今年のパリ祭・革命記念日は、ちょっと信じられないほどの勢いと暴力性をもった暴動が起こった直後ということで、いつにない警戒体制を敷いていることは、政府が7月14日を前後して動員、配置している警察官や憲兵隊などの数や、交通規制、輸送規制、花火に関する規制などで、うかがい知れるところでもあります。
市町村が公的に行う花火や催し物などに関しては、禁止されているわけではありませんが、危険回避のために、自粛、自主規制で取りやめにしている地域もあります。
にもかかわらず、前日の夜には、かなり大きな花火もあがっていて、例年ならば、さほど気にはしていないものの、なんだか気のせいか前日にしては、かなり音が大きい気がして、なんだか、少々、不安な気持ちになってしまっているのも事実です。花火の音を聞いて、ちょっと不安にもなるあたり、やっぱり普通ではありません。
これだけピリピリしながら迎えるパリ祭というものも、今まであまり記憶にないのですが、エリゼ宮には、マクロン大統領殺害予告や、そのうえ、なんと「切断された人間の指が届く」という前代未聞の事件も起こっています。
マクロン大統領の殺害予告をしたのは、23歳の男性のようで、ビデオゲームサイトで、「パリ祭の日にシャンゼリゼを攻撃するためにカラシニコフを購入するつもりだ!」と投稿しており、また、「イスラム教徒、ユダヤ人、黒人、同性愛者」といった少数派を攻撃したいとも宣言していました。
彼のこのネット上の発言から、複数のネットユーザーの通報により、この男性はすでに逮捕されているようで、逮捕時には、ナイフで警察に向かいかかるという、非常に反抗的で狂暴な態度であったうえに、彼の車の中からは3本のナイフが発見され、また押収された彼のパソコンからは、ターゲットを検索していた履歴が発見されました。
RMCによると、容疑者はアルジャントゥイユ(ヴァル・ドワーズ)在住で、自らを「国家主義者」と称しているということです。
そして、もう一つ驚かされる、エリゼ宮に郵便で届けられた手紙が添えられた「切断された人間の指」に関しては、すぐに警察の捜査が開始され、当局によると、指先は手紙に署名した人物のものであり、すぐに犯人は特定されましたが、彼は精神疾患を患っている患者で、すでに適切なサービスによって治療中であると発表されています。
どう考えても、ふつうではないやり口も、精神疾患を患っているということで、理解できる気もしてしまいそうになりますが、「すでに適切なサービスによって治療中であるという点については、治療中であるとはいえ、このような奇行に走るのですから、治療の効果はいかばかりなのか?と疑問にも思うし、決して安心できるものではありません。
これらの件に関しては、エリゼ宮をはじめとして、マクロン大統領本人もコメントを控えており、不穏な雰囲気が広がることを恐れて、事件を大々的に騒ぎ立てることを控えています。
しかし、このような事例が続いているからこそ、今回のパリ祭の警戒がいつもよりも厳しいピリピリしたものになっているのも頷けるような気がします。
また、年金問題で暴動が起こった時も、100日後までには、夏前までには、フランスが乗り越えていかなければならない道と方策を示していくと話していた約束は、その時点では、パリ祭の日に行われる大統領演説で語られるであろうと皆、思っていたものの、今年の演説はパリ祭の日には行われないことがエリゼ宮から前もって発表されており、数日後にあらためて、行うとしています。
このフランス国民が歓喜し、興奮する行事の日は、あえて、あらたな火種となりかねない演説は日をずらして行うということも、この社会全体がなんとなく不安定で、情勢不安の中、いつでも爆発しかねないものをフランスが抱えているという現れなのかもしれません。
大統領殺害予告と切断された人間の指
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