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2024年4月24日水曜日

SNCF(フランス国鉄)のストライキ回避のための活動早期終了制度 早期退職制度

  


 SNCF(フランス国鉄)は、年明けからしばしばストライキを始め、2月の段階ではかなり大々的なストライキをすでに行っており、これにより、15万人の人々が足止めをくう大混乱を引き起こしていました。

 これによる国鉄側の損害も相当なものであったはずですが、その後も労働組合側は初夏からオリンピック期間に向けてのストライキを予告しており、これをどうおさめるのだろうか?と思っていたら、案外、あっさり経営者側と労働組合の話し合いの折り合いがついたということで、意外に思いました。

 しかし、この折り合いがつくのも、当然といえば、当然で、彼らの要求であった年金改革による影響を軽減するという希望が叶ったようです。一般人の立場からすれば、「あんなに大騒ぎして改革した年金改革はなんだったのか?」と思うほどです。

 そもそも、SNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)などの鉄道関係の運転手や管制官などは、退職年齢がかなり早く設定されており、年金改革後も引き上げられたとはいえ、一般職から比べると法廷退職年齢も低く設定されていました。

 職種によって、法廷退職年齢が考慮されるのは、当然だとは思いますが、それがかなり幅があることに違和感もあります。

 今回の国鉄経営陣と労働組合が締結した契約によれば、会社からの給与を残したまま退職を認める新たな「活動早期終了制度」というものを設けています。

 これは、国鉄の中でも職種によって期間が異なるものの、過酷な仕事として位置づけられている運転士や転鉄士(ポイント切り替えなどを行う仕事)に関しては、法廷退職年齢の30ヶ月前には、活動早期終了制度を開始することができ、その間の15ヶ月間働いた分には100%、その後の15ヶ月間については、仕事をせずに給料の75%が支払われるといい、管制官に至っては、36ヶ月前にこの制度が開始できるというものです(18ヶ月は仕事をせずに75%分支払い)。

 国鉄側はキャリアの終わりを2つの期間に分割する制度と説明していますが、結果的には、早期退職が認められつつ、75%とはいえ、給与が支払われるわけですから、年金改革前とどこが違うのか?と思ってしまいます。

 今回の国鉄の決定により、とりあえずは5月以降のストライキが回避できたということで、今後、様々な公共交通機関がストライキを予定していますが、この国鉄の決定が指針のひとつになるのではないか?という見方もあります。

 とりあえず近々では、空の窓口である空港の管制官がストライキを予告しています。

 とにかく、今年は、オリンピックという一大行事を控えているため、最低限でも公共交通機関のストライキは、絶対に避けたいことに違いないので、今のタイミングのストライキ、あるいは、その予告は、いつも以上に要求が通りやすくなってしまっているのかとも思います。

 だいたい、ストライキがなかったとしても、なんらかのトラブルは必須な公共交通機関です。そのうえ、ストライキなんてことになったら、大変なことです。

 しかし、昔からこのSNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)などの特別扱い感は満載だったのが、年金改革で少しは軽減されたかと思っていたのに、結局は、やっぱり特別扱いなのには、「やっぱり結局、変わらないじゃん・・」という気がしてしまいます。

 運転手はなにも国鉄だけではないだろうに、他の交通機関の運転手は、「運転手は国鉄だけじゃない!」と怒っているんだろうな・・と、少しまえに乗ったタクシーの運転手さんが、「タクシー運転手は夏は働かない人が多いよ・・」と言っていたことを思い出します。

 外部の反発を恐れてか、SNCF側は、年金改革を否定するのではなく、あくまで一部を緩和するものとしていますが、この一部緩和でさえも、ふつうは認められないものであることには、かわりありません。


SNCF(フランス国鉄)活動早期終了制度


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2024年4月23日火曜日

続々と発表される社会保障費の削減について

  


 昨年、大騒動を巻き起こした年金改革がどうにかおさまったと思っていたら、ここのところ、立て続けに社会保障の削減が続々と発表されています。

 ついこの間は、失業保険の受給期間が削減されることが提案されたばかり。これに関しては、もちろん、第一には、失業率を下げるため、失業後にできるだけ早く仕事に就くことを促すためと言われていますし、一部は、初めから失業保険ありきの働き方をしているというか、受給資格を得るまで働いて、その後はしばらく失業手当で生活している人などがいることを理由のひとつに挙げています。

 後者のようなケースの場合、そもそも再就職が比較的、容易に見込める場合なのだと思うのですが、比較的、本人にとっては、深刻な話でもないかもしれません。

 ただ、底辺の人たちにとったら、再就職はそんなに簡単なことでもなく、おまけに就業期間中に支払う失業保険料の金額が減額されるわけでもないので、まさに、まさかの時の保険なわけで、「そんなことはありえない!」と抗議の声があがっていることも事実で、本当に困っている人からも保障を奪ってしまいかねないことになりかねません。

 今回、この失業保険に続いて、また、他の社会保障が削減されるというので、今度は何かと思ったら、家族援助や最低限の老齢年金保障のようなものを受給するためには、最低9ヶ月はフランスに滞在していなければならない(これまでは、6ヶ月間)というもので、これには、逆に、「今までは、フランスにいなくてももらえていたの?」と逆に驚いた次第です。

 これは、特に家族手当(児童手当など)に関するものだと言われていますが、子どもや家族がいる場合に、たとえ、9ヶ月としても6ヶ月としてもフランスに滞在せずに受給がどうやって可能になるのか?わかりませんが、そういう人々は、実にうまくこのような保障の類を利用しているものです。

 我が家も娘がまだ小さいときに、夫が突然、亡くなってしまったので、家族手当などは、ずいぶん受けてきましたが、さすがに、これはフランスにいるからであると思っていたし、逆に日本に帰ってしまったら、こういうお金を日本では出してくれないんだろうな・・と思っていました。 

 そういう意味では、本当に我が家はフランスのお世話になってきて、娘は本当にフランスに育てていただいたようなものだととても感謝しております。

 しかし、この社会保障の詐欺?申請は、相当な金額に上っているそうで、一番多いのは、医療保険詐欺で38億~45億ユーロ、家族給付金詐欺は25億ユーロから32億ユーロと言われています。今回の改正案により、その損失?を少しでも失くす計画だと見られています。

 まさか、フランスに住んでいない人を援助しなくてもいいとは思いますが、この手の削減が、不正受給を受けている人のために本当に援助が必用な苦しい人をより苦しめてしまうのではないか?という感じもなくはありません。

 そもそも、通常、ふつうに働いている場合は、税金、高いですから・・。


フランスの社会保障費削減


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2024年4月19日金曜日

ギャラリーラファイエットグルメのレ・ヌーベル・ターブル ・デュ・グルメ(ストリートフード)

  


 実を言うと、私はデパートというものがあまり好きではなくて・・というより、買い物に行くということがあまり好きではありません。デパートに行くのは、ノエルの時にデコレーションをチラッと覗きに行く程度です。

 それでも食べることにだけは依然として、けっこう執着があり、美味しいものと聞けば飛んでいきます。なので、デパートとはいえ、ラファイエットグルメは時々、覗きに行くことはあります。常設している感じのお店もある中、わりと頻繁に入れ替わるお店などもあり、美味しいものを扱っているお店が期間限定で入っていたりもするので、これまで知らなかった美味しいお店を発見できたりもするのです。

 これは!というものを見つければ、ちょっと味見程度に購入し、気に入ったら、たいていはパリ市内に本店があるので本店の方に行ってみたりもします。

 昨日、たまたま、近くに用事があって、いつもと違う地下鉄の出口を出たら、ラファイエットグルメの近くであることに気が付いて、重たい荷物を持っていたけど、まあ、通り道、せっかくだから、ぐるっと覗いていくか・・と思って入ってみたのです。

 地上階は大した変化はなかったものの、1階(日本でいう2階)にレストラン(というほどかしこまってはいない)街のようなスペースができていて、はて?ここは昔何だったのかと思い返すに、以前はキラキラなカーブ(ワインやシャンパンやウィスキー、ブランデーなど)と食器などが置いてあったスペースだったと思うのですが、いつのまにか、すっかり様変わりしていました。


 まだ、あまり知られていないのか?そんなに混んではいませんでしたが、8軒のお店が入っています。「世界中のストリートフードからのインスピレーション」をテーマに出店しているレストランというか、フードコートのような、わりと気軽な感じのお店がおしゃれに並んでいます。


 以前のカーブだったスペースの名残りのような「ラ・カーブ」というワインや世界中のスピリッツを扱うお店もあります。


 その他、フレンチのひとつとしてロティスリー(鶏の丸焼きなど)、ペルー料理、地中海料理、アメリカ、インドなどの気軽に食べられる食事が集まっています。



 お味のほどはわかりませんが、ラーメンやお寿司を扱う日本食のお店も入っていました。

小さいワンカップの日本酒までありました!


 



 お値段は、ラファイエット価格なので、ストリートフードとはいえ、決してお安くはないものの、ラフな感じで楽しめそうなスペースになっています。

 そもそも、このスペースは、以前はワインを中心としたキラキラな、本当に美しい、お店というより博物館のようなスペースで一見の価値はあるようなスペースではあったものの、一般庶民には、敷居の高い感じでもあり、客足が若干、鈍いスペースでもありました。

 ギャラリーラファイエットだから、そんなスペースもあってもいいのかな?とも思っていたのですが、やはりフランス人でさえもワイン離れが叫ばれるなか、あの高級な感じのスペースがストリートフードのスペースになっていたとは驚きでした。

 しかし、ストリートフードとはいえ、そこはさすがのラファイエット、オシャレな感じに仕上がっています。

 ただし、個人的にはパリでストリートフード(ファストフード)といえば、ケバブではないか?と思うのですが、ケバブが入っていないのは、なんだか少々残念な気がしました。

 すっごく美味しいケバブのお店もあるのに・・。

 私が気が付いていなかっただけで、もう結構、前からあったのかもしれませんが、ラファイエットグルメといえば、これまで地上階、せいぜい地下の食料品売り場だけを覗いていた人も多いはず・・地上階を入って少し進むとエスカレーターがあるので、ついでにチラッとパリに集まっている世界のストリートフードスペースを覗いてみるのも楽しいかもしれません。


ギャラリーラファイエットグルメ ヌーベルターブルデュグルメ


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2024年4月17日水曜日

オーストラリア シドニーでヒーローになったフランス人

 


 先週末、オーストラリア・シドニーのショッピングセンターで買い物客らが無差別に刃物で襲われ6名が死亡したという事件はフランスでも報道されていました。

 その時は、「オーストラリアでもこんな恐ろしい事件が起こるんだな~怖い怖い・・」とその事件の映像を見ながら同時に「これ、フランスでもありそうなことだな・・(実際にある・・去年もいくつかありました)」と思っていました。

 襲撃犯は射殺されているので、動機などは不明のままですが、精神疾患を患っていた可能性があると言われています。

 結局、その時の報道は、死亡者6名、乳幼児を含む負傷者12名というだけで終わっていたのですが、その後に、その襲撃犯がさらなる獲物にターゲットを向けている間にそれを阻止しようと介入した人物がいて、それが31歳のフランス人の男性であったことがわかり、にわかに彼はヒーローになっています。

 当日、事件の起こったコマーシャルセンターのジムに来ていたフランス人男性二人はこの襲撃事件に遭遇し、襲撃犯がやってくるのを見てなんとかしてこれを阻止しなければならないと夢中でこの襲撃犯と対峙したということで、このうちの男性の一人はインタビューにこたえ、「襲撃犯の目はうつろで、彼自身の魂が抜けているような感じだった・・」と語り、自分がヒーローと讃えられていることについて、「自分は当然のことをしただけで、本当のヒーロー(ヒロイン)は、襲撃犯を射殺した女性警察官である!」と話しています。

 彼らの勇気ある行動に対して、オーストラリアの首相も「フランスの英雄」として賞賛。

 彼は、2017年にオーストラリアに渡り、建設作業員として働いていたと言われていますが、ちょうどビザが切れるタイミングでビザを申請中のタイミングだったようです。

 オーストラリア国民からも彼は大絶賛されており、「これは人間の本性について多くを物語っている。私たちが困難な問題に直面したとき、この国の国民ではない人が勇敢にあのエスカレーターの頂上に立って、この襲撃者が別の階に到達してさらなる大虐殺を起こす可能性を阻止したのです!」と、ビザどころか彼にオーストラリア国籍を!という嘆願書がオンライン上で立ち上がり、あっという間に1,800名以上の署名が集まったそうです。

 しかし、署名を集めるまでもなく、オーストラリア首相は「彼はオーストラリア国民として喜んで歓迎したい人物、好きなだけオーストラリアにいてほしい」と話しています。

 これまで、幾度となく、フランスで同じような事件が起こって報道されることがあり、本当に恐ろしいことだと思う反面、このような事件が起こったときには、必ずといっていいくらい、警察官以外のその場に居合わせた男性が介入して助けてくれる・・ということも事実で、フランスには、恐ろしい事件も起こるけれども、勇気ある頼もしい男性も少なからずいることも事実のようです。

 フランス人には、窮地に至っている人を助けようとするような、こういう面もあるんじゃないかな?という気もしています。

 この件は、マクロン大統領もX(旧Twitter)で彼の勇気ある行動を讃えるポストをしています。


オーストラリアのフランス人ヒーロー


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2024年4月16日火曜日

パリオリンピックに関してマクロン大統領のインタビューで話したこと

  


 カウントダウンが始まりつつあるパリオリンピックについて、マクロン大統領がテレビのインタビュー番組に出演、熱弁を振るいました。マクロン大統領がこのインタビューの場所に選んだのは、オリンピックのテコンドーとフェンシングの会場となるグランパレの中でした。

 インタビューは先日起こったイランによるイスラエルの攻撃の話題から始まるというオリンピックに関するインタビューとしては、異例の話題で始まりましたが、フランスは、イスラエルの防空にも参加しており、このような不安定な世界情勢の中で行われようとしているオリンピックの安全性からも残念ながら避けて通れない話題でもあります。

 マクロン大統領は、このインタビューの中で、「オリンピックは外交上の平和の瞬間でもあり、少なくともオリンピック休戦に向けて取り組みたい。これは多くのパートナーとの間に敬意と寛容の精神を確認する機会でもある」と述べています。

 とはいえ、逆に考えれば世界中から多くの人々が集まり、多くの人々が注目するであろうオリンピックの場は、テロのターゲットとして計画されかねない機会でもあります。

 特にフランスが計画している今回のオリンピックの開会式は、オーステルリッツ橋から各国代表団専用の94隻の船がセーヌ川で行進してエッフェル塔に向かうという壮大な計画で通常の情勢でさえも、大変なリスクを伴うものになっています。

 これに対して、なぜ?こんなにリスクの高いことを行うのか?本当に大丈夫なのか?という質問に、「もちろんリスクはある」としながらも、「われわれは最大級の警戒体制をとっており、毎日3万人がこの警戒にあたり、ヨーロッパやアメリカ、アジアと協力体制をとりながら、諜報機関とあらゆる情報を収集し、サイバー攻撃も含めてリアルタイムに分析を行い、テロの脅威に備えている」と説明したうえで、「それでも、テロの危険性が確認された場合には、開会式は縮小され、プランB、さらにはプランCとして用意されている「トロカデロに限定」されるか、さらには「スタッド・ド・フランスに移送される」可能性もある」と語りました。

 また、この大規模の警戒体制を支えるために動員される人々をはじめ、オリンピック期間中(バカンス期間中)に働かなければならない人々が「CGT(労働組合)」を筆頭にストライキを計画していることについては、労働組合とその「責任精神」に対する「信頼」を表明し、「フランスはチームであり、統一国家であるため、我々はこの模範的な性質に対応しており、 私は、労働法や職場の安全に関して模範となることで、フランスが大きなイベントをどのように組織するかを知っていることを証明するつもりだ」と力説しています。

 どうにも「それは理想的にはそうなんだろうが・・」という話をものすごくエネルギッシュに語るのはいつものマクロン大統領の話にありがちなことです。

 オリンピックが開催されるのは7月26日からのことですが、実際には、オリンピックの聖火は5月8日にマルセイユに到着します。

 そして、オリンピック聖火は7月8日から26日までフランス全土を巡る450の中継都市を通過し、海外も含めてその聖火リレーの様子は全世界に報道されることになり、その一つ一つの都市のPRにもつながると説明しています。

 それにしても、フランスの大統領であるとはいえ、オリンピックの大会委員長であるわけでもないのに、大筋とはいえ、詳細にわたって自分の言葉で強く熱く語れるということは凄いことだな・・といつもながら感心してしまいます。

 我ながら、感動ポイントがズレているとは思うのですが、残念ながら、日本の政治家には、期待できないことです。


パリオリンピック


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2024年4月15日月曜日

電気料金の値上げとエネルギーチケット

  


 ここのところ、電気料金は毎年、着実に値上げされており、2024年は2月からさらに10%値上げされています。これは毎年徐々にあげられているため、数年前から比べるとずいぶん高くなったと思いますが、しかし、それでもこの値上げは国によって抑制されている状態のようです。 

 実際の電気料金は、これ以上に値上げされているのが現実なのですが、国が関税を調整しているために、これでも他の欧州諸国に比べて大幅な値上げを抑えているのだそうで、国からしてみれば、この調整を少しずつ段階的に終了させていく予定で、当初は2023年12月に終了予定だったものが、2025年2月までに延長されています。

 したがって、国は引き続きフランス国民の請求書の一部を一定期間負担しているわけで、この措置により、2024 年の国家予算では、30億ユーロが割かれています。

 ということは、2025年2月には、また確実に値上げされることは間違いなさそうです。

 これまでフランスは特にウクライナでの戦争が始まって以来のインフレのために、インフレ手当やエネルギークーポン(エネルギーチケット)などを数度にわたって配布してきましたが、全員に一律○○ユーロ・・ということはまずなくて、この援助の実質的な金額も所得によって違っています。

 このあたりは、とても合理的なところです。

 これは、前年度に申告された所得や家族構成(子どもの年齢や数など)により、自動的に配布されるもので、エネルギーチケットに関しては現金で支払われるものではなく、EDF(フランス電力)の個々のアカウントにデポジットとして、支給されます。

 今回のエネルギーチケットの平均支給額は150ユーロ(約24,500円)ということで、所得や世帯の規模に応じて48ユーロから 277ユーロ(約45,000円)とされています。

 このあたりの援助に関しては、フランスのシステムは非常によくできており、この枠内の人々に一定の率の金額(相当のバウチャー)を配布するとなれば、そのたびに個々に申請する必要はなく、自動的に振り込まれるようになっているところは、とてもスムーズで円滑に行われます。

 実際には、このチケットが配布された後は、電気料金は、そのデポジットから電気代が自動的に支払われることになるので、他の用途に使うことはできません。

 これらの援助に関しては、かなり手厚いと言えば手厚いのがフランスですが、年々、その援助されるはずの枠が狭められてきているのも国家の緊縮財政が見え隠れするところで、最近ではHLM(低所得者向けの公営住宅)の居住資格についての見直しを行う必要があることが話題に上がっています。

 このHLMについては、一応、2年に一度、チェックされているのですが、このチェックはこれまで居住権の問題もあって、わりと緩かったのですが、「所得の上限を大幅に超えた人々が公営住宅に住み続けることの妥当性を再検討する必要がある」と住宅大臣が問題を投げかけており、収入増加に応じて、家賃の増額、あるいは、退去が求められる可能性があります。

 フランスの場合、低所得者層への援助はこれまでも手厚いイメージがあるのですが、それだけ低所得者層がギリギリの生活に窮しているということでもあり、格差社会のあらわれでもあると思われます。

 そこのところが、税金を払う側にまわるか?もらう側にまわるか?などと揶揄されることにもつながっているのですが、実際のところは、ギリギリのところで、もらう側には回れない人々が一番厳しいのかな?という気もしてしまいます。


フランスのエネルギーチケット エネルギーバウチャー


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2024年4月10日水曜日

フランス人はマクドナルドがお好き

  


 Expensyaプラットフォームが実施した調査によると、仕事をしているフランス人がもっとも好むレストランの第一位はマクドナルドであったことが報告されています。

 これは、仕事をしている人という括りがあるために、より早く、より安く、より手軽に食べられるという面が優先されるということがあるかもしれませんが、それだけマクドナルドがフランス全土に浸透し、多くの店舗を持っているかということにも拠るものであると考えられます。

 そもそも人気がなければこれだけ浸透し店舗数を増やすこともできなかったわけで(フランスのマクドナルドの店舗数は約1,500軒)、少なくともフランス人はハンバーガーが大好きということは事実です。

 かつては、フランス人はランチでも、ワインなどを飲みながら、時間をかけてゆっくり食事をしている・・というようなイメージがありましたが、現在は、そこまで優雅に食事している・・ましてや仕事をしている人々にとっては、昼休みの時間はやはり限られていて、外食とて時間もお金もかかり、できるだけ早く、安くすませたいと考える人は少なくありません。

 もともと安くない外食がインフレでさらに値上がり、家からお弁当らしきものを持って来たり、簡単なサンドイッチやサラダのようなもので済ませる人もずいぶん増えたと思います。

 パン屋さんでサンドイッチを買うにしても、スーパーマーケットなどで出来合いの食事を買うにしてもそこそこの値段になるので、総合的に考えれば、いつでも温かく出来立てのものが食べられ、セットメニューなどだとかなり割安にもなるマクドナルドなどは、コスパ的に悪くない・・ということになるのだろうな・・と思います。フランスのマクドナルドのセットメニューは、地域や場所によっても異なりますが9ユーロから12ユーロ(約1,500円から2,000円程度)です。

 円に換算すると、マクドナルドなのに高くない?と感じるかもしれませんが、フランスでは、ランチでさえも15ユーロ(約2,500円)以下で食べられるお店を探すのは簡単ではないのが現実です。

 フランスのマクドナルドは、日本のマクドナルドほどには次から次へと新しいレシピやメニューができてくるわけでもありませんが、それでも以前に比べれば、新しいメニューが時々、登場するようにもなり、なによりもフランスのマクドナルドは、一応、100%フランス産の原材料を使っている(可能な限り)ということになっています。

 また、メニューの中には、Cantal AOP または Comté AOP を使用しているものなど、フランス産のチーズにこだわったものなども散見されるうえ、サラダの種類やフライドポテトの代わりに野菜スティックを出してみたりと健康志向にも気を配っている試みが見られます。

 まあ、どのレストランが好きですか?と聞かれた場合の回答として、これだけの店舗数があるマクドナルドという回答が大多数としてあがってくるのは、当然といえば、当然ですが、こうして、色々な企業努力を見ていると、フランスといえどもマクドナルドは時代とともに変わってきているし、フランス人(フランス政府)が好むフランスの原材料を使い、メニューを工夫しながら、ほどほどの価格帯におさえているという点でやっぱり頑張っているんだな・・と思わせられます。

 フランス人の夫などは、古い世代のフランス人で、「ハンバーガーなんて、あんな手で食べる野蛮な食事・・」と言い、(私は、内心、フランスのサンドイッチだって手で食べるじゃん!と思っていたんだけど・・)、マクドナルド=アメリカのもの・・野蛮な食べ物、身体に悪い・・と毛嫌いしていたのです。

 しかし、実際に私が(私もそこまでハンバーガーが好きというわけでもないし、娘はハンバーガーが嫌いという変わった若者)おまけにもらえるグラス目当てでマクドナルドのセットメニューを買ってきたりすると、誰よりも早く、あっという間にペロッと完食するのを見て、「本当は大好きじゃん!」と思ったりもしたくらいですが、とりあえず、とにかくアメリカのものを毛嫌いする傾向があったのです。

 しかし、今の時代、そんなふうにマクドナルドを毛嫌いするフランス人は、ほとんど見当たらなくなったどころか、フランス人が好きなレストラン第一位に君臨するようになったのですから、今では夫の方が化石的な存在になってしまったようです。


フランス人の好きなレストラン1位 マクドナルド


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2024年4月5日金曜日

2026年 永遠の汚染物質 PFAS 製品を禁止する環境保護法案採択

  


 PFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル)は、人工的に作られた有機フッ素加工物の総称で、その非粘着性、防水性、耐熱性が高く評価されており、特に繊維製品、食品包装、消火泡、非粘着コーティング、化粧品、植物検疫製品、半導体、インクなどの多くの日常生活で利用される製品の多くに使用されています。

 PFAS は化学的安定性により環境中での分解が限られているため、体内に摂取した場合は、体外に排出されにくく、蓄積され、それらが廃棄物として排出された場合は、私たちが飲む水、土壌、空気、海に広がり最終的には食物連鎖に入ります。 母乳を介した乳児への感染も現在では証明されていると言われています。

  欧州環境庁によると、PFAS は、ほぼ確実に、内分泌かく乱作用に関連したさまざまな影響、つまり免疫機能の変化、腎臓および精巣がん、肝障害、コレステロール増加を引き起こすだけでなく、胎児の発育にも影響を及ぼすとされています。

 また、国際がん研究機関(IARC)は、PFOAを「人間に対して発がん性がある」、PFOSを「発がん性がある可能性がある」と分類したと、2023年11月30日付のランセット・オンコロジー誌で発表しています。

 国際的には、ストックホルム条約の枠内で、特定のPFAS(PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)はすでに禁止されています。

 フランスでは、2024年2月、PFAS汚染は公衆衛生上の懸念から政府委託の報告書は当局に対し、PFAS汚染を調査し、これらの汚染物質の「産業排出を緊急に停止する」よう求めていました。

 PFASが使用されている製品やこれに汚染されている製品をみれば、どれだけ私たちの日常生活に浸透してしまっているかを考えると恐ろしいかぎりですが、ひとまず、今回のフランスでの環境保護法案で2026年には禁止されるのは、衣料用繊維製品(その他の繊維製品は2030年)、ワックス製品、化粧品とされています。

 この PFASで一番に思い浮かべるいわゆるフッ素加工のフライパンなどの台所用品は、その最大手であるSEBグループ(ティファールなど)による大規模なロビー活動により、代替品の欠如や無害の主張、過剰転置などを理由にこの禁止製品枠からは外されていることは、どうにもしっくりしないモヤモヤが残るところではあります。

 しかし、この PFASの有害性についての知識をある程度、持っていれば、たとえ、販売されていても、消費者はそれを利用するか否かは自分で選択することはできます。

 ル・モンド紙とフランス・インフォ紙が公表した調査結果によれば、先日、別の問題でスキャンダルとなったミネラルウォーターにも含まれているということです。

 このような問題に神経質になり過ぎると、もう食べてもよいもの、利用してもよいものが非常に限られてくるような気がしてしまいますが、やはり、体内に蓄積され、排出、消去する技術が存在しないとなると次世代の子どもを産んで育てていく若い世代にとっては、無視できない極めて深刻かつ重大な問題でもあり、小さい子どもを持つお母さんたちは、注意してあげないといけないだろうな・・と思うのです。

 この PFAS問題だけでなく、より良いものを開発して進歩していたつもりが有害だったり、環境を破壊していたということは、けっこう多くて、それを戻すって大変だな・・と思うことが最近、多いなと思うのです。


2026年 PFAS 製品禁止


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2024年3月21日木曜日

フランス人の好きな軽食トップ10からSUSHIが外れたけど・・

 


 長らくフランス人の好きな軽食ランキングのトップ10には、必ず SUSHI が食い込んでいましたが、今年発表された調査結果によると、SUSHI のランキングが落下したとされています。

 フランス人に人気の軽食(ファストフードを含めて)は、サンドイッチやハンバーガー、ピザ、ケバブ、サラダ、パニーニなどで、サラダを除いて、それらは、ほぼ小麦粉文化の食べもので、パンあるいは、それと同種のものと肉やチーズの組み合わせによるものが中心です。

 彼らは、SUSHIがトップ10から外れた理由として、フランスでのSUSHIのネタの中心を彩るサーモンの価格の高騰のために、SUSHIがより高価にならざるを得なくなっていることを挙げており、また、SUSHIがより革新性を示せなくなっているためだと分析しています。

 フランスでの外食は一般的に高価で、ふつうにレストランでランチをとるとしたら、おそらく20ユーロ(約3,200円)前後が平均的ではないかと思われますが、ここでトップに君臨しているサンドイッチやケバブ、パニーニならば、10ユーロ以下でもなんとかなりそうなイメージ、ハンバーガーやピザですら、それと同等かそれ以上だと思います。

 そこへ行くと、SUSHIは軽食扱いされているにもかかわらず、なかなかな値段になってしまうので、価格帯としては、どうにも中途半端な位置付けになってしまうのかもしれません。

 しかし、ネタの価格の高騰はともかくとして、SUSHI の革新性などという話は、日本人の私からすればナンセンスで、もはやSUSHIではないようなものをSUSHIの革新性などと評価されることには、微妙な気がします。

 そもそも、現時点においても、パリの高級なお寿司屋さんなどは別として、ごくごく一般的に販売されているSUSHIには、甘いお醤油と普通のお醤油の2種類が用意されることが定着しつつあり、それだけでも本来ならば、「お寿司に甘い醤油なんてナンセンス」と思うところを、まあ、よく言って革新的とも言えないこともありません。

 そもそもの日本のお寿司から、フランス人好みのサーモンやアボカドに埋め尽くされたようなSUSHIに偏っているのは、フランス人の嗜好に合わせているものであろうに、それを革新性の欠如などと言われるのはお門違い。

 軽食として安定的な地位を保っているピザやハンバーガー、サンドイッチ、パニーニなどは、小麦粉文化である彼らの食文化、パンやチーズや肉を使った変化球バージョンで、そもそもが彼らのもともとの食文化と同類のもので、彼らが好むのは当然のことです。

 こうして書いていると、いかにも張り合っているような感じになりますが、そもそもSUSHIが、いつのまにか軽食の括りに入れられてしまっていることも驚きです。

 以前は、食に関しても、かなり保守的な印象があるフランス人もここのところ、多種多様なものを受け入れるようになり、SUSHIなるものなど、それまで生魚を食べる習慣があまりなかったフランス人にしては、革命的なことであったはずです。


フランス人の好きな軽食


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2024年3月19日火曜日

娘の日本での確定申告でびっくりしたこと・・

  


 私は、海外に生活の拠点を移して以来、日本での税金の申告をしていません。(日本での収入はないので)なので、私が日本で税金の申告をしたのは、大昔の話で、それがどんなものであったのかすら、あまりよく覚えていません。

 もちろん、現在は、フランスで毎年、税金の申告をしていますが、現在はオンラインになっているので、そこまで面倒な話ではありません。未だに用紙に記入して送付したり、実際に税務署の窓口に行って申請することも可能ではあります。

 私がフランスに行ったばかりの頃は、ほぼ100%が用紙による提出で、その提出期限のギリギリ・・深夜0時には、なぜか、ちょっとびっくりするほどの人が駆け込みで税務署に税金申告の書類を提出しにきていて、なぜだかフランス人の夫もその一員であり、その際に、一緒に来てごらん!と言われてついていくと、税金申告ギリギリのタイミングでの税務署前の様子を見せてくれて、「フランスの社会勉強」となぜか、得意気だったことが強烈に印象に残っています。

 時間を正確に守らながちなフランス人がこれほどまでにキッチリと税金申告期日を守ることも意外だったし、また、一年の間の風物詩のように、このギリギリのタイミングに税金申告の用紙を提出する人ごみにわざわざ参加する我が夫のような人もいて、妙な風習だ・・と思ったものです。

 とかく、怠惰であまり働かない印象のあるフランスの公務員の中でも、なぜ?税務署だけは、こんなにきっちりと働くのだろうか?と恨めしい気さえしました。

 私がフランスでの税金申告をオンラインに切り替えたのは、たしか2018年のことで、やはり、それ以来、税金の申告は俄然、簡単になった気がしています。最近では、オンライン上で入力して申請した時点ですぐに、概算の税金額が表示されます。

 その後、数ヶ月後、それが確定した段階で、税金の書類が送付されてきます。この辺りは、フランスは(というより、他の国については知らないのですが)、とても上手くできたシステムが構築されています。

 今回、たまたま私が日本に一時帰国している時期が日本の確定申告の時期と重なって、娘は、当然、税金の申告は済ませているとばかり思っていたら、ある日、ぽつんと、「税金の申告期限に間に合わなかったら、どうなるの?」とヤバいことを言い出すので、事情を聞いてみたら、なんと、オンラインで申請しようとしたら、マイナンバーの暗証番号を間違えて、ブロックしてしまい、それ以来、オンライン申請ができないままストップしていると・・。

 そのマイナンバーの暗証番号登録のし直しを日本では、オンラインですることができず、区役所にいくつかの書類を持参して、自らが行かなければならないために、区役所は平日の昼間しかやっていないために行けていなかったとか・・。

 フランスのシステムしか知らなかった彼女にとって、暗証番号(パスワード)の再設定のためにわざわざ区役所に書類持参で行かなければならないことに憤慨。

 それなら、用紙に記入してのカタチでも期日どおりに提出しなければならなかったものをなんとなく放置してしまっていたのでした。

 昨年の申告は、概ね会社がやってくれていたらしいのですが、彼女は昨年の途中で、転職しているため、昨年度の収入の半分については、自分で申告しなければならなかったわけです。彼女も日本に来る前までは、フランスでは、自分の税金申告は自分でオンラインでやっていたので、フランスでの申告はどんなものであったかは彼女は理解していたのですが、日本の申告のシステムの違いに、「なんで、日本のシステムは、こことここの数字を入れているのに自動計算にならないのか? システムの作り方がなっていない!」と厳しい指摘。

 私は現在の日本での税金申告のシステムというか?形式の作り方について知らないので、彼女の言う、「ここと、この数字を入れたら、自動計算にできるでしょ!」と怒りながら、私に説明してくれました・・が私に言われても・・。

 このオンライン申請のシステムの不具合については、日本ならばさもありなんと思わないでもありませんが、それを今の段階でどうこう言っても始まらず、その様式でやるしか仕方ありません。

 それ以上に驚いたのは、彼女が払っている住民税の金額とその他の社会保険料等の金額の多さで、「そんなに日本って税金高かったの? 私が日本で税金を払っていた頃は、こんなじゃなかった!」と。いくら彼女の収入が比較的多いかもしれないとはいえ、そこまで高収入というわけでもなく、それで、この住民税等の金額! これで家賃やら生活費など、もろもろ払っていたら、そりゃあ、日本の若者は貧しくなるわけだよな・・と、現在のところ、娘は独身で扶養家族もいないわけで、控除される金額は少ないけど、若いうちは、収入だってそれほど多くはないのが普通なわけで、厳しいのだろうな・・と妙に納得するというか、気の毒に思うやら・・。

 フランスも税金や社会保険料は高いのですが、それでも、それに見合うものがもう少しはあるように感じます。娘の税金の申告を通じて、日本での働いている若者に対する仕打ちというか、酷な現実を見せつけられた気がして愕然としたのでした。


日本の確定申告


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2024年3月9日土曜日

鳥山明氏の訃報が証明したフランスでのマンガ人気

  


 フランスで日本のマンガが大人気であることは知っていましたが、フランスでの鳥山明氏の訃報の扱いで、その存在がいかに大きいものであったかを再確認させられたような気がしています。

 彼の訃報が発表された日、フランスでのX(旧Twitter)のトレンドの圧倒的なトップは一日中「Akira Toriyama」で、それを追随するのは、「Dragon Ball」でした。

 フランスのル・モンド紙をはじめとする大手新聞をはじめ、ほぼ全てのマスコミが彼の訃報を大々的にとりあげ、彼のこれまでの作品や彼のマンガがフランスに浸透していった経緯、また、彼の人となりなどを報道していました。

 もしかしたら、彼はフランスで一番有名な日本人であり、近年最もその功績を讃えられている日本人なのかもしれない・・と思いました。

 何しろ、MANGA(マンガ)という単語でさえも、現在はそのままフランス語に使用され、恐らく、ドラゴンボールを知らないフランス人を探す方が難しいくらいかもしれません。

 私のところにも、今朝、フランス人の知人から電話がかかってきて、「日本の偉人が亡くなったね・・ほら、ドラゴンボールの作者・・」と私は、自分でニュースを見る前に、彼から鳥山明氏の訃報を聞いたのでした。

 この鳥山明氏の訃報を知らせてくれた知人は、私よりも年長のマンガなど読みそうもない世代の人ですが、そんな人?にさえも知られているドラゴンボールって、やっぱり、フランスでもすごい人気だったんだな・・と思わせられたのでした。

 実際にフランスは日本に次ぐ世界2位のマンガ人気大国でもあり、この日本のマンガをきっかけに日本の文化に触れ、特にマンガの中にも登場する日本食をきっかけにフランスでの日本食ブームが起こったとも言われています。

 以前、ドイツから交換留学で我が家にやってきた女の子が大のマンガ好きで、ぜひ、マンガに出てくるラーメン屋さんというもの、に行ってみたいと頼まれて、パリにあるラーメン屋さんに連れて行ったこともありました。

 フランスでは1980年代から1990年代にかけて「マンガマニア」が創刊されて以来、フランスでのマンガ人気は、凄まじいものになり1988年からは、ドラゴンボールはテレビでも放映され始め、当初は古い世代の国会議員などから「日本のマンガは酷い!」などとの声があがることもあったようですが、結局は圧倒的な人気に支持され、マンガへの熱狂はフランスの文化的現象とさえも呼ばれるようになりました。

 あるジャーナリストは、鳥山明氏の作品を「伝統的な漫画に対する総攻撃の先鋒」と称する人もありました。

 また、多くの若者が彼のマンガに惹きつけられた理由を「この小さな悟空は、社会的、感情的な環境でうまく成長できない孤独な多くの若者たちに力を与えてくれた」

「これらのキャラクターたちは、私たちが戦ったとき、団結して立ち上がったときに成功することを示してくれました」などという彼の訃報に対する数多くのコメントの中から理解することができます。

「Merci!Akira Toriyama!(ありがとう!鳥山明さん!」「あなたのキャラクターのおかげで問題を乗り越えられました!ありがとう!」などなど・・SNS上には彼に対する感謝のコメントがフランスでも溢れています。

 マクロン大統領でさえも、X上に「マクロン大統領へ」と書かれた額に入れられた彼のデッサンを「鳥山明氏と何百万人もの彼の愛好家へ」と言葉を添えて投稿しています。


 フランスでは、パンデミックのために停滞したフランスの文化事業推進・支援と若者への文化と芸術への好奇心を喚起させるために、年間1億6000万から1億8000万ユーロを投資し、映画、小説、マンガ、ビデオゲーム、劇場、ラップ、メタルなどなど・・あらゆる文化的な目的に使用することができる「カルチャーパス」なるものを発行しました。

 ところが、ふたを開けてみれば、このカルチャーパスの75%は、マンガのために使われたという結果となり、この「カルチャーパス」は別名「マンガパス」と呼ばれるようになりました。

 それくらいフランスでのマンガ人気は凄まじく、もはやマンガはフランスの文化の一部とも言われるようになり、パリのいわゆるお土産屋さんのようなお店でなぜか、日本のマンガのデッサンの色紙などを見かけることもあり、「なぜ?これがパリのお土産屋さんで売ってる?」とびっくりさせられたこともありました。




 かつて、日本といえば、TOYOTAやNISSANなどの車やSONYなどの電気製品などが連想されることが多かったと思いますが、今の時代は、日本といえば、一番に連想されるのは、「MANGA(マンガ)」なのかもしれません。

 このフランスでのマンガ人気を牽引してきた鳥山明氏は、まさにヒーロー的存在で、ドラゴンボールは、マンガ愛好家のみならず、誰でも知っている抜群の知名度で、まさにフランスにおける日本の偉人の一人であったことが認証されたようです。

 こんなにフランスでも讃えている彼の偉業を日本が国民栄誉賞などの国家的な栄誉と称賛を与えていないことをむしろ、不思議な気がするくらいです。


鳥山明 訃報


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2024年3月7日木曜日

フランスの飛び級と留年

  


 娘が小学生の頃、夫はやたらと娘を飛び級させたがっていたのを私は、反対していました。子供の能力に応じての飛び級や留年というものが、小学校という低年齢層でも、わりと珍しくなく行われていることに日本育ちの私は、今一つ理解できませんでした。

 実際に、娘の同じクラスにも下から飛び級して上がってきていた子がいたし(その子は娘と結構、仲良しで、小学校から高校まで同じクラスだったうえ、高校を卒業してその後の進路がバラバラになっていくタイミングでも、示し合わせたわけでもないのに、なぜかプレパー(グランゼコールの準備学校)まで同じ学校でした。

 彼女は小さい頃からとても小柄で、一つ年下だから、小さいのかな?などと思っていましたが、大人になっても小柄なままなので、年齢は関係なかったようです。

 彼女の親がなぜ?彼女を飛び級させたのかはわかりませんが、飛び級しても、何の支障もなく、その後の学校生活を優秀な成績で過ごしていたようなので、彼女の飛び級は成功だったのかな?とも思います。

 たしかに、あまりに優秀な生徒の場合、子どもの年齢に一般的に定められている学年のままだと、物足りなくて、つまらない・・その子の学力を充分にのばせないということもあるのかもしれませんが、私としては、学校で学ぶということは、学業だけではなく、様々なことを体験していく時間ということでもあると思っているので、その1年間をスキップしてしまうことが必ずしも、よいことばかりではないだろうし、そんなに急ぐことないじゃない!、その年齢に体験できる事柄を奪う必要はないだろうに・・という気持ちでもありました。

 しかも、夫に娘を飛び級させたい理由を聞くと、「あとで、留年してしまったときのために・・」というよくわからないことを言っていたので、「そもそも、留年した時のために・・とか、留年するかもしれないと思うような人が飛び級にふさわしいのか?」という話で、結局、夫は、娘の飛び級は断念してくれました。

 実際に、実年齢どおりの学年での教育を物足りないと感じる子供は、かなり珍しい存在ではあるとはいえ、そういう場合に、飛び級ができるのは、たしかに良いシステムなのかな?とも思います。

 娘が通っていたのは、小学校から高校まである私立のカトリック系の学校で、あまり一般的な公立の学校とは異なることも多かったと思いますが、多くの子どもがそのまま同じ学校にいるので、小さい頃は、学校の行事で親が学校に行く機会もあったり、お誕生日会やお稽古事などで、娘の友人の親子と顔を合わすことも多かったので、小さい頃からの知り合いが多く、中学、高校と進むうちは、子供の方はもう外で会ってもすぐには、誰だかわからなくても、親の方はたいして変わらないので、「ああ~あの人○○ちゃんのママだ・・」と思うくらいで、あとは、娘からの話をたまに聞くくらいでした。

 そんな、娘から漏れ伝わってくる話の中には、「○○ちゃん、留年したらしい・・」とかいう話も混ざっていて、「え~~?あんなに明朗快活な感じだったのに!」と驚いたりすることもありました。

 留年については、そんな話がポツポツとあり、内心、本人は心穏やかではないところもあるのでしょうが、けっこう朗らかに学校に来ているとのことだったので、飛び級とは逆に、必要ならば、2年かけて追いつくことがあってもいいような気がします。

 ただし、娘の学校はかなり厳しい学校でもあったので、留年は1年だけで、その後の結果が思わしくないと、やんわりと転校を促されるらしいということで、そういえば、いつのまにかいなくなっていた子もいました。

 ただし、いなくなっていた子どもの中には、「さらに良い学校に転校した・・」というのもあって(こちらの方はかなり珍しいケースでしたが・・)、飛び級ではなく、学校を変えるという方法をとる人もいました。

 いずれにせよ、子供の教育環境を子供に適したものにするということは、とても大切なことでもあり、とりあえず、私が娘のためにしたことは、私立の学校に入れ、あとは、日本語の学習を続け、できるだけ色々な体験をさせてあげることを心がけたくらいで、我が家には飛び級も留年もありませんでした。

 私の数少ない日本人の友人には、子供の学校のために引っ越しまでして頑張っている人がいましたが、我が家には、そんな経済的な余裕はなく、そこまではできませんでした。

 とりあえずは、健康で横道に逸れることもなく育ってくれただけで、私は充分に満足しています。

 

飛び級と留年


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2024年3月1日金曜日

フランス2030 フランスとカタールの戦略的投資パートナーシップ100億ユーロ

  


 マクロン大統領は、今週、フランスを訪問中のカタール国首長を国賓としてエリゼ宮に招き、「フランス2030」戦略と2030年に向けたカタール国家ビジョンの一環として、フランスとカタールは戦略的投資パートナーシップを締結し、フランスの若い革新的企業と投資ファンドに100億ユーロを投資するカタールとの協定にサインしたことを発表しました。

 両国の相互利益のために、特にエネルギー転換、半導体、航空宇宙、人工知能、デジタル、健康、ホスピタリティ、文化・芸術などの主要分野への投資を増やす意図で、フランス経済と密接に関係している分野にも投資されます。

 両国首脳は、ガザ地区における大規模な人道援助の提供と民間人の保護をはじめ、レバノンに影響を及ぼす政治的・経済的問題の解決、国際法と国連憲章に違反するロシアのウクライナ侵略戦争に対する強い非難を表明しています。

 カタール首長の15年ぶりのフランス訪問、両国首脳会談は、何よりも二国間関係の強化に焦点を当てたものであり、「これはフランスに対する栄誉であり、両国を結ぶ絆の深さを示すものである」とマクロン大統領は、強調しています。

 「両国間の強い絆」という言葉は、マクロン大統領が外交の際にやたらと口に出す(まあ外交なのであたりまえといえばあたりまえなのに、なんか、どうもしっくりこない感じも多い)少々ひっかかるところではありますが、すでにフランスはカタールに対するヨーロッパの主要投資国であり、エネルギー、航空、インフラ、観光に90億ドルを投資しており、 また、カタールからの主要な投資対象国 5 か国の 1 つでもあります。

 また、フランスとカタールは安全保障と防衛における協力、特に両国空軍間の協力の重要性を再確認しており、両国が共通の脅威に対抗するために不可欠なラファール戦闘機を保有しているという事実も確認しています。 また両首脳は、特に歩兵戦闘と両軍の相互運用性の分野において、カタールの軍事能力を強化し近代化するために協力したいという共通の願望を表明しています。

 この政治的な話し合いの後には、フランスサッカーチームPSGのスターストライカーであるキリアン・ムバッペと、パリのクラブ会長である実業家のナセル・アル・ケライフィなど関係者?を招待した晩餐会が行われました。

 ウクライナ支援に関する国際会議でマクロン大統領が欧米諸国の地上部隊をウクライナに派遣する可能性も排除しないという過激な考えを述べたことで、ドイツ、イギリス、イタリア、スペイン、ポーランド、チェコなどの欧州諸国からの大バッシングを受けて、国内でも大論争が起こり、さすがのマクロン大統領もへこんだかと思ったら、全く、そんな様子はなかったのは、これだったのか・・このカタールとの強力なタッグがその背景にはあったのか・・と、思わされたのでした。

 それにしても、先週末には、国際農業見本市で農民たちの大反発を受け、一人で農民たちとの話し合いに臨み、早朝から夜までの一日を見本市会場で過ごし、週明けには、原子力政策審議会、ウクライナ支援の国際会議から、このカタールとの首脳会談と、どこまでも強気でエネルギッシュなマクロン大統領。

 今日は、パリオリンピックのためにセーヌ川を視察し、記者に囲まれた際には、セーヌ川の安全性を保障することを豪語し、、「オリンピックの前には、セーヌ川に泳ぎに行く」と約束。

 テンション上がりっぱなしのマクロン大統領、エネルギッシュで元気だな・・と思うと同時に、ここのところ、ちょっと行き過ぎの発言も多い気がして、少々、心配でもあります。

 おかげさまでフランス、ロシアに超、睨まれてるんですけどね・・オリンピック前だというのに・・。


フランスとカタールのパートナーシップ


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2024年2月21日水曜日

フランスの公立校の制服導入は、難航の兆し

  


 フランスの公立校(小・中・高校)で制服を導入するため、まずは、2024年度の新学期から試験的導入を開始すると発表され、思っていたよりも、この制服導入について、早く動き出そうとしていることに驚いていました。

 なぜならば、これまで四半世紀以上もフランスで生活してきて、およそフランスの学校には、制服のイメージが結びつかないものだったからです。

 それが、2年くらい前に、なぜかブリジット・マクロン(マクロン大統領夫人)が「フランスの学校にも制服があったらいい・・私の学生時代には・・」なんていうことを語ったというようなことが、話題にのぼり、「おいおい・・失礼ですけど、いつの話ですか?」なんていうことを思ったのですが、まさか、そんな話が本格的に制服導入という方向に進んでいくとは、その時には、微塵も思っていませんでした。

 このブリジット・マクロンの政府内の影の力というか、発言の威力、影響力というのも見過ごせない気もしています。

 フランスの学生は、学校にもよるのでしょうが、概して、みんなラフで自由な服装で、かといって、そんなに奇抜だったり、派手だったりすることもなく、また、学校自体も日本のような始業式とか終業式はもちろんのこと、入学式とか卒業式もなく、いつのまにか、始まって、いつのまにか終わっているという味気ないというか、よく言えばさっぱりしています。

 そんな中、制服導入の話が昨年あたりから、急激に具体的に進みだし、政府は、まずテストケースとして、100校を集めるとし、このうち87校がこのテストケースに参加することになっていると発表しましたが、内情は、このテストケースでさえも、集めるのに苦労しているようで、このテストケース参加募集の期限が2月15日だったものを結局のところ6月末まで期間を延長しています。

 つまり、期限内に試験的でさえ制服を導入してみるという学校が100校も集まらなかったということなのです。

 そもそも、これが実験段階とはいえ、「理事会と学校評議会の同意、そしてもちろん地方自治体の同意が必要で、それらのハードルを越えられない学校が多い=つまり、反対意見が多いということなのです。

 だいたい、この制服導入には、「格差社会の差別を抑制し、帰属意識を高めることを目的」としていますが、「制服で差別が解消されるわけではない」ということをみんながわかっているわけで、それ以上に自由な服装を縛られることを嫌っている・・「そんなことで差別が解消されると思うなよ!」というような気持ちが表れているような気がします。

 現在、進められようとして提案されている制服は、制服といっても、いわゆる日本にある制服ではなく、ポロシャツ、セーター、ズボンといったごくごくシンプルなもので、よく言えば活動的ではあるのですが、あまり、若い子たちが着てみたいと思いそうなものではありません。

 そもそも、みんなが同じでなくてよい、違った個性を認め合うところが、フランスの良さのような気が私はしているのですが、そこそこの国費を投じて制服?というのが、そこにお金使うの?という気もします。

 そして、個人的には、この制服導入に際して、学校側の仕事が増えることも、学校側が受け入れない理由の一つではないか?とも思っています。とにかく、フランスの公立校の教師は、少しでも余計な仕事が増えることを拒否する傾向があり、新年度が始まる前にそれぞれの生徒が買い集めなければならない文房具やノートやファイルなどのリストが配られて、それぞれが用意するのですが、こんなにまとまった量であれば、学校側が注文して揃えて、後からお金を徴収すればいいのにと思うのですが、そんなことですら、学校側はやらない・・余計な仕事を増やしたくないのです。

 フランス人お得意の「それは私の仕事ではない」というやつです。

 制服が導入されれば、それぞれの生徒のサイズに合わせて、注文をとり、服が小さくなったとか、破れたとかいうたびに、学校側が対応しなければなりません。

 それを「格差による差別の抑圧」など、もっともらしいことを言われても、私たちの仕事には、制服の管理などという仕事は入っていない・・と、さも言い出しそうなことのような気がします。

 まあ、とりあえず、やってみるのは、よいかもしれませんが、このテストケースにさえも学校が集まらないというのは、そこのところは置いておいて、集まった学校での結果をもとに、強行的に制服が導入されるのか?

 一部では、国歌を歌うことを推奨するとか、入学式とか卒業式を取り入れようとか、どちらかというと、引き締めにかかっているような感じのするフランスの学校教育。

 とりあえず、何かを変えるということには、大変な国民の圧力が存在するフランスで、政府が思っていたようには制服は簡単には受け入れられそうもない感じです。


フランス公立校の制服導入


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2024年2月20日火曜日

ストライキラッシュ 今度はエッフェル塔がストライキ

  


 ストライキは、フランスのお家芸のようなものとはいえ、ここ最近のあちこちでのストライキには、「どうなっちゃってるの?」と思わずにはいられません。

 まあストライキがあることが通常運転のようなところはあるものの、年明けからのRATP(パリ交通公団)、SNCF(フランス国鉄)、学校、農民たちの抗議運動などなど、大げさながら、もう黙っているのは損とばかりにストライキのお知らせが後を絶たないのは、ちょっといつにないストライキラッシュのように感じています。

 子供の冬休みのバカンス期間をめがけてSNCFが行った大規模なストライキのために、少なくとも15万人に被害が及んだという騒ぎのあと、ようやくまともにTGVが動き出すらしいという話を聞いたと思ったら、今度はエッフェル塔がストライキ。

 まあ、エッフェル塔に関しては、一般市民というか、住民の日常生活に影響はあまりないものの、やはり、依然として子供の冬休みのバカンス期間中なことに代わりはなく、国内の観光客もいるわけです。

 なんだかこのストライキが目白押しの中、なんだか、エッフェル塔はパリ(フランス)の象徴的存在なだけに、そのストライキもシンボリックな気がしてなりません。

 観光客の数もパンデミック前の状態に戻るどころか、それを越す勢いだったはずなのに、エッフェル塔がなぜ?ストライキをしなければならない状況に陥っているかは、その運営に何やら、問題がありそうです。

 エッフェル塔の職員CGT(労働組合)は、このストライキを「記念碑の維持管理上の問題と、市会計が認めていないにもかかわらず自治体が徴収する手数料の増額」、「エレベーターの近代化、通常、定期的に行われるはずの修繕工事や塗装工事ができていない」、「30年以上も放置されている床やエレベーターの改修は、絶対的に不可欠なことであることにもかかわらず、 これらすべてのことは市庁舎(パリ市)が5000万ユーロを受け取ることを可能にするために脇に置かれている」など、運営管理上の不均衡を訴えています。

 必要不可欠の工事をないがしろにして、なぜか大金が注がれる記念碑の存在も疑問を抱くところでもあり、「それ、他のものを差し置いてまで必要?」というところなような気がするし、エッフェル塔は、パリ市と密接な関係であるとはいえ、別会社。にもかかわらず、その謎の手数料の増額。

 つまり、お金が使われるべきところに使われずに、そこにそんなにお金を持っていかれる?という歪な運営状態。

 インフレや何やら、色々と抑圧される部分が多いなか、このようなお金の流れが一層、注目され、表沙汰になっているのが今の状態なのかもしれません。

 エッフェル塔にしても、交通機関にしても、料金は着々と値上げされて収益は下がってはいないはずなのに、それが正当に使われていないのは、ままあることで、こういうことを見るたびに、運営のための資金が不足しているとかいう前に、「おこづかい帳」つけてる?と何にお金を使っているか?無駄なことに使っていないか?それを見直せば、ずいぶんと削れるところがあることに気付くのではないか?と思うのです。

 余談になりますが、私は、娘にお金の使い方を教えるために、必要なものは、全て親が買っているし、小学生は、自分一人で外出さえさせられなかったために、自分でお金を使うこともないので、おこづかいも必要ないだろうけど、お金の管理を教えるために、少額ですが、おこづかいを渡して、おこづかい帳をつけるように教えていました。

 まあ、それが功を奏したか、生まれ持っての性分だったのか?娘は、ほんとうにお金にきっちり、シビアで、逆に本当に私の娘なのか?と思うほどに、しっかり倹約家になりました。無駄なことには、まずお金を使わず、その徹底ぶりには驚かされるばかりで、時には、私の大雑把な買い物に「ママ、調子にのりすぎ・・」などと、おしかりを受けるようになりました。

 話は脱線しましたが、公的なお金となるとやたらと気前がよくなる公の機関、基本的にフランス人には倹約家が多い中、自分のお財布だと思って、お金は必要なところに使ってもらいたいものです。

 ついでに、付け加えさせていただくならば、今、日本で騒いでいる、政治家の裏金、脱税問題が公になる中、国民には、確定申告で納税を呼び掛けるハタから見ていても、腹立たしい光景に、フランスだったら、こんな事実が明らかになったら、ストライキどころではすまずに、国中が燃える暴動になるだろうな・・と思っているのです。


エッフェル塔ストライキ


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2024年2月19日月曜日

ミスターフランス2024 今のフランスのイケメンはこういう感じ

  


 ミスフランスに比べると、注目度は低いものの、ミスターフランスというコンテスト?は、1993年から行われています。

 ミスフランスとは、独立したものであるとしつつも、このコンテストの審査委員長は、元ミス・フランス大会の看板人物であったジュヌヴィエーヴ・ド・フォントネー(帽子を被った女性といえば、彼女の姿が思い浮かぶ人も多いだろうと思われる)の息子、ザビエル・ド・フォントネーが務めているので、あまり説得力がない説明でもあります。

 今回、ミスターフランス2024に選ばれた男性は、ミスター・ローヌ・アルプのシャルル・スタンパー氏が優勝しました。

 国際ビジネスの修士号を取得したばかりの青年は23歳で、身長1.79メートル、体重74キロで、現在は、自動車メーカーの営業担当として働いています。

 仕事以外の時間には、フィットネスジムに通い、スキーもたしなむスポーツマンとのことで、スポーツに取り組むことにより、学生時代に受けたいじめ被害から抜け出したことを告白しています。

 また、彼は動物愛好家でもあり、ボランティア活動にも参加しており、この「ミスターフランス」のタイトルを動物愛護家としての活動にも利用したいと述べています。

 

 正直、フランス人の評価する「美」の基準というものは、よくわからないところもあるのですが、現在のフランス人の「イケメン」、「ハンサム」とされる人は、こういう感じなのか?と、傍観者的に眺め、「は~~こういう人がカッコいい人なのね・・」と思うのでした。

 一応、ミスターフランスの応募基準は、「フランス国籍」であり、年齢が18歳から30歳まで、身長が1.75メートル以上、独身で子供のいない人という括りがあります。

 彼は1年間、ミスターフランスとして、フランス全土及び、海外を渡り歩くことになり、モデル事務所に所属し、ファッションショーに参加するだけでなく、有名ブランドの顔になるチャンスにも恵まれることになります。

 個人的には、いま一つインパクトに欠ける感じで、いつか、どこかのハイブランドの香水などの広告に彼が登場したとしても、あの時のミスターフランスの人?とは、気が付かなそうな感じもしてしまいます。

 まあ、逆に考えれば、それだけ、彼はその手の類の広告に登場しそうな感じである「美」なのかもしれません。


ミスターフランス2024


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2024年2月17日土曜日

人の味覚はそれぞれなので、自分の好みに合うものを見つけるのは簡単ではない

 


 私が日本に行く時は、半分くらい(もしかしたら、それ以上かもしれない)は、食べることが目的なので、当然、もの凄い勢いで食べまくるのですが、前回の一時帰国の際は、我ながら、これまで以上の興奮ぶりで、もう満腹中枢が壊れたかと思うくらい、食べまくりました。

 日頃から、YouTubeやInstagramなどで、「これ最高!」などと紹介されているものをチェックしていて、「日本に行ったら食べたいものリスト」に書き足しています。

 日本に到着するやいなや、日本の場合は、すでに慣れ親しんでいるお店やすでに知っているもので、どうしても食べたいものが、すでにたくさんある中、その新しく食べてみたいものリストから漏れずに食べて帰ろうとするために、色々と買い物に走ったり、お店に食べに行ったりします。

 今回、多分、何かのYouTubeで、「成城石井の焼売がすごく美味しい!」と言っているのを見て、娘に話したら、「成城石井なら、会社の入っているビルに入ってるから買ってきてあげるよ!」と言ってくれたので、ものすごく期待して食べると、「うん、美味しいけど、べつに・・」という感じで、ちょっとがっかりしたという話を隣に住んでいる従姉妹に話したら、「うん、成城石井の焼売は特別感はない、焼売だったら、小洞天のが美味しいよ!」と買ってきてくれました。なるほど、さすがに、長い付き合いだけあって、好みが一緒で、この焼売には大感激でした。

 すると、今度は、肉まんの話になり、肉まんなら「維新號」の肉まんが美味しい!という情報を得て、「維新號」の肉まんを探して歩くことになり、それまでの間に会った友人や叔母たちに聞いても、たしかに「肉まんなら維新號!」と口を揃えて言うので、何が何でもそのみんなが絶賛する肉まんを食べたくなり、さんざん探してようやく渋谷でゲット。

 大変、満足でした。

 フランスに戻って、しばらくは、日本から持ち帰ったもので満足して、フランスの食品が色褪せて見えていたのですが、結局、ないものねだりをしても仕方ないので、また、フランスでも、美味しいものを探して歩くことを再開しています。

 しかし、フランスでは、日本ほどは、感激できるドンピシャのものを見つけるのは簡単ではなく、X(旧Twitter)やYouTube、Instagramなどで紹介されているお店に食べに行ってみたり、持ち帰れるものは買ってきたりしているのですが、どうにもハズレが多く、あんなに絶賛している感じだったのに、全然、大したことなかった・・とガッカリすることもしばしばです。

 そんなお店に行ってみると、フランス人のユーチューバーらしき人々が撮影している場面に遭遇したりすることもあるのですが、「まあ、悪くはないけど、フランス人の好みなのかな?」、まあ、人の味覚はそれぞれなので、必ずしも私の口には合わず、「まあ、美味しいけど、また来るか?って言ったら、そうでもないかな・・」というところが多く、やっぱり自分の好みのものは、自分で探さなければ・・とそのたびに思うのです。

 特にフランス人のインスタなどだと、ノリも良くて、ついついその気になってしまうのですが、なかなかハズレも少なくありません。

 彼らがウソをついているわけではなく、単に好みが合わないだけの話、私も時々、ブログでパリにある私が美味しいと思ったお店や食べ物を紹介していますが、必ずしも万人向けかどうかはわかりません。

 必ずしも有名なお店だったら美味しいというわけでもなく、パリの場合は、特に外食は、決して安くもないし、お店の雰囲気やサービス、そして提供される食べ物が総合的に値段相応のものであるかどうか?そんな感じで私は、美味しいものを探し歩いています。

 それにしても美味しいものを探すのは日本でもパリでも楽しいのです。


おいしいもの探し 味覚


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2024年2月15日木曜日

運転免許証がスマホに取り込めるようになった・・

  


 もう、どんどん時代は進化して、スマホなしには生活できないようになってきていますが、逆に「スマホ一つさえあれば、なんでもできるようになってきた・・」という方が前向きな捉え方かもしれません。

 今や、スマホで支払いもできるようになったため、現金を持つ必要がなくなり、Navigo(メトロやバスのチケット(定期券)も身分証明書もスマホに読み込めるようになり、ついに運転免許証もスマホに読み込むことが可能になりました。

 今まで、お財布の中に入れていた様々なカードはお財布ごと必用なくなりつつあり、スマホさえ持てば、済むようになりつつあります。

 私は個人的には、どちらかといえば、アナログ人間で、このスマホの操作は億劫で苦手で、いつも娘にバカにされながら、教わりながら、少しずつ取り入れざるを得なくなってきています。

 フランスでの、この証明書類のデジタル化が想像以上に進んでいることを一番、目に見えて感じたのは、コロナウィルスがまだまだ蔓延しつつ、ロックダウンが解除されていく過程で、ワクチンパスポートがないと、出かけられなかったり、レストランに入れなかったりするようになった頃のことで、かなり高齢の人々でさえもスマホにワクチンパスポートを読み込んで提示していた時に、こんなおじいちゃんたちもスマホをちゃんと使えるんだな・・と驚いたのです。

 このようなシステムは、使用方法が簡単であり、且つセキュリティーがしっかりしていることが最低必須条件ではありますが、今回の運転免許証は、これまでに、すでに存在していたfrance-identite.gouv.fr/の中に、運転免許証を追加できるようになったという感じです。

 この証明書関係を読み込むためのアプリをインストールして、そこから簡単に読み込むことができます。フランスの古い運転免許証は、ピンクの紙でできた、それこそ、なんで?こんな大きいの?というようなものでしたが、最近発行されている運転免許証は、ICチップ入りの銀行カードサイズのものに移行しています。

 現段階で最も簡単にスマホに読み込めるのは、このICチップ付の運転免許証ですが、近々、この古いピンクの免許証も電子ID(身分証明書)を取得済であれば、読み込み可能になります。

 この運転免許証のデジタル化、スマホ読み込みが急がれたのは、検問の際の免許不携帯があまりに多いこと、そして、罰金の未回収があまりに多いために、その場で罰金支払い請求が行われるようになって、その場で罰金切符を発行し、その後の追跡がしやすくなることも大きな目的の一つであると思われます。

 しかし、逆に悪い方向で考えれば、スマホを失くしたり、盗られたりしたときには、大変なことになるわけで、この治安の悪いパリでは、スマホを盗られたりすることも珍しくはないわけで、やっぱり、二の足を踏んでしまうところはあります。

 ペーパーレスの次は、カードレス・・時代はどんどん進化していき、アナログ人間はついていくのが大変です。


デジタル運転免許証フランス


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2024年2月11日日曜日

パリオリンピックのメダルの特別感 デザインは高級ジュエリーブランド「ショーメ」が担当

  


 開催まで半年を切ったパリオリンピック2024の各競技で授与されるメダルのデザインが発表されました。

 これまで私は、オリンピックメダルのデザインなどについては、あまり注目したことはありませんでしたが、なるほど、これほどオリンピックにとって象徴的な存在のもの、こだわりをもって作られるのは、当然といえば、当然です。

 パリオリンピック組織委員会の発表によると、今回のオリンピックメダルは、パリオリンピックのプレミアムパートナーであるLVMH傘下の高級ジュエリーブランドの「ショーメ」がデザインを担当し、パリ造幣局が製造します。

 このメダルのデザインに関しては、非常に特別な注文であったために、「ショーメ」の内部においても極秘裏に進められ、この件について知らされていたのは5人だけだったと言われています。

 「ショーメ」のデザインというだけでもインパクト大なのですが、このデザインには、他にもパリオリンピックならではの特別な意味が込められています。

 メダルの表側には、フランスを想起させる六角形にパリ 2024 とそのロゴが描かれており、この六角形からメダルの金属を象った光線を発しているような比較的シンプルですっきりしたデザインになっています。

 この中で最も特別感があるのは、この六角形の部分(18g)にエッフェル塔の鉄が使われていることで、このエッフェル塔の鉄は、改修工事でエッフェル塔の破片から抽出されたもので、これまでパリ郊外の格納庫に密かに保管されていたものなのだそうです。




 オリンピックメダルには、勝利の女神アテナ ニケ、パナシナイコ スタジアム、アクロポリスの彫刻が国際オリンピック委員会 (IOC) によって課されていますが、パリ 2024 大会ではエッフェル塔のデザインを追加する例外的な認可を受け、パリオリンピックならではの特別感を演出しています。

 「ショーメ」はヴァンドーム広場に 250 年にわたって存在し、ギュスターヴ エッフェル自身も顧客だったと説明しており、 デザイナーは、20 世紀初頭に作成された結婚式や記念のメダル、ティアラの輝く外観、さらには 50 年代から 60 年代の六角形のエメラルドにインスピレーションを受けてデザインしたと語っています。

 こういったものに、色々と意味付けをして、講釈を垂れるのは、フランスのお家芸の一つでもあるような皮肉な受け取り方もしてしまうのですが、最も注目を浴びるオリンピックのメダルですが、意外にそのメダル自体は、そのこだわりほどには注目されていないな・・などと、いじわるなことも思うのです。


パリオリンピックのメダル 


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2024年2月6日火曜日

最近のマイブーム パリのヴィエノワズリーの美味しいお店

  


 フランスに来て、もういい加減、かなり長くなり、本当に今さらではあるのですが、最近、私はとてもパンが好きになりました。

 スタンダードにバゲットを買うことが一番多いのですが、最近はふつうのバゲットではなく、バゲットトラディションを買うことにしています。若干、ふつうのバゲットよりは高いのですが、ほんの20セントくらい高くなるだけで、全然、クォリティが違うので、まあ、ちょっとだけ贅沢といっても、さすがにバゲットとなると、たかがしれているので、まあ、そんなに大量に食べるわけでもなく、まあ、これくらいはいいかな?と思っています。

 さすがにパリはどこへ行ってもパン屋さんは多く、通りかかったパン屋さんは、最初は外から様子をうかがって、良さそうだと思うと、特に買う予定がなくても、とりあえず、必ず入ってみるようにしているのですが、おもいのほかパンやケーキが並んでいるウィンドーは華やかでフワッとしたバターとパンの香ばしい香りに包まれて幸せな気分になります。

 最近は、気のせいか、クロワッサンやパンオショコラがやけに立派になり、またヴィエノワズリーの種類も増えた気がして、ついつい誘惑にかられます。

 昨年、セドリック・グロレのクロワッサンが食べてみたくて、延々並びましたが、たしかに美味しかったのですが、さすがに毎度毎度、あんなに並ぶ気もせず、また、ちょっと値段もいくらなんでも・・というくらいに高いので、そうそうリピートする気にはなりません。

 昨年、一時期、ギャラリーラファイエットグルメに入っていた(期間限定)パン屋さん(     PANADE)のヴィエノワズリーがとても美味しかったので、そのお店に行ってみたら、なんと、ラファイエットグルメとは、同じものが全然、安かったりして、ちょっと嬉しくなって、ごきげんにいくつか買ってきました。



 そのお店のヴィエノワズリーのパイ生地は、ちょっと大げさに言えば、エッジが立っているというか、パイ生地をしっかり感じられ、パイ生地好きの人にはおススメです。




 また、昨年、サロン・ド・ショコラに出店していたお店で魅せられたヴィエノワズリーが気になっていて、パリ市内のお店(LAURENT DUCHENE)に行ってみたところ、こちらも見事なパイ生地なのですが、何よりバターの香りが素晴らしく、パリッとしつつも、しっとりしていて絶品でした。



 この写真のシマシマは、クロワッサン・オ・ショコラでパン・オ・ショコラはまた別にあります。



 種類も多く、お値段もそこそこなので、ケーキを買ったりすることを考えれば、ずいぶんと割安だ・・などと自分に都合のよい理屈をつけて、ここのヴィエノワズリーもいくつか購入。今年中に全種類制覇したい・・などと、ワクワク楽しい気持ちです。

 我ながら、いつも美味しいものを探して歩いている自分に呆れる気もしますが、パンやヴィエノワズリーに関しては、パリでは美味しいものに遭遇する確率が高く、この美味しいヴィエノワズリー探しは、しばらく私のささやかな幸せのひとつになりそうです。


🌟PANADE                          35 Rue Violet 75015 Paris 

🌟LAURENT DUCHENE         2 Rue Wurtz 75013 Paris


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