2021年9月22日水曜日

シャンゼリゼ・ラッピングされた凱旋門とディオールの躍進

   



 行くと、「あ〜やっぱりいいなぁ〜」としみじみと思うのに、滅多に行かないのは、ルーブルなど、パリにある数々の名所も同じなのですが、シャンゼリゼもまた、滅多に行くことはありません。

 そんなに遠いわけでもないけど、特に用事もないので、わざわざ行かないというのが正直なところ、せいぜいノエルの際にシャンゼリゼの街路樹にイルミネーションが灯される頃になると、今年のイルミネーションはどんな感じかな?などと気が向いた時だけ、ひょっと行ってみたりするだけです。

 以前は、日本人会がシャンゼリゼにあり、そのスペースで公文の教室をやっていたりしたので、当時は、毎週のように来ていましたが、それも移転してしまって以来、さっぱりご無沙汰です。

 前回、行ったのは、やはりノエルの頃のイルミネーションを見に行ったので、もう半年以上も行っていなかったことになります。昨年の12月は、まだワクチン接種も始まっておらず、おっかなびっくり出かけ、ノエルの時期にこんなに人の少ないシャンゼリゼは初めて・・お腹がすいてしまったのに、飲食店の営業はなし・・空腹に耐えながら、やはり美しいと眺めたイルミネーションと、イルミネーション以上にその人の少なさに驚きと寂しさを感じたのを覚えています。

 今回は、現在、クリスト&ジャンヌ・クロードの60年がかりのアート作品としてうっすらと青みがかった25,000㎡のシルバーの布で凱旋門が期間限定(10月3日まで)で、ラッピングされているという凱旋門を見てみようと思い、9ヶ月ぶりのシャンゼリゼに出向いたのでした。

 現在でも以前のように観光客に溢れかえるシャンゼリゼではありませんでしたが、それなりに人出も戻り、少しほっこりさせられました。

 何よりも、このラッピングされた凱旋門を見に来ている人は少なくなく、平日の昼間とはいえ、なかなかな人出でした。

 


 ここぞとばかりにこのアートを説明する本などがシャンゼリゼの路上に路面店が出店されていたりしました。




 この構想の主のジャンヌ・クロードは、すでに2009年に他界していますが、クリストもまた、これを目にすることは叶わず、彼の構想どおりに布やロープの素材からドレープの作り方、凱旋門の補強まで全て彼が綿密に指示していたとおりに作り上げられたと言います。

 シルバーの布のドレープが織りなす、風によって、呼吸しているかの如く、また、瞬間瞬間の光の反射によって、違う光を放つ様子は、いつもとは違う圧巻の凱旋門でした。

 また、このアートは、一切の公的資金が使用されることなく、このためにかかった1,400万ユーロは全てクリストの自己資金によるものであることも公表されています。


 このラッピングされた凱旋門のアート目当てにシャンゼリゼに出かけた私ですが、シャンゼリゼの中央あたりに位置するメトロ・ジョルジュ・サンク駅を上がってきて、一番最初にびっくりしたのは、いつの間にか工事が進んでいたディオールの大きな建物でした。

 

ルイ・ヴィトンの正面にそびえ立つディオール

 

 工事中のために、外観を壊さないための完成時を彷彿とさせる布で覆われていたものの、その大きな建物がディオールのものであることは、建物のてっぺんに既に掲げられた大きな星とディオールのロゴで一目瞭然でした。

 この建物は、ちょうどルイ・ヴィトンの正面に位置し、相当な大きさのもので、シャンゼリゼ沿いのディオールの建物は、私の足でちょうど88歩。その前を歩きながら、「はて?ここのスペースは、以前は何のお店だったっけ?」と考えてしまったほどです。

 以前にシャンゼリゼでラデュレの正面にピエールエルメがオープンした時にびっくりしたことがありましたが、今度は、ルイ・ヴィトンの前にディオール・・これもまた、なかなかです。

 そして、工事中のディオールのスペースを通り抜け、凱旋門へ向かっていくと、またディオールの大きな店舗がありました。「はて?こんなところにディオールあったっけ?」と思いながら、「たまには、ディオールのお店・・覗いてみよう!」と入ってみました。

 入り口で、アルコールジェルを手につけてくれた店員さんがとても感じの良い人だったので、「今、工事中のディオールのビル、あれが完成したら、このお店もあっちに引っ越すの?」と聞いてみたところ、なんと、あの大々的な工事中のディオールのビルは、オフィス用に使用されるとのことで、シャンゼリゼのお店は、より凱旋門に近い、この店舗のみとのことでまたびっくり!

  

工事中のディオールの建物全景

 「えっ?あんなに大きいのに、全部、オフィス?」と聞くと、「ディオールで働いている人は、すごくたくさんいるから・・」とのことでした。そのお姉さんは、すかさず、「アベニューモンテーニュの方のブティックは、もう2年近く閉まったままだけど、今年中には再開するはずだから、あっちの方がすごいから、オープンしたら、行ってみて!」と、ディオール本店の宣伝も欠かしませんでした。

 日頃、ブランド物とは、ほとんど縁のない生活をしている私も、ほとんど美術館を見て回る気分で店内を楽しく見学しました。(見るだけ・・)

 




美術館気分も味わえるディオールの店内

 店内は、以前、パリでよく見かけた光景のように、ブランド物の大きな袋を脇におき、さらに買い物をし続ける人が結構いましたが、そのほとんどが英語で買い物をしていたことを考えると明らかに彼らは観光客で、フランスの大きなブランドが観光客により支えられていることを思わずにはいられませんでした。

 



 それにしても、パンデミックで多くの店舗が喘ぐ中、ディオールのこの躍進にラッピングされた凱旋門と同じくらいビックリしたのでした。


シャンゼリゼ 凱旋門期間限定アート ディオール


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