コンコルド広場でのセレモニー |
2020年のフランス革命記念日は、コロナウィルスの感染が危惧される中、いつもと違うパリ祭となりました。例年は、シャンゼリゼの沿道には、大勢の観衆が集まり、凱旋門から、コンコルド広場へ向けての華やかなパレードが行われます。
フランスの持ちもの全てがパレードすると言われるこの催しは、天候も良いこの時期に、シャンゼリゼの沿道に植えられているマロニエの木に、トリコロールのフランス国旗がたなびき、美しいパリのロケーションにそれぞれの隊が精悍な制服姿で行進する光景は、フランス国民ならずとも心を奪われるような光景です。
このパリ祭のパレード(フランスでは、デフィレと言います)には、デフィレに参加する人は、もちろんのこと、フランスの国力と美しさに、多くのフランス人がフランスを誇りに思うような、国民の愛国心を強固にするような不思議な力があります。
今年は、シャンゼリゼではなかったので、マロニエのグリーンがないのは残念 |
マロニエの木の緑、トリコロールの国旗、茶色い馬、白い馬に乗る深い紺を基調とし、ゴールドがあしらわれ、ところどころに差し色に赤が入った制服、制帽、ブーツなどでバッチリ決めた一団が束になって、次から次へと行進してくる様子は、圧巻です。
今年は、コロナウィルスの感染が収まっていないこともあり、一般大衆は、シャットアウトされ、招待客のみで、コンコルド広場の小さい?スペースのみで、大幅に規模を縮小して行われました。それでも、演出は、なかなかなもので、数週間前から、政府は、このパリ祭は、コロナウィルスの危機と今も戦い続けている英雄のためのものと発表していました。
コンコルド広場でのセレモニー全景 |
その言葉どおり、例年は行われない医療関係の隊もパレードに参加したり、医療従事者の一部も招待客に加えられていました。式の最後に、コロナに向かって国民が一丸となって戦おうという気持ちを込めて歌われたマルセイエーズ(フランス国歌)では、招待されていた医療従事者の複雑な表情がとても印象的でした。
そんなデフィレは、正午には、終わり、マクロン大統領は、テレビのインタビューに答える形で、コロナウィルスの第2波が来たとしても我々には、充分な準備ができている。また、今後、(恐らく8月1日から)公共の場(屋内)でのマスク着用が義務化されることを発表しました。(マスク着用の義務化に対しては、なぜ、ロックダウン解除の際に試行しなかったのかと思いますが・・)
そして、その日の午後、華やかなパレードとは裏腹に、フランス国内のいくつかの都市では、CGT(フランス労働組合)など、12の労働組合の呼びかけにより、数千人に上るデモが行われ、(黄色いベストによる政府に反対する人や、公立病院の医療従事者による医療に関わる職員の待遇を含む医療環境・物資の不足に対するデモ)、午後6時頃、パリ・バスティーユでは、催涙ガスまで発砲される警察との衝突が起こりました。
パリ祭で、英雄と感謝され、奉り上げられた一部の医療従事者の複雑な表情の背景には、このデモがあったのだと思わずにはいられませんでした。
そして、革命記念日・パリ祭の最後は、エッフェル塔での花火です。今年は、無観客で行われましたが、数ヶ月前までは、閑散として、皆がウィルスに震え上がっていたパリでの盛大な花火は、それは見事なもので、エッフェル塔からは、結構、離れた我が家の窓からでも、花火のど〜んという音まで聞こえ、充分に楽しめた見応えのある30分近い素敵なショーでした。
家の窓から見える花火とテレビで中継されている花火、若干の時差を楽しみながら、今年の3月の時点では、こんな花火が見られることなど考えられなかった状況から、たとえ観客は、シャットダウンといえども、ここまでできるようになったという感慨が襲ってくるのでした。
こうしてセレモニーや花火でパリの街を改めて見るにつけ、やはり、パリは、美しい・・と珍しくパリにいることを嬉しく感じた1日の終わりでした。
しかし、朝からデフィレ、デモ、花火と盛りだくさんな一日でした。
これに加えて、エソンヌ(イル・ド・フランス)で、火事だと通報を受け、駆けつけた消防士が襲撃を受けるという事件が起こったそうです。華々しい革命記念日の光と影、わけのわからない影の人がまだまだ、たくさん潜んでいるフランスなのです。
<関連>「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html
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