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2024年11月16日土曜日

クルッキー、ブルッキーの次はSOOKIE スッキー?

  


 最近、私はブーランジェリーが気になって仕方がありません。あそこのあれが美味しいとかいう情報が入れば、すっ飛んでいく今まで訪れたことがないブーランジェリー、また、他の用事でいつもはいかない地域に行けば、少なくとも、その通りにあるブーランジェリーは、いちいち覗いて見ないではいられない・・そんな感じです。

 そもそも、パリには、幸か不幸かさすがにブーランジェリーは山ほどあって、食料品を扱うお店が多い通り・・いわゆる商店街のような通りだと、少なくとも2~3軒のブーランジェリーはあるもので、こんなに近くに何軒もあって、両方とも成り立つのかと思いきや、それぞれに、やっぱり、オリジナル感を出していて、工夫しているので、そのどちらも、なかなか魅力的なラインナップになっていて、楽しいです。

 もちろん、あれこれ食べてみたいものは、それぞれにたくさんあるのですが、全て試していたら、爆太りして大変なことになるので、これぞ!と思うものしか買いませんが、見て歩くだけでも楽しいです。

 そして、家のごくごく近所ではなくても、定期的に行く場所の近くのブーランジェリーだったりしても、ちょっと見ない間に新しいものが出ていたりするので、ひと昔だったら、考えられなかったことだな・・と思いながら、チェックを欠かせません。

 ここのところのパリのクッキー人気にクッキー専門店やクルッキー(クロワッサンとクッキーの合体バージョン)やブルッキー(ブラウニーとクッキーの合体バージョン)発祥のお店に行ったりしつつ、ブーランジェリーでもクッキーやらクルッキーはかならず、「ここにもあるある・・」などと在籍確認?をしていたら、ついに、このあいだ、SOOKIE(スッキー?と呼ぶか?スーキーと呼ぶかはわからないけど・・)なるもので、pain swiss(パン・スイス)とクッキーの合体バージョンが誕生していました。

 この「pain swiss パン スイス」というもの自体、あんまり日本ではメジャーな存在ではないかもしれませんが、フランスのブーランジェリーなら、たいていあるヴィエノワズリーのひとつで長方形のパイ生地に薄くクリームとチョコチップが層になって挟まっているパンです。

 そもそも、もうすでにこのパン スイス自体、なにかの合体バージョンっぽい感じでけっこう甘いので、これに、さらにクッキーを合体させるのは、なかなかパンチのあるコンビネーションだな・・と思います。

 私は、これだけブーランジェリーを覗いて歩いていても、一応、糖質とか、カロリーなどは、気にして、すごく罪悪感と闘っているのですが、このクルッキーにしても、ブルッキーにしてもスッキーにしても、どう考えてもカロリー爆弾で、こういうものが流行るなんて、フランス人は、身体のこととか、カロリーとか、あんまり気にしないのかな?と、ちょっと不思議な気持ちになります。

 フレンチパラドックス(高カロリーの食品を摂取しているのに、先進国の中では肥満が少ない)という言葉もそのうち死語になって(すでに死語かもしれないけど・・)しまうかもしれません。

 ここ20年間でフランス人の肥満が急増しているという話もブーランジェリーだけ見ていても、うなずけるような気がします。なんていいつつ、ブーランジェリー巡りばっかりしているのですが・・。


SOOKIE スッキー ソッキー


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2024年11月8日金曜日

フランス人はトランプ大統領の当選をどう受け止めているか?

  


 アメリカの大統領選挙に際しては、フランスでも大々的に取り扱われ、報道各局もメイン級のジャーナリストが現地入りして、アメリカ大統領選の盛り上がりや成り行きを現地から報道するほどでした。

 両候補ともに接戦で、一時は結果が出るのはいつになるかかわからない・・などと言われつつ、案外、あっさりとトランプ大統領が当選が決まりました。

 このトランプ大統領が選出されたことに対して、フランス人はどのような印象を持っているのか? BFMTVの世論調査によると、質問を受けた「フランス人の79%がアメリカの新大統領に対して悪いイメージを持っている」と答えています。

 不人気度は高いけれども、2016年のトランプ氏の初当選の際に比べると、これでも少しは減少しているらしく、当時は、83%が悪いイメージを抱いていると答えていたそうです。

 今回のアンケートの詳細は、51%が「非常に悪いイメージ」を持っており、28%が「かなり悪いイメージ」を持っていると回答したということで、これを合計して79%という数字になっているようです。したがって、トランプ氏に対して良いイメージを持っているのは質問対象者の21%のみということになります。

 調査対象となったフランス人の62%がトランプ大統領の大統領就任に懸念を抱いていますが、この懸念材料の一番、大きなところは、「気候問題・環境問題」であるとしています。これは、2017年6月に米国がパリ協定から離脱したことに起因していると思われ、アメリカ大統領選挙の結果は気候変動との戦いにとって悪いことだと考えているようで、いずれにせよ、トランプ大統領の当選はアメリカとヨーロッパの関係において、また、ロシア・ウクライナ戦争の解決、中東の紛争の解決にとっても、良いニュースではないと考えている人が多いようです。

 このフランス国民の世論を最も象徴的に表しているのがトランプ大統領当選以来のマクロン大統領の言動であるとも言えます。

 トランプ大統領当選の報が流れてすぐに、マクロン大統領は、祝辞のメッセージをXに投稿して公表し、ほぼ、その直後にドイツのショルツ首相と電話会談し、ヨーロッパの連携について、連帯の意思を確認したとポストしています。

 そして、その翌日、マクロン大統領は、ブダペストでの欧州首脳会議の開会時に、「これは我々欧州人にとって決定的な歴史の瞬間だ!今こそ、我々が行動し、国益と欧州の利益を同時に守り、我々の主権と戦略的自治を信じることを決意する時だ!」と宣言しています。

 また、「世界は草食動物と肉食動物で構成されている。もし我々が草食動物であり続けると決めれば、肉食動物が勝ち、我々は肉食動物の市場であり続けるだろう。」 「私たちは雑食動物になることを選択すべきだと思います。私は攻撃的になるつもりはありません。私たちが自分自身を守る方法を知ってほしいだけです。」と比喩的な表現も使いながら、決意を述べ、欧州他国にも呼び掛けています。

 攻撃的になるつもりはないと言いつつ、かなり挑戦的な戦闘態勢な印象を受けます。そもそも、思い返せば、4年前にバイデン大統領が当選した時には、マクロン大統領は、バイデン氏本人を歓迎するというよりは、トランプ氏に取って代わってくれてありがとう!という歓迎の仕方だな・・と思った記憶がありますが、あれから、戦争や紛争が起こるより難しい世界情勢の中、不安を抱くのもわからないではありません。

 しかし、個人的には、トランプ氏が良いか悪いかというよりも、78歳であのエネルギーとパワーは、超人的だな・・と思うのです。


トランプ大統領


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2024年11月4日月曜日

フランスの政治と日本の政治 似ているところと似ていないところ

  


 ここのところ、日本の衆議院選挙のために、日本の政治に関わるニュースはできるだけ見るようにして、自らも在外投票に行き、選挙の行方をうかがっていたら、自民党が大敗し、その後も全く日本の政権は落ち着く様子がありません。

 アメリカも大統領選挙を目前に控え、フランスでもこのアメリカの大統領選については、毎日のように報道しているし、この政権の行方もまた目が離せません。

 フランスは、今年の前半の欧州議会選挙の結果を受けて、マクロン大統領が突然、国民議会の解散を発表して、急に選挙という運びになり、結果は、どの党も過半数に達しない不安定な状態に陥り、首相任命まで1ヶ月近くかかるという異例の事態になりました。

 そもそも、フランスの場合、結果論ではありますが、欧州議会選挙は欧州議会選挙で、国民議会は別として国民議会の解散などする必要もなかったのに、マクロン大統領の暴走ともいうべく解散・総選挙の発表は世間を驚かせました。

 フランスは大統領制なので、日本とはシステムが違いますが、選挙の結果はこれまでのような過半数を持つ政党がなくなり、それでも、第一党となった党から首相が任命されるかと思いきや、そうでもなく、なんとなく不安定な感じです。以前にくらべると政府の求心力が下がった気がします。

 現在、フランスは来年度の予算案の端々が漏れ聞こえてきていますが、とにかくパンデミックや戦争やインフレの際に大盤振る舞いで放出したツケの財政赤字を埋めるために、とにかく引き締め引き締めの話しか聞こえてこない感じで、社会保障費の削減や公務員削減とか、不景気な話ばかりです。

 それでも、日本の政党の政治家たちの攻防を聞いていると、とにかく赤字続きの日本の国民の消費を促し、経済を回さなければ・・などと言っているのを聞くと、特にフランスでのパンデミックでロックダウンになった時などの国の補償がかなり手厚かったことを思い出します。

 コロナウィルスに関しては、フランスは日本よりも被害が甚大で、かなり長い期間、長短の差はあるとはいえ、飲食店や映画館など人の集まる施設が営業できなかった期間、政府は各々の店舗などに前年度の売り上げを基に、補償金を支払っていました。

 それでも、倒産した店舗などもありましたが、それによって救われた人は多かったと思います。

 今から考えれば、大変な大盤振る舞いで、そのツケはそれこそ高くついているのが今の引き締め財政に繋がっているのですが、それでも、ロックダウンが解除され、これまで閉じ込められていた国民は、閉じ込められていた期間に使えなかったお金を一気に使い始めた時期がありました。もともとバカンス好きの国民、ロックダウンが解除されて、皆、バカンスに出かけたり、やたらと買い物したり、その間にため込んだお金を国民は一気に使いました。

 それもこれも、一律10万円とかいう補償でもなく、その人の収入に準じた補償が速やかに支払われたので、これは大したものだったな・・と思います。

 今は、さんざん、ああでもないこうでもないと揉めに揉めた結果で1ヶ月の期間を経て首相が任命されましたが、日本でいう与党がいない感じはフランスも同じです。

 フランスの大統領は、2期8年までしか政権を続けることができない決まりになっているので(8年続けた後は、少なくとも1期休み、その後、再び立候補することは可能です)、日本の自民党ほどには、長期政権ということにはなりませんが、それでも、マクロン大統領も2期目に入った頃からは、かなり強引なやり方が目立つような印象を受けるので、あまり政権が長くなりすぎることは、よくないのかな?と思います。

 ただ、フランスの場合は、あまりにも横暴なやり方をすれば、国民もマスコミも決して黙っていることはないので、たちまち、暴動騒ぎになるし、マスコミも糾弾します。

 すぐに暴れて、街を破壊したりし始める国民に最初は驚きましたが、おとなしすぎるのもいかがなものかと思います。

 国民議会選挙後は、前政権体制に比べて、めっきり発信力が弱くなった感のあるフランスの現政府です。

 日本は、いつまでやってるの?裏金問題・・統一教会問題・・と思うところもありますが、悪いことを罰することができない政治のシステムを変えてくれなければ、どうにもならないので、なんとかしてほしいです。

 色々な意味で、世界中、それそれの国の政情が不安定・・でも不安定だからこそ政府にはしっかりしてほしいものです。


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2024年11月3日日曜日

墓地の値段 リヨン市の墓地価格に社会的価格制度導入

  


 季節柄の話題だとは思いますが、あまり普段は話題にはしないものの、お墓については、多くの人が実は興味のある話題であると思います。

 今、一部では「リヨン市が3月までに墓地の権利料に社会的価格制度を導入する」ということが話題になっており、「はて?墓地使用料とは、いくらくらいなものなのだろうか?」と思いました。

 実際に、我が家も夫が亡くなった時に、家から一番近い墓地ということで、市内の市民墓地に埋葬してもらったのですが、恥ずかしながら、その時は、メンタルがボロボロの状態で、義理の息子たちが全てを手配してくれて、私自身は、ほぼ何もしていませんでした。

 しばらくしてから、墓石は、私が注文して、私が自分で買ったので、墓石の値段は知っているけれど、墓地に関しての契約料には全くタッチしていないので、値段も知りません。

 ただ、墓地も含めて、葬儀にかかった費用等に関しては、夫がけっこうちゃんとした保険に入っていたので、全て保険でカバーできたはずなので、葬儀費用や埋葬費用等の心配はありませんでした。市営墓地なので、そこまで高いとは思いませんが、一応、30年間の契約ということだけは聞いているので、私が死ぬのがそれ以降になる場合は、これを更新手続きしなければならないことだけは、承知していました。

 まあ、まだけっこう期間があるので、期限が近付いてきたら、聞いてみようと思っていました。

 話は脱線しましたが、リヨン市は、「社会的不平等を解消するということ」で、「私たちの考えは、社会正義の概念を葬儀政策に組み込んで、死が新たな社会的不平等を助長しないようにすること」と宣言しており、これまで富裕層に対しても、困窮層に対しても、同じ額を請求していた墓地使用料に収入、資産に準じて3種類の価格設定を行うという発表をしています。

 リヨン市の場合は、現行の市民墓地使用料は、15年間で525ユーロ(約87,000円程度)(墓石などの価格は別)ということで、収入資産にかかわりなく均一価格でした。しかし、今回の改正によって、これに収入・資産によってグラデーションがつけられるようになるのだそうです。

 この社会的不平等解消のためのこの支払料金の調整が「保育園、学校、文化施設などの一定数の自治体の公共政策」に適用されていることを考えれば、これは当然あるべき措置ではないか?と言っています。まさに「ゆりかごから墓場まで」にするということです。

 これは、まだ議案の段階だそうですが、一律価格ではなく、360ユーロ、550ユーロ、750ユーロの3段階になるようです。

 今まで、墓地については、前述したように、墓石以外は、全く関わってこなかったので、あまり墓地使用料について、気にしたことはなかったのですが、たしかに、フランス人の知人で、親が亡くなった時の葬儀にえらくお金がかかって大変だった・・と嘆いていた人がいたので、たしかに、このような配慮をしてくれるのは、ありがたいのだろうなと思います。

 おそらく、パリはもう少し高いのではないかと思いますが、私としては、(自分が死んだ場合)、死んでしまった私に対してお金と手間をかけていただく必要は全くないので、一番簡単でお金のかからない方法にしてね・・と娘に言ってあります。

 私の友人の一人が亡くなった時は、彼女は独身だったということもあるのでしょうが、自分が亡くなったときには、ペーラシェーズで火葬して、お墓のない人のために砂(フランスの場合、砂状になるまで火葬するのが一般的に遺骨ではなく砂という言い方をする)を撒く場所があるので、そこに一緒に撒いてほしいと言い残していたので、彼女の砂はそこに撒かれ、彼女は今、パリの土となっています。

 これを書きながら、思ったのですが、お墓など、面倒なことがなくて、それも悪くないかも・・?と今度、娘に会ったら、提案してみようかとも思います。

 日本の墓地は、どんな具合なのか?これまた、前の世代の人々が買ってくれてあるものなので、全然、値段も何も知りませんが、今後、子どもがいない人などが増えたら、このペーラシェーズの砂山?みたいな場所・・あってもいいのかも?と思います。

 この友人の砂を撒いた日には、行けなかったので、今度、お墓参りがわりにペーラシェーズに行ってみようかと思います。ペーラシェーズはパリの有名な墓地で歴史的な偉人などもたくさん埋葬されている墓地で、お散歩にもなかなか良い場所です。


リヨン市墓地価格 社会的価格制度導入


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2024年11月2日土曜日

お墓参りで毎回、思うこと・・

  


 世間では、最近では、フランスでもトゥーサン(万聖節)というよりは、ハロウィン色が強くなってきていますが、私は、毎年、この時期くらいは・・とお墓参りをする習慣になっています。

 我が家の墓地は、夫が亡くなったときに、まだまだ本人もずっと先のことだと思っていたでしょうが、机の裏側に少しだけ書きかけの遺言のようなものが張り付けてあって、その中に、墓地は、家から一番近い墓地に埋葬してほしいというようなことが書いてあったので、夫の希望どおりに家から一番、近い墓地にしました。

 夫は自分の両親のお墓は、なんだかやたらとお金をかけて、自分の兄の家の近くに建てたので、当然、そこに一緒に埋葬してほしいと思っていると思っていたら、そうではなかったことが、意外でもありました。

 きっと、寂しがり屋だった夫は、できるだけ来てもらいやすい場所を選んだと思うのですが、もうここ最近では、せいぜい、このトゥーサンの時期か、もう一回くらいしか、行かなくなってしまいました。まったく冷たいことです。

 夫が亡くなった直後(埋葬後)は、本当に私自身も身の置き場がない感じで、お休みのたびに毎週のように娘を連れて、お墓に行っていました。トゥーサンなどの特別な時期以外の墓地は、あまり若い人はいなくて、けっこう高齢の人が多いので、私たちは、とても、異色な存在だったと思います。

 今では、正直、当時のことは、ぼんやりとしか思い出せないくらいになりましたが、あまり感情表現が激しい方ではない私が、夫の埋葬の時には、後にも先にも、人生の中であれほど取り乱したということはないというくらいに大声で泣き叫び、恥ずかしながら、「私も埋めて~~!」と泣き叫んだことだけは覚えています。今から思うと娘には申し訳なかったし、埋葬に立ち会ってくれた人々は、きっとドン引きだったと思います。

 まだ10歳だった娘はそんな母親だったからか、妙に冷静で、「きっと墓地の高い壁を越えて、ママの声が外にいる人にまで聞こえたと思うよ・・」などと言われて、ハッとしました。

 週末ごとのお墓参りは、どのくらい続けていたのかも、今ではあんまり覚えていませんが、その後、少しずつ、一人での子育てと仕事の日常に忙殺され、だんだん足が遠のいていきました。

 それでも、この時期は、周囲のお墓も華やかなお花でいっぱいになるので、誰も来ないお墓は、寂しそうで可哀そうだ・・とこの時期だけは、必ず行くようにしています。

 前もって、鉢植えのお花を買っておいて、当日にお墓に行って、夫に心の中で話しかけながら、ひととおりお墓を掃除して、お花を供えてお祈りとお願いをしてきます。

 「久しぶりだね・・元気だった?いやいや、元気じゃなかったから死んじゃったんだよね・・」と毎回、同じことを繰り返していることに苦笑しつつ、私の近況や娘の近況を報告し、「これからも私たちを見守ってね・・いつになるかわからないけど、そのうちに行くからね・・」とお願いして、帰りに「じゃあ、またね!」と言って帰ってきます。

 このお墓の墓石に名前を掘ってもらうときに、一応、二人分の名前が掘れるように、スペースを調整して夫の名前は掘ってもらったので、私がもしもフランスで死んだら、ここに入れてもらうように娘には頼んでいます。

 私は、お墓というものは、自分自身は全くこだわりがないので、(なんなら捨ててくれてもいいくらいだけど、そういうわけにもいかないだろうから・・)、日本にいるときに死んだら、両親が入っている実家のお墓に入れてもらうのでもよいし、一番、簡単な方法にしてね・・と言ってあります。

 本当に偶然ではありますが、夫の命日は、トゥーサンの日のすぐあとで、彼が亡くなったときも、トゥーサンのバカンスが終わった直後だったことを覚えています。

 今は、娘も義理の息子たちも遠いところに住んでいるので、恐らく私の他には、誰も来ないと思われる夫のお墓なので、せめて、私くらいは行ってあげなくちゃ・・と思うのです。

 実際に、もう長いこと誰も来ない、来られないのか、もう苔が生えているようなお墓もあります。歳をとってくると、病気とお墓の話題が多くなるなどと言いますが、とりあえず、私は、フランスでも日本でもお墓の心配はありません。


トゥーサン お墓参り


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2024年11月1日金曜日

パリ中心部に交通制限ゾーン(ZTL)が設置

  


 パリ警察長官は、パリ中心部に交通制限区域(ZTL)を設置し、1区、2区、3区、4区の車両通行を禁止する命令に署名しました。この措置は、11月4日から開始されます。

 これは、車で占拠されている公共空間を解放し、首都中心部の大気汚染と騒音を軽減することが目的で、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏の選挙公約でもありました。

 現在、パリ中心部のこのゾーン内を循環する車両の数は、1日あたり35万台から55万台(ずいぶん幅があるな・・)と言われており、この交通量のかなりの部分はそこで停まることなくこの地域を通過する車両であるといわています。

 この車両通行禁止は、もちろんバス、タクシー、VTC車両は除外されるほか、この地域の住民、従業員、配達員、患者、店舗、企業、レストラン、劇場、映画館などの顧客も除外されます。つまり、この地域を通過するだけの車が排除されるということで、この地域を通過していた車両は、この中心部を避けてぐるっと遠回りをしなければならないことになります。

 また、1区、2区、3区、4区の中でも高台の岸壁、サンルイ島、シテ島はこの交通制限区域から除外されています。

 しかし、そもそもパリ市内を車で移動することは、渋滞や駐車スペースなどを考えても、どう考えても、合理的ではなく、私などはもうとうの昔にあきらめていますが、これで少しでも車が減ってくれることはありがたいことだと思っています。

 このシステムは少なくとも3か月(あるいは6か月)の予備的準備期間を経た後、このZTLから「出る」際には電動車両のチェックが強化される見込みになっています。

 将来的には、在留カードと自己申告制度がオンラインで導入され、同時にカメラによるナンバープレートの読み取りに基づいて違反をチェックする予定だそうですが、この自動カメラ撮影による制裁を可能にする規制と法律の変更が現段階では整っておらず、法律改正を待つ間は、一体、1日50万台以上と言われる車両通行のチェックをどうやって行うのかは、かなり厳しい話ではないかと思っています。

 とはいえ、これに違反した場合は、罰金135ユーロが課せられるということです。

 この類の通行禁止は、パリオリンピック開会式前の状況を彷彿とさせる感じがありますが、あの時は、パリ中がものすごい警戒体制で、警察官や憲兵隊がMAXで出動しており、そもそも、あの厄介な通行制限や行動制限にウンザリして、多くのパリジャンがパリを脱出していて、パリはガラガラになりました。

 今度は、車両通行のみの制限で、日常的、恒久的に続けられるものであり、そのために膨大な数の警察官を配置というわけにもいかないだろうし、しかも多くの例外があり、一体、どの程度、みんなが遵守するのかと思いますが、成り行きを見守りたいと思います。

 しかし、様々な取り組みにどの程度の成果があがるものなのかはわかりませんが、色々と問題点をあぶり出して実行していくのには、エネルギーを感じます。

 

パリ中心部に交通制限ゾーン(ZTL)


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2024年10月29日火曜日

最近、パリでやたらとクッキーが目につくようになった・・

  


 暇さえあれば、美味しいものを探して歩いている私ですが、パリには、たくさん美味しいものがあるとはいえ、やっぱり一番お手軽で、一番美味しいのは、パンやヴィエノワズリー、ケーキなのではないか?と思い至るところもあり、もっぱらブーランジェリーやパティスリーなどを巡り歩いているのです。

 そもそもブーランジェリーやパティスリーはさすがに店舗の数も多く、食品店の多い通りなどだと、一つの通りにブーランジェリーは何軒もあったりして、それこそピンキリとはいえ、一般的なレベルは高く、思わぬおタカラ(美味しいもの)を見つけたりもするのです。

 以前(といっても、私がまだパリに来たばかりの20年以上前の話ですが・・)は、ブーランジェリーといえば、だいたい、どこへ行っても同じようなものしか売っていなくて、たいていは、パンは別としてもヴィエノワズリー(クロワッサン、パンオショコラ、ショッソンオーポム、パンオレザンなど)とりんごや梨、季節の果物のタルト、フラン、ベニエ(揚げパンみたいなものでたいていチョコレートクリームなどが入っている)、パリブレスト、エクレア、ミルフィーユなどで、「まったくフランス人はいつも同じものばかり食べていて、飽きないのかな?」などと思ったものでした。

 それがここのところ、ケーキの種類もグッと増えました。そして、もうひとつ、特に目につくようになったのは、どこのブーランジェリーやパティスリーに行っても、必ずクッキーが置いてあるようになったことです。

 駅のパン屋さん(クロワッサンなどのヴィエノワズリーに加えて、サンドイッチや簡単なケーキ類を売っている)などにも必ず、大ぶりなクッキーが並んでいるのです。

 いくら大ぶりとはいえ、1枚3ユーロ程度なので、なんとなくクッキーにしては、高いな・・コスパ悪いし、クッキーなら自分で焼ける・・などとケチな根性が頭をかすめるため、これまで、このようなクッキーを買うことはありませんでした。

 しかし、次第にパリ市内にもクッキー専門店というものが増えだして、「えっ??クッキーだけで、成り立つの?」と思ったりしていました。

 先日、たまたま、別のお店に行こうとしていた時に、このクッキー専門店のひとつをみかけて、全然、買うつもりはなく、クッキー専門店ってどんな感じなのかな? いくらくらいするのかな? どんなクッキーを売っているのかな?と覗いて見ていたところ、お店の人が味見してみますか?と言ってくれたので、「えっ?うれしい!!ぜひぜひ!」と、クッキーの試食をさせてもらいました。



 全然、期待せずに、おもむろに口に入れてビックリ!クッキーだからサクッといくものかと思ったら、表面は、乾いているのですが、中はしっとりフワッとしていて、私のこれまでのクッキーの概念を打ち砕くものでした。

 これまで日本でもイギリスでもアメリカでも、クッキー専門店などには、行ったことがないので、他の国のクッキーというものがどういうものなのかは知らないのですが、この表面は、乾いているけど、中はしっとり、むしろ、半生タイプみたいな感じが新鮮で、思わず、一つ買っていきたくなりました。

 考えてみれば、最近、人気になっているクルッキー(クロワッサン+クッキーの合体バージョン)のクッキーの部分もこのしっとりタイプのクッキーで、つまり、フランスに伝統的に存在するクロワッサンにさえも合体させてしまうほど、なぜかクッキーは今、パリで人気なのです。

 今のところ、そんなにたくさんのクッキー屋さんを知っているわけではありませんが、どうも、パリのクッキー屋さんの大ぶりなクッキーは、表面が乾いていて、クッキーの形ですが、中身は、しっとりしていて、どちらかといえば、ケーキにも近いようなものが多い気がします。

 偶然とはいえ、また、ひとつ見つけてしまった私のグルメターゲット・・。私はつくづくダイエットとは無縁のようです。



パリのクッキー専門店


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2024年10月27日日曜日

パリで美味しいクスクスが食べられるお店 Le 404 と La mosquée

  


 日本でどの程度、「クスクス」というものが食べられているのかわかりませんが、私が初めて、クスクスを食べたのは、考えてみたら日本で、しかもフランス人の家庭に招かれたときのことで、「クスクスパーティーするからおいでよ!」と・・。当時は、「クスクスってなに?アフリカの食べ物だよね・・珍しいものが好きなフランス人なんだな・・」などと思ったような記憶があります。

 クスクスは、小さな粒状のパスタみたいなもので、これを蒸してバターやオイルでパラパラにしっとりさせて、これにシチューのようなものをかけたり、サラダのように野菜と混ぜたりして(フランスではタブレと呼んでいますが・・)食べます。

 フランスに来る前に私たちは、2年間西アフリカのコートジボアールに住んでいた時期があったので、それこそ、クスクスの本場、マルシェでもテイクアウトで食べられるクスクスが売っていたし、クスクスだけではなく、似たような形状のアチェケ(原料はキャッサバ)というものもあったりして、こちらはクスクスよりも若干モッチリしていますが、似ていて、主食というか、肉・野菜などのシチューのようなものや魚料理などと一緒に食べたりします。

 形状的には、お米よりも細かくて食べやすいために、アフリカの人は、赤ちゃんにもこれを食べさせたりして、離乳食のようにもしていたので、アフリカで生まれた娘には、赤ちゃんの頃からこれを食べさせたりもしました。

 アフリカにいた頃は、家にお料理をしてくれるボーイさんがいたので、クスクスを作ってもらうだけでなく、作り方を教わったりもしました。

 それこそ、地方や家庭によって、材料も様々なのですが、多くはトマトベースでお肉、様々な野菜やひよこ豆などを入れる、栄養的にもとてもバランスの良い食事だと思います。

 そして、フランスに来て、ビックリしたのは、フランス人にとって、このクスクスはかなりポピュラーで一般的なお料理で、これってフランス料理だった?と思うほど、よく食べられている食品で、もしかしたら、日本で言うカレーのような位置づけのお料理かもしれません。

 以前は、もっとたくさんクスクスがファストフードのような感じで安価に食べられるお店が多かったような気がしますが、気が付いてみれば、時代の変化かこのお手軽な感じのクスクス屋さんはずいぶん減ったような気がします。

 以前は、お金のない学生などは、今日もクスクスでいいね・・なんて言っていたと思うのですが、このクスクスの位置は、ケバブやハンバーガーに置き換わったような気がします。

 私自身、自分でも作れるので、何も外でクスクス食べなくてもいいかな?とあまり、外でクスクスを食べようとも思わなかったのですが、ここ最近、クスクスの美味しいお店・・というのを見つけて、立て続けに行ってみたら、けっこうボリュームもあって、スパイスなども自分で作るのとは一味違ったり、またお店の内装がちょっとオリエンタルな感じで素敵だったりしたので、ちょっとご紹介したいと思います。

 ひとつは、Le 404 というお店で、入口はけっこう地味だけど、中に入ると素敵な空間が広がっているお店。クスクスだけでなく、ケフタやタジンなど、モロッコ料理?全般、けっこう有名なお店らしいです。気候の良い時期ならテラス席のある中庭も気持ちよいです。




 もうひとつは、 La mosquée モスケというだけあって、もっと大規模な空間で、もっと異国情緒溢れる空間でハマムなども併設しています。ただ、場所的に、ちょっと行きづらいかもしれませんが、なかなかゆっくり、ゆったりできます。猫ちゃんがウロウロしていたりして、となりの席にやってきたりするのもご愛敬です。






 どちらもボリュームたっぷりで、お店の人も至極感じよく、デザートなどもアラブならではのお菓子が山盛りになっているので、(ただデザートまで食べるお腹の余裕がなくなる可能性大ですが・・)そんなところも楽しいです。

 どちらもお値段は、比較的、良心的な価格。パリでのランチとしたら、ごくごくふつうのお値段ですが、かなりボリューミーですので満足できると思います。

 なにも、パリでクスクス食べなくても・・と思うかもしれませんが、クスクスはほとんどフランス人の国民食といってもいいくらいポピュラーな食事・・フレンチに飽きたら、ちょっとトライしてみるのも、楽しいかもしれません。


🌟  Le 404            69 Rue des Gravilliers 75003 Paris 

🌟  La mosquée     39 Rue Geoffroy -Saint-Hiliare 75005 Paris


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2024年10月26日土曜日

久しぶりのオルセー美術館 予約なしでも、あんまり並ばずに済んだ・・

 


 いつでも行けるのに、結局、なかなか行かない場所のひとつに美術館などがありますが、その行かない理由に大行列が嫌だ・・という理由があります。ルーブル美術館にしてもオルセー美術館にしても、なんとなく、いつも、ものすごく行列しているというイメージがあって、あの行列に並ぶのはなぁ~~と思ってしまいます。

 もっとも、最近は、ほぼ予約制で事前にネットでチケットが買えるようになったので、予約していけばよいのですが、それさえも、お天気の悪いことの多い最近では、事前に予約しておいて、その日は大雨・・なんていうことになったら嫌だ・・という全くのわがままで予約するのも躊躇われるのです。

 私は、あまり絵画や美術品に詳しいわけではないのですが、やはり美しいものに囲まれた空間は、心が満たされるような気分になるものです。

 娘が小さい頃に一時、娘が美術館にハマったことがあり、やたらと美術館に行きたがるので休みの日になると度々、美術館へ通ったこともあったりしたのですが、それ以来、一度、ロックダウンの明けたすぐあとに、今なら、ルーブルガラガラだよ!という話を聞いて、すっ飛んで行ったことがあったくらいで(本当に、あの時は、もう二度とあんなことはないと思うくらい空いていて、ほぼほぼ人のいないルーブルを堪能しました)、その後は、ほとんど美術館には、行っていませんでした。

 それが、急に思い立って、「そうだ!今日はオルセーに行ってみよう!予約していないけど、ダメならダメでいいわ・・お散歩がわりと思って行ってみよう!」と思い、出かけたのでした。

 ルーブル美術館は、恐ろしく中も広いので、見て歩くのも大変だけど、オルセー美術館は、そこそこ、そんなに抵抗なく歩いて回れる範囲内、しかも、あんまり絵画に詳しくない私でも、「ああ~これ見たことある!この絵は、ここにあったんだ!」と思うような絵がけっこうあるので、楽しみやすいのです。

 予約していないのだから、ある程度の行列は覚悟していたものの、ほぼ予約制になったからなのか?行列は思ったほどでもなく、15分ほど並んで入れました。これくらいなら、全然OKです!




 要は、まず入場するために行列するのは、荷物チェックのために並んでいるのであって、わりと、行列もどんどん進みます。

 今は、観光客だけでなく、トゥーサンのバカンスのために子ども連れの家族もけっこういて (全てのパリの国立美術館は25歳以下の子ども、若者は無料)、そういえば、夫が存命中、休みといえば、娘をミュゼ(美術館や博物館)に連れ歩いていたことを思い出したり、後ろに並んでいた年配の女性がこのバカンス中のミュゼ巡りの予定を今日はオルセー、明日はケ・ブランリー、その次は・・などと、とうとうと語っているのが聞こえてきたりしました。









 こんなにすんなり入れるなら、少しは勉強してから来るんだったな・・などと思いつつ、自分のペースで好きに美術館内を廻る時間はなかなか心地よいものです。




 オルセーの中のレストランはなかなか悪くないという話だし、カフェもちょっとおしゃれな感じでお値段もそこそこで、市内のレストランやカフェと比べても、そんなに高すぎることもなく、かなり賑わっていました。

 最近は、オルセーといえば、その絵画や彫刻とともにシンボル的になっている時計のシルエットが撮れるインスタスポットもなかなか賑わっていて、ああ~これだったか・・と見てきました。


 家からも30分くらいで来れるし、そんなに並ばなくてもいいんだったら、もっと頻繁に来てもいいな・・と思いながら、芸術の秋だ・・などと、一人ごちて気分よく帰途につきました。

 ちょうどオルセー美術館の正面には、レジオン ドヌール勲章博物館もあります(こちらは、大人も入場無料です)。

 行くまでは、なんとなく億劫でも行ってみるととてもよいところは、なんかジムみたい・・とか思いながら、こういうものは、気負わず、リラックスして日常と違う空間に身をおく、とても良い場所だな・・などと思いつつ久しぶりの美術館を楽しんできました。


オルセー美術館


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2024年10月25日金曜日

ノートルダム大聖堂に入場料5ユーロは有りか?無しか?

  


 2019年に発生した大火災から、5年間の再建期間を経てパリ・ノートルダム大聖堂は、12月7日に公開を再開する予定になっています。再公開まで2ヶ月を切るタイミングで、文化大臣がノートルダム大聖堂入場を有料にすることを提案し、賛否両論の嵐が巻き起こっています。

 彼女が提案しているノートルダム大聖堂入場料5ユーロは、年間訪問者数が1,500万人にも及ぶパリ・ノートルダム大聖堂には、年間7,500万ユーロ(約118億円)をもたらすことになります。この入場料による収入で「宗教遺産を保護する大規模な計画」に資金を提供することが可能となり、「ノートルダム・ド・パリはパリとフランスのすべての教会を救い、それは素晴らしい象徴となる」と説明しています。

 フランスでは、特定された約5万の礼拝所のうち、5,000の宗教的建造物がその持続可能性への懸念を引き起こしており、緊急の介入が必要な状態にあると言われています。

 一方、フランス司教会議は、「これらの祈りの場所へのアクセスは無料でなければならない、アクセスに価格を設定することは、それを観光目的と商業目的に歪めることに等しい!この提案は、フランスで施行されている法律に反するものである!」と主張しています。


 政教分離に関する1905年以来の法律は、ノートルダム・ド・パリなどの歴史的建造物に分類される教会や大聖堂へのアクセスは「無料」のままでなければならないと規定しており、この法律の第 17 条には、「建物の訪問および機密の動産の展示は公開され、いかなる税金や料金も発生することはない」と書かれています。

 パリ・ノートルダム大聖堂は宗教的施設であると同時に多くの観光客が訪れる場所であり、この5年間も、たとえ、入場できないことがわかっていても、たくさんの観光客が常に集まっていました。

 観光客にとって、5ユーロという金額は、決して、他の観光施設に比べて高い価格?設定ではないと思いますが、それが祈りの場でもあり、宗教施設だということには、多少、引っ掛かりを感じないでもありません。

 しかし、カトリック教会全体を救うために資金が必用であるということで、その資金集めをするためであれば、入場料を取る(信者からはとらないそうですが・・)ということも、理解できないではありませんが、それを政府が提案し先導するということには、抵抗を感じます。

 パリ・ノートルダム大聖堂は、1905年に制定された法律以前に建てられたため、国家の所有物であり、カトリック教会が譲受人であると規定されています。所有者であるとはいえ、政教分離の立場からいえば、国が介入しすぎることは、いかがなものかと思います。

 ただでさえ、ノートルダム大聖堂の改築に関しては、火災での被害を逃れたにもかかわらず、マクロン大統領が「現代的ステンドグラスプロジェクト」などと、現代的デザインのステンドグラスに置き換える方向で国家遺産建築委員会(CNPA)(15万人の嘆願書も添えている)の大反対を無視して進めようとしている経緯などもあり、どうにも政府が先導しようとしているイメージが強いのです。

 政教分離というのは、けっこう大切なことだと思うのですが・・。

 

ノートルダム大聖堂入場料5ユーロ


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2024年10月24日木曜日

感情的に子どもを叱ったり怒鳴ったりするのは、逆効果だと思う

 


 今、パリの学校はトゥーサンのバカンス期間に入っていて、バスやメトロなど街中でやたらと子ども連れの人々を見かけます。

 プールなどに行ってもおじいさんやおばあさんが孫を連れてきていたり、特に孫と祖父母の組みあわせを微笑ましく見ています。

 この間、バスの中でおじいさんとおばあさんが孫娘を連れて乗っていて、5~6歳くらいの女の子がやたらとカラフルなあやとりを持って遊んでいて、「うわぁ・・今のあやとりってこんなにカラフルできれいなんだ・・ちょっと長めなんだな・・ていうか、フランスにもあやとりあるんだな・・うちの娘はやっていなかったな・・」などなど思いながら、微笑ましく見ていました。

 あやとりで何を作るのかな?と思っていたら、なんだかマジックみたいなしかけで突っ込んだ手がいつの間にかはずれるというトリックをやってみせるのをおばあさんではなく、おじいさんがやたらとごつごつした手で一緒に相手をしてあげているのが微笑ましい感じでした。

 この夏休みとノエルの中間にあるトゥーサンのバカンスは比較的、親は仕事をしていて、子どもと一緒にバカンスをとる人は少ないのかな?とも思いますが、このおじいさんやおばあさんと過ごす短い時間もけっこう良い時間なのではないか?とも思います。

 かと思うと、小さな子どもを4人も連れたママがメトロにいて、なんだか、やたらと子どもを叱りつけていて、ところが、それが全く説得力がなく、子どもはあまり言うことを聞きません。だいたい、やたらと大きなバギーを狭いメトロの真ん中に斜めにど~んと置いて、もう少し隅に寄せるとかしたらいいのに・・子どもを叱りつけながら、自分はなにやら携帯をいじっています。

 まだ、幼稚園に行くか行かないかくらいの子どもたちなので、言うことをきかない子もいるでしょう。普段はあんまり見かけませんが、そういえば、パリに引っ越してくる前に住んでいた家の近所に、こうやって、四六時中、子どもを叱りつけている親がけっこういたな・・と思い出しました。

 だいたい、そういう親は、「早くしなさい!黙りなさい!静かにしなさい!」など、おんなじことをかなり感情的な𠮟り方をして、どなりつけているのですが、そんな様子を見かけると、「あなたの方がよっぽどうるさいんですけど・・」とこっそり思っていました。

 そのうち、メトロの中で、子どもがふざけ出したら、「Ça va pas la tête ?」(サ・バ・パ・ラ・テットゥ?」(頭おかしいんじゃない?みたいな意味です)と怒鳴って、びっくり・・内心、「サ・バ・パ・ラ・テットゥって久しぶりに聞いたな・・しかも、子どもに大声で、しかもメトロの中で怒鳴る??」と思っていました。

 感情的に怒鳴って子どもを叱る親の子どもは、概して、むしろ、全然、言うことを聞かないような気がします。最近は、小さい子どもと接することもないし、当然、そのくらいの子どもを持つママともパパとも接点がないので、よくわかりませんが、普段は、こういう親子はあまり見かけない気がしています。

 うちの娘は、パパがとても厳しく・・というか、滅多に怒らなかったけど、怒るととても怖かったので、聞き分けがなくて、困ったという記憶はほとんどなく、私もたいていのことには、うるさくは言わなかったけど、ダメなことはダメと絶対にグラついたりしなかったので、やけに諦めよく、考えようによっては、要領よく、無駄に駄々をこねるようなことはしない子どもでした。

 うちには、娘が一人だけだったので、これが2人~3人といたら、また違っていたかもしれませんが、賢明な家庭の子どもは、子どもが2人いても、3人いても、そんなに激しく公共の場で子どもを叱りつけたりしない気もします。それ以前に、子どもは、もうすでに公の場での振る舞いを心得ている感じで、叱りつけるまでもなく、きちんとしています。

 むしろ、娘が小さい頃に日本で水族館に連れて行ったときに、子どもがあまりに聞き分けがなく、うるさいのにビックリした覚えがあるくらいです。しかし、これも、かなり昔の話なので、今はどうなっているのかわかりませんが、私としては、親は、四六時中、くどくど口うるさく叱らずに、ここぞというときに、落ち着いて言い聞かせる方が効果的な気がしています。

 やっと夏休みが終わって、ようやく学校が始まって落ち着き始めたと思ったら、またバカンス・・トゥサンのバカンスが終われば、またしばらくすると、今度はノエルのバカンスです。子どもが小さい頃は、本当にこのバカンスに追いまくられて大変だったな・・と、今はそんな子どもたち、親たち、おじいさん、おばあさんを見ながら思い出すのです。


子どもの叱り方


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2024年10月22日火曜日

「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事

  


 先日、仏レゼコー紙に掲載されていた「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事を見つけて、あらためて、1990年代からの日本経済の失敗が紹介?されていることに、愕然とする思いでした。なんか身内同士で悪口を言い合うのはまだしも、外野から言われると傷つく・・そんな気持ちでした。

 その記事によると、「多額の債務、不動産バブルの崩壊、人口の高齢化、成長の鈍化、デフレの蔓延、米国との緊張を悪化させる重商主義(重商主義は、国家の輸出を最大化し、輸入を最小化するように設計された国家的な経済政策)、そして消費よりも投資に基づいた経済モデル。 2024 年の中国には、1990 年代初頭の日本と、いくつかの厄介な類似点がある・・」と始まります。

 「日本は、長年にわたる過剰債務によって生じた不動産バブルの崩壊後、長期間のデフレと低成長を経験している・・一方、中国の公的債務と民間債務の総額はGDPの245%に達しており、30年前の日本よりも高い水準にあり、中国の労働人口は減少に転じており、2050年までに総人口は2億人減少すると予想され、中国の人口動態の変化は、やはり日本よりも早いと見られている」

 「中国経済において輸出は依然として重要であり、かつての日本のように米国からの保護主義波の圧力を受けている・・不動産バブル崩壊後の中国の家計の不信感が貯蓄を促し、内需の圧縮が起こり、経済全体を弱体化させているにもかかわらず、供給側政策を実践し続けている・・しかし、歴史上、GDPに占める消費の割合が増加せずに先進国の生活水準に達した国は例がない」

 「輸出と投資だけでは経済を永久に推進するのに十分ではなく、これを続ければ日本と同様の罠に陥る危険があり、ほとんど進歩していない生活水準に留まり続けることになる」とエコノミストが強調しています。

 しかし、1990年代の日本と現在の中国を明確に区別できる点もあり、現在の中国のGDPは、30年前の日本を上回っており、何よりも、中国は国家が経済分野全体を支配しているということで、為替レートは当局によって設定されており、これにより人民元の過小評価が維持される。したがって、日本に起こったことは中国には起こらない。

 1985年に日本はドル安と円高を目的とした米国および欧州諸国とのプラザ合意に署名し、その結果日本の輸出の活力が低下したが、中国は政府が大手銀行と金融セクターの大部分を管理しており、資本規制により貯蓄の国外流出が防止されているという事実により、中国は、そのディリジスト・モデルが生み出す過剰投資や不良投資に関連する損失を経済主体に配分することができるようになっているが、日本のような自由主義経済には当てはまりませんでした。

 「最近の不動産部門の粛清はその一例で、10月に発表された再建計画では、大手銀行の資本増強が計画されておる、政府は不動産部門の統合を推進することで、不動産リスクを小規模銀行から大規模銀行に移している・・したがって、中国は経済の「日本化」を回避する可能性を秘めていると思われる」

 「多額の債務、輸出に依存したモデル、高齢化、成長の鈍化」最後に再び、このワードを羅列して、「1990 年代の日本に似ている地域がもう 1 つあり、それはヨーロッパです」と締めくくっています。

 私もそんなに経済について詳しいわけではないので、ご丁寧に説明してくれてありがとう・・と半分、嫌みというか、自虐的な思いで読みながら、この記事に一貫して書かれていることは、日本がこの30年間の失敗経済・失敗政策のモデルのように使われていることで、いかに日本がダメであったか? 経済の「日本化」=経済の失敗という意味で引用されているわけで、事実だから仕方ないとはいえ、つくづく情けない気持ちになりました。


経済の日本化


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2024年10月21日月曜日

サノフィ・ドリプラン売却問題に政府が介入 Bpifrance(フランス公的投資銀行)の役割

  


 フランス最大手製薬会社「サノフィ」がフランス人がもっとも利用している薬「ドリプラン」等の一般市販薬部門の子会社の株式をアメリカのファンドCD&Rに50%売却することが発表され、ほぼ、合意に達したというニュースは、かなり衝撃的に取り扱われていました。

 サノフィは、この株式売却に関して、「より収益性の高い医薬品に注力したい(同社の主力分野である免疫学での治療法の開発を優先したい)」という方針によるものであるという説明をしていましたが、これは、フランスの大企業(正確には、ドリプラン等の一般市販薬部門は子会社になっている)とはいえ、一民間企業であり、国が介入できる問題ではないと思われてきました。

 この薬はパラセタモール(鎮痛・解熱剤)で、実際には、すでに国内で生産されている量は減少していて、その生産は海外で行っているために、いざというとき(パンデミック時など)に薬が不足して、国内に入ってこないような事態が起こったために、今後は、国内生産に切り替えていくと発表していました。しかし、この発表をしたのは、一方的に政府が発表しただけで、それに対してのサノフィとの話し合いが水面下で行われていたのかどうかは、不明です。

 しかし、今回のサノフィのドリプラン等の子会社売却で、フランス国内にあるドリプランを製造していた工場等は大騒ぎ・・しかし、子会社株の50%が売却される以上、収益性を追求して・・というのであれば、現状が継続されることは考えにくいと思われてきました。

 その後、もう為す術もなく事態を見守るしかないと思いきや、このドリプラン問題について、経済財務大臣(フランス政府)は、突然、このサノフィの子会社の株式を取得するために、サノフィ、アメリカのファンドCD&Rの間で「三者合意」に達したと発表しました。

 すでに話がまとまりかけていたサノフィとアメリカのファンドCD&Rとの間によく割って入れた・・というか、なんらかの計画ありきで、投資するつもりであったこのファンドCD&Rが同意したな~と思うのですが、これまた政府もよく割って入れたな・・と驚いています。

 フランス政府は、この株式取得をBpifrance(フランス公的投資銀行)を通じて行うことも同時に発表しています。

 このBpifrance(フランス公的投資銀行)は、フランス経済の原動力であり、ビジネス創出に対する支援やマネジメントに必要なパートナーシップ、投資を行っているところで、協調融資、共同投資、自己起業家コミュニティ、地域、フランス 2030、DGE、DG Trésor、CDC、省庁などとパートナーシップを組んで国を動かすことを可能にしているメカニズムを持っていると公表しています。

 つまり、今回は、政府はBpifranceを通じて、「雇用、生産、投資」に関する国の要件を確実に遵守することを目的として、株式を取得し、この会社の取締役会に参加し、介入することができるようになるということで、このドリプランの国外退去?の防波堤になることができるとしています。

 しかし、このサノフィ・ドリプランに関する報道は、二転三転しているので、今後もまた、ビックリ展開があるかもしれませんが、国民の健康を守る(必要な薬品の国内生産を確保)という約束を必死に政府が守ろうとしている姿勢には、すごいな・・と思ったのです。

 このビックリ展開は、このBpifranceが取得する株式はたったの2%とのことで、これでは、大きな影響力はないのでは?と再び、不安の声が上がっています。


ドリプラン Bpifrance(フランス公的投資銀行)


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2024年10月19日土曜日

クルッキー(クロワッサン+クッキー) の元祖 Maison Louvard メゾン・ルヴァール

  


 今、クロワッサンの進化系バージョンの「クルッキー」が人気急上昇ということで、これは一度、食べてみたい!と思い、この元祖「クルッキー」のお店に行ってきました。



 これは、クロワッサンにソフトタイプのクッキーをプラスしたもので、発売当初は1日30個ほどの売り上げだったものが、現在では、同店舗で1日1,800個は売れているとのことで、このお店は、けっこう大きめなブラッスリーと併設されていて、ブーランジェリーの部分は、小さい間口のお店で、そんなに人気で現在、パティスリー界のトレンドとも言われているものの発祥地としては、小さいブーランジェリーです。




 このクルッキー人気は、SNS(特にTikTok)で拡散され、現在では、ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなどにもこのクルッキーレシピが広まっているのだそうです。

 このクルッキーが誕生したのは2022年のことだそうで、これを考案したルヴァール・パティスリーのトップパティシエ、ステファン・ルヴァールは、世界中がコピーするようになってこそ本物だと胸を張っているのだそうです。

 最近はSNSでの情報拡散の方が先行されるのか、こうなってくると、逆にパリジャン紙などが後から取材に来て追随するようになり、このパリジャン紙に掲載されたものや、テレビで紹介された模様などが店頭に飾られてもいます。

 このクルッキー、テイクアウトだと1個5.9ユーロ、ブラッスリー内で食べる場合は7.1ユーロと値段が異なります。

 私は、今回、このクルッキーともう一つ、クッキー+ブラウニーの「ブルッキー」を買って帰りました。



 食べる前に軽くオーブンで温めて食べるとより美味しくなります。

 ふつうのクロワッサンがだいたい1個2ユーロ程度であることを考えれば、けっこうお高めなお値段ではありますが、まあクッキーの部分もあることだし、こうなってくると、もう一つのケーキみたいな感じでもあるので、そう考えれば、まあまあ許容範囲内ではあります。

 ブルッキーの方は、さらに少々お値段が上がり、テイクアウト6.9ユーロ、イートインだと8.1ユーロです。

 とにかく、かなりのボリュームでちょっと一度に食べきってしまうのは、罪悪感がありますが、よく言えばお得感もあります。

 個人的には、できれば別々に食べたい気もしますし、私はどちらかといえば、ブルッキーの方が好みでした。

 しかし、クロワッサンだけでもかなりのカロリーのところを、そこに大胆にもソフトクッキーがつけ足されているのですから、カロリー爆弾であることには、違いありません。

 しかし、これだけ話題になり、世界中に広まったクルッキーの元祖のお店・・やはり、一度くらいは試したいではありませんか?


🌟Maison Louvard   11 rue de Châteaudun, 75009, Paris

クルッキー


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2024年10月17日木曜日

カフェのテラス席がムートンで覆われる季節

  


 フランス人は本当にテラス席が好きで、特に気候の良い時期、夏などは、パラソルがあったりもするけれど、それでも陽の当たるテラス席で太陽を浴びながら食事をしたりカフェやちょっとしたドリンク類を飲みながら、ひたすら喋っている人もいれば、悠々とひとりで新聞を読んだり読書したりしている人もいます。

 暑い夏の間なども店内なら、冷房が効いているのに、それでも、多くの人は、テラス席を選ぶので、テラス席は満席でも店内は人もまばら・・なんてこともあります。なので、テラス席を潰してしまったら、かなり売上げは激減してしまうのではないか?と思うし、テラス席を工夫することは、とっても大切なことなのです。・・といっても、どこも似たり寄ったりの場合が多いですが・・。

 私などは、暑くもなく、寒くもなく、天気もよくて・・などの好条件が揃えば、テラス席もよいけれど、どちらかというと、店内の方が落ち着くな・・と思ってしまう方です。

 テラス席にも色々あって、お店の外のスペースギリギリなところに小さめのテーブルがわりとぎっしりと並んでいて、しかも歩道との境目がこれまた狭くて、車の通りもけっこうあったりする場所などだと、人の行き来も煩わしいうえ、こんなに埃と排気ガスを吸いながら、それでもテラス席がいいの??などと思ってしまいます。 

 私などは、暑くもなく、寒くもなく、天気もよくて・・などの好条件が揃えば、テラス席もよいけれど、どちらかというと、店内の方が落ち着くな・・と思ってしまう方でしたが、場所にもよりますが、行き交う人の様子を眺めながら、ゆったりした時間を過ごすのもなかなか楽しいものだ・・とも思うようになりました。

 テラス席にも色々あって、お店の外のスペースギリギリに小さめのテーブルがわりとぎっしりと並んでいて、しかも歩道との境目がこれまた狭くて、車の通りもけっこうあったりする場所などだと、人の行き来も煩わしいうえ、排気ガスを吸いながら??などと思ってしまうのですが、それでもテラス席が好きな人が多いです。

 冬になってくると、テラス席用の暖房が入りますが、これ・・本来は2021年に環境問題からテラス席用の暖房が禁止になったはず・・だと思っていたのですが、本当に消滅していない気がしています。


 この間、パリ市内を歩いていたら、カフェのテラス席に早々にムートンが敷かれているカフェがあり、そういえば、ここあたりのカフェは、冬になるとムートン敷くんだったな・・と思って、周囲のカフェも覗いてみると、やっぱり違う色のムートンが敷かれていました。



 考えてみれば、近くのカフェでこれをやられたら、どうしてもムートンが敷いてある方に座りたくなるのは、心情だと思うので、負けじと周囲のカフェもムートンを敷き始めるのはわかる気がします。

 こんなフカフカムートンには、ついつい、なんとなく腰をおろしてみたくなる誘惑にかられます。今はまだ、そこまで本格的な寒さではありませんが、外で暖房をつけ、ムートンを敷いてでもテラス席を盛り上げようとしているのがパリらしいところです。

 

テラス席のムートン


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2024年10月13日日曜日

平均寿命はどこまで延びるか?

  


 INSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、2023年のフランスの平均寿命は、男性で 80.1歳、女性で85.8歳に達し、2022年と比べると、かなり明らかに伸びています。

 実際に、マスコミで報道される有名人の訃報などを見ても、けっこう長生きしたんだな・・と思うことも多いし、先日、亡くなったアラン・ドロンも88歳でした。周囲の友人・知人のご両親なども、90歳を超える両親がパリで2人で暮らしているのを毎週、身の回りの世話をしに行っているとか、自宅に引き取っていた義母が100歳を超えて、ついに亡くなったとか、明らかにこの平均年齢を遥か超えるほど長生きしている話を聞くことがあって、この平均寿命は、あくまでも平均であって、それよりも長生きしている人もたくさんいます。

 現に夫は57歳で亡くなってしまったので、彼のように早く死んでしまう人も統計には組み込まれているために、平均寿命が80~85,8ということは、すごく長生きの人もけっこういるということです。

 しかし、長寿国としては、日本には、まだまだ及ばないフランスではありますが、この平均寿命が延び続けているのは、一体、どこまで、いつまで続くのか?その場合は、どうなるのか?ということもINSEE(国立統計経済研究所)は予測しています。

 彼らの予測では、2070 年には女性の寿命は90歳、男性で87歳に達し、100歳以上の高齢者が27万人になると予測しています。しかし、一方では、この平均寿命の延びは、鈍化していることも事実で、これまでの寿命の延長は、予防や治療に加えて、生物学的老化を遅らせる技術の進歩であり、これには限界があり、遠からずピークに達するということも述べています。

 日本とフランスを比べてみると、新型コロナウィルス感染が恐ろしく拡大したりした経緯を見ても、公衆衛生管理は日本は断然、優れているし、食生活を中心とする生活習慣などから見ても、どう考えても日本の方が長寿国である理由は明らかであるような気がするので、前向きに考えれば、フランスはまだ伸びしろがあるのかな?とも思います。 

 しかし、寿命が延びることは、喜ばしいことである一方、いわゆる健康寿命というものは、必ずしも最期まで続くわけではないので、個人差があるとはいえ、周囲の様子を見ていると、80歳を超える頃になると、明らかに大きな変調が表れるような気がして、本来の寿命というものは、せいぜい80歳程度なのではないか?と思うこともあります。

 私の両親は、母は平均寿命には遠く及ばず、父はほぼ平均寿命どおりくらいに他界しているので、それ以上の高齢になった場合を目の当たりにはしていませんが、この健康寿命を超えてもなお生きていることが幸せなのだろうか?と、最近、私は、寿命そのものよりも健康寿命や、むしろ、そこそこのところで死ねなかったらどうしよう?という不安の方が大きいです。


フランスの平均寿命


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2024年10月11日金曜日

タトゥをしているフランス人が増えた

  


 私は、健康のため、定期的に運動することを心掛けています。以前は、勤務先から家に帰る途中にあったジムに会員登録していて、仕事と家に帰る途中の切り替えの場として、ほんの短い時間でも、軽く身体を動かしたり、泳いだり、サウナやハマムに入ったりしていました。なかなか清潔で心地よい空間だったので、かなり気に入っていました。

 ところが、そのお気に入りのジムはパンデミックの間に潰れてしまい、その後は、最低でも週1回はプールに行くようにしていました。

 プールに行けば、最低1㎞は泳ぐことにしていたので、とりあえずはガシガシとわきめもふらずに泳いでいました。

 ここのところ、少々、体調が悪いため、ひたすらガシガシと泳ぐのは、半分くらいにして、あとは、水の中を歩いたり、水中でストレッチやヨガのようなことをして、身体をほぐすようになり、なんだか高齢者に片足を突っ込んでいるような気がしつつも、体調が回復したら、元のように泳ごうと思いつつ、水中でのエクササイズも悪くないと思い始めています。

 ひたすら、泳いでいる時とは違って、このようにエクササイズなどをしていると、自然と周囲の人々の様子が目に入るようになり、何気に人を観察することになり、そんななか、「えっ?フランスって、こんなにタトゥーをしている人が多かったっけ??」とちょっとビックリしています。

 日本ほど、タトゥーがタブーな感じはないとはいえ、プールの職員の男性なんて、ほぼほぼ全員にタトゥーが入っている感じ、大小さまざまだし、どちらかといえば、色褪せた感じもするような色でもあります。

 そこで、ちょっと調べてみたら、確かにフランスのタトゥー人口は、ここ10年で約2倍になっているそうで、フランス人の約20%がタトゥーを入れているのだそうです。

 そして、もっと驚くのがタトゥーを入れているのは、男性よりも女性の方が多い(女性21%に対して、男性17%)というデータです。また、年齢層から見ると18~35歳(29%)が最も多く、タトゥには、中毒性のようなものがあり、思い切って、一度入れると、もう一度行きたくなるのだそうです。

 プールで目につくのは、ひたすら、男性のタトゥの方が多いのですが、実は女性の方が多いとは、意外でした。

 フランスにはタトゥーパーラーが約4,000軒以上もあり、驚くことに、このタトゥ市場は、年間2億ユーロ以上にもなるのだそうです。一度、シャトレのあたりを歩いていて、このタトゥーパーラーを見かけたこともあるのですが、私が気が付かないだけで、実はもっとたくさんあるみたいです。

 私は、まったくこれをやりたいと思ったこともないし、逆に、痛いだろうにな・・とか、一度入れてしまって、飽きないのかな?などと、思いますが、これは、アイデンティティの表現のひとつであると説明するものもあり、また、タトゥーの永続的な性質が安定をもたらすという見方をする人もいます。

 日本では、「入れ墨お断り」とする温泉やっ公衆浴場などがあるそうですが、海外でこれだけタトゥー人口が増え、またそういう人々が日本を訪れることもあるだろうに、そういう場合はどういう対応をしているのかな?と、思います。


タトゥー


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2024年10月8日火曜日

電気料金は値下げでも電力税は値上げ

  


 よく選挙前の公約違反などと言いますが、フランス政府は、今年、前半の国民議会選挙まえに、明らかに選挙対応という感じで、当時の財務相は、「2025年2月電気料金10%~15%値下げ」を発表していました。

 あれから、政府が交代しているとはいえ、首相や財務相がかわったところで、同じマクロン政権下にあるフランス政府です。

 ただ、首相が交代して以来、どうにもこうにも来年度予算の作成にあたっては、増税に次ぐ増税のお知らせばかり・・。今度は、電力に関わる2種類の税金・CRIM(限界賃貸料負担金)とTICFE(国内電力消費税)の引き上げを検討していると言われています。

 このCRIM(限界賃貸料負担金)は、電気料金の高騰を受けて2022年に導入されたもので、卸売価格が一定の基準を超えた場合に発電事業者が生み出す超過収入の一部を回収することを目的としていました。 CRIM は当初、2022 年 7 月から 2023 年 12 月までの期間限定で実施されていましたが、2024 年末まで延長され、それが再度、延長が検討されるということのようです。

 そして、TICFE(国内電力消費税)に関しては、2021年末のインフレ危機(エネルギー危機)の対応として、フランス政府がとった関税シールドの話を抜きにしては、語ることができません。

 この関税シールドは、2021年以来のエネルギー危機により、グングン上昇していったエネルギー価格から国民を守るためとして施行されたもので、この値上げに政府が介入することで、国民のショックを和らげていると政府は再三、主張してきました。実際に、「他の欧州諸国の価格を見よ!フランスは政府が介入しているために、近隣の欧州諸国ほどには、値上がりはしていないはずだ!」とフランス政府は、声をあげていました。

 しかし、政府が介入して、他の欧州諸国よりは値上がりを抑えてきたとはいえ、着実にエネルギー価格は上昇していたのですから、国民からすれば、それほど恩恵は感じにくかったと思います。

 そして、この関税シールドは、段階的に元に戻していく方向で動いていましたが、ここへきて、一気にこのエネルギー危機の前の状態に戻し、税率を引き上げる方向で検討中ということらしいです。現在、若干、エネルギー価格が値下がりしてきたとはいえ、2021年末から比べれば、格段に上昇しているエネルギー価格に以前と同様、あるいは、それ以上の税金がのせられるということは、なかなかショッキングなことです。

 また、それに併せて、電力生産者に向けての税率が上昇すれば、それは、結局のところ、そのまま、消費者への販売価格に転嫁される可能性が高く、消費者はダブルで被害?を被ることになります。

 我が家の電気代の請求書は2ヶ月に1回やってきますが、もう電気代などは、もう否応なしに、言われた金額を支払うしかなく、あまり細かくは詳細は見ていないのですが、なんだか、細かく、どんなことに電気を使用しているか?とその割合などを記載してくれてたりもしています。

 しかし、ある時、気付いたのは、実際の電気料金なら、そんなに高くないのに、税金が含まれたトータルの金額になると、こんなに違うの?と思うくらい違って驚いたことがあります。えっ?電力消費税ってこんなに高いの??と。

 フランスの場合、一般的なお買い物等の消費税に関しては、内税になっているので、表示は税込みの価格なので、実際にあまり税金を支払っている実感がないままに支払っているのですが、電気料金の場合は、その内訳がわかりやすく表示されているだけに、なんとなくダメージが大きいです。

 いずれにせよ、選挙前には、電気料金値下げを約束したものの、その値下げが開始される前(値下げは来年の2月からの予定)から、(値下げはするものの、・・)税金はあがると言われてみれば、なんだか騙されたような感じがしてしまうのも否めません。政府としたら、危機時にかなりの援助をしたにもかかわらず、今となっては、あまり感謝もされていなかったどころか、さらに、ここで増税では、実際以上に印象が悪くなった結果を生んでしまった気がします。


フランス電力税増税


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2024年10月7日月曜日

2024年フラングランプリ最優秀賞受賞のブーランジェリー ラ・ポンパドール LA POMPADOUR

  



 毎年、バゲットコンクール、クロワッサンコンクールなど、様々なコンクールがあるパリで、今一つ、盛り上がりにかけえる気もする「フラン」のコンクールですが、この「フラン」というお菓子は、たいていフランスのブーランジェリーには、必ずある定番のお菓子で、かなりのポピュラーな存在のものです。

 ベースはカスタードクリームでこのカスタードクリームをタルト生地にのせて焼いたもので、そのお店のクォリティーを知るには、そのシンプルな素材ゆえに、フランを食べてみれば、そのお店のレベルがわかるような気もしています。

 最近、私は、ブーランジェリーが気になって仕方なく、気になっっているブーランジェリーには、できるだけ行ってみるようにしているので、なんとなく、このお店は良さそうだ・・という勘が働くようになりました。

 とはいえ、パリには、星の数ほどあるブーランジェリー、まだまだ奥が深いです。




 先日、今年、フラングランプリで優勝したお店があるというので、行ってみたら、これが、見事に感動的なお店でした。なんといっても、パンにせよ、ヴィエノワズリーにせよ、ケーキ類にせよ、種類が豊富でどれもこれも美味しそうで、ちょっと、久しぶりに興奮しました。・・パン屋で・・。



 とりあえず、そのグランプリ受賞のフランは買うとして、どれかもう一つくらいは絶対に食べてみたいし、できれば、パンかヴィエノワズリーの一つでも・・と、ショーケースの前を行ったり来たりとずいぶん悩みました。

 結局、さんざん悩んだ挙句に、ナチュールのフランとサントノーレ、オラニエ、クルミやレーズンなどのドライフルーツ入りのパンを買ってきました。

 当然、フランは、シンプルな味で美味しかったのですが、それよりも感動したのは、ここのサントノーレで、このサントノーレに使われている生クリームの部分がマスカルポーネのクリームで、これが超絶美味しく、シューの部分のカラメルもカリカリで香ばしく、ちょっと感動ものでした。



 これは、しばらく通って、もう少し、色々な種類のものを食べてみようと思っています。

 日本では、この「フラン」というお菓子。今一つ、マイナーな気がしますが、逆にこのブーランジェリー良さそう!というお店に行ってみて、ここのお店のスペシャリテは?と聞いてみたりすると、「どれもこれも美味しいけど、以前にフランコンクールで優勝したことあるから、フランかも?」などと言われたりすることもあり、実際に食べてみると、とっても美味しく、他のものも、けっこうレベルが高いので、フランの美味しいブーランジェリーは、他のものも、おしなべてレベルが高い・・ような気がします。

 コンクールで優勝したからといって値段が吊り上がったりすることもなく、いわゆる日本でも有名なようなパティシエのお店などと比較すると、ごくごくふつうな一般的なお値段であることも魅力的です。



 今回、買ってきた他のものも全て「大あたり!」で、かなり大ぶりなオラニエやドライフルーツ入りのパン(味見してみたいからと3切れだけ切ってもらうというセコい買い方をしました・・)もちょっとオーブンであぶってバターを薄く塗って、甘味と塩見を楽しみながら頂きました。これは、けっこうズッシリしていて、食べ応えがありました。

 今後、しばらくは、このお店に通うことになりそうな気がしていますが、それでも、まだ知らないお店にもたくさん行ってみたいところがあるので、そのどっちを取るべきかは、悩ましいところです。

 しかし、我ながら、平和な悩みです。


LA POMPADOUR 

110 Rue de la Tour 75016 Paris 


2024年フラングランプリ最優秀賞 ラ・ポンパドール  


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2024年10月5日土曜日

緊縮財政の金メダル政府 600億ユーロ削減計画の内訳

  


 莫大な財政赤字を抱え続けているフランスは、2025年の次期財政法案作成にあたって、首相は、この赤字をGDPの5%以下に抑えることを目標とし、600億ユーロの赤字を是正することを発表し、バルニエ首相は、現在、一部では「600億ユーロの男」などと言われています。

 あまりの桁の大きさに、逆にピンと来ないところもあるのですが、具体的にこの600億ユーロの財源は、3分の2の400億ユーロが公的歳出削減、3分の1の200億ユーロが増税と言われています。

 増税の部分では、先日、取り上げた航空券に課せられる連帯税を始めとした環境汚染を引き起こす交通機関への課税、そして、高額所得者(子どものいない年収50万ユーロ(約8千万円)以上の世帯や年収25万ユーロ(約4,000万円)以上の独身者など)や超優良大企業向けの増税などで、一般的な所得税の増税ではないとしています。

 なので、庶民としては、あまり関係ないかな?と思いきや、公的歳出削減には、国民健康保険の医療費負担額がこれまで70%が保険でカバーされていたものが、60%に削減されるそうで、個人負担額が30%から40%に引き上げられます。

 フランスの場合、多くの人は、国民健康保険ではカバーされない部分を補ってくれるミューチュエルという保険に入っていますが(勤めている人の場合は、会社が社員のミューチュエルの分を負担する義務がある)、このミューチュエルが負担する部分が増えるとなれば、その保険料が値上げになるわけで、そのしわ寄せは、結局は、跳ね返ってくることになります。

 また、公的歳出削減には、公務員の削減・・という予定も入っています。

 そして、毎年、1月には、インフレの上昇とともに見直される個人年金等の金額見直しが7月にスライドされるということで、多少なりとも増額されるのが6ヶ月間遅れます。これは、なんだかセコいやり方だな・・と思います。最も裕福な人への増税とともに、年金額のインフレ対応の見直しを行わない(6ヶ月間とはいえ)、ちゃっかり、富裕層以外(特に年金生活者のような立場の人々)からも巻き上げるやり方には、疑問を感じますが、このスライドにより、30億ユーロが回収されると見込まれているそうです。

 この財政赤字に関しては、ヨーロッパの多くの国が抱えている問題で、新型コロナウィルスによるパンデミックから始まって、エネルギー危機、戦争などで、ますます、悪化する一方です。しかし、フランスは、他のヨーロッパ諸国よりも、この赤字の積み重なり方は、酷いそうで(欧州平均の約3倍ともいわれている)、パンデミックやエネルギー危機、戦争等による要因というコンディションは同じなのに、なぜ?フランスは、こんなにも赤字を抱えてしまったのか?という点では、検証する必要があるのではないか?と指摘している専門家もいます。

 そんなに、赤字なのに、あんなオリンピックやったの? とか、当事国ではないとはいえ、戦争にもずいぶん、気前よくお金使ってるよね・・とか・・素人の感想ですが、そんな風に思うこともあります。

 私はフランス国民ではないので、あまり大口を叩ける立場ではありませんが、日本にしても、フランスにしても、やはり、政府のお金の使い方には、目をつぶってはいられない・・結局は、国民に跳ね返ってくるではないか?と思うのです。


600億ユーロ フランス政府


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