2025年5月16日金曜日

30年以上も続けられたサンブレ強姦魔ディノ・スカラの犯行と追訴

  


 過去40年間で最大の性犯罪者の一人として知られている「サンブレ強姦魔」は、30年以上もの間、同じ方法、同じ地域で犯行を繰り返してきました。逆に言えば、警察はこれだけ長い間、彼を逮捕できなかったことで、被害者を増やし続けてしまったということもできます。

 彼はすでに2018年に逮捕され、2022年の裁判で54件の強姦を含む性的暴行事件で有罪となり、懲役20年の判決を受け、すでに拘留されていますが、今回、あらたに16件の性的暴力事件についての裁判が行われ、この事件が再注目されています。

 この「サンブレ強姦魔事件」は、フランス北部サンブレ渓谷を挟んでベルギーとフランスの両方にわたって同地域で犯行が続けられた事件で、最初の犯行は本人曰く、1984年のことで、それから彼が2018年に逮捕されるまで33年間にわたって続けられていました。

 彼の手口はいつも同じで、帽子などで顔を隠して、手袋をして、早朝に通学、通勤中の女性を背後から襲い、ナイフやロープでターゲットの女性を脅し、犯行に及ぶというもので、これがなぜ?そんなに長いこと、逮捕できなかったのかと疑問にも思うのですが、この徹底して顔を見られないように突然、被害者を襲うことで、被害者側の記憶が曖昧だったり、また、当時はDNAファイルが適用されていなかったこともあり、また、彼自身には犯罪歴がなかったために、彼の記録が警察側になかったことなどが挙げられています。

 そのうえ、彼自身は凶悪な性犯罪者という一面とはうらはらに、極めて周囲の人々には評判のよい善良な市民であり、良い父親でもあり、地元サッカーチームのコーチなど、地域活動などにも積極的に参加する人であり、また、アルコールや薬物に依存している人物でもなく、いわゆる犯罪者のイメージとはかけ離れた人物で、彼自身の二面性から、この人物の犯行とは疑われなかったためであると言われています。

 しかし、彼が続けてきた犯行は、いつも同じ時期、毎年9月中旬頃から始まり、4月から5月まで続き、ほぼ同じ時間、同じ場所、同じ瞬間に周期的に繰り返されてきました。

 当初は同一人物の犯行とは考えられずに別々のファイルに記録されていた事件がデジタル化により、共通点が絞りこまれ、また、別の警察署の管轄のものが統合して比較検討されるようになり、徐々に彼に容疑が絞りこまれていったようです。

 しかし、それにしても30年もかかるとは・・まるで小説かドラマみたいな話だ・・と思ったら、この事件はすでに「サンブレ」と名付けられた本になり、フランス2でもドラマ化されて放送されていたようです。

 彼は2022年の裁判のときに、自分の行動にはある種の興奮があったが、自分の喜びは実際には性行為自体からよりも、犠牲者を驚かせ、コントロールすることにあったし、これは一種の自分の中の「狩猟本能」であると説明しています。

 もはや30年以上も経過してしまった数々の事件のひとつひとつを彼自身が記憶しているかどうかも定かではないとはいえ、被害者にとっては、決して忘れられないトラウマであるに違いない事件、これまでに彼が54件の罪で裁かれているとはいえ、今回、追訴されている16件の事件の被害者ひとりひとりにとっては、見過ごしてほしくない事件であったに違いありません。

 そもそも性犯罪者は明らかに、ずっと性犯罪者の面を見せているという人はむしろ稀であり、表面的には善人の顔を装っている人がほとんどだろうし、むしろ、性犯罪者こそ、再犯が多いと言われる犯罪。このサンブレ強姦魔については、あまりに長期間に犯行が及んだこともあり、被害者数もちょっと信じられないくらい多いのですが、しかし、このようなケースは一概に稀であるとも言い難く、有名な俳優やタレントなどの性加害事件などのケースを見ていても、被害者数はかなりの数に及んでいる気もします。

 

サンブレ強姦魔


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