2022年3月31日木曜日

一時帰国の貴重な時間 日本の美容院

    

お水を頼んだら、マスクをしていても飲めるようにストローまで添えてくれる心遣い


 私の日本への一時帰国は、家族や友人に会えることや色々な用事を済ませることと共に、もしかしたら、それ以上に嬉しいかもしれないのが日本の美容院に行くことです。

 最近では、日本行きのチケットを予約すると、まずするのが日本の美容院の予約です。

 今回は、数回にわたり、日本行きの航空券もキャンセルになったりしたので、美容院の方も一度した予約をキャンセルするという申し訳ないことをしてしまいました。

 パンデミックで2年間、来ることができなかった日本ですが、数度にわたるロックダウン中にも、美容院に行くためだけにでも日本に行きたい!とさえ思っていました。

 美容院は、フランスでも、けっこう長い間、営業停止になっていましたし、その間、出張美容師や、リモートで自分でカットをするのを指導するという商売まで生まれたりしていたので、その間、政府からの援助は出ていたものの、パリの自宅の近くの美容院などは、営業停止が解除されてからも、客足がもどらず、いよいよ閉店に追い込まれてしまった美容院もありました。

 しかし、私にとって、日本の美容院は、そんなものとは別格で、広くて、きれいな店内に大勢のスタッフ全てが感じがよく、きびきびと無駄なく動き、決して主張が強すぎない心地よい空間、日本人の髪質をパーフェクトに理解した上での、洗練されたカット、カラー技術に加えて、何よりも丁寧で骨身を惜しまない仕事ぶり、細やかな気配り。

 飲み物を頼むとこのコロナ禍、マスクをしたままでも飲めるようにストローまで添えて持ってきてくれるのには、びっくりしました。

 私がこの美容院を知ってからというもの、パリの美容院には一切、行かなくなりました。たしかに、ただ普通のおばさんが美容院にかける費用にしたら、少々、高いものの、それがもったいないとは思えない、至極の時を過ごさせてくれるのです。

 パリで中途半端に高い美容院に行って、雑なカットをしてもらうくらいなら(日本の美容院に比べると一般的に雑です。中には超高級な美容院もあるので、それは別かもしれない)、日本に一時帰国した時に、少し贅沢に素晴らしく納得の行くカットとカラーをほどこしてもらって、至極の時を過ごしたいのです。

 そんなわけで、このパンデミックの間、美容院には全く行かず、伸び放題だった髪を見て、「ずいぶん伸びたね〜久しぶりだね〜」と言いながら、髪をカットし、何人もかかってカラーリングをしてくれるのには、かなり時間がかかるものの、全く無駄な時間な気がしないのです。

 日本に来ると、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、あの人にもこの人にも会わなくちゃと大変、過密なスケジュールになってしまうのですが、大抵は、日本に着いた翌日に行くので、もうフライトの疲れと時差ボケとで、髪を洗ってもらって、マッサージしてもらったりしながら、ウトウトしてしまうことさえあるくらいです。

 むしろ、忙しい中、ゆったりできるのは、美容院の中くらいなもので、美容院に一歩、足を踏み入れれば、他に何もできないことが、かえって、くつろぎの時間を無理矢理作ってくれ、身体を休めてくれます。

 今回は、都合で翌日というわけにはいかず、数日後になってしまいましたが、カットとカラーなどで3時間以上もかかったものの、おかげさまで今回もゆっくりした時間を過ごすことができて、仕上がった髪には、大満足でした。

 次来れるのは、いつかな?また、数ヶ月後には来たいなぁと思う反面、以前日本に来て以来、突然、来れなくなったトラウマ?からか、少し来れなくても、我慢できるように、いつもより、短めにしてもらいました。

 カットがしっかりしていると、多少伸びても、まぁまぁ大丈夫なのです。

 ここのカットとカラーは、パリでも評判がよく、周囲の人から、「その髪、素敵ね!どこでやったの?」などと言われると、「ありがとう、ちょっと遠いのよ・・japon・・」という時のちょっと誇らしい気持ち。

 カットやカラーの技術だけでなく、あの居心地のよさは、パリには、ちょっとなかなかないんだよ・・と思いながら、独りごちているのです。


一時帰国 日本の美容院


<関連記事>

「フランスの美容院は、大雑把で雑・・」

「娘の真夏の成人式」

「アフリカにいた日本人の美容師さん」

「日本はとにかく美味しい」

「リスクを侵してコロナウィルスのロックダウンを解除し始めたヨーロッパ」


2022年3月30日水曜日

海外からの入国者の濃厚接触者に対する行動制限について

  


 先日、日本に入国した私たちですが、帰国後、翌日に日本政府が海外からの入国者にインストールを義務付けている「My SOS」アプリに通知が来て、娘は濃厚接触者としてアプリに監視されることになってしまいました。

 すでに、数日が経過していますが、帰国後早々にやらなければいけないこともたくさんあり(そもそも、そのために帰国している)、一方的に隔離を強いられる、まことに不自由な生活を送っています。

 濃厚接触者に対する隔離というのは、日本居住者にもとられている対策とはいえ、そのアフターケアーについて、疑問を感じ始めています。

 今日、私たちの日本での滞在先の市区町村の保健所から、再度、連絡のメールが届いたことから、娘の怒りが爆発しています。

 海外からの入国者にとっての濃厚接触者認定?は、(だいたい飛行機に搭乗する段階で、ワクチン接種3回の証明書や陰性証明書を提示した者だけに限られており、)「帰国便の機内において、新型コロナウィルス陽性者の前後2列を含む5列以内の座席に搭乗されていた方」とされています。

 飛行機がかなり空いていたとはいえ、このためにかなりの人々が娘同様、濃厚接触者として、自宅待機を強いられていることは、いささか、やりすぎとしか思えないのです。

 一応、濃厚接触者として、行動制限をかけておけば、なんとなく安心という程度のものです。

 間隔をおかずに隣に座っていたというならば、いざ知らず、私たちの乗っていた便は(少なくとも娘の座っていた座席の列は、全席となりが空席だったことは、空席を探していた私は、確認していたことです。

 しかも、全員がマスク着用で、誰とも口もきいておらず、座席に隔たれて座っている状態で、濃厚接触者として、1週間もの個人の自由を奪うことは、あり得ないと思うのです。しかも、何もせずにただひたすらの待機状態。

 一方で、濃厚接触者のPCR検査については、「希望される方は、保健所で予約をとれば、行うことができます」という任意形式のもの。

 しかも、通知には、「濃厚接触者は待機期間緩和の対象外です。入国翌日から7日目までアプリの通知に応答し、待機を継続してください。違反した場合は見回り対象となります。陽性者の検体解析結果は判明次第、お知らせしますがオミクロン株以外であった場合は14日目まで待機継続となります。」という威圧的な内容。

 フランスでは、入国者については、地域別にその隔離等の段階が設けられていますが、少なくとも日本からの入国者に関しては、ワクチン接種3回以上している場合には、一切、隔離なし。入国後の監視や制限もありません。居住者の濃厚接触者については、アプリをインストールしている人には、「陽性者と接触しているので、検査を受けてください」と通知が入りますが、あくまで任意。

 「こんなこと、フランスではあり得ない!、見回り結構、人の行動制限をこんな理不尽なかたちで行うことは、全く納得がいかない! 制限をかけるなら、それなりに正当な理由が必要、人の自由を奪う以上、それに対する補償が伴うもの。見回り結構、来ていただいたら、とことん話す。むしろ、話したいくらい・・名前を公表するなら、それも結構!」と怒り心頭なのです。

 日本人であるとはいえ、フランスで育ち、教育を受けてきた彼女のキャラクターは、まったくもってフランス人なのです。

 しかし、多大な費用を費やしていると思われるこのアプリにせよ、入国の際の書類チェックに関わっている人件費等には、一体、どこに力を入れているのだ?と無駄も多く感じられ、ことに濃厚接触者に認定することは、あまりに容易に一方的に行っておいて、その後の検査は任意とは、なんだか、日本の杜撰な体質が凝縮しているように思えるのです。

 「なにとぞ、国民の方々のご理解とご協力をお願いします」という言葉をよく聞きますが、一方的にご協力を求めるそのやり方は威圧的で、従わなければ、見回りを寄越すとか、名前を公表するとか、脅しのような内容です。

 たしかに日本入国の際に「誓約書」なるものを求められてはいますが、これも一方的なもので、こんな理不尽な濃厚接触者認定の基準などは記載されていません。

 日本入国の際のさまざまな制限はこれまでも行われてきて、強制隔離機関での隔離など、ある程度は、効果はあったかもしれません。公共交通機関の利用禁止なども外国人は、守らないなどと言われてきたことにも、それは、そうだろうな・・くらいに思っていました。

 しかし、逆に言えば、こんなに一方的なやり方が通用するのは、日本くらいのものであることも日本の特殊性を垣間見える気も、実際にこうして当事者になってみると感じずにはいられないのです。

 いっそのこと、アプリに応答しない娘に見回り隊が訪れ、娘が見回り隊とどのような話をするのか、見てみたいような気もしています。


濃厚接触者


<関連記事>

「入国後1日目、MY SOSアプリからの連絡 機内でまさかの濃厚接触者」

「コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査」

「パリーロンドン経由日本行きのフライトの今」

「フランスと日本のコロナウィルスの感染状況・対策の違い」

「キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!」






2022年3月29日火曜日

機内模様から垣間見えた国民性と感染対策・衛生観念

   


 今回の一時帰国で、私が飛行機に乗ったのは、2年ぶりでした。旅行が大好きで、以前、日本に住んでいた頃から海外旅行が大好きで、空港に足を踏み入れただけで、飛行機を間近に見ただけで、税関を通過しただけで、ワクワクと心が踊るような気持ちになりました。

 今でも空港はある種、気分を高揚させてくれるものに違いはありませんが、あの頃の感覚とは違います。

 フランスに来てからは、時には、ヨーロッパ内を旅行することはありますが、やはり、最優先なのは、日本への一時帰国で、シャルル・ド・ゴール空港は、私にとっては、日本への扉のような感覚が強いです。

 まあ、極端に言えば、シャルル・ド・ゴール空港で飛行機に乗って、降りたら、もうそこは日本というあっという間に世界を飛び越えることができるもっと、容易で気軽?なものだったのです。

 今回は、それがコロナ禍、戦時下ということもあり、イレギュラーが重なり、ロンドン経由の長旅になり、2つの航空会社を利用することになったわけです。

 まず、パリ⇄ロンドン間の移動となったら、私にとっては、わざわざ空港に行かなければならない飛行機よりも、断然、ユーロスターを選ぶので、実際、パリ発ロンドン行きの飛行機に、今、こんなに乗客がいることも驚きでした。(日本だけでなく、他の地域への経由便として利用するだけでなく、ロンドンが目的地という人も・・)

 また、その後に乗った日本行きの飛行機内の航空会社と乗客の感染対策観念の違い、温度差にも、ちょっとビックリしました。

 パリからロンドン行きのブリティッシュエアーはほぼ満席、さすがに皆、マスクは着用しているものの、乗客は、かなりお喋りで、マスク以外は以前とあまり変わらない様子の機内模様。

 機内に搭乗してから、30分以上待たされるハメになったことも、通常運転の証。考えてみたら、機内に乗客を満席に詰め込んだ状態で待機させること自体、ちょっとどうかと思う上に、また、静かに黙って待っていられる人々ではありません。

 特に私たちが座っていた後の座席のフランス人の男性2名とその2人に挟まれている日本人の女性は、出発前から、もうお喋りが止まらない・・その中の一人の男性がどうやら、あとの二人を巻き込んでいる様子で、飛行機が怖くてたまらないから、しゃべらずにはいられないと言いながら、話しているのです。

 最初は、両端の男性が話している間に挟まれている女性が気の毒な感じで、「なんなら座席を端のどちらかの男性と座席を変わってあげたら?」などと前で聞いていて思っていました。

 しかし、その2人の男性はそのうち、間に座っている日本人の女性を巻き込み始め、その女性がフランス語が話せないにもかかわらず、今度は、英語とフランス語を交えながら、話し始めるすごい勢い。

 控えめに相槌をうっている日本人女性は、時折、流暢な英語で話に加わっていましたが、見ず知らずの人をさえ巻き込んででも話し続けるフランス人の男性の妙に耳障りな声と英語とフランス語が混ざりながら話し続ける様子に、ちょっとうんざりもしていたのでした。

 そして、数時間のロンドンでの待ち時間を経て、今度は、日本行きのJALの機内は、超長距離フライトということもあり、思ったよりも乗っていた外国人でさえも、この時期に日本に行くということは、日本に住んでいるか、もしくは、ビジネスで日本へ行くかなり日本をよく知る人々。

 機内のスクリーンには、「食事以外の時間はマスク着用、できるだけ人と話をしないでください」という表示がされています。さきほど、パリ→ロンドン便に乗っていたおしゃべりに溢れていた機内と比べて、シンとして、座席も半分ほどしか埋まっていないガランとした静けさです。これが、噂に聞いていた、日本の「黙食」の一部なのか・・と妙に納得したりもしました。

 機内は、長距離フライトの中、本当に、ほとんど口をきく人もいませんでした。また、食事の時間にあらわれたCAは、まるで病院?と思わせるようなガウンを制服の上から身に纏っていて、これには、さすがにちょっとギョッとさせられました。

 フランスは、感染者が再びリバウンドの増加傾向とはいえ、次々と感染対策への制限が解除されているので、日常モードになっていることからも、この機内の緩い?雰囲気もわからないではありません。

 一方、日本に着いてみると、ふと気がつけば、街中でも話には聞いていたものの、マスク率は120%?という感じにあらためてビックリしている自分にもビックリ。

 感染がピークに達していた頃でもなお、顎マスクや鼻出しマスクの人が少なくなかったフランスは、今では屋外でのマスクも義務化ではなくなり、まるで別世界。

 日本人の衛生観念や規律正しさが優れているのはわかっていましたが、逆に久しぶりの、しかもコロナ禍の日本の様子を肌で感じている毎日です。


機内の感染対策 衛生観念


<関連記事>

「コロナ禍で、日本では可能でもフランスでは不可能なこと フランス人に黙食はあり得ない」

「フランスでは知らない人に話しかけられる確率が高い私」

「ゴミの捨て方に見るフランス人のモラル フランス人には、箱を潰して捨てようとか、そういう観念はない」

「新規感染者数2,000人の日本と60,000人超えのフランス どちらが幸せか?」

「自分の落としたゴミを拾ったら、びっくりされて、すごく感謝された!」

 








 

2022年3月28日月曜日

入国後1日目、MY SOSアプリからの連絡 機内でまさかの濃厚接触者

   


 新型コロナウィルスによるパンデミックもまだおさまり切らず、まさかのウクライナ戦争での混乱で、パリからの直行便も欠航になっている中、パリーロンドン経由のフライトで現在、日本に一時帰国しています。

 出発ギリギリまで、フライトが予定どおり飛んでくれるかどうかも不安な中、日本入国のためのPCR検査やそれを日本オリジナルの書式に書き込んでもらったり・・、誓約書等、必要な書類を準備して、わずかばかりのお土産を揃えてバタバタと準備を進めて、シャルル・ド・ゴール空港からロンドンへ、そして、ロシア上空を避けての迂回ルートのロンドンー羽田便でパリの家を出てから、約20時間後に羽田空港に無事、到着いたしました。

 空港についてからの何重にもわたる書類やアプリのチェック、唾液検査などを経て、検査も無事陰性で、そのまま自宅に直行、久しぶりに日本の我が家に戻ってきました。実家に戻って、とりあえずはヤレヤレといった気分ではありました。

 日本にある実家の家は、両親が他界して以来、年に2度くらいやってきては、そのたびに、家の中のものを片付けているものの、まだまだ片付けは終わらないまま、今回のパンデミックのために、2年間は日本に来ることもできずに放置状態になっていました。

 幸い、同じ敷地内に従姉妹家族が住んでおり、時々、覗いてもらったりはしていたのですが、2年間放置していた家のあちこちは、埃やカビで大変な状態に・・。湯沸かし器がつかなくなっていたり、洗濯機が動かなくなっていたりと、まず、正常な状態に戻すのに、あっちこっちとかけずり回ることになりました。

 金曜日の夜に到着したものの、幸いなことに日本は土曜日も日曜日も営業しているところが多く、用事を1日にたくさん済ませることができるのは、助かります。

 ところが、日本に着いてから、バタバタと動き始めて、翌日、入国の際に入れることが義務付けられている感染対策アプリ「MY SOS」が突然、ぶーっ!ぶーっ!ぶーっ!と振動と鈍い音を立てて鳴り響き、なんと娘の方だけにアラートが!

 今回のフライトは娘と一緒でしたが、予約の際に、かなり空いているであろうということを予想して、ふたり、たてに1席ずつ予約を入れていました。おそらく、隣に予約が入らなければ、それぞれが2席ずつ使えるだろうと目論んでいたのです。

 実際に飛行機に乗ってみると、娘の隣は空席でしたが、私の隣は、残念ながら、かなり体格のよさそうな外国人の男性が座っていました。

 「え〜〜〜〜?なんで?ついてない!」と思った私は、一瞬、娘の隣に席を移ろうとしたのですが、それ以外にも何席も空席の場所があったために、二人ともが横になって眠れるように、CAの人に頼んで、私は別の空席に席を移動させてもらったのです。

 結果的に、それが私には幸いしたのですが、娘の座席の前後2席以内に座っていた人が到着後に感染したことが判明。娘には、「あなたは濃厚接触者となりました。1週間は、自己健康管理に努め、自宅隔離してください」というメッセージが・・。

 なんともショッキングなことで「濃厚接触者は待機期間緩和の対象外です。入国翌日から7日目までアプリの通知に応答し、待機を継続してください。違反した場合は見回り対象となります。陽性者の検体解析結果は判明次第、お知らせしますがオミクロン株以外であった場合は14日目まで待機継続となります。」との通知で娘は到着早々、1週間の自宅隔離となってしまいました。

 座席は半分くらいしか埋まっていなかったにもかかわらず、濃厚接触者とは、なんたる悲劇!長いフライト中も私たちは食事時間以外はマスクを決して外すこともなく、ひたすら耐えてきたというのに、いくつものハードルを乗り越えて、せっかく入国できたのに・・・。

 私は、幸いなことに座席を空いている場所に移動させてもらったことで難を逃れましたが、本来ならば、濃厚接触者と常にいる私も通知は来ていないものの立場は同じはず。

 なんとも、残念な結果となりました。

 長距離フライトを利用される方は、もし、空席があるようなら、できるだけ、人を避けた場所に座席を移動させてもらうことをお願いした方がこのような1週間待機になるリスクが低くなるかもしれません。


機内濃厚接触者 1週間隔離


<関連記事>

「涙・涙の空き家の片付け」

「パリーロンドン経由日本行きのフライトの今」

「コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査」

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「時差ボケの苦しみと胃の容量を上回る食欲との闘い」









2022年3月27日日曜日

コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査

   

いくつものチェックポイントを通過するけど、流れはスムーズ


 コロナウィルスによるパンデミックでフランスから日本への入国には、長い間、強制隔離施設での隔離、あるいは、自宅隔離期間が設けられており、その間の移動も公共交通機関が使えないなど、さまざまな障害が立ちはだかっていました。

 それが、3月に入って、ワクチン接種3回済みの人に対しては、隔離措置が撤廃されました。フランスでは、わりとワクチン3回接種を済ませている人も多く、多くの在仏日本人がこの恩恵?に預かることができるようになったと思います。

 ただ、出発前72時間以内のPCR検査の陰性証明書の提示が義務付けられており、しかも、この検査陰性の証明書には、日本の求めている内容のチェックが記載されている必要があり、できれば、日本独自のフォームに書き込みをしてもらい、サインをしてもらうのが、日本入国のためには、明瞭で問題が起こりづらいものと思われます。

 フランス在住の人は、PCR検査は、Carte Vital(健康保険のカード)とワクチンパスがあれば、無料でやってもらえるので、私は、あらかじめ、この日本独自のフォームに書き込んでくれる場所を確認して検査を受け、当日、あるいは翌日には、検査結果がSNSで送られてくるので、その検査結果を持って、再び、その検査場に行くと、日本独自のフォームに記入してくれます。

 私が行ったところは、けっこう日本独自の陰性証明書に記入するケースをこれまでにも、いくつも請け負っていたとみえて、「あ・・日本のね・・」と手慣れた様子で証明書を書いてもらえました。

 パリ在住、あるいは、近郊にお住まいの方でこのPCR検査の証明書を書いてもらえるところをお探しの方は、ここは、便利かもしれません。私が検査をした時点では、予約の必要もありませんでした。

○Laboratoire FELIX EBOUE BIO LAM LCD Autorisation

   3-5 Place Félix Eboué 75012 tel.01.43.44.51.94


 それに加えて、ワクチン接種の証明書、日本政府への入国に関する誓約書、MySOSアプリ、COCOAアプリのダウンロード、あらかじめ質問事項を記入するとQRコードが出てくるので、そのQRコードをスクリーンショットしておく必要があります。

 羽田空港に到着すると、これらの書類やアプリを何重にもチェックするポイントを通過し、(これがけっこう、長くて、こんなに何重ものチェックが必要なのか?と思う)唾液検査のブースに進みます。

 この際に、「フランスから入国の場合は、自宅隔離期間が必要です」とあらかじめ、説明を受けましたが、「ワクチン接種3回済みの人は隔離は必要ないはずです」と3回のワクチン接種の証明書を提示したら、「ちょっと確認して参ります」と言われて、「すみません。やはり隔離は必要ありませんでした・・」となったので、ワクチン接種証明書は、常に携帯しておいた方がいいかもしれません。

 そして、唾液検査用のキットを渡されて、自分で唾液を採取するのですが、この容器のここの線まで入れてくださいという唾液の量が結構な量で、私の場合、「そんなに唾液、出ない!」と思いながら、結構、唾液の採取には苦労しました。

 唾液採取が終わると、検査の受付番号のシールが貼られた健康カードという紙を受け取り、待機場に移動して、自分の検査番号が電光掲示板に表示されるのを待ちます。

 私の場合は、ここでは20分ほど、待ったでしょうか? 自分のナンバーが表示された時点で、検査結果を受け取りのブースで検査結果を受け取ります。ここで陽性となったら、隔離状態になってしまうので、ドキドキして、結構不安でしたが、幸いなことに陰性でした。

 その後の流れは、通常の入国と同じで、自動認証機械によるパスポートチェック(この際はマスクを外して顔認証)をして、荷物(スーツケース)を受け取り、通関して、解放されます。

 飛行機が到着してから、1時間ほどだったでしょうか? 現在は、比較的、入国者も少ないため、思っていたよりも、早く解放されました。

 いよいよ、入国して空港内に解き放されると、すぐにコンビニにかけこみ、おにぎりとお茶を買って、「あ〜日本に帰ってきた!」と実感するのでした。

 いくつもの不安材料であるハードルを越えて、日本に入国、やっぱり日本はいいな・・あぁ〜羽田空港だ・・と、今まで、こんなに感慨深い帰国はなかったな・・としみじみしながら、日本に入国いたしました。

 


 この税関を通って、自動ドアが開かれた瞬間、キティちゃんの看板がお出迎え、「日本だ・・」とどこかホッとする瞬間です。

 今から早いですが、次回、日本に帰国する際には、直行便で、PCR検査の必要もなく、あっさり入国できるようになっていてほしいとつくづく思うのでした。


海外からの日本入国 空港での書類チェックと検査の流れ



<関連記事>

「パリーロンドン経由日本行きのフライトの今」

「キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!」

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「コロナウィルスで日本が遠くなった」

「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

2022年3月26日土曜日

パリーロンドン経由日本行きの超長距離フライトの今

   



 海外生活もトータルで四半世紀を過ぎて、特にパリ⇄日本間は、これまで、何回、行ったり来たりしてきたことか・・。娘が小さい頃は、できるだけ日本という国に、日本語に触れさせたくて、学校の休みが長い夏のバカンス時に、年に1回のペースで連れて行っていました。途中、あまりに多いフランスの学校のバカンスの調整をつけるために、数年、日本には行けなかった時期もありましたが、その分、ヨーロッパ内はだいぶ旅行して歩きました。

 数年、行けなかった分を取り戻すがのごとく、母が入院した・・危篤・・父の病状が悪化した・・、葬儀、日本の税務署からフランスまで通知が来て、慌てて日本に行く羽目になったり、ここのところ、年に数回、行くことも少なくありませんでした。

 夏のバカンスシーズンはチケットも高く、航空運賃というものは、2歳以上は、ほぼ大人と同じ金額で、二人分の日本往復は、私の決して多くないお給料からしたら、大変な出費で、少しても安いチケットを探して、ルフトハンザやブリティッシュエアなどの経由便を使っていたこともありました。

 しかし、歳を重ねるにつれて、だんだんと長距離フライトは、体力的にもキツくなり、また、9.11のテロ以来、一層、手荷物検査などが厳しくなり、経由便の場合は出発地のチェックに加えて、乗り換えの際に再び手荷物検査に時間がかかり、前のフライトが遅れて、だだっ広い空港内を走って移動して、乗り換え便にようやく間に合った・・ということもありました。

 2020年3月以来のパンデミックのために、日本の水際対策はとても厳しく、ずっと日本行きは諦めていましたが、ここに来て、ようやくフランスからの入国については、ワクチン3回接種者に対しては隔離措置がなくなり、用事も重なって、日本行きを決断したのです。

 ところが、やれやれ・・と思ったところで、今度はまさかの戦争。予約していたパリから日本への直行便はキャンセルになり、日にちをずらしたものの、またキャンセル、結局、ロンドン経由の便を利用しての帰国となりました。

 しかし、それでさえも、いつキャンセルになるかドキドキで、こんなに寸前まで日本へいくためにハラハラさせられるのは初めてのことでした。しかも、日本での隔離期間が撤廃されたとはいえ、まだ出発72時間前のPCR検査の陰性結果を日本式のフォームへの記載を頼んだり、日本入国のために必要な書類を揃えたりと今までとは違うステップがいるわけで、寸前でもしも検査結果が陽性になれば、全てはまたふりだしに戻ることになってしまいます。

 それでもシャルル・ド・ゴール空港に向かった時には、久々の飛行機や空港が嬉しくて、ちょっとワクワクした気分になりました。必要な書類を揃えて空港に行くと、さすがにこれまでとは、比べものにならないくらい、空港にも人が少なくて、ちょっと寂しくも思いましたが、一方ではそのおかげで思っていたよりはスイスイとチェックインも書類のチェックも進みました。

 ロンドン行きの飛行機は、機内で30分ほど待たされはしましたが、そこは、別にコロナも戦争もなくとも、いつもよくある出発の遅延の範囲内。

 ロンドンのヒースロー空港は、乗り継ぎ便のターミナルひとつひとつは、とても心配りがされて、便利にできている一方で、ターミナル間の移動がとても長く、時にはターミナル間を滑走路の近辺を通るバスで移動しなければならず、大変時間がかかります。

 現在のパリからロンドン経由の羽田行きのフライトは、単なる経由便というだけではなく、ロシア上空を回避した迂回ルートになるために合計すると20時間近いフライトになるのです。

 大昔、日本からヨーロッパに行くのには、北回り、南回りやアンカレッジ経由なるものがあって、かなり時間がかかっていた時期も私は経験していたので、まあ、そんな大したことないな・・と高を括っていたのです。そこは、やはり、私もあの頃は若かったのです。

 実際に乗ってみると、果たしてこれはやっぱり長い・・しかも、この長時間、空港内での移動の時間を含めて、機内でももちろんずっとマスク着用、このマスク着用状態で20時間近く・・というのが、長距離フライトに追い討ちをかけるように、結構、シンドく影響するのです。

 飛行機は、787−9という比較的小ぶりの飛行機にもかかわらず、座席は5割弱程度の埋まり具合で、一人で2席分は使うことができたので、それでも少しはマシでしたが、それにしても、長い・・シンドいフライトです。

 機内での食事は長時間でも、いつもと同じ2回、長いフライトなのでと、どら焼きとブルーべリーマフィンが配られた他、「おっとっと」などのスナック菓子やクッキーやお煎餅などが置いてあり、長時間フライトのストレスから?四六時中、お煎餅やらスナック菓子を食べ続けてしまうという最悪の感じ。もう日本へ到着する前から増量気味。

 こう長いと映画を見るにもスクリーンの光が目に厳しくて、なぜかスクリーンには「早く着かないかな?」と期待をもちつつ、飛行機のルートを示すマップをセットしている人が気のせいか多い気がしました。

 唯一の楽しみ?としたら、いつものルートではない北極圏の近くをとぶために空から見える景色が違って、もしかしたら、オーロラが見られるかもしれないという微かな期待がありました。(しかし、見れなかった・・というか、見る気も失せてしまった・・)

 現実的には経由便なのに、いつもよりもずっと高額のうえに、さらに時間もかかるというこのフライト、正直、かなりしんどかったです。

 ようやく日本に到着すると、何重にもわたる書類やアプリのチェックと検査が待っています。ここでまさかの陽性になったら、隔離です・・。

 それでも羽田空港では、到着する人より、それをチェックする人の方が多いのではないかと思われる受け入れ体制。無事、陰性で、入国できました。

 私は、帰りのパリ行きのチケットは、直行便も経由便も同じ金額だったために、「その頃には、なんとか・・」という淡い期待を込めて、直行便を予約しているのですが、さて、どうなることでしょうか?

 日本からパリに戻る時には、大量の食料品とともに戻るために、荷物は常に満パンで、フライトは可能な限り直行便と願っているのですが・・。

 しかしながら、ともかくもいくつものハードルを超えて、約2年ぶりの日本帰国は、嬉しいことであるには、違いありません。


ロンドンー羽田迂回ルートでの長距離フライト


<関連記事>

「キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!」

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

「海外在住者の本人確認はパスポートではできない不思議」

「日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと」

「フランスからの日本への入国 3日間の強制隔離撤廃 日本の水際対策」

 

 




2022年3月24日木曜日

ゼレンスキー大統領のフランス国会での演説

  


 日本の国会で演説を行ったウクライナのゼレンスキー大統領は、同日、フランスの国会においても、演説を行いました。彼は3月1日の3月1日の欧州議会での演説以来、国際舞台での外交キャンペーンを精力的に続けています。

 アメリカ、ドイツ、スイス、イスラエル、イタリアの国会で連日演説を行った後、3月23日(水)は、日本に続いて、午後3時からフランスの国民議会と上院で演説を行いました。

 毎回、ウクライナからビデオ会議で、自国語(同時通訳)で、軍用カーキ服を着て自国の旗の前での彼の演説は、スタンディングオベーションを受けていました。

 すでに、彼の演説は、それぞれの国にあわせた歴史的な出来事や人物を組み込んでおり、言葉も語調もその聴衆にあわせて語られています。

 イギリスでは、ウィンストン・チャーチルやシェイクスピア、アメリカでは真珠湾攻撃や9•11のテロ事件、またドイツではベルリンの壁を引用したかなり強めな訴えと日本では、TSUNAMIという言葉を使ったり、震災における復興にあたった日本の力を讃えたりと、その内容は様々ですが、もともと俳優であった彼にとっては、人に訴えかけて話すことはかれの得意分野でもあります。 

 しかし、どの国においての演説でも共通することは、聴く人の感情に大きく訴えかけるものであり、今や世界中の誰よりも世界中で演説を行い、その聴衆を引き込んでいくチカラを持った大統領であるかもしれません。

 このコミュニケーションは、ウクライナの重要な武器の一つでもあります。真実が拡散するのを恐れて言論統制をしているプーチン大統領と真実を訴えかけるために自ら演説を続けるゼレンスキー大統領とは、まさに対照的です。

 フランス国会での演説では、まず、「我々はフランスの援助に感謝しています」と述べ、この戦争にあたって、真のリーダーシップを発揮してくれているマクロン大統領の努力を賞賛し、フランスとその指導者がウクライナの領土保全を維持することを期待している」と述べました。

 そして、マリウポルをベルダンになぞらえ、3月9日のマリウポリ産科病院への爆撃は「中世のような残酷な包囲攻撃」だと述べました。「怪我をした女性、足を切断した女性、赤ちゃんを亡くした女性、骨盤を骨折した女性・・医師は彼女を救おうとしたが、彼女は死なせてくれと言っていた。彼女はもう生きる理由がないと思って死んだんだ・・」語り、とフランスの過去の記憶に訴えました。

 「ロシアの侵攻から数週間が経ち、マリウポルをはじめとするウクライナの街は、誰もが見たことのある第一次世界大戦の写真のようなヴェルダン廃墟を思わせる」と説明し、「フランスがベルモンドに別れを告げることができたように、私たちも互いに別れを告げることができなければなりません」と述べました。

 また、すでに数百社のフランス企業がロシアから撤退したものの、一部は今もロシアで活動を続けていることに言及し、「誰が罪を犯しているか、砂に頭を隠してロシアで金を見つけようとしているかは、皆さんがよくわかっているだろう」とオーシャン(Auchan・スーパーマーケットチェーン)、ルロワメルラン(Leroy Merlin DIYショップチェーン)、Renault(ルノー)グループを引き合いに出して、「フランス企業はロシア市場から撤退せよ」と呼びかけました。これらの企業は「ロシアの戦争マシンのスポンサーであることをやめなければならない」とロシアからのフランス企業の撤退をかなり厳し目に訴えました。

 同日、ルノーは、このプレッシャーのため、ルノーのモスクワ工場の操業停止を発表しています。

 そして、ゼレンスキー大統領は、「フランスは、真実を大切にし、それを守り続けている国であることをウクライナはよく知っている」と述べ、フランスのモットーとされている「Liberté, égalité, fraternité'(自由、平等、友愛)」という言葉を用い、「ウクライナ人が自由のために戦ってから1ヶ月になる」「我々の軍隊は数の上で勝るロシアに英雄的に対抗している 」と堂々と語り、「自由が失われないために、我々は、十分に武装しなければならない」とさらなる援助と物資支援を求めました。

 また、将来の紛争を防ぐために、フランスが「主導的な役割」を果たすべき欧州の「新しい安全保障システム」を構築することを期待していると述べました。

 おそらくフランス人に一番、ストレートに響く「自由」「真実」という直球の言葉を使った彼の演説は、どれだけ、フランス人の気持ちに響いたでしょうか?

 また、この世界中での演説を巧みに進めていくゼレンスキー大統領の様子を見ながら、日本のトップは、このような説得力のある演説を世界に向けてできるだろうか?とも思ったのでした。


ゼレンスキー大統領演説 フランス国会


<関連記事>

「フランス国内のオリガルヒ資産の凍結とフランスの税務署」

「マクロン大統領のゼレンスキールック」

「言論統制・報道規制の恐怖 プーチン大統領を止められるのは誰か?」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la République」



2022年3月23日水曜日

WHO(世界保健機構)が警告 ヨーロッパの感染対策解除はあまりに急激すぎる!



 WHO(世界保健機構)は、フランスをはじめとするドイツ、イタリア、イギリスを含むいくつかのヨーロッパ諸国があまりにも急激に感染対策を解除してしまったことに警告を鳴らしています。

 WHOによると、ヨーロッパの新規感染者数は1月末にピークを迎えた後、急激に減少していましたが、3月に入ってから一転して増加傾向にあります。感染症専門家によると、このリバウンドは、特にオミクロンBA.2亜型の優勢によって説明されるといいます。

 この7日間で、WHOヨーロッパ地域で510万人以上の新規感染者と12,496人の死亡者が記録されています。「特に増えているのは、イギリス、アイルランド、ギリシャ、キプロス、フランス、イタリア、ドイツである」と指摘しています。




 しかし、一方では、WHO欧州ディレクターであるハンス・クルージ氏は「今のところ警戒してはいるものの比較的楽観的に見ている」とも発言しています。

 楽観的になれる理由としては、ワクチン接種の拡大による効果と、これまでの経過で爆発的に感染が拡大したために、ヨーロッパ市民にかなりの免疫がある点を挙げています。それに加えて「冬が終わるので、狭い場所に人が集まりにくくなる」という点もしています。

 そして、オミクロンの変異型は、「ワクチン接種の少ない国では、依然としてリスクの高い病である一方で、ブースター投与を受けた完全なワクチン接種者にとっては重症化するリスクが低い」とも指摘しています。

 しかし、現実のところ、これまで慎重な態度を取り続けてきたヨーロッパが現在のように感染対策の急激な緩和に踏み切ったのは、これまでの感染拡大回避のための規制による制限と経済復興のバランスをどう取っていくのかという面のみに注力していたことに加えて、「ウクライナ戦争による混乱」が加わり、正直、戦場はウクライナであるものの、いつ具体的な火の粉がふりかかるかもしれない地理的、政治的な関わりや、ロシアへの経済制裁の煽りからの急激なインフレ、数十万単位で押し寄せてくるウクライナからの難民や、ついには核兵器がつかわれるかもしれない恐怖は、ヨーロッパの人々にとっては、コロナウィルス以上のものであるという現実なのです。

 その結果が、この急激な感染対策緩和につながっているのですが、WHOとしては、おそらくヨーロッパの立場があまりピンときていないことから生まれるこの警告。

 ヨーロッパのコロナウィルス感染状況を鑑みれば、この感染対策規制の緩和は、客観的には、あまりに急激で唐突なものであるに違いありませんが、ある程度は、感染は増加しているものの、ピークは超えたと思われるコロナウィルスへの対応が少し緩くならざるを得ないのかもしれません。

 ワクチン接種に加えて、ヨウ素剤の準備などが行われるなか、ヨーロッパは、コロナウィルス感染対策に加えて、経済復興、戦争への対応という3つのバランスをとりつつ進んでいかなければならない結果がになっています。

 このバランスが多少、崩れていることは事実で、ワクチンパスやマスク着用義務を撤廃する一方で65歳以上の4回目のワクチン接種を開始。このアンバランスさにフランス政府の焦りも感じられます。

 とはいえ、コロナウィルスは、戦争でさえ容赦はしてくれないもの、少しでも気を緩めれば、またこの戦時下に再び新しい感染の波を迎えないとは言い切れず、ここは、冷静にどちらも対処してもらいたいものだと思っています。


WHO警告 ヨーロッパ感染対策規制解除 ヨーロッパ感染増加


<関連記事>

「フランスHAS(高等保健機構)4回目のワクチン接種を65歳以上に推奨」

「マスク着用義務撤廃とフランス人の同調圧力」

「80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾」

「フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘」

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」





 


2022年3月22日火曜日

ロシアとオウム真理教 独裁者の暴走

   



 オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こって、3月20日で27年が経ったという報道を見て、オウムとロシアとはダブるような感じがする部分があることを最近、感じています。

 地下鉄サリン事件は、日本で起こった事件の中でも、いつまでも忘れられない事件であり、今でも時々、資料を読み返したりすることがあります。

 当時、私は、日本の通信社で働いていたこともあり、1日中、当時のニュースはかなり詳しく目にしており、また、犯行の中心となったオウム真理教の幹部と言われた人々は、私とも年齢が遠くない人々で、どこか人ごとではないような気がしていたこともあったからです。

 最近、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースで、今まであまり、関心のなかったロシアという国を見ていると、以前にオウム真理教がロシアに目をつけて、教団武装化のための武器を大量にロシアで調達したり、ロシアにも教団支部を作り、その勢力を拡大しようとしていた理由がなんとなく、今になってわかるような気がしています。

 オウム真理教の胡散臭さはもちろんのこと、ロシアにしても、あまり裕福とは思えない生活をしている人も少なくない印象の国が宇宙開発などに力を入れ、たびたび、ロケットを飛ばしてみたり、なんとなくアンバランスなおかしな国だと思っていました。

 オウム真理教というのは、一応、宗教的な側面があるものの、ケチな私にとって、執拗にお金を要求する時点で、信用しておらず、そもそもお金で幸福になれれば、宗教など必要はないと思うのです。

 ロシアに関しては、ある程度の水準以上の生活をしている地域の人もいるのでしょうが、以前、パリで見かけたロシア人の団体旅行の一部には、陸続きとはいえ、大型バスでロシアからパリにやってくる人々もいて、その団体の人々(大人たち)が手に握りしめているのは、旅行会社から配られていると思われるビニール袋に入ったパンやお菓子で、子供の遠足じゃあるまいし、パリへ旅行するのに、こんなのってあるの?と思ったこともありました。

 最近のプーチン大統領の嘘だらけの発信を見ていると、歴史的な背景や規模は違うものの、あの時のオウム真理教に共通するものがあるな・・と度々、思うことがあります。

 「ウクライナ政権を「ネオナチ」であり、そこからウクライナを救済する」という理由もめちゃくちゃで、ゼレンスキー大統領がユダヤ人であり、実際に家族もナチスの犠牲者であるという事実からもあり得ない話で、周囲を騙すにしても、もう少しマシな理由が考えられなかったものか?と思うと同時に、自国民でさえも兵士を騙して戦争に行かせたり、国民を欺き、事実を伝えず、外からの情報を遮断してしまうというのも、信者を現実社会から遮断し、反抗するもの、邪魔になる者は、抹殺し、ついには、あの前代未聞の地下鉄サリン事件という凶行に及んだオウムと重なるところがあるような気もするのです。

 また、自分たちがやろうとしていることを、他から自分たちが攻撃を受けようとしていることとして、言い訳しようとするところも共通していて、オウム真理教が、当初、サリンについても、自分たちがアメリカなどからのサリン攻撃にあっていると釈明していたこともあり、(アメリカを異常に敵視するという面も同じ)、今回、ロシアは、「ウクライナが生物・化学兵器を使おうとしている」などと言い出していることから、彼らが生物・化学兵器の使用を検討していると受け取ることもできます。

 そして、壮大な計画のわりには、妙にそのやり方が杜撰である部分も少なくないことも、結果的に国民の犠牲も信者の犠牲も厭わないことも共通しています。国民を騙しながら、ロシア軍兵士にも決して少なくない犠牲者を出していることも何とも思っていない感じです。

 結果的に、まさかそんなことをするわけはないということをやってしまうところも、何のためにこんなことをやっているのか、理解ができないところも、同じです。

 しかし、オウム真理教には警察が介入して、それ以上の被害は食い止めることができましたが、今回の戦争は、今のところ、誰も止めることができずに、バイデン大統領などが、「プーチンは戦争犯罪人」などと強い言葉で非難しながらも、その犯罪人を誰も捕まえることはできず、被害は拡大する一方です。

 警察の強制捜査を撹乱するために、追い詰められたオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしたように、ロシアが生物・化学兵器や、ついには、核兵器の使用に踏み切ってしまうことも考えられないことではありません。

 フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は、昨日、「フランスは、原発事故や核攻撃から国民を守る十分なヨウ素剤の備えがある」と発表しています。そんなことを発表されても、「あ〜よかった・・これで安心!」と思えるわけではありません。

 なんとか、そんなものを使わなくても済むようにしてほしい・・と思いますが、こんな発表をすること自体、その危険性、可能性をフランス政府は十分に深刻に考えているということでもあります。

 現在、ロシアがウクライナに対して行っていることは、無差別な大量虐殺、もともとウクライナ政権がネオナチだと言い始めたことをまさに自身がやっているのです。

 テロ行為を起こす絶対敵な独裁者というものには、共通するものがあるものだと思うと同時に、独裁状態というものは、そもそもバランスがとれなくなり、その独裁者が暴走し始めた場合には、とんでもない事態を起こすのだということを地下鉄サリン事件から27年という3月20日を迎えて、あらためて、考えるのです。


独裁政権 オウム真理教 地下鉄サリン事件



<関連記事>

「海外での新興宗教の勧誘」

「宗教の教育」

「宗教が加担したフランスのコロナウィルスの拡散」

「宗教に傾倒しすぎる義理の息子 フランス人の宗教」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」



2022年3月21日月曜日

フランス国内のオリガルヒ資産の凍結とフランスの税務署

   


 ブルーノ・ル・メール経済・財務相は日曜日、フランスは国内にあるロシアのオリガルヒ(プーチン大統領と緊密な繋がりのある新興財閥)の資産(ヨット、アパート、銀行口座など)8億5000万ユーロ近く(約1,121億円)のオリガルヒの資産(ヨット、別荘、一戸建てアパート等の不動産物件、銀行口座)を凍結したと発表しました。

 資産の凍結とは、その所有者が「もはや使用、転売、収益化できない」ことを意味します。「しかしこれは、国が所有者となり、転売できるという意味での凍結ではなく、差し押さえるためには、刑事犯罪がなければならない」と説明しています。



 すでにロシアのウクライナ侵攻に対して、EU、アメリカ、カナダ、日本などの国々が経済制裁としてロシアの主要銀行をSWIFTからの排除を開始していますが、同時にプーチン大統領と共に巨大な富を成してきた彼の周辺のオリガルヒの海外資産の凍結の作業を躍起になって進めているといいます。

 フランス財務省は、オリガルヒとよばれるメンバーをリストアップしながら、生年月日等を照会しながら、その人の財産ファイルや税金ファイルを調査し、お金の流れを確認して、その個々人の銀行口座の数や保有する財産の推定値などの資産の評価をしています。

 「フランスにあるロシアの全資産について、正確な数字はほとんどなく、この調査によって、ロシアの権力とその権力に付随する関係性などを調べ上げる地道で大変な作業には、分権化されたサービスも含めて、数百人がこの仕事に携わっている」としています。

 しかし、多くの金融資産や財産が特に不透明なタックスヘイブンに保管されており、フランス行政の調査官の仕事を非常に複雑にしているため、国際的な情報交換と協力があってこそ成り立つものであり、フランスは、この財産の根拠を検証するための国際的なネットワークを持っていると発表しています。

 とりあえず、フランスが凍結したという8億5千万ユーロの資産がオリガルヒのメンバーにとって、どの程度の痛手を与えるものなのかは、わかりませんが、プーチン大統領の取り巻きの気持ちを挫き、彼に背を向ける力となってくれることを祈っています。

 最近は、フランスでは、税金の申告なども全てオンラインで済むようになっていますが、まだ、手書きの税金申告の書類が郵送で送られてきた頃から、税金の請求だけは漏れなくきっちりやってきて、その他の数々のお役所仕事がズルズルなことが多いフランスも、「税務署だけは、きっちり仕事をする・・・フランスでも税務署だけは、ちゃんと働く・・」と苦々しく思ったことがありましたが、私の税金などとは、まさに桁違いの次元の違う話ではありますが、世界の平和がかかっているこの局面、今回ばかりは、フランス財務省に本領を発揮してもらいたいと、思っているのです。


オリガルヒ資産凍結



<関連記事>

「フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ」

「燃料費の急激な高騰のためにフランス政府が緊急に支払う100ユーロのインフレ補償手当」

「フランスのお役所仕事のいい加減さから、娘の帰省の悲劇再び・・」

「滞在許可証更新手続きのトラブル アクセス不能なフランスのお役所」

「フランスで生活していく術 トラブル満載の日常を生き抜くために・・」



 

2022年3月20日日曜日

フランスHAS(高等保健機構)4回目のワクチン接種を65歳以上に推奨

  



 フランスHAS(高等保健機構)は2回目のブースター接種、つまり4回目のワクチン接種を65歳以上の人々に推奨する(門戸を開く)ことを発表しました。

 これには、ちょっとびっくりで、4回目のワクチン接種に関しては、80歳以上の人々に対しての4回目のワクチン接種推奨が発表されたのが、3月14日、それから1週間もたたないうちに、この年齢の幅を急拡大するとは、ちょっと驚きでもあります。



 これまで、この4回目のワクチン接種に関してはかなり慎重な態度をとってきたフランスがここへきて、義務化ではないものの、この短期間で、年齢の幅を65歳以上にまで拡大することには、少々、疑問を感じています。

 現在のフランスの感染状況は、少しずつ上昇している軽いリバウンド状態にあり、気がついてみれば、1日の感染者数は再び、10万人を超える日が続いています。

 現在のところ、感染者数は増加しているものの、集中治療室の患者数は増加してはいませんが(コロナウィルスによる患者の占拠率34%)、3月10日現在、入院患者の80%を占めているのは、60歳以上であることが4回目のワクチン接種を推奨する理由の一つとして挙げられています。

 しかし、フランスは、同時にワクチンパスとマスク義務化を撤廃していることが、さらに解せないことで、「最も重症化のリスクの高い弱い立場の人々を守りたい」としながらも、その「有効性と安全性」について、未だはっきりとしたデータが確認しきれていないまま、どんどんその年齢も拡大され、この勢いで年齢層が拡大されていけば、じきに、私の番も回ってきそうで、義務化ではない分、自分で判断しなければならない場面が訪れます。

 結果的に3ヶ月ごとにワクチン接種を続けなければならなくなる前に、ワクチン以外で感染回避できる方法(マスク義務化やワクチンパス)を排除するのは、戦争による緊張状態やインフレへの反発や、間近に迫ってきた大統領選挙の人気取りのためだという声も上がっています。

 そもそも衛生観念や規律正しさを語りだせば、日本とは比べものにはならないフランスではありますが、あらためて、原点に戻れば、この基本的な衛生管理がきちんとしている日本では、感染状態が悪化した時期があったとしても、それは、世界からみれば、比較にならないほど感染者数や被害は少ないのであって、この日頃からの衛生的な環境がどれだけ、感染対策として有効なものであったかは、明白です。

 しかし、義務化されなければできないフランスで今、この縛りを解いてしまって、一気にまたさらにワクチンへと向かってしまうのには、どうにも腑に落ちない気がしてなりません。

 現段階では、65歳未満の人々は、4回目のワクチン接種は対象外としており、HAS(高等保健機構)は、対象外の人々(65歳未満)に対する4回目のワクチン接種は「適切ではない」としています。

 つまり、基本的には4回目のワクチン接種には、依然として懐疑的にもかかわらず、罹患した場合に重症化するリスクと4回目のワクチン接種によるリスクを天秤にかけた結果と考えることができます。

 私が3回目のワクチン接種をしたのは、昨年の12月、3ヶ月後には、有効性が減少しはじめるというならば、そろそろワクチン接種の有効性は下がり始めているはずです。

 マスク着用義務化が撤廃してから、そろそろ1週間、最初は思ったよりもマスクをしている人は多いな・・という印象でしたが、それもやはり、日に日に減少してきている印象で、本来ならば、公共交通機関の中では未だマスク着用が義務付けられているにもかかわらず、メトロやバスの中でもマスクをしていない人がちらほら目につき始めました。

 ウクライナでの戦争対応と選挙対応、コロナウィルス感染に対する対応に揺らぎが感じられる最近のフランスです。2月半ばに3月中旬にマスク着用義務化の撤廃に関して、一定の基準を設けた頃を境に、その後、ガラガラと感染対策のための規制が崩れ始めました。

 戦争があろうと、選挙があろうとウィルスは容赦してはくれないのです。


4回目ワクチン接種65歳以上


<関連記事>

「80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾」

「フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘」

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

「3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」

「フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由」


2022年3月19日土曜日

ウクライナへの援助・寄付は、どこにすべきか?

  



 最近、スーパーマーケットに行っても、ウクライナに支援をしませんか? という張り紙がしてあったり、実際に買い物の支払いの際にカードで支払おうとすると、ウクライナに寄付しませんか? という画面が出てきて、ちょっと戸惑うこともあります。時には、募金箱のようなものが置かれていたり、私が口座を持っているフランスの銀行からも、「ウクライナ支援のための寄付をしませんか?」などというメールが送られてきたりもしています。

 ついには、先日、フランス版メルカリサイトVinted(ヴィンテッド)まで寄付しませんか?というメッセージを送ってきました。

 カードを使ったり、実際に口座を管理している銀行からのメールで、寄付はこちらから→(多分、そこをクリックすれば、)スムーズに寄付できるようになっていると思うのですが、素直にそれを信用すれば、簡単に寄付できるようになっていることは、悪くはないとも思うのですが、私などが寄付するにしても、そんなに大金ではないとはいえ、なんとなく、このお金がどんな風にどこに行き、どのように使われるのか? これは本当にウクライナの人にちゃんと届くんだろうか?懐疑的に感じてしまう部分もあります。

 調べてみれば、ウクライナへの寄付を募っている団体や組織は山ほどありますが、気をつけないと、これに乗じた詐欺などもあり、こんな時にとても残念なことではありますが、せっかく寄付をするならば、納得いくところを選ばなければ、おかしなところにお金が行ってしまう可能性もあるし、現実にうまくお金が運用されるかどうかもわかりません。

 この戦争とは関係はありませんが、以前、私がコートジボアールに住んでいた頃に、首都アビジャンからそう遠くない所に、日本政府がお金を出して設立した病院があるというので、見に行ったことがありましたが、行ってみると、そこには、「Japon × Cote d'Ivoire(コートジボアール)CO-OPERATION」と書かれた大きな看板が立っており、(内心、これって、CO-OPERATIONなのか?とも思いましたが・・)病院の外郭はできあがっているものの、工事は途中で頓挫し、廃墟のようになっていて、びっくりしたところ、聞いてみると、実際に病院を稼働するための人材がいないとのことで、一体、日本政府は、何のために少なくないお金をこの国に投入したのか?これも日本国民の税金だ・・と、うんざりしたことがありました。

 日本の国家予算からしたら、大した金額ではないのかもしれませんが、それにしても、国民の税金が、このような中途半端な使い方で無駄にされていることを私はたまたま目にしたのであって、ほとんどの国民は知らずにいるのです。

 こんな様子を目にしたこともあって、全てを信用しないわけではありませんが、名の知れた大きな団体ならば、寄付したお金が正当に使われるだろうとは限らないと、なんとなく私は思ってしまうのです。

 例えば、人道支援NGOケア・インターナショナルは、ウクライナの住民や難民への緊急支援を行うため、オンライン緊急募金フォームを提供しています。フランスのNGO「ACTED」は、ウクライナに人道的輸送隊を組織し、難民に食糧援助や生活必需品を配布していますが、以下のような説明もしています。

 ウクライナの人たちを支援するために、物資の収集に参加したいという声が多く寄せられていますが、各協会によると、ほとんどの場合、金銭的な寄付が最も効果的であるとしています。現地の協会が必要なものをその場で購入し、支援することができ、そのお金で現地調達が可能になり、地域経済が活性化するとしています。

 そして、それは、事実でもあるとも思います。

 現物支給には、誰もがすぐに具体的な形で連帯感を表すことができるなどの利点がありますがフランスでは、例えば、赤十字の支部が毎日食料や衣類を集めていますが、赤十字の緊急・救援活動責任者は「国際的には、さまざまな理由から現物支給は行っていない」と説明しています。

 寄付にもそれを管理するための体制が必要で、今回の戦争で国連があまり機能していないように、国際的な支援団体も必ずしもうまく機能しているかどうかにも少々、疑問を抱いてしまう部分もあります。

 もちろん、多くの団体が有効に寄付を何らかの援助のために使っているものとは思いますが、団体が大きければ大きいほど、それが現地に届くのに時間がかかるかもしれません。

 そんな時、たまたま上がってきたユーチューブで日本語も堪能なウクライナ人がウクライナについて語り、彼自身が寄付を募って、直接現地の人に物資を提供しているという動画を見ました。下に貼った動画は、少し長いものですが、他に収支報告の動画なども掲載しています。

 


「キエフ在住ボグダンさんのYouTube」

 

 日本でも生活していたことがあるという彼は、現在、戦渦の中、ウクライナで生活しながら、日本から寄付を募って、現地の人々を直接、援助する活動をしながら、現地の様子を発信し続けています。

 大きな支援団体と違って、大々的な内容ではありませんが、少なくとも確実に現地の人に寄付が伝わっている様子が伝わります。

 寄付に関しては、それぞれの自由で、様々な考え方があると思いますが、現地在住の人目線で、直に寄付が反映されている様子が伝わる彼のような人に寄付を託すのも悪くないかなとも思いました。


ウクライナ寄付金


<関連記事>

「137万人のウクライナからの退避難民の受け入れと海外生活の不安」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」

「フランス版メルカリ ヴィンテッド Vintedの急成長」

「ロシア人でもあり、ウクライナ人でもあった元同僚の話」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」



2022年3月18日金曜日

パリのお寿司屋さん ふじた Foujita

   


 今やパリには、どこに行ってもお寿司屋さんがあるようになり、どこのスーパーマーケットに行ってもお寿司を売っているほど、お寿司はフランスに普及?して、SUSHIを知らないフランス人はいないほどになりました。

 しかし、そのお寿司屋さんの多くは、中国系のチェーン展開の元締めのものと思われるようなメニューがならぶお店が大部分で、いわゆる日本のお寿司屋さんを期待して入ると、ちょっと肩透かしを食うかもしれません。

 そんな中で、「ふじた(Foujita)」というお寿司屋さんは、お寿司がこんなにフランス中に広まる前から、比較的、庶民的な値段でそこそこの(失礼!)クォリティーのお寿司が食べられるお寿司屋さんとして、人気のお寿司屋さんでした。

 以前は、パリ1区のわりと近い距離にもう1店舗あったのですが、いつの間にか、1店舗のみの営業になってしまっています。

 昔、よく行っていたサントノーレ通りにあった店舗の方が規模も大きく席数も格段に多く、メニューも豊富で、いつも満員のうえに、行けば必ず知り合いの誰かに会うというほど、パリに長く住む日本人にも人気のお店だったのですが、その大きな支店の方が閉店してしまい(あんなに繁盛していたのに、なんで閉店してしまったのか?とても不思議で残念)、今も続いているのは、席数がせいぜい20席ほどの小さなお店です。

 今、パリに繁殖?しているチーズ入りの焼き鳥もあれば、餃子まであるようなお寿司屋さんとは違い、小さなお店のカウンターの中には日本人ともう一人の板さんが二人、お寿司を握っています。オーナーと思われる日本人の年配の男性がお店全体の流れを調整しながら、回しています。

  


 メニューもお寿司、お刺身、納豆、焼き鮭などのシンプルなメニューに、アラカルトで個別にお寿司を握ってもらう(お刺身も)ことができます。お客さんはフランス人がほとんどですが、ある程度の常連さんと思われる人が多くて、混雑はしていても、どこか落ち着いた感じの人が多いです。

 周囲のお客さんを眺めても、器用にお箸を使えるフランス人が増えたものだ・・と感心してしまいます。「いつものね!」などと注文している人もいます。

 


 何より魅力なのは、日本人経営のいわゆるちゃんとしたお寿司にもかかわらず、お値段がお手頃価格であることで、ラーメン屋さん(パリの)に行くのと大して変わらないお値段でお寿司が楽しめます。

 小さいお店ゆえ、たとえ、混雑していても、すぐに握ってくれて、あっという間に出てくるので、すぐに作りたてのお寿司を食べることができます。

 ちょっとわかりづらいところではありますが、フランスでは珍しいお寿司の食品サンプルがショーケースにならんでいるので、それを目印にして探すとわかりやすいかもしれません。

 何より、てきぱきとお店が流れているので、回転もよく、気持ちよく、あっという間に美味しいお寿司にありつけるので、私は時々、通っています。ランチをその場で食べて、お持ち帰り用にバッテラなどを頼んでおくと帰るまでに作っておいてくれるので、2度楽しめたりもします。

 パリにいらして、気軽にお寿司を食べたくなったら、このお店、おススメです。もちろん日本語でOKです。

 オペラ座、ルーブル美術館、チュイルリー公園などからも歩いて行けます。


パリ日本人経営のお寿司屋さん ふじた Foujita


⭐️ふじた(Foujita)41 Rue Saint-Roch 75001Paris

 メトロ Opéra 3,7,8番線、 Pyramides 7,14番線より徒歩5分

 営業時間 12:00~14:15, 19:00~22:00(月曜休)





<関連記事>

「フランス人と日本食」

「フランス人のビックリする日本食の食べ方」

「今、パリで人気のうどん屋さん 喜心 Kisin」

「パリで見つけた美味しいお蕎麦屋さん あぶりそば Abri Aoba」

「フランスで日本の餃子(GYOZA)が浸透し始めた!」

「パリの日本の食パンブームの波 Carré Pain de Mie カレ・パン・ドゥ・ミの日本の食パン」

「パンの国フランス・パリで大成功した日本のパン屋さん・ブーランジェリー AKI(アキ) Boulangerie AKI」


2022年3月17日木曜日

マクロン大統領のゼレンスキールック

   


 今週の始めにマクロン大統領がSNSに、明らかに今やウクライナの英雄的存在となっているゼレンスキー大統領を意識したと思われるラフな出立ちで登場したことが話題になっています。

 目の周りの隈、髭も剃らずに乱れた髪、ジーンズと黒いパーカー姿のマクロン大統領は少なくないインパクトを国民に与えています。

 共和国大統領の公式カメラマン、ソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエール氏が自身のインスタグラムアカウントで、エマニュエル・マクロンの一連の写真を「日曜日 13/03/2022 - 夜遅く - エリゼ宮 - 国際電話中の @emmanuelmacron」というキャプションとともに公開したのです。

 マクロン大統領は、オルレアン近郊に拠点を置く空軍第10軍(CPA10)のロゴが入ったパーカーを着ています。

 パリッとしたシャツにダークスーツという、マクロン大統領に慣れ親しんでいるクラシックなスタイルとはかけ離れたカジュアルな服装には、いろいろな憶測が飛び交い、大統領選の第一ラウンドまで1カ月を切った今、選挙戦に臨むアピールとも思われ、何よりも、この彼の出立ちは、最近、SNSを巧みに利用し、世界に向けて発信を続け、英雄的な存在となっているウクライナのゼレンスキー大統領を彷彿とさせるものがあり、「ゼレンスキールック」と揶揄する人もいます。


 このSNSの投稿には、「ゼレンスキーを気取っているつもりか!」「バカバカしさの極み!」「2日前はEUのVIPたちとヴェルサイユ宮殿で宴会をしていたのに、今度は3ヶ月間雪の下で戦っていたかのように振る舞っている!」「フランスを動かしているのは、この知恵遅れでナルシスト!」などなど、厳しい非難の声も多数、上がっています。

 かねてより、コミュニケーションの達人と呼ばれ、自らツイッター、インスタグラム、TikTokのアカウントを持ち、あらゆる発信を続け、人気ユーチューバーのチャンネルに登場したりと、SNSを広範囲で利用してきたマクロン大統領ですが、戦渦で命を狙われながら鬼気迫る強力な発信を続けるゼレンスキー大統領にのっかるようなこのゼレンスキールックの発信には、反発を感じる人も少なくなかったようです。

 しかし、実際に、これは、休日であるはずの日曜日の夜のこと、戦渦を逃げ回ることはなくとも昼夜、休日問わずに働き続けているマクロン大統領の目の下の隈は、リアルなのではないか?と思います。

 いずれにせよ、これだけ話題をさらうということは、彼のアピールにはつながっているのだし、口の達者なマクロン大統領なら、「ウクライナとの連帯の気持ち」などと、容易にかわせるものであるでしょうが、彼自身は、沈黙を保っています。

 このような反応にいちいち応えているほど、彼も暇ではないでしょう。

 私は、むしろ、このような休日のラフなスタイルが逆にしっくり似合っている若くてエネルギッシュな大統領を単純に羨ましく思っています。

 以前、コロナウィルスの感染対策のためにステイホームを呼びかけるために、日本の元首相が流したSNSでの発信に比べたら、どれだけカッコいいか?と思ってしまうのです。

 しかし、休日には、ゼレンスキールックに身を包んでいるマクロン大統領のもとには、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ前大統領からキエフへの招待状が・・。

「マクロン大統領のキエフ訪問は、非常に大きな連帯の象徴となるであろう」「彼が勇者であることは知っている」と・・。

 激務に追われるマクロン大統領が危険を冒してキエフを訪問することは、あまり現実的な話ではありませんが、こんなSNSが流された直後のことで、なんだか、ちょっと皮肉な感じも受けてしまう結果となりました。


ゼレンスキールック マクロン大統領の休日



<関連記事>

「フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la République」

「現在のウクライナ戦争へのフランスの対応とマクロン大統領のウクライナ・ロシア首脳との電話会談」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「マクロン大統領が書面で出馬表明した理由」

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」




2022年3月16日水曜日

キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!

   


 2月の段階で予約していた3月中旬のパリ発日本行きの直行便が欠航となって、已む無くキャンセルしました。その時点では、先方の要望で、直行便でという指定であったために、当分、欠航が続きそうな状況に、いつ再開するのかもわからないパリー日本行きのフライトを予約するわけにも行かなかったからです。

 パリ発日本行きの直行便はエールフランス、JAL.、ANAの3つの航空会社のみで、エールフランスは、今回のウクライナ問題が勃発して早々に、運航を停止していたので、日本の航空会社を選択せざるを得ませんでした。

 実際に、日本に行く時は、たいていこの3社のいずれかを利用しているのですが、エールフランスは、以前に予約していたフライトがストライキになって、急に帰りの便を他の経由便に変更されて往生したことがあって以来、避けるようになっていました。

 今回、フライトの予約をしたのは、戦争が勃発する直前のことで、その時は、飛行機も普通に運航していたので、少々不安ではあったものの、その頃に懸念していたのは、どちらかというと、コロナウィルス感染対策の検査や隔離についてで、まさか、戦争がこんなことになり、フライトがキャンセルになるとは、思ってもいなかったのです。

 ところが、戦況は日々、悪化、いったん欠航になったフライトもそのうち空路を変更して運航するのではないか?と甘い期待を抱いてもいたのですが、その期待は全く甘いもので、1週間前になって、チケットを購入した会社から、「あなたの予約したフライトは、欠航になりましたが、フライトを変更しますか?それとも返金手続きをしますか?」という連絡が入り、とにかく見通しがたたないので、キャンセルをして、返金手続きをしてもらうことにしていたのでした。

 今回、予約していたのは、JALの直行便でしたが、JALで直接、購入したわけではなく、少しでも安くと、旅行会社のサイトで購入していたので、JALに直接、キャンセルできるわけではなく、その旅行会社にキャンセルを申し込んで、返金をお願いするという心許ないことをするハメになったわけで、一応、即時の対応はあまり期待していなかったものの、キャンセル確認の返信をお願いしますというメッセージを送ってありました。

 このご時世、キャンセルも立て込んでいるだろうと、そんなにすぐに返事が来ると期待はしていませんでしたが、数日経って、キャンセルの確認の通知がきて、返金には時間がかかる様子でした。

 この際、もう全く紙切れになってしまう覚悟もしていただけに、あまり期待はしていなかったのですが、先日、JALのパリ支店からキャンセルの確認のお電話を頂き、しっかりキャンセルされていることや、旅行会社を通して購入したチケットに関しての返金手続きなどについて、ご丁寧に説明してくださいました。

 考えてみれば、今まで何十回も利用しているものの、予約したチケットを自分から変更したり、キャンセルしたことは一度もありませんでしたが、この非常時に日本の航空会社のこの丁寧な対応に、やっぱり日本の会社は親切で安心・・とあらためて、感激した次第です。

 最近、日本・・大丈夫かな?と思うことも多かったのですが、久しぶりに「やっぱり日本の会社のサービスはさすがだ・・」と思える出来事でした。

 次回、予約する時は、JALにしよう!と思いました。


JAL 航空券キャンセル 返金 払い戻し


<関連記事>

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「コロナウィルスのためのキャンセル料金 ANA変更手数料無料の航空券販売」

「コロナウィルスで日本が遠くなった」

「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

「娘の留学ドタキャン コロナウィルスによる被害」


2022年3月15日火曜日

マスク着用義務撤廃とフランス人の同調圧力

  



 フランスでは、一部の例外(公共交通機関や医療施設、高齢者施設等)を除いて、今週からマスク着用義務とワクチンパスポートが撤廃されました。

 フランス人の気質から考えると一気に「やった〜!!!」とマスクを外す人が多いと思っていましたが、思ったよりは今はまだ、屋外でさえもマスクをしている人はいるな・・という印象です。

 とはいえ、まだマスク撤廃は始まったばかり、公共交通機関などは、未だにマスク着用は義務化のままなので、その度に、マスクをつけたり、外したり・・というのが面倒だということもあるのかもしれません。

 しかし、会社内など、1日中、同じ場所で過ごす人々にとっては、マスクの義務化が撤廃されたことは、息苦しさとコミュニケーションのとり辛さから解放されたと喜ぶ人は少なくありませんが、依然として、マスクをしている人も思ったよりは少なくありません。

 実際に現在のフランスの感染状況は、オミクロンBA2による、ちょっとしたリバウンド状態にあり、正直、本来ならば、きっと解除はしていなかった状況なはずで、マスク義務化が撤廃されることを疑問視する声もあり、また、このマスク義務化撤廃の決定がマクロン大統領の大統領選挙立候補公表の前日に行われたこともあり、選挙のキャンペーンに利用されたという声まであがっており、マスク義務化の撤廃を手放しで喜べる状況ではありません。

 実際には、当初、予定されていたマスク撤廃のための基準値には達していない段階で、このマスク義務化の撤廃に踏み切ったのは、ウクライナ戦争のための緊張状態や物価の高騰などの人々の不安や不満を少しでも軽減することや、このウィルスの変異による感染形態などを考慮してのものとは思われますが、個人的には、とても、マスクを外す気にはなりません。

 マスク義務化の撤廃は、マスクを禁止されたわけではなく、義務化がなくなっただけなので、引き続き、マスクをし続けることは自由ですが、そんな中で、早くも一部で登場しているのが同調圧力とも思われる「マスクをしている人に対する嫌がらせ」問題です。

 元来、あまり周囲と違うことを厭わず、日本と比べると、服装などに関しても比較的自由で、誰がどんな服装をしていようと、フランス人は、我関せずの印象があるのですが、このマスクに関しては、また違う一面もあるようです。

 もともとマスク嫌いのフランス人、マスクをしている人がいるだけでも、せっかく解放された気分が損なわれて不愉快だという部分もあるのかもしれませんが、そもそも同調圧力というものは、少々、自分に自信がない場合に、他人を引きずり込んで自分を正当化して安心したいという気持ちのあらわれでもあり、そうでなければ、他の人がマスクをしようがしまいが、関係ないはずなのです。

 不安が人を攻撃的にするという意味では、このパンデミックが始まった頃、コロナウィルスの根源となったのは、中国で中国人=アジア人とばかりに、ネットなどで、「アジア人狩り」が呼びかけられて、アジアの人を攻撃しようとする人々が現れたことを思い出します。

 現在は、1年半も続いたマスク生活に慣れてしまって、マスクをしないで歩くことに、どこか心許ないような、違和感さえ感じるとかいうフランス人もいますが、マスクなしの生活が定着して、もとどおりの生活に戻るのには、きっと時間はかからないと思います。

 マスクを外せば、きっと、挨拶がわりのビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)もすぐに復活するでしょうし、エスカレートするのは目に見えるような気もします。

 この中途半端な状況でのマスク義務化撤廃がマスクをしている人に対する嫌がらせが横行する原因の一端でもあります。

 これまで、フランス政府は、感染対策規制の緩和を段階的に行なってきたのですが、ここへきて、ワクチンパスもマスク義務化も一気に撤廃するということを、私はちょっと疑問に思っているのです。

 せめて、今、まだ感染の懸念があるうちは、マスクをしづらくなる風潮にはなってほしくないのですが・・。


マスク義務化撤廃 同調圧力 


<関連記事>

「コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」

「災害に免疫のないフランス人がパニックになり、アジア人全体を傷つけている」

「80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾」

「フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由」

「3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準」


 

2022年3月14日月曜日

そういえば、同窓会というものに行ったことがない私

   


 最近、学生時代の友人というものは、いいものだなぁ・・とあらためて感じています。学校を卒業してから、長い時間が経っている私ですが、その後に色々な国での生活も体験し、たくさんの人にも出会ったけれど、学生時代の友人というものは、瞬時に時間を超えて、打ち解けられる・・そんなチカラを持っているものだな・・と思います。

 昔、母が急に同窓会を始めた時期があって、何やらとても楽しそうに友人と連絡をとりながら、「じゃあ、男子には私から連絡しておくから・・」などと言っているのをそばで聞いていて、「いい年して、男子・・ってなに?」などと苦笑しながらも母が楽しそうに同窓会に行く様子に、当時の私は、「そんな子供の頃の友達に会うのって楽しいのかな???」と不思議な気持ちでした。

 日常は、子育てと家事と仕事に追われて、滅多に友人と遊びに行くということもなかった母でしたが、ある時期を境に同窓会には、そんなふうに積極的に出かけていたことを今になってわかるような気がしています。

 しかし、私は、20代に一度、留学のために日本を離れ、その後30代になってから本格的に海外での生活を始めたために、同窓会というものには一度も行ったことはなく、以前に実家の方に同窓会の連絡をいただいたりしていたこともあるのですが、それこそ、海外で子育てと仕事に追われて生活していた私には、同窓会に合わせて帰国するなどということはできるはずもなく、また、あまり興味もなかったのです。

 しかし、子育ても一応、一区切りがついて、ましてやこの数年間、パンデミック、そして戦争とまさかの異常事態が続く中、あたりまえのように、無駄なことやバカなことをたくさんしてきた学生時代がとても貴重なものであったと感じるようになったのです。

 もう3年目に入るパンデミックのために、そんなあたりまえだったはずの学生時代を過ごせずにいる子供たちも、3年間マスクで学校に通い、マスクを外した顔を知らないなどという話を聞くと本当に失われている時間の大きさを思います。

 ほんの小さな子供たちも10代の青春を謳歌するはずの年代の子供たちも、現在、通常以上に大変な思いをして子育てをしている人々にも、そしてあとどれだけ、元気に残りの人生を送れるかわからない年長の方々にとっても貴重な時間をパンデミックに引き続いて今度は戦争という事態に身動きがとれなくなっている時間が過ぎていくことに焦燥感を感じています。

 もちろん、戦禍の真っ只中にあるウクライナの人々の状況とは比較にもならないほどですが、ヨーロッパ内でのこの戦争に対する緊張感は、日々高まっています。

 スイス連邦政府は、核戦争が発生した場合に住民を保護する実際の対策となる一連のガイドラインをウェブサイトに公開し、スイス国民に向けて「十分な食糧と水を蓄えておくように」と政府が警告したり、他のヨーロッパ諸国でも食糧備蓄のための買い占め対策のために、スーパーマーケットが購入制限をかけ始めるといった事態にまで及んでいます。

 誰も望まない戦争が一体、いつまで続くのか?いつまで私たちの時間が失われ続けるのか?はたまた、核戦争にまで発展してしまうのか? 不安な生活が続く中、ふと思い出されて幸せな気持ちになる学生時代の何気なく過ごしてきた友人たちとの時間の貴重さを、最近、あらためて噛みしめているのです。

 


同窓会 学生時代

 

<関連記事>

「海外に出ることで離れてしまった家族と友人」

「好きと嫌い 感覚的なものに頼る選択」

「親子関係・家族関係 私が海外生活をしている理由」

「海外生活と日本の家族 母からの最期の手紙」

「海外在住者が母を看取る時」





2022年3月13日日曜日

80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾

 


 フランスでは、コロナウィルス感染がリバウンドし始めていることを受け、ジャン・カステックス首相が、3回目のブースター接種から3ヶ月以上経過している80歳以上の人々への4回目のワクチン接種を開始することを発表しました。

 このコロナウィルス感染のリバウンドの現象は、フランスだけではなく、フィンランド、イギリス、オランダ、スイス、イタリア、ドイツなどの周囲のヨーロッパ諸国でも起こり始めている見過ごすことのできないものでもあります。

 どの国も、程度の差はあるにせよ、感染対策を緩和しつつある中で、その結果が感染のリバウンドとしてあらわれているものと思われますが、第1波の際に壊滅的な被害を受けた謂わば前科者のヨーロッパとしては、十分に危惧すべき状況でもあります。

 この「4回目のワクチン接種開始」のカステックス首相の発表も、先日、オリヴィエ・ヴェラン保健相がリバウンド状態にあることに警鐘を鳴らした発表と同様にどこか、しっくりこない中途半端な印象が拭えず、80歳以上という限定された年齢層向けとはいえ、同時に「マスク着用義務化の解除やワクチンパスポート解除は予定どおり行う」という、ともすると矛盾した内容を確認したうえでの発表であったことに、疑問を感じずにはいられません。

 「最も重症化のリスクの高い弱い立場の人々を守りたい」と4回目のワクチン接種開始を説明していますが、そもそも、4回目のワクチン接種に関しては、これまでは、かなり慎重な態度をとっていたはず、最も早くに4回目のワクチン接種を開始したイスラエルの免疫学者も、その「有効性と安全性に関するデータ」が不足していることを認めており、「疑問点も多く、ちょっとした賭けであり、必ずしも推奨できるものでもない」と述べています。

 それをワクチンパスポートや多くの場所でのマスク着用の義務化を撤廃しながら行うというのは、どうにも納得のいかないものです。しかも、もともと「ワクチンパスポートや多くの場所でのマスク着用の義務化などの制限撤廃」は、「流行の進行がなく、コロナウィルスによる集中治療室の患者数が1500人未満になった場合」という一定の条件を満たした場合という条件つきだったにもかかわらず、その条件を満たしていないにもかかわらず、撤廃に踏み切ったことも腑に落ちません。

 思いもよらぬ形でウクライナでの戦争が勃発し、ロシアへの経済制裁のために、燃料費をはじめとする物価の急上昇や原子力発電所や核兵器への脅威からの国民の反発や動揺を考えて、少しでも国民のストレスを軽減するためであると思われますが、コロナウィルスは戦争の有無に関係なく感染を拡大させます。

 最も弱い立場の人々を守るために、安全性が疑問視されている4回目のワクチン接種を開始することにするくらいなら、せめて、マスクぐらい義務化しておけばよいものの・・と思うのです。

 戦争による混乱状態であることはわかりますが、この戦禍に再び、コロナウィルス感染が深刻に悪化すれば、さらなる混乱を引き起こすことは必須です。

 これまでも、感染は最悪の状態を脱したとはいえ、今年に入ってからも、コロナウィルスによる死亡者数が100人を下回った日はほとんどないのです。


80歳以上に4回目のワクチン接種開始


<関連記事>

「フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘」

「3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準」

「フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由」 

「「フランスのワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる」と政府が発表した理由」

「ワクチンパスポート施行とコロナウィルス感染証明書」

「ヘルスパスの評価と自動的に有効期限切れになり失効するワクチンパス」




2022年3月12日土曜日

フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘

 

 

 フランスのコロナウィルス感染状況は、最悪の時期を過ぎて、以来、段階的に着々と感染対策措置を緩和してきました。

 2月に入ってテレワークの義務化が撤廃され、2月16日からはディスコ・ナイトクラブの営業が再開され、2月末には、ワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所(公共交通機関や医療施設・高齢者施設は除く)でのマスク義務化が解除されました。

 それでも、しばらくの間は、感染率も減少し続け、以前の予定を前倒しにして、3月14日からは、あれだけ騒いで施行したワクチンパスポートは、一部の場所(公共交通機関や医療施設、高齢者施設など)を除いて、撤廃されることになっています。

 ところが、ここに来て、フランスの感染者数は一転して増加傾向に転じはじめ、11日には、1日の新規感染者数が72,399人を記録しています。これは、1週間前と比較すると25%増加している数字です。

 これまでの感染の推移を考えると、感染対策措置の緩和から、感染増加には、2週間程度のタイムラグがあり、この経緯を見る限り、2月半ばのディスコ・ナイトクラブの営業再開ならびに2月末のワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所でのマスク着用義務化の撤廃の影響が表れ始めていると考えることができます。

 また、ウクライナ戦争が始まり、国民の関心は一気に戦争に集中し、コロナウィルス感染についてもほとんど報道されなくなり、感染に対する注意も自ずと軽減しているのかもしれません。

 昨日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、このコロナウィルス感染のリバウンド状態に関して、病院の負担は引き続き減少しているものの、この減少のペースは鈍り始めており、非常に警戒が必要な状態であることを発表しています。

 感染者数の増加が病院の医療状態に影響してくるのは、これもまた、2週間ほどのタイムラグがあり、この感染者の増加が再び、どの程度まで医療状態を逼迫させてしまうのかは、わかりませんが、現在の段階では、すでに発表されている3月14日からのワクチンパスポートの提示義務やマスク義務化撤廃は、公共交通機関などの一部の場所を除いて、予定どおり行われるとしています。

 この感染のリバウンドという事態に直面し、警鐘をならしつつも、フランス政府が予定どおりのワクチンパスポートやマスクの撤廃に踏み切るのには、このウクライナの戦争によるヨーロッパ全体の緊張状態や現実的に燃料費、電気料金などの高騰(特にガソリンの値上げ率はコロナの感染の増加率以上)により、国民の生活が圧迫されていることも理由の一つです。

 フランスではデモが行われない土曜日はないといってもよいほどで、ウクライナ戦争反対のデモなどもかなりの人数を動員していますが、そのデモの内容がウクライナ戦争反対のデモ以上に「黄色いベスト」による呼びかけのガソリン・燃料費・電気料金値上げ反対のデモの割合が増加しはじめ、このデモが過激化することが心配され始めています。

 暴走するロシアへの経済的制裁といえば、理解できないことではありませんが、実際にその経済的制裁の結果の煽りを受け、国民の生活に跳ね返ってくることに対して政府の対策が何もとられないことに国民が怒り始めているのです。

 この国民の社会不安に対する状況をおさえるためにも、政府はできるだけ、国民を締め付けることから解き放ちたい思いと、一方では、本来ならば、今一度、感染対策をきっちりとる必要があるこのリバウンド状態への懸念が、この中途半端な警告を生んでいます。

 正直、戦争が始まって以来、戦禍の悲惨な映像とともに、原子力発電所まで占拠され、核兵器までちらつかせられている、決してウクライナからも遠くはないヨーロッパの人々は、正直、今は、コロナウィルスよりも「核兵器」を恐れる状態で、このオリヴィエ・ヴェラン保健相の警告がどの程度、国民に響いているのかといえば、ほとんど響いていないのが現状です。

 マクロン大統領が「我々は戦争状態にある」とパンデミックの始まりとロックダウンを宣言した時には、これまで経験したことのない異様な光景が広がり、「これが、戦争というものなのか・・」と思ったりもしましたが、実際に本当の戦争の映像が流されているのを見ると、それは、想像をはるかに超えた悲惨なもので、コロナウィルスへの恐怖とは桁違いのものであることを感じます。

 たしかにコロナウィルスも依然として、脅威ではありますが、ワクチン接種である程度は、病状の悪化は防げるようですし、感染対策により、ある程度は感染を回避できます。

 あまりの戦争の悲惨さを目にして、コロナウィルスへの危機感を忘れそうになっていることもこのリバウンドの一因であるかもしれません。実際に話題になっているのは、ワクチン接種以上に核兵器により被爆した場合の「ヨウ素剤」について・・コロナウィルスに対する危機感が薄れるのも致し方ないのかもしれません。


フランス コロナウィルス感染リバウンド


<関連記事>

「フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由」

「3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準」

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」

「現在のウクライナ戦争へのフランスの対応とマクロン大統領のウクライナ・ロシア首脳との電話会談」


2022年3月11日金曜日

美しすぎるヴェルサイユ宮殿でのEU首脳会議

  


 3月10日〜11日の2日間にわたり、ベルサイユ宮殿でEU(欧州連合)首脳会議が開かれています。

 今回のEUサミットは危機管理サミットとも呼ばれ、ロシアのウクライナ侵攻で浮き彫りとなったその弱点をより主権的なものにするための基礎作りと言われています。

 このサミット開催に先駆けて、エリゼ宮は「プーチン大統領によって開始されたウクライナ戦争とそれに関する次のステップをこのサミットの夕食会で議論することを発表。

 27カ国の首脳は、ウクライナ戦争がもたらす経済・安全保障上の課題について議論し、2月24日に始まったロシアの侵攻の衝撃に対する経済的・軍事的対応を図るために話し合いをし、欧州全体としての方針を統一し、ヨーロッパ全体の連帯を強めていくとしています。

 マクロン大統領は、「ヨーロッパはパンデミックの打撃を受けて変化したが、戦争の打撃を受けてより速く、より強く変化するだろう」と宣言しました。



 2週間にわたる紛争の後、欧州諸国の制裁はロシアに降り注いでおり、ヨーロッパ諸国では、すべてまたは一部の関係を切断する企業が増えるなど、影響が拡大しています。 しかし、ウクライナのEU加盟が加速することはなく、ウクライナのEU加盟について、オランダのマーク・ルッテ首相は「迅速な手続きはない」と述べています。

 キエフは「遅滞なく」加盟することを希望して申請していますが、欧州連盟は、「ウクライナと集中的に協力したい」ということを再確認するにとどまっています。

「戦争をしている国に、今すぐに、加盟手続きを開始することができるのか? それは現実的な話ではありませんが、この戦争によって、27カ国は「ヨーロッパの構造を完全に再定義するための「歴史的な決定」を下すことになるだろう」と、マクロン大統領は述べています。

 プーチン大統領によって解き放たれた戦争は、冷戦終結後に27の加盟国が予算を大幅に削減したことによるヨーロッパの軍事力の欠如を浮き彫りにしています。

 またロシアへのエネルギー依存についても、EUが消費の40%を占めるロシアの輸入ガスに極度に依存しており、モスクワに対して行動する能力が制限されていることも浮き彫りにしました。

 現在のヨーロッパは、経済制裁を強める一方で、エネルギー購入を通じてロシアに資金を提供し続けているのです。

 このロシアへのエネルギー依存の現状は、コロナウィルスによるパンデミックという歴史的にも強い衝撃を受けたヨーロッパが、さらに強固な経済基盤を必要としているEU加盟国にとっての脅威でもあります。

 このサミットでは、今後数ヶ月の間に実施される政策ガイドラインが示される予定になっており、NATOの重要な役割を再確認した27カ国は、「軍事力により多く、より良く」投資する意志を強調し、防衛戦略は月末までに発表される予定です。

 具体的には、今年からロシアのガスへの依存度を3分の2に減らし、供給元の多様化や再生可能エネルギー、水素などの代替エネルギーの開発により、ロシアからの石炭と石油の輸入を削減するという計画も検討されています。 

 ガス貯蔵の強化はもちろん、スペインやフランスが求める「電力市場の機能最適化」にも言及し、欧州消費者のエネルギー価格上昇の影響を緩和するための新たな緊急措置にも取り組むとしています。

 現在、フランスでは、ガソリンが1リットル2ユーロ(約260円)を超え、過去?の「黄色いベスト」運動に見られたような社会不安が懸念されています。

 しかし、このサミットの内容はもちろんのこと、このサミットが行われた場所がベルサイユ宮殿で、ちょっとこれは、反則・・と思われるほどの美しさ。このサミットに参加した欧州各国の首脳も圧倒されたであろうし、この映像が全世界に流れることを十分に意識した会場のセッティング。

 フランスは、自国を美しく見せることにかけては天才的、パリ祭のパレードなどは、圧巻の美しさですが、このような全世界に発信されるイベント?の一つ一つにもその演出、ステージ作りはちょっとずるいくらい美しいのです。

 そもそも、ベルサイユ宮殿という、存在そのものがすでに圧倒的に美しい場所を使用し、最高の美しさを演出することを怠らないのです。

 おフランスのイメージは、こんな場面を見せつけられることの積み重ねで築かれ、保ち続けられているのだろうな・・とそんな下世話な感想も持ったのでした。

 この報道とともに流されていたのは、2017年にベルサイユ宮殿を訪れた時の映像で、マクロン大統領とプーチン大統領がナポレオンが侵攻していた頃の大きな何枚もの絵画が壁面に飾られたベルサイユ宮殿の中を歩いている様子。

 



 今回の侵攻にあたって、プーチン大統領の思考回路には、過去の歴史が根付いていることが語られている今、この空間を当時のプーチン大統領は、どんな気持ちで歩いていたのだろうか? などということまで考えてしまいます。


ベルサイユ宮殿EU首脳会談 EUサミット


<関連記事>

「フランス国旗の色が変えられた理由」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「マクロン大統領が書面で出馬表明した理由」

「2021年のパリ祭のシャンゼリゼの軍事パレードが復活した!」

「2020年 フランス革命記念日・パリ祭の光と影」

「日本での「おフランス」の高級イメージ商法」



2022年3月10日木曜日

パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない

  


 

 私が最後に日本に行ったのは、パンデミックが始まりかけた2020年の2月のことでした。2月末にフランスに戻る際は、日本でのダイヤモンドプリンセス号でのコロナ感染拡大が騒ぎになっていた頃で、むしろ、日本からの入国を断られるかと心配だったくらいでした。

 その際に私が日本に帰国したのは、色々な用事があったのですが、特には、その後に日本に留学する予定になっていた娘が日本滞在時に使用できるカードを作りに行くのが目的でした。

 その後、すぐにコロナウィルスは、あっという間に広がり、特にヨーロッパの被害は甚大で、娘の留学のチャンスも2度キャンセルになった挙句に結局、実現せず、せっかく作ったカードも使われることもなく終わり、当然、私もこの間、日本に行くことはできませんでした。

 この間、親が危篤になっても、亡くなっても日本へ行けなかった在外邦人はたくさんいたはずです。

 そして、今年に入ってしばらくして、コロナウィルスもようやくおさまり始め(とはいっても、全く感染の心配がないわけではありませんが)、2月に入って、日本の入国規制が緩和され始めた時に、たまたま日本での用事ができて、フランスから日本への入国のための強制隔離施設での隔離が撤廃された段階で、日本行きのチケットを予約していました。

 先方から、「感染対策を含めて、日本へは直行便でお願いします」という縛りもあり、JALのパリ⇄羽田便を予約していました。(この時点で、すでにエールフランスの便は欠航を決定済み)

 予約した際には、ウクライナ問題は不穏な空気ではありましたが、まさか、これほどの状況にはなるまいとたかを括っていたのです。

 その間に、フランスから日本への入国はワクチン3回接種済みの人に関しては、隔離も撤廃され、これ幸いと思っていたのですが、ロシアのウクライナへの侵攻が日に日に悲惨になり、ヨーロッパ⇄日本便もロシア上空を飛べなくなりました。

 しかし、ロンドンからの便は、迂回経路を使って、直行便が飛んでいるにもかかわらず、パリ(欧州)からの便はキャンセル・・そのうち、パリからの便も迂回経路を飛んでくれるようになるだろうと思っていたのに、私の予約した便は、1週間前になって、まさかのキャンセルになり、呆然。

 予約を変更しようにも、一体、いつになったら、この戦争がおさまるかもわからずに一体、いつに変更すれば良いのかもわからないので、とりあえずキャンセルする羽目になりました。

 今の戦況を見ていると、しばらくは悪化することはあっても、改善される希望は少ないです。

 ようやく日本への入国制限が緩和されて間もないというのに、今度はまさかの戦争のために日本への帰国は、また一層、難しくなってしまいました。しかも、イギリス、ベルギー、ドイツ、フィンランド、フランスなど18カ国への国際郵便でさえもストップしてしまいました。

 経由便でさえも、戦況の変化によっては、いつ欠航になるかもわからない、また、なんとか帰国できても、今度は、帰る頃に、無事にフランスに戻る便が飛んでいるかどうかもわからないのです。

 こんなことなら、隔離期間があっても、もう少し前に行っておくべきだったと思わないでもありませんが、一難去って、また一難、娘の留学の際にも受け入れ先の大学のドタキャン(コロナ対策のために留学生は受け付けないとのことでした)のために、チケットを紙屑にしています。

 一体、日本行きへの障害はいつまで続くのか?と、もう本当にうんざりしています。


JALパリ・羽田直行便キャンセル



<関連記事>

「娘の留学ドタキャン コロナウィルスによる被害」

「娘の日本への留学・再びキャンセル 日本の国立大学は4月以降の留学生を受け付けない」

「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

「トラブルの絶えない娘の学生生活最後の2年間」

「娘の卒業式」

「WHO日本の鎖国対応批判と留学生への思い」

 

 

2022年3月9日水曜日

ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中

  


 在ウクライナフランス大使館が250万人分のヨウ素剤を用意したと発表されて以来、俄かに「ヨウ素剤」についての報道をちらほら見かけるようになってきました。

「原子力災害時のヨウ素剤の用途は?」、「ヨウ素剤服用の効用」、「ヨウ素剤服用の注意点」などなど・・。

 そもそも話題に「ヨウ素剤」が取り上げられる時点で、なかなかな物騒な状況です。

 「ヨウ素剤」など、日頃、話題にあがらない単語でもあり、そのような単語が話題に持ち上がること自体が受け入れ難い気がしていますが、同時に無視しきれない現実でもあります。

 「ロシアは最も強力な核保有国」と威圧し、実際にウクライナの原子力発電所の一部を占拠しているプーチン大統領の発言と攻撃は、これまでの各国首脳との話し合いがことごとく無視されている経過からも、「核を本気で使いかねない」というムードがフランスでも高まっているのです。

 そのムードがフランス国内でも「ヨウ素剤」が話題に上がり始める異様な状況を生み出しており、実際に、薬局にヨウ素剤を買い求めに行こうとする人まで登場しています。

 ヨウ素とは、そもそも健康に絶対必要な天然微量元素。甲状腺で作られるホルモンの成分で、吸い込んだり摂取したヨウ素と結合します。放射性物質を含まない安定ヨウ素剤は、放射能汚染から甲状腺を守る役割を果たします。

 原子力施設で重大事故が発生した場合、放射性ヨウ素が大気中に放出される可能性があり、この放射性元素を吸引したり、汚染された食品を摂取することで、甲状腺がんのリスクを高める放射線照射の一因となると言われています。 

 1986年のチェルノブイリ原発事故では、放射性ヨウ素が大量に放出され、ベラルーシ、ウクライナ、ロシア連邦西部の汚染地域に住む人々には、甲状腺がんの発生率が高いことが確認されています。

  甲状腺が放射性ヨウ素と結合するのを防ぐため、安定ヨウ素剤摂取が被ばく者の健康を守る一つの方法です。 スポンジのように安定ヨウ素で飽和した甲状腺は、放射性ヨウ素を固定することができなくなるのです。そのため、尿から速やかに自然に排出することができます。

 しかし、安定ヨウ素剤は、すべての危険を防いでくれるわけではなく、 原子力安全局(ASN)は、「安定ヨウ素剤が守るのは甲状腺という一つの臓器だけであり、原発事故が起きた場合、まず固い建物に避難することが第一の防御策である」との見解を示しています。

 また、この薬は、放射線防護ワクチンでも永久治療薬でもなく、放射能にさらされる1時間前、遅くともその後6~12時間以内に服用するのが理想的とされています。

 しかも、予防のために安定ヨウ素剤を服用しても意味がなく、役に立たないばかりか、アレルギーなどの副作用を引き起こす可能性があるとも伝えられています。また、過剰摂取は、甲状腺機能障害やある種の心臓や腎臓の副作用を引き起こす可能性もあり、これを無秩序に服用する危険性も説明しています。

 フランスでは、この放射能対応のヨウ素剤は、1997年以来、公的機関によって、原子力発電所周辺、半径20キロメートル以内の地域においては、配備されているようです。

 一般的に薬局で市販されているヨウ素剤(サプリのようなもの)は、放射能対策として使用される錠剤(130mg)に対して、150マイクログラムのみで、放射能汚染に有効なものではありません。

 昨日、たまたまかかりつけのお医者さんにいつも飲んでいる薬の処方箋をもらいに行った時、「この安定ヨウ素剤というものは、買うことができるの?」と聞いてみたところ、「パリでは、APHP(パリ公立病院連合)がまとめて管理していて、必要な事態になったら、配布される準備がなされているとのこと。

 しかし、彼女は、「でも、もしパリでそんな薬が配布される事態になったら、薬を飲む間もなく、私たちはもう生きていない・・」と絶望的なひとこと。

 コロナウィルス対応のワクチン接種が始まった当時は、副作用などを恐れてワクチン接種を躊躇していましたが、今回のヨウ素剤に関しては、どうやら12時間以内という待ったなしです。

 この狂気の戦争がこれ以上の悲劇を生まないうちに終結してくれますように・・。


ヨウ素剤 安定ヨウ素剤


<関連記事>

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」

「言論統制・報道規制の恐怖 プーチン大統領を止められるのは誰か?」

「137万人のウクライナからの退避難民の受け入れと海外生活の不安」

「ロシア人でもあり、ウクライナ人でもあった元同僚の話」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「ロシア・ウクライナ問題 パンデミックの次は、本当の戦争の危機」

 


2022年3月8日火曜日

言論統制・報道規制の恐怖 プーチン大統領を止められるのは誰か? 

   



 戦時下となった今、世界の動向や報道は見逃せないので、色々な国の報道に目を通しているのですが、どこでも「プーチン大統領を止められるのは誰か?」、「なぜ、このような事態に陥ったのか?」など、現在の状況に加えて、それを検証するようなテーマの記事が並んでいます。

 過去の歴史を引きずっている歴史的な背景やプーチン大統領の軌跡、経歴、人格の変化や彼がここまでの暴挙に及んだタイミングがなぜ、今だったのか?などなど、似たようなテーマがならんでいます。

 中には、パンデミックが彼を孤独にした・・とか、彼の年齢(ロシア人男性の平均寿命に近い年齢であること)までもが語られています。

 海外の政治的な情勢、特にアメリカの大統領がトランプ大統領からバイデン大統領に、ドイツの首相がメルケル氏からショルツ首相に変わったことなども挙げられ、もしかしたら、プーチンを止められるのは、メルケル首相だったかもしれない・・などという人もいます。

 ユーロ危機、クリミア危機での外交をこなしながら、16年間もの長期政権を築き、ヨーロッパの母のような存在でもあり、世界から一目置かれる存在であったうえに、プーチン大統領もメルケル元首相もお互いにドイツ語、ロシア語が堪能で、お互いの母国語で通訳を介することなく、ほぼ母国語と同レベルで話すことができたということなどもその理由に挙げられています。

 このような局面ではないにせよ、また、どんな人にとっても、言語の壁を越えて話ができるということは、すごく大切なことです。

 しかし、彼女が首相を退陣している現在では、対等に話せる立場ではなく、また、プーチン大統領が他人をまるで寄せ付けないようになっている現在では、そんなことも望めません。

 彼の周囲の政府陣営でさえ、誰も彼に物申すことができる人がいない今、彼を止めることができるのは、ロシア国民の大衆の大きな声、うねりだけかもしれません。

 そんなことを本人も察しているのか、ロシア政府は、厳しい言論統制、報道統制を敷き、自分に都合のよいニュースを都合のよいこじつけと嘘にまみれたニュースのみを流し、声をあげようとする国民を拘束したり、報道陣を締め出したり、フェイスブックやツイッターなどをシャットダウンしたり、国民に情報が入らないようにしています。

 この世界中を騒がしている渦の中心にいるロシア人が一番、現状を知ることができないという恐ろしい状況です。他に情報が入らない中、唯一入るニュースが政府に都合のよいニュースだけとは、一種の洗脳のようなものでもあります。

 一昨年のロックダウン中に一時、家のネット環境がダウンした数日がありましたが、それでさえ、とても不安になった覚えがあります。

 テレビの報道というのは、政府や世間への忖度もあり、少なからず偏りもあります。ネットなどのより多くの情報が必要です。しかし、ネットというものは、自分でニュースを選ぶという点から、自分が受け入れやすい内容のものばかりを選んでしまうという危険もあります。

 テレビ自体を持たない、テレビを見ない世代が増え、テレビ業界は、危機に瀕しているとも言われていますが、テレビしか見ないという一定の層が存在します。ロシアの現在は極端な例としても、テレビの情報だけというのは危険でもあります。

 現在のロシアの状況は、異常な報道規制下にありますが、情報が十分に入らなくても、現在のロシアへの経済制裁から、ロシア国内でも反発は広がっているようです。ここは、当のロシア国民が結束して、反発してくれない限り、今こそロシア国民が立ち上がってプーチン大統領を追放しない限り、さらなる戦況の悪化は避けられないような気がしています。

 フランスのニュースでは、「プーチン大統領を止められるのは誰か?」ではなく、「プーチン大統領は制御不能か?」というタイトルに変わりつつあります。


ロシアの報道規制 言論統制


<関連記事>

「日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと」

「オミクロン株対策の日本の鎖国についてのフランスでの報道」

「マクロン大統領が警告 「コロナウィルスの中国の発表をバカ正直に信じてはいけない!」

「戦争づくめの報道とウクライナカラーになっているエッフェル塔」

「プーチン大統領の演説にフランスの大統領選挙報道が吹っ飛んだ!」

「北京オリンピックについてのフランスでの報道」


2022年3月7日月曜日

在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応

   


 先日、一時、総理大臣候補とも言われた日本の衆議院議員のツイートで、「ロシアの侵略開始によって、ウクライナ残留を希望しておられた在留邦人約120名の方々は退避を決意して下さったのかと外務省に確認しましたが、ごく少数の方以外の状況はかわっていないそうです。よって、大使はじめ邦人保護に携わっておられる大使館員も退避できず、邦人の安否が心配でなりません。」というツイートを見て、愕然としました。

 戦場となっている惨状の中で退避できない邦人には、余程の事情があるか、余程の覚悟があるはずです。また、ウクライナにいる日本人が「PCR検査で陽性になったために、帰国できない・・」というツイートも目にしています。

 この日本の政治家は、ウクライナの日本大使(大使館員)ではないので、実際に在ウクライナ日本大使館がどのように在留邦人に接しているのかはわかりませんが、日本でも名の知れた政治家のこのような発言の意味は決して小さいものではなく、かなりショッキングなものでした。

 捉えようによっては、「在留邦人のために大使および大使館員が退避できずに迷惑している」ということで、挙句の果てに「邦人の安否が心配でならない」という偽善者めいた言葉が添えられていることに、えも言われぬ不快感を感じました。

 大使館の仕事には、災害や事件などが起こった際に自国民の命を守ることも含まれています。しかし、その命には、その人の人生や生活も含まれています。未だウクライナに残る人は、退避を希望していても、物理的に不可能だという場合は別として、命をかけてでも守りたいものがそこにあるということです。

 非常時ゆえ、退避を勧告するのは、当然としても、残留する人のために大使、大使館員が退去できない・・というのは、あまりの言い方です。これは在ウクライナ大使の発言ではありませんが、この日本の政治家には、ガッカリさせられたのでした。

 一方、昨日、在ウクライナ フランス大使がテレビのニュースのインタビューで、「ウクライナに残留しているフランス人は何人くらいですか?」との問いに、「在留届を出している人ばかりとは限らないので、正確な人数は、把握できていませんが、おそらく300人程度だと思います」と答えています。

 インタビュアーが「その方々の退避の目処はついていますか?」と続けると、「もちろん、退避するフランス人の援助は続けますが、この時点で残留を希望している人々には、それなりの理由もあるので、残留するのも致し方ない」と答えていました。

 一見、見捨てているようにも取られかねない発言でもありますが、大使は、「どちらにしてもウクライナに残って、最後まで国民を守る」と静かに語っていました。個人の生活や人生を尊重して、国民を守ってくれる・・私には、そんなふうに頼もしく感じられました。

 しかし、それよりも、在ウクライナ フランス大使館は、「核の危険のために、250万人分のヨウ素剤を用意」と発表。プーチン大統領がこの戦争で核を使う危険への現実的な対応を開始したのです。

 マクロン大統領は、同日、プーチン大統領と電話会談し、「ロシア軍のウクライナ侵攻がもたらす原子力安全、セキュリティ、保障措置へのリスクについて重大な懸念」を表明し、これに対する具体的な措置が急務であることを伝え、また、国際原子力機関(IAEA)の規則と事務局長の提案に従って、ウクライナの民間原子力施設の安全性とセキュリティが保証されなければならず、その完全性に対するいかなる損害も避けることが絶対的に必要であると強調した」と伝えています。

 また、エリゼ宮は、プーチン大統領が、「IAEAがこの方向で遅滞なく作業を開始することに同意した」と発表していますが、これまでマクロン大統領との会談での同意がプーチン大統領にはことごとく破られていることからか、また、電話会談の感触で危険を感じた結果なのか、この核に対する危険をこれまでよりも切実で具体的な対応を開始したものと思われます。

 250万人分のヨウ素剤の用意など、大使館が独自にできるものではなく、この日のプーチン大統領と会談したマクロン大統領が決断したものであるのは、間違いありません。まさか、そんなことをするはずがない・・そこまではしないであろうという多くの国の予想をことごとく裏切ってきたプーチン大統領、追い詰められて、「窮鼠猫を嚙む」状態になる危険を感じます。


在ウクライナ フランス大使館 ヨウ素剤250万人分手配


<関連記事>

「3月からの日本への入国措置の緩和とウクライナからの日本帰国」

「フランス政府 ウクライナへの渡航回避から在ウクライナ フランス国民避難勧告と航空会社の対応」

「ロシア・ウクライナ問題 パンデミックの次は、本当の戦争の危機」

「プーチン大統領の演説にフランスの大統領選挙報道が吹っ飛んだ!」

「ロシア人でもあり、ウクライナ人でもあった元同僚の話」

 

 





2022年3月6日日曜日

137万人のウクライナからの退避難民の受け入れと海外生活の不安

  


 昨日のウクライナ戦争に反対するデモは、フランス全土で4万人以上動員したと伝えられています。同じ主旨の抗議デモが世界中で起こっていることも同時に伝えられ、なぜか、日本からポルトガルまで・・と日本でのデモの様子もフランスのテレビで報道されていました。

 すでに、世界各国からウクライナ在住の国民に対しての避難勧告が出されていますが、当然、ウクライナ国民もまた、国外を脱出し、ロシアからの侵攻が開始されて以来、約137万人が国外脱出しています。

 ヨーロッパ各国は、ウクライナから避難する人々については、交通機関を無料で提供したり、ポーランドなどの国境では、食糧や生活必需品などを提供したり、車での他のヨーロッパ諸国への交通手段を提供したりして避難民を受け入れています。

 しかし、またこの一方で、「この人々が一体、どこに行くのか? ウクライナの現在の壊滅的な状況から、一時的な避難とはなり得ないであろうことから、この避難民受け入れを長期的なスパンで考えなければならない」という声が上がっています。

 日本の岸田首相もウクライナからの難民を受け入れることを発表し、「まずは、家族が日本にいる人々から・・」と説明していましたが、とりあえず逃げるのに、日本は遠すぎて、あまり現実的でもないかな?と思ったりしました。

 そこは、地続きのヨーロッパ、命からがら逃げてくる人々を一先ず受け入れることは、人道的に当然のことです。事実、案外簡単に難民を受け入れているヨーロッパの人々も少なくないことに、素晴らしいなぁと思う反面、長期化すれば、それはそれで問題が起こるかもしれない・・と、私は、穿った見方もしてしまいます。

 例えば、もしもフランスに逃げてきた人がいたとして、誰かを家に泊めてあげたり、食料を提供したりできるか?と言われれば、それは簡単な話ではありません。なんとか、力になってあげたいという気持ちはあっても、せいぜい食料品や生活必需品の一部を寄付する程度しかできません。

 この長期化しそうな戦争の状態を見ても、そうそう易々とは、本国に帰ることは不可能で、一時的な避難場所を提供したつもりが、家を乗っ取られたりするかもしれない・・などと思ってしまうのです。

 ただでさえ、国を変えて生活するということは、大変なことで、戦時下でなくとも、海外(外国)で生活しているだけでも、常に問題は山積みなのです。よほど懐が大きい人でなければ(経済的、精神的にも)とても、個人が背負い切れるものではありません。国や団体などでの対応が求められる問題です。

 外交と制裁で戦争回避の道を探っているヨーロッパではありますが、マクロン大統領との直近のプーチン大統領との電話会談でも、プーチン大統領は、まるで侵攻をやめる兆しがありません。

 戦争回避の道を探ると同時に、ヨーロッパ諸国は、このウクライナからの避難民の受け入れ後の長期滞在対策を考えなければなりません。

 ロシアは、国民の退避のために、ウクライナでの一部地域での一時停戦を受け入れたと言われていますが、これは、あくまでも一時的な停戦で戦争を止めるということではありません。

 ロシアからの国民の退避のために一時停戦の申し入れなど、これまでの経過を見ると、不気味でしかなく、その後にドカンと核などの兵器を使って猛攻撃を予定しているのではないか?あとになって、「だから、逃げろと言っただろ・・」と言い訳をするような気がしてなりません。

 避難民受け入れどころか、パンデミックから戦争に突入して、「やっぱり日本にいた方がいいのかも・・」などという考えが時々、頭をよぎる私。実際、海外在住者がこの際、本帰国すると言っている人の話もちらほら聞こえてきます。かといって、生活の基盤である国を変えるというのは、そんな簡単な話ではありません。

 しかし、ヨーロッパにも飛び火しないとも言えないこの戦争にいつ、私自身が避難民になるかわからない、とても他人事ではない問題なのです。


ウクライナ難民問題


<関連記事>

「ロシア人でもあり、ウクライナ人でもあった元同僚の話」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「3月からの日本への入国措置の緩和とウクライナからの日本帰国」

「現在のウクライナ戦争へのフランスの対応とマクロン大統領のウクライナ・ロシア首脳との電話会談」

「フランス政府 ウクライナへの渡航回避から在ウクライナ フランス国民避難勧告と航空会社の対応」