・・と考えながら歩いていると、不通なはずのC線の駅に人が下りていくのを見て、「えっ?もしかしたら、動いているの?」と一応、駅まで行ってみると、なんと電車は普通に動いていて、「なんだ・・動いてるじゃん!」とズッコケましたが、まあ、動いていないはずが動いているのだから、まあ良しとするか・・でも、サイトは必ずしもあてにならないことを確認。

 ふだんはあまり乗らないC線ですが、駅で停車した際に、車両とホームの間が少し段差があるうえに、けっこう間があいていて危ないな・・と思いました。

 ひとつ用事を終え、別の場所に移動するのに、今度は別のメトロに・・。ところが、今度は、乗ったはいいものの、突然、ある駅でメトロはストップ。理由も何も説明はありませんが、それは、いつものこと・・。まあ、そこまで急いでもいないし、座れているから、そのまま本を読んで待っていようと思っていると、隣に座っていた結構、年配の女性が運転席の運転手に「いつまで待たせるの!」と激しく抗議を続けていました。若くなくても凄いパワーで運転手に食って掛かる様子を内心「すげ~~」と思いながら眺めていました。

 そのうちに、「しばらく動けませんから、お急ぎの方は別の手段で移動してください」とアナウンス。そうは言っても、そういったとたんにメトロが動きだすこともあるので、しばらく待っていましたが、どうやら、当分、動かないようだからと私も諦めて、しょうがないから、バスで行こうと駅を上がっていき、一駅分、歩くと次の駅の前では、救急車が数台停まっていて、人だかりができていて、大騒ぎになっていました。

 どうやら、その駅で電車とホームの間で人がはさまってしまう事故が起こったとのこと・・さっき、C線で車両とホームの間があきすぎていて危ないな・・と思ったばかりのできごと、C線だけでなく、電車とホームの間隔がけっこうあいている場所は多いのです。

 ともあれ、あのまま電車の中で待っていなくてよかった・・と思ったのでした。

 こうやって、パリ市内を移動する中で、こうも次々とトラブルに遭遇し続けるとは・・オリンピック前で工事が多いのは承知しているものの、さすがにそれまでには、工事は終わっているとしても、こうも色々トラブルが多くては・・これは人災的な側面も多いため、ふだん、パリ市内の交通機関に慣れている人ならばともかく、大多数が外国からくる人々に埋め尽くされるタイミングでは、さぞかし混乱も倍増するのだろうな・・と、やっぱり思ってしまった1日でした。


パリの公共交通機関


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2024年4月12日金曜日

3歳以下の子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用を禁止

  


 今週初めに国民議会にて、「保育園や保育所での3歳以下の子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用を禁止する法案」が提案され、子どものスクリーン使用に関する健康に影響を与える問題についての議論が高まっています。

 今回の議会への提案は、3歳以下の子どもに対するものですが、児童へのこれらの電子機器の過剰使用については、小学生、中学生についても以前から取り上げられているものです。

 今回の提案では特に3歳以下の子どもをスクリーンの前に置くことは、「言語能力、コミュニケーション能力の発達の遅れ」だけでなく「運動能力の低下」、「睡眠障害」などを引き起こす原因となっていると説明しています。

 今やバスや電車の中でも小さい子どもがスマホでアニメを見ていたり、ゲームをしていたりするのを見かけるのは珍しくなくなりましたが、今回の議会への提案については3歳以下の子どもの保育園での使用禁止ということで、そもそも保育園でタブレットなどを与えて子どもを保育していたのか?とちょっと、驚かせられるところでもあります。

 しかし、これは、基本的には、保育園だけでの話ではなく、家庭内にも同じことが言えるわけで、フランス公衆衛生局は、2023 年 4 月に発表した調査で、2 歳児は 1 日あたり平均 56 分、3歳半の子どもの場合、1日1時間20分をスクリーンの前で過ごしていることを明かしています。

 以前は、テレビは1日〇時間まで・・などと言われたものですが、テレビの場合は少なくとも家にいる時間しか見られなかったものが、持ち運びのできるスマホやタブレットの場合は、四六時中、触れることができてしまうのですから、どこかでストップをかけ、その危険性について、保護者や監督者が認識できていない場合は、その視聴時間が際限なくなってしまいます。

 たしかに、公共交通機関などの中でむずがる子どもにスマホを与えておとなしくさせたりするのは、一見、ラクで良いアイディアのような気がしてしまいますが、やはり、幼少期には、自分の目で色々なものを見たり触れたり、感性を育み、そして、公共でのマナーを学ぶチャンスでもあるのです。

 娘が小さかった頃は、ここまでスマホやタブレットが浸透していなかったので、これほどまでに問題にはなっていなかったものの、それでも、当時、フランスの子どもの間でも大人気だったNINTENDO DSなどのゲーム機器を私たちは決して買い与えなかったし、スマホでさえも、かなりの年齢まで持たせていませんでした。

 私が子育てを始める頃に、子どもの家庭内暴力などの問題が浮上していて、こんなになっちゃったら、どうしよう?と親族にもいる教育関係の仕事に携わっている人々に相談したら、「色々と家庭によって、事情はあるんだろうけど、とにかく身体を動かすこと、スポーツなどをさせて、エネルギーを発散させることが大切らしい」という話を聞いて、私は、とにかく、娘の有り余るエネルギーを発散させることを心掛けてきました。

 タブレットやスマホに子守をさせている場合は、その正反対になってしまうわけです。

 そもそも我が家の場合は、私も仕事をしていて、ウィークデーは仕事帰りに娘を迎えに行って、家に帰ってくるのは、夜7時近く、それから公文の宿題をさせて、食事をさせて、娘が寝るまでの時間には、他のことをしている余裕はほとんどありませんでした。

 ただ、タブレットはありませんでしたが、テレビはあったのです。しかし、私は娘の日本語教育のために、娘の幼少期は、ごく一部のテレビ番組を除いて、テレビは日本の番組をDVDで見るだけのものでした。娘が当時、繰り返し、飽きることなく見ていた日本のドラマなどのおかげで娘はずいぶん日本語を覚えたと思うので、必ずしも、スクリーンを全て否定するつもりはありません。

 しかし、やはり、幼少期には、タブレットなどではなく、身体を動かしたり、家族と会話をしたり、本を読み聞かせたりと他にやることはいくらでもあります。

 このスクリーンの有害性については、幼児だけでなく、ティーンエイジャーや大人とて過剰な使用については、気をつけなくてはいけないことがたくさんあるような気がしています。

 個人的にも、ついついスマホを覗いてしまう習慣をあまり良くない、もっとスクリーンから得られる情報以外のものを自分の目で見たり、感じたりすることが必用だと感じ、日中はできるだけ、スマホやネットに接しないようにしています。

 スマホから得られる情報はとても便利で有効であると同時に他の者と接する時間や機会を奪っているということで、これが精神衛生上、また健康上あまり良いことではないような気がしているのです。

 ましてや成長段階にある幼児や子どもの場合は、他のものから子供たちの経験すべきこと、感性を育てることを遮るものとなっているような気がしてならないのです。


3歳以下の子どものスクリーン使用禁止


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2024年4月11日木曜日

若者たちよ!旅行をしよう!海外に行こう!

  


 世界最強と言われる日本のパスポートを持つ権利がありながら、実際には、現在の日本人のパスポート保有率は6人に一人くらいと聞いて、とても残念に思っています。

 私が若い頃には、おそらく海外旅行に出る人はもっと多かったと思うし、実際にパリにいる肌感として、パンデミックの少しまえから、パリへの日本人観光客の数は少しずつ減りはじめ、パンデミックで一時、ぱったりと途絶え、その後も日本人観光客は、ぽろぽろと見かけることはあっても、あまり回復していないような気がしています。

 かつて日本人がパリに大勢押しかけた時の名残りか路線によっては今でも残っている日本語のアナウンスなどを虚しい気持ちで聞いています。

 日本人の6人に1人しかパスポートを持っていないと言われれば、それもあたりまえだろうと思うのですが、どうにも残念な気がしてなりません。

 私は若いときから旅行が好きで海外旅行もけっこうしていたし、類は友を呼ぶといえば、それまでなのですが、周囲にも旅行好きの人が多くいたような気がします。

 考えてみれば、周囲の同世代の友人や従姉妹たちを見回しても、留学経験者も多いし、旅行に出ることも多く、現在でも、おそらくパスポートをもっていないと思われる人は、思いあたらないほどなのですが、どうもその下の世代(その子供たち)を思い浮かべると、もしかしたら、パスポートを持っていないかもしれないことに思い至りハッとさせられます。

 個人的には、若者こそ、海外旅行や留学をしてみるべきだと思っているのですが、どうやら、今の若者たちの多くは、以前ほどは海外に出たいと思わなくなっているような気がします。

 大きな理由のひとつは、航空運賃が爆上がりしたことなどによる経済的な理由があるだろうし、まとまった休暇がとれない、とりにくいということもあるかもしれません。しかし、休暇がとりにくいという点では、私の世代も条件は同じだったはずです。

 この間、日本に一時帰国した際に、かなり久しぶりに娘と同じ年ごろの親戚の子に会ったとき、「旅行とかしないの?」と何気なく聞いたら、「あんまり旅行には興味ない・・東京にはなんでもあるし・・」という答えが返ってきて、ちょっと愕然としました。

 「東京になんでもある・・」とまあ、それは価値観の相違で、旅行が好きじゃない人もいるか・・とその時は、思ったのですが、いやいや「東京にないものはたくさんある・・」、たとえば、日本国内でさえも、少し旅行をしてみれば、日本には壮大で美しい自然を携えているところがたくさんあるし、海外には、異なる文化やその文化のもとで生活している人々がいて、色々な生き方や考え方があって、自分の生活圏とは違う場所に身を置くことによって、あらためて色々なことを感じたり、考えたりすることもできます。

 違う空気を感じるということは、想像以上に大きな体験であり、せめて、旅行でもいいから、海外に出てみることは、若い時だからできる大事な経験であると思うのです。

 実際に生活してみなければわからないことも多々あるし、海外に出れば、危険なこともたくさんあるし、気をつけなければならないこともたくさんあります。

 しかし、最近は日本も治安が悪くなったなどと言いつつ、世界的に見れば、未だに日本は格段に治安のよい国で、ある意味、日本が特殊な国であるということも実感として知っていていいことです。

 ましてや、万が一、海外で恋愛関係に発展したりして、クズ男にひっかかりでもしたら、本当にクズは日本では考えられないほどのクズなので、目も当てられない結果になりかねないところもあります。

 私の場合、夫はフランス人ですが、知り合ったのが日本だったということもあり、そんなに悪い人ではなかったのは、本当に偶然のようなもので、運がよかったと言った方がよいくらいです。

 自分が海外に最初に出たときには、そんなに具体的に将来についての展望を描いていたわけでもなく、ただ勉強したいことがあったので、その勉強をするために何としてもイギリスに行きたいと思っていただけで、今から思い返すてみれば、実に危なっかしいものでした。

 しかし、その若さゆえのエネルギーや今となれば無謀とも思えるような挑戦が、若いときには、あってもいいのかな?とも思っています。必ずしも、海外生活は、平穏ばかりのものでもありませんでしたが、それなりに、色々な経験をし、色々な人々に出会い、色々な文化に触れ、楽しい人生を送ってきたと自分の歩んできた道を後悔することはありません。

 娘にも、色々な場所に身をおいて、色々な経験をしていってほしいと思っています。(言われなくとも、娘は私の若いとき以上にあちこち飛び回っていますが・・)

 そのうち、家庭を持って、子どもでも持つようになったら、それこそ、自分の自由にばかりは時間は使えなくなるのです。

 海外に出てみれば、海外のニュースも少しは知ろうとするようになるだろうし、その中で、良い意味でも悪い意味でも日本がかなり特殊な国であるということがわかるようになります。

 関心事が外に向かないということは、あまり良い傾向ではない気がしてならないのです。

 日本のパスポートは世界最高のパスポートなのですよ!もったいないです!


世界最強のパスポート


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2024年4月10日水曜日

フランス人はマクドナルドがお好き

  


 Expensyaプラットフォームが実施した調査によると、仕事をしているフランス人がもっとも好むレストランの第一位はマクドナルドであったことが報告されています。

 これは、仕事をしている人という括りがあるために、より早く、より安く、より手軽に食べられるという面が優先されるということがあるかもしれませんが、それだけマクドナルドがフランス全土に浸透し、多くの店舗を持っているかということにも拠るものであると考えられます。

 そもそも人気がなければこれだけ浸透し店舗数を増やすこともできなかったわけで(フランスのマクドナルドの店舗数は約1,500軒)、少なくともフランス人はハンバーガーが大好きということは事実です。

 かつては、フランス人はランチでも、ワインなどを飲みながら、時間をかけてゆっくり食事をしている・・というようなイメージがありましたが、現在は、そこまで優雅に食事している・・ましてや仕事をしている人々にとっては、昼休みの時間はやはり限られていて、外食とて時間もお金もかかり、できるだけ早く、安くすませたいと考える人は少なくありません。

 もともと安くない外食がインフレでさらに値上がり、家からお弁当らしきものを持って来たり、簡単なサンドイッチやサラダのようなもので済ませる人もずいぶん増えたと思います。

 パン屋さんでサンドイッチを買うにしても、スーパーマーケットなどで出来合いの食事を買うにしてもそこそこの値段になるので、総合的に考えれば、いつでも温かく出来立てのものが食べられ、セットメニューなどだとかなり割安にもなるマクドナルドなどは、コスパ的に悪くない・・ということになるのだろうな・・と思います。フランスのマクドナルドのセットメニューは、地域や場所によっても異なりますが9ユーロから12ユーロ(約1,500円から2,000円程度)です。

 円に換算すると、マクドナルドなのに高くない?と感じるかもしれませんが、フランスでは、ランチでさえも15ユーロ(約2,500円)以下で食べられるお店を探すのは簡単ではないのが現実です。

 フランスのマクドナルドは、日本のマクドナルドほどには次から次へと新しいレシピやメニューができてくるわけでもありませんが、それでも以前に比べれば、新しいメニューが時々、登場するようにもなり、なによりもフランスのマクドナルドは、一応、100%フランス産の原材料を使っている(可能な限り)ということになっています。

 また、メニューの中には、Cantal AOP または Comté AOP を使用しているものなど、フランス産のチーズにこだわったものなども散見されるうえ、サラダの種類やフライドポテトの代わりに野菜スティックを出してみたりと健康志向にも気を配っている試みが見られます。

 まあ、どのレストランが好きですか?と聞かれた場合の回答として、これだけの店舗数があるマクドナルドという回答が大多数としてあがってくるのは、当然といえば、当然ですが、こうして、色々な企業努力を見ていると、フランスといえどもマクドナルドは時代とともに変わってきているし、フランス人(フランス政府)が好むフランスの原材料を使い、メニューを工夫しながら、ほどほどの価格帯におさえているという点でやっぱり頑張っているんだな・・と思わせられます。

 フランス人の夫などは、古い世代のフランス人で、「ハンバーガーなんて、あんな手で食べる野蛮な食事・・」と言い、(私は、内心、フランスのサンドイッチだって手で食べるじゃん!と思っていたんだけど・・)、マクドナルド=アメリカのもの・・野蛮な食べ物、身体に悪い・・と毛嫌いしていたのです。

 しかし、実際に私が(私もそこまでハンバーガーが好きというわけでもないし、娘はハンバーガーが嫌いという変わった若者)おまけにもらえるグラス目当てでマクドナルドのセットメニューを買ってきたりすると、誰よりも早く、あっという間にペロッと完食するのを見て、「本当は大好きじゃん!」と思ったりもしたくらいですが、とりあえず、とにかくアメリカのものを毛嫌いする傾向があったのです。

 しかし、今の時代、そんなふうにマクドナルドを毛嫌いするフランス人は、ほとんど見当たらなくなったどころか、フランス人が好きなレストラン第一位に君臨するようになったのですから、今では夫の方が化石的な存在になってしまったようです。


フランス人の好きなレストラン1位 マクドナルド


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2024年4月9日火曜日

パリオリンピックまで3ヶ月 セーヌ川の水質状況の悪さに警告

  


 パリオリンピックをほぼ100日後に控え、NGOサーフライダー財団は、6か月にわたるサンプリング調査を実施し、オリンピックのいくつかのイベントが開催されるセーヌ川の水質が「憂慮すべき」状態であると警告しています。

 財団は、トライアスロンとオープンウォータースイミングイベントの開催地となるアレクサンドルIII橋とアルマ橋の下で測定された14件の測定のうち、13件が推奨閾値を「上回っている、またはかなり上回っている」状態であったことを発表しました。

 欧州トライアスロン連盟の基準によれば、糞便汚染を示す 2 つの細菌、大腸菌および腸球菌の濃度が100 ml あたり 1000 cfu、腸球菌では400 cfu/100 ml を超えてはならず、それを超えると、その水は水泳には適さないと考えられます。

 オードパリ研究所によって行われた分析では、大腸菌の濃度が定期的に 2000 cfu/100 ml (2 月 7 日のアルマ橋の下で最大 7,250) を超え、腸球菌の濃度が 500 cfu/100 ml (2 月 7 日の最大 1,190) を示しています。

 これらの憂慮すべき結果に直面して、サーフライダー財団は「セーヌ川の水質に対する懸念の増大」を表明し、アスリート、さらにはイル・ド・フランスの住民にとって「汚染された水の中で進行するリスク」を指摘しています。

 特に今年に入って天候が悪く、例年にくらべて雨も多く、セーヌ川は水位が上がっており、橋の下を通る船が通れなくなったりしているケースが増えています。これに対し、大会開催側は、オリンピックが開催される夏の期間は「強い日差し、少ない降水量、長い日照時間、少ない川の流れ」となる川の状況も異なるものであり、水泳は可能であると想定していると語っています。

 また、イル・ド・フランスは、「雨天時の衛生網を改善する作業が4月と5月に開始され、浄水場の消毒装置を稼働させることによりセーヌ川の水質はオリンピックでも維持される」と釈明しています。

 1ヶ月まえほどに、このセーヌ川の水質についてが話題になった頃、インタビューに答えたマクロン大統領がセーヌ川の水質を保障するために「自分がセーヌ川で泳いでみせる!」と豪語したことが水質以上に話題になりましたが、マクロン大統領がセーヌ川で泳ぐ場面が本当にみられるのでしょうか?

 一般的に、パリに住んでいる人が「セーヌ川で泳ぐ」とか、セーヌ川で泳いでいる人を見かけたら、「ちょっとイカれている・・ちょっと、あたまがおかしい・・」と思うのがふつうで、ここで泳げと言われたら、かなりなレベルのアドベンチャラスなチャレンジです。

 最初にオリンピックには、セーヌ川でトライアスロンをやると聞いた時には(かなり前のことですが・・)、「え~~~??」と驚いたものの、それまでには、きれいにするのかな?と思ってもいたのですが、どうやら、直前になっても水質は改善されていないようです。今回、3ヶ月前になってどうやら水質に問題があるらしい・・などという話を聞いても、「そうでしょうね・・」という感じ。

 恐らく、この改善されない理由のひとつは、この雨の多い気象状況にも起因しているとは思いますが、この壮大?なセーヌ川で泳ぐという計画、泳げない場合に備えてのプランを検討するべきなのではないか?との声も上がり始めています。

 すでにリハーサルイベントは、キャンセル(延期)されています。


セーヌ川の水質 パリオリンピック トライアスロン


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2024年4月8日月曜日

医者の予約を反故にしたら罰金5ユーロ 世界最高の医療システムを追求するために・・

  


 「私たちは世界最高の医療システムを維持したいと考えています」

 昨年、異例の若さで一国の首相に抜擢されたガブリエル・アタル氏は次々と様々な国のシステムを改革しようとしているのが日々感じられます。

 今回、彼が発表したのは、医療システムについての改変ですが、私がちょっと意地悪にひっかかったのは改変の内容の前に彼の言う「世界最高の医療システムを維持したい・・」の「維持」の部分です。

 WHOによると、フランスの医療制度は2000年には世界一だったと言われているそうですが、現段階での世界ランキングはせいぜい20位と言われています。もっとも世界一ではなくとも20位ということは、世界水準でいえば、高水準であるには違いないのかもしれませんが、このざっくりとでも世界最高と言ってのけるあたり、やっぱりマクロン大統領に似た感じの言い方をするな・・という印象です。

 私自身、長いことずっとフランスに住んでいるので、他の国の医療システムについては、日本のことでさえもよくわからないので、正直なところ、どの程度の水準なのかはわかりません。

  個人的には、持病はあるものの、大きな変化はなく、とりあえず、なにかあれば、かかりつけのお医者さんに相談して、問題があれば、処方箋を書いてもらって、特定の検査に行ったり、専門医にかかったりしているので、差し迫って困ることはないのですが、この先の特殊な検査だったり、専門医にかかる場合は、予約しようと思っても、それが数ヶ月から半年近く先だったりするのには、閉口することもあります。

 この流れは、もうずいぶん前に、自分のかかりつけの医者というものを選ばなければならなくなって、専門医にかかる場合は、そのかかりつけの医者に処方箋を書いてもらわなければならなくなったからだったのですが、当初は、なんでそんなに面倒なことを?と思ったものの、それに慣れてみれば、適格な検査や専門医を自分自身で判断できる知識が私にはないので、結局は、それが良かったのだな・・と思っていました。

 私の場合は、かかりつけのお医者さんには、すぐに予約がとれる状態なので、その部分での問題はないのですが、私の場合は幸運な部類に入るのかもしれず、かかりつけの医者にさえもすぐにアクセスできるとは限らないようです。

 医者不足が叫ばれ始めて以来、医学部の定員を増やしたりする措置はとられているものの、彼らが現役として活躍できるようになるまでのしばらくの間は医者不足は解消されることはないので、医者の負担を軽くし、仕事を簡素化するための措置が考えられているようで、医師が事務処理に費やす時間を減らし、より多くの時間を患者に充てられるようにするため、2024年末までに1万人の医療助手を採用するとしています。

 また、これまで医者の処方箋なしには買えなかった扁桃腺や膀胱炎などの抗生物質に対して、薬局の薬剤師が直接、処方することができるようになったり(6月から)、メガネを作る際に眼科の検眼を受けずとも、眼矯技師が直接、適応させることが可能になります。

 特にメガネなどの場合は、大手の眼鏡屋さんに行けば、眼科さながらの検眼システムがあったりするので、これは、妥当だな措置だな・・などとも思います。

 しかし、なんといっても今回の医療システム改変の中で、一番注目されているのは、医者の予約を反故にした場合は(予約をキャンセルしなかったり、24時間以内に行かなかったりした場合)には、「罰金5ユーロ」(2025年1月から)というもので、この罰金は、どのようにして、回収するのかわかりませんが、これこそ、事務手続きが爆増する原因となるのではないか?とも感じます。

 この5ユーロ(約800円)という金額も、罰金としては、なかなか微妙な金額のような気もします。

 世界最高の医療システム・・という壮大な感じのするうたい文句の割には、医者の予約バックレたら罰金5ユーロというなんだか、ちぐはぐなレベルの内容が並ぶことに理想と現実の壁を感じないでもありません。

 いずれにせよ、この発表により、医師組合との交渉が始まることになります。

 今、私は、専門医などの予約がとりづらいことなどはあっても、そこまでフランスの医療システムに不満があるわけではありませんが、これまで友人や知人が重病にかかって入院した時などには、かなり酷いな・・という話なども聞いているので、あくまでも、日常的にそんなに深刻な状態ではないからかもしれません。

 いずれにしても、できるだけ医者のお世話にならずにすむようにしたいものです。

 そうそう、フランスの医療システムですごいな・・と思うところは、ガン治療に関しては、特別な治療の場合は別として、無料ということです。これはもうずいぶん前に友人がガンに罹った時に知ったもので、ミューチュエル(国民健康保険をカバーする保険)に入っていなかったという友人に「え~~?どうするの?」とビックリした時に、幸か不幸か、ガンの場合は一切、お金がかからない・・と聞いて、喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない複雑な気持ちがしたものです。


医者の予約反故罰金5ユーロ 世界最高の医療システム


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2024年4月7日日曜日

連絡のとれない家 携帯の通信制限

  


 ふだん、フランスにいる時も、もうほとんど電話をかけるということがなくなっているので、みんなは家の電話というものをどうしているのだろう?と思います。未だに一応、携帯の中に色々な人の電話番号(家電と携帯)は入ってはいるものの、たいていは、フランスだと what's up、日本だと人によってMessengerか LINEで連絡を取るようになっているので、電話をかけることはほとんどありません。

 家の電話の方は、そもそも自分で使うこともなければ、かかってくるのは、妙な宣伝の電話や時には詐欺だったりすることもあるし、必要な電話は携帯の方にかかってくるのでいらないので家電は繋いでいません。

 それは日本に行った時にも同じことで、ほぼほぼ周囲の人々とはMessengerかLINEでメッセージを送るか電話をするかするので、フランスにいるときと基本的には変わりません。

 ただし、逆に未だにガラケーを使っているという叔母たちとは、それができず、メールか電話しか通信手段はないので、大変、不便な思いをしてしまいます。ほんの少し前はあたりまえだったことがものすごく億劫に感じられるのですから、ラクなことにはすぐに慣れきってしまうんだな・・とも思います。

 それでも、叔母のうち一人は、家にいれば、家電には出てくれるので、まだなんとか連絡は取れるのですが、もう一人の叔母に関しては、家電には出ないし、メールを送っても通信が制限されていて、こちらから連絡を取ることは不可能で、もうそんなことが数年、続いているので、こちらから直接、連絡をとろうとすることもなくなり、隣に住んでいる叔母経由で連絡をとってもらうようになっています。

 どうやら、その家の娘が通信制限をしているようで、周囲の人々もあの家は、連絡とれないから・・と諦めているようです。そもそも、私は日本に一時帰国している時くらいしか連絡を取らないので、そんなに支障もないのですが、なんだか、妙なことだな・・と思うのです。

 その叔母と直接会ったときに、「もう、全然、連絡取れないんだから・・困るじゃん!」などと軽く文句を言ったりもするのですが、「携帯やネットのことは全然、わからないから、娘が全部やってるからさ~」といなされてしまうのです。

 電話が通じないのはもちろんのこと、メールまで戻ってきてしまうので、明らかに通信制限をしているのですが、もしかして、嫌われてる?とも思ってしまうところ、隣のおば経由で連絡をとれば、お土産を色々もって、会いに来てくれて、楽しい時間を過ごせるので、そんなこととも違うような気がします。

 詐欺や迷惑電話やメールなどが多いのは、わからないではないのですが、周囲の誰もが連絡がとれないようになっている・・というのには、とても奇妙な気がします。

 私もネットや携帯などのことは、よくわからないので、その手の契約や設定などは、娘に頼っているので、あまり他人のことに大口をたたける立場でもないのですが、もしも、私のネット環境や携帯などに周囲の友人たちとの連絡がとれなくなるほどの通信制限を娘がかけているとしたら、絶対に怒ると思うし、「なんとかしてよ!」と文句を言うと思うのですが、どういうわけか、その家は、娘の絶対的な支配体制が敷かれているというか、洗脳されているというか、少々、そら恐ろしい気さえしてしまうのです。

 家族の個々の通信手段まで娘がコントロールする・・そして、それにおとなしく言うことを聞いて従っている家族たち・・どう考えてもおかしな構図なような気がするのです。


携帯通信制限


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2024年4月6日土曜日

違法精製の問題にはとどまらないネスレグループのミネラルウォーターの安全性

  


 昨年末から今年の初めにかけて、違法精製水をナチュラルミネラルウォーターとして販売している問題が大スキャンダルとして騒がれていたネスレグループのボトル入りのミネラルウォーター問題でしたが、その話題が騒ぎになっても、スーパーマーケットなどの一般市場では、これまでと何の変化も見られず、同じものが販売されていることに、「どうしてなんだろう?」、結局、精製法がナチュラルミネラルウォーター名乗ってはいけないだけ?という問題なんだろうか?と、ちょっと不思議に思っていました。

 それは、ペリエ、ヴィッテル、エビアン、コントレックスなどのごくごく身近な誰でもいつでもどこでも手にすることができるようなポピュラーなものであっただけに、私にとっては、けっこうショッキングなニュースでもあったのです。

 しかし、今回、新しい環境保護法案が審議され、PFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル)、永遠の汚染物質と呼ばれる汚染物質問題が浮上したことにより、再び、ネスレグループのミネラルウォーター問題に火がつきつつあります。

 PFAS問題が今回、注目された際にPFASが含まれている製品の中にボトル入りミネラルウォーターも存在していることに、私は少々、ひっかかりも感じていたのです。

 それは、フランスインフォとル・モンド紙が同日、明らかにしたもので、ちょっとおさまりかけていたネスレグループのミネラルウォーター問題をぶり返すかたちとなったのです。

 前回の騒動のときには、この巨大な多国籍企業ネスレグループがこの水源の水の違法精製を何年も検査官を欺くために電気キャビネットにフィルターを隠すことまで行いながら隠蔽してきたのは、自社製品の健康上の安全性を保証するためだったと説明していました。

 しかし、ANSES (国立食品・環境・労働衛生安全庁)は、報告書の中で、グラン・エスト地域(エパール、ヴィッテル、コントレックス)、オクシタニー地域(ペリエ)などの水源の汚染が広範囲に及んでおり、微量汚染物質の存在も銘記しており、ネスレグループが販売するナチュラルミネラルウォーターの健康品質の保証に対する信頼性が不十分であることを明かしています。

 ANSES の専門家らは結論の中で、「糞便由来の汚染に関する複数の問題」、「顕著な微量汚染物質の慢性的な存在」、「PFASの存在」、「汚染物質の監視を可能にするパラメータの欠如」を考慮して、当局に対し、ネスレ工場に対する監視強化計画を実施するよう勧告しています。

 明らかに、汚染された水源を天然ミネラルウォーターの製造に利用すべきではないということです。

 さらに驚くことに、検査官が警告している内容の中には、「水を浄化するために導入された違法な処理が健康上のリスクを引き起こす可能性が高い」としている点であり、これには、目も当てられません。

 水の安全性を確保しようとして違法な精製法を用いてまで精製していたものが、この違法な処理自体が健康上のリスクを引き起こす可能性が高いというのですから、ふつうなら、操業継続は不可能となるはずです。

 一般的には、誰もが知っているようなネスレグループの製品のような名前がついている製品は、なんとなく安心できたり、信頼できたりする感覚があるのですが、この問題を見ていると、大企業ほど隠蔽しようとする・・発覚しても開き直る・・政府もぐるになって隠蔽に加担したり、口を閉じてしまったり、特別に容認したりする・・ことが多い感じで、あんまり信用できないものだな・・と思うのです。


ネスレグループ ミネラルウォーター


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2024年4月5日金曜日

2026年 永遠の汚染物質 PFAS 製品を禁止する環境保護法案採択

  


 PFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル)は、人工的に作られた有機フッ素加工物の総称で、その非粘着性、防水性、耐熱性が高く評価されており、特に繊維製品、食品包装、消火泡、非粘着コーティング、化粧品、植物検疫製品、半導体、インクなどの多くの日常生活で利用される製品の多くに使用されています。

 PFAS は化学的安定性により環境中での分解が限られているため、体内に摂取した場合は、体外に排出されにくく、蓄積され、それらが廃棄物として排出された場合は、私たちが飲む水、土壌、空気、海に広がり最終的には食物連鎖に入ります。 母乳を介した乳児への感染も現在では証明されていると言われています。

  欧州環境庁によると、PFAS は、ほぼ確実に、内分泌かく乱作用に関連したさまざまな影響、つまり免疫機能の変化、腎臓および精巣がん、肝障害、コレステロール増加を引き起こすだけでなく、胎児の発育にも影響を及ぼすとされています。

 また、国際がん研究機関(IARC)は、PFOAを「人間に対して発がん性がある」、PFOSを「発がん性がある可能性がある」と分類したと、2023年11月30日付のランセット・オンコロジー誌で発表しています。

 国際的には、ストックホルム条約の枠内で、特定のPFAS(PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)はすでに禁止されています。

 フランスでは、2024年2月、PFAS汚染は公衆衛生上の懸念から政府委託の報告書は当局に対し、PFAS汚染を調査し、これらの汚染物質の「産業排出を緊急に停止する」よう求めていました。

 PFASが使用されている製品やこれに汚染されている製品をみれば、どれだけ私たちの日常生活に浸透してしまっているかを考えると恐ろしいかぎりですが、ひとまず、今回のフランスでの環境保護法案で2026年には禁止されるのは、衣料用繊維製品(その他の繊維製品は2030年)、ワックス製品、化粧品とされています。

 この PFASで一番に思い浮かべるいわゆるフッ素加工のフライパンなどの台所用品は、その最大手であるSEBグループ(ティファールなど)による大規模なロビー活動により、代替品の欠如や無害の主張、過剰転置などを理由にこの禁止製品枠からは外されていることは、どうにもしっくりしないモヤモヤが残るところではあります。

 しかし、この PFASの有害性についての知識をある程度、持っていれば、たとえ、販売されていても、消費者はそれを利用するか否かは自分で選択することはできます。

 ル・モンド紙とフランス・インフォ紙が公表した調査結果によれば、先日、別の問題でスキャンダルとなったミネラルウォーターにも含まれているということです。

 このような問題に神経質になり過ぎると、もう食べてもよいもの、利用してもよいものが非常に限られてくるような気がしてしまいますが、やはり、体内に蓄積され、排出、消去する技術が存在しないとなると次世代の子どもを産んで育てていく若い世代にとっては、無視できない極めて深刻かつ重大な問題でもあり、小さい子どもを持つお母さんたちは、注意してあげないといけないだろうな・・と思うのです。

 この PFAS問題だけでなく、より良いものを開発して進歩していたつもりが有害だったり、環境を破壊していたということは、けっこう多くて、それを戻すって大変だな・・と思うことが最近、多いなと思うのです。


2026年 PFAS 製品禁止


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2024年4月4日木曜日

タクシーの運転手さんによると今年の夏はタクシーが大幅に減るらしい・・

  


 私はふだん、パリ市内かせいぜい、ごくごくたまにパリ近郊くらいしか移動しないので、ほぼタクシーというものに乗ることはありません。私がタクシーに乗るのは、日本から帰ってきた時にあまりに荷物が多いために、空港から乗るときくらいなものです。

 ヨーロッパ内を旅行してきた時は、そんなに荷物も増えないので、タクシーを使うまでもないのです。

 今回も空港からの帰り道はタクシーで帰ってきました。まず、驚いたのは、空港のタクシー乗り場の行列で、こんなにタクシー乗り場に行列していることも珍しいほどの行列でした。とはいえ、少し待っていれば、空港にはタクシーが集まってくるので困るほどではありません。

 長旅の末、無事に荷物を受け取れてホッとしつつも、ガックリと疲れが出てボーっとしながら、ようやくタクシーに乗って家の場所を言うと、車はスムーズにスタート。

 夜だし、スイスイと家に着くだろうと思いきや、なんと途中で渋滞にひっかかり、車はノロノロ運転。今、別のルートが工事中で閉鎖されているために、いつもは他の道を通る車が全部こっちに来ているために渋滞しているのだとか・・。

 高速まで工事で閉鎖とは・・そういえば、オリンピックの交通規制のために高速道路のレーン規制をするという話をしていたので、それだったのかもしれません。

 そのあたりで、運転手さんとの話が始まり、ここ数週間でフランスでは何か変わったことはありましたか?」と聞いてみると、「マクロンがとんでもないことを言って騒ぎになっている・・明日には、戦場に行かなくちゃならないかもよ・・」などと半分冗談めかして話してくれました。

 マクロン大統領が「戦場に派兵の可能性も排除しない」と発言して、国内だけでなく、海外からも批判を受けていたのは、私が日本に出かける前のこと。また、何かさらに過激なことを言ったのだろうか?と思いきや、それを補強するような発言はしていたものの、運転手さんにとっては、その発言がよほど、衝撃的であったのではないかと思われます。

 彼曰く、「マクロンは狂ってる・・」と。

 そして、タクシー乗り場の行列の話をしたら、実はタクシーの台数がそもそも減っているのだ・・という話。インフレや環境問題のための様々な規制によりタクシー業界もけっこう厳しいのだとか・・。

「オリンピックの時なんて、みんなバカンスに出ちゃうから、もっともっと減っちゃうよ・・」とのこと。オリンピック関係者や観光客が膨れ上がることでタクシーの利用客も相当数増えるだろうに、タクシー減っちゃうの? 日本人ならば、書き入れ時とばかりにタクシーも増えるだろうと思うのは、ここでは違って、「いろいろと規制もうるさいし、だいたい夏のバカンス期間中に仕事なんてやってられるか!」となってしまうみたいです。

 いつもの何倍もの観光客がどんどんフランスに入ってきて、恐らく、いつもよりも数倍厳しいセキュリティ体制がとられているであろう空港からものすごい数の人が出ていかなければならない状態で、その、ものすごい数の人が空港に溜まってしまうことがあっても大変です。

 空港からの移動手段は電車やバスもあって、タクシーだけではないにせよ、タクシーを利用しようと思う人はかなりいるであろうに、まず国の玄関である空港を考えても、大変な状態に陥ることは、必須ではないかと思うのです。

 パリに着いたとたんに、また戦争の話とオリンピックの話か・・と急にフランスに戻ったことを実感させられる感じがしたのです。

 日本でのクタクタになりながらも、久しぶりに会えた友人や親戚との楽しく美味しかった時間にどこかフワフワした気持ちでもあった私は、そんな話題を続けたくなくて、運転手さんに、「どちらの方ですか?」とか、「お子さんはいるんですか?」とか、おばさんチックな質問をして、話を切り替えたのでした。

 運転手さんは、アルジェリアの人で、子どもは上から「14歳、12歳、8歳、5歳・・」と言うので、思わず「えっ?4人も?」と驚くと、「4人なんて、ふつうでしょ!僕は日本人じゃないから子供は一人だけとか言わないからね・・」と言われ、「一人だけでもいればまだまし、子どもゼロの人も多いから・・」となんだかフォローになっていない切り返しをしたのでした。

 しかし、現実的にこの夏の、特にオリンピック期間中のタクシー問題、政府はどうするつもりなのでしょうか?・・強制的に働けなんて言えないだろうし・・だからといって白タクに頼るわけにもいかないだろうし・・とちょっとお手並み拝見という気がしています。


パリオリンピック期間中 夏のタクシー


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2024年4月3日水曜日

帰仏早々の歯医者さん 日本での食べすぎの報い

  


 日本滞在から帰仏する前夜のこと、家で食事中、フランスではあまり食べられない焼き魚を食べ収めとばかりに欲張って、何種類も焼いて、いちいち感動し、噛みしめながら食べていたところ、噛みしめ過ぎたのか、突然、なんかガリッと妙な金属製のものをかじった違和感があり、「えっ?今のなに?魚の骨?って感じとも違うし・・」と口の中に残った小さな欠片をつまんでみたら、なんと奥歯の詰め物がとれてしまったのでした。

 前回、歯医者さんに行ったのは、左側の奥歯のインプラントで、相当な時間もお金もかかったうえに、痛い思いもして、もう絶対に歯医者さんに行きたくない!と気を付けて、念入りに歯磨きをするように心がけてきたのに、久しぶりとはいえ、また歯のトラブル。

 しかし、日本に一時帰国中は、ふだんの生活の何倍もの勢いで食べていたので、当然、歯を酷使し続けてきたためにこのような事態に陥る原因としては思い当たることがあり過ぎるわけで、せめて、これが帰仏寸前の出来事でよかった・・と思ってもいたのでした。

 以前、インプラントにまでしなければならなくなったのは、歯医者さんに行きたくなくて、放置していたことが仇となって悪化した挙句のことで、今度は帰仏したら、すぐに歯医者さんに行かなくては・・と、落ちてしまった歯に詰めてあった小さな金のかけらを大事にしまいながら、心に決めていたのでした。

 そして、フランスに戻って早々に歯医者さんに電話したら、思いのほか早く予約がとれました。

 今まで大病といえるような大病もしたことない私にとって、気が重い検査などは数々あれど、歯医者さんというものは、かなり嫌な場所(その歯医者さん自体が悪いというわけではなく、歯医者さんというもの、歯の治療というものが嫌い・・というより大嫌い)、もう予約してある当日は、歯医者さんに行くというだけで、もう病人のように具合が悪くなっている気がするのです。

 今回は、別に歯の詰め物がとれたというだけで、感覚的には痛くもかゆくもないのですが、歯医者さんに行って、またガリガリやられることを想像するだけで、こんなに具合が悪くなるものか?と自分でも情けなくなるのですが、事実なので仕方がありません。

 久しぶりの歯医者さんは、こともなげに明るく「サヴァ?(元気?)」と挨拶してくれるのですが、大人げないことながら、私は思い切り不機嫌で「サヴァではないから来てるんだろうに・・」とか思いながら、答えにつまって自分でも仏頂面なのがわかるほど。

 一応、「詰め物がとれてしまって、そのとれてしまった詰め物も持ってきてはいるんだけど・・」と説明したものの、そのとれてしまった欠片には一瞥もくれずに、歯をチェック。

 いつものことながら、明るすぎるライトにもうまな板の鯉の気持ちで目を閉じ、口をあけます。考えてみれば、従姉妹の旦那さんは歯医者さんなので、日本にいる間だったら、彼に診てもらえたかも? そうしたら、もう少し気がラクだったかも・・?などと思うも、時すでに遅し。

 結局、レントゲンをとったり、詰め物がとれてしまったところをまたさらにガリガリ削られて、応急処置だけをしてくれたところで、初日は終了しました。

 これからさらに気が重いのは、その治療方法の選択と請求書。今回は奥の奥でもあり、目立たない場所でもあり、「最大限保険でカバーできる範囲でお願いします」と話してきましたが、今後、どうなることやら・・。

 今回の一時帰国の初旬は時差ボケがひどくて極端な睡眠不足でいつものような食べ物に対して盛り上がらなくてつまらないな・・などと感じていたものの、時差ボケが解消されるとともに、しっかり挽回して盛り上がって食べまくってきたので、このような報いを受けることも充分にあり得ることではあったのですが、なにかと高くついた今回の一時帰国でした。


フランスの歯医者さん


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2024年4月2日火曜日

高齢者の一年の変化は大きい

  


 小さい子どもは1年会わないと「うわ~っ!大きくなったね~!」とびっくりしたりしますが、高齢者の1年もけっこう大きくて、「えっ??」と驚かされることも少なくないことに、ここのところ日本に一時帰国するたびに感じます。

 現在の私の周囲に関しては、正直、小さい子どもはいないので、後者の方の驚きばかりで、あまり先が楽しみという感じでもありません。

 誰でも年齢を重ねていくので、仕方ないといえば、仕方ないのですが、ここ数年は、周囲の叔父・叔母たちの多くは80歳以上が増えてきて、やはり80を過ぎると1年1年の老化、変化はかなり大きいのだな・・とちょっと愕然とすることもあります。

 叔父の一人は、急に腰が曲がってしまっていたり、ふつうに歩くのでさえも、ちょっと危なっかしい感じだったり、会話が成り立たなかったり、明らかに人の話を聞いていない感じだったり、妙に頑固だったり・・とハッキリ言えば、一目瞭然な老化ぶりにかなりショッキングだったりもします。

 90を過ぎた叔母に関して言えば、ここ1~2年で大きく変わり、以前から外出の際に杖を使っていたりしたので、家の玄関先で顔を見たりする限りはそんなに変化はないような感じも受けるのですが、従姉妹曰く、寝たきりの生活にはなっていないものの、一人で転んだりすると、もう一人では起き上がれない・・とのことなので、かなり心配な状態です。

 認知機能に関しても、私が日常的には隣に住んでいないということがどこまでわかっているのかいないのか? 娘と混同しているのか? 顔を出しても「うわぁ~○○ちゃん(私のこと)そっくりね!」などと言われてしまったときには、返事に困りました。

 それも、まあまあふつうの極めて妥当な会話が成立することもあるので、日によって差があるみたいです。何よりも性格的に非常に明るく社交的であったキャラクターがそうではなくなってきて、表情が乏しくなってしまったような気がします。

 2年くらい前だったか、私が日本に一時帰国していて、フランスに帰るとき、「また、しばらくは日本には来れないと思うから、おばちゃま元気でいてね!」というと、「元気でいたいけど、あんまり自信がないわ・・」などと寂しい返事が返ってきて、その時はその時で、心配にもなったのです。

 今回は今回で、フランスに帰る日の朝、従姉妹がかいがいしく、色々、荷物を出したりするのを手伝ってくれたりして、タクシーが来るまでの間、立ち話をしていたら、叔母が杖をついて、出てきてくれて、「え~?おばちゃま・・大丈夫?危ないよ・・」と言いつつ、私がフランスに帰ってしまうことは理解してくれているようで、やはりわざわざ見送ってくれようとしていることは恐縮してしまうような、でもやっぱり嬉しかったりもしました。

 また、いつものように「今年はもう帰ってこれないと思うけど、おばちゃま元気でね・・」と言ったら、「ハイハイ!私はいつも元気でいますよ!」みたいな返事が返ってきて、昨年よりも事態は深刻になっている感じなのに、あまりその事態を不安に感じるということもなくなってしまったのだろうか?などと、逆に心配にも感じてしまうのでした。

 私の両親は、すでに他界してしまっているので、両親はそれ以来、私の中で歳をとっていかないのですが、両親の兄弟姉妹たちは、両親の年齢を遥かに超え始めた頃から、ぐんぐん老化が顕著になっていく感じに驚くのです。

 もちろん、個人差もあるのですが、身体的なことや認知機能的なことはもちろん、性格的な面もどんどん凝縮されていく感じも、自分がどう歳をとっていくべきか?また、自分がこのようにありたいとか考えることができる年齢にも限界があるのかな?とか、考えてしまいます。

 特別なことがない限り、恐らく少なくとも年内中に日本に行くことはないと思うのですが、次回に日本に行った時、彼らがどんなふうに変わってしまっているのかと思うとちょっと恐い気もします。

 これが小さい子どもの成長に驚くというのなら、どんなに嬉しいことかと思うのですが、小さい子どもは周囲には、全然いなくて老人ばかりというのも、やはりいかにも日本の縮図のようだな・・という気もします。


子どもと老人の一年


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