2020年8月21日金曜日

パリの自転車人口が急激に増えた

 


                           パリの Vélib(ベリブ)貸出自転車


 ほんの数年前までは、フランス人にとって、自転車は、レジャーやスポーツであり、交通手段(移動手段)ではありませんでした。自転車は、街中で乗るものではなく、週末やバカンスの際に車に積んで行って、広々とした自然の中で楽しむものでした。

 街中でも自転車に乗らないわけではありませんでしたが、盗難が酷く、私も買ったばかりのママチャリのような自転車を盗られたことがありました。娘がスイミングの授業にプールに行くのに乗って行って、ちゃんと太い金属製の鎖の鍵をかけていたにも関わらず、ガッチャリ鎖を切られたようで、日中のほんの1〜2時間にも関わらず、彼女がプールから出てきた時には、影も形もなくなっていたのです。

 ですから、フランスの場合、ちょっと自転車で買い物に・・なんて、気楽に自転車で出かけるわけには行かず、よほど、頑丈な鍵をつけておかなければ、買い物が終わって、出てきたら、自転車がない!なんていうことも、充分あり得るので、気安く自転車でお買い物にも行けませんでした。

         


 この写真のように、自転車ごと盗られなくても、タイヤやサドルだけでも盗られてしまうのですから、本当に油断なりません。

 それが、ここ数年、環境問題が叫ばれるようになって、パリには、Vélib(ベリブ)という貸出自転車のシステムができて、パリの多くの場所には、ベリブの自転車が設置され、登録すれば、自分の出発地に近いベリブのステーションから自分の好きな時に自転車を借りて、目的地の近くのベリブのステーションに返すことができるようになって、グッと自転車を使う人が増えました。ベリブなら、盗難の心配をする必要もありません。

 そして、今回のコロナウィルスの感染拡大回避のために公共交通機関を避け、自転車を使って通勤、移動する人がさらに増えました。自転車で通勤する人には、会社が自転車通勤のための援助金を出している場合もあるくらいです。道路にも自転車用の通路が整備され、本当にびっくりするほど、自転車を利用する人が増えました。

 急激に増えた街の中の自転車にちょっとギョッとするほどです。ここ・・パリだよね・・と。

 しかし、ベリブを除けば、個人の自転車は、かなり年期の入った自転車も少なくありません。リュックを背負ったり、ベストを着たり、かなり本格的ないでたちで自転車に乗る人も多いです。そこには、以前のフランス人にとっての自転車のあり方が垣間見える気がします。

  フランス人の車の運転の荒さは有名ですが、自転車用のスペースとはいえ、その自動車とともに車道を走る自転車の事故がないわけはありません。自転車による死亡事故まで起こっています。

 コロナウィルスの感染を避けて、自転車に乗っているのに、自転車事故で亡くなってしまうのは、なんとも皮肉な結果です。

 そういう私も最近は、出来るだけ、バスやメトロの公共交通機関を避けて、かなりの長距離を歩いたり、自転車で移動したりするようになりました。家には、自転車があるので、ベリブは利用せずに、どうにも簡単に切られたりできないほどの強力で重たい鍵を自転車に取り付けて、買い物をしたりする間には、鍵をきっちりとかけています。鍵をかけたり、外したりが面倒で、何軒もはしごして買い物をするのが億劫になる鍵です。

 コロナウィルスを避け、盗難や事故に怯えながら、自転車に乗る生活。健康的ではありますが、どちらにしてもリスク満載な、パリです。


<関連>「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_6.html

「パリで犯罪から身を守る方法は、まず、犯罪の手口を知ること」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/11/blog-post_10.html

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