オリンピックを3ヶ月後に控え、トライアスロンなどの水泳競技を行う予定であるセーヌ川の水質汚染問題が浮き彫りになったのも記憶に新しいところです。
セーヌ川の水質が充分に改善されていないという指摘にパリ市は、このオーステルリッツの貯水池が完成すれば、セーヌ川の水質は大幅に改善されるという回答を示していました。
オーステルリッツ駅の裏側、ピティエ サルペトリエール病院と地下鉄 5 号線の間にあるこの巨大な貯水池は、大雨が降った場合に未処理の水がセーヌ川とその支流マルヌ川に流出するのを防ぐことを目的としています。
この貯水池は、大雨の場合に最大 50,000 立方メートルの廃棄物と雨水(汚水)を収容でき、この汚染水の流出を防ぐことができるとしています。
これまで、暴風雨や大雨の際には、下水道の飽和を避けるために 44 か所の越流路を経由してセーヌ川に放水されていましたが、これまでオーバーフローのためにセーヌ川に放水されていた汚水をポンプシステム経由で衛生ネットワークに戻す前に貯水しておくためのものです。
このオーステルリッツのプロジェクトにより、汚水流出日数を年間10日減らすことが可能になり、大幅に削減できるとしていますが、逆に考えれば、全く流出しないようになるわけではなく、改善されるには違いないものの、これで安心というわけにはいかないようです。
イル・ド・フランス自然環境(FNE)協会の関係者の中には、「勢いの速い激しい雨」が降れば、新しい構造物はすぐに「飽和」してしまうだろうと断言する人もいます。
「パリでは、下水道、トンネル、オーステルリッツのような貯水池に 190 万立方メートルの水が蓄えられており、10㎜ の小さな雨は100万立方メートルに相当すると言われており、20㎜の大雨が降ると、どこからでも水が溢れてしまう」と説明しています。
これは、最終的には2025年から一般の人々がセーヌ川で泳ぐを可能にするために当局が約14億ユーロを投資した計画の主要な工事であり、2024 年パリオリンピック大会でのトライアスロンなど水泳競技の開催により、この歴史的な習慣の復活を祝うものであり、オリンピックはこの取り組みを大いに加速させてくれたとしています。
しかし、これは、まだ工事の第一段階の途中にすぎず、工事の終わりには移設され、拡張される予定です。このため、カバースラブは自然地盤の 4 メートル下に移され、植物で覆われ、新しい緑地は1ヘクタール以上の広さとなり、木々や芝生エリアを備えたオーステルリッツ駅地区の主要な緑地となる予定だそうです。
この壮大な工事の第二段階は2028 年から 2029 年の間に行われる予定になっています。
オーステルリッツ付近のセーヌ川沿いの歩道は、少し前に歩いたことがありましたが、けっこうきれいになっていて、えっ?こんなところに公衆トイレまであるの?と妙なところに感動してびっくりした覚えがあります。
川沿いの歩道で気持ちの良い場所ですが、これから、さらにまた工事が始まるということなのでしょうか?
しかし、とりあえずは、この貯水池の完成で、少しでも水質が改善されることは喜ばしいことではありますが、あくまでもこれは大雨の際の貯水池で緊急時のためのもので、浄水場ではないため、すぐに水質が改善されるというものではなさそうで、やっぱりオリンピック時には、ここで選手が泳ぐのか?と思うとセーヌ川の水面を見る限り、やはり、ちょっと(かなり)気の毒な気がしてしまいます。
オーステルリッツ貯水池落成
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