シャンゼリゼで巨大ピクニックが行われたと聞いて、「残念!知らなかった!行きたかったな〜!」と単純に思ったのですが、これに参加できたのは、238,000人の応募の中から抽選によりこのチャンスを得た4,000人のみが参加できるものでした。
グランピクニックと名付けられたこのシャンゼリゼでのピクニック企画は、その名のとおりダイナミックなもので、シャンゼリゼの凱旋門からジョルジュサンクまでの区間の一面に赤と白の大きなチェックのピクニックシートが敷かれ、招待者にはシャンゼリゼのレストラン経営者 8店舗がこのイベントのために設置されたポップアップ キッチンで調理するミールバスケットが参加者に無料で提供されるというもので、本当に楽しそうな催しものでした。
このグランピクニックは、廃棄物防止と持続可能な開発に重点を置き、支援的な活動も目指しており、その陽気な側面を超えて、その「持続可能な開発」という部分では、ある種の問題提起を含んだものでもあったようです。
近年のシャンゼリゼの変貌ぶりを嘆くシャンゼリゼ町内会?委員会?(シャンゼリゼの場合は町内会と呼ぶのがふさわしいかどうかは別として)の地元に長く住んでいる人々は、本来のシャンゼリゼの文化が失われつつあることを嘆き訴えています。
もはやシャンゼリゼは、高級ブランドの店舗がひしめき合う通りに代わりつつあり、古くからあった映画館や老舗の店舗などは、世界中に店舗を構えるブランドに取って代わられつつあります。彼らは「シャンゼリゼ通りはその魂を失いつつある」と訴えているのです。
なるほど、私がパリに来てからも、言われてみれば、黄色いベスト運動の際に多くの店舗が被害を被ってショーウィンドーが壊されたりして修理して、そのまま違う店舗になってしまっていた時もあったし、長いこと工事のために、大がかりなテントで覆われている場所がいつのまにか、ディオールだったりルイ・ヴィトンになっていたりと、その変遷は私の記憶にあるだけでも、けっこうな数にのぼる気がします。
新しく変わってしまえば、「えっと・・ここ、前は何のお店だったっけ?」などと記憶から消え去ってしまうのも早いのですが、あとから気が付いてみれば、そういえば、あのお店もなくなったな・・と思い出したりもして、とにかく、いつのまにか誰もが知っているような高級ブランドの店舗が一段と増えているのは確かです。
これは家賃の高騰が大きな問題で、この高騰についていけなくなる企業は撤退を余儀なくされてしまうのです。
この高級ブランドにとってはシャンゼリゼに店舗を構えるということは収益性も高く、ステイタスとしても申し分なく、ブランドの価値をさらに上昇させるためにぜひぜひ獲得したい場所であるというのは、わかりますが、たしかに、この通りが単なる高級ブランド通りになってしまうのでは、世界中のどこに行っても、同じ感じになってしまうわけで、シャンゼリゼとしての味わいは失われてしまうかもしれません。
なかでも、LVMHの店舗の増えかたは、尋常ではない気がしていたら、市場調査によると約10億ユーロでシャンゼリゼ通りの144~150軒を買収済という話もあります。
この異常な賃料上昇、不動産投機はシャンゼリゼ文化を守るための大きな弊害となりつつあり、政府の介入が必用だと言われ始めているのです。
一見、陽気でとっても楽しそうなピクニックには、こんなシャンゼリゼの開発問題も秘められているとは、全く想像していなかっただけに驚かされた次第です。
シャンゼリゼの変貌 シャンゼリゼグランピクニック
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