心配されていた今年のパリ祭のシャンゼリゼでのパレードは、ほぼ、いつもどおり滞りなく行われました。なぜか、この日はいつもお天気にも恵まれる感じで、いつもながら、フランス人でもなく、ただフランスに住んでいるというだけの外国人の私でさえも、フランスを誇らしく感じる日でもあります。
凱旋門を背景にシャンゼリゼの緑の街路樹には、トリコロールのフランス国旗がたなびく絶好のロケーションの中、その中央を隊列を組んで行進してくる様子は、やはり、何度、見ても、ため息が出るほど美しい光景です。
このパレードはシャンゼリゼ以外にはあり得ないように思ってしまいますが、なんと、来年のパリ祭のパレードのルートは、パリオリンピックのために、ヴァンセンヌとナションの間を通るルートに変更されることが発表されました。
2024年のパリオリンピックは、7月26日に開会されますが、このパレードのルート変更は、現行のパレードの終着点となっているコンコルド広場がスケートボードなどの新しい都市スポーツ分野の会場となるためと言われています。
しかし、来年の、このパリ祭のパレードの中には、聖火リレーが組み込まれる予定になっているそうで、オリンピック聖火は7月14日にパリに到着し、2日間かけて、パリ1~20区の全ての区を廻ります。
オリンピック聖火はシャンゼリゼはもちろんのこと、 国会議事堂、リュクサンブール公園、パンテオン、ソルボンヌ、ノートルダム寺院、バスティーユ、レピュブリック、ルーブル美術館などの最も有名な場所を経由して、パリの中心部を廻り、オテル・ド・ヴィル(パリ市庁舎)で1日目を終えます。
翌日には、パリ市長曰く、「私たちの首都の魅力を全世界と共有するとともに、なによりもパリは私たちが住んでいる都市であり、地区の住民とともに共有したい」と、聖火はシャペル、モンマルトル、ベルヴィル、カタルーニャ広場、あるいは、カイユボットを通過し、私たちの日常生活に光を当てる機会にしたいと語っています。
オリンピック聖火はこの2日間、パリを廻り、その後、パリを離れてフランス国内をめぐりますが、26日には、再び開会式が行われるパリに戻る予定です。
現在のフランスの不安定な社会情勢の中、パリ祭だけでも大変な警戒であったのに、このうえ、オリンピックという世界中が注目する場が重なるということは、並大抵のことではないと思われますが、逆にこのパリ祭とオリンピックの融合で、不安定に映ってしまっている現在のフランスの世界からのイメージを払拭すると強気の姿勢です。
私がフランスに来て以来、パリ祭のパレードはシャンゼリゼで行われるものしか見たことがありませんでしたが、このパレードがシャンゼリゼに固定されたのは、1980年からのことだそうで、それまでは、場所は不定期に変更されてきており、最初のパレードはロンシャン競馬場で行われたそうです。
しかし、どんなフランス人もが「世界一美しい通り・シャンゼリゼ!」と誇らしげに語るシャンゼリゼ以外でのパレードがどのようなものになるのか? また、どのように聖火リレーと融合するのか? 今から楽しみです。
また、来年のパレードのルート変更から、オリンピックの話題になったタイミングで、止まらないインフレとともに加速しているデマを払拭するために、マクロン大統領は、「オリンピック税などは、あり得ないこと、オリンピックはオリンピックの資金で賄うこと」(オリンピック税が導入されるという噂があったらしい・・)と断言し、これに加え、政府は、オリンピックチケット40万枚(全チケット1,000万枚中)を国が購入し、若者、特に16歳未満の子供に配布することを発表しています。
およそ、1年後に迫ってきたパリオリンピックをもう1年しかないとも、まだ1年もあると思うかは、捉えかた次第ですが、たった一つの出来事でさえも、あっという間に大きな暴動になってしまう現状を考えれば、現在の暴動がおさまったとて、また、いつ炎が再燃するかはわからないわけで、やはり、パリ祭+パリオリンピックの警備・警戒は相当なものになるんだろうな・・とそんなことを考えてしまいます。
2024年パリ祭 パリオリンピック
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