2025年6月13日金曜日

ロダン美術館が大好き

  


 パリには数多くの美術館があるけれど、いつでも行けるところにいながら、美術館というものは、そんなに頻繁に行くわけではありません。

 しかし、行ってみると、全然、気軽に行けるもので、行くたびに、「もっと、ちょくちょく来るべきだ・・うん!また、近いうちに来よう!」と思いながら、なんとなく、心が満たされた気分になって帰るのです。

 美術館に行くということが習慣になったら、よいな・・と思いつつ、結局、そこまでは行けていません。

 今回は、久しぶりにロダン美術館に行ってみたのですが、そういえば、前に来たのはいつだったかな?パンデミックの前かもしれない・・(最近、過去のことを思い出すときに、パンデミックは私の中でなにか一区切りになっていて、パンデミックの前か後?どっち?と考えるようになっています)と思いながら、たぶん5年ぶりくらいで5回目くらいです。

 ロダン美術館は個人的にはパリの美術館の中でももっとも好きな美術館のひとつで、そもそもず~っと昔にまだ私が日本に住んでいた頃に最初にパリに旅行で来た際に、まず、一番行きたかったのがロダン美術館でした。

 それは、私が彫刻が好きとか、ロダンが好き・・というよりも私の大好きな作家の井上靖氏の小説にパリが度々、登場し、その中で主人公がロダン美術館を訪れるシーンがあって、その小説の中の描写がとても素敵だったからです。

 小説の中にはロダンの「パンセ」、つまり日本語でいうところの「考える人」などが出てくるのですが、最初は、その本物のパンセが見たいと思ったのでした。当時は、私は、フランス語は全くできなくて、会社の上司の人でフランスに留学経験があって、フランスが大好きという人に「ロダン美術館はどこですか?」というフランス語を教わって行きました。

 その時の美術館のことは、あまりよく覚えていないのですが、その「ロダン美術館はどこですか?」と街行く人に尋ねてみたら、ちゃんと言葉が通じたことに感激しつつ、当然のことながら、フランス語で尋ねたので、フランス語で答えが返ってきて、何を言っているのかわからないことに初めて気が付いて、友人と大笑いした記憶があります。



 話が脱線しましたが、パリに来てからも、何回かロダン美術館には行っていますが、私の中では「ロダン美術館=お庭のバラがきれい」という頭があって、今回、行ったのも、バラの季節だし、さぞかし、お庭のバラがきれいだろうと思ったのですが、残念ながら、バラはところどころにはあったものの、盛りの頃はもう過ぎていました。



 入口を入るとすぐに荷物チェックの場所で少しだけ並びますが、これも数分のみ、比較的あっさり通れます。美術館の中に入るとチケット売り場とオーディオレンタルがあって、過ぎると現在は子どもが美術に触れて楽しむことのできるキッズスペースができています。

 私も入りたいんですけど・・と言ったら、子どものスペースなので大人はダメだと言われました。


 美術館の中には、ロダンの彫刻を中心とした作品(絵画等もあります)が約7,000点あるそうで、中には、ゴッホの絵(私が知っていたのはタンギー爺さんというもの)などもありますが、なんといっても力強いロダンの彫刻の数、大きさには、圧倒されます。




 彫刻のほとんどがケースなどには入っておらず、ほんとうに近くまで寄ってみることができます。ロダンの彫刻はもちろん小さなものもありますが、大きなものがけっこう多くて、これは、ロダンが世に出る頃にあまりの出来栄えにかたどりをしたものではないかと疑われたために、人間の実物大よりも大きな作品を作ってその作品がかたどりではないことを証明したため、それ以来の彼の作風になったという説があるそうです。




 とにかく、これだけの数の彫刻を作り出すパワーは並大抵のものではないと思われ、その作品の表情や身体、筋肉の動きなど、ひとつひとつを創りあげるのには、正気を保つのは厳しいのではないかと感じられます。



 私は美術に関して、詳しいわけではないので、なんとなく、好き・・すごい・・素敵・・きれい・・カッコいい・・とか、まるで幼稚園の子どものような感想しかないのですが、これがやはり数百年前にたしかにここにいたロダンという人が自分の手で造り上げたものがそのまま残っていると思うと、唸りたくなります。






 美術館内の広さはほどほどで、非常に見やすくて快適、しかし、私がこの美術館が好きなのは庭園です。庭園内には、カフェもあって、簡単な食事もできるようになっています。この庭園は、これまた、そこまで広すぎず、しかし、屋外だけど木陰になっているスペースに彫刻が点々と置かれていて、ベンチがたくさん置かれています。(ゴミ箱がやたらと多い)



 非常にゆったりとした空間で、友だちとおしゃべりしたりするのにもちょうどいいな・・とも思います。屋外に置かれた彫刻の数々には、ひとつひとつ説明書きがついています。



 今回は、その中のひとつの頭を抱えた大きな彫刻がやけに気に入って、しばらく側にいたい・・と思いました。頭を抱えて、なにか考え事をしている様子の彫刻ですが、頭を抱えて下を向いているのに、大きな目は見開かれているのです。

 今は、時期的なこともあるのでしょうが、幼稚園だか小学生だか小さい子どもたちが学校の遠足かなにかで来ている感じも、とても微笑ましいです。余談ですが、こちらの子どもたちは、美術館内などでも非常にお行儀が良いです。




 最後の出口の近くには、ブティックがあり、多くの美術館にあるように本や小さな彫刻、お土産類が売っていますが、なんといっても「考える人」は一番人気のようで、考える人消しゴムから、考える人鉛筆、考える人カレンダー、考える人パズルなど、考える人に埋め尽くされているのには、苦笑してしまいますが、ついつい欲しくなる気持ちもわからないではありません。

 この美術館は、大変よいロケーションでもあり、入口を入ってわりとすぐのところに有名なパンセ(考える人)があり、その向こうには、エッフェル塔、アンヴァリッドなどが見えます。また、同じ通りは、首相官邸をはじめ、多くの省庁が並んでいる通りなので、やたらと警察官が多く、治安の良さは抜群です。

 この美術館は晩年にロダンがアトリエとして使用していた場所だそうですが、こんなところにアトリエがあったなんて、すごいな・・などとも思うのです。

 現在、行列ができているという大阪万博のフランスパビリオンには、ロダンの彫刻が言っているようですが、パリのロダン美術館はほぼほぼ行列なしに入れ、山ほどのロダンの彫刻が惜しみなく置いてあります。

 子どもがけっこういたり、作品との距離も近いので、ゆったりと自由に見ることができて、堅苦しい感じは微塵もありませんので気軽に芸術に触れる(触るということではない)ことができるので、とってもおススメです。


パリ・ロダン美術館

🌟Musée Rodin  77 rue de Varenne 75007 Paris  


<関連記事>

「モディリアーニ展 ザッキン美術館 exposition MODIGILIANI/ Musée ZADKINE」

「久しぶりのオルセー美術館 予約なしでも、あんまり並ばずに済んだ・・」

「パリの美術館 軒並み過去最高来場者数記録」

「パリの国立自然史博物館はレイアウトもライティングも含めて美しい・・」

「ガラガラのルーブル美術館なんて今だけ! 一人ぼっちのミロのヴィーナス」

 

0 コメント: