2020年4月30日木曜日

フランスのロックダウン解除 学校再開には、大多数が反対! 川崎病に酷似した症例の報告






 昨日のフィリップ首相のロックダウン解除に関する発表から、一夜明けて、さっそく、フランス国民の世論が浮き上がってきました。

 「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核とした方針で進むこと、また、ロックダウンの解除は、ウィルスの感染状況、地域ごとの病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、段階を追って行われること、リスクが一定以上に下がらない地域は、ロックダウンは、続けられること。

 それに際して、100キロ以上の移動が制限されること、公共交通機関や再開される会社のオフィスや店内では、マスクが義務化されることなどなど、大方の提案に関しては、好意的な反応でした。

 しかし、子供の学校再開に関しては、そのリスクに危惧を抱き、反対の意見が多いです。もともと、ロックダウン前から、まず、最初に閉鎖になった学校を、なぜ? 最初の段階で、再開するのか? 何よりも、学校へ登校した場合の子供の安全が保たれることが、信じ難いというのが大きな理由です。

 もともと、フランスの学校は、学校にもよりますが、なかなか、清潔とは言い難く、蚤やシラミが蔓延したり、トイレがビックリするほど汚かったりという状況で、そんな状態の学校が、清潔を通り越えて、四六時中の除菌状態などの充分な衛生的な環境を確保できるのか? 他にも、子供たちの管理、給食など、たくさんのリスクを孕んでいるのです。

 そんなところに、追い討ちをかけるように、フランスでは、ここのところ、14歳以下の子供に、高熱、全身の血管に炎症が表れ、目の充血、発疹、手足や唇や舌が赤くなる、川崎病に非常に症状が似た重篤な集中治療が必要なケースが多発していることが、警告され、学校再開に歯止めをかける一旦を担っています。

 過去3週間にわたり、パリ地域で、この症状で、集中治療を受けて入院した炎症性症候群の子供25人の症例が報告されており、急激な同じ症例の増加に警笛が鳴らされています。

 この症例が出現したのは、コロナウィルスが蔓延がピーク状態に達してから、約1ヶ月後のことです。同様の報告が、イギリス、イタリア、ベルギーなどでも上がっており、コロナウィルスに感染している場合と感染していない場合とがあり、その関連性は、はっきりとはしていませんが、もとより、通常は、ヨーロッパでは、あまり発症例のない川崎病のような症状の発症は、コロナウィルスが原因、あるいは、引き金となっていることが疑われています。

 現在のところは、まだ、フランスでは、この症状に関する死亡者は出ていませんが、子供用のICUの病床は、大人用のICUに比べて非常に少ないために、これ以上、同様の子供の症状が増え続ければ、あっという間に手に追えない状態になることは、必須なため、注意が呼びかけられています。

 コロナウィルスに続いて、この謎の子供の病気の出現に、ロックダウン解除、しかも、学校の再開には、大きな障壁が立ちはだかった感じです。

 しかし、そんな状況の中、学校が再開するかどうかもわからない状態で、学校の夏のバカンスの日程は、予定通りと発表、報道されるフランスがやっぱりな・・と思いつつも、なにか、しっくりこないのです。

 

2020年4月29日水曜日

5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会


Edouard Philippe évoque le déconfinement à l'Assemblée nationale le 28/04


 5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説は、何とも歯切れの悪いものでした。

 「今後のコロナウィルスの対応は、「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核としていきます。」とし、5月11日までのマスクの確保、検査数の拡大(一週間に70万件を目標としている)、そして、検査の結果、陽性が認められた者は、隔離する方針を発表しました。

 これに関しては、最もなことであり、実現すれば、それに越したことはありません。

 しかし、11日まで、待たずとも、少なくとも、現在も、出勤している人には、マスクを配るべきだし、検査も準備が出来次第、すぐにできる限りの検査を始めたらいいのにと思います。

 公共交通機関を利用する場合、また、再開する商店、会社のオフィスなどは、マスクの着用が義務付けられることになりますが、それ以外の一般大衆に対しては、マスクの着用は、推奨する・・に留まり、強制ではありません。恐らく、強制できるほどのマスクの確保が期待できないのでしょう。

 学校の再開は、小さい子供・幼稚園・小学校から始まりますが(強制ではありません)、教室での人数や、衛生環境を充分に整えること、中学生以上は、マスクの着用が義務付けられます。

 リモートワークが可能な仕事の人には、引き続き、リモートワークが推奨されますが、商店等に関しては、充分な衛生環境の配慮の元での営業が認められるようになります。
しかし、レストラン、カフェ、映画館、劇場等は、引き続き、営業は、できません。

 しかし、それもこれも、5月7日の時点で、地域ごとに感染状況、病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、リスクが一定以上に下がらない場合は、地域によって、ロックダウンは、続けられるとのことでした。

 小さい子供から、学校を再開することは、感染のリスクが低いことが理由に挙げられていますが、実際のところは、働かなければならない親を仕事に行ける環境を作るためです。しかし、現在のところは、リモートワークができるような仕事についている親は、子供を学校に行かせることに対しては、とても懐疑的です。

 フランスの小学校は、6月末までですから、それまでの数週間、できる限りの衛生環境を整えて、リスクを侵しながら、10人ずつなどの授業を交代に行うことにどれだけのメリットがあるのかと思うところもあります。

 ロックダウン以来、フランスの学校は、ネットでの授業が続けられていますが、ネット環境がない家庭、パソコンが一人一台ない家庭などは、授業についていくことが難しく、格差が著しくなってきました。

 生活に困窮する家庭では、危険な状態にも関わらず、子供を学校に行かせなければならないし、自分も危険を侵して、仕事に行かなければならない。親が仕事に行かなければならない家庭が必ずしも生活に困窮している家庭とは、限りませんが、フランスの格差社会が、このコロナウィルスの危機により、浮き彫りになっている感が拭えません。

 しかし、具体的な発表に、取り立てて、新しい内容は何もなく、首相、自ら、最悪の選択肢の中からの最もリスクの低い選択をしたと、言わなくても良いことを言うような、トップとしての牽引力の全く感じられない演説でした。

 このような、有事には、国民に対しての説得力、納得させるチカラがとても大切なことだと思いました。

 生中継をしていたテレビのスタジオでは、フィリップ首相の発表は、当日の段階では、不評が多く、「何もはっきりとしない発表は、国民を不安にするばかり、ヨーロッパの隣国でも、こんなにハッキリしない発表をするトップはいない!今日の彼の発表で、ハッキリしている唯一のことは、「まだ、わからない。」という事だけだったと辛口の批評をしています。

 歴史的なウィルスの感染による世界的な危機で、弱い者が犠牲になり、強い者だけが生き残る・・救いようのない状況が、今まさに、起こっていることを、現実として、受け入れなければならないのが、堪らないのです。

 

































2020年4月28日火曜日

コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う


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 フランスがロックダウンになった頃、日本は、まだ、「オリンピックをやるかどうか?」なんていうことを言っていて、「なに言ってるの? 日本は大丈夫? 世界中は、大変なことになっていて、オリンピックなんて、とんでもない話なのに・・」と、とても、心配していました。

 なんだか、外から見ていると、悠長な日本の政府の対応を見ながら、ヨーロッパの悲惨な状況を鑑みるに、日本とて、とてもただ事では、済まされないと、ヤキモキしながら、フランスのニュースとともに、日本のニュースも見守っていたのです。

 日本は、緊急事態宣言という、ロックダウンとは、違う形をとりましたが、完全なロックダウンの状態を取っていないにもかかわらず、かなりの割合で、人の行き来が減り、危なっかしい感じもありますが、大多数の国民のモラルに支えられて、今のところは、ヨーロッパのような悲惨な状態には、至っていません。

 日本でも、中には、なんとか、隙をついて出かけようとしている人もいるようですが、これは、あくまで、ロックダウンには、なっていない状態でのことで、一体、世界中のどこで、ロックダウンせずにこれだけ、国民が自粛できる国があるでしょうか?

 例えば、それが、フランスだったら、まるで収拾のつかない状態になって、壊滅的な状況を産んでいたに違いありません。(今でさえ、充分に悲惨な状況ですが・・)

 フランスでは、4月13日にロックダウンの延長と5月11日にロックダウンを徐々に解除することが発表されて以来、国民の意識は、一気に緩み始めました。報道の大部分は、ロックダウン後の話題になり、段階的な解除がどのように行われるか?という議論から、夏のバカンスは、どうするのか?などと言う話題まで持ち上がっています。

 そんなマスコミの報道を反映するように、世間は、未だロックダウン中にもかかわらず、すっかり解除モードに移行しつつあります。

 まず、一番に驚くのは、マスクをしている人が極端に減り始めたことです。ロックダウン後は、マスクの着用を義務化するべきではないか? などという検討をされているにも関わらず、世間の解除モードは、もはや歯止めが効かない状況です。これだけの危機を経験したにも関わらず、この危機感の薄さ、モラルの低さには、呆れ返ります。

 念のため、今も救急車のサイレンが一日に何度も聞こえ、一日の死者が437人(4月27日現在)これまでに23293名が亡くなっている状態でのことです。

 それにひきかえ、日本では、ロックダウンでもないにも関わらず、大半の国民は、自粛して、外出を控え、皆、マスクをし、健康管理に気を配り、清潔を心がけています。フランスがロックダウン状態で、手を洗えとか、一度使ったティッシュは捨てましょう!とか呼びかけていることは、平常時でも、日本人は、当たり前のこととして、やっていることなのです。

 先日、たまたま、日本のネットショッピングのサイトのランキングを見たら、「パルスオキシメーター」という、血中の酸素濃度を測る機械が一位になっていました。マスクや除菌ジェルなどなら、いざ知らず、一位が「パルスオキシメーター」という、ある意味、通常の日常生活では、使わないものです。この機械が有効に使えるか否かは別として、この自分の健康を真剣に考え、何とかしようとしている日本人に、改めて、感心したのです。

 これは、多分、テレビ番組か何かで、報道されたりしたのだと思いますが、コロナウィルスが急激に悪化するのは、実は、症状の悪化は気付かないうちに進行していて、実際に呼吸困難を感じた時には、手遅れになるという話から、そのために、その予兆を血中の酸素濃度をチェックして変化を自分で見逃さないようにしようと考えた人々なのだと思います。

 以前、私は、フランス人は、災害に慣れていないから、もし、ことが起こったら、パニックを起こして大変になる・・という内容のブログを書いたことがありましたが、まさに、そのとおりでした。パニックを起こさないように、ロックダウンを強行し、警察や軍が取り締まり、まさに、ばったりと封じ込めの状態になりました。

 フランス国民を封じ込めるには、軍まで動員しなければならないのです。

 そして、ロックダウンなしに、フランス人は、ウィルスの蔓延を抑えることはできなかったでしょう。(今でも抑えきれていませんが・・)ロックダウン下の厳しい制約の下で、たとえ、罰金が課せられても、外出する人は、後を絶ちません。

 あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提で発表されたロックダウンの解除も、今の国民の雰囲気からすると、さらにロックダウンの延長などということになれば、暴動でも起きかねない雰囲気です。

 まだ、ウィルスが静まりきれていない状態でロックダウンを解除しようとするのですから、これまでの監禁生活のストレスも合間って、大変なことになるのは目に見えています。この解除を強行するということは、政府もさらなる犠牲者が出ることは、覚悟の上での解除なのだと思っています。

 そんな、フランスと比べると、日本人の一般的なモラルの高さ、清潔さ、真面目さ、辛抱強さ、規律の正しさ、健康管理の意識の高さは、世界中に誇れるものだとつくづく思うのです。

 私は、今、フランスにいるからこそ、日本人のそんな国民性を、改めて、尊いものだと感じています。

 フランスでは、日本は、マスクをする習慣があるから、感染者が少ない(ヨーロッパと比べて)などと言っていますが、それは、決して、マスクだけのおかげではないのです。


<関連>
「災害に免疫のないフランス人がパニックを起こして、アジア人全体を傷つけている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post.html


 

 












2020年4月27日月曜日

ロックダウン中でも恋愛を求め続ける恋愛大国フランス マッチングアプリの成功


 


 コロナウィルスの蔓延で、多くの犠牲者が出て、多くの国がロックダウンや自粛規制を余儀なくされ、世界中が経済危機に直面しています。

 フランスでは、ロックダウン解除に向けて、少しでも、業績回復に向けて、再開への準備を始めた会社が多くあります。TOYOTA FRANCE の工場が再開に向けて、いち早く、準備にかかり始めたという報道がありました。しかし、今、車を急いで生産したところで、誰が車を買うのかと思ってしまいます。

 しかし、多くの産業が停滞しても、この機に応じて、確実に業績を伸ばしている会社も確かにあるのです。医薬品・医療機器、衛生用品関係、パスタ・小麦粉等の食品などは、急激に売り上げを伸ばしています。

 そんな中で、フランスで、意外なところで、驚くべき成功を収めているのが、出会い系サイトのアプリです。ソーシャルライフが最小限に抑えられたことで、出会い系アプリサイトは、これまでにないブームが起こっています。

 実際に、すぐに会うことが不可能にもかかわらず、フランス人は、新しい出会いを求め、登録者は、増加の一途を辿り、登録者が増加しているからこそ、見逃されないように、プロフィール写真を工夫して、撮り直し、ラブストーリーを構築していきます。

 実際に在宅勤務や失業している人など、一人暮らしの独身者は、出会いを求めて、多くの時間をこのために費やしていると言います。

 ロックダウンで外出できない中、工夫を凝らして写真を撮り、プロフィールの説明に何とか、相手を魅了する文言を考え尽くします。私自身は、マッチングアプリは、やったことがありませんが、それをのぞいてみるだけでも、けっこう、楽しめるかもしれません。

 実際にすぐには、会えないことから、会話の場は、FaceTimeやスワイプ(SWIPE) に置き換えられ、会えない分だけ、アクセス回数は多くなり、会話時間も長くなります。会えないからこそ、会いたくなる衝動にかられながら、彼らは、ロックダウン中も恋愛を楽しむことを忘れないのです。

 ロックダウンの最中でさえも、恋愛大国のフランスは、健在しているのです。

 フランスのマッチングアプリは、意外にも、かなり広い年齢層の間に広がっています。以前、主人の友人のけっこうな年齢のおじさまがマッチングアプリで出会った女性とデートした話を聞いたことがありましたし、つい先日、娘の義理のお兄ちゃんが、マッチングアプリで出会った女性と、付き合い出したと思ったら、あっという間に婚約!結婚式は、ロックダウンのために延期になりましたが、身近なところでもけっこう聞く話です。

 一度も会ったことのない人と2ヶ月近くもの、現実の世界から遠ざかっているロックダウン状態で、恋愛して、ロックダウン解除になった際に、急に現実に戻り始めた世界で、実際に会ったら、すっかり冷めてしまう・・なんていうことも、大いにあり得る話ではあると思いますが、そこは、懲りないフランス人、また、新しい出会いを求めて、新たな恋愛を探し始めることでしょう。

 Tinderというアプリケーションソフトウェアは、3月29日に、一日のスワイプ(SWIPE)のアクセス数、30億回を記録しています。
(これは、フランスだけでの数字ではありません。)


















2020年4月26日日曜日

フランスは、やっぱりダメだ・・と、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける




 5月11日のフランスのロックダウン解除の詳細は、4月28日(火)に発表されることになりました。発表される内容に関して、皆、ああでもない、こうでもないと色々と言っていますが、専門家や、政治家が様々なデータや危険性、リスクを考慮しながら、必死にその方法を模索している様子が伝わってきます。

 感染がおさまっていない状態でのロックダウン解除は、ロックダウン以上に難しく、あらゆるところに気を配りながら、慎重に行われなければならないと、私は、息を呑む気持ちで、ニュースで語られていることやSNSなどでの情報収拾をしながら、自分は、どうしたらいいのかを考えていました。
 
 しかし、つい先ほど、目にした、今夜のパリの18区の様子を見て、私は、絶望的な気持ちになりました。それは、大通りに面した広い歩道で、大音量で音楽をかけて、大勢の人たちが集まって、踊っている映像でした。若者だけではありません。白髪の老人までが、音楽に合わせて、女性と手を取り合い、踊っているのです。

 通りかかって、その様子を楽しそうに、写真を撮る人々を合わせれば、悠に100人以上は、いたでしょう。マスクをしている人など、誰もおらず、まるで、コロナウィルスが出現する以前の世界を見ているようでした。

 ただ、違うのは、そこに現れる警察車両が数台見えることです。

 まもなく、警察が取り押さえ、解散させられたとのことですが、この、あまりのフランス人のモラル?の低さには、もはや、言葉もありません。この楽しそうに音楽に合わせて踊る人々の様子から、なんの罪悪感もためらいも感じられないところが、ますます絶望的な気持ちにさせられます。

 今は、まだ、フランスは、ロックダウン中で、死亡者やICUにいる重症患者数も減少してきているものの、これまでの死亡者は、22245名(4月25日現在)に達しており、今も一日に389名も亡くなっており、4870名の人がICUで生死の境をさまよっているのです。

 アメリカなどで、ロックダウンで生活に貧窮している人たちがデモをする様子なども、この状況で、自殺行為だと思って見ていましたが、今夜のパリ18区の様子に比べたら、まだ、ましです。彼らが生活に貧窮して、働きたいと訴えるのは、コロナで死ぬか、生活できなくて死ぬかというギリギリの状態ですから、まだ、わからないではないからです。

 しかし、このパリの歩道で大音量をかけて、踊っている人たちは、微塵も理解ができません。

 ロックダウン解除の日が決まり、私は、ロックダウン解除後にタガが外れるだろうフランス人が出るだろうことをとても心配していました。

 しかし、ロックダウン解除まで、まだ2週間以上あるというのに、今からこの状態では、どんなに、知恵を絞って、対策を練っても、どんなに検査を拡大しても、虚しいばかりです。

 この人たちは、一体、何を考えているのか? 何も考えていないのか? 本当に理解不能です。この状態で、ロックダウン解除の日を迎えれば、その頃には、再び、地獄のような感染爆発は、必須です。

 フランス政府は、ロックダウン解除の仕方以前に、この人たちをコントロールする方法を考えなければなりません。



<パリ18区で楽しそうに踊る人たちを投稿しているツイート>
https://twitter.com/CocoChrist/status/1254125416421437440

2020年4月25日土曜日

コロナウィル感染・自宅隔離の危険性 フランスは、これで失敗した


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 フランスのテレビでは、厚生省が頻繁にコロナウィルスに対する呼びかけのコマーシャルを流しています。

 少し前までは、「もしも、咳が出たり、熱が出たりしたら、家にいてください。他人との接触を避けてください。そして、あなたのかかりつけのお医者さんに電話で相談してください。通常は、病状は、数日、安静にしていることで回復します。しかし、もし、呼吸が苦しくなったり、息切れがするような、深刻な病状が出てきた場合は、すぐに☎️15に電話してください。」という内容でした。
(現在は、違う内容のものが、大半になっていますが・・)

 咳が出たり、熱が出たりしたら・・医者にかかりなさい!ではなく、家にいてください・・というところで、ズッコケそうなところですが、これが、みるみる感染が拡大してして、医療崩壊を起こしてしまったフランスには、あまりの事態の急激な変化と感染拡大の速度の中で、とりあえず、取れる処置だったのです。

 ところが、結果的に、それは、家庭内での感染に加えて、手遅れになり、病院に入る状態に陥った時には、即、ICU行き、呼吸器を必要とするケースに繋がり、致死率を上げて行きました。

 全ては、最初のロックダウンのタイミングが遅く、かなりのウィルスの蔓延状態になってからの後手後手の対応になってしまったことに、端を発しているのですが、今の日本を見ていると、フランスが辿ってきた最悪のシナリオに似ているような気がしてなりません。

 日本では、ホテル業者などが、感染者受け入れを名乗り出ている、感染者の隔離ができる宿泊施設が確保できた・・などというニュースを見ていたので、少し、安心していたのですが、肝心な検査が充分にできない状態は、致命的なうえ、せっかく確保できている宿泊施設を充分に稼働できていないでいることは、とても残念なことです。

 コロナウィルスの性質を考えれば、感染してから悪化するまでのスピードが異様に早く、自宅待機などという悠長なことをしていては、手遅れになる可能性が高いのです。

 コロナウィルスは、無症状のまま感染している状態の人が、感染を何倍にも撒き散らす恐怖と共に、コロナウィルスによって起こる肺炎が、サイレント(無症候性)低酸素症という酸素欠乏を本人が気付かない初期から起こしていることがわかってきています。

 検査もできず、病院にも行けずにいる場合、他に手立てはないわけで、自宅で血中の酸素濃度をチェックできる機械(パルスオキシメーター)が急激に売れています。

 つまり、実際に本人が息苦しさや呼吸困難を感じた時点では、すでに、肺炎は、かなり深刻な状態に進行しており、ICUに直行する事態に繋がってしまいます。

 ですから、フランスは、この観点からしても、「熱や咳が出始めたら、家にいて下さい。息苦しさを感じたら、救急車を呼んでください!」という呼びかけは、結果、多くの重症患者、呼吸器の不足、死者を増加させる結果となりました。そして、一度、ICUに入れば、その治療は、長期化するのもこの病気の特徴です。

 ICUでの治療の長期化は、後遺症の危険も増加させます。

 もちろん、そのまま、状態が落ち着く場合もあるのですが、どちらにしても、熱や咳などの症状が発症した時点で、すぐに、PCR検査をする必要があったと思います。
フランスの場合は、感染爆発に気付くのがあまりにも遅くて、そんな余裕がなかったのですが・・・。

 一番の課題は、PCR検査がもっと、広範囲で容易に行われる環境を作ることです。何でも、フランスの数倍のスピードで、事が運ぶはずの日本に、できないはずは、ないと思うのですが、どうも、政府が絡むと途端に減速するところが、外から見ていて、どうにも歯痒いばかりです。

 そして、このウィルスの進行の経過の仕方を、一番最初に体験してきたはずの中国が、情報を公開してくれていれば、どれだけの世界中の命が救われたかと思うと残念でなりません。

























2020年4月24日金曜日

フランスのコロナウィルスによるロックダウン解除のトリセツ(取説)


La gare Saint-Lazare, le 18 mars 2020, à Paris.


 フランスでは、一ヶ月近く延長されたロックダウンも、ロックダウンの解除問題で、解除に際する準備期間としては、むしろ、短いくらいに、慌ただしい期間となってきています。ハッキリ言って、ゴタゴタしています。

 未だ、コロナウィルスが蔓延している状態でのロックダウンの解除には、たとえ、段階的にとはいえ、地域ごとに進めるかどうか、人々の地域間の移動の問題、交通機関など、あらゆる所に気を配らなければなりません。

 学校の再開に際しては、環境整備から、授業の進め方、給食の問題、子供の指導。

 特に、大量のマスクの手配は必須で、とりあえず、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の交通機関の利用者には、マスクが無料で配布されることになったようです。(現在のところ、一般市民は、マスクを容易に手に入れることは困難です。)

 レストランやカフェ、映画館などは、一先ず、先送りとされていますが、それ以外の再開される商業施設、商店に関しても、お客様との距離を取りながら、商品を手にとって、試してみたり、試着したりすることにも注意が必要な中の再開は、困難を極めます。

 今は、それぞれの場面で、ロックダウン解除に際しての取説、ロックダウンマニュアルを必死に模索しています。

 しかし、私は、一番、取説が必要なのは、国民(大人)の意識の、衛生観念の教育だと思っています。子供は、教師が指導しますが、大人は、余計に始末が悪いのです。

 マスク一つをとってみても、もともと、フランス人にとっては、馴染みのないもので、むしろ、マスクをしている日本人などを、とても奇妙な目で見ていた人たちで、それを四六時中、自分たちが、つけて歩くというのは、彼らの美意識にも反するうえに、不愉快なことに違いないのです。

 マスクをつけていることが、息苦しいのか、マスクをしているのに、その意味を考えずに、鼻をずらしていたりする人がいるのには、呆れ返ります。正しいマスクの付け方から、教育しなければ、なりません。

 駅や街中で、用を足したり、その道路に平気で座り込んだり、土足のまま家に上がることも、手をこまめに洗うことも、うがいをすることも、一度使ったティッシュは、使わずに捨てることも、まるで、日本の幼稚園で教えるようなことを、何が不潔なのかを教えなければなりません。

 そして、何より、長期間の閉じこもり生活で、精神的にも疲弊している国民が解放された時の歯止めの効かなさが何よりも怖いのです。ダイエット後のリバウンドのような状況になりそうな気がしてならないのです。

 すでに、ここ数日、これまでは、ロックダウンのために、発生していなかった交通事故が発生し始めています。もうすでに、家に閉じこもりきれずに、外出して事故を起こしているのです。

 ICUにいる重症患者は、減少傾向にある(5053人・4月23日現在)とはいえ、これは、コロナウィルスの患者数で、他の病気でICUに入っている患者を加えれば、7500人以上に上ります。これは、大幅に満床状態をオーバーしている状態で、しかも、未だに500人以上の人が亡くなっているのです。

 これまでの一ヶ月半近い、ロックダウンの状況でさえ、おさまらない感染状況で、ロックダウンを解除しての、さらなる感染拡大が起これば、医療関係者とて、疲労困憊の状態ですから、収集がつきません。

 5月11日まで、あと2週間弱、その間に、どうか、賢明な判断で、キッチリとしたロックダウン解除の取説ができることを祈っています。











 

2020年4月23日木曜日

コロナウィルスによる医療崩壊の事実と社会の崩壊の危機に直面するフランス


Les cas graves de Covid-19 sont placés en réanimation (illustration)


 一昨日のテレビのインタビューに答えたパリにある39の病院を統括するマーティン・ハーシュ氏の、今回のコロナウィルスの、感染拡大から、パリの病院が、これまでの歴史上最悪の医療崩壊に至った経緯の話は、実に衝撃的なものでした。

 私自身は、当初は、詳しい記録は、つけていなかったので、正確な日にちは、覚えていないのですが、私は、2月に、日本へ帰国しており、フランスに戻ったのが、2月末、その頃は、フランス人は、ダイヤモンドプリンセスの件もあり、日本の方が危険な状態だと思っており、また、このウィルスが中国から広まったこともあり、とかく、アジア人を十把一絡げにするところがあるフランス人は、アジア人を見ると、コロナウィルス扱いして差別したり、ましてや、マスク=アジア人=コロナウィルスのような目でコロナウィルスを見ていました。それが2月末から3月の初旬の事です。

 それが、3月の1週目の週末あたりから、どうやら雲行きが怪しくなり始め、とりあえず、フランス人でさえ、マスクや消毒ジェルの買い占めを始めました。しかし、マスクを買い占めているというわりには、街中には、依然として、マスクをしている人はおらず、マスクをしていれば、逆に感染している人として扱われるような雰囲気でした。

 マーティン・ハーシュ氏の談によれば、「前例のない異常な危機に直面している。」と
と確信したのは、疫学者からの報告を受けた3月13日(金)だったと振り返ります。恐ろしいほどの患者数と急激に悪化する病状。そして、これが、さらに深刻な状況になっていく事は、明らかな報告でした。

 彼らは、その現実に必死の対応をしましたが、同時に、今回の感染爆発に対する自分たちの準備しているものが、圧倒的に充分ではないことも自覚したのです。

 そんなことを微塵も知らない国民は、翌日の14日(土)は、まだ、年金問題のデモで騒いでいましたし、15日(日)には、選挙も行われていました。そして、ロックダウンになったのが、17日(火)の正午でした。

 次々と運ばれてくる重症患者、足りない病室、足りない呼吸器、足りないスタッフ、足りない防護服にマスク、病院は、苦しむ患者で溢れ、病院の廊下でさえも、満杯になり、トラックに寝かされた病人をどうしたら良いかに頭を抱えたと言います。

 スタッフは、家にも帰れず、足りない防護服の代わりにゴミ袋を着て、動物用の呼吸器を使い、潜水用のマスクを使い、患者の対応に当たっていたと言います。そんな医療崩壊のピーク状態が、3月31日だったと振り返ります。
 フランスでは、このピークを”TSUNAMI"と報道していました。

 以降は、重症患者を国中の余裕のある地方の病院に搬送することを必死に繰り返し、ロックダウンの効果もあり、ピーク状態からは、少し緩和されるようになりました。しかし、それでも死者は増え続け、21000人(21340人・4月22日現在)を突破しています。

 彼は、この壊滅的な危機の中の希望は、医師、看護師、電気技師、ドライバーなどなど、全ての人の連帯だと語ります。そんな彼の口調は、静かで、普段、強い口調で話す人が多いフランス人には、珍しい気もしましたが、その分、余計に、深く、説得力のあるものでした。

 そして、今、ロックダウンが段階的に解除されることが発表された中、失業者は、1000万人増加し、郊外では、あちこちで、外出制限の検問にあたる警察に反発する若者たちが、花火や爆竹を鳴らしたり、車を燃やしたり、建物を壊したりして、暴動を起こし始めています。

 重症患者数は、減少の傾向にあるとはいえ、未だ、満床状態のフランス、医療崩壊に加えて、社会の崩壊の危機が迫ってきています。

 

2020年4月22日水曜日

犠牲者が出ることを覚悟で臨むフランスのロックダウン解除・コロナウィルスとの共存


Il est peu probable que l'école reprenne le 11 mai en Alsace.


 マクロン大統領が、ロックダウンの延長とともに、5月11日にロックダウンを徐々に解除するという発表から、一週間が経ちました。

 ロックダウンの解除は、あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提であったにも関わらず、国民の関心事や準備は、一気にロックダウンの解除に向けて、動き始めました。

 もう家に閉じこもりの状態にも、限界に感じ始めていた国民には、張り詰めていた糸が緩みつつある状態です。先週までは、ほとんどの人がマスクをしていたにも関わらず、すでに、マスクなしで出かける人が一気に増え始め、外出規制のコントロールをする警官に反抗して、暴動騒ぎになるなど、今まで我慢していたものが爆発しつつあります。

 もちろん、ロックダウン解除に否定的な専門家もいて、これまでにコロナウィルスに感染したのは、全国民の6%に過ぎず、免疫学的には、70%が免疫を持っていない限り、危険な状態であり、現在の段階では、遥かに遠い数字であると発表しています。

 しかし、経済的な状況や、国民の抑圧された生活も緊迫した状況ではあり、これからも長いこと、このウィルスと戦いながら、生活を続けなければならないことは、もはや明白であることを考えると、徐々にロックダウンを解除していく方法を熟考を重ねながら、なんとか、手探りで始めなければならないことは、理解できます。

 すでに、学校の開始も、学年ごとに、ずらして、しかも、クラスは、一人一人の間隔が取れるようにクラスを分けて、一週間おきに授業を受け、残りは、これまでどおりのオンラインでの授業・・というプランを立て始めています。

 ここのところ、一週間近く、僅かずつではありますが、ICUの重症患者が減少してきていますが、依然として、一日、1800人以上の患者が入院しているのです。

 これから3週間の間にどこまで、減少するかは、わかりませんが、現場の医療関係者の話によれば、5月11日の2〜3週間後のウィルス感染拡大の第二波は、避けられないとの見方が強いようで、最も混乱状態であった、3月31日に、救急にかかる電話が鳴り止まず、病室も呼吸器も確保できずに、病院が崩壊状態になった日のようなことにならないようにと、その後に急遽、病院の外に建てられた病室のために建てられたテントは、撤去しない方針なのだそうです。

 ロックダウンの間も、40万人もの国民が外出禁止のルールを守れずに捕まっているフランス人のロックダウンから解放された時の歯止めのきかなさや、元来の衛生観念の薄さ、日常の生活習慣などから、ロックダウン解除の際の国民のコントロールは、ロックダウン時以上に難しいことになると思います。

 半ば、犠牲者が出ることを覚悟で臨むフランスのロックダウンの解除。
これまでのフランスの感染者数は、158050名、死者数は、20796名(4月21日現在)。
検査数が充分ではないので、正確な数字ではありませんが、単純にこの数字から計算すれば、死亡率は、13%以上です。

 私は、今以上にロックダウン解除後が怖いです。


 

2020年4月21日火曜日

コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動


Police


 平常時でさえも、フランスでは、深刻な問題であるDV(家庭内暴力)の被害は、ロックダウンから約一ヶ月経った今、さらに深刻な問題になっています。フランスでは、家庭内暴力の通報は、119番で相談、通報できるようになっていますが、この家の中に封じ込めの状態で、助けを求めるのは、普段にも増して、難しい状況なのです。

 以前、私の職場にも、DVの被害に遭っている女性がいましたが、最初は、転んだとか、そんな言い訳をしていて、あまりにそれが、頻繁なことから、発覚したのですが、DVの被害者は、なかなか、それを告白したり、通報したりしないのです。

 それでも、平常時には、仕事に行ったり、日常生活は、一日中家にいるわけではないので、まだ、逃げ場がありますが、このロックダウンの状態では、DVが横行する家庭内は、地獄です。

 ただでさえ、慣れない監禁生活で、ストレスが溜まるところを、普段は、平和に生活を送っている人でさえも、精神的な均衡を保つのは、難しいところです。

 フランスでは、119番に加えて、合言葉まで用意して、全国の薬局でのDV被害者の救済に当たっています。

 ところが、やはり、4月に入った頃から(ロックダウンから2週間ほど)DVの通報が増え始め、一週間の通報件数が3000〜4000に増加しています。

 そして、さらにビックリしたのが、ここへ来て、子供に対しての暴力が急激に増加しているということです。狭い空間で、一日中、家族が共に生活していれば、軋轢も生まれるでしょうが、それが、暴力にまで発展することは、ウィルスの感染に加えての恐怖です。

 平常時さえ、フランス人の熱量というものは、デモや暴動などの様子を見ていても、明らかに、日本人とは、違うと感じることもしばしば・・、しかも、クズ男のクズさ加減も桁違いだと感じることが多いので、DV被害というのは、さぞかし恐ろしい状態なのだと思います。

 フランスのテレビを見ていると、しばしば、流されるコロナウィルスへの警告(人との距離をとりましょう、手を洗いましょう、具合が悪くなったら・・などなど・・)とともに、DVに対する救済(被害にあったら、119番に電話してください)というコマーシャルも頻繁に流されるようになりました。

 また、昨日は、パリの郊外の少なくとも5つ以上の地域で、外出のコントロールにあたっている警官と住民の衝突が発生しています。厳しい警官の封鎖に反抗するために、車に火をつけたり、警官に向かって火薬を投げたり、これに対する警察が、これにゴム弾と催眠ガスで応報するという騒動が、このロックダウン中の街中で起こっているのです。

 そんな騒動に周囲の人たちまで集まってくる騒ぎは、2時間近く続いたと言います。

 ロックダウンのストレスの矛先が、ついには、警戒に当たる警察にまで矛先が向き、いつものデモや暴動さながらの状況が繰り広げられる状態は、これまでの監禁生活が水泡に期す危険を孕んでいます。

 良い時は、情熱的、しかし、悪い時は、やたらと血の気の多いと感じられるフランス人のロックダウン、長くなればなるほど、別の問題も起こってきています。

 とはいえ、昨日で、コロナウィルスによる死亡者も20000人を超えたフランス(20265人・4月20日現在)、まだまだ、自由の身になる日は遠いのです。

2020年4月20日月曜日

ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由


Dépistage coronavirus Covid-19


 ヨーロッパは、今回のコロナウィルスの感染爆発の大きな被害を受けました。
アメリカの感染爆発までは、コロナウィルスの世界の中心でしたが、未だに、多くの犠牲者が増え続けていることには、変わりはありません。

 実のところは、2月の段階で、すでに、ヨーロッパにいた、感染していることに気付かずにいた人たちから、感染がさらに拡大し始めていたのです。2月といえば、日本では、ちょうど、ダイヤモンドプリンセスの客船の中での感染が広まったことで、大騒動になっていた頃です。

 ヨーロッパという、いくつもの国が地続きである地域での感染拡大は、それぞれの国のその後の対応によって、大きく明暗を分けることになりました。それぞれの国の政治が、これほど、国民の命に直結していくことを目の当たりにすることは、そうそうあることではありません。

 国の規模も国民性も違う中、一概に比較することは、できませんが、その経過をたどれば、何が良くて、何が悪かったのかは、知ることができます。

 ヨーロッパでの感染拡大が最も深刻になったイタリアでは、イタリア北部が震源地となりましたが、北部の都市がどうやら、ロックダウンになるという噂が流れ出すと同時に、自分が感染していることに気づいていない北部の国民が、一気にイタリア国内の他の地域に流れ出したのです。

 その事実に慌てた政府は、その後、ロックダウンを全土に拡大しました。これは、日本の緊急事態宣言が東京、大阪を始めとした一部の地域だけであったものを一週間後に全国的な緊急事態宣言に広げたのに似ています。

 また、イタリアが失敗した、もう一つの理由は、院内感染を増やしてしまう危険を考慮せずに、数多くの検査を病院内で行ってしまい、院内感染を広げてしまったことです。

 一方、ヨーロッパの中でも桁違いに犠牲者が少ないドイツでは、当初から、院外での徹底したPCR検査を行い、感染者と感染していない人を分けていったのです。ドイツは、一日、50万件の検査を行っていると発表していますが、(フランスの5倍)これを着々と続けることで、他のヨーロッパとは、まるで違う結果になっており、医療施設や医療器具などもしっかり備えていたドイツは、フランスからの重症患者まで、受け入れてくれています。

 結果は、一ヶ月後の数字にハッキリと表れています。(4月19日現在の数字です。)
ドイツは、死者数が桁違いに少ないのに比べて、快復した人の数が桁違いに多いのです。

       死者数合計  4/19死者  ICU     快復    
・イタリア   23660          345              2635         47055
・スペイン        20453             410              7371         77357
・フランス        19718             395              5744         36578
・ドイツ             4548                 2              2889         88000

 日本の近くでは、韓国が、やはり、徹底的な検査をして、感染の封じ込めに成功しています。

 日本は、PCR検査を、未だに、徹底的にしない理由を、その後の受け入れ先が飽和して、医療崩壊を起こしてしまうから・・と言っていますが、フランスも、医療崩壊を恐れて、具合が悪くても、大多数は、家にいて、安静にしていれば、自然治癒するとし、悪化した状態にならなければ、検査もできず、呼吸が苦しくなるくらい悪化した段階にならなければ、検査を受けることは、できませんでした。

 しかし、悪化してから検査をし、治療に当たるのでは、手遅れになるケースも多く、結果、一気に重篤な患者が増加し、医療崩壊を起こしたのです。

 検査を徹底的にすれば、少なくとも、陽性と診断された人が、街をうろつくことも、職場に出ることはなくなります。

 日本には、リモートワークが可能にもかかわらず、未だに、会社の命令により、通勤を余儀なくされている人もたくさんおり、緊急事態宣言が発令されているにもかかわらず、街を出歩く人が後を立たないのです。

 ヨーロッパの国の明暗で、結果は、見えているのです。時間に猶予はありません。
コロナウィルスは、一人の感染者が10人に感染させることも可能なのです。

 フランスも5月11日から、徐々にロックダウンを解除するにあたって、PCR検査を強化していくと発表していますが、検査は、ロックダウン前から全力でやってほしいと業を煮やしています。自分では気づいていない感染者が街に放たれてしまうからです。

 日本は、まだ、毎日の感染者数の発表で、一喜一憂していますが、感染爆発後は、感染者数よりも、毎日の死者数と重症患者数(ICU)の推移を見るようになります。

 世界中にこれだけ死者が出ているのに、日本だけが、例外だと思いますか? 経済の破綻も大問題ですが、これ以上、感染が広がれば、経済的なダメージもさらに広がるのです。

 どうやったら、失敗するのか、どうやったら、被害を抑えられるのか、すでに、周りの国の結果を見れば、充分にわかるはずなのです。

 

 

 













 










2020年4月19日日曜日

コロナウィルス・ロックダウン下で驚かせられるフランスの変化


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 ロックダウン状況下にあるフランスでは、現在、動いているサービスは、病院、警察、銀行、郵便、スーパーマーケット、薬局など、ごくごく限られているので、全ての人とは、言えませんが、この異常事態が訪れてからというもの、私は、フランスの変化にちょっと驚いています。

 最初に感じたのは、その日の正午から、ロックダウンになるという日の午前中に、明日からは、外出許可証などを携帯しなければ、外出できなくなると聞いて、しばらくは、外出もややこしい事になりそうだと(実際は、大して、ややこしいことは、ありませんでしたが・・その代わりに感染の恐怖が増しました。)、とりあえずの食料を買っておこうと思い、近所のカーフールに買い物に行った時のことです。

 その頃は、今ほど、入場制限をしたり、人との距離を取りなさいとか、特に厳しい制限は、まだありませんでしたが、それでも、皆、ひたすら、黙々と、明らかに、いつもとは、違う種類の買い物を大量にしていることにも、「なるほど、フランス人が買いだめをするのは、パスタや小麦粉なんだ〜」などと妙なことに感心したのと同時に、カーフールの店員の様子にも驚かされたのです。

 フランスの日常では、スーパーマーケットなどは、欠品があっても、長いこと、品出しをしないままで、店員は、ダラダラと固まっておしゃべりをし、携帯をいじり、レジの店員同士でおしゃべりをしていて、レジに並んでいる人々は、延々と待たされたりします。

 レジの人が、野菜などの名前がわからなくて、「これ何?」などと、聞かれたりして、(フランスでは、多くの野菜がパックになっておらず、量り売りでない野菜は、そのままレジに持っていくのです。)思わず、「お前が売ってんだろーが!」と思ったりします。

 何か、品物を探したり、何かを店員に尋ねても、「知らない!」「それは、私の仕事ではない!」は、フランス人の常套句です。ところが、ロックダウン直前の日以来、店員は、心なしか足早に店内を移動し、キビキビと働く様子に、本当に驚いたのです。

 私は、フランスに住んで、20年以上になりますが、スーパーマーケットの店員が足早に店内を移動し、キビキビと働いているのを見たのは、初めてでした。この緊急時でもあり、日本なら、日常でも当たり前のことなので、なんら、不思議はないことだと思いますが、フランスでは、驚きのことなのです。

 また、郵便でさえも、いつもは、国内だと、地方に何か送ったりすると、下手をすると、日本への国際便よりも時間がかかったりするのに、今は、配達の日数が減らされているのにも関わらず、わりと、あっさりと届くのです。

 銀行などにしても、普段だと、やたらと、ああでもないこうでもないと言われたり、ミスが多く、何かと物事が滞りがちなところ、あっさりと事が進みます。国からの補助金もあっさりと振り込まれたという話なども耳にします。

 こんな状況下で不謹慎ではありますが、「やれば、できるじゃん!フランス人!」と、私は、こっそりと思っているのです。

 そもそも、フランス人は、不思議な人たちで、日頃は、「これは、私の仕事じゃない!」とか、「これは、私の責任ではない!」とか、およそ、身勝手な感じを受ける事が、多いのですが、実のところは、身近な人で、本当に困っている人、困難な状況に陥ってしまった人に対しては、びっくりするほど親切で、親身になってくれるところがあります。その時の行動力には、日頃とのギャップも相まって、こちらの方が面食らうくらいです。

 今後、いつになるかは、まだ、一向に見込みがつきませんが、いつか、ロックダウンが解除されて、普通の日常が戻ってきたら、フランス人は、また、元のフランス人の仕事っぷりに戻ってしまうのだろうか?などと、そんなことも、ふと思ってしまいます。

 でも、今は、元の働かない、横柄なフランス人でいいから、ごくごく日常を取り戻せる日が一日も早く来ることを祈っています。もしかしたら、そんな日常が戻ったら、以前は、「チッ!」と思っていた、ダラダラとおしゃべりをしているカーフールの店員を見て、私もどこか、ホッとするかもしれません。銀行、郵便、スーパーマーケット、薬局など、ごくごく限られているので、全ての人とは、言えませんが、この異常事態が訪れてからというもの、私は、フランスの変化にちょっと驚いています。

 最初に感じたのは、その日の正午から、ロックダウンになるという日の午前中に、明日からは、外出許可証などを携帯しなければ、外出できなくなると聞いて、しばらくは、外出もややこしい事になりそうだと(実際は、大して、ややこしいことは、ありませんでしたが・・その代わりに感染の恐怖が増しました。)、とりあえずの食料を買っておこうと思い、近所のカーフールに買い物に行った時のことです。

 その頃は、今ほど、入場制限をしたり、人との距離を取りなさいとか、特に厳しい制限は、まだありませんでしたが、それでも、皆、ひたすら、黙々と、明らかに、いつもとは、違う種類の買い物を大量にしていることにも、「なるほど、フランス人が買いだめをするのは、パスタや小麦粉なんだ〜」などと妙なことに感心したのと同時に、カーフールの店員の様子にも驚かされたのです。

 フランスの日常では、スーパーマーケットなどは、欠品があっても、長いこと、品出しをしないままで、店員は、ダラダラと固まっておしゃべりをし、携帯をいじり、レジの店員同士でおしゃべりをしていて、レジに並んでいる人々は、延々と待たされたりします。

 レジの人が、野菜などの名前がわからなくて、「これ何?」などと、聞かれたりして、(フランスでは、多くの野菜がパックになっておらず、量り売りでない野菜は、そのままレジに持っていくのです。)思わず、「お前が売ってんだろーが!」と思ったりします。

 何か、品物を探したり、何かを店員に尋ねても、「知らない!」「それは、私の仕事ではない!」は、フランス人の常套句です。ところが、ロックダウン直前の日以来、店員は、心なしか足早に店内を移動し、キビキビと働く様子に、本当に驚いたのです。

 私は、フランスに住んで、20年以上になりますが、スーパーマーケットの店員が足早に店内を移動し、キビキビと働いているのを見たのは、初めてでした。この緊急時でもあり、日本なら、日常でも当たり前のことなので、なんら、不思議はないことだと思いますが、フランスでは、驚きのことなのです。

 また、郵便でさえも、いつもは、国内だと、地方に何か送ったりすると、下手をすると、日本への国際便よりも時間がかかったりするのに、今は、配達の日数が減らされているのにも関わらず、わりと、あっさりと届くのです。

 銀行などにしても、普段だと、やたらと、ああでもないこうでもないと言われたり、ミスが多く、何かと物事が滞りがちなところ、あっさりと事が進みます。国からの補助金もあっさりと振り込まれたという話なども耳にします。

 こんな状況下で不謹慎ではありますが、「やれば、できるじゃん!フランス人!」と、私は、こっそりと思っているのです。

 そもそも、フランス人は、不思議な人たちで、日頃は、「これは、私の仕事じゃない!」とか、「これは、私の責任ではない!」とか、およそ、身勝手な感じを受ける事が、多いのですが、実のところは、身近な人で、本当に困っている人、困難な状況に陥ってしまった人に対しては、びっくりするほど親切で、親身になってくれるところがあります。その時の行動力には、日頃とのギャップも相まって、こちらの方が面食らうくらいです。

 今後、いつになるかは、まだ、一向に見込みがつきませんが、いつか、ロックダウンが解除されて、普通の日常が戻ってきたら、フランス人は、また、元のフランス人の仕事っぷりに戻ってしまうのだろうか?などと、そんなことも、ふと思ってしまいます。

 でも、今は、元の働かない、横柄なフランス人でいいから、ごくごく日常を取り戻せる日が一日も早く来ることを祈っています。もしかしたら、そんな日常が戻ったら、以前は、「チッ!」と思っていた、ダラダラとおしゃべりをしているカーフールの店員を見て、私もどこか、ホッとするかもしれません。

2020年4月18日土曜日

マクロン大統領が警告 「コロナウィルスの中国の発表をバカ正直に信じてはいけない!」


Le seuil des 150.000 morts dus au coronavirus a été passé le 17 avril 2020.


 フランスのマクロン大統領は、先日の英国、ファイナンシャルタイムズ紙のインタビューで、「中国のコロナウィルス感染の蔓延に関して、中国の発表どおり「バカ正直に信じてはいけない。」「私たちが知らないことが起きているのは、明らかだ。」と警鐘を鳴らしました。

 マクロン大統領からの、この発言も、アメリカのトランプ大統領が、中国寄りの対応だと非難を続けていたWHOに対しての資金拠出停止を発表したあたりから、WHOとともに、感染元であり、当初に情報を隠蔽しようとした中国に対する世界からの非難の声が再燃し始めたことにあります。

 武漢が感染源であることは、今や、隠しきれない事実であり、感染拡大の原因は、最初の感染を隠蔽した中国にあることは、世界中が承知しているにも関わらず、これを今まで言及できなかったのは、どの国も、自国の対応でいっぱいいっぱいの状況で、中国の責任問題を追求する余裕がなかったからです。

 それが、トランプ大統領の発言により、マスコミのインタビューなども、WHOや中国などに及ぶことになり、今回のマクロン大統領の発言に繋がったのです。

 もともと、アメリカのトランプ大統領は、3月の段階から、「中国が事態を公表しなかったことで、世界が大きな代償を払っている。」と中国を非難して、コロナウィルスを中国ウィルスなどと呼んだりしていましたが、ここへ来て、アメリカでの感染拡大がより深刻になり、感染者数、死者数も世界一になったあたりから、アメリカの初動対応の失敗から逃れたいのか、トランプ大統領の発言も対応も過激になり、中国は、事実を隠蔽するばかりでなく、感染者数や死亡者数を偽って発表しているとし、実際にアメリカの諜報機関が現地での調査に入っています。

 フランスのマスコミでは、「選挙を控えたトランプ大統領は、アメリカの感染者、死者が世界一になることに耐えられないのだ・・」などと言っていますが、フランスとて、中国の態度に怒りを感じていることには、違いありません。

 感染源となった武漢が4月の初旬に感染者がゼロになったとして、ロックダウンを解除する様子をまるで、新年を迎えるように華やかにライトアップしたり、花火を上げたりして祝う派手な報道を世界中に流す様子は、いかにも芝居じみていて、それを、いまいましい気持ちで眺めていた人が、世界中でどれだけいたことだろうかと思います。

 世界の国々と中国、それぞれに政治的な問題もありますが、ともかくも、これからのワクチンや治療薬の開発に際しても、感染源となった場所や経過や感染拡大の詳細な事実を情報公開することは、とても重要なことです。

 少なくとも、問題となった武漢の研究所は、カナダ、アメリカ、フランスの資金で設立されているのです。正しい情報公開の義務があります。

 それにしても、不誠実な中国と真っ向から対決する姿勢を見せるアメリカと、「中国の言うことなど、はなから、バカ正直に信じていない。」と、斜め上から見ている感じのフランス。なんとなく、それらしい感じの反応だなと思うのです。

 

2020年4月17日金曜日

リスクを侵してコロナウィルスのロックダウンを解除し始めたヨーロッパ

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テレビで経済的な問題への質問に答える経済財務大臣


 4月13日のマクロン大統領のロックダウン延長とともに、5月11日から、徐々にロックダウンを解除していくという発表があって以来、これまで、一ヶ月以上、ひたすら、コロナウィルスの感染拡大と、その対応や現状について報道されてきましたが、俄かに、フランスは、ロックダウン解除の方法や、経済的な問題が報道されるようになってきました。

 これまでの一ヶ月、そして、最低でも2ヶ月近くになるロックダウンによる経済的なダメージは、いくら、政府からの援助があるとはいえ、充分ではなく、多くの人々が悲鳴をあげているのが現実です。

 今回のコロナウィルスによるパンデミックでは、被害が最大となってしまった(アメリカを除く)ヨーロッパでは、ロックダウンしていた国が少しずつロックダウンを解除する方向に動きつつあります。

 オーストリア、スペイン、ドイツ、スイスなどの国々が、すでに、段階的なロックダウンの解除に踏み切りました。

 先陣を切って、ロックダウンの段階的な解除を発表したオーストリアは、一日あたりの感染者が1千人超えの状態から、4月6日の段階で200人台にまで減少した時点で、14日からのロックダウンを段階的に緩和していくことを発表しました。

 オーストリアでは、すでに、小規模の店舗、園芸店、ホームセンターから営業を再開、5月からは、美容院、ショッピングセンター等、全ての店舗が営業を再開します。(レストラン、ホテル等に関しては、5月中旬から)

 営業再開に際しては、一定のソーシャルディスタンスが保たれるための入場制限とマスクの着用が条件となっています。

 少なくとも、フランスは、これらのロックダウン解除の先陣を切った国々をある程度、参考にできると同時に、近くの国々が次々と経済活動を再開しつつあるのを横目で見ていれば、国民感情としても、自分たちも・・と煽られることになるのも必須です。

 ここ数日、フランスも感染者は、ごくごく僅かですが、減少傾向にあるとはいえ、未だ、新たに感染が確認された患者は、17164名(4月16日現在)もおり、1日の死亡者は、753名、集中治療室の患者は、減少しているとはいえ、6248名、通常の満床状態は、5000床(集中治療室)のところを遥かに上回っている状態です。

 これから、約4週間の間にどれだけ、減少できるかは、全くわからない状態です。

 フランスも、経済的な逼迫も厳しく、「あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合」という前提での、経済活動再開の発表では、あったものの、今となっては、そんな条件があったかを忘れてしまったかのように、ロックダウン解除に世論が傾きつつあり、もしも、それが叶わなかった場合の国民の落胆は、幾ばくかと、そのショックもまた、想像するのも恐ろしい気がします。

 ある程度、ウィルスと共生していかなければならないという意見もあるようですが、それは、ワクチンや治療薬が開発されてからの話だと思うのです。これ以上の感染拡大は、何としても、避けなければならないのです。

 今も、救急車のサイレンが聞こえない日はありません。











2020年4月16日木曜日

コロナウィルス ロックダウンの中、アマゾン フランス閉鎖 ポチッと買物できても配達するのは生身の人間




 WEBサービス会社・アマゾン フランスは、4月14日、ナンテール裁判所での略式審理において、コロナウィルスの感染が広がる中、従業員の安全と健康を保護する義務を明らかに無視しているとし、「食品、医療、衛生用品」を除き、24時間以内に全ての配達を停止するように命じられました。これに違反した場合、一日あたり、100万ユーロのペナルティが課せられることになります。

 アマゾンは、これを不服とし、上訴する意向を示しては、いますが、この判決により、アマゾン フランスは、5日間、フランス国内の全てのアマゾンの倉庫を閉鎖し、アマゾンフランスのサイトも4月16日〜20日まで、閉鎖することになりました。
 この閉鎖期間中、従業員には、報酬の100%が支払われます。

 そもそも、コロナウィルス以前から、アマゾンの労働環境の劣悪さは、フランスだけでなく、アメリカ、イギリス、日本など、たくさんの国で問題になっています。

 その悲惨な状況は、実際に配送の仕事に潜入したルポライターなどのレポートを目にすることがありましたが、安い賃金で、過酷な労働を強いられる人間扱いされないような社風には、疑問が上がっていました。

 フランスでも、アマゾンの倉庫や配達に関わる人から、犠牲者が出ていることがニュースに上がっていましたが、この労働者が強いフランスという国において、信じ難いことだと思っていたのです。

 しかし、今回、コロナウィルスの感染により、アマゾンに調査が入り、その労働環境、特に、このような非常時での会社側の労働者への安全環境が保たれていないことが確認され、今回の業務停止状態になったのです。

 現在のロックダウン状態で、通常以上の注文が入り、商品の管理も配達も煩雑を極め、飽和状態になっている最中の、このアマゾンのロックダウン状態。

 消費者にとっては、命綱とも言える状態でありながらも、実際に配達などの仕事に当たる人にとっては、私たちが今、家庭で受け取ったら、全てを消毒するようなダンボールを満足な装備もなしに、一日にいくつも、何人の人に接して配達し、感染の恐怖に怯えながら仕事をして下さっていることには、本当に言葉が見つかりません。

 アマゾンの配送をしている人は、この最中、安い賃金で、感染の恐怖に怯えながら、マッサージオイルとゲームソフトを配達していることに、絶望的な気持ちになると語っています。

 私自身は、普段から、フランスは、配送事情が悪く、頼んだものが、まともに届かないことも多いので、あまり、ネットショッピングは、しませんが、このような状況、買い物に自分で行けない人にとっては、大切なサービスの一つです。

 経済活動に貢献すると、大義名分を掲げて、気軽にネットショッピングを続ける人も多いようですが、注文は、ネットでポチッと簡単にできても、実際に配達をするのは、生身の人間なのです。

 この状態を放置していれば、本当に生きていくのに必要な配送さえも受け取れなくなってしまいます。

 5日間の閉鎖の後も、アマゾン フランスは、当面の間、配達は、「食品、医療、衛生用品」に制限されることが検討しているそうです。

 今回のアマゾン フランスの例は、実は、氷山の一角で、人命よりも、会社や国の経済状態を重視するところは、たくさんあるのではないかと思っています。

 フランスの死者数は、17167名(4月15日現在)に上っています。

 

 







 















2020年4月15日水曜日

フランスのロックダウンの延長と解除の発表への国民の反応



 昨日の大統領のロックダウン延長と解除に関する演説は、フランスの国民の94.4%が見ていたそうで、視聴率としたら、大変なものです。

 当然のことですが、自分たちの生活、命に関わることですから、国民の注目が高いのも当然です。

 昨日のブログにも書きましたが、私の想像が当たっていたとすると、マクロン大統領の思惑どおり、国民の感心は、ロックダウンが一ヶ月近く延長されることよりも、5月11日のロックダウン解除の方に一気に傾きました。

 少なくとも、ロックダウンの延長に対する反発がなかっただけでも、大統領の思惑の大事なところは、果たされたのではないかと思っています。昨日の発表は、あくまでも、ロックダウンの延長がメインだったと思うのです。

 「もう、家にばかりいるのは、飽き飽きした! 外に出たい! 仕事に戻りたい! 学校に戻りたい! 日常の生活を取り戻したい!」と、思ってはいても、ワクチンも治療法もなく、確たる治療法もなく、完全にコロナウィルスが消滅していない状況で、実際に、ロックダウンが解除されるかもしれない=学校が始まる、仕事に戻る・・ロックダウンが解除されるかもしれないとなれば、どんな、状態で、その時に臨めばいいのか、政府側が、準備してくれることだけでなく、各々が準備すること、回避しなければならないこと、心構えしなければならないことは、山ほどあります。

 そして、それをどんな風に乗り越えていくべきなのか? 人々は、考え始めました。少なくとも、なぜ?あと一ヶ月近くもロックダウンするのか?という声は、聞こえてきませんし、むしろ、「おいおい、ロックダウン解除なんて、大丈夫なのか?」という声さえ、出ています。

 現実的には、医学的な専門家は、学校の開始は、全く無理だとは、言わないまでも、とても難しいだろうとの見方が多く、学校開始前に全員の検査を行うべきだとか、また、学校側としても、1クラスが通常は、30人ほどの授業をいつもどおりに行うことは、無理で、どのように学校を再開したらよいか? それなりの対応の仕方を考えなければならないとか、ロックダウンで、閉ざされていた思考回路が動き始めた感じがしています。

 待ちかねていたように仕事の開始の準日を始める人も多く、一ヶ月の延長発表にも関わらず、少なからず、国民の姿勢は、前向きになり始めたと思います。

 しかしながら、現実は、5月11日という、一先ずの区切りの日程が発表されたにも関わらず、集中治療室の患者数は、ほんの少しだけ減ってはいますが、(6730名・4月14日現在)、死者数は、前日よりも増えており(762名・+188)、5月11日のロックダウン解除が徐々にとはいえ、実際に行われるかどうかは、甚だ疑問です。

 だいたい、死者数が600になったとか、700になったとか、こうして、毎日、数字を追っていると、その数字に麻痺している気さえしてしまいます。

 一人の命がなくなることは、大変なことなのに、こんな風にケタ違いの死者数が発表される毎日がやはり、どれだけ異常なことなのか、自覚し直さなければいけないとハッとさせられます。

 外出禁止になって、約一ヶ月、そして、さらに一ヶ月、どう過ごしていくかで、それから先の生活も変わっていくのだと、意識しながら、生活しなければと思っています。

 それでも、長引く監禁生活に、平気なつもりでいても、イタリアの大聖堂で歌うテノール歌手の歌声や、遠隔にも関わらず、集まって演奏しているオーケストラの音楽を聴いて思わず、うるっとしてしまったり、どこか、心がこわばっている自分にも気付かされます。

 毎日、ベランダでスクスク育ってくれる野菜たちが、ささやかな、しかし、大きな喜びになっています。














2020年4月14日火曜日

コロナウィルス・ロックダウンの延長と徐々に解除していくことを同時に発表したマクロン大統領の真意


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 「フランス人は、マクロン大統領を信頼しているか?」 
演説が始まる少し前のニュースのタイトルには、こんなタイトルがつけられていました。

 フランス国民の多くが注目していたマクロン大統領の演説は、コロナウィルスとの戦いが始まって以来の第一線で働く医療従事者をはじめ、この状況下で働き続けている商店、交通機関、警察、運送関係等々、そして、外出禁止の生活を守り続けている人に対する感謝から始まりました。

 そして、ロックダウンの効果は、表れているものの、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)やグラン・エスト(フランス北東部の地方)での医療対応の飽和状態や現在の一日の死者数、集中治療室にいる患者数などを考えても、未だ、到底、ロックダウン解除の状況ではないことなどを述べ、5月11日までのロックダウンの延長を発表しました。

 そして、同時に、あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提で、5月11日には、段階的に保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校を再開すること、一般の人の仕事も徐々に再開することを発表したのです。(ただし、レストラン、カフェ、映画館、劇場、美術館は、引き続き閉鎖、イベント、集会なども同様に少なくとも7月中旬までは、禁止。EUの国境も当面、閉鎖。)
(15日以内に11日以降の詳細な計画を発表する。)

 そして、更なる経済的援助、特に、観光業、飲食業、ホテル業等の経済的打撃の大きい部門、最貧員層の人々に関しては、特別な措置を取ることを、4月15日以降の閣議で決定すること、さらに、5月11日からは、症状のある全ての人にコロナウィルスの検査を行い、陽性者は隔離し、治療を行い、皆が安全に社会生活を始めるために、全ての国民にマスクを配布することも付け加えました。

 しかし、私は、この5月11日という日程の発表は、最低でも、あと一ヶ月以上は、ロックダウンが必須な状況で、財政的なことも含め、何よりも国民があと一ヶ月のロックダウンの状況をいかに受け入れやすくするかを考え抜いた、あくまでもロックダウン延長を目的とした発表であったと思っています。

 5月11日という日にちが、どのように選定されたか、(これまでの感染者の状態や感染の推移や、それまでに、物資的や環境的に政府が準備することができる日程から設定されたと思われますが・・)はっきりとは、わかりませんが、2週間ずつ細切れに、延長を発表されるのでは、国民の意識も緩みやすく、最低でも必要な期間の日付を設定することで、ある意味、これまでに相当なストレスを溜め込んでいる監禁生活に目標のようなものができ、その後の生活に向けての準備をすることもできます。

 そして、それまでは、(5月11日までは、)今まで同様、むしろ、より厳しく外出禁止の規則を守ってほしいと訴えたのです。

 これまでも、外出禁止ではありましたが、天気が良いから、バカンスに入ったから・・とふらふらと出歩き始めてしまうフランス人を、さらに、長期間、コントロールするためには、どうしても、はっきりとした日にちの目標の設定が必要であったように思います。

 もちろん、未知の病気であり、世界的なパンデミックになっている状況、この感染がどのように変化していくのかは、わかりません。

 いみじくも、スペインが、一足先に、リスクを冒しながらも、一部、社会活動を再開し始めたことから、俄かに、色めき立ち始めようとしていたフランス人を牛耳る、最良とまでは行かないまでも、よくよく考えられた政策であったような気がしています。

 5月11日という日にちを突きつけられたフランス人が、今後、一ヶ月近くの外出禁止をどれだけ守って生活することができるか? 今のフランスの感染状況は、本来ならば、5月11日という日程が設定できるような甘い状況ではありません。
 少しでも気が緩めば、さらなる感染拡大は、充分に考えられることです。

 「とりあえず、予想し得る範囲内で日程を設定し、それまでに、そのための準備は整える。だから、それまでは、外出禁止を尊重するように。もし、それが出来ずに感染が更に拡大すれば、さらなるロックダウンの延長もあり得る。」ということです。

 多くの国民は、さらに一ヶ月近いロックダウンの延長は、致し方ないこととは、わかっていても、生半可な説明では、国民を納得させることは容易ではなく、ロックダウンの延長と同時に、ロックダウンを徐々に解除していく日にちを同時に発表するという方法は、ロックダウン下にある国民の心情や、国民の動きを鑑みながら、ロックダウンの延長という少なからずショッキングな事実以上に、ロックダウン解除実施の現実的なリスクに国民の注目を移行させることであったと思います。

 特に、5月11日の学校の再開については、リスクが高すぎると、既に批判的な見方が広まりつつありますが、とにもかくにも、彼の真意は、ロックダウンの延長とその徹底であったことに違いありません。

 「5月11日にロックダウンを徐々に解除する。」というのは、あくまでも、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提ですから、たとえ、学校再開は時期尚早という声が上がったとしても、それは、いくらでも変更できることで、彼の第一の目的であった、一ヶ月近いロックダウンの延長に、なんら、問題はないことなのです。



 

































 

2020年4月13日月曜日

注目されるマクロン大統領の決断 コロナウィルス・ロックダウン延長



 今晩、マクロン大統領からの発表があるというアナウンスがあり、今のフランスの状態で、外出禁止が解除されることはないことは、国民の誰もがわかっています。しかし、このマクロン大統領の発表が外出禁止の延長であるとしても、それが、いつまで延長になるのか、今後の見通し、政策は、どうしていくのか、大変な注目が集まっています。

 すでに、フランスがロックダウン状態になってから、1ヶ月近く経っていますが、ここ数日、ようやく一日の死者数、集中治療室にいる患者数が減少してきているものの、未だに、イル・ド・フランス(パリ近郊の地域)などの感染者の多い地域では、病院の病室の占拠状態は、300%以上と、悲惨な状況です。

 ロックダウンの宣言をする段階では、フランスの厚生省の関係者によると、国民のショックを最小限にするために、段階的に行われたそうですが、そのロックダウンの数日間の遅れが、どれだけの人の命を奪うことになったか、計り知れません。

 ここへ来て、国民への経済的な援助は、ありながらも、立ちいかなくなる会社も失業率も増加し、この先、ロックダウンがさらに長く続いていくことになると、経済的な逼迫も、より切実なものになり、大変、重要な局面です。

 大方の予想によると、5月の中旬までは、必須という話ですが、中途半端な状態で、ロックダウンを解いてしまっても、再度、感染が爆発した場合は、これまで以上の被害に及ぶことは間違いなく、かといって、このままロックダウンが続いては、経済的にも大変、厳しい状態に陥り、病人を支える経済力にも影響が出てしまうのです。まさに、崖っぷちの状態です。

 少なくとも、ロックダウンの解除は、検査体制の徹底と、全国民に行き渡るマスクの確保ができない限り、不可能と言われています。

 コロナウィルスの感染拡大が始まってから、私は、これまでにないほどフランスの報道と、日本での報道を毎日、見ているので、国や、状況が違うので、一概に比較はできないと思いつつも、ついつい、影響を受けていたのです。

 というのも、日本の政府の対応などを見ているせいか、マクロン大統領の声明は、とても明瞭で、説得力があると感じていたのです。

 ところが、翌日、マクロン大統領の発表を控えて、フランスのマスコミでは、「今回の発表では、なぜ、ロックダウンを延長するのか? その期間の設定の根拠は何なのか? 前回の彼のスピーチには、躊躇が感じられ、説得力がなかった。今回は、もっと、明瞭に説明してもらいたい!」と言っているのです。

 フランスの世論は、マスコミを含めて、とても厳しいです。
国民性の違いと言ったら、それまでですが、事は、多くの国民の命、国がこれ以上の大混乱に陥るか否かの重大事です。マスコミも含めて、厳しく政府を追求することも必要なのです。

 大統領の決断に国民が納得して、一致団結して、さらにコロナウィルスと戦っていくことができるかどうかは、彼の裁量にかかっているといっても過言ではありません。

 当然、フランスのテレビなどの報道では、フランス国内の報道でいっぱいいっぱいで、せいぜい、ヨーロッパ、イギリス、アメリカの現場などで、日本の様子が細かく報道されることは、ありません。

 むしろ、ところどころで、日本や韓国などのアジアの国々では、マスクをする習慣があるから感染者が少ないとか、日本は、マスクを国民に配ることにしたらしい(スゴい)などと報道される程度です。

 政府の対応が詳しく報道されずにいて、よかったかも???



 










 













 

2020年4月12日日曜日

バカンス好きにもほどがある!フランス人の国をまたぐコロナウィルス外出禁止違反


    Une policière à la frontière en l'Espagne et la France, le 17 mars.

 今週末は、イースターの祝日に入り、学校も休みになり、気温も上がり、陽気も良くなり、まさにバカンス日和です。しかし、現在は、もちろん、バカンスに行くことは、もちろん、外出さえも許されていません。

 フランスでは、先週に引き続き、週末の3日間に渡って、16万人の警官・軍を動員しての警戒に当たっています。先週は、陽気に誘われた人々が、街中やブーローニュやヴァンセンヌの森に溢れ出し、パリは、日中の運動のための外出まで禁止になってしまったほどです。

 バカンスを家族で過ごすことを何よりも大切にしているフランス人にとって、とても辛いことであるのは、わかりますが、これだけの警戒があるにも関わらずなお、取り締まりを突破して、しかも、地続きであるとはいえ、国境を超えて、バカンスに行く人がいることには、驚きを禁じ得ません。

 中には、プライベートジェットで移動してまで、捕まる人までいるそうです。

 フランス人の富裕層には、ニースやカンヌ、ビアリッツやモナコなど同様にスペインにセカンドハウスを持っている人が多いのです。

 スペインもフランスも国境を封鎖しているので、どうやって、スペインに入ったのか、
わかりませんが、カタルーニャ、バルセロナの北にあるコスタブラバの海辺のリゾート地などで、現地のスーパーマーケットなどからのフランスナンバーの車があるなどの通報により、これまでに数十人のフランス人が罰金を課せられ、強制的にフランスに帰されています。(スペインでの罰金は一人につき600€=約72000円)

 スペインは、ヨーロッパでは、イタリアに次いで、被害者の出ている国、フランス同様、軍や警察を動員して、厳重な警戒に当たっています。ここ一週間ほど、スペインでの死亡者は、減少傾向にありますが、トータルでは、フランス以上に死亡者の出ている国なのです。

 スペインのいくつかの都市の入り口には、警官と、コンクリートのブロックまで使って、都市への侵入を阻止しようとしています。

 そんな中、自分の家とはいえ、バカンスに出かけて、国をまたいで双方の国に感染を広げ、ビーチに出ることもレストランに行くことも外出さえできないのに、あくまでバカンスに出ようとする人々が本当に理解できません。

 私は、日本人ですが、フランスの住民として、スペインに対して、申し訳ないような気持ちになるのも、不思議な感覚です。

 スペインの人々もこれまでの監禁生活に耐え続けているだけに、フランスからやってくる人たちのせいで、さらに長く監禁生活が続くことになってしまう・・と、フランスからのバカンスのための人々の侵入が許し難く、激しく怒っています。フランスだけでなく、スペインにまで迷惑をかけてまで出かけるバカンスとは、何なのか?

 フランスは、ここ数日、少しだけ、死者数も集中治療室での患者も減少傾向にありますが、依然として、2000人以上の人が新たに入院し、7000人近い人が重症の状態にあり、今も、余裕のある地域に重病人が搬送され続けているのです。

 そして、コロナウィルスのために、心臓疾患等の他の緊急を要する人の命が失われるという悲惨な状況も起きているのです。

 さらに、先週末、今週末の人出の増加による感染者の増加が、心配されています。

 大きな生活の変化を余儀なくされる状況で、多くの人の価値観や人生観が変わっていくきっかけになっているかもしれません。

 







2020年4月11日土曜日

フランスの高齢者施設でのコロナウィルス問題とノートルダム大聖堂のセレモニー
























 昨日までのフランスの死者数13197名(4月10日現在)のうち、少なくとも、4599名は、Ehpad(エパッド)という高齢者施設での犠牲者と発表されています。

 この少なくとも・・と、つけられるところが、この施設での問題を浮き彫りにしています。それは、この死亡者数でさえ、正確に把握できていないという意味です。

 3月に入ってから、雲行きがおかしくなり始めたフランスでは、コロナウィルスのためのロックダウンが宣言されて、しばらくして、この高齢者施設での問題が、表面化したのです。

 時は、すでに遅しで、この高齢者施設もシャットダウンされ、心配する家族も面会することもできずに、施設の中では、悲惨なオーバーシュートが起こっていたのです。フランスの全国に広がるこの施設での感染は、当初、隠蔽されており、面会に訪れている家族をも頑なに拒否し、問い合わせ続けて、前日までは、何の問題もないと言われていたはずのおばあちゃんが、翌日、問い合わせたら、「昨夜、急に亡くなったと言われた、こんなことは、ありえない!」などという証言もあります。

 この高齢者施設での感染は、寝たきりの高齢者よりも、むしろ、ある程度、自分で自分のことをできる高齢者が、日常、外出できる人が、街の中を移動しており、外から感染を持ち込み、施設の中で、一緒に食事をしたり、お茶を飲んだり、アクティビティーをする人たちの間で、感染していきました。

 中には、フランスでの全国的なオーバーシュートの感染源となったフランスの北東部、ミュールーズにある教会での集会に参加していた人もいたとのこと。

 施設の対応如何では、ここまでの惨事には、ならなかったかもしれませんが、何よりも、症状が出始めてから、悪化するスピードの速さに対応が間に合わず、元来のスタッフ不足は、緊急時の対応には、到底足らずに、マスクもない環境での介護の仕事にスタッフが悲鳴をあげて、SNSで、その劣悪な環境を訴え始めたのです。

 特に被害の多かった施設のある地域の市長は、高齢者施設ゆえに、これまでも定期的に死亡診断書にサインすることは、あったけれど、それは、せいぜい、月に2回程度のことで、このコロナウィルスが蔓延し始めてから、毎日毎日、酷い日には、一日に、5回も6回もサインしているというのです。

 高齢となれば、感染して、重症化する可能性は高く、施設内に医療チームはいるものの、なぜ、ここまでの悲惨な状況になるまでに至ってしまったのか、今は、国中が混乱状態にあるため、他に問題も山積みで、その高齢者施設のことだけが、騒ぎになっているわけではありませんが、遺族の中には、すでに弁護士をつけ、訴訟の用意をしている人もいるのです。

 こんな混乱状態の中、イースターを迎えるタイミングで、昨年の4月15日に、火災で崩れ落ちかけたパリのノートルダム大聖堂では、人のいない大聖堂の中で行われたセレモニーがテレビ中継されました。

 昨年のノートルダム寺院の火災も衝撃的な事件でしたが、今、このパンデミックで世界中が苦しむ中の、工事中のノートルダム大聖堂のセレモニーは、大聖堂の中、ヘルメットを被って現れる神父や防護服を纏った人が周囲を囲む、いつもとは、全く違うノートルダムの様子が流されました。

 人のほとんど入っていない大聖堂の中で、一人の女性が歌うアヴェマリアの歌は、声の響き方も違い、哀しみが、より響きわたるのでした。

 崩れかけたノートルダム、国中、世界中にコロナウィルスが蔓延する混沌とした状況。
 映画でさえ、リアリティがないような現実の中のノートルダムの静かな空間を、どこか、しんとした気持ちで眺めていたのでした。

*ノートルダムでのセレモニーの映像
 https://twitter.com/BFMTV/status/1248543792031911936

2020年4月10日金曜日

緊急事態宣言後の日本のコロナウィルス対応は、甘い




 コロナウィルスがフランスで、あっという間に蔓延し始めてから、私は、家の中に引きこもりながら、ひたすら、フランスと日本の様子を見てきました。

 明らかに、世界中の皆が想像していた以上に、強力で、凶暴で、残酷なウィルスが拡散されていく様子には、ただただ、驚くばかりです。

 今となっては、ダイヤモンドプリンセス内のコロナウィルスの感染者が出た騒動など、遠い昔の話のように感じます。

 感染は、あっという間にヨーロッパ中に広がり、アメリカでの感染の広まりも物凄い速度です。

 そんな欧米の様子を目の当たりにしながらも、なかなかアクションを起こさない日本をほんとうに心配していました。先日、それでも、ようやく日本でも、「緊急事態宣言」が出たと聞き、少しホッとしていました。

 しかし、その実情は、あまり、緊急事態として浸透しておらず、愕然としています。

 というのも、昨日、日本にいる親友に、「どうしてる?」とメールを送ったのです。
彼女の仕事柄、全てカバーできるわけではなくとも、リモートワークが可能な職種なので、当然、リモートワークになっていると思っていたのです。

 ところが、リモートワークは、一週間交代で、彼女は、まだ、丸の内のオフィスまで通勤しているというのです。丸の内には、出勤せざるを得ない人が結構いて、昼食時などには、やっと開けているお店が混雑している状況なのだそうです。

 おまけに彼女の会社は、会社の組織替えがあったとかで、5月の連休には、絶対にレイアウトを変更しなければならないそうで、連休前には、パッキングのために出勤させられることになっているのだとか・・。

 この状況で、絶対に変更しなければならないレイアウトとは、何なのか? 全くもって、理解不能です。
 私は、彼女のメールを読んで、絶望的な気持ちになりました。この会社には、危機感がないのだな・・と。

 彼女の会社は、決して、零細企業ではないのです。少なくとも、丸の内にオフィスを構えられるほどの経済力もある会社なのです。もの凄い威力を持ったウィルスで世界中が苦しんでいる、人の命に関わることを一番に考えられないのは、信じ難いことです。

 フランスは、未だに死者が増え続け、死亡者数は、12210名(4月9日現在)に上っています。感染者数が117749名と発表されていますから、単純に計算すれば、死亡率は、10%以上です。(実際は、感染者数は、全て把握しきれていないと思うので、死亡率は、もう少し低いと信じたいですが・・)

 フランスは、ロックダウンのタイミングが遅すぎましたが、ロックダウン後は、国家で必死で対応して、3週間経っても、未だ、この人数なのです。フランスは、色々問題も、ありますが、発展途上国ではありません。

 かなり厳しい罰則まで制定してのロックダウンをしてさえ、フランスのランジス市場(日本の築地・・じゃなくて豊洲?市場のような場所です。)の一部の建物は、死体安置所として使われるようになりました。コロナウィルスを甘く見てはいけません。

 パリは、フランスの中では、大都市ですが、その実、東京の山手線内に収まるくらいの大きさしかありません。東京で、感染爆発が本格的になれば、その被害は、フランスの比ではありません。

 日本が、このままの状況を続ければ、感染爆発は、避けられません。たくさんの人が亡くなります。今は、まだ、確たる治療法もワクチンもないのです。感染しても、発症するまでに時間がかかり、その間に感染を撒き散らし、ひとたび悪化すれば、あっという間に重症化し、助かる可能性は、とても低いのです。

 多くの在外邦人は、日本の様子を外から見て、警笛を鳴らしています。実際に、身近に被害が及んで、その恐ろしさを実感しているからです。政府のせいにしても、命は助かりません。

 もちろん、日本でも、たくさんの人が努力をして、精一杯の自粛をしていることでしょう。この多くの人の努力が無駄にならないように、日本のトップに立つ人たちは、このような状況で、通勤しなければならない私の友達のような人の気持ちをわかって欲しいと切に思っています。

 

 

















2020年4月9日木曜日

コロナウィルス対策の外出禁止 パリでは、日中の運動のための外出も禁止




 「PROBLEME TECHNIQUE(プロブレム・テクニック)(技術的な問題)」
 外出せず、電車やメトロに乗らなくなって、この言葉は、久しく聞いていませんでした。それくらい、日頃、パリでは、良く聞く言葉です。

 メトロが急に止まってしばらく動かなかったりすると、すぐ、このプロブレム・テクニック・・というアナウンスが流れます。もう、さすがに慣れましたが、パリに来たばかりの頃は、これを聞くたびに、ため息・・また・・と、呆れたものです。

 昨日のフランスのコロナウィルスの状況の発表で、久しぶりに、その「プロブレム・テクニック」という言葉を聞きました。

 昨日のコロナウィルスで入院中の患者数は、30375名(4月8日現在)、集中治療室の患者数は、7148名、一日の死者数、541名、トータル10869名と発表されたのです。

 しかし、これには、フランスで大問題になっているEhpad(エパッド)という高齢者用の施設での死者数が、プロブレム・テクニックのために、カウントできずに、追加できなかったというのです。

 前日までの数字から考えると、一日の死者数全体の半分以上は、このエパッドの患者なので、おそらく、8日に発表された一日の死者数は、実際のところは、倍くらいの数字になっていると思われます。

 こんな時まで、プロブレム・テクニックとは、此の期に及んで、数字を隠そうとするとも考えにくいので、お得意の?プロブレム・テクニックなのだと思います。

 このような状況の中、昨日から、パリは、外出禁止の中、数少ない項目の中で認められていた、適度な運動のための外出が禁止になり、日中、10時から17時までの散歩、ジョギング等の運動が禁止になりました。これは、やりすぎだという声も上がっていますが、明るい太陽の光に誘われた、先週末の街中や、パリに隣接するブーローニュやヴァンセンヌの森の人出を見れば、危機感を感じずにはいられません。

 季節がら、陽気も良く、一旦、外に出れば、ついつい開放的にもなり、結果、人が集まるような状況が起こりやすくなるのは、仕方ありません。しかし、今、フランスの事態が、日々、深刻化している状況で、この措置は、仕方がないように思います。

 3週間、閉じこもりの生活をしてもなお、犠牲者が増え続けている状況で、さらに、これからの季節、人が出歩きたくなる環境で、これを放置していたならば、ますます、犠牲者は増え続け、外出禁止の期間も一層、長引くことになるでしょう。

 パリ市がこのような、ほんの僅かな自由までもを制限するのは、どれだけ、フランスの状況が最悪で、それを何とか改善しようと必死なのかがわかります。

 折しも、今は、どんどん日が長くなっている季節。17時といっても、まだ、充分に明るい季節です。想像どおり、日中の運動のための外出が禁止された初日は、結構な人が17時から、18時の時間帯にジョギングや散歩に出かけたようです。

 外出禁止をしても、次から次へと、モグラ叩きのように出てくる問題の数々。元気な人をなんとか、おとなしく抑え込もうとする問題に加えて、亡くなった遺体が、感染症ゆえに、簡単に、すぐに埋葬できずに(フランスでは、火葬しない場合が多い)、遺体の保管料を遺族に請求できるのか? などという問題も起こっています。

 状況が悪化すればするほど、問題は、雪だるま式に増加していきます。

 日本は、どうか、ここまでの悲惨な状況になりませんように・・と、ひたすらに、祈るような気持ちでいます。

 

2020年4月8日水曜日

コロナウィルス・ロックダウン以来、22日ぶりの買い物



 フランスで、外出禁止令が発令されてから、約3週間、これまで、私は、アパートの中のゴミ捨て場とポスト以外、一切、外出せずに過ごしてきました。

 日頃から、私は、安くなっているものを買っておいては、ストックする母譲りの癖があり、ストックのストックがないと、何となく落ち着かないくらいなので、取り立てて、特に、此の期に及んで、買いだめをしなくても、まあ、3ヵ月くらいは、生き延びられるだろうと思っていました。

 しかし、通常、かかりつけのお医者様に3ヵ月ごとに通って、3ヵ月分の薬の処方箋を書いてもらって、もらってくる血圧等の薬が切れてしまい、とうとう、外出せざるを得なくなりました。

 今は、非常時なので、常用している薬に関しては、新しい処方箋を貰うために医者に行かなくとも、前回の処方箋で、薬を出してもらえるとのことで、一昨日、薬局へ出かけました。

 我が家は、コマーシャルセンターから、歩いてすぐのところにあり、薬局に行くなら、外出するついでにスーパーマーケットにも寄ろうと思っていたのです。

 このウィルス騒ぎの最中、外出するのは、もう恐怖で、マスク、抗菌手袋、メガネをして出かけましたが、薬局は、いつもと変わらずスムーズに、薬もとりあえず、一ヵ月分だけということで、もらえたのですが、スーパーマーケットは、長蛇の列(並ぶにも1m以上の間隔を取っているので行列は、余計に長くなります。)で、行列に並んで、長いこと待つのはバカバカしく、翌日の朝、開店と同時に行く事にして、その日は、あっさり、薬だけもらって、帰りました。

 買い物をしようと思い始めると、新鮮な野菜や果物、ヨーグルトやパンやお菓子類なども欲しくなり、翌朝、また、マスクに手袋、メガネの重装備をして、出かけました。開店と同時なら、余裕だろうと思っていたのに、並ばずに入れたものの、結構な人と、すっかり様変わりしたスーパーマーケットの様子は、少なからず、ショッキングでした。

 人と人との距離を取るため、入口や、レジ付近の床には、テープが貼られ、すれ違う人も、お互いに近寄らないように、沈黙を保っています。 

    

 小麦粉は、相変わらず、品切れで、買い置きのできるパンなども棚のほんの一部で、ガラガラです。
 中でも、チョコレートの棚がほとんど品切れになっているのもビックリでした。私が欲しかった板チョコは、品切れで、ふぇ〜??と、立ち尽くしていたら、側にいたおじいさんが、得意げに何枚もチョコレートを抱えて行ったので、私も真似して、おじいさんと同じ板チョコを買ってみました。いつもなら、ここで、「これ、美味しいよ!」とかなんとか、立ち話が始まるところですが、そんなこともできません。

いつもは、たくさんの種類のチョコレートで満杯になっているチョコレートの棚

 それでも、スーパーマーケットの入り口を入った時は、相変わらず、ワインの木箱が積んであって、なんだか、いつもの光景にホッとしました。日常と変わりない光景がこんなにもホッとさせてくれるものだということを改めて思い知らされました。

どこかホッとさせてくれるワインの木箱


 レジでは、店員さんの安全のために、レジの前には、プラスチックの板が貼られ、さらに、レジの前の通路には、物々しいテープでレジの人には、近づけないようにテープが貼られていました。現金で支払うのは、躊躇われて、カードで支払いと言うと、カードの暗証番号を打つ、プッシュボタンにスプレーで消毒してくれました。

 買い物から帰ると、買ってきたものを全部、消毒して、手を洗って、うがいをし、着替えて、冷蔵庫、冷凍庫に納め、ヤレヤレとホッと一息つくと、買い物に行っただけなのに、いつもにはない緊張で、ガックリ疲れました。

 でも、毎日、こんな中で、働いて下さるスーパーマーケットのスタッフには、感謝しか、ありません。会計が終わった後に、店員さんに、「Merci, Bon courage !」(ありがとう、頑張ってください)と声をかけたら、こわばっていた店員さんが、一瞬、笑顔になってくれました。

 いつもは、店員同士がグチャグチャ話していて、なかなか進まないレジですが、やけにレジが早く進むことが、悲しく感じられる買い物でした。

 こんなに重装備をしたり、消毒をしたり、大げさだ!と思うかもしれませんが、ヨーロッパに住んでいる方には、何の不思議もないことだと思います。

 フランスもついに、死者が1万人を超え、一日の死者が、1417人(4月7日現在)とアメリカに次いで世界2位、未だ、増加の一途を辿っているのです。

 フランス人がマスクをすることが当たり前になり、行列にきちんと並び、外に出ても、ほとんど口を効かない異常事態が続いているのです。












2020年4月7日火曜日

緊急事態宣言が発令された日本 コロナウィルス対応に失敗したフランスから学んで欲しいこと



        Dans un Ehpad parisien (illustration).


 海外からハラハラする思いで見ていた日本にも、ようやく「緊急事態宣言」が発令されることになったと聞いて、それが、早すぎたか、遅すぎたかは、先になってみなくては、わかりませんが、ともかく、少しだけホッとしています。(早すぎたということは、ないとは、思いますが・・)

 日本では、緊急事態宣言を出しても、海外のような都市の封鎖をすることはなく、そのような必要もなく、電車も動くし、スーパーも引き続き営業するとのことですが、フランスでも、この状況の中でも働かなければならない人のために、本数は減りましたが、電車やバスも動いています。

 経済状態を保つのは、もちろん、重要なことですから、最小限に抑えつつも、全く経済が止まらないようにできれば、それに越したことは、ありません。

 あまり、海外のニュースをご覧にならない方でさえも、ヨーロッパの悲惨な状況は、ご存知だと思います。イタリア、スペインほどではないにせよ、フランスもギリギリの状態が続いています。なんなら、減少傾向にあるイタリア・スペインに比べると、フランスは、まだ、増加の一途を辿っています。

 毎晩、発表されるコロナウィルスによる死者数、集中治療室の患者数を、家の中にいることしかできない私も、できの悪い学生が成績表を見るような気持ちで見守っています。
 これまでに8911名(4月6日現在)、7072名が集中治療室に入っています。昨日から、死者は、833人も増えています。

 フランスのコロナウィルスのオーバーシュートの震源地は、Grand Est グランエスト(フランス北東部の地方)Mulhouse(ミュルーズ)の教会で行われた教会のフランス全土から信者を集めての一週間にわたる集会であったと言われています。集会終了後に、感染した人々がフランス全土に散って行ったのです。

 ですから、緊急事態宣言が出たからと言って、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡にいる人は、間違っても、故郷に逃げてはいけません。イタリアもこれで、大失敗しています。日本では、感染者用の隔離用の施設なども確保しているようですし、医療崩壊、感染拡大を防ぐ手立てを打っているようなので、感染者は、重症化する前に隔離されて、これまでよりは、少し、安心な状態になるでしょう。(ただし、感染のスピードと対応の早さの競い合いになりますが・・)

 とにかく、感染を全国的に広げることは、何としても避けなければなりません。誰もが自分は、すでに感染していると思って行動することが必要です。


 もう一つ、フランスで、大問題になっているのは、EHPAD(エパッド)という高齢者施設での感染です。エパッドは、フランスで、最も広く普及している高齢者用施設(医療施設も備わっている)なのですが、3月末に、実は、このエパッドでの犠牲者が莫大な数に上っていることが発覚し、現在は、死者数が発表される際は、エパッドについては、別に数字が上っているほどなのです。
 現在、コロナウィルスによる死者8911名中、2417名がこのEHPADで亡くなっています。

 現在のところ、その運営状況などについて、そのスタッフの労働状況などにも問題があったことは、わかってきていますが、詳しい報告は、上っていません。しかし、もとより高齢者が集団でいる施設。介護の度合いに差はあれど、犠牲者が多く出ても、不思議はない環境です。

 フランス人は、人口が日本のように高齢者に偏ってはいないため、高齢化社会と言われることは、ありませんが、なかなか、平均寿命が高い国で、お年寄りが多い国なのです。

 ましてや、日本のような高齢化社会。高齢者用施設はもちろんのこと、自宅に住んでいても、デイケアやリハビリなどに通っておられる高齢者も多いと思います。

 外出自粛で、人との関わりが減り、運動不足解消などと言って、いくら、衛生的な環境でも、そのような場所に行くことは、賢明ではないと考えます。コロナウィルスの猛威をなめてはいけません。たった一人の感染者でさえ、それは、もの凄い早さで、何倍もの人に感染するのです。

 そして、このような環境下で、働いて下さっている方々を最大限、守ってあげて欲しいのです。医療関係者は、もちろんのこと、スーパーなどでも、フランスでは、人との距離を取れるために入場制限をしています。

 レジの前には、透明のプラスチックのシートが貼られ、現金は、ほとんど使いません。それも、スーパーで働く人の中から、何名かの犠牲者が出てから、作られたシステムです。

 日本は、何かを便利にしようとか、改善しようとか、そういったアクションが、とても早い国ですから、そのような対策は、すぐに取られるであろうことを期待しています。

 もはや、フランスは、長引く外出禁止に気が緩みつつある国民へ、増え続ける犠牲者数を毎日、確認しながら、Restez Chez Vous !(レステ・シェ・ブ!)家にいて下さい!とテレビで一日、何度、聞くことでしょう。

 大切な人を守りたいなら、とにかく、家にいることです。

 



























2020年4月6日月曜日

コロナウィルスと太陽の誘惑




 この週末のフランスは、晴天に恵まれ、気候もすっかり良くなり、暖かく、なりました。外出禁止から3週間が経とうとしているフランスでは、パリを含む地域が学校のバカンスに突入し、天候にも恵まれ、すっかりバカンス気分。

 これが、普通の日常であったなら、こんなに気持ちのいい季節はないのに、この太陽の誘惑が恐ろしい結果を招くことを考えないことは、なかろうに、皆、長期間になってきた、閉じこもり生活に辟易し始め、また、特に、小さい子供を抱えての閉じこもり生活のストレスは、相当なものなようで、この週末は、外出禁止令発令以来、太陽に誘われた人が多く、外出した模様です。

 我が家も娘が小さい頃には、外出禁止などの状況ではなくとも、いかに、娘のエネルギーを発散させるかに、とても苦労しましたから、今の状況で、小さい子供を抱えるご家庭のご苦労は、察するに余りあります。

 バカンス突入に向けて、政府は、16万人の警官を配備し、バカンスに出ようとする人々の警戒をしていたのですが、予想に反して、遠距離の移動をしようとする人は、少なく、それぞれが、近場での散歩や買い物に出る人が、この天気の良さにも誘われて、びっくりするほど、出歩き始めたのです。

 パリには、隣接した、ブーローニュやヴァンセンヌの森がありますが、土曜日のブーローニュの森などは、シート持参で、日光浴やピクニックをする人まで現れ始め、慌てたパリの警察は、日曜日は、ブーローニュの森は、厳重警戒の監視体制が敷かれ、たとえ、外出証明書を持っていたとしても、罰せられることになりました。

 つい、最近までは、医療現場にいる人でなければ、マスクをしても意味がないと言っていた政府も、マスクをした方が良いという風潮に変わり、テレビでも、マスクの正しい付け方・・などという説明をしていたりすることもあり、すっかり、外出する人も、マスクをしている人が多くなり、マスクが手に入らない人は、飛行機で配られるアイマスクを口にしていたりする人までいます。

 逆に、マスクさえしていれば、感染しないと勘違いしているのではないかと思うほどです。

 以前、パリを訪れる日本人を見て、「日本人は、何で、マスクをしているのか?」と、フランス人から、ちょっと、呆れた様子で聞かれたことがありましたが、まさか、フランス人がこんなにマスクをする日が来るとは、思ってもみませんでした。

 テレビのインタビューを受ける、街を出歩く人は、「天気はいいし、日曜日だし・・」と、太陽の光が、コロナウィルスの恐怖を吹き飛ばしてしまっているようです。

 しかし、当然のことながら、こんな街の様子に、医療関係者は、怒っています。「どんなに大変な思いで、私たちがコロナウィルスと戦っていると思っているのか? 今、気を緩めたら、また、更なる感染の拡大になってしまう。家にいろ!」と。

 実際に、フランスのコロナウィルスによる死亡者数は、8078名(4月5日現在)1日で、500人以上が亡くなっているのです。

 それでも、長期化している拘禁状態にある人々は、太陽の誘惑で、明らかに気持ちが緩んできてしまっているのです。よく、考えてみれば、こんなに危険な状況で、小さい子供を連れ歩くことが、どれだけ危険なことなのか、わからないはずはありません。

 日常から、太陽の日差しにあたることが大好きで、排気ガスを吸いながらもカフェでも、外のテラスに座って、コーヒーを飲みながら、おしゃべりをしているフランス人。

 フランス人にとって、きっと、太陽の誘惑は、DNAレベルの誘惑なのです。

 今週のパリも、天気予報によると、悲しいほどお天気なのです。



<関連>
「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_85.html

2020年4月5日日曜日

コロナウィルス騒動の中のテロとバカンス気分のパリ・サンマルタン運河


事件が起きたロマン・スー・イゼールの街


 コロナウィルスで緊張状態が続いているフランスの南東部、ロマン・スー・イゼール(Romans-sur-Isere)で、朝、10時半頃、街中で、若い刃物を持った男が、無差別に複数の人を襲い、買い物に出ていた人が刺され、2名死亡、5名が負傷という事件が起こりました。

 もとより、フランスは全国、外出禁止のお達しにより、街中には、外出の取り締まりのための警官が多数おり、男は、すぐに、逮捕されましたが、この緊迫した状況の中でのテロ行為に、フランスは、一時、震撼としました。

 犯人は、1987年生まれの33歳の自称、スーダン難民の男で、「アラーアクバル(Allahu Akbar=神は偉大なり)」と叫んでいたといいます。動機は、発表されていませんが、この状況下でのテロ行為は、コロナウィルスとは、別の恐怖を呼び起こしました。

 被害者については、一切、発表されていませんが、大勢の人が、一人でも多くの命を救うために、必死になっている時に、コロナウィルスに怯えながら、ほんの短い時間、買い物に出ていた健康な人が、一瞬にして亡くなってしまう事件は、許し難く、また、そのご家族にとっては、信じ難い事件であったに違いありません。


パリ・サンマルタン運河の近くを出歩く人々

 しかし、依然として、死者の数が、1日で、441名(4月4日現在)もおり、6838名が集中治療室に入っているという深刻な状況が続いている中、パリでは、天気も良く、バカンスにも突入し、閉じこもり生活に疲れ始め、また、外出証明書さえ持っていれば、上手く、取り締まりの警官への言い逃れの術を持ち始めた人々が、フラフラと街に出始め、サンマルタン運河などの、なかなかの人出には、閉口してしまいます。

 取り締まりを逃れることができれば、感染を回避できるわけではないのです。
「自分だけは、大丈夫だろう、少しくらいなら・・。」そんなわけは、ないのです。

 少なくとも、フランスでの感染が広がっていく様子、病状が急に悪化していく様子、どんな風に孤独に人が亡くなり、亡くなった後でさえ、家族と対面もできない様子を毎日のように、この一ヶ月以上、見ているのです。

 私自身は、恐ろしくて、買い物でさえ、できるだけ、外に出たくありません。
マスクでさえ、万全の対策ではありません。

 いつまでも、非常事態宣言を出さない日本の政府にも、業を煮やすところですが、この世界の状況を見て、非常事態宣言が出されないからと言って、いつまでも、フラフラとで歩く人々も、理解できません。

 自分の行動を他に責任転嫁しても、感染は、避けられないのです。自分を自分の家族を守りたいならば、家にいることです。












 



 

































 

2020年4月4日土曜日

コロナウィルスによる外出禁止の中のバカンス突入




 フランスでは、コロナウィルス対策のため、3月16日から、幼稚園から大学まで、全ての学校が閉鎖になっていますが、完全に学校機能がストップしているわけではなく、SNSなどを利用しての授業は続けられています。先生とも連絡を取りながら、通常どおりとは、言えないまでも、学校教育は、続けられているのです。

 報道によれば、これまでの3週間の外出禁止の状態での授業に追いつかなくなったか、教師と連絡がつかなくなってしまった生徒は、全体の5〜8%程とのことで、概ね、なんとか、授業は、継続されているようです。

 日本の学校が閉校の場合は、どうしていたのか? わかりませんが、少なくとも、今後、日本で学校を閉校にするようなケースがあった場合は、全く授業をストップするのではなく、SNS等を利用した授業の方法を利用するべきだと思います。

 通常ならば、というか、通常どおり?、今週末から、フランスの学校は、地域ごとに、春休みのバカンス(Vacance de Pâque・イースターホリデー)が、2週間ずつ、地域ごとにスタートします。

 一応、授業も行われていることから、金曜日の週末から「バカンスだ!」と、バカンス気分になる人も多くなることは、充分、政府も想定していたようで、この間のバカンス休暇のために移動しようとする人を封じ込めるために、この週末は、16万人の警官を動員し、遠距離移動の車やTGVなどで移動しようとする人々の監視を強化しています。

 現在のフランスの外出禁止は、コロナウィルスの感染地域の拡大を防ぐため、たとえ、自分の別荘であっても、お里帰りであっても、移動することは、禁じられています。

 それでも、バカンス気分で移動しようと見られる人出、(特に車での移動)が多いのです。

 もともとは、バカンスを何よりも楽しむフランス人、観光地の混雑や渋滞を避けて、地域ごとにバカンスの時期をずらして設定されているのですが、これが、今のフランスでは、通常なら2週間のバカンスを4週間の間、監視を強化することになってしまっています。

 いみじくも、通常ならば、6月半ばに、一週間みっちりの予定で行われるバカロレア(baccalauréat ・高校卒業資格試験)の実施が、今年は、通常どおりに行うことは、到底、不可能で、今年度は、通常のバカロレアの試験は行わず、例外的に、これまでと7月4日まで続く授業での成績をもとに、点数を配点することが発表され、ネット上では、バカロレアを受験するはずだった学生たちは、「4月の段階で、バカロレアを取れた!」などと喜びの声が上がっています。

 バカンス突入に合わせて、バカロレアのキツい試験から解放された? 若者たちが、一気に気が緩んで、フラフラし始めて、さらに、感染が拡大されることがとても心配です。
一瞬たりとも、ウィルスへの警戒を緩めることは、これまでの努力が水の泡になってしまうのです。

 昨日は、集中治療室に入る患者の数が、少し減ってきたと、少し希望が見えてきたかにも見える状態ではありますが、依然として、ヘリコプターやTGVでの患者の輸送は、ひっきりなしで、一日の死者数は、588名と深刻な状況には、変わりありません。

 学校が閉校になって、遅れを取り戻すために、夏のバカンスは、なくなってしまうかも? と心配している学生も多かったようですが、「必要な人には、補習授業を考えている。」としながらも、夏のバカンスは、通常どおりとのこと・・。

 こんな、非常時にも、バカンスだけは、しっかりとるフランス人、今ばかりは、そんなフランスのバカンスに対してはブレない感じに、どこか、ホッとしたりする妙な感覚です。

 とはいえ、夏のバカンスまでに、この外出禁止状態が解けるかどうかも、今の段階では、全く、見通しがつきません。













2020年4月3日金曜日

フランスのコロナウィルス対応は、どこで間違っていたのか?




 フランスでは、一昨日のフィリップ首相の発言から、ロックダウン解除の方法などが、ニュースのごくごく一部で、話題に上がっています。それは、熟慮しなければいけない問題ではありますが、実際のところ、今はまだ、そんな話をしている場合ではなく、未だ、死者も、感染者も増え続けている状態で、「今、なに言ってるの?」というのが、正直なところです。

 今は、ロックダウン解除よりも、「なぜ、こうなってしまったのか? なぜ、こんな状況が続いているのか?」という声の方が大きいのは、当然のことです。

 ロックダウンのタイミングを振り返る報道により、今から考えると、いかに、悠長に構えていたのが、改めて、わかります。

 昨年から、行われていた年金制度に反対するデモに加えて、昨年12月に始まった、交通機関のストライキによる、フランスでは、考えられないような混雑した電車、間引き運転の中で争う人々、それに伴うデモなどは、今年に入っても、フランス中で行われており、デモは、3月14日まで、続いていました。

 3月12日夜の最初のマクロン大統領の演説で、翌週からの幼稚園から大学までの学校閉鎖などの発表され、14日の深夜から、レストラン、全ての商店(食料品や薬局を除く)や娯楽施設が閉店になりました。

 しかし、パリの街中では、まるで、大晦日のカウントダウンのように、大勢の若者が集まり、15日は、市町村選挙が行われ、「政府も選挙以外は、外出しないように!」と、呼びかけてはいましたが、実際に、選挙自体も感染の媒体となってしまいました。

 選挙の終わりを待っていたように、16日の夜には、17日の正午からのロックダウンが発表され、17日には、パニック状態になった人々が、日用品の買い物に押し寄せました。
この時、すでに感染者は1万人を突破しており、死者は372人となっていました。

 フランスを現在の状況に追いやったのは、ロックダウンの遅れは、何よりも致命的でしたが、原因はそれだけでなく、マスクを始めとする様々な医療品の不足にもよるところも大きいのです。

 フランスは、2011年以降、ゴムを使用していることから、保存期間が5年しかないという理由で、パンデミックの非常時対応のマスクの国としてのマスクのストックを廃止していたのです。

 結果、現在は、マスク争奪戦争と呼ばれ、中国からのマスクは、アメリカとの壮絶な争いになっており、交渉ギリギリまで、行き先の決まらないマスクが最後の段階で、アメリカが3倍の値段で買っていくというケースも報告されています。

 それでも、フランスに届くマスクを乗せたトラックは、今や、空港から警察の車が先導して、物々しく、運ばれていますが、それでも、圧倒的な不足は、一向に緩和されていません。

 それは、医療現場だけではありません。

 今の状況では、信じられないような、マスクも満足にない、感染を避けられないような、劣悪な環境で働かざるを得ないアマゾンの倉庫(労働者が強いはずのフランスでこんなことが起こり得るのかと驚愕します。)で働く人々などの映像や声を聞いていると、あまりに悲惨で、これでは、まだまだ感染は止められないと思うと同時に、この時期、何かを注文して、配達を頼むことにも、罪悪感を感じるのです。

 ロックダウンの前後は、皆、少なからず動揺し、それがしっかりと定着するまでには、ある程度の期間がさらにかかるのです。コロナウィルスの感染の速度は、恐ろしく早いのです。

 今、日本は、緊急事態宣言を躊躇しているようですが、その期間も考慮して、なるべく早い対応をして欲しいと思っています。

 
 

2020年4月2日木曜日

コロナウィルスによる「命がけ」という体験




 フランスのコロナウィルスの勢いは、一向に止まりません。一日の死者は、500人を超え、(509名・4月1日)、これまでに4000人以上(4032名)が亡くなり、集中治療室にいる患者は、6017名(+452名)に膨らんでいます。

 入院患者の数は、24639名ですが、発熱、倦怠感が3日間続き、胸の痛みを訴え、呼吸が苦しくなり始めたという患者でも、医者の診察の上で、まだ、危険な状態だと判断されなければ、自宅で静養という状況での数字です。

 すでに、飽和状態の病院では、その程度?の病状では、受け入れができず、その時点で、治療できれば、快方に向かう患者が、重篤な状態に陥ってしまう悪循環です。

 飽和状態の地域からは、少しでも余裕のある地域へ、TGV、軍用機、ヘリコプターでの搬送に加えて、さらに、医療機器を設置されたバスでの搬送も始まりました。

 足りない呼吸器の代わりに、フランスのスポーツメーカー、DECATHLON(デカトロン)は、潜水用のマスクを大量に供出して、酸素吸入器の代用品として、使われています。

 このような状況の中、働いて下さっている医療関係者、病院の清掃、洗濯業者、警察官、交通機関、スーパー、薬局、葬儀社、などなど、病院はもちろんのこと、人との接触を避けられない仕事をしている方々は、感染の危険を侵して、まさに「命がけ」で仕事に当たってくださっています。
 本当に、いくら感謝してもしきれないほどです。

 日本語には、「命がけでやります!」という表現がありますが、ごくごく普通の日常には、本当に「命がけ」のことなど、そうそうあるものではありません。今の状況を見ていると、今後は、気安く、「命がけ」などとは言えないような気がします。

 私が子供の頃は、「戦争を知らない世代」などと、よく言われましたが、「死」が隣り合わせにある今の状況は、まさに戦争体験です。家の中に閉じこもることを余儀なくされている子供たちにとっても、「外出すれば、死ぬかもしれない!誰かに移して殺してしまうかもしれない!」という体験は、それぞれの人生に大きな影響を与えている体験であることに違いありません。

 身近な人の「死」に接する時、改めて、「死」について、また、「生きること」について、改めて、深く考えたりしますが、日常に「死」が溢れる、死と隣り合わせの体験もまた、人々の人生観や死生観に大きなものをもたらすと思うのです。

 まだ、医学部、看護学部の学生も、インターンとして、最前線の現場に駆り出されている状況で、多くの学生たちは、いきなり深刻な現場で、慣れない人の死にいくつも直面しています。
 彼らが、戸惑いながら、身体的にも、精神的にも、どれだけキツい状況で、必死で働いているかと思うと、心が締め付けられるような気持ちです。

 今はまだ、皆が、一人でも多くの命を救うこと、生きること、生き残ることに必死な状態ですが、ただただ、何もできずに家に閉じこもっている私でさえも、いつか、ロックダウンが解けて、外に自由の身で歩けるようになった時には、世界が変わって見えるような気がしているのです。

 

 
 

2020年4月1日水曜日

宗教が加担したフランスのコロナウィルスの拡散




 ロックダウンから3週目に突入したフランスでは、未だ、その効果は見られず、コロナウィルスによる一日の犠牲者は、増加し続け、死者499人(3月31日現在、合計3523人)、集中治療室には、新たに458人が増え、現在、5565人が重篤な状態にあります。

 フランス国内では、今日もTGV(新幹線)や軍用機、ヘリコプターを使っての患者の搬送があちこちで、行われていました。

 イル・ド・フランスでは、通常の集中治療室が1200床と言われているところに、2000床のベッドが置かれ、他の地方へ、患者の搬送が行われていますが、それでも、間に合わない現場では、集中治療室に入れる患者の選別さえも行われている状態だと言います。

 また、深刻な状況が続いている、Grand Est グランエスト(フランス北東部の地方)からも、31日、午前中には、軍用機、ヘリコプターで、Mulhouse(ミュルーズ)から、ハンブルグに6名が搬送されています。

 イル・ド・フランスは、パリを中心とするフランスの中心都市で、最も人口の多い地域ですから、人の出入りも多く、感染が広がるのも致し方ないところもあるのですが、ミュルーズでのオーバーシュートは、2月17日から、21日にかけて、La Porte Ouverte Chrétienne(クリスチャン・オープンドア教会)というプロテスタントのキリスト教の教会が、感染源と見られています。

 その教会では、毎年25年間にわたって、約2000人の信者を集めて、断食と祈りの週の一環として、フランス全土、海外からの信者を受け入れており、教団側は、その時点で、信者には、コロナウィルスの症状のある者は、いなかったとしていますが、(症状が出なくても感染しているケースが多いのがこのウィルスの恐ろしいところ)結果的には、その中に感染者が数名おり、集会終了後、数名の感染者から感染した信者が、全国に散らばって行ったと考えられます。

 フランス当局は、この集会に参加した信者を通じての感染者は、2500件に登ると発表しています。

 しかし、その時点(2月中旬)では、フランス政府のウィルスに対する警戒も緩く、その翌週に、ようやく5000人以上の集会が禁止された状態でした。

 ですから、教会側を一概に責めることもできないわけですが、その後は、自身も感染した自主隔離生活に身を置いた牧師の一人が、信者に向けての説教で、「コロナウィルスは、世界を破滅に追い込むための悪魔の計画だ!だが、神は我々を見守り、救って下さる。」と述べています。

 この教会については、詳しいことは、わかりませんが、宗教、信仰というものは、時として、危険な状況においても、人を動かし、自分の行動を正当化することにも導くことを忘れてはなりません。

 フランスだけでなく、世界各地で、この危機的状況の中、お祈りを捧げるという宗教団体がいくつもあります。祈りたいのは、わかりますが、祈ることは、集まらずともできるのです。

 このような病気や不安が蔓延した危機的状況には、必ず擦り寄ってくる新興宗教も現れます。

 人を救うはずの宗教が感染爆発の震源地になるのは、あまりに皮肉なことです。


<関連>
「宗教の教育」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_85.html