2023年7月8日土曜日

ノートルダム大聖堂の今 工事中でも、とにかく見せる姿勢

  


 パリのノートルダム大聖堂が炎に包まれたのは、2019年4月のことでした。考えてみれば、あれはまだ、パンデミックの前のことでしたが、突如、火に包まれて建物の尖塔と身廊、聖歌隊席、翼廊を覆う屋根全体が焼失する前代未聞の大火災でした。

 この大火災は、当時、ノートルダム大聖堂着工850周年のプロジェクトの一環として行われていた改修工事中のことで、その日は夕方、ノートルダムが火災!というニュースにテレビは生中継でその姿を映し出し、炎はすぐにおさまると思いきや、一向に火の勢いはおさまることはなく、ついには、尖塔部分が崩れ落ちる光景は、充分に衝撃的で、また、近隣の住民や信者さんたちが大聖堂から少し離れた裾野にひざまづいて祈る姿は、ノートルダム大聖堂の悲惨な姿とは対照的に、人々が真に祈る姿というものは美しいな・・などと不謹慎なことを思ったりしました。

 ノートルダム大聖堂はパリのというよりもフランスの歴史的な文化遺産の一つで、12世紀から13世紀にかけて造られた建築物で、世界遺産にも登録されており、世界中から寄付を募って、復興工事が始まりましたが、焼け残った部分の安全性を確認しながら、一部は、外したりしながらの修復工事のために、大変な時間と労力がかかっています。

 幸か不幸か、パンデミックのために、観光客は一時、ストップしたものの、工事自体もストップした期間があり、なかなか大変な道のりを歩んでいます。

 しかし、現在のパリはすっかり観光客も戻り、場所によってはものすごい人でもあり、パリの一大観光地であるノートルダム大聖堂も工事中でも観光客を迎え入れる準備が整いつつあり、現に、中には入れないにもかかわらず、大勢の観光客が訪れています。

 もう、かなり前からですが、工事中のノートルダム大聖堂には、囲いができており、もちろん中には入ることはできませんが、その囲いの壁面には工事の様子をパネルにしたものと説明書きがフランス語と英語で書かれています。そのパネルだけでも、けっこう別の意味で見応えのあるものでもあり、こんな状態でも「見せる」姿勢を崩すことはありません。







 つまり、現在は残された原形とともに、工事そのものを見せるように工夫がされています。また、これはわりと最近だと思いますが、大聖堂の正面には、大きな階段のようなものが設置されていて、そこには大勢の観光客が座って、工事中の大聖堂を眺められるようになっています。

 

 ノートルダム大聖堂の周囲を一周すると、裏側は、足場が組まれ、網がはられているため、全くの工事中で中はほとんど見えませんが、周囲には、こんなにあったのか?とおもわれるほどの、いわゆるお土産屋さん、観光客目当てのレストランなどは、全てオープンしています。




 中が一般公開されるのは、2024年の予定、できればパリオリンピックに間に合うようにということだったので、あと1年あまりですが、「間に合うんだろうか?」と思っていたところに、今回の暴動で、フランスには、他にも修復しなければならない場所が増えてしまいました。でも、考えようによっては、工事中のいつもとは違うノートルダム界隈の景色は、今しか見られない景色でもあり、また充分に鑑賞に堪えられるようにきれいにカッコよく整えられています。

 

ノートルダム大聖堂 パリ


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