2021年4月30日金曜日

ロックダウンの段階的な解除日程 マクロン大統領がプレス公開とツイッターで発表した理由

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 マクロン大統領は、5月3日から、4段階に分けたロックダウンを解除していく日程を発表しました。数日前に、カステックス首相から、以前に発表されていた5月半ばからのロックダウン解除の日程については、週末にマクロン大統領から発表があることが知らされていたので、国民は、それを待っていました。

 ここのところ、フランスでは、ロックダウンにしても解除にしても、実際の発表の前にその内容の概ねは漏れ聞こえてくるか、発表した途端に内容が変更になったり、中止になったり、グタグタの状況で、わけがわからないことが多くなってきています。

 そして、ここへ来て、またマクロン大統領から発表されるとされていたロックダウン解除の日程は、プレスへの公開とマクロン大統領自身のツイッターで発表されるという前代未聞の公開の方法が取られました。

 


 まずは、5月3日から、別の地域への移動禁止が終了し、中学校と高校が再開されます。(これは、前回の発表の時にすでに折り込み済みの内容です)

 そして、5月19日には、現在閉鎖されているショップ、バー、カフェ、レストランのテラス(1テーブルあたり最大6人)、美術館、映画館、劇場、スポーツ施設が再開。これらの文化的およびスポーツ的な場所では、屋内で800人、屋外で1,000人の入場制限が敷かれます。

 また、夜間外出禁止令の時間が、5月19日の午後7時から午後9時までにシフトされます。

 6月9日からは、夜間外出禁止は午後9時から午後11時までに拡大され、バー、カフェ、レストランも屋内やスポーツホールで再開できます。オープンする文化的およびスポーツ施設の数は5,000人に増加します。見本市や展示会は、同じゲージで開催される場合があります。

 その同じ日に、在宅勤務に関する指示は、企業レベルのソーシャルパートナーと協力して緩和されていきます。

 そして、最終段階の6月30日には、夜間外出禁止は、撤廃されます。(ディスコはまだ閉鎖)

 これが、若干感染が減少している傾向にあるとはいえ、現在も1日の新規感染者が平均3万人を下ることがなく、1日300人前後の死亡者を出し、集中治療室の占拠率が116%超(イル・ド・フランスでは、152%超)のフランスが出した今後のロックダウン解除の日程です。

 もちろん、この計画には、「緊急事態に備えての中止・緊急ブレーキ」が用意されています。発生率が住民10万人あたり400例を超え、急激な感染増加の傾向が見られ、集中治療室が飽和状態になるリスクがある場合、再開はそこで停止されます。

 現在のパリ、イル・ド・フランスは、残念ながら、そのロックダウン解除、再開停止のカテゴリーに入っています。このゲージを尊重するのであれば、パリを含むイル・ド・フランスの一部の地域は、ロックダウン解除の日程を進んでいくことはできないことになります。

 しかし、この発表がなされる前の段階から、パリではすでにショップ再開の準備が始まっています。すでに、ロックダウンは、ロックダウンではないような状況にもなってきており、規則を尊重しない人が日々、増加しています。

 多くの国民が前のめりに、日常生活再開を待っている状況です。失われていた日常が戻ってくるという楽観的なニュースは、どんどん広まっていきます。恐る恐る日常に戻っていくという感覚を持つ期間は、恐らくフランス人には、極めて短い、ほぼないと思います。

 いつまで経っても、思うように感染が減少していかない先の見えない状況に国民は疲れ果て、段階的であっても、何らかの指標になるような目安がなければ、もう耐えられないのかもしれません。

 みんながかつての日常を待ちきれずにいます。

 しかし、この決断は、これまで一年以上の鬱憤が溜まっているフランス人が一気に街に出て、人と触れ合い、行動を爆発させ、感染を再爆発させ、第4波を迎える危険をはらんでいることは言うまでもありません。

 ということは、いつでもこの日程が解除される可能性を含んだ発表であるということです。

 昨年の6月のロックダウン解除では、「俺たちは、よくやった!」と勝利宣言をしたマクロン大統領ですが、現在の状況を見る限り、どんな選択をしても、厳しい結果しか期待できないマクロン大統領は、恐らく、これまでのように夜8時にマルセイエーズとともにテレビに登場して、大々的に国民に対して強く約束するような形の発表は避け、内容とは裏腹にインパクトの少ない形での発表の仕方を選んだと思います。

 今回のロックダウンの段階的な解除の発表の仕方は、パンデミック以来、いつも強気の会見を行ってきたマクロン大統領が選んだ苦肉の策だったような気がしてなりません。

 しかしながら、マクロン大統領のババだけでのババ抜き状態は、まだまだ続きそうです。


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2021年4月29日木曜日

モンペリエ近くの高齢者施設でクラスター ワクチンは完全無欠ではない

   


 もはや、フランスでの唯一の救いと思われるワクチン接種は、接種の権利を得られる範囲をどんどん拡大してはいるものの、現在のところ、フランスのワクチン接種状況は、1回でもワクチンを接種した人は、まだ20%程度、5人に一人の割合と、まだまだ、感染拡大を止めるには、ほど遠い状態です。

 ワクチンが思うように届かないという問題もありますが、保存方法の問題から、一番、色々な場所での接種が可能なアストラゼネカワクチンを拒否する一定の割合の人が存在し、せっかく届いているワクチンを開封してから、接種しきれずに廃棄せざるを得ないことを嘆く医者がその現状をSNSで公開して訴えたりしています。

 かと思えば、少しでも早くワクチンを受けたい人が廃棄するぐらいだったら、ワクチンを接種してほしいと、予約なしでも行列を作っていたり、どうにも、まんべんなく、ワクチンを供給することができていないようです。

 マクロン大統領は、思い余って、24時間、年中無休でワクチンを!などとまで、口をすべらしていますが、もともと、効率よく、急いでさっさと事を進めるのが苦手なフランスです。この状況においても、フランスは、急速に事を進めることができません。

 そんな中、唯一の希望であるはずのワクチン接種に危うい状況が浮上してきました。

 85%の居住者がワクチン接種を済ませている状況のモンペリエ(フランス南部・オクシタニー地域圏)近くの高齢者施設 エパッド(Ehpad)で、19人(居住者11人、職員8人)のクラスターが発生したことが報告されています。

 感染者19人のうち14人はワクチン接種済みの人で、ワクチンが完全無欠のものではないことが明らかになった事例となってしまいました。

 ここ数ヶ月の間に、最優先とされていた高齢者のワクチン接種拡大の効果により、高齢者の感染が劇的に減少したことから、ワクチンの効果が期待され、高齢者施設内でも、厳しく敷かれていた面会や、衛生管理の制限を少しずつ緩和していく動きが始まった矢先のクラスター発生にショックは大きく、この高齢者施設では、再びロックダウン状態に逆戻りを余儀なくされています。

 しかし、唯一の救いは、ワクチン接種を受けている人は、症状が出ても、比較的、症状が緩やかで現在のところ重症化はしていないということです。

 とはいえ、フランス領ギアナでは、ワクチン接種済み(ファイザー)の2名が感染、重症化して死亡したという事例もあり、ワクチンのタイミングや間隔などにも問題があったのではないかと調査が続いています。

 3回目のロックダウンにより、若干、感染減少の兆しが見えてきたフランスですが、未だ1日の新規感染者数は、3万人超え、毎日、コンスタントに300人以上の死者がで続けている状態です。

 今は、盛んにこれからのロックダウン解除の日程や、どのように、どこから解除していくかばかりが話題になっていますが、今週から学校も再開し、これ以上に制限を解除して、ワクチンでも完全に防ぎきれないとなれば、まことに不安材料ばかりです。

 また、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、ここ1〜2週間で、パリ近郊3県での南アフリカ変異種が6%から10%に上昇してきていることを発表しています。

 この高齢者施設のクラスターの発生から、ワクチンをしても、当分、マスクなしの生活には、戻れそうもないことを思い知らされたのでした。


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2021年4月28日水曜日

コロナ渦中のフランスの歯医者③ ミューチュエル(国民健康保険でカバーしない分をカバーする保険)乗り換え

    


 コロナウィルスのおかげで、ずっと先延ばしにしていた歯の治療に重い腰をあげたのが、昨年の10月初めのことで、最初のロックダウンから半年以上経った頃で、なんといっても、室内でマスクを外さなければ治療を受けられない歯医者さんは、コロナウィルスが蔓延してからは、恐怖だったのです。

 それでも、昨年の最初のロックダウンが解除されて、結局、多くの人がバカンスに出かけたフランスでは、秋頃から、また雲行きが怪しくなってきて、ようやく意を決して、今、行かなければ、またロックダウンかも・・と思いながら、コロナ渦中の歯医者さんに出向いたのでした。

 その時点でも、歯医者さんは、入ってすぐに非接触体温計での体温チェック、プラスチックのガウンと頭に被るカバーまでつけさせられて、持ってきた荷物も預けるというなかなかな衛生対策ぶり・・細かな問題はあるにせよ、フランスにしては、なかなか気を配っている方だろうな・・と思っていました。

 その後、抜歯してから、抜いた後がしっかり固まるまでということで、その後、数回、通っていましたが、まだ、しっかり固まっていないということで、次の段階に進めぬまま、抜いた歯をインプラントにするか、入れ歯にするかの決断を強いられていたのでした。

 結局、食べることが大好きな私としては、やはり歯は何よりも大事。やっぱり多少、お金がかかっても、インプラントにしようと決めると、今度は、抜いた隣の歯が虫歯になりかけているから、まず、その治療をしてからの方がいいと言われて、インプラントと、もう一本の歯の治療の分の見積もりをもらってきたところまでで、前回の治療は中断していたのでした。

 インプラントに加えて、隣の歯まで??とちょっと遺憾に思った私は、一応、日本にいる従姉妹に相談したりして(彼女のご主人は歯医者さん)、結局、両方、やることにしたのですが、その間、歯医者さんに出してもらった見積もりをミューチュエル(健康保険でカバーしきれない分をカバーする保険会社)に送って、いくら戻ってくるのかを確認したりして、(実際は、そんなにレベルの高い保険でもないためにあまり戻ってこない)今回の診察に臨んだのした。

 ちなみにインプラントともう1本の歯の治療でかかる費用は、2,800ユーロ程度(約36万円)そのうち、1,000ユーロ近くが保険で戻るようです。

 もうコロナ禍の診察にも慣れた様子で、体温チェックはありませんでしたが、相変わらず、プラスチックのガウンと頭に被るカバーは継続していて、歯医者さんに「ワクチンは受けましたか?」と聞いたところ、「もちろん!もう2ヶ月以上前に2回目の接種が済んでるわよ!」と即答されて、ちょっと安心・・考えてみれば、防御はしているとはいえ、マスクなしの患者さんと毎日接して、患者さんの飛沫を飛ばしまくるの歯医者さん、かなりリスクの高い仕事です。

 ちなみに私の歯の治療のことで相談に乗ってもらった日本にいる従姉妹の旦那さんは、歯医者さんなのに、まだワクチンできていないと言っていました。

 今回の歯医者さんの治療で、これまで入っていた保険は、毎月支払っている金額にしては、いつの間にか、カバーできる範囲が減っているようで、(毎年、自動更新なので、そのままにしていました)、今年いっぱいで、他のミューチュエルに乗り換えることにし、(それでも、ゼロではないので、今の段階で変えるのはもったいないので)この2本の歯に関しては、年内に治療を終わらせて!と頼んで、いよいよ本格的な治療が開始されました。

 今年は、これまで使っていた銀行も乗り換えたので、それに引き続き、来年は、保険会社も乗り換えすることにしました。

 普段は、大して医者にもかからない私なので、ついつい放ったらかしになっていた保険、しかし、もしもの時が怖くて、そのままにしていたのですが、この際、今まで払っていた分を少しは取り返そうと、今年のうちに、メガネも作り直そうと思い始めたのでした。

 しかし、銀行、保険、歯医者に眼医者(保険でメガネを作るために処方箋が必要)と次から次へとできる用事が医者のハシゴとは・・バカンスにはどこにも行けない分、使うお金も時間も医者通いとは・・年齢を感じるばかりです。


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2021年4月27日火曜日

コロナウィルスワクチンのつもりが生理食塩水を注射されていた140人 エペルネ グラン・テスト地域圏

    


 フランスのエペルネ(グラン・テスト地域圏 マルヌ県)のワクチン接種センターでは、4月20日にファイザー/ BioNTechのワクチンを投与したつもりが、140人に対して、生理食塩水を投与していたことが明らかになりました。

 幸いなことに、これは健康には害のない間違いではありましたが、このワクチン接種センターは、大きな信頼を失う結果となり、ワクチン接種に懐疑的な人の不信感を煽る一旦にもなってしまいました。

 このあり得ないミスに翌朝になって気付いた予防接種センターは、すぐに該当患者に連絡をとり、ワクチンの再接種をすることになりました。

 幸いにも、健康上には、問題のない事故?ではありましたが、国中を揚げて、ワクチン接種に躍起になっているときに、この分の時間と人出と労力が無駄になり、再びワクチン接種の時間とそのためにワクチン接種が遅れることも問題ではありますが、このような間違いが怒ることで、不安と不信感が高まることが何よりも問題です。

 フランスは、日常的に、何かとミスに遭遇する機会が多い国ではありますが、ワクチンしか、もう救われる道はない・・と思われる現在の事態にこのようなミスは、ちょっと見過ごすことはできません。

 そもそも、この事故が起こったグラン・テスト地域圏は、パンデミックが始まって以来、フランスでの感染が大きく広がったのも、この地域からで、当初のこの地域の被害は、フランスの中でも最も甚大であった地域です。

 そして、現在もこの地域の感染状況は、決して、楽観視できる状況ではありません。

 この間違って投与された生理食塩水は、特に創傷の洗浄などのさまざまな治療に使用されたり、注射中の希釈剤として使用されるもので、決して危険なものではありません。

 とはいえ、なぜこのような間違いが起こったのかは、現在のところ、明らかにされていません。このワクチン接種センターの準備システムにエラーが起こる可能性があったことは確実で、これが人為的なミスであった可能性もないとは言えないとされています。

 ミスをしても、「それは、私のせいではない」というのが常のフランスです。間違いは起こってしまったことで、仕方がないことではありますが、皆が「私のせいではない」と言い張って、事を水に流してしまえば、今後も同じようなことが起こる可能性があります。

 失敗は失敗として認めて、反省し、問題点を解明し、予防接種センターのワクチン接種までの流れのシステムを改良していってもらわなければなりません。

 この地域のワクチン接種キャンペーンは、1月15日に開始されて以来、病院センターと私立診療所が仕事を分担しながら急ピッチでワクチン接種が進められてきました。

 3月に新しいワクチン投与量が到着すると、2つのワクチン接種施設は、これまでのペースを維持することがますます困難になり、スペースが不足して、4月19日に単一の予防接種センターが開設されました。

 この事故が起こったのは、その直後のことで、新しいワクチン接種センター開設の際の混乱状態が予想できます。

 終いには、この事故に対する「陰謀説」まで、持ち上がっていますが、健康上には問題のないことから、うやむやになっていく可能性も大です。

 エペルネ市長は、「この種の事故の再発を防ぐために、施設はワクチン接種の安全性、品質、継続性、トレーサビリティ、および管理を保証するためのプロトコルを直ちに強化した」と述べていますが、この事故が起こった原因については、公表していません。

 このミスに関する保健当局の沈黙は、住民を不安にさせ、原因についての透明性だけが不信を解消することができます。健康に関するダメージはないという説明では、充分ではありません。

 ワクチンの安全性も100%とは信じきれずに、ワクチンを受けるにあたっては、誰もがそれなりの覚悟をして受けている段階です。それが、ワクチンを受けたつもりが、ワクチンではなかった・・その拍子抜けした、やるせない気持ちは、想像できます。

 私がワクチン接種をしたのは、かかりつけの長いこと知っている親しいお医者さんで、そんな間違いが起こりえると考えたわけではありませんが、記念に?・・と、私に接種してくれたワクチンの瓶の写真を撮らせてもらいました・・ので、私が接種したのは、生理食塩水ではありません。


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2021年4月26日月曜日

フランスは、ワクチン接種を進めても、イスラエルやイギリスのような劇的な変化は期待できない


Les fêtes clandestines ont le vent en poupe
昨日のパリ19区のビュットショーモン公園での様子


 フランス人は、フランスのことを特別な国だというような表現の仕方をする人が多いのですが、昨日、ニュースを見ていたら、ある医療機関の代表の人が「フランスは、唯一の国だ・・」と話し始めたので、「ハイハイ、何が唯一なんですか?・・」と思って聞いていたら、「フランスは、感染の蔓延がほぼピークに達している中でワクチン接種を必死に進めている唯一の国だ」と言っているのを聞いて、なるほど・・と思いました。

 現在、ワクチン接種がかなり進んでいるイスラエルやイギリスでは、感染者が劇的に減少し、コロナウィルスによる死亡者も桁違いに減少し、コロナ前の日常を取り戻しつつあります。

 彼らがカフェやパブなどで楽しそうにしている様子を指を咥えて見ているフランスです。

 しかし、彼らが今、劇的な感染者の減少という局面を迎えているのは、ワクチン接種の拡大とともに、彼らは2ヶ月以上の厳しいロックダウンを行ってきた結果でもあり、その効果を伴ったものであるということです。

 その点では、フランスでは、夜間外出禁止や、遠距離の移動の禁止や、レストランやカフェ、一部の店舗の営業は禁止されているものの、日中の街中の人の動きはほぼ平常と変わらず、学校閉鎖に踏み切ったのも学校のバカンス期間を含めた4月に入ってからの約4週間のみで、感染状態も若干、減少したものの、未だに1日の新規感染者数は、平均3万人、集中治療室の患者は6千人に迫る勢い、死亡者も1日平均300人ほど出ている状況です。

 この状態で、学校も今週から徐々に再開され、5月3日からは、長距離移動も可能になると発表されています。実際に、ワクチン接種が進んでいる高齢者の感染はフランスでも劇的に減少しているので、「ワクチン接種さえ進めば・・イスラエルのように、イギリスのように・・日常が戻ってくる!!」と祈るように思っていたのですが、考えてみれば、彼らのような劇的な変化はフランスには、期待できないかもしれないのです。

 しかも、先週末もフランスは、警察署で起こった悲惨なテロ事件や2万人単位のデモ、おまけにパリ19区にあるビュット・ショーモン公園では、数百人にものぼる若者たちがほとんどの人がマスクもなしに、陽気に音楽をかけての盛大なパーティーを開き、そのあまりに屈託なく楽しそうにはしゃぐ様子には、言葉を失います。

 取り締まる警察も、テロ対策、コロナ対策と全てに手が回らないのもわからないではありません。



 たしかにもう、このパンデミックには、ワクチン接種以外に道はなく、ワクチン接種さえ進めば、イスラエルのように、イギリスのように、日常生活が戻ってくるとは思いますが、これまで、厳しいロックダウンをしてこなかったツケがフランスには、回ってくる・・つまり、ワクチン接種の拡大とともに、劇的に感染が減少することはなく、この調子では、かなり時間がかかるであろうということは、覚悟しなければならないと思うのです。 


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2021年4月25日日曜日

思いがけずに娘もワクチン接種を受けることができました!

          

娘がワクチン接種をした病院内の様子


 私が思いがけず、新型コロナウィルスのワクチン接種の予約をしたのは、今年の2月26日のことでした。たまたま、いつも飲んでいる薬の処方箋をもらいに近所のかかりつけの医者に行った際に、「ワクチンの申し込みをしますか?」と言われて、(その時は、まさか私にワクチン接種を受ける権利があるとは思っていなかったので・・)「えっ??いいの?」と言いながらも、「あなたは、心臓疾患があるから申し込みできるわよ!」と言われて、「ラッキー!」と、すぐにその翌日に軽い問診を受けて、申し込みをしたのでした。

 申し込みをしてから、おそらく、セキュリテソーシャル(国民健康保険)からの承諾が降りるのに1ヶ月くらいは時間がかかるから(現在はそんなに時間はかからない)、3月半ば以降にまた連絡してみてと言われて、その頃に一度、連絡してみましたが、肝心のワクチンが届かないとのこと。

 それでも私が1回目のワクチン接種をしたのは、4月2日のことでした。

 そして、娘が4月に入ってから、パリ市内の病院に併設された研究所でスタージュ(インターンシップ)に通いはじめ、リモートワークかと思いきや、毎日、通勤とのこと。しかし、病院関係の施設での仕事ということで、病棟とは関係ない研究所内の事務所での仕事ではあるのですが、ワクチン接種の権利をもらえたのです。

 娘は、まだ20代前半で、コロナウィルスにかかった場合にリスクが高いとされる何の既往疾患もなく、本来ならば、ワクチン接種は、一番後回しになる世代です。それが、思わぬチャンスに恵まれたのです。

 「リモートワークのこと、ワクチンのこと、マスク配布についてなどなど、ちゃんと聞いてきなさいよ!」と言って、彼女を仕事に送り出した仕事開始初日が4月6日。

 どうやら、仕事はリモートワークではなく、毎日、通勤しなければならない代わりに、ワクチン接種が受けられることになったといって娘は帰ってきました。

 ワクチン接種は、彼女が働いている病院では行ってはおらず、別の病院に接種に行かなければならないとのことでしたが、娘も思いがけずにワクチン接種を受けられることになったのです。

 すでに職場の周囲の人は、全員、ワクチン接種済みで、彼女は、それから数回、予約を入れるために仕事の合間をぬって、電話をしていましたが、電話がなかなか繋がらなかったり、繋がっても、ワクチンがないと言われたり・・予約が取れたのは、電話を始めて一週間後のことでした。

 そして、先週末に彼女は、1回目のワクチン接種をしてきたのです。

 彼女が受けたのは、彼女の年齢(アストラゼネカは、若年者には、現在のところリスクがあるということで避けられています)から、ファイザー社のワクチンでした。

 病院の中のワクチン接種のスペースは、完全予約制ということで、全てスムーズに流れができていて、病院到着後、数分後に2分ほどの問診の後、ワクチン接種の部屋に入るとワクチン接種までにかかった時間は、1分以内、あっという間にワクチン接種は終わり、「15分ほど待合室で様子を見て、その後はすぐに帰って結構です」とのことで、帰りに用意されたワクチンの証明書をもらって、その場で、2回目の接種の予約を取ることができました。

 なんと、ファイザー社のワクチンは、1回目と2回目の接種の期間が短いということで、彼女の2回目のワクチン接種は、5月末になりました。20日以上前にワクチンを受けた私の2回目のワクチン接種は、6月4日以降となっていて、結果的には、彼女の方が2回目のワクチン接種が早く済んでしまうことになりました。

 しかし、どちらにしても、少しでも感染のリスクが減ったことは、現在のフランスの状況にいる限り、大変、ありがたいことです。

 当日、午前中にワクチン接種を受けた娘は、夜になって、「腕が痛くなってきた・・腕が上がらない・・」などと、痛み止めを飲んでいましたが、それも翌日には、痛みも薄れはじめ、「もう大丈夫!」と言っています。

 パンデミックの影響で、日本への留学が2度もキャンセルになり、結局、日本へは行けなくなってしまった娘ですが、スタージュ先を変えたことで、思わぬ早めのワクチン接種を受けられることができ、不幸中の幸いでした。


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2021年4月24日土曜日

パリ近郊・平和で静かな街 ランブイエの警察を襲ったテロ事件 大胆にも警察に乗り込む手口


Des policiers sécurisent le périmètre après l'attaque au couteau qui a coûté la vie à une fonctionnaire de police, le 23 avril 2021, à Rambouillet (Yvelines). (BERTRAND GUAY / AFP)


 パリ近郊(イル・ド・フランス イヴリーヌ県)の平和で静かな街 ランブイエの警察署で23日の午後2時20分頃、ナイフを持った男が警察署の入り口付近で、警察署勤務の女性の喉をナイフで掻き切るという衝撃的な事件が起こりました。

 犯人は、36歳のチュニジア国籍の男で、2009年に不法に入国して以来、不安定な状態でフランスに滞在し続けていましたが、2019年に例外的な従業員居住許可、2020年12月に居住許可が発給され、2021年末までの滞在許可証を持っていたという、警察筋からはノーマークの男で、昼休みから戻った被害者女性の喉元をナイフで2度刺して殺害、犯行時にこの男が「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたという周囲の証言から、検察は、この犯行をイスラム教関連テロ攻撃と判断して、捜査を開始しています。

 被害者の49歳の女性は、警察署勤務でありながら、警察官ではなく、内務省の行政官であったため、制服も着用しておらず、攻撃を受けた時に彼女自身は、何の武器も持っていない状態でした。

 彼女はランブイエ警察署で28年間、働いていた13歳と18歳の子供を持つ母親で、刺されてすぐに心肺停止状態に陥り、駆けつけた救急隊員の必死の蘇生術も虚しく、その場で息を引き取りました。

 犯人は、すぐに周囲にいた警察官に撃たれて死亡しています。

 警察署で起こった事件だけに、警察の対応も迅速で、その数時間後には、犯人の自宅が家宅捜索され、側近の人物3人が警察に拘留されました。

 迅速な対応は、警察だけにとどまらず、すぐにカステックス首相、ジェラルド・ダルマナン内務相が現場に駆けつけ、「この惨劇の犠牲者の遺族や同僚に対する追悼の意と、テロには、決して屈しない」というコメントを発表しています。

 犯人は、すでに射殺されていますが、2015年12月からのランブイエの住民で、周囲の目撃者から、彼は警察署付近で一定時間、待機して、被害者となった女性が車を降りてきたところで、狙いを定めて被害者を襲撃したと言われています。

 とはいえ、彼が個人的な恨みでこのような犯行に及んだとは考え難く、ある程度、攻撃しやすい相手に狙いを定めて、公権力を保持している人に対するテロと見られています。

 彼の自宅の捜索とともに、彼がランブイエに転居する前に居住していたヴァル・ド・マルヌ地域の、彼が頻繁に出入りしていた家も家宅捜索を受けています。

 この衝撃的なテロに対する悲しみと怒りが静かで平和だったはずの街を震撼とさせています。イスラム教徒によるテロに共通する刃物で首をかき切る、顔を傷つけるという犯行も残忍で衝撃的です。

 このようなテロでやるせないのは、国家に対する怒りが、居合わせた個人の命を奪うことで、健康で善良な一市民が、朝、いつもどおりに出勤したまま、もう二度と帰ってこない人になってしまうことです。

 今なら、家を出る時には、感染に気をつけて、彼女もマスクをつけて、出かけたはずです。

 私は、イスラム教徒のテロの意味を全く理解できませんが、そんなにフランス国家に恨みを持ちつつ、なぜ、外国からわざわざフランスに移住してきて生活しようとするのか? 宗教というものが恐ろしく感じられます。

 信仰を持つ、信じるもの(神)があるということ、信じることができるということは、無宗教の私にとっては、心の平安をもたらすものであって羨ましいと思うこともあるのですが、心の平安どころか、宗教がゆえに国家に対して恨みを抱き、人の命を奪ってしまうような行為にまで至ってしまうということには、救いがありません。

 今回も、犯人は、その場で射殺されてしまいましたが、その場で早急に、さらなる犠牲者を出さないためにという意は理解できますが、この犯行の背景にあるものの追求のために、なんとか、犯人を殺さずに話をさせ、事件の奥底にあるものを追求する機会を無くしてしまうことは残念でなりません。

 そして、この種のイスラム教徒によるテロが起こるたびに、善良なイスラム教徒(私の周りにもいます)がどれだけ心を痛めているかということも同時に思うのです。

 コロナウィルスの感染悪化で、テロもなりを潜めていた感があったフランスですが、学校再開、段階的なロックダウン解除の発表の翌日に、さっそく、このような惨劇が起こってしまうのですから、どちらにしても、フランスに穏やかな日が戻ってくるには、まだまだ長い道のりが待ち構えているようです。


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2021年4月23日金曜日

フランスは徐々にロックダウンを解除 来週から小学校再開 あまり感染減少してないのに・・

   


 3回目のロックダウンで開始された学校閉鎖が発表された時点での一応の期限を迎えようとしていることから、フランスでは、次のステップへの移行について、カステックス首相が、オリヴィエ・ヴェラン保健相、教育相、内務相を伴って会見を行いました。

 ここのところ、ごくごく僅かではありますが、フランスの感染状況は、若干、減少しているかもしれないといった状況です。しかし、昨年11月の2度目のロックダウンの時のような顕著な減少傾向は見られず、未だに1日の新規感染者数は、3万人超えの状態で、集中治療室の患者数は、6,000人に迫る勢いです。

 にも関わらず、カステックス首相は、「おそらくピークは過ぎた」と発表し、本来ならば、到底、規制を緩める段階には、達していないところですが、当初の予定どおり、来週から小学校は学校を再開する決定を下しました。

 もとより、社会的、教育的、心理的な見地からも、学校閉鎖は、できる限り避けたい方針のフランス政府は、学校の再開は、さらなる衛生管理を強化して、まず小学校以下の小さい子供から開始されます。

 翌週には、中学校、高校が生徒の半分ずつを一週間おきにオンライン授業と登校を交互に交代する形で再開されます。

 学校再開に際しては、オートテスト(簡易テスト)を一週間に40万回、5月中旬には、60万回まで拡大して使用することで早い時点での感染拡大防止策をとり、学校閉鎖前に取られていた体制(クラスに一人でも感染者がいたら、学級閉鎖、クラス全員7日間の隔離)に戻ります。

 5月3日からは、10㎞以上の外出制限も撤廃される予定です。

 大した感染減少が見られないままに、規制を緩和していくのは、誰もが経済的にも心理的にも、もう厳しい状況が耐えられない状況であるとともに、ワクチン接種の拡大の見込みが含まれています。

 5月中旬には、国民が待ち望んでいるレストラン(テラス席のみ)の再開を行う予定であるとしたものの、レストランは、感染のリスクが高いこともあり、慎重に時期は見極めて地域的(地域によって感染状況には、かなりバラつきがあります)、段階的に行うという発表のみで、具体的な日付は発表されませんでした。

 どちらにしてもパリ(イル・ド・フランス)は、フランス国内でも最悪の状況で、レストランの再開は、おそらく他の地域に比べて、遅くなるに違いありません。

 テラス席のみのオープンは、フランス人にとっては、全く問題のないことで、もともとレストランの室内よりもテラス席が好きな人々、昨年の1回目のロックダウン解除後のように、道路を拡張してのテラス席が用意されて、大勢の人で賑わうことでしょう。

 1年以上にわたる、このパンデミックで確認されたことは、フランス人には、どんな規制も規則もあってなきの如く、ワクチン接種の拡大以外は、フランスが救われる道はないということです。

 他のヨーロッパの国よりもなかなか進んではいないとはいえ、それでもフランスなりに頑張ってワクチン接種を進めている状態で、高齢者施設の住人に関しては、90%以上がワクチン接種が済み、それに続く高齢者にも急ピッチでワクチン接種が進んでいます。

 しかし、5月半ばか、6月にレストランやカフェが再開されたとしても、そこに押し寄せる大半は、まだワクチン接種を受けることができていない若年層です。

 ワクチン接種が済んでいる高齢者の感染が劇的に減少していることから、ワクチンの有効性は、明らかですが、ロックダウンが解除されて一番、動き回る世代には、ロックダウン解除のタイミングにワクチン接種はまだ、回って来ていないところが非常に心配されるところです。

 若年層は、重症化しないという当初の見解も、最近のイギリスを始めとする変異種には、該当せずに、現在、集中治療室にいる患者は、どんどん低年齢化しているのが実態です。

 とはいえ、この段階でロックダウンの規制を緩和し始めるということは、もう政府は国民をコントロールすることは不可能、なんとか、これ以上、医療崩壊状態が悪化しなければ、あとは、ワクチン接種に力を入れる以外には、手段がないというところが、正直なところだと思います。

 しかし、ゆるゆるとはいえ、現在のロックダウンの段階よりも、ロックダウンが解除され、学校が再開し、レストランのテラスがオープンした時に、再び、さらに大きな危険が待っているような気がしてなりません。

 現在、フランス国内に蔓延しているウィルスの大部分はもはや、そのほとんどがイギリス変異種に切り替わっており、イギリス変異種は、当初からの予想どおり、その感染力のスピードや重症化、長期化の威力が以前のウィルスとは比べものにないほど強力なことは、今回のロックダウンで、感染が以前のようにはすぐには、減少していかないことからも明らかです。

 しかし、ワクチンがある以上、ひたすら、ワクチン接種の拡大を待っていれば、お先真っ暗という状態ではありません。まだもう少し時間はかかるとは思いますが、ワクチンさえ拡大していけば、学校だって、レストランだって、感染の心配をしないで、行けるようになるのです。

 マクロン大統領は、今回の会見には登場せずに、ひたすら、「ワクチン!ワクチン!ワクチン!」とツイッターでも叫び続けていますが、現在の状況を見る限り、ワクチン接種の1日も早い拡大が鍵となっているのが、現実です。

 ワクチン接種が進むまでの間をなんとか乗り切れることを祈ってやみません。  


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2021年4月22日木曜日

フランスのスーパーマーケットからレシートが消える

 


 フランスのスーパーマーケットのエコ化が進んでいます。フランス大手スーパーマーケットチェーン・カーフールは、環境問題への取り組みとして、2年以内に同社、スーパーマーケットの買い物の際の印刷されたレシートを自動的に提供することを廃止することを発表しました。

 環境問題に関しては、スーパーマーケットでは、このところ、プラスチックの袋が廃止されたり、賞味期限の迫った商品を廃棄しないように、色違いのラベルをつけて大幅に値下げして売り切るとか、なかなかアクセルがかかっています。

 フランスでは、年間300億枚のレシートが印刷されています。これは、250万本の木が伐採されたことを表していると言います。

 顧客のレシートの長さは一回の買い物で、平均して約20cm、毎週一回買い物をするとして、一人当たり年間、10mの紙を使用しています。

 現在、自動的に渡されているレシートは、すぐに捨てられ、保管している人は稀であることから、レシートは、2年以内にデジタル化され、印刷しない形でのレシートを受け取ることになります。

 新しい形のレシートを表示するためには、アカウントを作成し、ポイントカードを持って、店舗の顧客ファイルに登録することが求められます。これにより得られたデータは、消費者個々にに特化した情報やささやかな贈り物をしたり、的を絞ったプロモーションを行ったりするために使用されます。

 すでに「システムU」というスーパーマーケットチェーンのパイロットストアでは、このレシートなしのシステムを導入しています。

 たしかに、フランスの銀行には、通帳が無いように、必要ないと言えば、レシートは必要のないものかもしれません。

 これは環境問題を考える上で小さな積み重ねの無駄を排除する意味では良いことではありますが、なんといっても、フランスのスーパーマーケットのレジは、間違い・ミスが多く、品物の数や金額が表示価格と違っていたりする場合が多く、不安も残ります。

 フランスでは、「とりあえず、信用しない」ことを信条としている私は、余程、買い物が多い時を除いては、全てセルフレジを使用しています。

 その場で、画面上で自分でしっかり確認ができるからです。

 それでさえ、間違いは非常に多く、プロモーションの商品だったりして、画面上で値段が間違っている場合などは、お店の人に言っても、最後の段階で割引されて計算されるからなどと言われ、確かに、最後の合計の段階で割引されていることもあるのですが、そうではない場合も多く、その際は、一度、支払ってから、受付にレシートと商品を持って返金してもらわなければなりません。

 そんな、みみっちいこともバカらしいとも思い、実際、時間がないときは、もういいや・・となるのですが、安くなっているから買おうと思ったのに、なんだか騙された嫌な気分になるのです。

 そして、また、返金は、慣れているせいもあるのか、やけに潔く、あっさり、返金してくれるのですが、その間、謝罪の言葉は、一言だってありません。日本だったら、ありえないことだと思いますが、もうそんなもんだと思っているので、腹を立てる気にもなりません。

 今のレジは、商品の値段を数字で打つわけではなく、全てバーコードで読み込むので、バーコードの商品の価格の設定の時点でのミスなのでしょうが、実際にシステム自体は、悪くないのに、現場でそれを使う人のレベルが追いつかないのがフランスらしいところです。

 今回のレシート排除のシステムも実際、悪くないアイディアとは、思うのですが、実際のところは、結局は、それを完全に使いこなすようになるまでには、時間がかかるであろうとともに、現場の人がレシートなしでも信頼に耐えうる仕事をしてくれなければなりません。

 こんなところにもフランスの格差社会?の一端が見えるような気もします。すごく優秀な人がいる一方で、新しいシステムを作っても、現場がそのレベルに見合わず、思うように回らない。せっかくの優れたテクノロジーが開発されても、それが、実際にはその力を発揮できないのです。

 TGVがいくら早く走れるように作られていても、常に時間遅れ、トラブルに見舞われて、あまりその速さが実感できないのと一緒です。

 いずれにしても、実際は、レシートなしになった場合は、その場で、自分の携帯で、チェックすることになるのでしょうが、ますます携帯なしには、生きていけなくなる時代になることも、同時にまた再確認させられたニュースでした。


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2021年4月21日水曜日

パンの国フランス・パリで大成功した日本のパン屋さん・ブーランジェリー AKI(アキ) Boulangerie AKI

 


 フランスは、言わずと知れたパンの国。「パン」という言葉の語源は、ポルトガル語という説が有名なようですが、パンは、フランス語でも「パン(pain)」です。

 フランス人にとって、パンは主食であり、その中でも一番、ポピュラーなのは、バゲットと呼ばれる、日本で言うフランスパンです。

 以前、私がイギリスに留学していた時に、友人から、「イギリス人は、毎日イギリスパンを食べているの?」(もう20年以上前のことです)と言う手紙をもらって、苦笑したことがありましたが、イギリスには、イギリスパンはないし、フランスには、バゲットはあっても、フランスパンという言葉はありません。

 フランスでは、圧倒的にバゲットが身近な存在で、レストランに行けば、パンは、たいてい水のように出されるもので、追加を頼めば、いくらでも出てきます。(とはいえ、そんなに追加を頼んでいる人もあまり、見かけませんが・・)

 とにかくパンが大好きで、以前、主人の友人で、「日本食レストランはあまり好きじゃないんだ・・」という人がいて、「どうして?」と聞いたら、「日本食レストランでは、パンが出てこないから・・」と言われて、苦笑してしまいました。

 そのパン好きの彼は、ピザを食べても、パンを食べるというパン好きで有名な人でした。

 フランスでのパンは、いわゆるバゲットやパン・ド・カンパーニュと呼ばれるハード系のパンがフランスでは「パン」と呼ばれるカテゴリーで、クロワッサンやパン・オ・ショコラやショッソン・オ・ポム(甘く煮たりんごがパイ生地に包まれて焼かれたもの)などは、ヴィエノワズリーと言って、別に分類されます。

 とはいえ、どちらもブーランジェリーと呼ばれるパン屋さんで売っているのですが、どこのブーランジェリーも同じようなラインナップで、慣れてくるうちに、もう少しバラエティがあっても・・などとも思ったりもするものです。

 そんな中、あのパン屋さんができて、もう10年近く経ったでしょうか? 

 最初、ラーメン屋さんや日本食レストランが多いオペラ座界隈のサンタンヌ通りに日本のパン屋さんができると聞いた時には、「へぇ〜〜?」と思ったものでした。

 今では、大成功をおさめた「ブーランジェリーAKI」ができる前のお店は、フランス人経営のちょっと寂れた感じのカフェだったか、パン屋さんだったか?今では、どんなお店だったのかがあまり記憶もないくらいに影の薄い存在の店舗でした。

 日本人が多い界隈でもあり、日本のパン、いわゆる日本の食パンやカレーパン、メロンパン、あんぱんなどのいわゆる菓子パン、惣菜パンなどなど、日本ならどこでもあるけど、実はフランスにはないパンを売るパン屋さんは、大成功をおさめています。

 1号店は、狭い店内にたくさんの売り子さんがカウンターに立ち、次から次へとお客さんの注文を捌いていく様子は、日本のような手際の良さです。

 パンに加えて、フランスには、ありそうでない日本でいうところのショートケーキやロールケーキ、また抹茶を使ったケーキなども置いています。



    ごまメロンパンに抹茶クリーム&生クリームメロンパン、さくらメロンパン


 そのうち、このお店は、おにぎりや日本のお弁当までを扱うようになり、みるみる大繁盛店に成長しました。



 日本円に換算すると明太子のおにぎり1個3.8ユーロ(約500円)とぶっ飛びだが、外食の高いパリでは、これでも充分、売れるのです 


 中でも、我が家で気に入っているのは、いわゆる日本の食パン(Pain de Mie Japonais)で、パンの暑さも6枚切、8枚切、サンドイッチ用と細かい配慮。

 フランスにもパン・ドゥ・ミ(Pain de Mie)と呼ばれる食パンに近いものはあるのですが、きめの細かさやふわふわして、トーストにした時のサクッとした感じがやっぱり違い、買い置きできる時には、まとめて買って、冷凍庫に保存してあるほどです。

 使っている小麦粉が違うのか? 単なる慣れなのかはわかりませんが、うちの娘は、日本に行って、美味しいと言われているパン屋さんの食パンを食べても、「AKIのパンの方が美味しい」などと言います。

 たしかに物珍しいだけで、これほど人気になるはずもなく、ちゃんと美味しいのです。しかし、お店の人気上昇とともにお値段も上昇中です。

 しかし、多分に保守的で、パンの王道を行くフランスで、この日本のパン屋さんがどの程度、ウケるのか?と思いきや、みるみるうちにAKIは大人気店に成長し、昼時などは、長蛇の列、土曜日などに行くと、もう食パンは売り切れで買えないと言う人気ぶりです。

 この食パンは意外にもフランス人の中でも人気になり、この日本の食パンを置く店がマレ地区などにも急増しています。フランス人が日本の食パンを真似して作っているというのも、なかなか奇妙な現象です。

 先日、久しぶりにこの辺りに行く用事があり、それなら、AKIの食パンが買いたい!とサンタンヌ通りに立ち寄ったら、ビックリ!同じ通り沿いにAKIの店舗が増えたこと!AKIカフェ、レストランAKI、Mochi Mochi AKI(お餅を使った商品を扱っている)などなど、どれだけ、AKIなんだ??と思うほど・・残念ながら、現在は、カフェやレストランは営業できずにテイクアウトだけの営業でしたが、ロックダウンが明けて、いつもの日常に戻ったら、AKIは、さらに拡大していくことでしょう。

 しかし、また意外なことにこのAKIのオーナーさんは、日本人ではないという話で、AKIという名前の店舗だけでなく、近辺のラーメン屋さんなど多くの店舗を持つ大のやり手だそうです。  

焼きたてのバゲットとエシレバター たしかにこれも美味しい

 たしかにフランスのパンは美味しいし、一番、簡単に食べられて、一番美味しいフランスのファストフードは、バゲットにエシレバターなどを塗って(というより挟んで)食べるのが一番!と思ったりもするのですが、たまには、食べたい日本のパン・・そんな日本のパンが(しかもかなりクォリティも高い)食べられるようになったことは、嬉しいことに違いありません。


パリの日本のパン屋さん Aki


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2021年4月20日火曜日

現在の日本への入国時の厳しい隔離体制と東京オリンピック開催

     


  

 現在、外国から日本へ入国するためには、大変、厳しい規制が敷かれています。

 入国前72時間以内のコロナウィルス検査証明書の提示、入国時の再検査、3日間の政府指定の隔離施設での隔離、それに加えて、さらに11日間の自主隔離、(合計2週間の隔離状態)とその期間の徹底した健康チェックと入国者の追跡と、この隔離を含む衛生管理に従う旨の誓約書の提示が求められています。

 誓約書の最後には、「また、誓約に違反した場合、関係当局により氏名(外国人の場合は、氏名及び国籍)や感染拡大の防止に資する情報が公表され得るとともに、外国人の場合は、出入国管理及び難民認定法の規定に基づく在留資格取消手続及び退去強制手続等の対象となり得ることを理解し、承諾します。」と、非常に厳しい文言が記されています。

 つまり、日本到着後も2週間は、特別に警戒される状態に置かれ、公共交通機関を利用することもできず、日程的にも、本来の日本での予定プラス2週間の長期間の日程を割かなければないわけで、まあ、現在のところは、余程のことがない限り、日本へ行くということは、かなりハードルが高く躊躇われる状況です。

 しかし、世界的な現在のパンデミック、感染拡大の状況を考えれば、このような厳しい措置をきっちりと取っている日本は、やっぱり凄いな・・フランスも、日本のこの入国時の制限を少しは、参考にしてくれないか?と、私は思っています。

 地続きでいくつもの国境があり、日々、国境を越えて通勤している人までいるヨーロッパでは、入国管理も難しいのはわかりますが、せめて、空路からの入国だけでも、もう少し、どうにかならないものかと思うのです。

 しかし、この厳しい入国制限を続けている日本では、オリンピック開催の意向は、崩していないことに、どうにもチグハグな感じを受けるのです。

 オリンピック開催予定まで100日を切ったという現在、海外からの観客はシャットアウトするとのことではありますが、それでも実際にオリンピック開催となれば、各国からの選手団、マスコミだけでも、相当の人数が外国から日本に入国します。

 この全てのオリンピック関係者に現在のような入国後の隔離制限を行うことも大変なことだと思いますし、全ての外国人がこの隔離状態の規制に従順に従うとも思えず、もともと衛生観念が日本人と全く違うレベルの外国人が日本に入国することを考えると、オリンピック後の日本の状況がとても心配でなりません。

 海外からのオリンピック関係者からしたら、オリンピック開催期間をクリアすれば良いことかもしれませんが、これで、感染が蔓延した場合のオリンピック後の日本は、悲惨な状況に陥ります。

 ましてや、もう現在のところ、感染が終息させる頼みの綱は、ワクチンしかないような状況が世界中で見えてきているというのに、日本は、ワクチン接種があまり進んでいないようです。

 むしろ、現在、日本よりも危険な状況にいるアメリカやヨーロッパの方がワクチンに関しては、進んでいるくらいですが、(あまりの感染の酷さに必要に迫られていた)、それでさえも、充分なワクチン接種が浸透しているわけではなく、どの国も高齢者、医療従事者を優先にしており、むしろ、オリンピックに参加できるような、若くて健康な人に対してのワクチン接種は、一番後回しになるはずであり、オリンピック選手に優先してワクチン接種を行うとしてはいないのです。

 しかし、100歩譲って、オリンピック選手に関しては、人一倍、健康管理に気を使われている人々であるとは思いますが、周囲のマスコミなどは、ごくごく一般的な外国人です。

 ましてや日本のような衛生習慣のない人々が日本国内を往来するのですから、この人たちを管理しきれるのかは、大いに疑問です。

 少なくともフランス人は、罰則のない規則は、規則だと思っていないところがあります。

 そして、何より、外国人の衛生習慣を舐めてはいけません。コロナ前までは、ロクに手を洗う習慣もなく、地べたに平気で座り込み、一度使ったティッシュを再びポケットにしまいこんで、再び、そのティッシュを使うような人々なのです。

 現在、日本が日本人でさえ、一時帰国を躊躇うような厳しい制限を敷きつつも、一方では、オリンピックは開催するということは、まことにチグハグな印象です。

 そして、オリンピックは、ワクチン接種があまり進んでいない日本国民を危険な状況に追い込む可能性があるということです。

 どうしてもオリンピックを開催するのであれば、オリンピック開催期間に入国する外国人への規制をかなり厳しく、しかも具体的に示すことが必要なのではないかと思っています。


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2021年4月19日月曜日

母親による8歳の少女の誘拐事件


Le procureur de la République d'Epinal Nicolas Heitz tient un portrait de Mia, une fillette de 8 ans enlevée  dans les Vosges, lors d'une conférence de presse le 14 avril 2021 à Epinal
母親に誘拐された少女 どこか小さい頃の娘に似ているのでドッキリ・・

   


 13日(火)フランス北東部のヴォージュで8歳の少女が3人の男に連れ去られる誘拐事件が発生したというニュースがフランス中を駆け巡りました。また、恐ろしい事件が起こってしまった・・と思っていましたが、報道ではすぐに、誘拐された少女の写真とともに、彼女との単独での面会を禁止されているという母親の写真を併せて報道していましたので、恐らくこの誘拐は、その少女の母親であると見られていることは、わかっていました。

 数日後には、この誘拐を手伝ったとされる5人の男性がイル・ド・フランスで逮捕され、すぐに事件は解決するものと思われていましたが、事件発生後5日が経過して、ようやく、その母娘がスイスで見つかりました。

 少女は健康な状態で、保護され、母親は逮捕されました。

 この母親は、子供を学校に行かせないように仕向けるなどの問題を指摘され、ASE(児童福祉)から子供を養育する権利を剥奪され、子供は、祖母に育てられていました。この児童福祉の措置を不満に思っていた母親が子供を取り戻そうと、今回の誘拐を計画、実行したという、ちょっと単なる誘拐事件とは、異なる事件でした。

 この子供の誘拐計画は、母親(28歳)が仲介者を介して募集した5人の男性とともに綿密に練られたもので、このASE(児童福祉)に反抗、抗議するというある種の使命感によって、連帯して集まったグループで行われたもので、先にイル・ド・フランスで逮捕された男の一人は、「私は、これまでの人生で、一番良いことをしたと思っている。」などと話していたことがわかっています。

 この誘拐計画は、彼らの中で、軍事作戦のように「リマ作戦」と名付けられ、犯行には3,000ユーロの資金が用意され、車の手配から、犯行に必要なトランシーバーや携帯電話、変装に使うためのヘアピースなどの細かいものまでもが揃えられ、子供を誘拐して、スイスに逃亡させるシナリオが綿密に練られ、シナリオに沿った職務が分担されていました。

 13日、祖母の家にいた8歳の少女を連れ出した3人の男と、母親と少女を会わせて、スイスに逃亡させた男、国境を渡ったのは、母娘ともに徒歩で渡ったとされていますが、その後、スイスでの逃亡先の手配をする者、スイスのホテルまでの輸送など、誘拐に関わったのは、5人だけではないと見られています。

 この誘拐事件の計画はSNSによって招集されたグループではありますが、「サバイバリスト運動」と呼ばれる活動に賛同している人々で、子供の養育権をASE(児童福祉)から剥奪された母親を助けるという使命感に基づいているだけに、複雑な問題でもあります。

 一方では、これは、国家権力に対する一種のテロ行為であると言う人もいます。

 しかし、この誘拐事件の捜索には、200人以上の憲兵隊が動員された大事件に発展し、子供の母親が子供を取り戻して、そのまま娘と生活することが可能だと考えていたのかと思うと疑問が残ります。

 この母親が娘の養育権を剥奪された細かい事情や本当のところは不明なのですが、母親を失い、祖母に育てられ、そして、その母親により誘拐されるという体験は、8歳の子供を深く傷つけてしまったに違いありません。

 この少女の父親が、この母親について証言したりしているので、父親がいないというわけでもないにも関わらず、母親と引き離されたこの少女を育てているのが祖母であるということからも、まだ8年しか生きていない少女の境遇の複雑さが感じられます。

 以前、娘の学校の送り迎えの際に、娘の学校はとても厳しくて、迎えに行く人をあらかじめ、学校側に届け出をしなければならなくて、「たとえ、親であっても、送り迎えと指定された人でなければ、子供を渡すことはできない」と言われており、「親なのにダメなの?」と驚いたことがありました。

 フランスは、離婚して、夫婦が別居していることも多く、親権をめぐって、「送り迎えの際に子供を誘拐」なる事件も起こるため・・と説明されていて、今回のケースは、また別ではありますが、そんな話をこの事件を通じて、思い出したのでした。

 また、知り合いの日本人の男性が、(妻は、フランス人)妻の病気を理由にASE(児童福祉)から目をつけられて、子供を児童福祉機関に取りあげられそうになり、(彼自身は、育児も積極的に行う極めてまともな人)あまりに執拗な彼らの攻撃に、弁護士に相談し、挙句の果てに治外法権である日本へ子供を連れて逃げ帰ったという話を聞いたりしていたので、この絶体的な権力を持ったASEという機関が、必ずしも正当に機動している場合ばかりではない実例を身近にしてしまったために、懐疑的な気持ちも私の中にはあるのです。

 いずれにしても、この渦中にいる8歳の少女がどれだけ辛い想いをして、傷ついているかと思うと、やるせない思いになります。


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2021年4月18日日曜日

コロナウィルスによる死亡者10万人突破と5月中旬にテラス・美術館再開を模索するフランス

 


 

 久しくご無沙汰していた日本にいらっしゃる元上司の方から、メッセージを頂きました。

 メッセージには、「フランスは、コロナウィルスによる死亡者数が10万人に達し、世界第4位と日本で報道されていますが、大変、心配しております。」とありました。

 このメッセージのとおり、フランスは、4月15日の時点で、とうとう新型コロナウィルスによる死亡者数が10万人を突破しています。世界第4位というのは、どういう換算の仕方かは、わかりませんが、数字だけを見れば、アメリカ、ブラジル、インド、イギリス、イタリア、ロシアに続いています。

 死亡者数が9万人を突破したのが3月12日ですから、約1ヶ月の間に1万人が亡くなっていることになります。大変な数字です。家族の一人が亡くなったとしても、大変なことなのに、それが10万人とは・・この数字にどうにも麻痺してきています。

 総感染者数で弾き出されている世界第4位という数字なのでしょうが、アメリカやインド、ブラジルなどは、人口も多いので、そのあたりを総合的に換算すると世界第4位くらいになるのかもしれません。

 いずれにしても、酷い状況であることに変わりはなく、ヨーロッパの中では、現在、ダントツの状況です。 

 フランスは、学校閉鎖等の規制を加えた3回目のロックダウンを開始してから、約2週間が経過し、これまで、かなりバラつきもあったので、定かではありませんが、この第3波では、一時は、1日の感染者数が6万人を超えた日もあったりしたのですが、ここ数日、38,045人、36,442人、35,861人と、もしかしたら、若干、感染者が減少し始めたかもしれない状況ではあります。

 しかし、集中治療室の占拠率は依然として、イル・ド・フランス155%超え、フランス全体でも116%超えと悲惨な状態は全く改善されていません。

 しかし、こんな最中に3回目のロックダウン(学校閉鎖)を発表した際にマクロン大統領が、同時に5月中旬には、文化施設やレストランのテラス席などを段階的に再開していくと発表していたことから、それが近づくに連れて、5月中旬の現在は、閉ざされている様々な施設の再開について、騒がしく語られるようになってきました。

 実際に近隣のヨーロッパ諸国、イギリスやイタリアなどが少しずつ、日常を取り戻し始めている中、指を加えて眺めているだけのフランスは政府も焦りを感じていることが伝わってきます。

 しかし、イギリスは、最悪の状態だった昨年末から1月の段階からのロックダウンを経て、また、飛躍的なワクチン接種の進め方で、劇的な改善に成功し、1日の新規感染者数も2,000人台にまで減少しています。

 フランスは、ワクチン接種も日曜、祝日もなしに毎日、続けるという政府の意気込みをよそに思うようには、なかなか進んでおらず、現在までにワクチン接種を1回でも受けた人は、全人口の18.38%にしか、及んでいません。

 5月半ばと言えば、5月に入って、恐らく、まず学校が再開して、ちょうど2週間後、大体、ロックダウンしても、ロックダウンを解除しても、その影響が現れるのは、2週間後のことで、再び、学校を再開した場合の影響が心配されます。

 とはいえ、フランスの学校は、長くても6月末までで、あと一ヶ月ほどで、今度は夏休みのバカンスに入りますから、このタイミングで学校を再開できないのは、かなりのダメージになります。だからと言って、バカンスの時期を先延ばしにして、学校の授業の遅れを取り戻すなどということは、フランスではあり得ないことです。

 文化施設の中でも、マスクをしたままで、しかも、静かにただ、眺めて歩く美術館などは、問題が少ないと思われますが、問題は、テラス席とはいえ、レストランの営業です。

 日本のような黙食などは、あり得ないフランスでは、これまでの鬱憤の蓄積もあり、せめてアルコールは禁止くらいにしないと、大変なことになりかねません。

 とはいえ、全ての鍵を握るのは、ワクチン接種です。ワクチン接種が進んで行けば、現在、高齢者に対しては、かなりワクチン接種が進んで、劇的に高齢者の感染が減少したことを鑑みれば、有効性はかなり高く、日常を取り戻せると思われます。

 ぐずぐずしていると、また新しい驚異的な変異種が登場して、(実際に、イギリス変異種に続いて、ブラジル変異種の驚異が迫り、フランスもブラジルからの入国制限を開始しています)、ワクチンが有効でない変異種が出てきて、(ファイザーのワクチンは3回しなければ、変異種には、有効ではないなどという声も聞こえてきています。)また、逆戻りなんてことにもなりかねません。

 どちらにしても、夏のバカンス時期には、絶対におとなしくしていないフランス人です。夏のバカンスを餌に、もう少し様子を見て、ワクチン接種の拡大を待って、慎重にテラス席の再開を見合わせる方が賢明なような気がしているのです。

 しかし、フランス人ってテラス席、好きなんだよな〜。気候の良い時期には気持ち良いのですがね・・。


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2021年4月17日土曜日

入院患者の3分の1は、退院後4ヶ月以内に病院に戻る 初回感染を乗り切っても安心はできないコロナウィルス

 


「新型コロナウィルスで入院した患者の3分の1が病院に戻る」という研究結果をBMJ(British Medical Journal)が発表し、症状が改善して、退院しても、決して安心できない状態であることを警告しています。

 新型コロナウィルスに感染した場合の複数の合併症が予後に影響を及ぼし、長期的に悲惨な結果をもたらす可能性があるのです。

 新型コロナウィルスは、単純なインフルエンザとは違います。2020年8月に退院した48,000人のコロナウィルス患者に関するイギリスの研究によると、彼らのほぼ3分の1(29.4%)が退院後140日以内に病院に戻り、同期間に10人に1人(12.3%)が死亡しています。

 これまでも新型コロナウィルスは、長期コロナ感染症(COVID LONG)として知られる持続的な症状を引き起こす可能性があることはすでに知られていました。これは、息切れから頭痛、全身倦怠感、うつ病、記憶障害、関節痛に至るまで、一連の症状を特徴としています。

 中国の研究発表によると、患者の75%は感染後6ヶ月でもまだ症状があることがわかっています。

 そして、このウィルスは、肺以外の臓器にも損傷を与えることも示されています。

 2020年の研究によると、「長期コロナ感染症(COVID LONG)」の患者の32%が心臓に、12%が腎臓に、10%が肝臓にダメージを受け、患者の25%が、複数の臓器に影響を受けています。

 この結果は、この感染症は、非常に悪性のものであり、これまで、心臓病、腎臓病、糖尿病はコロナウィルスに感染した場合のリスクの高い危険因子であると考えられてきましたが、コロナウィルスに関する合併症にもなり得るということが判明したとも言えます。

 そのため、本来は、感染患者の臓器の損傷をできるだけ早く検出するために、退院後の患者の状態を定期的に検査してチェックし続ける必要があります。

 2,000人のコロナウィルス患者を対象としたアメリカの研究では、コロナウィルス患者に最も頻繁に起こっているのは、敗血症、肺炎、心不全であり、退院後60日以内の死亡率が9.1%であることを発表しています。これは、同期間のBMJ(British Medical journal)の発表している研究結果(死亡率)とほぼ一致しています。

 そして、この結果は、これまで発表されてきた新型コロナウィルスに関連する死亡率が、実際は、遥かに高い可能性があるということも示しています。

 フランスでは、2020年3月2日から2021年4月1日までの間に414,931人が新型コロナウィルスのために入院しました。(この数字は、初めての入院のみが換算されています)そのうちの3分の1が再入院する可能性があると考えると、138,000人が再び病院に戻ってくることになるわけで、それを考慮すれば、病院の混雑の緩和は当分されそうにないことが推測できます。

 現在のフランスは、集中治療室は、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)は、155.5%、フランス全体でも116.9%の医療崩壊状態が続いています。コロナウィルス以外の病床は、どんどん縮小され、手術も延期されている状態。退院した患者の検査をする余裕などは、到底ありません。

 今後、感染者数が減少してきても、今度は、再入院の波が押し寄せることになります。

 コロナウィルス感染からは、生還しても、その後、コロナウィルスが引き起こした合併症により死亡する場合も多いという事実は、衝撃的です。そして、これらの人々は、コロナウィルスによる死亡としては換算されてはいないのです。

 知れば知るほど、恐ろしくて侮れない新型コロナウィルス。考えてみれば、これまでなかった病気のため、その病気の実態や、治療、ワクチンでさえも、全てまだ、はっきりわかっていない壮大な実験をしているような状態、そして、その実験結果はまだ出ていない状態なのです。


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2021年4月16日金曜日

フランスで日本の餃子(GYOZA)が浸透し始めた!

  

フランスの大手チェーンのスーパーマーケットに堂々と並ぶ冷凍餃子


 フランスでは、ここ数年、大の日本食ブームで、このパンデミックの影響で、レストランの営業がままならないものの、今やお寿司は、フランスのどこのスーパーマーケットでも見られるようになり、日本食といえば、まずは、お寿司を思い浮かべるフランス人が多いと思います。

 パリには、だいたい、どこの街にも日本食レストランがあり、(とはいっても、その多くは中国人経営のなんちゃってお寿司をさらにフランス人の好みにアレンジしたようなものがメニューに並んでいますが・・)、お寿司の他に天ぷらや焼き鳥なども用意されています。

 そんな中国人経営のお寿司屋さんも生き残りが大変なのか?そのメニューのバリエーションが拡大し、当初は、お寿司だけだったお店のメニューには、焼き鳥などに混ざって餃子が登場するようになりました。 

中国人経営の日本食屋さんのメニュー 08が餃子

 以前から、フランス人でもパリにあるラーメン屋さん(昼食時などには、長蛇の列ができています)に行ったことがある人などは、「餃子大好き!」などという話を聞いたことがありましたが、餃子がフランスに広まり始めたのは、この中国人経営のお寿司屋さんが餃子を扱い始めたことによると私は、思っています。

 以前からも、日本食料品店、アジア食料品店などに行けば、味の素(AJINOMOTO)の冷凍餃子などは、買うことができましたが、ここのところ、ごくごく普通のカーフールなどのフランスの大手スーパーマーケットチェーンなどでも、どこへ行っても、冷凍餃子(味の素が多い)が置いてあるようになりました。

 そして、最近、日本食に力を入れているのが、ありありとわかるフランスの冷凍食品メーカー「PICARD(ピカール)」などにも自社製品の餃子が登場しています。(どこか妙な感じのするものではありますが・・)

 それにつれて、他のメーカー(おそらく日本のメーカーではない中国のメーカーなど)の冷凍餃子もスーパーマーケットで見かけられるようになり、先日、いつもはあまり行かない地域に他の用事で出かけた時に、たまには、違うスーパーマーケットも覗いて見ようと足を運んだところ、冷凍餃子のスペースの大きさにビックリしたのです。

 フランスのごくごく一般的なスーパーマーケットにこれほどのスペースを取るほど、冷凍餃子が売れているのだろうか?と・・。

 もともと餃子と言えば、中国発祥の食べ物、しかし、フランスでは、日本の焼き餃子は今や日本食の一つと言える地位を獲得しつつあります。5〜6年前は、中華のテイクアウトのようなお店には、日本の餃子と思われるもの(焼き餃子)が売られていましたが、それは、ラビオリ・シノワという名前でした。

 最近は、同じものが、ラビオリ・ジャポネになっています。

 そして、今やそのラビオリ・ジャポネは、本来のGYOZAという呼び名で浸透しつつあり、フランスのトップ シェフ(シェフが次々と登場して創作料理を披露するフランスの人気料理番組)などを見ていると、GYOZAという言葉は、SUSHIのように、かなりフランス語として、定着しつつあるな・・と感じます。

 フランスで売られている味の素の冷凍餃子などは、さすがにフランスで売るために、普通の餃子の他に「鶏肉餃子」や「野菜餃子」など宗教対応、ベジタリアン対応がされていて、たいていそれらが同時に売られています。

 しかし、この冷凍餃子を不器用なフランス人が上手に焼くことができるのだろうか?と多いに疑問でしたが、フランスのお料理サイト(日本のクックパッドのようなもの)を覗いてみると、「餃子を作った!」という写真がいくつも投稿されていて、「まあまあ、こんなもんかな・・?」と思うものから、「これ、わざわざ投稿する??」と思われるものまで、なかなか面白いです。

これ、わざわざ投稿する??と思った一枚

              

 とはいえ、フランスでの冷凍餃子のお値段は、8個入りで5ユーロ(約650円)程度とちょっと高め、たくさん食べたいと思うと自分で作ることになり・・となると、ニラや餃子の皮などは、やはり、どこでも買えるというものでもなく、我が家はニラをベランダで栽培しています。

 ニラは、一度、しっかり根付いてくれれば、5年くらいは、切っても切っても生えてくるので、ニラが育つと、我が家は餃子。皮を買いにアジア食料品店に行くのも面倒で、皮も自分で作ります。

 とはいえ、少々、高いことを除けば、いつでも餃子が食べられるようになったフランスの餃子勢力拡大とGYOZAの浸透は、在仏日本人としては、嬉しいことです。


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2021年4月15日木曜日

コビット・トラッカー Covid Tracker ワクチン接種の空き状況が確認・予約できるサイトを作ったのは、政府とは無関係の24歳の青年


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 今、コロナウィルス感染拡大が止まらないフランスで、唯一と言っていいほどの希望の星は、ワクチン接種ができるだけ、スムーズに迅速に進んでいくことに違いありません。

 そして、そのワクチン接種の予約がどれだけ取りにくい状態であるかは、私が個人的に聞いただけでも、「相当の人が、いくら電話をしても繋がらない・・」とか、「繋がっても予約が取れない・・」とか、「ワクチンが届かない・・」など、相当数の人がワクチン接種を待っている状態です。

 一方では、ワクチンは保存方法が容易ではなく、しかも、ワクチン自体が1本で10回分の接種分となっているため、キリよくワクチンを使い切ることが難しく、ワクチンを無駄にしないために、思いがけずに、優先順位とされている順番を遥かに飛び越えて、ワクチン接種が受けられたりするという、チグハグな状況が続いています。

 現在のフランスは、もう本当に切羽詰まった感染状況ゆえ、また、ワクチンが予定どおりに届かないという事情もあるため、一回分のワクチンも、無駄にできない状況です。

 そんな状況の中、ここのところ、大注目のワクチン予約の空き状況を確認して、瞬時にワクチンの予約ができるサイト「コビット・トラッカー」が大活躍しています。自分の住んでいる地域を選ぶだけで、瞬時に、今、その地域で予約できるワクチンの数と接種場所、時間が出てきて、すぐに予約をすることができます。

 試しに、私も自分の住んでいる地域を入力してみると、「現在、予約可能な数は、82、最短で5月17日の13時20分に○○のワクチン接種センターで予約ができます。」と情報が出てきて、その隣には、クリックすれば、予約がすぐに取れるようにできています。

 現在の段階で、5月17日とは、かなり先ではありますが、まるで先が見えずに不安な日々を過ごすよりは、少しでも早く、予約が取れることは、大きな安心でもあります。

 そして、このサイトを立ち上げたのは、政府とは無関係の若干24歳のギヨーム・ロジエというコンピューター工学学校に通う青年で、彼は、このサイトのきっかけになった状況を振り返って語っています。

 「昨年3月にイタリアで、感染拡大が認められた時に私たちは、それを遠くから見るだけでした。」そんな状況をもどかしく思った彼は、ジョンズホプキンス大学のデータを使用して、フランスとイタリアの症例数を示すグラフを作成しました。そして、フランスもイタリアと同じ傾向をたどっていましたが、約10日遅れていることに気付きました。 最初は、単に彼の好奇心から、コロナウィルスの感染状況を監視するサイトを立ち上げたのです。

 その後、彼は、そのデータグラフを家族、友人、同僚と共有し始め、周囲の人から、常にそれを更新するように頼まれ、彼の好奇心は、多くの人から期待を寄せられるようになり、彼はいつしか使命感を感じるようになり、ウェブページを作成。 

 そして、すべての予想に反して、数日でそのサイトには約20,000人の訪問者が訪れました。 需要は急激に拡大したため、彼は、実際のサイトを作成し、自分の名前よりも魅力的な名前とロゴを付け、コビット・トラッカー(CovidTracker)が誕生しました。

 そのデータは、フランスのみならず、世界の感染状況が簡単に確認できるようになっており、また、フランスの地域別の情報も得ることができ、現在のワクチン予約が可能なサイトにまで成長したのです。

 彼は、昨年の6月に一旦、感染がおさまりかけた段階で、サイトを閉じようとしましたが、多くのユーザーの要望で、このサイトは続行、さらにこのサイトを利用して、更なる有効性を試み続けた結果が現在のワクチン予約システムの導入です。

 この予約システムのサイト自体は、「Vite Ma Dose」という別のサイトではありますが、個ビット・トラッカーから簡単に飛べるようにできています。

 同様のサイトは、フランス政府でも世界の他の国でも多く作られていますが、現在、フランスでは、ワクチン接種の予約状況を確認し、簡単に予約できるサイトとして、大きく利用されています。

 現在は政府のサイトにさえ、このコビット・トラッカーは掲載されています。

 「感染がおさまらないのは、政府のせいだ!」というフランス人が多い中、政府にばかり頼らずに自らの手で必要なものを作ってしまう若者がいることに、混迷するフランスの現在に明るい光がさすような気持ちになるのでした。



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2021年4月14日水曜日

コロナ禍の娘のパリの国立病院の研究所でのスタージュ(インターンシップ)

 

  

 我が家の娘は、昨年、秋から日本の国立大学の大学院に留学する予定にしていましたが、ドタキャンになり、今年の春に延期したものの、結局、2度目のキャンセル、昨年の秋の段階では、本当に飛行機のチケットも買って、出発の目前でのドタキャンだったために、突然とぽっかりと空いてしまったその期間のフランスでのスタージュ(インターンシップ)を見つけるだけでも大変なことでした。

 2回目のキャンセルは、一度、痛い目に合っているために、煮え切らない返事しか戻って来ない日本の大学に早々にある程度は、見切りをつけ(こちらのグランドエコールと日本の大学の人が間に入っているため、直接、交渉ができないために余計に話が進まない)、また、前回のようなギリギリで違うスタージュを探す羽目にならないように、日本留学と同時進行で、彼女は、自宅から通えるパリでのスタージュも探していました。

 結局、最終的な返事はないまま、パリでのスタージュが決まって、4月から彼女は、パリの国立病院併設の研究所でスタージュを開始しました。このパンデミックの中、彼女は慎重にロックダウンになったとしても、リモートワークが可能な研究所を探し当てていたのですが、彼女が仕事を開始するその日から、パリは、3回目のロックダウンが強化になり、学校も閉鎖される絶妙なタイミング。

 彼女は、図らずも3回目のロックダウンが開始されたその日にパリに戻り、そして、今日から仕事という日にロックダウン強化という節目節目にピッタリ合わさるようになっているのが不思議です。

 学校だけではなく、仕事をしている人もできるだけリモートワークに切り替えてくださいという政府の方針から、「恐らく、リモートワークになるだろうけど、とにかく最初は、行かなくちゃいけないから・・」と出かけていったのですが、結局、彼女の仕事はリモートワークにはなりませんでした。

 仕事場が病院内ではないものの、病院に併設された研究所ということで、感染の危険もあるかも・・と、心配していたのですが、研究所内の人は、全てワクチン接種済み、彼女自身もワクチン接種を受ける権利をもらったのでした。

 ワクチン接種は、彼女が働いている病院ではやっていないため、別の病院にワクチン接種に行くのですが、今のところ、何度、電話を入れても予約が取れない状態で、すぐには、ワクチン接種はできそうもありません。

 しかし、今、フランスで、病院以外で全員がワクチン接種済みという職場もなかなかないことで、その上、年齢から行くと、(20代前半)ワクチン接種は、一番、後回しになりそうな彼女がスタージュのおかげでワクチン接種を受ける目処が立ったことは、思わぬ幸運なことでした。

 家にいても、救急車のサイレンが頻繁に聞こえてくるフランスなので、病院では、さぞかし、サイレンが1日中、鳴り続けていると思いきや、意外にもそうではないとのこと。それもそのはず、その病院には、もう空いている病床がないということなのです。(パリを含むイル・ド・フランスの集中治療室の占拠率は154.9%(4月13日現在))

 それはそれで、恐ろしいことです。

 彼女は、その研究所でその病院の医学部の教授の事務所で、研究の助手(データ管理など)をしています。彼女が進路について、考え始めた頃、彼女が理系の道に進もうと決意し始めた頃から訪れ始めた頃から彼女自身にも現れ始めた理系の人々独特の兆候の集団にどっぷりと浸かり始めた彼女の新しい生活が始まりました。

 ある日、夜7時になっても帰って来ない(夜間外出禁止で19時までに帰宅しなければならない)娘に「どうしたの?心配したよ!」と言ったら、「医者には、夜間外出禁止はないから、遅い時間になって、会議を始めたから・・」と。

 彼女(彼女自身は医者ではないので)が、「夜間外出禁止があるから、時間を考慮してください」と言って、初めて、夜間外出禁止に気が付くという浮世離れぶり、全然、悪気はないのですが、やっぱり、一般人とは、違うんだな・・と思わせられた彼女の新しい職場でした。

 悪気は全くないのに思わぬところで、とてもトンチンカンな理系の人にありがちなエピソードがこれからチョクチョク、聞けるかと思うと、私はちょっと楽しみです。しかし、彼女自身がすでにそのお仲間の一人・・彼女がその彼らの不思議な行動に気が付かない可能性もあります。

 とはいえ、前回のスタージュと違って、彼女の希望に近い職場が見つかって、その上、ワクチンまでできて、よかったな・・と少しホッとしていますが、彼女自身は、もう今年の秋からの次の学校への試験やスタージュ先を探す次から次へとなかなか忙しい娘です。

 しかし、フランス政府のコロナウィルスによる経済被害対策の一環として、加えられたスタージュ等の採用をすると、企業側が税金の控除を受けられるなどの対策のため、スターじゅの求人は、昨年よりも増えているようで、少しは余裕を持って探せる状態になっているようです。

 この時期、進路も色々と計画どおりには、ならなかったり、就職も大変だったりする人も多いと思いますが、諦めずに頑張っていって欲しいと思っています。


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2021年4月13日火曜日

パリ16区で起こった銃撃事件で1名死亡、1名重症の衝撃



 昨日、私が、パリ16区で起こった銃撃事件を最初に知ったのは、日本大使館からの一報でした。「報道によりますと、12日午後1時40分頃、パリ市16区アンリデュナン病院(ミケランジュ通り)の前で、銃撃事件が発生し、1人が死亡、1人が重症とのことです。犯人は、スクーターで逃走中とのことであり、邦人の皆様におかれましては、以上を念頭に外出は十分ご注意下さい」という内容のメールでした。

 このメールが届いたのは、この事件が起こった約2時間後の15時35分で、1日中ニュースを注意して見ているわけではない者にとっては、貴重なお知らせでした。

 パリ16区といえば、東京で言えば、田園調布のような高級住宅街で有名な場所、日頃、治安が決して悪くない場所で、銃撃事件が起こるということは、かなり衝撃的なことです。

 今年の3月にも、パリ16区の高校(Lycée Jean de la fontaine)前で、数十名が関与するグループ間の乱闘から3人が負傷し、1人が刺されるという事件が起こっています。

 この高校が公立高校でありながら、日本語セクションがあり、正課で日本語が学べる高校であることから、その存在を知っていただけに私にとっても、ショックはことさら大きなものでした。

 しかし、今回は、単なる暴力事件ではなく、銃が使われた犯罪で、その恐ろしさは、ひとしおです。

 目撃者の証言によると、犯人の男は、被害者の頭のかなり至近距離で数発の弾丸を発射して、かなり落ち着いた様子で、そのまま何事もなかったように去り、スクーターに乗って逃走したそうです。

 頭を至近距離で撃たれた男性は、死亡、そばにいた病院警備にあたっていた女性は、重症を負っていますが、この死亡した男性とは無関係の女性だそうです。

 この事件が発生した前の病院は私立で、赤十字が運営しており、予防接種センターとして機能している病院の前で起こったことから、ワクチン接種等へのテロ行為であることも疑われていましたが、パリ16区の市長は、この事件は、病院に対する反抗や無差別テロ行為ではないことを発表、被害者がこれまで何度も標的として狙われてきた経緯などから、犯人と見られる男は、1時間以内に以前から警察がマークしていた33歳の男であると特定、即時に指名手配されています。

 パリ検察庁は、これを組織的なプロのグループによる殺人事件、殺人未遂事件として、捜査を開始しています。

   

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 今年に入ってからも、パリでは1月に15区で14歳の少年に対する集団襲撃事件、2月に17区で日本人に対する塩酸襲撃事件」、3月に16区でグループによる乱闘事件など、パリの治安の悪化が叫ばれ続けてきました。

 今回は、再びパリ16区、よりによって16区で銃撃事件まで起こるとは、さらなる治安の悪化の象徴的な出来事である気がしてなりません。

 とはいえ、16区は、富裕層が多いこともあり、かつての日本大使の家族が路上で車に乗っていたところを強盗に襲われたなどという事件もあり、狙いうちされる危険は、少なくない場所でもあるのかもしれません。


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2021年4月12日月曜日

パリの闇営業レストラン、捜査強化を受けて続々、発覚・検挙

 


 先日のパリ・中心部にある「パレ・ビビエンヌ」での超高級レストランの闇営業事件がM6(フランスの民放テレビ局)によるスクープで暴かれて、大騒動になって以来、パリ、イル・ド・フランス地域の闇営業レストランの警戒と捜査が強化され、続々とパリの闇営業レストランが発覚しています。

 この闇営業レストランの捜査には、通常、街をパトロールしている制服に身を包んだ警察官とは別に、UPA(行政警察ユニット)、いわゆる私服警察官も多く動員されています。

 残念なことに、この捜査の強化により、パリ市内及びイル・ド・フランス地域では、続々と闇営業レストランが検挙され始めました。

 中でも、先週末、金曜日の夜には、パリ19区のレストランの闇営業夕食会の最中に地方警備局(DSPAP)の警察官が突入し、110人以上もの顧客が集まっていた夕食会が検挙されました。


 

 警察は、110人以上の顧客に対して罰金を課すとともに、この夕食会の主催者とレストランのオーナーの二人を闇営業と多くの人の命を危険に晒したという理由で逮捕しています。

 また、パリ2区をパトロールしていた警官が、シャッターは閉められているものの、レストラン内に顧客がいることに気付き、レストラン内に突入しようとしたものの、彼らは警察の介入、捜査を拒否し、警察を攻撃し始めたため、警察は、援軍を呼び、大掛かりな警察突入劇に発展し、警察を攻撃した人を含めたレストランのオーナー、主催者5人が逮捕、拘留され、現場の顧客30人に対して罰金が課せられました。

 特に、超高級レストランの闇営業が問題視されたことで、これまで口をつぐんで来た、知ってはいたけれど黙認してきた闇営業レストラン近隣の地域住民からの通報が後を絶たず、このような闇営業レストランが次から次へと(この他にも、パリ12区、13区、18区なども・・)検挙され始めています。

 しかし、このレストランの闇営業問題の突破口を開いた超高級レストランの闇営業に対しての捜査は、この超高級食事会の主催者であるピエールジャン・シャランソン氏は、当初は、「エイプリルフールのジョークだった」とか、「民主主義社会の中、やりたいことをやっているだけ・・」とか、「あれは、企業が会場の下見をするためのもの・・」など、言っていることが、二転三転していたものの、結局は食事会であったことがバレて、警察からの呼び出しに弁護士同伴で応じたものの、「警察の事情聴取は、緩いインタビューを受けているような丁寧なものであった・・」などと、富裕層・特権階級ならではの特別な扱いを警察からも受けたことを吹聴し、今度は、入れ替わり立ち替わり証言者が表れて、「しかし、あれは、私邸、プライベートスペースであり、レストラン営業ではない」という弁明を毎日のように続けています。

 ただでさえ、映像で流された超豪華で、しかも全くソーシャルディスタンスなどのコロナの予防対策は全く無視された、きらびやかな食事会の様子は、一般庶民の大反発を呼び、上流階級への反感も合間って、ヒートアップしています。

 しかし、それが贅沢な食事会であろうと、一般庶民の食事会であろうと、今のフランスのコロナウィルスの感染状況では、とても許されるものではないのです。

 ましてや、現在は、子供の学校まで閉鎖状態。子供が充分な教育を受けられない状況で、大の大人が隠れて行っている夕食会は、許し難いものです。

 ましてや、上層階級の人がお金と権力で、今回のスキャンダルを封じ込めることができてしまえば、それこそ、警察・法治国家の在り方までもが問われる大きなデモや暴動にまで発展してしまう危険もフランスには、あることを忘れてはなりません。

 コロナウィルスは、人を差別せずに全ての人に感染します。警察、国家権力も貧富の差別なく、平等に対処してもらいたいものです。

 内務省によると、「昨年、10月30日から7,345軒のレストランがチェックされ、約300軒のレストランが検挙され、1,000人以上の顧客に罰金が科せられた」とのことです。

 これでは、フランスの感染は、減るわけはないです。


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2021年4月11日日曜日

大寒波によるワイン農家の被害とカーフールのワインフェア

    

   

 4月に入ってから、大寒波に襲われたフランスのブルゴーニュなどのワイン農家は、作物の大部分を失うという大惨事に見舞われています。葡萄の小さなつぼみが全てタバコのように茶色になり、触るとカサカサと音がするような壊滅状態にワイン農家は、必死の対応に追われ、多額の対策費を投じるも、その被害状況は、壊滅的です。

 これまで、30年に一度と言われていたワインの生産地での、この被害が、今年に入ってからだけでも、3回もマイナス5℃以下の気温に見舞われているそうで、政府は、農業災害に対する補償の活性化を求められています。

 フランスのワインといえば、フランスの文化とも言えるフランスの農産物の代表格であるひとつ。国がかりでの支援は、必須です。

 ただでさえ、ここのところ、若者のワイン離れが叫ばれ、ワインの売り上げが低下している中、この新型コロナウィルスによるパンデミックにより、フランスのレストランは昨年の3月以来、まともに営業できた期間の方が短いくらい、レストランの営業停止は、ワインの売り上げに大きく影響します。

 また、人との集まりやアルコールの販売なども時間制限、人数制限がされていることもあり、ますます売り上げ減少に拍車をかけられています。 

  


 そんな中、先週、近所にあるカーフールに買い物に行ったところ、いつもは、年に一度、秋頃に行われるワインフェアを今頃、やっており(ロックダウン中とはいえ、なかなか良く売れていました・・)、そういえば、少し前にワインフェアの招待状と割引券が来ていたことを思い出し、その日は、下見だけして、カタログをチェックして、割引券を持って、後日、出直して、ワインを箱買いしてきました。




 以前は、ザルと言われるほど、お酒が大好きだった私も、最近は、あまり飲むことも減ったのですが、それでも染み付いた酒飲みの習性は、たくさん並べられた酒瓶、酒樽、積み上げてあるワインの木箱などを目にすると、なんだか自分の内側からムクムクと湧き上がってくるものがあり、なんだか一人でウキウキと嬉しくなってしまうのです。


 

 とはいえ、私は、特にワインが大好きというわけではなく、詳しいわけでもないのですが、フランスでは、ワインが圧倒的にコスパがよく、別にコレクションをしているわけでもないのに、毎年、良さそうなワインを買い貯めていたものが、もう相当数あり、最近は、たまにお料理によっては、ワインが飲みたくなったり、友人が家に来て一緒に食事をするときぐらいしかワインは開けないので、あまりストックも減らなくなり、そうそう、もういらないかも・・と思っていたにもかかわらず、このワインフェアのワインの瓶や木箱が積み上げられている様子に思わず興奮して、ついつい買わずにはいられないのです。

 ワインフェアに行くと、熱心なワインファンと思われるおじさま方に混ざって、ワインフェアのために、現地からワインを売りに来ている恰幅の良いおじさまなどに教えて頂きながら、ワインを選ぶのは、なかなか楽しいものなのです。

 最近は、高級なワインではなく、お手頃価格のワインの中から、思わぬ掘り出し物を見つけることが楽しくなり、失敗しても、お料理に使っても惜しくはない程度のワインに照準を合わせています。

 日本に一時帰国した際に日本でワインを飲むことは、まずないので、(せっかくだから、日本に行った時には、日本酒や焼酎などを飲みます)日本でのワインの価格がよくわかりませんが、本当にお手頃価格のものばかり、今年は、26本(3箱プラス2本)買いました。

 私は、個人的には、ボルドーの赤が好きなのですが、娘が白ワインが好きだというので、「そんなに高くなくて、辛口で美味しいもの」と言って、お店のおじさんに紹介していただいたのがこちら↓↓↓です。


     
      4.5 €と 8.5 €(600円〜1,100円程度)とお手頃価格のものです。


 そして、私が今回、買った赤ワインは、2020年パリ農業コンクール、リヨンインターナショナルコンクールで金賞を受賞したというボルドーのワイン、なんと一本 2.64 €(約300円)でした。(箱買い価格)↓↓↓
          
金賞メダルの二つ付いたワイン・・ワインのボトルって美しい・・


 まだ、味見はしていませんが、ワインを飲むには、チーズが欲しい・・今度は、お気に入りのチーズ(コンテ18ヶ月)を買って来よう!と思っている次第です。

 この値段ならば、もしも今ひとつであったとしても、お料理用に使っても全然OK!です。
私は、お料理にも結構、ワインを使います。和食を作る際にも、特に日本酒やみりんなどが手に入りづらく、高いので、白ワイン+お砂糖少々で、代用することが多いです。

 今は、旅行にも行けず、レストランにも行けず、ワインを買うくらいの楽しみしかないので、ワインくらい、箱買いしてもいいよね・・。安いし・・。

 ワインを箱買いするときは、フランスにいてよかった・・と思うひとときなのです。


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2021年4月10日土曜日

イル・ド・フランスの集中治療室の占拠率150%突破 医療崩壊と実世界のギャップ

  


 今週の木曜日は、久しぶりに政府の記者会見もなく、今週のフランスには、コロナウィルス感染対策に関する大きな変化はありませんでした。

 結局のところ、イースターの週末までは、ギリギリ国内の長距離移動も認められていて、フランスにとっての3回目のロックダウンが実質的に始まったのは、今週に入ってからのこと、まだ、その効果を期待するのは、時期尚早であるとしか言いようがありません。

 今回のロックダウンは、学校のバカンス期間に重ねての学校閉鎖(バカンス+リモート授業)と数種類の店舗が営業禁止になったものの、街中に、まるで緊張感はなく、晴天も合間って、すこぶる平和な光景。

 しかし、街中で見える平和な光景とはうらはらに、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の集中治療室の占拠率は、とうとう150.5%にまで達し、フランス全体でも113.8%までに上昇しています。

 医療に関しては、全くの素人の私は、集中治療室が150%超えの状態ということは、どういうことなのか、わかりませんが、恐らく、他の病室の患者を移動させて、器材を揃えて、仮の集中治療室として使っているのだと推察しますが、これでは、コロナウィルスだけでなく、他の病気の人も助かる命が助からなくなっている状態で、これが医療崩壊ということではないかと思っています。

 手術の予定等を組み直しているという話は、聞いていましたが、ここまで集中治療室の占拠状態が膨れ上がれば、そうそう手術の予定をずらせる患者ばかりのはずもなく、加えて緊急を要する患者は、どうなっているのでしょうか?

 長引く、制限下の生活に、こんな深刻な数字にも、国民は鈍感になり、(ある程度は、鈍感でなければ、精神的に参ってしまうのもわからないではありませんが・・)ロックダウンがどんどん、その言葉の重みを失っている気がします。

 つい先日、パリの超高級レストランの闇営業のスクープが大スキャンダルになったばかりですが、これに続いて、昨日は、サン・トゥアン(セーヌ・サン・ドニ地域圏=イル・ド・フランス)の闇営業レストランが摘発されました。

 先日の超高級・闇営業レストランの摘発により、警察の警戒が厳しくなっている結果とも言えますが、昨日、摘発されたサン・トゥアンのレストラン(こちらは、庶民的なレストランでしたが・・)は、警察が突入した時には、店内には、62人もの客がおり、ソーシャルディスタンスもまるでなし、食事中ということでマスクもなしの大繁盛状態だったそうで、いかに危機感がないかが、伝わってきます。

 セーヌ・サン・ドニは、イル・ド・フランスの中でも、最も感染状態が深刻な地域。子供たちが学校へ行けない状態になっているというのに、ここまで他人事でいられる大人が情けないとしか言いようがありません。

 この日のこのレストランの客は、62人全員、135ユーロの罰金を課せられました。

 一方、先日の超高級・闇営業レストランの主催者とシェフは、弁護士同伴で、警察の事情聴取に応じているようですが、「これは、あくまで私的な空間での集まりであり、レストランではない」と主張しているようです。

 しかし、昨年の10月末にレストランの営業停止が再開して以来、招待状などから、少なくとも15回の食事会が開催されていたことがわかっており、それぞれのメニューには、決して少なくない金額が記載されており、場所はどこであろうと商売であることには変わりありません。

 恐らく、闇営業は、これだけではなく、想像以上に存在しているのではないかと思っています。

「あくまでも学校閉鎖は最終手段、その前にやれることは全てやる!」と頑張っていたフランス政府ですが、これらの闇営業のレストランの摘発は、その前にやれることの一つであったに違いありません。

 昨年末にもパリには、昼時になると、超満員になるレストランが今でもあるという話が聞こえてきたりしていましたが、警察も見て見ぬふりをしていると言われていました。

 将来のある子供の学校生活を犠牲にしても続けられている闇営業のレストラン、今からでもせいぜい、力を入れて摘発してほしいと思っています。

 子供たちに大してだけでなく、真面目に営業停止のままで、ずっと耐えている同業のレストランのオーナーに対しても、酷すぎる話です。


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フランス 再びロックダウン・・少なくとも12月1日まで

 

2021年4月9日金曜日

進んでいそうで、結構、進んでいないフランスのオンライン・リモートシステム

  


  

 パンデミック以来、盛んに推奨されているリモートワーク、オンラインシステムです。

「仕事もリモートワークを最大限に!」「現在閉鎖中の学校もオンライン授業に・・」と、オンラインシステムが急速に拡大した・・と思いきや、意外に浸透しきっていないことに、最近、いくつかぶつかっています。

 以前に比べれば、やはり、オンライン化で、まず、銀行などに行くことは、特別なことでもない限りなくなり、振り込みや支払いなども全てオンラインでできるようになったりして、ずいぶん楽になっていることもたくさんあるのですが、それは、コロナ前からのことで、フランスは、1回目のロックダウンから1年経って、この一年間という準備期間があって、さぞかし進歩しただろうと思われるのに、やはり、フランスの本領発揮、何をやるのにも時間がかかるのが常であったということを再確認させられる気にさせられています。

 まず、学校が閉鎖になって、再度、リモート授業になるというスタートから、まず、サイバー攻撃にあったとかで、初日からシステムがダウン。再スタートを切るのに数日を要するという失態。

 そして、個人的なことではありますが、今年に入ってから銀行を変えるという銀行乗り換え作業に乗り出した私は、オンラインでできるはずのことを数回にわたり、銀行に呼び出され、自動振り込みなどの銀行変更手続きも、全て乗り換え先の銀行がやってくれるはずだったのに、そうは行かないところもあり、自分で手続きするにせよ、その機関(公的機関)によっては、オンラインではダメ!RIB(銀行口座ナンバーなどの情報)とIDカードを本人が持参しなさい!というところまであって、オンラインで済むところもある中、わざわざ、それを届けに出かけなければならないという信じられないことがあるのです。

 IDカードをわざわざ持参しろというのだから、本人確認のためかとも思わないでもなかったのですが、マスクは当然の如くしたままで、顔もロクに見るわけでなし、やっぱりそのためでもなかったのです。

 フランスの公的手続きというものは、昨年から今年にかけてのビザ(滞在許可証)の更新手続き(これもオンラインではできない)で、さんざん嫌な思いをしていることもあり、間に人の手が介入すればするほど、書類を失くされたり、ミスやトラブルが起こる可能性が高まるので、全く信用していないので、「書類を持参せよ!」などと言われると嫌な予感しかしないのです。

 無駄に人の手が介入せず、オンラインで機械的に済んだ方が、書類を失くされる心配もなく、ずっと安心していられるのです。

 ましてや、このコロナ禍・・どこかへ出かけて、人と接触する機会はできるだけ減らしたいのに・・持って来い!というからには、そのための人員もリモートワークではなく、出勤しているということですから、思うほどには、リモートワークは浸透しきっていないことを思い知らされるのです。

 浸透しないと言えば、2度にわたって、フランス政府が作り直した#TousAntiCovidというコロナウィルス感染者追跡アプリも結局、使う人が少なくて、ほとんど役に立っていません。

 そして、我が家には、もう一人、オンラインで済まないことを嘆いているのが娘です。彼女は、3月までやっていたスタージュのレポートを現在、在籍しているグランドエコールに提出しなければならないのですが、その40枚ほどのレポートをファイルにして、ネットで送れば済むものを、学校側は、「それを印刷して、郵便で送れ!」と言うのだそうです。

 そのような大量なレポートを印刷する手間と費用と、そして郵便局まで行って送るという、手間と費用と外出の機会の増加とに、どうにも納得がいきません。

 昨年のロックダウンの際のリモート授業で、プリンターが売れに売れたという話は聞いていましたが、それには、小さな子供がプリントして、勉強するだけではなく、こんなことも含まれていたのです。

 まさか、グランドエコールの教授がネットで送られたレポートを開けられずに読めないはずもなく、単に、以前からの習慣から脱却できないだけなのです。この期に及んでも・・。

 フランス人は、変化を嫌う国民である上に、何をするにも時間がかかる(工事などの工期も守られないのが普通)国民ではあります。システムを加速して、進めるパンデミックという絶好の機会でさえも、それは全く活かされていないのです。

 フランス人には、この危機的状況でさえも、「お尻に火がつく」ということはないのです。

 

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2021年4月8日木曜日

新規感染者数2,000人の日本と60,000人超えのフランス どちらが幸せか?

   


 現在、3回目のロックダウン中のフランス。フランスにとっては、ロックダウンは、回を重ねるごとに、緩くなっていく感のあるロックダウン。しかし、今回は、学校も2週間のバカンス期間を含めた約1カ月間の閉鎖状態で、今週からは、リモート授業がスタートしています。

 しかし、一度目のロックダウンで、開始されて、環境整備や準備が整っているのかと思いきや、スタートと同時にサイバー攻撃か?などと、問題が起こり、多くの生徒がリモート授業を受けられない大混乱状態。

 リモートワークになるだけで、子供のモチベーションを保つのは、難しいところにきて、最初のスタートからのこのつまづきの痛手は、バカンス期間を挟む日程だけに、余計に難しいのではと思ってしまいます。

 ゆるゆるなロックダウンとはいえ、多くの店舗は、営業停止になっているものの、街中やメトロなども、なかなかの人が移動していて、平日にも関わらず、なかなかの人出。

 そういう私も用事があって、昨日、久しぶりに渋々メトロに乗って、パリの中心地域に出かけたのですが、本当に恨めしいほどの晴天で、朝晩は、少々、肌寒いくらいですが、日中は、もうサングラスが欲しいかな?と思うほどの日差しで、街の中の花も美しく咲き乱れ、あらためて、パリは美しい街だと思いながら、歩いていました。

 ちょうど、昼食時だったので、テイクアウトのサンドイッチなどを楽しそうに食べている様子は、平和そのもので、想像以上に楽しそうなランチタイムの光景です。

 フランスの1日の新規感染者は、6万6千人を突破したというのに、この平和な感じは、何なんだろうか?と思います。

 パンデミック以来の犠牲者も97,000人を突破(4月6日現在)、これでは、「コロナと共に生きる」などと言っている場合ではないのではないのではないか?と、私は、内心、思っていました。

 しかし、もうここまで来ると、同時にもうこれは、これで彼らの生き方で、仕方がないのではないか?という気もしてきているのです。

 たしかに感染回避のために必要な努力を怠っている面も多々あり、自分が知らぬ間に感染して、さらに他人に感染させてしまうことは、許されないことだと思いますが、どんな時にも、人生を楽しもうとしている、フランス人がよく言う「la vie est belle ラ・ヴィ・エ・ベル(人生は素晴らしい)」(たしかに、最近、さすがに、あまり聞かなくなった言葉ではありますが・・)の精神は、パンデミックの現在でも、彼らの本質に染み込んでいるものなのだと、つくづく思うのです。

 それが、今だからこそ、余計にそんなことを感じるのかもしれません。それが命がけでやることなのか?と思う、人と戯れ楽しく時を過ごす毎日の積み重ねが彼らの人生そのものなのです。

 ラテン系と言ってしまえば、それまでですが、華やかなパリのイメージとは裏腹に、実のところは、(ほんの一部のセレブ階級の人を除けば、)彼らの生活は、とてもシンプルで質素です。

 こんな時だからこそ、彼らの生き方、死に方が余計に浮き彫りになって、感じられるのかもしれません。

 言いたいことを言う権利はあくまで認められ、このロックダウン下でもデモは行われるし、警察が介入して罰金を課せられなければ、人の集まりは止められないし、それでさえ、厳しい規則をかいくぐって、プライベートクラブを運営したり、本当にどうしようもないと思うのですが、この彼らの楽しむことに貪欲な姿勢には、呆れるかえるだけでなく、どこか、もう彼らは、こういう風に生きてきたのだから、仕方ないのではないか?と思う気持ちも湧いてくるのです。

 たしかにコロナウィルスに関しては、現在は、確固とした治療法もなく、フランスでも、何とかして命を救おうと医療体制も破綻寸前ながら、長い人は、何ヶ月も集中治療室で治療することになったりしていますが、一般的に他の致命的な病気に関しては、あまり無駄な延命治療などは、しない印象です。

 これは、フランスの医療システムにも関係があることですが、フランス人の死生観も大きく関係のあることだと思っています。

 フランス人に対して、「これだからダメなんだよ!」と思う反面、あくまでも楽しく生きることを全うしようとしていることが、なんだか、ちょっと羨ましい気さえしてきてしまうのです。

 とはいえ、フランスよりも倍近い人口の日本は、未だに1日の新規感染者は2,000人程度とフランスの30分の1で感染を抑えられ続けているということは、ものスゴいことです。衛生観念は日本人の日常から植え付けられているもので、個々が自分を律することができる日本はやはりすごいのです。

 しかし、1日の感染者が6万人を超えているような状況でも、それなりに文句を言いながらも、ささやかに楽しむことを決してやめない人々もそれなりにスゴいなとも思うのです。


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2021年4月7日水曜日

子供が一人で歩いて通学できる・「はじめてのおつかい」の番組が成立することは驚異的な治安の良さ

  


 フランスでは、子供の学校の送り迎えは、一般的には、小学校卒業まで続けられます。

 娘が通っていた学校では、高学年にもなれば、親の承諾があれば、一応、子供が一人で帰宅することは、許可されていたものの、「万が一、何かあったら、取り返しがつかない」「何か起こったら、後悔し切れるものではない・・」と、我が家も小学校卒業までは、登校時、下校時は、送り迎えを続けてきました。

 送り迎えは、学校だけでなく、お稽古事の行き来や、外出なども、全て送り迎えが必要で、子供がお友達の家のお誕生日会などにお呼ばれをしたりしても、必ず、送りに行って、お迎えに行く、あるいは、招待してくれた家のお父さんかお母さんが家まで迎えに来てくれたり、送ってくれたりしていました。

 ですから、基本的に、子供が一人で家にいるということも、一人で外出するということも、フランスでは、許されないことで、(何の恨みかわかりませんが、我が家は、決して、子供を一人にしたこともないのに・・)「子供を学校(幼稚園)にも行かせずに置き去りにしている」と通報されたことがあり、区役所の自動保護担当の人が、家に調査に来たことがありました。

 そんなことは、毎日、送り迎えしている際に学校の先生とも、子供だけでなく、親も顔を合わせているので、学校(幼稚園)の出欠を確認して貰えば、すぐにわかる嘘なので、全く問題にはなりませんでしたが、そんな通報で、区役所の担当の人がすぐに家に飛んでくるということや、そもそも、そんなロクでもない通報を誰が何のためにしたのか? その方が恐ろしい気がしたのでした。

 まあ、それくらい、子供を放置したりする家庭もあるということなのでしょうが、こちらとしては、子供の学校やお稽古事の送り迎えと仕事の毎日に、大変な思いをしてきたので、そのとんでもない見当違いの通報をした人に、私の日常を見せてやりたいと思う気持ちでした。

 子供を送って、仕事に行き、仕事が終わると迎えに行き、仕事がお休みの日は、お稽古事のはしごの送り迎えや買い物や家事で瞬く間に時間が過ぎていくのです。

 特に娘が小さい頃に、同じ年頃か、ちょっと年上くらいの女の子が、その頃に住んでいた地域で行方不明になった事件があり、どこへ行ってもその女の子の捜索のためのポスターが貼ってあり、とても他人事とは思えなかったりもしました。

 日本の人気番組に、「はじめてのおつかい」という小さい子供におつかいを頼んで、その様子を隠し撮りして、その様子をレポートする番組がありますが、フランスでは、小さな子供におつかいを頼んで、一人で買い物に行かせるなどということは、全くできません。

 とても愛らしく、微笑ましい番組で、できたら、日本に一時帰国した時に娘の「はじめてのおつかい」の様子を撮ってもらいたいと思ったくらい好きな番組ですが、考えてみれば、あれは、日本ならではできる、かなり奇跡的な番組で、フランスだけでなく、おそらくあれができる国は、なかなか無いだろうな・・と、海外に出てみると思います。

 買い物に行く時は、子供を一人で家に置いておくこともできないので、必ず一緒に連れて行きましたが、一人で買い物に行かせることなどは、できません。

 それでも、お金を払って、何か物を買うということをさせてみたくて、娘が初めて、お金を持って、フランスで買い物をしたのは、パン屋さんでした。

「焼けすぎていないバゲット一本下さい」と言いなさいと言って、パン屋さんの前まで一緒に行って、パン屋さんの外で待っている・・というのが、娘のはじめてのおつかいでした。

 せいぜいこの程度がフランスでできる「プチはじめてのおつかい」です。

 日本に一時帰国した際、娘を実家の近くの区立の小学校に一時入学(2週間ほど)させて頂いたことも数年ありましたが、教頭先生から「登下校の際にお子さんにこれを持たせてください」と、防犯ベルを渡された時には、日本もこんなになったのか・・と驚かされましたが、基本的には、近所の子供が数人で子供だけで登校できるのは、やはり、スゴいことです。

 電車やバスに乗れば、私立の小学校に通う子供がランドセルを背負って通学している様子などは、フランスでは考えられない光景だと、あらためて思わせられるのです。

 日本を出て初めて、日本ではあたりまえだったことが、実は、全くあたりまえではなかったことは、実にたくさんあり、どちらかというと、日本の方が特別なんだということが、いかに多いことか! 学校の送り迎えも、「はじめてのおつかい」も、世界的に見たら、驚異的に治安の良い日本ならではのことなのです。


はじめてのおつかい


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