一昨日に突然起こったレバノン・ベイルートでの湾岸地区で発生した爆発事故の映像は、とても衝撃的で、フランスでは、コロナウィルスをすっ飛ばしての大ニュースになっています。
現地に住むフランス人の証言によると、激しい爆発音とともに空に立ち昇った炎と雲煙は、広島の原爆の映像のようだったと語っています。最初にこのニュースを聞いた時には、よもやこんな時にテロ???と思いましたが、どうやら、これは、安全対策が取られずに湾岸地区に保管されていた硝酸アンモニウムが爆発の原因と見られています。
昨日の夜の段階では、死者50名と発表されていましたが、それが75名、100名と増え、これまでに135名の死亡が確認され、5000名を超える負傷者、30万人が家を失ったと言われています。
この大規模爆発を受け、レバノン政府は、2週間の非常事態宣言を発表しました。
フランスにとって、レバノンは、過去の歴史上、関わりの多い国でもあり、事故直後にマクロン大統領も「フランスは、レバノンの惨事に際して、連帯の意を示し、フランスは、レバノンに寄り添って協力していく」ことを発表しています。
さっそく、フランスからレバノンには、現地での被害者の捜索にあたるために55名の消防隊が救助犬とともに派遣されました。また、マクロン大統領も6日、現地を訪れ、視察、現地の人と直に触れ合い、記者会見に臨み、フランスは、決してレバノンを見捨てることはないと宣言しました。
レバノンの公用語はアラビア語ではありますが、フランス語を話す人も多く、またフランスに移住しているレバノン人やレバノンに移住しているフランス人も多いのです。
私たちがアフリカにいた頃も主人は、大使館勤務でしたので、フランス大使館を頼って商売を立ち上げようとするレバノン人が多く、私もどういうわけか、アフリカでたくさんのレバノン人と接する機会がありました。商才がある人が多いのか、商魂たくましいのか、フランス語だけでなく、英語も堪能な人が多く、それまで、レバノン料理など、あまり食べた事がなかった私もアフリカでたくさんの種類のレバノン料理を知りました。
そんなレバノン人の中でも、おそらく日本で最も有名なのは、カルロス・ゴーンですが、彼のベイルートの自宅?(実際は、日産の所有らしい)も爆発があった湾岸地区からは、かなり離れた高級住宅街でもあるにも関わらず、被害を受けているようです。
フランス人は、日頃は、やるべきことをやらずに主張ばかりで、どうしようもないと思うことも少なくありませんが、ほんとうに困っている時、大変に困難な状況になると、ここぞとばかりに急にスイッチが入るように団結して親切になるところがあります。
ほんとうは、国内のコロナ対策だけでも大変なところを兄弟のような国の惨事を放っておくことなどできないのです。そして、対応が早い!!。
このコロナ渦の中で一瞬にして、戦時中のような状況に陥ってまったレバノンですが、レバノンのコロナウィルスの感染状況は、7月に入った頃から上昇傾向には、あったものの、人口が680万人と少ないこともありますが、これまでは、当初からの感染者もトータルで5417名、死者も68名とコロナウィルスでの被害状況は、そこまで酷い状態ではありませんでした。逆に、レバノンでは、一瞬にして、この爆発事故により、コロナウィルス以上の死者、被害者が出てしまったことになります。
しかし、現在のレバノンの状況を考えれば、マスクどころではなく、実際にコロナウィルスだけではなく、爆発による有毒ガスも発生していることから、今後は、さらに厳しい状況になると予測されます。
ほんとうに、コロナウィルスといい、レバノンの爆発事故といい、100年に一度あるかないかのようなことばかりが起こる2020年、それでもまだコロナウィルスは、勢いを増し続けているのです。
レバノンのディアブ首相は、6日から3日間、国家として喪に服す方針を表明しました。パリのサクレクール寺院でも犠牲者を追悼するため、サクレクール寺院の麓でロウソクの火を灯し、祈りを捧げる人が集まっています。
<関連>「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」
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