2025年1月23日木曜日

フランスは2030年までに現役軍人を21万人、予備兵を8万人にする

  


 マクロン大統領は、なぜ?ドナルド・トランプ氏の大統領就任のセレモニーに出席しないのか? イタリアのメロー二首相やハンガリーのオルバーン首相、また、フランス国内の極右政治家なども参加するのにマクロン大統領が出席しない理由が説明されていました。

 本来、アメリカの大統領就任式には、外国の国家元首や政府首脳は招待するものではなく、各国は大使がこれに出席しているもので、むしろ、この伝統に逆らって、トランプ大統領がイタリアやハンガリーの首相を受け入れたことの方が例外的な話だったようです。

 マクロン大統領からしたら、本心では、あまり歓迎すべきことではないであろうし、昨年、12月の時点で、パリ・ノートルダム大聖堂の再開のセレモニーという特別な場所にトランプ大統領を招待し、その際にエリゼ宮で会談する機会を得ているので、外交的には、一応の礼を尽くしたといった感じもあったのではないか?と思われます。

 さて、トランプ大統領就任の日、マクロン大統領は何をしていたのか?と思いきや、彼は、レンヌ近郊にある軍(デジタル・サイバー地上支援司令部)の式典に参加し、新年のスピーチを行っていました。

 この演説の中で、マクロン大統領は、ウクライナ戦争以来の「危機の加速」を強調し、この戦争の早期解決を約束しているトランプ大統領とは異なり、この戦争がさらに長期化する可能性を語っています。

 そして、「今日の我々の課題は、ウクライナに存続の手段を与え、強い立場から将来の交渉に臨むことである」、「また、紛争が終結したときに、ウクライナに対し、同国領土で紛争が再び起こらないことを保証し、我々自身の安全を保障することが課題となる」と述べ、政府と陸軍参謀本部に対して「より多くの若者を軍に動員するための提案」(具体的には、2030年までに現役軍人を21万人、予備兵を8万人にする)、「若い志願兵が軍隊で学び、その戦力を強化できるようにする計画」を5月までに行うことを求め、「これは権利と可能性を与えるものだ!」、「自分の国の役に立ちたい若者はたくさんいる!」と訴えました。

 このマクロン大統領の演説に対して、「ますます軍国主義化するマクロン大統領の狙いは若者たち」など、彼の言う「危機の加速」以上に「マクロンの軍国主義化の加速」などと反発の声も大きいようで、同時にこれは、彼が力を入れてきたSNU(国民皆兵サービス・以前の徴兵制の縮小版みたいなもの)の失敗を隠すためのものだと指摘する人もいます。

 このSNUは、先週、上院でこのSNUのために割り当てられた予算を廃止することを決議しており、事実上、彼が望んでいたものが、否定されたようです。

 彼は、これを真っ向から認めないものの、別の方向から軍事化への道を探っており、「彼はメディアの舞台を独占すること以外にはあまり何も望まない、窮地に陥った大統領だ!」などと非難する人まで出てきています。

 マクロン大統領は、若者に「強い決意を示し」、「奉仕する選択肢を与えたい」とし、「若者の軍隊での勤務時間を延長することに彼らを従わせたい」という希望を表明しているものの、若者が何に対して「強い決意を示し」、どんな「選択肢を選択する」か?は、置き去りになっているところに、現実との乖離が感じられます。

 少なくとも、子どもに軍に入ってほしいと願っている母親はあまりいないと思うのですが・・。


マクロン大統領 軍事化強化


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