2021年5月31日月曜日

数年ぶり?にギャラリーラファイエットに行って再確認したこと

         

ギャラリーラファイエットの天井はいつもどおりに綺麗でした


 私は、ズボラな性格で、買い物というものが好きではないので、デパートというものもあまり行きません。

 コロナとは関係なくとも、人混みというものが嫌いなので、大抵、混雑しているデパートというものもあまり好きではないのです。

 しかも、デパート(ギャラリーラファイエットやプランタン)で扱っているような高級ブランド品にも、もはやほとんど興味もないので、たまに行くとしても、食料品を扱うギャラリーラファイエットグルメなので、本体のデパートは、ラファイエットグルメに行く道すがら、地上階の店内をすり抜ける程度です。

 このパンデミックで、デパートも長いこと閉鎖状態だったために、どんな様子だろうか?と思いつつ、今は、こんなブランドがこんな商品を出しているのか・・とちょっと眺める程度で、いつもなら大行列ができているシャネルやルイ・ヴィトンのお店を横目に通りつつ、さすがに、あまり行列はないんだな・・と思いながら、通り過ぎたのでした。

 

私が用があるのは、こっち・・ラファイエット・グルメ(食料品館)


 ラファイエット・グルメとて、そんなにいつも贅沢な食品を食べているわけでもなく、たいていは、日本に一時帰国する際のお土産にする食料品などを物色する際に、あちこち、歩き回らずとも、美味しいものが揃っているし、また、これまで気がつかなかった良さそうな食品にも出会えたりするので、手っ取り早く買い集めるには、便利なのです。

 お店に入ると正面には、ピエール・エルメがドーンと店を構え、華やかなスイーツの店舗が軒を連ねています。また、アラン・デュカス、ジャン・ポール・エヴァン、ピエール・マルコリーニなどのショコラティエ、トリュフやフォアグラの専門店、スパイスを扱う店、マリアージュ・フレールなどの紅茶のお店などは、これまでとあまり変わることなく営業されていました。

 ただし、現在のところは、イートインのコーナーは、屋内であるため、営業はテイクアウトのみでした。

 地下は、生鮮食料品を含む広いスペースになっていて、ここには、持ち帰りができるお惣菜や、チーズ、バター、生ハムなどに加えて、ある程度、保存の効くいわゆるお土産にもできそうな商品を数多く扱っています。

 ところが、今回、地下に降りてみて、そのスペースは、商品がいつものようには揃ってはおらず、どこかガランとしていて、ちょっと唖然としたのでした。

  

いつもなら、もっと多くの棚に加えて、台やバスケットが置かれていて商品はぎっちり


 「そうなんだ! ここのお客さんも、普段は、観光客がほとんどなんだ!」このガランとした地下の店内を見て、改めて、今はパリには観光客がほとんどいないことを再確認したのでした。

 「今は、観光客がいないから、ルーブルに行っても、オルセーに行っても、いつもでは信じられないゆったりした空間が楽しめる!」などという話を聞いて、これは観光客が戻る前にぜひ、美術館に行かなければ・・などと思いつつ、まだ行けてなかったのですが、観光客がいないことで影響を受けているのは、こういったデパートや高級食料品を扱うお店でもあったのだということを目の当たりにしたのです。

 今回は、私は、先日、従姉妹が色々と日本の食料品を送ってくれたので、お礼に何かこちらからも送ろうと思って、滅多には来ないラファイエットグルメにやってきたのですが、ここは、一般的な庶民が来るところではないのです。

 以前にノエル前にヴァンドーム広場のあたりに出かけて、お店は開いているものの、軒を連ねる高級ブランド品街は、見ているのも気の毒になるくらい、店内はガランとしていて、ああ、パリは観光地だったんだ・・と思ったことを思い出しました。

 高級食材を扱うこんなお店も、やっぱり観光客なしには、成り立たないのです。ましてや食料品、そんなに長くお店にストックを抱えるわけにもいかないのです。

 とはいえ、さすがに高級な店舗だけあり、お店の人もフランスなのに、感じの良いことこの上なく、色々、教えてくれたり、試食させてくれたり、マリアージュ・フレールなどでは、新製品の紅茶の香りを一つ一つ丁寧に説明しながら、香りを嗅がせてくれました。

 その際に、「マスクを取らなくても、充分、香ることができます!」と自信満々に言われたのには、恐れ入りました。

 もう現在のパリの街は、カフェでもどこでも、多くの人が行き来している様子に、すっかり日常を取り戻しつつあるなぁ〜などと思っていたのですが、パリは、観光地でもあり、観光客が戻ってくるようにならない限り、元のパリには、戻らないのだということをあらためて、再確認させられたのでした。

 フランス政府は、今年の夏以降のフランスへの観光客に対しての、「PCR検査は無料」と発表しています。それだけ、フランスは、パリは、海外からの観光客を心待ちにしているのです。


ギャラリーラファイエット


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⭐️2019年に撮ったものですが、ラファイエットグルメを紹介しています



 

2021年5月30日日曜日

パリ・ベルシーで5,000人参加の実験コンサート開催

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 パリで屋内コンサートが行われたのは、2020年3月以来、およそ14ヶ月ぶりのことでした。この1年以上の間に、もはや、この人混みの映像を見るだけで、思わずギョッとするようになってしまいました。

 このコンサートは、フランスの人気ロックバンド・アンドシーヌというグループのコンサートですが、感染状況が改善している傾向にあり、ワクチン接種も拡大していく中、このような屋内コンサートがどの程度、どんな状態ならば、開催可能であるかを実験するAP-HP(パリ公立病院連合)後援の実験コンサートでした。

 今回のパンデミックで甚大な被害を受けているエンターテイメント業界にとっては、この先、どのような状態で再開が可能なのかを知ることができる非常に期待されている実験です。

 コンサートは、感染した場合のリスクの少ない(肥満、高血圧症などのない人)年代18歳〜45歳の20,000人集められたボランティアの中から、3日間にわたるPCR検査の結果、陰性であった人7,500人が選ばれ、5,000人がコンサートに参加し、2,500人が在宅を義務付けられています。

 これまで、5月19日以来、着席状態、一定のソーシャルディスタンスを配慮した屋内での催し物は再開できるようになっていましたが、このようなライブコンサートは、初めてのテストケースです。

 コンサートは、5,000人の観客が全員マスク着用を義務付けられたものの、通常のライブの感覚により近い着席しない(ソーシャルディスタンスを取らない)スタイルで行われ、場内のカメラでコンサート中のマスク着用も測定されています。

 この実験に参加した人々は、一週間後に再びPCR検査を行い、コンサートに参加できなかった(2,500人)のケースと比較されることになっています。このテストにはTousAntiCovid(フランスの感染者追跡アプリ)のテストも含まれています。

 これまでスペインやイギリスでも同様のテストコンサートが行われていますが、深刻な感染には至っていませんが、各国、感染状況もワクチンの接種状況も異なる中、フランスは、フランスでの実験が必要であったと思われます。

 それにしても、20,000人が集められて、結果5,000人+2,500人にも及ぶ壮大な人体実験には、驚かされますが、これも今後の日常生活再開に不可欠なリスクを最大限控えてのもので、個人的には、とても重要なものであったと思っています。

 結果は、6月に発表され、今後の衛生対策に反映されるということですが、このような科学的な実験結果の数字は、どちらに転んだとしても、国民に対しては説得力のあるものになると思われます。

 これまでパンデミック以来、禁止されているにも関わらず、いくつものコンサートが行われてきたフランスですが、人々がそうまでして参加したかったコンサートをどのようにすれば、開催することが可能になるのかをフランス政府も必死に模索しています。

 東京オリンピックはこのような実験が不可能なことを非常に残念に思います。


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2021年5月29日土曜日

フランス生活の修行の一つ 「届くはずの荷物を待つ」

   


 母は、生前(といっても元気だった頃)は、毎月、一回、日本の食料や娘の洋服など、何かしらの小包を送ってくれていました。平日の日中は仕事で留守なので、大抵は、すぐに受け取ることができずにいつも不在通知を持って、休みの日には郵便局に取りに行くことが多かったので、娘が小さい頃には、お休みの日に娘に「今日はどこへ行きたい?」と聞くと、「ゆうびんきょく!」というくらいでした。

 しかし、母も亡くなり、荷物を送ってくれる人もいなくなり、私自身もここのところは、年、1〜2回のペースで日本に帰国していたので、必要なものは(ほぼ食料品ですが・・)ほとんど、その際に買ってきているので、欲しいものを言えば、キリがありませんが、まあまあ、パリで買えるものを工夫して、併せて使いながら、なんとかそれらしいものを作りながら、次に日本へ行ける時まで凌いで生活しているのです。

 それが、今回ばかりは、日本に行けなくなってから、もう一年以上、私は、それでも奇跡的にパンデミックになる直前の昨年の2月後半に用事があって、日本に行っていたので、その時には、「今度は、いつ来れるかわからない?」と、いつも以上に気合を入れて食料を持ってきていたために、せこせことその食料を使いながら、何とか生き延びてきました。

 一時は、日本はおろか、フランス国内でさえも、ちょっと買い物に気軽に出かけるのも憚られるくらいだったので、ベランダで野菜を育てたりしながら、何とか食べ繋いできました。

 日本にいる友人や親戚などからも、さすがにもう日本の食べ物なくなったでしょ!いるものがあったら送るよ!と、言ってもらってはいても、もう言い出したら、キリがないし・・と特にお願いをすることもありませんでした。

 そうこうしているうちに、先日、心優しい私の従姉妹の一人が食料品を送ってくれたという連絡をくれて、内心、ワクワクしながらも、郵便事情のあまりよくない(それでも最近はずいぶんマシになった)フランスで、荷物がちゃんと届くかどうかが不安でもありました。

 それが、昨日、朝8時頃にクロノポストから「あなた宛の荷物が今日、配達されます」というメッセージが入り、しかも、メッセージには、「今日の18時までに・・」というおまけ付き・・8時から18時まで・・という大雑把なお知らせに、もう今日は、荷物が届くまで、一歩も家を出まい!と心に誓うも、家にいても不在票を入れて行かれてしまう場合もあり、下まで降りて行って待っていようか??(我が家は8階なので)などとも思ったのですが、さすがに10時間の開きがあるお知らせにそういうわけにもいかず、家で用事を済ませつつ、耳を済ませて、配達の人が来るのをひたすら待っていたのでした。

 人一倍、食い意地の張った我が家では、その荷物を送ってくれた従姉妹は神のような存在で、私たちが日本に行った際に彼女が食べさせてくれるものや、お土産にと持たせてくれるものは、それはもう、選りすぐりの逸品ばかり、絶対に間違いのないもので、大変な貴重品に間違いないのです。

 彼女は、食べることを真剣に追求している人で、あらゆる場所の美味しいものを知っていて、旅行先などで美味しいものを見つけたら、そこに通い詰めて仲良くなったお魚屋さんだとかが全国にあって、パリでさえも彼女に美味しいお店を教えてもらったりするくらいな食通なのです。

 そんな彼女が高い送料を払って送ってくれたものは、絶対になくされたりするわけにはいかない!とこちらも、いざという時には・・などと、なくされる前から戦々恐々としていたわけです。

 これまで、フランスに来て以来、色々な人から色々なものを送ってもらってきましたが、なくされてしまった(盗まれた)荷物も数知れず、箱がボロボロになって、ようやく息絶え絶えになって、よくぞ、これで届いたな・・とか、もうダメだと思っていたら、忘れた頃になってやってきたこと・・など、トラブルは山のようにあったので、久しぶりの荷物到着に、何だか半分、戦闘態勢で待っていたのです。

 10時間でも待つつもりだった荷物は、難なく昼頃に到着し、ドアホンがなって、アパートの下のドアのロックを解除して、インターホンで、「お宅は何階ですか?」と聞かれたので、「8階です。セ・ボン?(大丈夫?)」と聞き返したら、「セ・パ・ボン(大丈夫じゃない)」というので、慌てて、「じゃあ、下まで降りましょうか?」と言った時には、もう応答なし・・それから、数分の間は、下に降りようか、どうしようか迷いながら、エレベーターの前でソワソワと待つことになりました。

 それから、ほんの2〜3分、待っていたエレベーターが開き、荷物は無事に到着しました。彼の「セ・パ・ボン」は、ほんのジョークだったようですが、お宝を前に余裕のない私には、通じない冗談でした。

 とはいえ、荷物は思ったよりもずっと早くに無事到着し、喜びを分かち合おうと娘が帰ってくるのを待って開封しました。

 海外とはいえ、パリは比較的、日本食は行くところに行けば、手に入るとはいえ、やはりそれは、限られたものであり、もうずっとフランスにいるのだから、いい加減、いつまでも未練がましく日本食品を諦めようと思いつつも、久しぶりにお目にかかったパリではお目にかかれない食品の山に我ながら、いつになく、ハイテンションなのが自分でもわかるくらいで、その日は、1日ウキウキで過ごしました。

 それにしても、これまでの郵便事情のトラブルの後遺症ともいうべく、手元に届くまで、一切、信用せずにギリギリまで最悪の事態に備えてしまうこの姿勢。以前、アマゾンの配送で、届くはずの荷物を待っていたら、いつの間にか、サイト上では、荷物が到着済みとなっていたので、慌てて外に出てみたら、隣の家の玄関の前に(地べたに)置かれていたこともあったのです。その時は、まだ、届いただけ、マシだと思いましたが・・。

 最近は、アマゾンやモンディアル・リレー(自宅ではなく中継地点に荷物の配送を委託するシステム)などができたためにフランスの郵便事情も以前よりはずいぶん、改善されてきました。

 とはいえ、トラブルがいつも隣り合わせの生活に、特に郵送品(特に日本からの荷物)というと、異常に警戒してしまう悲しい習慣がついてしまっているのです。


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2021年5月28日金曜日

東京オリンピックについて、フランスでは、日本国民の80%以上が反対していると報道している

  


 

 「開催予定がもうすぐそこまで迫っているのに、これほど、盛り上がらないオリンピックがあるだろうか? 日本国民の80%以上がオリンピック開催に反対している」とフランスでは、報道しています。

 これは、最近、朝日新聞が社説として取り上げた、菅義偉首相が国民の声を無視してオリンピックを開催しようとしていると批判した記事で取り上げられた世論調査を元にした内容です。

 この朝日新聞が行った世論調査によると、43%が中止を、40%がさらに延期されることを望んていることが明らかになっているとし、合計83%がひとまず今年のオリンピック中止を望んでいるという報道になっているのだと思います。

 また、共同通信の発表している世論調査から、87.7%の日本国民がオリンピックによるウィルスの流入を恐れていること、71.5%が政府のオリンピック対応の衛生対策に不満を持っていることも伝えています。

 また、この朝日新聞の社説が国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副委員長の「東京が非常事態宣言を発していたとしてもオリンピックは開催される」という発言に対してもIOCの利己的な性質を批判についても触れています。


 つい2週間ほど前にも、フランスでは、これまでほとんど報道されていなかった東京オリンピックについて、「国民の半数以上が反対している。東京オリンピックの主催者は、地元の観客の有無の決定を6月まで延期した。これは、7月23日から開催されるこれらのオリンピックの準備に伴う不確実性のさらなる象徴である。」と報道されていたばかりでした。

 半数以上が反対・・よりもさらに、今回の「80%以上が反対」=10人のうち8人が反対という報道は、なかなかインパクトがある内容で、それに加えて、世界ランキングトップのテニス選手・ジョコビッチやナダルなどが、東京オリンピックに出場するかどうかについては、現在の段階では、まだ保留している旨を併せて伝えています。

 とはいえ、東京オリンピックに反対しているというわけでもなく、開催については、不確実だということを伝えているのみです。とても客観的です。

 正直なところ、一般のフランス国民は、日本の状況について、それほど承知しているわけでもなく、興味があるわけでもなく、「やるなら行くけど、本当にやるのかな?」という程度のものです。

 しかし、国民の80%が反対しているのに、政府がこれを無視して、「オリンピックは安心、安全に開催できる」と繰り返すのみで、国民を説得する姿勢もなく、オリンピックを強行するという事態は、フランスではあり得ないことです。

 フランス政府は、そんなに国民に阿るか?というくらい、国民感情を常に意識し、政府の考えを必死に説明し、国民を説得しようとする姿勢が基本です。そうでなければ、すぐにデモや暴動が始まります。

 だからと言って、今の日本の状況をフランスに置き換えて考えるということも、あまりありません。いつか、私は、「日本人は黙って我慢するからバカだ!」と職場の同僚のフランス人に言われたことがありましたが、今のオリンピックを巡る状況に、フランス人は、そんな風に思っているのかもしれません。

 どちらにせよ、日本を好意的に思っている人が増えたとはいえ、フランスにとって、やはり、日本は遠い国、我関せずの人が大多数です。

 今は、フランスは、ワクチン接種拡大と、ロックダウン解除で半年以上ぶりの日常を取り戻し始めたばかり、パリの街を歩いていても、ロックダウン解除直後のいささか高揚した感じも薄れ始め、極めて元どおりの生活を穏やかに楽しみ始めています。

 フランスでは、5月30日から全仏オープンテニス(ローランギャロス)が開催される予定です。(ちなみにフランスの現在の1日の新規感染者数は、13,000人、集中治療室患者数3,206人です。)

 また、一方では、インド変異種がイギリスから入ってくることを警戒して、イギリスとの往来にも制限がかかり始めています。

 そんな状況の中で、世界中から人が集まるオリンピック後の日本の状況については、検証してはいません。

 

 

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2021年5月27日木曜日

イギリスからの全ての旅行者に課せられる強制隔離 ヨーロッパが恐れるイギリスでのインド変異種拡大

 


 イギリスは、ロックダウンと、何よりもワクチン接種のめざましい拡大により、感染状況が劇的に減少し、世界で、アメリカと肩を並べて、いち早く日常生活を取り戻しつつありました。

 我が家でも、「ワクチン接種が2回済んだら、ロンドンくらいなら、行けるかもしれないね・・」などと話していたのです。

 しかし、ここへ来て、イギリスで今度はインド変異種が拡大し始めた(一部の地域で)というニュースに、ようやく日常生活を取り戻し始めたフランスは、イギリスでのインド変異種の感染拡大を警戒し始めました。

 インド変異種への警戒政策のスタートを切ったのは、まずドイツでした。ドイツは、今週の日曜日(5月23日)の段階で、すでにイギリスは、アジア、アフリカ、アメリカの11か国とともに、再び高リスクゾーンに指定され、イギリスとの貿易を制限し、イギリスからは、現在、航空会社、バス、電車は、ドイツ国民またはドイツに住む人々の入国のみが許可されており、イギリスからのすべての旅行者は2週間の強制検疫の対象になっています。

 フランスは、ドイツに続いた形になりますが、26日(水)に、ロンドンから戻ったフランス人は、急に自分が隔離状態に置かれることになったことを知り、驚きを隠せないほど、急な決定になりました。

 以前にイギリス変異種が拡大し始めた頃、あの時も突然の国境閉鎖で、国境付近で荷物を運ぶトラックが何百台も足止めを食い、大変な騒ぎになりました。

 インド変異種は、イギリス変異種に比べて50%も感染率が高いと言われている一方で、現在、イギリスでインド変異種に感染している人々は、ワクチン接種をしていない、あるいは、1回しかしていない人に限られており、ワクチンはある程度、有効であると言われています。(イギリスの研究によると、ファイザーの2回投与はインドの亜種に対して88%効果的だとされています)

 とはいえ、歴史的背景もあり、インド・パキスタンコミュニティが一定数存在するイギリスでは、インドとの往来も多く、イギリスでのインド変異種は3月から始まっていたと思われますが、ここ6〜7週間で、イギリス変異種を上回り、インド変異種が優勢になってきています。

 せっかく劇的な感染減少を遂げてきたイギリスは、ここ一週間でこのインド変異種のために160%感染が増加しているとイギリスGuardian(ガーディアン)紙が、発表しています。

 フランスでのインド変異種は、現在100例程度、38のクラスターが発見されていますが、今のところ、そこまで深刻化はしていないようです。しかし、なんといっても、日常生活がようやく再開され始めて、一気に人が外に出始めたタイミングだけに、ここで再び問題が拡大することを恐れて、今回のドイツよりは少し緩い、イギリスからの旅行者に対しての強制隔離という措置に踏み切ったようです。

 この措置を取っている間に、とにかく少しでもワクチン接種を拡大していくことがさらに、必須になってきます。とにかくワクチン!ワクチン!ワクチン!です。フランスでは、このタイミングで、同時に一部の職業に携わる人に限って、ワクチンを義務化する方向で検討が始められています。

 イギリスは、EUを離脱し、島国であるとはいえ、実際には、フランスとは陸続きも同然、ユーロスターや海峡トンネルもあり、貿易も人の往来も多い、下手をするとフランス国内の地方都市よりも人の行き来は多い国です。

 人口の55.7%がワクチン接種を済ませているイギリスでこのような劇的な感染の再増加が見られている限り、まだ、人口の33.48%しかワクチン接種が済んでいないフランスは、少しでも早く、このインド変異種をシャットダウンしなければ、再びロックダウン状況に逆戻りです。

 ようやく取り戻し始めた日常生活を全力で満喫しているフランス人ですが、一度、解放されたものを、それこそ夏のバカンス前に逆戻りなんてことになれば、彼らは、感情を爆発させるに違いなく、なんとか今の段階でインド変異種は食い止めてもらいたいものです。

 世界がこの開けたり、閉めたりしている状況で、日本のオリンピック・・どうなることやらと思います。


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2021年5月26日水曜日

インフルエンサーに届く報酬2,000ユーロのファイザー・ビオンテックネガティブキャンペーン依頼メール 

    


 

 莫大な数のフォロワーを抱えるインスタグラム・YouTube・TikTokなどのいわゆるインフルエンサーと呼ばれる人々に2,000ユーロ(約27万円)の報酬でファイザー・ビオンテックのワクチンを非難・中傷することを依頼する連絡が届いていると言います。

 依頼内容は、「ファイザーワクチンによる死亡率がアストラゼネカワクチンの3倍であるという内容の詳しい資料を送り付けてきて、この事実を公表してほしいということ、この情報が報酬によって開示されている事を開示しないで下さい。」といういかにも怪しい内容です。

「アストラゼネカの利益のためにドイツ系アメリカ人のワクチンを批判するというロンドンの代理店からの財政的提案を受けました。」「ある機関から、報酬と引き換えに、ファイザーワクチンの信用を傷つける記事を共有し、その死亡率について話すように連絡がありました。」などの様々な媒体のインフルエンサーからの証言が続々と、上がってきています。

 このネガティブキャンペーンに注目が集まったのはYouTuberのレオグラッセからのメッセージでした。科学チャンネルDirtyBiologyの作成者である彼は、ファイザーのワクチンを中傷するために受け取った電子メールのスクリーンショットを投稿しました。 

 この電子メールは、ファイザーワクチンがアストラゼネカのワクチンよりも3倍も致命的であることを説明するビデオ(サポートする数字)を作成するようにこのユーチューバーに勧めています。

 ルモンドの記事へのリンクと、アストラゼネカの血清を接種した人の方がアストラゼネカの血清を接種した人よりも致死率が高いことを示す、アストラゼネカ社の内部メールの交換から得られる表も添付されていました。

 

 これらの依頼を多くのインフルエンサーに送っている代理店のFazzeという会社は、ロンドンを拠点とするマーケティング会社を名乗っていますが、しかし、それはクライアントや合法的な存在ではなく、グーグルマップをすばやく検索すると、そのサイトにリストされているアドレスが一致しません。


 このいかにも胡散臭いメールを受け取ったインフルエンサーが逆にこのような依頼を受けたことを拡散し、物議を醸しています。

 この論争に直面して、アストラゼネカ(スウェーデンとイギリスの製薬グループ)の広報担当者は、「ワクチンへの信頼を損なうことを目的としたイニシアチブを強く非難し、そのような活動への関与を推測するソーシャルメディアへの明らかに違法なコメントを断固として否定する」と述べ、このファイザーワクチンに対するネガティブキャンペーンへのいかなる形の関与も否定しています。

 これは、現在も一定数存在するアンチワクチン論者はもちろんのこと、ワクチンに対して不安を抱き続けている人々には、拡散されれば、不安材料ではあるところですが、幸いにも、このファイザー誹謗中傷キャンペーンは、逆方向に拡散したので、フランス政府も現在のところは、「あまりにお粗末で危険で無責任な話で、現在の段階では、フランスではワクチンを希望する人が大多数で、ワクチン接種をする意思をそらす威力があるとも思えず、究明する価値もない」と一括しています。

 とはいえ、現在、フランスでは、アンチワクチン論者による「ワクチンパスポート反対」デモなども起こっており、決して油断もできません。

 しかし、だいたい、ストーリーも幼稚な上に、報奨金2,000ユーロというケチな金額、それほどのフォロワーを抱えるインフルエンサーが危険を冒して引き受ける金額ではあり得ないことからも、このネガティブキャンペーン計画のお粗末さを物語っています。

 たとえデマであっても、一瞬のうちに世界中に広がってしまう現在のSNSの社会、つい先日、マクロン大統領とフランスの人気YouTuberの動画がすごい勢いで拡散され、話題になりましたが、情報を受け取る側も、色々な媒体に目を通し、自分である程度は、その情報の整合性について、判断することができる下地を築き、情報は鵜呑みにしてはいけないという戒めになりました。


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2021年5月25日火曜日

「日本へ行かないで下さい!」 アメリカ国務省が日本を「警戒レベル4」に引き上げた波紋

 


 日本は、既に、かなりの数の国からの外国人の入国について、「特段の事情がない限り」アジア、北米、中南米、欧州、中東、アフリカなどの約160カ国の国からの上陸を拒否することとしています。

 この「特段の事情がない限り」という特段の事情についてのくくりはよくわかりませんが、この上陸拒否対象国をざっと見ても、フランスはもちろんのこと、ほとんどの国からの上陸(少なくとも観光客など)は、できないことになっているようです。

 しかし、アジア(中国や韓国、シンガポールなどは入っていない)は比較的少なく、全く、外国人をシャットアウトしているわけでもないようです。

 日本人の入国でさえも、3日間の強制隔離やその後14日間の自主隔離等を考えても、日本への入国は、かなりハードルが高く、移動中のリスクを考えても、そうそう簡単に行けるものでもありません。

 ところが、ここへきて、アメリカ国務省が新型コロナウィルス感染が新たに広がっていることを理由に、日本への渡航警戒レベルを最大級の「レベル4」に引き上げ、日本への「渡航中止」を勧告しました。

 コロナウィルスに関連するリスクをより適切に、また効果的に公表するために、アメリカ国務省に加えて、米国疾病予防管理センター(CDC)からも、「日本の現在の状況を踏まえると、ワクチン接種を受けた人であっても新型コロナ変異株に感染し、感染を広げるリスクがあるため、日本への全ての渡航を控える必要がある」という警告をほぼ同時に発表し、足並みを揃えています。

 このアメリカ国務省指定の「レベル4」は、スリランカと同レベルの警告です。

 これまで、日本から、「来ないでください」としていた海外からの入国制限だけでなく、海外からも、「日本へは行かないでください」が加わってしまったことは、かなりショッキングなことです。

 アメリカ国務省は、7月23日に開幕が迫っている東京オリンピックについての言及はしておらず、この決定がオリンピック大会の準備とアメリカの代表団の参加に影響を与える可能性があるかどうかは触れていません。

 アメリカ国務省のこの発表は、フランスの一部のマスコミでも取り上げており、在日アメリカ大使館のウェブサイトでは、「アメリカ人が日本に入国できる可能性は、現在、非常に限られている。観光やその他の短期的な理由で旅行することは許可されておらず、これがすぐに変わる予定はありません。ビザなしの旅行は中断される。また、これらの措置は、ワクチン接種を受けた人に対しても受けていない人に対しても区別はしていません。」と記されていることを伝えています。

 加えて、フランスの報道では、「国民はオリンピック大会の開催に強く反対しているが、主催者は、非常に厳格なウィルス対策と海外からの観客の禁止で「完全に安全に」開催することを可能にすることを繰り返し言い続けている」と付け加えています。

 しかし、アメリカ国務省が日本を「警戒レベル4」にしたということは、かなりショッキングなことで、日本に住んでいないとはいえ、日本人としては、「日本に来ないでください」と日本が言っているのと、外から「日本へは行かないでください」と言われるのとは、また違うレベルのことで、そこまで海外からも日本の状態を危険視されているということが、とてもショックだったのです。

 ただ、アメリカ国務省の判断基準はわかりませんが、日本の感染状況はもちろんのことですが、ワクチン接種の浸透具合と今後、オリンピックに関わる入国者の増加を鑑みての上での日本の危険性ということなのだろうか?とは思います。

 たしかに必死になってワクチンを拡大している国にとって、ワクチンは完璧な防御ともいえず、ワクチンが拡大していない状態の国、さらに多くの人が集まることがわかっている国は、恐怖でもあり、危険国として判断されるのも致し方ないのかもしれません。

 いずれにしても、ウィルスというかたちではありますが、「世界で最も安全な国・日本」の神話が崩壊し始めていることを感じずにはいられません。


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2021年5月24日月曜日

人気ユーチューバーとの約束を果たしたマクロン大統領のユーチューブ出演 1日で750万回再生突破

 

マクロン大統領が人気ユーチューバーをエリゼ宮に招いて出演している動画

 

 マクロン大統領がフランスの若者に大人気のユーチューバーMcfly et Carlito(マクフライとカーリト)(チャンネル登録者数655万人)にチャレンジ企画を提案したのは、今年2月のことでした。

 マクロン大統領は、彼らに向けて、ソーシャルディスタンスの重要性を訴えかける動画の作成するように、協力を依頼し、その動画の再生回数が1,000万回に達した場合は、彼らをエリゼ宮に招待し、エリゼ宮での動画撮影に参加することを約束していました。

 今年の2月の時点では、マクロン大統領は、とにかくロックダウンを回避するためにできることは、なんでもやる!と必死に様々な試みをしていました。彼らがマクロン大統領に依頼されて作った彼らが歌うパロディソングの動画は、アップされた3日後に軽々と1,000万回再生を突破し、それ以来、マクロン大統領との約束のエリゼ宮での動画はどうなったのだろうか?とずっと思っていました。

  

マクロン大統領に依頼されて作成されたソーシャルディスタンスを訴える動画


 結果的には、4月には、とうとう学校閉鎖にまで至る3回目のロックダウンをせずにはいられないほど、感染状態が悪化してしまいましたが、そのロックダウンもかなり解除された現在になって、マクロン大統領とユーチューバーMcfly et Carlito(マクフライとカーリト)のエリゼ宮での動画が公開され、15分後には10万回再生、あっという間にトレンド1位、1日で750万回再生を突破しました。

 動画の内容は、エリゼ宮でのマクロン大統領が彼らが準備している現場に登場するところから始まっており、彼らとマクロン大統領の「逸話コンテスト・嘘か?ホントか?」という対決企画でした。

 この対決企画が始まる前に、彼らはマクロン大統領と、どちらかが勝った場合には、こうするという約束をします。彼らが勝った場合には、「マクロン大統領が演説をする際、または、7月14日のパリ祭の日にマクフライとカーリトの写真フレームを机上に飾る」ということ、マクロン大統領が勝った場合には、二人は、7月14日にパトルイユドフランスの飛行機の1つに乗って上空を飛行する」というものでした。

 対決は、マクロン大統領からの逸話の提案で始まりました。「キリアン・エムバペ(フランスのサッカー選手)、彼のキャリアの面倒を見るのは私です。したがって、キリアン・エムバペは、今後数週間でマルセイユでのオリンピックに向けてPSG(パリ・サンジェルマン)を離れます」という話をします。

 マクロン大統領は、その場で、自分の携帯からキリアン・エムバペに電話をして、その話が嘘であることを明かします。

 ここでも国民的な人気者を登場させるところなどもマクロン大統領もなかなかです。

 その後、彼らの撮影の話、ドナルド・トランプの話など、いくつかの逸話の対決が続き、結果、4対4の引き分けに終わります。マクロン大統領は、彼らの写真フレームを机上に飾って演説をし、彼らは、パリ祭の日にパトルイユドフランスの飛行機に乗ることになりました。

 この36分のマクロン大統領のユーチューブ出演は、若者に対する身近な存在であり続けようとするマクロン大統領の政策の一つです。若者に人気のユーチューバーに対して、コロナ対策の動画作成を依頼し、チャレンジ企画とし、彼らをエリゼ宮に呼んで、さらに次の企画に参加して、人気サッカー選手まで巻き込んでのユーチューブ出演は、マクロン大統領の次の選挙に向けての大きな選挙活動であるとも言われています。

 今や、政治家も、新しいコミュニケーションモード、ソーシャルネットワークに適応することが不可欠で、他の政治家もTikTokなど、若者が自らアクセスしやすいネットワークにサイトを開設しています。

 もともとフランス人は、政治の話が嫌いではなく、政治の話題が身近に上がることは少なくありません。小さい子供でさえも、親の受け売りなのかもしれませんが、一丁前に政治の話をしたりするのに驚かされたりもします。しかし、若者がニュースにアクセスする手段は、変化しているわけで、発信する側は、それに沿った発信の仕方にスライドしていかなければなりません。

 今回の動画は、エリゼ宮の庭園でのメタルバンドの演奏で終わっていますが、このユーチューバー二人とのやりとりの中でも、若者との隔たりを感じさせることはなく、(実際、マクロン大統領も若いし・・)非常に和やかなもので、充分に親しみを感じることができる内容になっています。あくまでも動画の編集はユーチューバーがやっているものです。

 私は、日本人なので、ついつい日本の政治家とフランスの政治家を比べてしまいますが、どう考えても、日本の政治家にこのようなことができるとは思えず、そんな政治家が率いている日本の将来を不安に感じることが多いのです。

 日本は、政治家と国民の隔たり大きく、政治に無関心な若者も少なくありません。自分の国を率いている政治に興味がないのは、若者にも問題はありますが、若者を惹きつけようとしない政治家の側にも問題があるはずです。

 日本は時代が変わっても、ちっとも変化していかない。このままの状態でいることは、世界有数の先進国であったはずの日本がどんどん世界から取り残されるのではないかと、この動画を見ながら、日本の現状に思いを馳せるのです。

 関係ない話ですが、この動画の編集には、日本語の効果音が使われていたり、彼らのうちの一人が「こんばんは」などと書いたTシャツを着ていたりして、彼らのスタッフの中に、日本人がいるのかな??なんてちょっと思ったりしました。

 フランス語ではありますが、日本語の字幕も付くので、よかったら見てみてください!

 2日後には、1,160万回再生突破!!



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2021年5月23日日曜日

ボルドーで新しい変異株出現、新変異種で46人のクラスター発生

  


 もの凄いスピードで、すっかり、日常モードにシフトしつつあるフランスは、ちょっと、パリの街を歩いてみても、この一年間以上の何回かのロックダウンの間に変わってしまった場所、変わらない街並みの中に、テラス席のみのレストラン・カフェの営業のために、おしゃれにテラスをアレンジしている新しい風景が生まれて、パリの街を歩く新しい楽しみができました。

 とはいえ、久々になかなかな人数の人の動きの多さを目の当たりにしてちょっとギョッとしてしまう部分もあって、平日の日中でも結構な人で埋まっているメトロやバスなどにも、「そりゃそうだよね・・私だって、こうして動いているんだから・・」と思いつつも、まだ、数日しか経っていないのに、あっという間にメトロも街も汚れて、ゴミも増えていく様子に驚いてもいます。

 それでも、これまでは、なりを潜めていた新しい映画や美術館の催し物の駅の広告などを見ては、そういえば、こんな広告もこれまでなかったもんな・・などと、ちょっと嬉しかったりもす。

  


 しかし、浮かれてばかりは言えない感染際拡大の危険は、まだまだいつも隣り合わせの状況、少しでも気を抜けば、また逆戻りになりかねません。ここのところ、雨が多く、天気がいまひとつ冴えないことも残念ではありますが、反面、ちょっとその天候の悪さに救われるような気がしてしまう部分もあります。

 そんな喜びと不安を抱えたフランスに不気味なニュースが浮上しています。

 ボルドーの北部バカラン地区でこれまでほとんど検出されていなかった新しい変異種が発見され、46人のクラスターが発生していることが、フランス保健当局(Santé Publique France (SPF)から発表されたのです。

 VOC 20I / 484Qと呼ばれるこの新しい変異株は、イギリス変異株がさらに変異したものであると考えられており、ウィルスの伝染性を促進することが疑われるため、現在、スクリーニングを強化し、このクラスターが発生したボルドーのバカラン地区に特に的を絞ったPCR検査とワクチン接種拡大を強化することを決定しています。

 具体的には、この地区に向けて、新たに15,000のワクチン供給が追加され、この地域では、5月31日を待たずして、18歳以上の全ての成人がワクチン接種ができるようになっています。こんなところは、素早いです!(フランス全土では、5月31日から全ての18歳以上の成人がワクチン接種が可能になります。)

 現在のところは、この新しい変異種に感染し、陽性と判断されている人々の中には、入院が必要なほどの深刻な症状に陥っている人はおらず、感染者も若者だけに限られていることから、ワクチン接種を済ませている高齢者は、ワクチンによって、この新しい変異種から守られているのではないかとも言われています。

 そもそも、新しい変異種に関するスクリーニングが充分に行われていない状況で、この変異種がどれほど、拡大しているのかは、未だ定かではない状況に、(本当は、他の地域にも広まっているのかもしれない)まだ未知の事が多く、この変異種究明が開始されたばかりではありますが、また新たな変異種の出現は、充分に警戒する必要があります。

 ましてや、タイミング的にワクチン接種の拡大以上にロックダウン解除で、一気に人の流れが急増しているタイミング、少しの油断も許されません。この新しい変異種の危険性がどの程度か確認することと同時に、とにかく感染をストップさせることが何より最優先されることでもあります。

 しかし、医療専門家は、今回の新しい変異株について、現時点では、ファイザー及びモデルな製のmRNAワクチンへの耐性や、さらに重症化するリスクを示す根拠はないとしています。

 モグラ叩きのように出てくる新しい変異種の出現に、既存のウィルスとともに、何とか回避し続ける道は取り続けなければならない状態であるのと同時に、とりあえずワクチン接種の拡大を進める以外に私たちができることはありません。

 進化を続けるウィルスと人間の戦いはまだまだ終わりません。


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2021年5月22日土曜日

フランス(ヨーロッパ)でのワクチン接種と日本でのワクチン接種

   


 日本にいる私の従姉妹のご主人が、まだワクチン接種ができていないという話を聞いて、びっくりしています。彼は、歯医者さんで、65歳以上で、とっくにワクチン接種は、終わっていると思っていたのです。

 日本は医療従事者は一番優先だと聞いていたのに・・・。

 従姉妹曰く、「日本の医療従事者の77%は、少なくとも1回目の接種は終わっていて、2回目も43%は終わっているそうなので、どうやら、残りの23%に取り残されたみたい・・」なのだそうです。

 ワクチン接種券というものが送られてこなければ、予約もできないのだとか・・。

 これまで、海外にいて、日本は何でもすばやくて、フランスでは、何かをしようとしてもスムーズに行かないことが多くて腹が立つことも多く、ここは日本じゃないんだから、いちいち日本と比べても仕方ない・・と思ってきたのですが、ことワクチン接種に関しては、どうやら反対のようです。

 1ヶ月半ほど前に日本に本帰国(一時帰国ではなく、日本に引っ越したという意味)してしまった友人が、フランスにいれば、ワクチン接種ができたのに、ワクチン接種を済ましてから、帰国すればよかったと悔やんでいる人がいます。

 これまで日本は、感染もヨーロッパのようには、深刻化していなかったために、ワクチン接種には、慎重で、あまり急いではいなかったのかもしれませんが、ここに来て、オリンピックを控えての日本のワクチン接種状況には、ちょっと首を傾げたくなります。

 世界でワクチン接種が始まったのは昨年の12月、それから、約半年が経って、ワクチン接種の進行状況は、各国によって大きく違い、またその進行状況によって、生活がどんどん変わってきています。

 今年1月に入って、フランスは、他のヨーロッパ諸国から比べて大きく差がついて、遅れていることが発覚してからは、とにかくワクチンワクチンとワクチン接種に躍起になってきました。

 私自身、こんなに早くワクチン接種ができるとは思っていなかったにも関わらず、たまたま薬の処方箋をもらいに、かかりつけのお医者さんに行った時にワクチン接種の予約しますか?と言われて、あっさり予約が完了し、4月の初めにはワクチン接種が済んでいます。

 それでも当初は電話が繋がらないとか、ネットが繋がらないとか、なかなか問題もありましたが、あっという間にワクチン接種の空き状況が確認・予約できるサイトができ、ワクチン接種の予約が簡単にできるようになりました。(これを作ったのは、政府とは無関係の24歳の青年)

 予約していたのに、来なかった人などが出ても、無駄にならないように、ワクチン接種会場には、余ったワクチンを受けるための行列ができ、順次、ワクチン接種の年齢制限の条件などに当てはまらなくても、ワクチンを受けることができています。

 いわば、ある程度、適当な部分もかなりあるのです。

 薬局でも、かかりつけの医者でも、ワクチンセンターでもワクチン接種が受けられます。救急隊員や訪問看護師もやってくれます。

 そして、日頃から、フランスの健康保険制度は、カルト・ヴィタルというカードで、個人個人が管理されているため、そのカードで個人の病歴やこれまで処方されてきた薬等の履歴が管理されているので、ワクチン接種に際してもこれらの情報が役立ち、またワクチン接種の記録もそのカードに記録されています。

 この日常からの国が共通に管理している健康保険のカードが有効活用されています。

 とにかく、今は、ワクチン接種を拡大していくことは、人の命を守るためにも、日常を取り戻すためにも、大変、重要な問題です。

 それをワクチン接種券が送られてこなければ、予約もできないなんて、どれだけ間に人が介入し、手間暇かけて、時間をかけているのかと思うと外から見ていても、もどかしくて仕方ありません。

 ちなみに私の実家がある市町村の予約を厚生労働省のサイトで見てみたら、「現在、65歳以上の8月末までの予約を受付中です」と出てきました。日本は、65歳以上の割合が多いとはいえ、8月末以降でなければ絶対に無理ということで、これは、気が遠くなる話です。

 何でも、きちんときっかりと規則正しく、順番どおりに事を運んでいく日本のきっちりしたところが、仇になっている印象も受けます。逆に、ちゃんと並ぶことのできない、横入りが当たり前のようなフランスのような緩さがワクチン接種拡大のスピードアップには、逆にプラスに働いているかもしれません。

 フランスでは、夏には、全ての国民にワクチン接種を終了すると言っています。(アンチワクチン派も一定数いるので、予定どおりになるとは限りませんが・・)

 ワクチンは、完全な防御には、なりませんが、それさえもできていないとなれば、ヨーロッパと日本のコロナウィルスの状況は、完全に逆転してしまう可能性もあるのではないかと心配しています。

 少なくとも、今年の秋から冬ごろには、日本へ行けるかもしれない・・と淡い期待を抱いていた私は、この日本のワクチン接種の状況を見て、今年いっぱいは、ダメかもしれない・・と思い始めています。


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2021年5月21日金曜日

5月31日から全ての成人がワクチン接種が可能になるフランスの事情

                                                                                                                                

Après les scènes de fête à Rennes bien au delà du couvre-feu imposé, Gérald Darmanin a promis de durcir le ton.


 5月19日から、ロックダウン解除の第2段階に突入したフランス。フランス国民が半年以上も待ち侘びていたレストラン・カフェが再開し、解除初日から、待ってましたとばかりに、悪天候にもかかわらず、多くの人々がカフェやレストランでの食事を楽しみました。

 私が見かけたのは、昼食時でしたので、「結構、密だな・・」と思われる場所もあるには、ありましたが、なかなか和やかな感じで、とにかく水を得た魚のように、皆、生き生きと楽しそうにしていて、「あ〜〜パリの日常が戻ってきた!」と私も嬉しく、そんな光景を眺めていたのでした。

 ところが、夜の外出禁止もこれまで19時までだった外出制限が21時までに延長され、夕方から夜にかけてのレストランやカフェは、盛況を通り越して、ハメを外しすぎで、大騒動になった場所がいくつかありました。

 パリの一部、ボルドー、レンヌなどの都市では、21時にカフェ・レストランが閉店しても、テイクアウトのビールやワインを持って、街に残って大騒ぎ。広場に再集合して、俄かレイブパーティーを始める若者が続出しました。


 中でも、レンヌのサンタンヌ広場には、数千人が集まる騒ぎになり、廃材を積み上げて、まるでキャンプファイヤーのように火をつけ炎が立ち登る騒ぎに警察が出動、どうしても帰途につかない若者たちを催涙ガス、ゴム弾まで使って、追い立てるという事態にまで陥りました。

 午後10時半、消火のための消防車が到着、ロックダウン解除のために警察だけでなく、消防車までが出動する大騒ぎ。


 ある程度、ハメを外すだろうということは、想像はしていたものの、いきなり外出制限の時間は無視、廃材に火をつけるという大事態にまで発展、法務省は、さっそく、21時以降の外出制限を厳格化することを発表しています。

 もともと、時間を守らないフランス人のこと、21時には、シンとして皆、きっちり家に帰るはずもありませんが、アルコールの勢いも手伝って、ロックダウンの段階的な解除がまるで、全面的な解除のような勢いで、騒ぎ出したのですから、たまったものではありません。

 念のため、フランスは、感染は、確実に減少してきてはいますが、未だ1日の新規感染者数は1万5千人以上、毎日150人前後の人が亡くなっている状況です。ワクチン接種もかなり進んできたとはいえ、32.25%(5月19日現在)で、アメリカやイギリスのような状況ではありません。

 楽観的に考えれば、これを室内でやられるよりは、マシなのかもしれませんが、どちらにしても、この状況は、第4波への危険を容易に想像させられます。

 しかも、このような騒ぎを起こしている若者の多くは、ワクチン接種が済んでいない人がほとんどなのです。

 この状況を憂慮しての決定かどうかは、わかりませんが、即刻、翌日には、カステックス首相が、5月31日から、18歳以上の全ての国民に対してのワクチン接種の門戸を開くことを発表しました。

 当初のワクチン接種の日程よりもかなり、早まった全国民(成人のみ)対象のワクチン接種。フランスでは、ワクチン接種の予約は、ほとんどネットで予約が可能なので、時間帯や裏技等を利用すれば、これは、若い世代の得意とするネット予約。

 今後も自由にバカンスに行きたい、コンサートに行きたいとなれば、若者でもワクチン接種の希望者は少なくないはずです。

 このロックダウン解除による感染の再拡大にストップをかけるのを警察による行動制限の警戒だけでなく、ワクチン接種予定の前倒しで行おうとしている政府の早急な対応は、非常に賢明だと思います。

 フランスのワクチン接種も最初はもたついていましたが、どうやら波に乗ったようで、順調に進み始め、ワクチンの供給量も増加してきたこともこの政府の早急な対応を支えています。

 国民を褒めることはあっても、叱ることをしないフランス政府ですが、レストラン・カフェの営業に際しては、ソーシャルディスタンスや、着席義務などの条件を出したものの、これでは、着席どころではありません。飲食の場ゆえ、マスクもほとんどの人がしていません。

 初日のこの騒ぎで、せっかく営業を開始することができたのに、この騒ぎに巻き込まれたお店は、衛生管理が取れていないということで、さっそく営業停止をくらった店も出てしまいました。

 長いこと、我慢してきた国民をロックダウン解除で、多少?ハメを外しても、苦虫を潰したように怒りきれない上層部。もはや、ワクチン意外に救われる道がないことが如実になったロックダウン解除の初日でした。

 しかし、デモなどでの抗議運動でも車やゴミ箱を燃やし、ロックダウンが解除になって嬉しくても、廃材を燃やし、つくづく燃やすことの好きな人たちです。


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2021年5月20日木曜日

半年ぶりのレストラン・カフェのテラス席営業 美術館・映画館・劇場再開 ロックダウン解除パート2

  

もはやこれがテラスかと思われる万全の雨対策のテラス席


 フランスは、とうとうロックダウン解除の第2段階に突入、半年以上、テイクアウト以外、営業が禁止されていたレストラン・カフェがテラス席のみですが、営業を再開し、美術館、映画館、劇場、生活必需品以外の商店、コマーシャルセンターも制限付きではありますが、一斉に再開しました。

 半年以上もの間です。時短営業ではなく営業停止(テイクアウト以外)ですから、政府の援助はあったとはいえ、そりゃあもう、大変なことだったと思います。倒産したお店も相当数にのぼります。

 フランス国民が待ちに待ったこの日は、年が明ける瞬間にも似ている感じがしたほどの盛り上がり様でしたが、この日のパリは、あいにく朝から雨、気温も10℃程度と低く、テラス席での食事には、厳しい天候となりました。

 にもかかわらず、朝一から、マクロン大統領自ら、パリ市内での朝カフェしている動画をツイート。カフェ再開をアピールしていました。おっと、相手は一体誰???と思ったら、カステックス首相でした。最初は、マスクをつけたまま話しながら、待っていたところ、カフェがやってきたら、マスクを外すと言うパフォーマンス付き、ギリギリまでマスクしてろよ!アピールも含まれていました。

 


 昼近くなると、一時、雨も上がったので、私も、散歩がてら、街中の様子を見に出かけました。

 少々の雨なら、傘もささないフランス人のこと、予想どおり、寒くても、多少の雨でも、やっぱり多くの人で、賑わっていました。半年以上もの長い間、営業できなかったレストラン・カフェは、多少の雨なら回避できるように、もはやオープンエアーとは言い難いような屋根付き、囲い付きのテラスをしっかり用意している店も少なくありませんでした。

 それがまた、おしゃれに作られていて、そんなところは、よしよし、パリはやっぱりカッコいいぞ!とちょっと嬉しくなります。

 

黒を基調としたシックなテント


 昨年のレストランのテラス席からの再開時同様に、テラス席は大幅に拡張され、ここ、お店?と思う場所(通路・元来は、歩道の部分)にまでテーブルと椅子が置かれています。

 

本来、ここは通路です

 また、お店に面した道路の反対側にまで、パラソル付きのテラス席を用意し、本来の店内の席数よりも多くなっているのでは・・?と思われる店舗もありました。

 

お店の反対側までのテラス拡張で、むしろ、より開放的で気持ちよさそう

 

 もともと店内よりも開放的なテラス席が好きなフランス人、日常の一部を取り戻した満面の笑みでテーブルを囲み、中には、この寒い中、一人でコーラを飲みながら、カフェのテラスで本を読んでいる結構、年配の女性なども見かけました。

 しかし、人気のお店は、悪天候にもかかわらず、ほぼ満席。食事が運ばれてくるのを満足そうに子供のように得意気に目の前にしている人々の様子には、こちらまでにっこりしてしまいそうです。

 

相変わらず、食べるだけでなく、喋りまくるフランス人の食事風景

 

 ところが、あいにく、昼食時にちょっと傘無しには歩けないほどの雨に見舞われ、慌てて席を移動する事態にまで追い込まれましたが、大して気にもかけずに移動して、そのまま続行。

 夢中になって食べるというよりは、夢中になって喋るという相変わらずの食事風景に、やっぱりフランスには、黙食はあり得ない・・と思ったのでした。

 レストラン・カフェが立ち並ぶ、この辺りは、この半年以上、静まりかえっていましたが、これまで営業を許されていた、それ以外のお店までもが、今日は、朝から休む間もなく、働き通しだ・・と店番をしていたおじさんが、嬉しそうに話していました。

 近くにあった映画館にも立ち寄ってみましたが、もはや、平日というのに子供連れの人も多く、映画館を入ったところにあるポップコーンなどの軽食や飲み物を売っているお店は閉店したままでしたが、上映中と表示された電光掲示板を懐かしく眺めてきました。

  

上映中の映画の掲示板

 

 もはや、レストランもカフェもほとんどのお店もようやく開店したフランスは、当日、ようやく集中治療室の患者数が5月9日にようやく5,000を切ったと思ったら、ここまでの10日間であっという間に3,862人にまで下がりましたが、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の集中治療室の占拠率は、未だ104%(国全体では、76%)なのです。

 もうレストランにも、カフェにも行ける、どこでも買い物もできる、映画も見れる、美術館にも行ける・・これまで行けなかった多くの場所に一気に人が溢れ出すことに、不安はあります。

 ゆるゆるなロックダウンだと思ってはいましたが、考えてみれば、ものすごい制限下の生活が続いていたのです。満面の笑みをたたえながら、「テラスセラピーだ!」(テラスセラピーはここのところ、言われ始めたニューワード)などと言いながら、日常生活を謳歌し始めたフランス人に、これまでよく頑張ってきたね・・と共感する気持ちも湧いてきます。

 しかし、おそらく、未だに日本以上に感染は蔓延している状態のフランスが、第4波を迎えることなく、このまま乗り切れるかどうかは、疑問です。

 どう考えても、これまで半年以上の鬱憤が溜まっているこの解き放たれた人々が街に出る勢いは、ワクチン接種が拡大する勢いよりも大きいのは、明らかです。

 イギリスやアメリカなどで、日常生活を取り戻し始めているニュースは見ていますが、フランスは、感染が減少状態であることは明らかですが、フランスは、そこまでワクチン接種が拡大しているわけでも(現在31.54%)、感染が充分に減少しているわけでもないのです。

 ロックダウン解除とともに、すぐそこには第4波が待っているような気がしてなりません。



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2021年5月19日水曜日

娘の親友が結婚! 娘がブライズメイドを頼まれた!

 


 先日、娘が家で珍しく、電話で誰かと話している様子だったので、そういえば、彼女が電話してるって最近、珍しいな・・と思っていました。最近は、家の電話はもちろんのこと、大抵の連絡?は、LINE(フランスでは、What's Upの方が多い)のメッセージで済ませることが多いので、彼女が家で電話をしているというのは、珍しいことでした。

 すると、娘が数分後に私のところにやってきて、「エステールが結婚するんだって!」というので、びっくりしました。娘は、小学校から高校まで同じ私立の学校に通っていて、高校卒業後は、それぞれ別の道に進みましたが、高校までの学校からの交友関係が続いている数少ない友人の一人でした。

 娘は、高校卒業後、プレパー(グランゼコール準備のための学校)に進み、彼女は、医学部に進学し、彼女の方は一年後に医学部は断念し、法学部に進んでいました。

 娘が彼女ととても親しくなったのは、高校生の頃で、小さい頃の友人は、親が学校に出向く学校行事やお稽古事が一緒になったり、お誕生日会などが開かれたりすると呼ばれて行ったりしたので、娘の友人とも面識はあったのですが、大きくなるにつれ、娘から話を聞くだけで、しかも、成長した子供たちは、親たちと違って、再び会っても、誰だか気付かなくなってしまっていることも多いくらいなので、娘の友人とはいえ、私が彼女に会ったのは、1〜2度くらいで、実際には、私は、彼女のことはあまり知りません。

 それでも、あまり友達の多くない娘にとって、バカロレア(高校卒業の際の国家試験)の結果を一緒に見に行ったり、家に泊まりに行ったりする数少ない、気の合う友人で、彼女の家の結構、騒がしい事情(お父さんに女ができて、家を出て行ってしまったとか、そのお父さんがいつの間にか戻ってきていた・・とか)を娘から話を聞いていました。

 彼女の家庭は、そんな調子で結局、両親は別れてしまったのですが、両親ともに既に、新しいパートナーがそれぞれいるということや、つい最近、彼女が引っ越したという話は聞いていました。引っ越したと言っても、彼氏と一緒に生活を始めたというので、まあ、実家の方も色々、騒がしそうだし、そうなのかな・・くらいに思っていたのです。

 しかし、その一緒に暮らし始めた彼氏ともう結婚!というニュースには、思わず、「なんで?」と言ってしまいましたが、結婚するというのに、何で?というのも失礼な話ですが、それだけ、急展開だったのです。

 まさか?妊娠?とも思ったのですが、そういうわけでもなさそうです。

 彼女は一時、韓国にハマっていて、韓国へ旅行したり、韓国語のレッスンを受けたりしていたのですが、その韓国語の授業で出会ったフランス人の男性なのだそうです。(彼の方は元カノが韓国人だったので、韓国語の授業を受けていたという微妙なタイミングではあったらしい・・)

 考えてみれば、彼女たちは、もう今年で23歳、まあ、今の時代としたら、早い方ではありますが、結婚してもおかしい年齢ではありません。けれど、彼女は、高校卒業後、一年間、医学部に行ってから、翌年に法学部に学部を移っているので、まだ卒業の年ではありません。学生結婚です。娘の友人には、まだ学生がほとんどなので、彼女が友人の中で初めての結婚です。

 彼氏の方もまだ学生で、Ph.D取得中だとか・・。少なくとも彼女の方の家庭は、経済的には、かなり恵まれた家で、運転免許を取る前から彼女の車は用意されているような家なので、両親の援助ありきの上の新しい生活を出発したばかり、結婚もその延長線のような形で始まるものと思われますが、結婚という形をすぐには、取らない(フランスでは、事実婚という選択をする人も少なくない)人も多い中、突然の結婚宣言に驚かされたのでした。

 しかも、両親が長いことゴタゴタしていた渦中にいた彼女がこんなに早く結婚に踏み切るのも意外でした。(彼女の両親は、事実婚で、彼女には、同じ両親で弟と妹がいます)

 しかし、パンデミックの影響で、結婚式をできずにいるカップルが溜まりに溜まっているため、会場を抑えるだけでも、結婚式は、一年以上先になるようですが、娘は、「彼女のブライズメイドを頼まれちゃった!」と、ちょっと戸惑っていました。

 まあ、まだ、結婚式の場所も確定してはおらず、どの程度の結婚式になるかも全くわからず、一年以上先の話ですから、戸惑いと言っても、まだ漠然としてはいますが、親の私からしたら、娘ももうそんな年齢になったんだということを再確認して、愕然とさせられたのでした。

 そういえば、ロックダウン解除にあたって、「結婚式の招待客は、会場の定員の35%まで・・」などという項目も制限の中に加えられていたので、度重なるロックダウンで、さぞかし、結婚式が延期を何度も重ねて、できないでもどかしい思いをしている人がたくさんいたのだろうと身近な娘の親友の結婚のニュースから、こんなところにもパンデミックの影響があった・・と思い知らされました。

 結婚というのは、難しいもので、努力したから良い相手に巡り会えるというわけでもなく、あまり考え過ぎてもできないし、ある程度、勢いのようなものも必要だとも思うのですが、結婚も多ければ、離婚も多いフランスです。

 離婚は結婚よりも大変だという話もよく聞きます。

 そして、フランスは、離婚しても懲りずに再婚する人も少なくありませんが、彼女には、幸せになって欲しいし、できれば、一回で済むといい・・とこっそり思っています。


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2021年5月18日火曜日

フランスのニュース番組を見ていて思うこと フランスの政治家の話すチカラ

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 昨年のパンデミックが始まって以来、フランスは、第1波、第2波、第3波と、引いては押し寄せる波をいくつも経験してきました。フランスのコロナウィルスの感染状況の経過は、世界的に見ても、決して誇れる状況ではありませんでした。

 そして、この間に、私には、毎晩、いくつかのチャンネルのニュース番組を見る習慣ができました。特に第1波のロックダウンの際は、ほとんど外に出ることはできませんでしたし、かつて経験したことのない命に関わる深刻なウィルスの蔓延に、現在のフランスの状況を知らずにいることは、不安で仕方なかったからです。

 ネットで調べれば、今は、世界各地の色々な媒体の情報を収集することが可能ですから、色々な情報を調べて、どの情報が正しいのか、色々な情報を見ながら、自分はどうするべきなのかを選択することができます。

 しかし、手っ取り早いのは、やはりテレビのニュース番組ですが、ある程度の情報を自分で調べていれば、これは違うだろ・・などと、全てを鵜呑みにすることもなくなります。

 フランスでは、コロナウィルス関連のニュースだけでなく、毎日のように陰惨な事件が起こっていますが、ここのところ、フランスのニュース番組を見ていて特に感じるのは、大臣クラスの政治家が実に頻繁にニュースの生番組に登場し、国民と向き合おう、国民に少しでも寄り添おうとしている姿です。

 昨日もオリヴィエ・ヴェラン保健相が、BFMTV(フランスのニュース専門の公共テレビ局)の番組に2時間近くも生出演し、直に国民からの質問に答えながら、今後のロックダウン解除の見通しや、ワクチン接種に関してなどの話を専門家を交えて話すようなプログラムでした。

 中には、「わざわざ、大臣にこんなこと聞くのか?」と思うような質問もありましたが、かなり厳しめな質問も容赦なく問いかけられます。予め、ある程度は、準備している項目もあったでしょうが、一つ一つの質問に自分の言葉で、しっかりと答え、少しでも国民の理解を不安を取り除き、政府の政策を説明し、説得している様子は、日本の政治家には、ないことだろうな・・と思いました。

 フランスでは、コロナ関連だけでなく、次から次へと起こる事件に関しても、ここのところ、特にカステックス首相をはじめ、保健相、法務相など、大臣クラスの人が頻繁にニュース番組に出演して、問題に対するフランス政府の対応を語っています。

 フランスのお国柄というのもあるのでしょうが、現在の政権の政策の一つであるとも思われます。彼らは、とても話すことが上手で、ある程度のスクリプトはあるにせよ、自分の言葉で、しっかりと語り、説明します。質問者への理解も示しながら、時には笑いを誘うようなことも交えながら、実に見事に答えていきます。

 フランスの一般市民とは違って、「これは、私の仕事ではない」などと、回答を逃れることもありません。

 今、日本では、コロナウィルス感染に対する緊急事態宣言云々の話やワクチン問題、オリンピック開催問題に対して、日本国民は、大きな不安を抱えていると思います。それに対する日本政府の対応や説明に納得していない人は多いのではないかと思います。

 フランスとて、このような番組があるとはいえ、国民を説得しきれているわけではありませんが、少なくとも国民の不安に答えようとしている政府の姿勢は感じることができます。

 日本にもこんな番組があって、首相でも大臣でも、政府のある程度の責任者がしっかりと答えてくれる機会があればいいのにな・・視聴率だって、かなり取れるだろうに・・しかし、しっかり話のできる大臣はいるだろうか?などと、フランスのニュース番組を見ながら思ったのでした。

 私もオリヴィエ・ヴェラン保健相に聞いてみたかったです・・「東京オリンピックに関してどう思いますか?」と・・。


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2021年5月17日月曜日

やっぱり嬉しい! 街が動き出すフランスの景色

  


 

 急に用事ができて、天気も良かったので、散歩がてらに出かけたら、今週の水曜日からロックダウン解除がワンステップ進む気配を街のあちこちに感じました。

 ここのところのフランスは、着々と感染が減少してきているのが、数字からも感じることができて、ワクチン接種も2,000万人(フランスの人口の30%程度)を突破し、ロックダウンの段階的な解除が発表された時点での目標値は一応、達成し、少しホッとし始めてはいるものの、集中治療室の患者数も未だ4,255人、イル・ド・フランスの集中治療室の占拠率は113%と決して油断は許されない状況でもあります。

 このロックダウン解除が進んで、糸の切れた凧のような状況が一番危険かもしれない・・などと思っていた私でも、やっぱり街が動き出す気配が想像以上に嬉しいことは、自分でもちょっと意外なくらい、なんだか自分の内側から沸き起こってくるワクワクした感じに驚いています。

 この気持ちは、昨年の最初のロックダウンが解除された時とは、全然違うことも、自分でも興味深く、昨年のロックダウン解除時には、もっと緊張感があったわりには、ここまでパンデミックが長引き、後から後から変異種が登場して、その後に第2波、第3波と続くことも予想しておらず、今回ほどの感慨は正直ありませんでした。

 しかし、結果的に1年以上も長引いたパンデミックで、ゆっくりとはいえ、ワクチン接種が拡大していく中でのロックダウンの解除に際しては、なんだか全く違う気分なのです。

 まだ、オープンはしていないものの、コマーシャルセンターの中の店舗が再開する準備のために店内に灯りがともっていたりすると、別に買い物がしたいわけではなくても、なんとなくホッと暖かい気持ちになったりします。

 また、昨日、用事で出かけた帰り道、散歩がてらに公園を通って歩いていたら、緑の公園の中のメリーゴーランドが動いているのを見つけて、なんだか嬉しくなって、思わず子供のように駆け寄ってしまいました。

 まだ、準備の試運転の状態で、あまり人は乗っていませんでしたが、こんなことでもウキウキした気持ちになる自分に、やはり、閉ざされた生活が寂しかったことをあらためて思いました。

  

今や見慣れたカフェの中に積み上げられた椅子 これも見納めになるといいけど・・


 テラス席のみのオープンとはいえ、長いこと閉店されていたカフェやレストランの窓際に椅子が積み上げられた今では見慣れた光景も、これで見納めかと思うと感慨もひとしおです。

 とはいえ、ロックダウンが解除された後に、第4波が来る・・という心配もあるのですが、昨年と大きく違うところは、なんといってもワクチンがあるということで、最初は、もたついていたワクチン接種もフランスにしては、思いのほか、システマティックに進み始めていることです。

 現在は、ネットを使って、空きを確認して、ワクチンを無駄にしないように、キャンセルが出た場合や、余裕があるところでは、若者でさえ、予約に割り込むことができています。

 この辺りは、日頃から、規則がきっちりし切らないフランスの緩さが幸いしているような気がします。ワクチンを無駄にすることなしに進めていくには、ある程度の規則の緩さも必要なのです。きっと・・。とにかく、1日も早く、一人でも多くの人がワクチン接種を受けることが大切なのですから・・。

 ワクチンは、万全ではありませんが、感染の減少には、大きな力となっていることは、世界のワクチン接種が進んでいる国の現状から見ても明らかです。

 あたりまえだったはずの日常が戻ることに、こんなに感動できることは、嬉しいことです。

 どうか、このまま減少を続け、安心してレストランで食事ができる日が来ることを私は心の底から待ち望んでいます。今度こそは、今度こそは・・とそんな気持ちなのです。


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2021年5月16日日曜日

「デモ禁止」がさらにデモをエスカレートさせたパリの「イスラエルとパレスチナ紛争」に関するデモ

                                                                                                                               

Un manifestant à terre à Paris, lors d\'un rassemblement en faveur des Palestiniens interdit par les autorités, le 15 mai 2021.

 デモはフランスのお家芸と言っていいかもしれません。しかし、ここのところのフランスのデモの暴力的な様子は、ちょっと目を覆いたくなります。必ず、負傷者が出て、何かが破壊され、逮捕者が出ます。

 イスラエルとパレスチナの紛争に抗議するデモはこの日、世界各地で起こっていました。しかし、パリでは、過激な紛争に対するパレスチナの人々を支援するデモは暴徒化の危険を回避するために、数日前に禁止される通達が流されていました。

 にも関わらず、この「デモ禁止」は、さらに「私たちはパレスチナ人との連帯を沈黙させることを拒否し、デモを妨げることはない!」と、かえってデモ隊を煽る結果となり、パリは、デモ隊と警察の間で、大変な騒ぎになりました。

   

なぜ、パリだけがこうなるのか???という映像


 フランス内務省の発表によると、この日のデモはフランス全土で22,000人の参加者を記録し、51人(うち44人がパリ)が逮捕されました。

 パリは、この日のデモを禁止はしたものの、この禁止措置が守られるとも到底考えてもおらず、4,200人以上の警察と憲兵隊が動員され、デモ隊が構成されると「即時解散」の指示が出されていました。

 しかし、「即時解散」を求める警察に対して、一時解散しても「即時再構成」を続けるデモ隊との応戦が続き、それがエスカレートしていくうちに、デモ隊の一部は発射体の投擲、ゴミ箱の放火などと暴徒化し、それに応戦する形で、警察も放水砲、催涙ガスを発砲、近隣の駅は閉鎖され、大変な騒ぎになりました。

 テレビで流されているこの物々しい映像に、警察車両は、どれほどの種類のものがあるのだろうか?と妙な感心をしてしまいました。

 平和を訴えるはずのデモから、終いには、パリの街中が戦争状態のようになり、また、この「デモ禁止」に対するデモのような様相が、デモをさらに盛ってしまった感があります。

 この「デモ禁止」に抗議する訴えがCAPJPO (Coordination des appels pour une paix juste au Proche-Orient )(デモを禁止する命令の調整を求める協会)によって、起こされていましたが、国務院は、「協会の控訴を裁定する必要はない」と却下しています。

 フランスの他の数カ所の地域では、いくつかの(静的な)集会または、デモが承認され、リヨン、モンペリエ、マルセイユ、ナント、レンヌ、ストラスブール、トゥールーズ、リールなどでも、デモは行われていました。

 フランス人にとっての「デモの権利」は、相当なもの、権利であるとともに、義務であり、彼らの誇りでもあるのです。それを禁止したのですから、騒ぎが余計大きくなるのは、必須であった気もします。

 これは国内の政治家の間でも物議を醸し出し、「フランスは、パレスチナ人への支持へのデモと極右のイスラエル政府に対する抗議が禁止されている世界で唯一の国だ!」とするこのデモ禁止が不当であったとする人々と、「安全確保のために、デモ禁止は賢明な措置であった」とする左派と右派の議論にまで発展しました。

 「平穏と平和」を求めるはずのデモが別の紛争を生んでいる困った事態なのです。


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2021年5月15日土曜日

パリでの私の日常に「旬の魚」は存在しない


心優しい私の従姉妹は私たちが日本に行くと素晴らしいお魚を用意してくれる


 ツイッターを見ていると、数々の飯テロなる投稿が登場し、海外暮らしで思うように材料が手に入らず、簡単には食べられないものが多数登場する中で、日々、私は、ヨダレを垂らしながら、拝見しているのですが、こと魚、特にお刺身等の生魚に関しては、特別な場所にでも行かない限り、もうほとんど、まともな食材には、そうそうお目にもかかれないので、もはや、あまりに高すぎる雲の上の存在には、何だかかえってあまり反応しなくなりました。

 昨日、ツイッターでどこかの日本のお寿司やさんのツイートだと思われるものの中に、見事に透明に光り輝くお刺身の写真とともに、「旬の魚」をご用意しております・・というものがあり、はて??そういえば、私のパリでの日常には、「旬の魚」というものは、存在しなくなっていることに気がつきました。

 まだ、パリに来た当時は、そんなことが非常に残念で、「海は繋がっているはずなのに、なぜ?」などと、訳のわからないことを考えたりもしましたが、そもそもあまり、フランス人は魚に興味のない人々で、肉に比べると圧倒的に需要がないのです。

 そんなわけで、我が家の近くにはマルシェもなく、日常の食料品は、大抵は、近所のスーパーマーケットで済ませている我が家には、「旬の魚」などはないのです。マルシェに行ったところで、その顔ぶれは、そんなに変わるわけでもありません。

 そもそも、需要と供給の問題なのでしょうが、私の行くスーパーマーケットに魚売り場はあるものの、ほとんど、その魚売り場に季節感はなく、いつもいつも、あるのは、サーモン、鱸(スズキ)、鯛、たら、ヒラメ、メカジキ、マグロ、イワシ、赤く茹でられたエビなど、一年を通して、大体、同じ顔ぶれで、しかも、それらは、基本、加熱して食べることが前提の、あまり新鮮さの感じられない魚たちで、滅多に食指が動くことはありません。

 たまに、珍しい魚を見つけて、これ、生で食べられる?と確認したにも関わらず、あたって食中毒になり、死ぬほどしんどい思いをしてからは、ことさらです。

 強いて季節感があるとすれば、それはノエル前になると登場する生牡蠣や貝類やカニやロブスターなどのプレートなどで、それにもあまり感動はありません。

  

我が家で一番食べる魚はピカールの鯖


 一年を通して、一番、我が家の食卓に上がることが多いのは、安定した品質を保っているピカール(PICARD・フランスの冷凍食品の会社)の鯖のフィレで、これだけは、いつ買っても絶対に間違いはなく、オーブンでそのまま焼いたり、鯖の味噌煮にしたり、しめ鯖を作ったり、鯖寿司にしたりと大活躍。しかし、冷凍ゆえ、いつもあるもので、「旬の魚」と言えるものではありません。

 現在は、フランスで、どこのスーパーマーケットでも売っており、「SUSHI」を知らない人はいないほど、広まったお寿司で、フランス人も生魚を食べるということにも抵抗はなくなってきたとはいえ、生魚を買って自分で作るという人などほとんどいないはず。しかも、フランスで売っているお寿司の主役は、おそらくサーモンです。

 サーモンがどれだけ好きなんだ!と思うこともありますが、もともとフランス人にとっては、サーモンは身近な魚で、スモークサーモンというほぼ生の状態でこれまでも食べていた魚で、食べやすいのかもしれません。

 どこか、海辺の街にでも住まない限り、日本で言うような「旬の魚」というものには、なかなかお目にかかれないかもしれません。

 パンデミックのおかげで日本にももう、1年以上も行けていない私にとって、「旬の魚」は、夢のまた夢の儚い存在になりつつあるのです。


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2021年5月14日金曜日

開催が迫った東京オリンピックについてフランスで報道されていること

  



 これまで、フランスでは、東京オリンピックに関する報道は、あまりなされてきませんでした。正直、フランスは、ここのところ、感染状況がようやく減少傾向に向かい、ワクチン接種に最大の焦点を合わせ、ロックダウン解除を段階的に手探りでおそるおそる進めている状態とはいえ、とても他国で行われるオリンピックがニュースに上る余裕はありませんでした。

 しかし、ここに来て、いくつかのフランスメディアは、オリンピック開催予定である7月23日まで、あと10週間程度となった東京オリンピックに関するニュースを取り上げ始めました。

 それは、オリンピック開催がどのように行われるか?とか、オリンピック開催の可否であるとか、そういった内容ではなく、「オリンピック開催に際して、日本の医師組合が政府に対して、このパンデミックの状況の中で、安全にオリンピック開催は、不可能であると声明を発表していることや、ここ数ヶ月間に行われた世論調査によると、国民の半数以上がオリンピック開催に反対、あるいは、延期を希望しているにも関わらず、主催者側は、オリンピックを安全に開催できることを国民に対して説得しようとしている。」といった、日本がオリンピックをめぐって動揺している状況であることを伝えています。

 フランスの報道では、「日本は、他の多くの国よりもコロナウイルスの影響が比較的少ない状態を保ち続けてきたが、現在、ウイルス感染の第4の波に直面しており、今年の1月には、死者1万人を突破し、首都を含む多くの地域が非常事態にある。」

 「医療制度は再び圧迫した状況にさらされており、医師らは、人員不足であると言っている。過去数日間、日本の県のいくつかの知事は、彼らが病気の選手に病院のベッドを割り当てないことを示している。大会開始前に日本でトレーニングするチームの計画はキャンセルされた。」と不安定な日本の状況を知らせています。

 また、ル・モンド紙(仏・大手新聞)では、「東京オリンピックの主催者は、地元の観客の有無の決定を6月まで延期した。これは、7月23日から開催されるこれらのオリンピックの準備に伴う不確実性のさらなる象徴である。」

「尾身茂 医療顧問が、「感染状況」と「圧倒的な病院システム」を考えると、「オリンピックについて話し合う時が来た」「世界中から東京に到着するウイルスの新しい亜種の多くの形態によって表される危険を否定することはできない」と述べている逼迫した状況にもかかわらず、主催者はオリンピックが先に進むことができると主張し続けている。」 

「問題は、安全なゲームをどのように組織するかだ」と、オリンピック組織委員会の橋本聖子会長は語り、「大会が観客でいっぱいになるのはおそらく「非常に難しい」だろうと彼女は認めた。 「私たちの目標は常に完全なサイトを持つことですが、ウイルスと戦うために必要な対策を考慮して、医療サービスに過負荷をかけてはならない」と言っている。」

「拡大し続ける感染に逼迫した医療体制と多くの生活制限下に置かれた現在の日本の状況は、本来ならば、オリンピック開催真近の世界的な祭典のお祭り騒ぎの雰囲気とはかけ離れた状態である。」と報道しています。

 医療関係者を始めとする多くの日本国民が延期またはキャンセルを望んでいる中、それでも強行しようとしているオリンピックの主催者と日本国民の世論の不均衡を伝えているのです。

 これをフランスに置き換えて考えた場合、国民の半数以上が反対している状況でオリンピックを強行開催することは、おそらく不可能だと思います。それこそ大きなデモや暴動が起こります。政府もおそらく、それを見越して、たとえオリンピックを開催するとしても、具体的な対策を示して、国民を説得しようと努めるはずです。

 フランスが報道しているのは、オリンピックそのものについてではなく、煮え切らない日本政府の、いつまでもはっきりと決断できない、国民を説得できないままに強行しようとしている日本政府の実態なのです。

 この日本国民の大半が反対している・・という海外での報道の広がりを日本はどう受け止めるのでしょうか?

 


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2021年5月13日木曜日

第3波のピークは超えたフランス 連休突入とロックダウン解除・レストラン再開の条件

  


 ここ10日間ほどで、フランスの感染状況は、少しずつ改善してきました。

 本当に、ゆるゆるなロックダウンで、ずっと高い数値のままに、感染者はグングン増え続け、4月の初旬には、1日の新規感染者数も6万人を突破し、集中治療室の占拠率も私の住んでいるイル・ド・フランス(パリを中心とした地域)などは、150%を突破、フランス全体でも120%超え(6,000人近く)と、もうこれでは、病床に空きがない場合の患者の移送も不可能ではないか??と、一時はどうなることかと思うほど、逼迫した状況が続いていました。

 さすがに3月末から4月初旬の酷い状況に直面し、4月に入って、最終手段と言われていた学校閉鎖が行われたり、制限が強化され、ワクチン接種も必死で進めている効果が、5月に入ってから、ようやく表れ始め、現在は、どうにか1日の新規感染者数も2万人台までに、集中治療室の患者数も4,583人(5月12日現在)までに減少しています。

 これで、現在は、どうやらフランスの感染状況は、減少傾向にあることは明白になってきました。

 5月3日から、学校も再開し、長距離移動の制限が解除され、今週末は、飛び石連休で4日間の休みに入るため、これまでどこにも出かけられなかった(はず・・)フランス人は、このプチバカンスの機会に100万人の人が国内移動をすると見られています。

 4月末にマクロン大統領から発表されたロックダウン解除カレンダーによれば、一週間後の5月19日からは、フランス人が待ちに待ったレストラン・カフェのテラス席がオープンし、美術館、映画館、劇場、スポーツ施設が再開され、夜間外出制限も現在の午後7時から午後9時までに延長され、日常生活が戻り始めます。

 この19日からの第2段階のロックダウン解除に先駆けて、先日、カステックス首相が、France 2(フランスの公共テレビチャンネル)のニュース番組に出演し、レストラン・カフェの再開に関しては、収容人数上限は定員の50%まで、店内ではなくテラス席のみ、着席のみで、1テーブルは最大6人までという細かい制限等について説明し、「これらの規則をフランス国民が遵守すると信頼している。その上で、警戒、監視、取り締りも行われる予定なので、事業主は営業停止を避けるためのあらゆる努力をしてほしい。」と語っています。

 実に、テラス席だけとはいえ、レストラン・カフェの営業は、昨年の10月以来のことであり、(半年以上、テイクアウトの営業のみだった)レストランのオーナーはもちろんのこと、フランス国民もどれだけ、この日を待ち望んでいたかは、数々の闇営業レストランが摘発されたりしたことなどからも垣間見えます。

 フランス人は、みんなで集まって延々とおしゃべりをしながら食事をするのが大好きなのです。

 しかも、このテラス席の再開に関しての制限の中に「着席」という項目が入っているところも、いかにもフランスで、興味深いです。

 もともと、フランス人は、店内よりもテラス席が大好きで、(コロナ前でさえ、気候の良い季節などは特に、テラス席は満席でも店内はガランとしていることも珍しくはありませんでした。)そして、彼らは、時間が進むに連れて、席を離れて、騒ぎ出すことも少なくないので、この「着席」という制限は、賢明な判断だと思います。

 しかし、これは、「おすわり!」「自分の席に座っていなさい!」「食事中はふらふらしない!」と言われているということで、これでは、まるで小学生、いや幼稚園の教室みたいで、ちょっと笑ってしまいます。

とはいえ、日本の一部のレストランで呼びかけられているような「黙食」=「黙って食べなさい!」「おしゃべり禁止」という制限は、さすがにフランスでは、到底、国民に受け入れられないことで、政府でさえも、多分、思いもよらなかったであろうことで、制限項目には入っていません。

 フランス人にとって、レストランに行く「外食をする=食事をする=人と話す」ということなのです。

 この「着席」という制限は、一番、レストラン側も頭を痛めるであろう項目ではあるでしょうが、ようやく再開できた営業が停止にならないように、お客さんにも必死で、着席を求めるであろうと思われます。

 フランスは、昇天祭から週末にかけての100万人の大移動とともに、レストラン・カフェ、映画館、劇場などの営業再開と一気にロックダウン解除にアクセルがかかっていきます。

 感染が減少傾向にあるとはいえ、未だ、高い数字のままのフランスは、一部では第4波も懸念され続けている中、カステックス首相は、「感染状況が一部地域で急速に悪化した場合は、地域単位でブレーキをかけるつもりである。」と同時に釘をさしています。

 そんな中で大きな希望の綱であるワクチン接種は、先日は、かねてからの約束どおりにオリヴィエ・ヴェラン保健相が白衣を着てワクチン接種をするなどの大キャンペーン続行中。

 私のようなミーハーは、「いいなぁ〜!どうせなら、私も彼にワクチン打ってもらいたかった!」などと思っていましたが、最初は、グダグダでなかなか進まなかったフランスのワクチン接種もようやく軌道に乗り始め、現在は、50歳以上の人は全員ワクチン接種の権利があり、ワクチンを無駄にしないために、ワクチン予約に空きがある場合は、18歳以上の成人はワクチンを接種できるようになっています。

 現在、フランスでは、1,855万人の接種(少なくとも1回は・・)が済み、国民の28%がワクチン接種が済んでいる状況です。

 連休・レストラン等の再開と、解除が進んでいく中、第4波が来るかどうかは、ワクチン接種の拡大にかかっています。


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2021年5月12日水曜日

フランス人女性の美しさの基準と美容整形手術

 


 日本で生まれ育ってきた私がフランス人は日本とは違うな・・と思うことの一つには、女性の美しさについての基準の違いがあります。

 フランス人のある程度の年齢以上の女性にとっては(若い女性であっても)、「かわいい」ということよりも、「かっこいい」とか、「セクシー」であることの方が好まれるような気がします。

 いわゆる「ぶりっ子」(今も日本で使われている言葉かどうかわかりませんが・・)のような「可愛さ」は、どちらかというと幼稚か、ちょっとどこか足りないように受け取られかねません。

 そして、日本のような「美白崇拝」とは正反対で、皆、こぞって日焼けしたがります。これからの季節は特に、日焼けしていることは、リッチなバカンスを満喫しているという一種のステータスでもあるので、結構な年齢の女性も「日焼け後のお肌のお手入れは・・?」などと、私がこっそり思ったりしているのをよそに、実に自信満々に日焼けして、ガビガビになった肌を堂々とさらして誇らしげにしています。

 日本人のような、こまめなお肌のお手入れをしているとは思い難く、シャネルやディオール、ランコムなどの高級化粧品会社の本国であるはずのフランスでは、実際には、それほどお肌に気を使った生活をしているとは思い難い感じがします。

 しかし、だからと言って、彼女たちは、決して美を意識していないわけではなく、むしろ、彼女たちは、歳を重ねても、いつまでも女であることを捨てることはありません。単に、美しさに関する観念が違うだけなのです。その証拠に、フランス人には、美容整形手術をしている人が、少なくありません。

 実際には、「やったよ!やったよ!」とフレまわることでもないので、あまり、おおっぴらにはなりませんが、しかし、かといって、それをひた隠しにする感じでもありません。

 今は、コロナ禍で閉鎖されていますが、以前、私が通っていたスポーツクラブの更衣室やサウナ、ハマムなどで見かける、女性同士とはいえ、あまりにあっけらかんと脱ぎっぷりのよい彼女たち彼女たちの裸体には、明らかに豊胸手術の跡と思われる微かな傷が脇下などに見かけられることが多く、「あぁ〜この人もやってるんだ・・」と見てはいけないようなものを見てしまったような気がしていたのですが、もしも私が、「豊胸手術したの?」と聞いてみたら、案外、あっさりと、色々と話してくれそうな気もします。

 私がスポーツジムに行っていたのは、仕事が終わった後のせいぜい1時間程度の夕方の短い時間帯だったので、年齢層も割と限られていて、比較的経済的にも余裕のある子供にも手がかからなくなっている40代後半から50代くらいの女性が多かったので、年代は、偏りがあったかもしれません。

 今はむしろ、SNSフランスでの美容整形手術は、35歳未満の人の方が多いというのですから、それはそれで驚きです。しかも、現在は、傷跡が残らないヒアルロン酸などの方法も発達し、エイジングを遅らせる効果もあるなどと宣伝されているため、若い人の間で、ますます広まりつつあるようです。

 フランスで圧倒的に多いのは、豊胸手術や豊尻、唇などのボリュームアップや鼻の形を整える、脂肪吸引などですが、どちらかというと、セクシー系に変身したい願望が強いような感じを受けます。

 しかし、どうにも美容整形手術は、やり始めるとクセになる傾向にあることは、どこの国でも同じようで、しかも、むしろ、どこを直すの?と思うような美しい人にかぎって、整形したがるような気もします。

 以前の私の職場にいた女性で、この美容整形を繰り返している人がいて、彼女はフランス人でありながら、本当にバカンスにも滅多に行かず、仕事も決して休まない珍しい人でしたが、子供もいなくて、経済的にも余裕があるせいもあってなのか、洋服を買うのが趣味のおしゃれな人で、彼女が数回、会社を休んだのは、美容整形手術のためでした。

 別に彼女は、手術を隠す様子もなく、痛々しい傷跡を見せてくれたりもしていましたが、(彼女が行ったのは、顔のたるみを引っ張る手術でした)彼女自身は、私よりもかなり年長でしたが、スリムで綺麗な人でした。

 以前、仕事の関係で出会ったタイ人の女性などは、顔も身体も全身、いじっていると言っていた人がいました。そんなわけで綺麗な人で、スタイルも抜群でしたが、比較的小柄で、さすがに身長だけは、変えられないんだな・・などと、ちょっと意地悪く思ったりもしました。

 つい先日も、娘の彼氏のお母さんが痩せるために、胃の入り口を狭める手術をしたとかで、これは、脂肪吸引ともまた別で、美容整形とは少し違うかもしれませんが、ダイエットのために食べられる量を身体の内部から変えるという大胆な方法。

 私など、そうでなくとも年齢につれて、食欲と胃腸のバランスが追いつけなくなり、そうそう食べられなくなってきたのを悔しく思っているくらいで、食べ過ぎたと思ったら、少し気をつけて身体をできるだけ動かすようにするとか、できるだけ食べることを優先にしているくらいで、これ以上、身体が受け付けないように胃を小さくしてしまうなんて考えられないことです。

 昨年から1年以上も続いているパンデミックによるロックダウンやリモートワーク、マスク着用の義務化などで、あまり人に気付かれずに、ますます見えないところで、広まっていると思われるフランスの美容整形手術。

 ロックダウンが解除されて、みんながバカンスに出る頃には、さぞかし美しい人がビーチでこぞって、日焼けしているのではないかと思っています。


フランスの美容整形手術

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2021年5月11日火曜日

歯医者で見えるフランスでの優先順位 ここでも出てくるバカンスの優先度

 


 このコロナ禍に嫌だなぁ・・と思いつつ、必要にかられて、私は、昨年の10月の末頃から歯医者さんに通っています。歯医者さんでのコロナウィルスに対する衛生管理など、色々と気付くこともありましたが、一応は、きちんとしていて、抜歯した後にインプラントをすることにして、要は、その抜いた後がしっかり固まるのを見極めるために、抜歯以来、4〜5回、歯医者さんに通っています。

 前回の診察で、その周辺の歯の治療も含めて、どちらを先にするかとか、どのようにするか、いつやるか・・などを検討中でした。

 一応、6月の初旬にインプラントの手術をする予定になっていて、今回はまず、その隣の歯の仮の治療をすることになっていたのですが、行ってみると、歯医者さんも「さて、今日は、何だったっけ?」などと言い出すので、一瞬、ムッとして、「今日は、隣の歯の仮のかぶせものをするのでは?」と言ったら、「今日は、予約が詰まっているから、そんなことをしている時間はない・・」などと言い出すので、「じゃあ、今日は、何のためにあなたは、私の予約を入れたの? ずるずる先延ばしにするのは、いい加減にして! この間、言っていたことと違うじゃないの?」と、ちょっと怒ったら、次の予約をずらして、予定どおりの治療をしてくれました。

 「やっぱり、簡単に引き下がっては、事は進まないんだ・・フランスは・・」と思いながら、その日の予定の治療を済ませて、いよいよ、次のインプラントの予約を決めるにあたって、1ヶ月以上前のレントゲン写真を見て、「もう少し、時期は先にずらした方がいいと思う。6月半ば、もしくは7月以降、あるいは8月くらいの方がいいかもしれない・・」などと言い出しました。

 そういえば、6月には、2回目のワクチン接種がある!こと思い出して、その旨を伝えたら、「今は、ワクチン接種が最優先だから、ワクチンをしたら、10日くらいは、手術はずらさなければならないから、2回目のワクチン予約はいつ?」「まだ、取ってない・・」「それなら、まず、ワクチンの予約をとってからね。一応、前回にとった予約をキープして、ワクチン接種の予定がわかったら、電話して!それで日程は決めましょう!」ということで、一段落。

 7月、8月に入れば、フランス人にとって年間の一大イベントの夏のバカンスの時期です。「バカンスには行くの?」と不意に話がバカンスの話題になったいので、「まだ、決めてないけど、行ければ行きたいと思っている。パンデミック次第かな?」と答えると、さすがにフランス人。予定は、一気にワクチンの次にバカンス優先の方向のスケジュール調整に進みます。

「手術してから1ヶ月間は、すぐに私が見られるところにいた方がいいから、それなら、バカンス前にその1ヶ月間を取らなければならないから・・6月中にした方がいいわね・・」と話は、急展開に・・。

「歯の治療に関しても、自動的?に、バカンスを優先して考えてくれるんだ・・」何とか、先に延ばそうとしていた今後の歯の治療の予定を組むのにも、優先事項として登場するのは、バカンスなのです。

「今は、ワクチン接種が何より最優先だから!」と彼女は言っていましたが、それは事実であるとしても、こんな局面でも、ワクチンの次に優先順位が来るのは、やっぱりバカンスなんだ・・と、あらためてフランス人にとってのバカンスの優先順位の高さを思い知らされたのでした。

 しかし、実のところは、私自身は、まだバカンスに行くかどうかは決めてはおらず、「行けたら、行きたい・・それもパンデミックの様子次第・・」それでも、私がバカンスに行くことを前提にして、予定を組んでくれることに、(彼女は、バカンスには、当然、行くものと判断している)私としては、あっけに取られた気分でした。

 家に戻って、さっそく、ワクチン接種をしてもらう予定の、かかりつけのお医者さんに電話したら、あっさり6月5日に2回目のワクチン接種の予約が取れ、さらに歯医者さんに電話すると、結局、インプラントの手術は、6月21日に決まりました。

 手術の48時間前から抗生物質の薬を飲んで、朝はしっかり食べて来ること、また、手術に関しての質問表と同意書をポストに入れておいて!と言われて、あっさり予定は決まりました。

 決まったとはいえ、予定どおりに行かないのがフランス。しかし、もういい加減、歯の治療を始めて、半年以上。パンデミックという不可抗力があったとはいえ、あまりに長くかかるこの歯の治療に実際の手術の前から、私はもうすでに、かなりウンザリしています。

 思いがけずに、出かけるかどうかもまだわからない夏のバカンスのおかげで、どうにか、治療が進みそうなことを喜びつつも、まだまだ私は、フランスをわかっていなかった・・と、これからは、何か急ぐことがあったら、バカンス前の駆け込みで何かことを始めるという技を身につけるべきかな?などと考え始めているのです。


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2021年5月10日月曜日

殺害された麻薬取締りの警察官の追悼式に全国から1万人近く集まるフランス人の温情と、ますます危険度が高まるフランスの警察官

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 警察関係者のみならず、地元住民や元警察官など、全国から約1万人の人々が先週、麻薬取締り中に射殺された警察官の追悼式に参加するために、アヴィニヨンの警察署前に集結しました。

 ちょっとこのご時世にこれだけの人だかりには、ギョッとするところもありますが、さすがにこのようなところに参加する人々は、フランス人とて、マスク率が非常に高く、パーティー騒ぎで人だかりになっている場所とは、集まる層がちょっと違うんだな・・と感じます。

 先週、アヴィニヨンで白昼堂々、麻薬取締りのために駆けつけた36歳の警察官が突然、銃で撃たれて死亡した事件は、衝撃的な事件でしたが、その犠牲になった警察官のために、それを単なるニュースとして見過ごさず、これだけの人が追悼に訪れるところが、フランスらしいところなのです。

 花を手向ける人、メッセージを置いていく人、フランスがこのような危険な状態であり続けることは許されないと抗議の意味を込めて訪れる人、その理由は、それぞれ、さまざまではありますが、このような追悼式が一般市民も含めて大きく行われ、犠牲者となった警察官の死を悼み、それぞれの想いを分かち合いながら、マルセイエイズ(フランス国歌)を歌ったりするところは、私が好きなフランスの一面でもあります。

 一見、冷たい印象もあるフランス人の、その実、とても心暖かく、危機に直面している人を決して、見捨てない、寄り添ってくれる優しい一面がこのような場面に表れているような気がするのです。

 懸命な警察の捜査により、この事件の容疑者二人が逮捕されたようです。しかし、逮捕されたと言っても、彼らは大勢のうちのほんの一部、麻薬の売買の現場に銃を携帯している人は、今もたくさんいるはずなのです。

 こんな事件が起こった後でも麻薬の取り締りを続けなければならない警察官の恐怖は、計り知れません。


 そんな中、昨日は、フレジュス(プロヴァンス・アルプ・コート・ダ・ジュール地域圏)ガベル地区で、夜11時半頃に70人〜80人ほどが暴れ出し、15軒ほどのショーウィンドーが壊され、3台の車が燃やされるという事件が起こりました。


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 駆けつけた警察官に向けて、火炎砲が投げつけられ、少なくとも4人の警察官が負傷しています。

 この地域は、過激なイスラム主義と麻薬密売組織のある地域で、この日の夜中の暴挙は、そのどちらによるものかは、今のところ断定されてはいません。

 ここ数週間にわたり、この地域は、緊張状態が続いていましたが、2週間前にはこの近辺で8キロの大麻が押収されたことからも、麻薬密売の一つのポイントであることは間違いなさそうです。

 政府は、このフレジュスに翌日から70人の追加の警察官を動員しています。

 先週、アヴィニョンで警察官が殺害されたのも麻薬取引の現場で、麻薬・ドラッグの問題は、もはや、一部の地域だけにとどまらず、これも、フランスの多くの街で起こっているごくごく一部であるに過ぎません。

 コロナウィルスとの戦いもまだ済まない中、イスラム過激派によるテロに続いて、麻薬・ドラッグの密売組織と警察の戦いが、どんどん表面化しています。

 ウィルスとだけでなく、人間同士が戦わなければならないこの麻薬・ドラッグ問題。

 パンデミック・ロックダウン中に、コロナウィルスだけではなく、この麻薬密売組織の勢力がいつの間にか、拡大していた気がしてなりません。

 社会全体が弱っている時に蔓延る(はびこる)のは、妙な新興宗教や麻薬・ドラッグなど、さらに人を蝕むものであることが悲しいです。

 

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2021年5月9日日曜日

猫もコロナウィルスに感染する危険があるという説

                                        

   Selon l'étude, les propriétaires des chats ont développé des symptômes du Covid-19 avant que les félins ne tombent malades. | Mel Elías via Unsplash


 我が家に子猫がやってきてから、もう10年以上が経ちます。娘がその頃はやっていた映画から、名前をポニョとつけました。我が家はアパート住まいなので、猫が自由に家の外を出歩くことはなく、ポニョはほとんど、家の中だけで育ちました。

 以前は、ベランダからひょいっと隣人のアパートに勝手に出入りして、まるで自分の別荘のように、ちゃっかり隣の家に上がり込んで隣のおばさんに可愛がってもらったりしていたのですが、隣のおばさんが引退して、田舎に引っ越してしまって、違う人が引っ越してきてからは、ピタリと別荘にも行かなくなり、ベランダにもほとんど出なくなってしまいました。

 人の好き嫌いが激しいのは、飼い主にとてもよく似ているのですが、人間である私たちには、ある程度は、浮世の付き合いがあるので、ポニョのようにあからさまに顔に出すわけには行かないのですが、ポニョときたら、歳をとるとともに、年々、嫌いな人に対しては、気性が荒くなり、これまでは、嫌いな人だと、す〜っと家のどこかに隠れてしまって出て来なくなるくらいだったのに、最近は、嫌いな人が来ると「カ〜ッ!!」と唸るようにまでなってしまっているのです。

 数日前に、「人間はコロナウィルスを猫に感染させる可能性がある」というニュースを聞いて、ほとんど外に出ないポニョは、リスクは低いな・・とは思ったものの、ポニョに感染させるとしたら、家族である私たちからということになります。

 コロナウイルスが人間から動物に、またはその逆に感染する可能性についての科学的研究は、現在、かなり注目されているようで、グラスゴー大学(スコットランド)の研究チームは、猫が飼い主に感染したとされる2つのケースを特定したと発表しています。

 グラスゴー大学の獣医学部の獣医診断サービスと共同で実施された研究によると(医学雑誌VeterinaryRecordに掲載)、別々の家に住んでいる異なる品種の猫に軽度から重度の呼吸障害が発見されました。彼らの飼い主は、動物が病気になる前にコロナウィルスの症状を発症していました。

 最初のケースは生後4ヶ月のメスのラグドールの子猫でした。彼の主人は2020年3月末にウイルス感染に対応する症状を発症しましたが、検査されたことはありませんでした。呼吸困難に続いて、猫は獣医に連れて行かれましたが、残念ながら、猫の状態は悪化し、安楽死させなければなりませんでした。肺のサンプルは死後に採取され、ウイルス性肺炎によって引き起こされた可能性のある損傷と、コロナウィルス感染が明らかになりました。

 2匹目の猫は6歳のシャムの女性で、飼い主の1人がコロナウイルスの検査で陽性だった家庭で飼われていた猫でした。猫の症状は鼻水と結膜炎という軽度のままでしたが、 コロナウィルス感染は、2020年3月から7月の間に獣医診断サービスに提出された綿棒の検査で確認されました。

 当初は、動物には感染しないと言われていたコロナウィルスですが、現在、動物から人間へのウイルスの感染は公衆衛生へのリスクが比較的低いが、科学者はペットが「ウイルスの貯蔵庫」として機能し、感染につながる可能性があると述べています。

「人間の症例が減少するにつれて、動物から動物への感染の見通しは、コロナウィルスの人間への再導入の潜在的な源としてますます重要になります」と、この研究のリーダー・マーガレット・ホージー教授は警告しています。

 科学者たちは現在、動物用のワクチンを開発を進めており、ロシアではすでに最初の注射を開発し、3月31日に登録を済ませています。 

 ヨーロッパでは、コロナウィルスワクチン接種キャンペーンは実際に軌道に乗せるのに苦労していますが、ペットのための注射をすでに考えている人もいます。パンデミックが始まって以来、多くの専門家がコロナウイルスの動物への影響について懸念を表明しています。

 ペットといえども、大切な家族の一人。もはや、人間年齢に換算したら、家族の中では最年長のポニョです。私も娘も既に一回ずつのワクチン接種は済ませていますが、まだまだ安心はできない上にポニョにまで感染させたら、大変です。

 ポニョは、まだ小さい頃に一度だけ、病気になり、みるみるぐったりしてしまい、娘と二人で半べそをかきながら、夜中に獣医さんに連れていって、1日だけ、獣医さんに入院したことがあり、とても心配して眠れない夜を過ごし、翌日、面会に行ったら、点滴ですっかり回復し、唸りながら獣医さんに噛み付かんばかりの怒りようで、獣医さんの方から、「ポニョは、すごく怒っているから・・もう連れて帰って・・」と言われたほどの病院嫌いです。

 そんなことにならないように、私たちもポニョのためにも、まだまだ気をつけた生活を続けなければ・・と、このニュースを見て、あらためて思ったのでした。


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2021年5月8日土曜日

ロックダウン解除第一段階で、もう夏には、屋外でのマスク義務化撤廃の話題

 


 フランスは、今週に入って、ロックダウン解除の第一段階が始まったばかり、中学生・高校生が学校に戻り、10㎞以内の移動制限も撤廃されました。

 ここ数日、新規感染者数も2万人台までに下がり、集中治療室の患者も一時は、6千人を突破していたものの、現在は、5,106人にまで減少し、全体的にも減少傾向にあります。

 そんなフランスは、早くもロックダウン解除モードに一気にアクセルがかかり、早くもバカンスに出かける人や、バカンスの予約をする人も急増し、日常モードに一直線に突き進んでいる感じがします。

 今週の初めにインタビューに臨んだオリヴィエ・ヴェラン保健相は、「コロナウィルスの制御は慎重に加速していますが、油断してはいけません。この意味でも、制限解除のスケジュールは非常に良いスケジュールです」と述べています。

 そして、「ワクチン接種は深刻な状況から保護することは確実であり、ウイルスの拡散のリスクから十分に保護すると信じています。充分な数のフランス人がワクチン接種を受けた場合は、警戒を弱めることを検討できます」と続け、「この6月末までのロックダウン解除のシナリオの続きは、何ですか?」と尋ねられた彼は、「屋外でのマスク着用の義務化が夏には撤廃することができるようになることを望んでいます」と答えました。

 もともとマスクが大嫌いなフランス人(誰でも好きではないと思うけど・・)にとって、この保健相の「夏には、屋外のマスク義務化撤廃」の発言が、その他の様々な彼の発言をすっ飛ばして、広がる結果になり、次々と屋外でのマスクなしでの感染のリスクについて、語られ始めました。

 感染のリスクに関しては、ますます多くの専門家が屋外には存在しないことに発言し始めています。いくつかの研究では、外部の汚染はすべてのケースの0.5〜5%に相当するため、非常に低いことが示されています。したがって、一部のウイルス学者は、屋外でのマスク義務化を撤廃することを要求し始めています。

 しかし、保健相が言う、この次のステップ(屋外でのマスク義務化撤廃)は主にワクチン接種の進捗に依存していることは言うまでもありません。

 一方、パスツール研究所(Institut Pasteur)(パリにある生物学・医学研究を行う非営利民間研究機関)の生物学的緊急対応ユニットを担当するジャン・クロード・マヌゲラ氏は、感染のリスクが「屋外で低い場合でも、それはまだ存在している。外では、誰かがくしゃみをしてマスクを着用していなければ、充分に感染の危険はあります。従って、外部環境では、必然的に換気が良くなり、したがって非常に大きな希釈効果がある場合でも、エアロゾルによる感染が発生する可能性があります。」と警鐘を鳴らしています。

 フランスの公衆衛生局も屋外でのマスク義務化撤廃は、ワクチン接種が国民の60%以上に達しない限り危険であるとしています。

 屋内・屋外でもマスクを外せるようになるのは、ワクチン接種率90%以上に達した場合であるとパスツール研究所も発表しています。

 現在のフランスのワクチン接種は、25.62%(2回接種した人は11.68%)(5月6日現在)のみ、オリヴィエ・ヴェラン保健相が夏には、屋外でマスクを外せる時が来ることを望んでいると発言すると言うことは、夏までには、国民の60%までのワクチン接種が拡大することをひとまずの目標としているということです。

 現在、フランスでは、ワクチン接種拡大の大キャンペーン中。来週の火曜日の夜には、オリヴィエ・ヴェラン保健相自ら、白衣を着てワクチン接種に参加することを(彼はもともと神経内科医)発表しています。

 おそらく彼が言いたかったのは、「夏には、外ではマスクが外せるようになるから、それまでは、我慢して!」ということだったと思いますが、思いの外、注目されたのは、肝心な「だから今は我慢して!」ではなく、「夏には外でマスクを外せる!」の方であったことはいかにもフランスな結果です。

 昨年、屋外でマスクが義務化されたのが、感染が一時、減少したにもかかわらず、人々がバカンスで感染を撒き散らした結果が出始めた8月のことでした。

 今年は、ワクチンという強い味方がつきましたが、その進捗状況によっては、また同じ悲劇が起こらないとも限りません。

 どちらにしても変わらないのは、フランス人は、今年の夏も絶対にバカンスに出るということだけです。


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2021年5月7日金曜日

度を超えているフランスのDV 逮捕・投獄・釈放後に元妻を焼き殺す凶暴さ


Une femme est morte à Mérignac après avoir été blessée par arme à feu puis brûlée vive par son mari dont elle était séparée. (DAVID THIERRY / MAXPPP)


 フランスは、犯罪者が多すぎて・・というわけだけでもないのでしょうが、余程のことがないと逮捕されても、投獄されるまでにはなりません。だからというのも何なんですが、刑務所にまで入るということは相当な犯罪者です。

 以前、パリ市内の高級品を扱っている店が、夜中に地下道をつたって、店舗の地下部分に壁を破って押し入り、強盗を働こうとして、アラームが鳴って、慌てて逃げようとしたところが、地下から這い上がったと同時に駆けつけた警察に捕まり、逮捕されたという事件がありましたが、未遂に終わったこともあり、結局、投獄はされずに、そのまま野に放たれたという話を聞いて、強盗でも釈放??とびっくりしたことがありました。

 一昨日、ボルドー近郊のメリニャック(ジロンド県)で起こった凶暴な事件の犯人は、過去7回有罪になっている凶悪犯、昨年12月に刑務所を出所したばかりの男(44歳)は、猛烈なDVを続けた挙句に投獄、出所後も執拗に元妻を追いかけ回し、何度も家を訪ねており、犯行当日には、彼女に暴行を働いた上に、家に火をつけ、家から逃げ出した被害者の女性を銃撃し、道に倒れると、可燃性の液体を彼女に吹きかけ、火をつけて焼き殺したのです。

 生きているままに火炙りにあうという残酷な仕打ちをした犯人は、まるで戦争にでも行くような武装をしていて、明らかに計画的な犯行であったと思われます。

 ボルドー検察庁は、犯人は、約30分後、隣接するペサックの町で逮捕され、12口径のライフル、ガスピストル、カートリッジベルトを持っていたと発表しています。

 メリニャックといえば、以前、娘が通学のために一時、住んでいた地域でもあり、私も行ったことがありますが、ボルドーのすぐ近くの極めて平和そうな、私にとっては、車がやたらとゆっくり走る街という印象のおっとりとした街で、そんな凶悪な恐ろしい事件は想像もつかないごくごく普通の街です。

 被害者の女性(31歳)には、3人の子供(3歳、7歳、11歳)がおり、犯行時には、幸いにも子供は家に不在であったようですが、過去のDVの様子は目撃していたであろうし、父親に母親が、かくも残酷な方法で殺されたという事実は、深い傷に残り、結果的に両親共に失ってしまったのですから、この年齢にして、背負うものの大きさは計り知れません。

 犯人は、18ヶ月の禁固刑のところ、6ヶ月で出所になってしまっていたことが本当に悔やまれますし、なぜ、DV問題で禁固刑だった犯人が釈放になる際に、追跡用のブレスレットをつけられていなかったのか? しかも、被害者の女性は、彼の出所後の度重なる訪問(本来は禁止されていた)に被害を申し立てていたにもかかわらず起こってしまった事件でした。

 メリニャック市長のアラン・アンジアニ氏によると、住宅街で起こったこの悲劇的なシーンを目撃した人々のトラウマをケアする心理ユニットが設置されました。

 家庭内暴力の犠牲者を守るための協会によると、2021年1月以来、フランスでは、38人の女性が配偶者または元配偶者のDVを受けて死亡しています。メリニャックでのこの事件で、39人目の犠牲者が出てしまいました。

 遺体の解剖結果で、彼女の咽頭は、75%押しつぶされており、銃で撃たれる前、火炙りにされる前にも相当な暴力を受けていたことがわかっています。

 この犯人の残酷な犯行はもちろんのことですが、この犯人を野放しにした司法に対しても、「彼の釈放の際に犠牲者の危険は配慮されていなかったのか?」、「元妻への接近が禁止されているにもかかわらず、数度にわたり訪問していたことを被害者が通報していたにもかかわらず、なぜ放置されていたのか?」「危険人物につけられるはずのブレスレットはなぜつけられていなかったのか?」など、多くの疑問を「国家には責任がある」「正義の機能不全」として、訴える声が上がっています。

 フランスには、現在、危険人物につけて、行動を監視できるブレスレットは1,000個ありますが、使用されているのは、たった61個だけなのだそうです。

 フランスの格差社会の問題と片付けられる問題ではありませんが、本当にフランスは、クズ男は限りなくクズ、中でも暴力を振るうクズは、最悪です。

 これは、しっかり、国家に保護してもらいたい問題の大きな一つです。


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