暴動後、といってよいのか? もう完全におさまったのかはよくわからない今回の暴動は、おそらくフランスの今年の10大ニュースに入ると思われる大変な出来事でした。
この暴動の火種がおさまったのかおさまらないのか、まだよくわからない現時点で、フランスは一年に一度のパリ祭・革命記念日の祭典を控え、いつも以上に警戒を強めています。
そうでなくとも、例年、パリ祭の夜には、フランスの光と影の部分が同時に表れる日で、華々しいシャンゼリゼのパレードや花火などが打ち上げられる、その華やかな光景と同時に、一方では、必ず怒りをぶちまけて、車を燃やしたり、ふつうの花火とは違う攻撃的な花火(花火迫撃砲)などの応酬が起こったりするのは、珍しくはないことです。
そんなパリ祭を数日後に控えたフランス政府は、この革命記念日までの個人への花火の販売、輸送、使用を禁止する法令を発令しました。
また、ボルヌ首相は、「この花火禁止と同時に大規模なセキュリティ手段が配備される」と発表しています。
今回の暴動に関しての後始末がまだまだつかないうちから、次の暴動対策をとらなければならない政府も気の毒といえば気の毒ではありますが、このフランスにとっての一大イベントの一つであるパリ祭が暴動の再燃になることだけは、なんとしても避けなければなりません。
逆に言えば、今回の暴動で暴徒たちは、この暴動の起こし方、やり方の多くを学んだとも言えるわけで、ここで、彼らの行動を完全にブロックし、今もくすぶっている今後の暴動の火種を消し去り、また、今回の暴動で使われたツールが流通することを避けなければならないのです。
また同時に、今回の暴動により車などを燃やされたりした個人に対しては、「被害者保証基金」を通じて補償される予定で、政府首脳はまた、若い暴力加害者の家族に制裁を加える可能性も検討、「既存の法的枠組みが十分でない場合は、必要に応じて法律を変える」と強気の姿勢を示しています。
こうした暴動を起こした人に対する制裁・罰則の強化も、おそらくは、再発予防になると思います。
そして、今回の暴動で使用されたツールの一つであったインターネット(SNS)に関しても、先日、マクロン大統領の「私たちは、おそらく、緊急時(暴動発生時)は、SNSを規制するか、遮断する立場にある」という発言から、よもやネット切断?と物議を醸したりもしましたが、実際のところは、完全にネットを遮断するというのは、現実的な話ではなく、「位置情報などの機能を停止する」、あるいは、「特定のプラットフォームの機能を停止する」ことを検討していると言われています。
とりあえず、近々に、この暴徒たちを興奮させかねないパリ祭まで、あとわずか数日、検討しているというよりも、もうこのネットに関する件はある程度は水面下では決定しているものだと思います。
しかし、暴動のツールとして使われているとすれば、仕方ないとは思いつつ、先日、暴動に巻き込まれて、コマーシャルセンター内に閉じ込められ、わけのわからない出口から避難するように追い出され、何の誘導もなしに次の駅まで歩かなければならなかった身からすると、その時、なんとか、知らない次の駅まで歩いて行けたのは、ネットの位置情報サービスのおかげであり、こんな時にこそ欲しいサービスでもあるのです。
例年ならば、パリ祭を控えた今頃の時期は、パレードの予行演習の兵隊さん街を制服姿で歩いていたり、飛行機がパリの上空を隊列を組んで飛んでいく様子が見える、なんだかワクワクするような時期でもあるのですが、今年は警戒の話ばかりで、なんだか、パリ祭でさえも、これまでのようには、おこなえなくなっていることをとても残念に思うのです。
花火の販売・輸送禁止
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