2024年9月8日日曜日

マクロン大統領 ノートルダム大聖堂の現代ステンドグラスプロジェクト再始動

  


 2019年4月に起こった火災のために、閉鎖されているノートルダム大聖堂が再開されるまであと3ヶ月という最終段階に入っている中、9月に入って、文化相は、ノートルダム大聖堂の現代的なステンドグラスの窓を創造する責任を負う選ばれた8人の芸術家の名前を発表し、このノートルダム大聖堂の現代ステンドグラスプロジェクト問題が再浮上し、炎上しています。

 昨年12月にマクロン大統領がノートルダム大聖堂の修復工事現場を視察した際に「身廊の南側、セーヌ川側にある6つの礼拝堂に、19世紀のものから現代的なステンドグラスの窓に取り換えてを設置する」「大聖堂の現代的なステンドグラスの窓が「21世紀の象徴」となるように作られる」と発表。

 このプロジェクトはすぐに、文化遺産界や建築界からの大きな反発を引き起こし、国家遺産建築委員会(CNPA)は、40名の専門家委員会を招集し、全会一致で反対意見を表明しているにもかかわらず、政府はこれを全く無視した感じでこのプロジェクトを諦めるつもりは全くない模様です。

 国家遺産建築委員会(CNPA)は、1965年にフランスが署名したヴェネツィア憲章として知られる記念碑や遺跡の保存と修復に関する国際憲章に基づくもので、同憲章は歴史的建造物の修復に関する規則を定め、よく保存されている古い要素を現代の作品に置き換えることを禁じていると説明しています。

 マクロン大統領は、文化遺産の専門家のアドバイスにもかかわらず、ノートルダム大聖堂に現代的なステンドグラスの窓を設置したいと主張し続け、強引に推し進めようとしていると、反発の声は激しくなっています。昨日、X(旧Twitter)のトレンドにマクロンがトップを飾っていたので、首相任命の話かと思ったら、もちろん、その話もあるのですが、このステンドグラス反対の声もかなりあって、なんか、あらゆる場面で彼の強引さが国民に受け入れられていない感じがしました。


 「怪しげなシンボルだらけのオリンピック式典の後、同じ妄想で大聖堂を汚したいようだ!」、「それは歴史的記念碑であり、フランスのキリスト教徒の魂の一部であり、目覚めた悪魔崇拝者の気まぐれのため​​の絵画ではない!」など、かなり辛辣な声が上がっています。

 しかし、このプロジェクトのために実際に火災の影響を受けなかったステンドグラスは機密扱いになっており、これらは、将来建設される大聖堂の歴史を専門とする博物館に展示される予定になっていると言われています。

 この現代ステンドグラスに置き換わるためにはずされたステンドグラスに対して、国家遺産建築委員会(CNPA)は、「こんな不合理は受け入れがたい!これらのステンドグラスは大聖堂建築全体の不可欠な要素として、その場にあるからこその価値であり、他の場所で保存すればよいというものではない!」と怒りをあらわにしています。

 この現代ステンドグラスプロジェクトに反対するのは、国家遺産建築委員会(CNPA)だけではなく、彼らが提出している嘆願書には、15万人の署名が集められています。

 私もこの現代ステンドグラスには、反対、フランスの歴史的建築を現代アートで塗り替えるのは、どう考えてもおかしい話。もしも21世紀の象徴を表現したいのなら、別に作ればよい話で、文化遺産を崩してよいことでもなく、また、何より、国家的文化遺産であるとともに、ノートルダム大聖堂は宗教的な場所でもあり、それに政府が強引に介入するのも異様な気がします。何よりもこんなに多くの専門家の意見を全く無視して・・。

 このステンドグラスプロジェクトだけではなく、最近のマクロン大統領・・突然の国民議会解散や選挙、そして、誰もが想像しなかった首相任命など、どうにも他の意見を無視して独走している感が拭えないことが不安です。


マクロン大統領 ノートルダム大聖堂ステンドグラス


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