2025年5月12日月曜日

フランスとポーランド 相互防衛友好条約締結

  


 マクロン大統領とポーランドのドナルド・トゥスク首相は、フランス・ナンシーで相互防衛協力と友好のための条約を締結しました。

 ポーランドはフランスで生活している限り、フランスにとって、あまり大きな存在と感じることもないのですが、実は、ポーランドはフランスにとっての中央ヨーロッパにおける最大の経済バートナーでもあります。

 ポーランドは1999年にNATOに加盟、2004年に欧州連合に加盟し、ワイマール・トライアングル(ドイツ・フランス・ポーランドの首脳が集まる強力グループ)のメンバーでもあり、幾重にも重なって、関係を結んでいる国です。

 本来ならば、EUにしてもNATOにしても、それに加盟している時点で、両国ともに、相互防衛の役割を担っているはずのところ、また、新たに、このような敢えて二国間での相互防衛友好条約を結んでいくことで、より強い連携を高めていくものと考えられます。

 現在も続いているロシアとウクライナの問題についても、現在も、そして、この闘いが停戦になったとしても、終戦になったとしても、今後も存在し続けるロシアへの脅威からの防衛を欧州の力でなんとか固めていこうとしている動きの一つと見られます。

 まさに、この相互防衛友好条約締結後にマクロン大統領は、英国、ドイツ、ポーランドの首相とともにキエフを訪れ、ゼレンスキー大統領とともに、キエフからトランプ大統領とも電話会談を行い、モスクワに対し、30日間の無条件かつ完全な停戦を受け入れなければ、「大規模な制裁」を加えるという最後通牒を突きつけています。

 この停戦要求は翌月曜日にも・・という要求であったものの、モスクワ側は、5月15日にウクライナ側との直接交渉を望むとしており、このモスクワ側の反応に対して、この欧州メンバーは全く満足しておらず、まだ、プーチン大統領は時間稼ぎをしようと試みていると読んでいます。

 そもそも、トランプ大統領も提案しているこの30日間の停戦案に対しては、ゼレンスキー大統領は、もう2ヶ月前から、停戦に同意しているにもかかわらず、はぐらかし続けているロシアの態度にしびれを切らしているものでもあります。

 話はフランスとポーランドの相互防衛友好条約に戻りますが、これは、文字どおりの相互防衛の約束ではありますが、フランスは英国と並んで、西ヨーロッパで唯一核兵器を保有している国でもあることから、「核の傘拡大」に繋がる恐れもあるとの見方も出ています。

 しかし、この「核の傘」問題については、実際にはフランスの核兵器を防衛同盟国が自由に使えるというわけでもなく、「核保有の脅威」としての役割という意味においては、悪くない相互防衛のような気もしています。


フランスとポーランド 相互防衛友好条約


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