ジェラルド・ダルマナン法相は、今年7月31日に「麻薬密売人専用の厳重警備刑務所」を開設し、2026年には、「刑務所警察部隊」を創設し、刑務所行政をフランスの第三の国内治安部隊にすることを発表しています。
現在、フランスの刑務所には、麻薬密売や組織犯罪の容疑で1万7,000人が拘留されていると言われています。
この麻薬密売や組織犯罪(その多くは両方に関わっている)に関する服役囚がいわゆる塀の外での新たな犯罪を指揮しているような事件が多発している事例が増加していることによると思われます。
そこまでフランスで起こっている全ての事件に目を光らせているわけでもない私でも、そう言われれば、いくつかの事件が思い浮かぶほどなので、実際に起こっている事件は、恐らく想像以上に多い事象なのではないかと思います。
ダルマナン法相の発表によると、この最も危険な麻薬密売人100人を収容する厳重警備刑務所は、「携帯電話や麻薬等の薬物の配達、脅迫が絶対に不可能な不可侵の拘留場所」になるということなのですが、逆に、この厳重警備刑務所ではない場合、これら(携帯電話や麻薬等の薬物の配達、脅迫)が可能であるというわけでそちらの事実の方が驚きです。
実際に、昨年、起こった囚人護送中の護送車の襲撃事件・囚人逃亡事件や、麻薬密売のボスが刑務所の中から、抗争相手の襲撃の実行する少年をSNSで募集して、実行させて失敗して、別の人間を殺害してしまい、失敗した場合は、雇い主である刑務所に拘留中である囚人が警察に通報して売るような、もう警察、刑務所を舐め切っているような事件が起こった際に、彼らがいかに刑務所内で自由に携帯電話を使い、やりたい放題の生活を行っていたかが暴露されたりもしていました。
また、この刑務所内での携帯電話に関しては、刑務官5人が金銭目的で服役囚に届けていたことが発覚してこの刑務官5人が逮捕されるというさらに別の驚きの事件もありました。
そもそも、フランスの刑務所は、狭き門?で、生半可なことでは入れないのがふつうで、おにぎり1個を盗んで逮捕される(実際に刑務所に入るには、累犯の場合だそうですが)日本とは違うので、刑務所に入る時点でかなりの凶悪犯であるような気がします。
なので・・というのも妙なのですが、刑務官が囚人たちを管理するハードルは高く、なにかといえば、刑務所内でも人権などを主張するフランスで、「ほとんどの人間が立ち入る勇気がない刑務所内エリアで凶悪犯に電子ブレスレットを装着するSPIP(刑務所統合保護観察サービス)の勇敢な職員を支援する!」などと大臣が呼び掛けるように、ほぼほぼ、この空間、ほとんど猛獣使いのようなスキルが求められる感じでもあります。
そんな中でも特に選りすぐりの危険な麻薬密売人だけを収監する刑務所となれば、これまでのフランスでは考えられない厳重なものにせざるを得ないと思いますが、一方では、同種の犯罪者だけを一か所に収監することで、逆にこれらの人々をグループ化し、情報交換、犯罪組織拡大の一端を担う圧力釜のような機能が生まれるのではないか?と懸念する声も上がっています。
しかし、逮捕しても、刑務所内から、新しい犯罪を指揮、組織される現状を放置するわけにはいかないわけで、なんとかこの現状を打破していくことが必須なわけです。
ダルマナン法相は、今後2年間でさらに2つの刑務所施設を創設し、刑務所情報部が麻薬密売で特に危険だと指定した600人以上の人々を同じ施設に収容できるようにすることも同時に発表しています。
麻薬密売人専用の厳重警備刑務所
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