2024年12月6日金曜日

内閣不信任採択に際してのマクロン大統領の演説と特別財政法案

  


 衝撃的な内閣不信任案採択により、首相の退陣が決定した翌日、マクロン大統領は、国民に向けての演説を行いました。

 正直、彼が何を言い出すのか?まるで見当がつきませんでしたが、今回の衝撃的な内閣不信任について、自分に責任があると述べたうえで、ミシェル・バルニエ氏が国のために尽力してくれたことに感謝の意を述べ、彼が全ての議会グループに譲歩したにもかかわらず(現実的には、どうかとも思うけれど・・)、フランスを統治した?勢力の支援を受けて、極右と極左が反協和党戦線で団結した結果であったと語りました。

 「RNの議員らは、自分たちの綱領に反することを述べ、自国の有権者を侮辱した問責動議に投票することを選択し、NFPのメンバーの他のメンバーも共謀し、無秩序を選択した。彼らは大統領選挙のことしか考えていない」と痛烈な批判も展開しました。

 新首相は、ここ数日のうちに任命するが、これには、「分裂も無策も許されない!私は、彼に全ての政治勢力を代表して、一般利益政府を樹立する責任を負わせるつもりである」と宣言しました。

 そして、彼自身は、大統領の任務を全うする意思を伝え、国民に向けて「あなたがたが民主的に私に託した任務は5年間の任務である」と自身の辞任の可能性を否定しました。

 そのうえで、「私の責任は、国家の継続と諸制度の適切な機能を確保することである」としたうえで、「現在の最優先事項は2025年の国家予算であり、国の機能が継続できるために、12月中旬までに特別財政法案を提出すること」を発表しました。

 「特別法ってなに?」とまた、ギョッとしたのですが、この「特別財政法案」とは、憲法第47条第4項及び財政法に関する本法第45条に規定されているもので、これは、財政法案が可決できない場合、「政府は直ちに国会に特別法案を提出し、その年の財政法の投票まで既存の税金を徴収し続けることを許可する」というものです。

 この特別法案が可決されると、政府は投票されたサービスのみに適用される歳出を解放する法令を発行することになります。これらの投票によるサービスは、前年に議会で承認された条件の下で公共サービスを継続させるために、政府が不可欠と考える最小限の支出に相当すると考えられています。これを実施することで国の機能がストップせずに維持できるようになるということです。

 しかし、この特別再生法案も1979年に一度しか使用されていない法律で、正確には、財政法に関する2001年の基本法の規定以来、交付以来一度も適用されていないもので、前例のないシナリオに、不透明な部分も多く、容易な話ではなさそうな気配でもあります。

 演説の最後には、パリ・オリンピック・パラリンピックの成功や週末には再開するノートルダム大聖堂を祝い、「一人一人が我々全員よりも偉大な大義のために重要な役割を担ってきたこと」を思い起こし、「私たちは、不可能を可能にする方法を知っています。私たちは、国家のために同じことをしなければなりません!」と呼びかけて演説を締めくくりました。

 10分ほどの演説でしたが、なんだかすっきりしない感が残り、バルニエ首相が辞任した今、怒りの矛先はマクロン大統領に向きつつあるところ、この演説はあまり、国民には響かないのではないか・・と思ってしまいました。

 今回の不信任案についてもギリギリまで、「あり得ないこと」と信じて疑わない様子だったマクロン大統領。「あと30ヶ月、彼が大統領でい続けることは民主的な選挙によって決められたこと、国民の民意である」という部分も、今となっては、少々、ムリがある感じ(民意は確実に変化している)が拭えないのが正直なところです。

 マクロン大統領・・今年の春の欧州議会選挙後の突然の国会解散あたりから、どうにも迷走状態に入っている感じがしてなりません。

 この演説直後、「なんの意味もなかった演説」・・などという話をテレビでしています。

 こうしている間にXにて、翌日のリベラシオン紙の表紙が回ってきて、表紙を飾るマクロン大統領に、タイトルが「鮮やかな否定」とあり、「マクロン大統領は、この危機を選挙で選ばれた役人や有権者のせいにしながら、国民を安心させようとした!」と痛快な皮肉を一面に掲載。

 リベラシオン紙ということもありますが、「フランスのマスコミ、全く忖度なしだ・・」などと思うのでした。

 

マクロン大統領演説 特別財政法案


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