護送車襲撃により死者2名を出した衝撃の逃亡劇の末、フランス国内の指名手配のみならず、インターポールにも赤手配されている囚人モハメド・アムラは未だ逮捕されていません。
護送中に護送車を襲撃して、逃走するという想像もつかない逃亡劇に当初は、これが誰の企てによるものなのかさえ、見当がつかずに、もしかしたら、彼自身に直接、復讐あるいは、制裁を加えるための彼に敵対する勢力の仕業、ある種、誘拐のようなものかもしれないという声さえ上がっていました。
彼の逃亡をどの程度、追跡できているのかどうかは、捜査上、公表できないのかもしれませんが、それにしても彼自身の犯罪歴や前科などのプロフィールについての分析は、全く生易しいものであり、妙な言い方をすれば、悪い意味で正当に評価されていなかったと言わざるを得ないようなことが、次々と暴露されています。
彼が現在の刑務所拘留中までの彼の犯罪歴や危険性については、「それほど危険視されるものではなく、13回の有罪を受けてはいるが、その大半は窃盗と交通違反が占めており、それほど深刻視されるものではない」と判断されていたようで、そのために、護送中の警戒も中程度の警戒しか敷かれていなかったようです。
彼が逃亡直後は、彼の犯罪については、窃盗と交通違反だけではなく、殺人未遂や誘拐、麻薬取引などの犯罪も公表されていたと思うのですが、それは、逃亡後に発覚したことだったのでしょうか?
いずれにせよ、彼の拘留に際して、司法や刑務所は全く彼を甘く見ていたと言わざるを得ません。
というのも、彼の逃亡後、彼が刑務所内で何台もの携帯電話を自由に使い、気分をリラックスさせるための水パイプまで持って暮らし、刑務所内から組織を取り仕切り、麻薬取引や反対勢力への報復、武器の売買の指令まで行っていた事実が明らかになり、その彼の電話での会話の録音まで回収されているというから驚きです。
彼はこれまでに複数回、拘留されてきましたが、その度に複数の携帯電話を入手し、刑務所内でもしっかり仕事をし続けてきたことが明らかになっており、暗号化されたメッセージングサービスを利用して外と連絡を取り続けてきたことがわかっています。
この会話内容から、彼が組織内の部下たちに、麻薬密売の組織化と麻薬取引ポイントの管理、恐喝の他、人身売買組織との繋がりを利用しての脅迫、誘拐などを行っており(刑務所内で)、組織犯罪対策中央局(OCLCO)の警察官らは、「モハメド・アムラは、頻繁に誘拐という手口に訴えながらも、裏切りを芸術の域にまで引き上げる、極端な二枚舌の能力を証明している」と文書に記しているといいます。
彼は活動を遂行するために身体的強制、最も深刻な暴力や虐待、裏切りの脅迫を躊躇うことなく行っていると彼がまだパリのサンテ刑務所に収監されていたときに独房を盗聴していた警察官も報告しています。
ここまでくると、刑務所内でさえも、彼は思い通りのことを為し続け、こんな録音があったのなら、なぜ?彼から携帯電話を取り上げることができていないのか?とか、刑務官でさえも脅迫されていたのか? 二枚舌を使い続けてきたのか?刑務所の管理能力にさえも疑問を感じずにはいられません。
まだ検証されている事象ではないようですが、彼が刑務所内から6,000ユーロで購入することを交渉していたといわれる銃器は、今回の護送車襲撃に使用された銃器の類似点が明らかになりつつあると言われています。
彼の弁護士は、彼の逃亡直後に「13件の有罪判決は非常に重要なことのようにみえるかもしれないが、犯罪者に慣れている人にとっては特別なプロフィールではない」と堂々と話していましたが、それにしても、犯罪に慣れすぎではないか?慣れてしまって甘く見ていた結果が今回の逃亡劇の末に、実は、彼はとんでもない犯罪組織のボスだった・・という話になっていて、やはり、そんなことは慣れてはいけないものだったはずだ・・と思うのです。
フランスでは、よほどのことをしないと刑務所に入ることはありませんが、その刑務所さえも、これだけ自由自在に好き放題できてしまっていたということも、刑務所が甘いのか?彼が手強かったのか? いずれにしても、超危険人物であったということだけは、明白なわけで、犯罪が多発しすぎて、軽いものは、軽視しがちな傾向にあるとはいえ、こんなことが刑務所内で許されていては、収拾がつきません。
彼がいかに特別な、また例外的な人物であったとしても、こんなことが可能であるということは、彼が刑務所内での自由な生活を送る可能性を示してしまったということでもあります。
刑務所内携帯持ち込み
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