思い起こせば、2020年の年明けは、カルロス・ゴーンの日本からの逃亡劇から始まりました。シャンゼリゼのカウントダウンの様子をテレビで見ていた時に、カルロス・ゴーン逃亡のニュースが流れ始めたのです。
それからしばらくして、年明け早々、カルロス・ゴーンがレバノンに世界中の記者を集めて、会見を開き、彼自身の行動の弁明と正当性を訴えました。
しかし、間もなくして、世界は、コロナ禍に飲み込まれ、カルロス・ゴーンどころではなくなりました。
日産とルノーにまたがる彼の事件は、日本とフランスの両国での追跡で、両国の対応の仕方を見比べられる意味でも、興味深い事件でもありました。
カルロス・ゴーンの逃亡先のレバノンでは、今年の8月初めに比類のない湾岸倉庫の爆発事件が起こり、30万人が住む家を失ったことから、国民の45%が貧窮生活を送る経済危機状態にあります。
レバノンは、一部の特権階級が支配する腐敗した政権に反発する動きが高まり、レバノンと関係の深いフランスは、翌日には、マクロン大統領が現地に赴きました。
フランスでは、経済危機、混乱状態にあるレバノンに所有しているカルロス・ゴーンの資産価値が1億2千万ドルから7千万ドルに目減りしたなどと報道されていましたが、(彼は、レバノン北部にあるワイン畑の40%を保有しているほか、スキーリゾートやレバノン市内に広大な土地を所有しています)コロナウィルスを初め、次から次へと起こる事件に彼の存在も埋もれているかに思われていました。
しかし、ここへ来て、フランス紙リベラシオンがフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえたことを報じています。
彼は、税法上の住居を2012年にオランダに移していますが、これは、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したものです。
彼は、彼の収入に対しての税金は、オランダで支払っていることになっていますが、フランスの税務当局は、この動きは架空のものであると考えているようです。
逃亡後、彼がレバノンで行った記者会見の際に、フランスの記者からの、「フランス政府に期待することはありますか?」との質問に、「全くありません」と即答していたカルロス・ゴーンですが、まさかのフランスでの資産差し押さえに、フランスも彼を容赦しない態度が公になったことになります。
私のささやかな日常生活でも、日頃から、公的機関が円滑に回らず、トラブルの多いフランスですが、なぜか税務署だけはキッチリしていて、「ちゃんとできるところもあるんだ・・」と感心しているのです。
この際、日本の分の恨みも募って、カルロス・ゴーンからも、キッチリと取り返すものは取り返して欲しい、「頑張れ!フランス!」という気持ちになっています。
それでも、あれほどのことをしてきた彼が、あっさり引き下がるわけはなく、今日から、カルロス・ゴーンは1月18日に開かれる予定の公聴会の準備に入るようです。
それにしても、世界各地に分散されている彼の資産や、あの有名なベルサイユ宮殿での結婚披露パーティーを見るにつけ、彼の強欲さと、ここまでして、一体、何が欲しいのか?と嘘だらけの人生を必死に生きている彼を虚しく感じるのです。
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